JPH08234540A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JPH08234540A
JPH08234540A JP3567595A JP3567595A JPH08234540A JP H08234540 A JPH08234540 A JP H08234540A JP 3567595 A JP3567595 A JP 3567595A JP 3567595 A JP3567595 A JP 3567595A JP H08234540 A JPH08234540 A JP H08234540A
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JP
Japan
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layer
image forming
charging
image
forming apparatus
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JP3567595A
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English (en)
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Mitsuharu Hitsuishi
光治 櫃石
Koji Yamazaki
晃司 山崎
Hiroki Kisu
浩樹 木須
Kiyoshi Sakai
清志 酒井
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】感光ドラムの被帯電面と近接帯電部材の帯電面
との間隙を長期にわたって精度よく保持して、良好な帯
電、画像形成を行う。 【構成】感光ドラム104の画像形成領域となる被帯電
面の両側に位置する非画像形成領域に段部103を形成
する。段部103は、ゾルゲル法による強固で、かつ均
一な金属酸化物皮膜によって形成し、さらに形成後に研
磨加工する。段部103に近接帯電部材100を当接さ
せて、感光ドラム104表面と帯電部材100の抵抗層
102との間隙を所定の値に維持する。段部103は固
く、また研磨によって精度よく仕上げられているので、
感光ドラム104が回転した場合でも、また長期にわた
って使用した場合でも、間隙は精度よく保持される。こ
れにより、長期にわたって良好な帯電、さらには画像形
成が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、振動電圧(時間ととも
に電圧値が周期的に変化する電圧)を固定式の帯電部材
に印加することで被帯電面を帯電する帯電装置および画
像形成装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 1.画像形成装置 画像形成装置は、従来の、原稿を複写するいわゆる複写
機のみらず、近年需要の伸びの著しいコンピュータ、ワ
ードプロセッサの出力手段としてのプリンタを加え広く
利用されている。こうしたプリンタについては、従来の
オフィスユースのみらず、パーソナルユースが増大した
ため、低コスト、メンテナンスフリーといった経済性が
重視される。 【0003】さらに、エコロジーの観点から、両面コピ
ー、再生紙利用等の紙の消費量の低減、消費電力低減に
よる省エネルギー化、オゾン発生量低減による作業環境
改善などが、経済性と同様の重要度で求められている。 【0004】従来の帯電方式の主流であったコロナ帯電
器は、50〜100μm程度の金属ワイヤに5〜10k
V程度の高電圧を印加し、雰囲気を電離し対向物に電荷
を付与する。その過程において、ワイヤ自身も汚れを吸
着するため、定期的な清掃、交換が必要となる。また、
コロナ放電に伴って、不要なオゾンが発生する。 【0005】省エネルギーに関しては、感光体ヒータの
問題もある。近年使用される電子写真感光体は、耐刷枚
数の増大をはかるため表面硬度が高くなっており、繰り
返し使用に伴って、帯電器が発生するオゾンから派生さ
れたコロナ生成物の影響で感光体表面が湿度に敏感とな
り水分を吸着しやすくなる。この水分が感光体表面の電
化の横流れの原因となって、いわゆる画像流れといった
画像品質低下を引き起こす。 【0006】このような画像流れを防止するために、実
公平1−34205号公報に記載されているようなヒー
タによる加熱によって水分を除去する方法、特公平2−
38956号公報に記載されているようなマグネットロ
ーラと磁性トナーとで形成されたブラシにより感光体表
面を摺察してコロナ生成物を取り除く方法、特開昭61
−100780号公報に記載されているような弾性ロー
ラによる感光体表面の摺察でコロナ生成物を取り除く方
法等が用いられてきた。しかしながら、感光体表面を摺
察する方法は、感光体が極めて硬度の高いアモルファス
シリコンで構成されている場合を除き耐刷枚数の低下を
招いてしまう。 【0007】また、画像流れの原因となるオゾンは、画
像形成装置周囲で作業をする人にとって好ましいもので
はないため、従来からオゾン除去フィルタで分解して装
置本体外部に排出していた。特にパーソナルユースの場
合、排出オゾン量は極力低減しなければならない。この
ように経済面からも帯電時の発生オゾン量を大幅に低減
する方式が求められている。 【0008】こうした状況から、新たな帯電部材、帯電
装置、画像形成装置としての発生オゾン発生量低減帯電
装置、除湿装置が求められている。 2.帯電装置 前述の問題点を解決すべく、各種帯電装置が提案されて
いる。 【0009】特開昭63−208878号公報に記載さ
れているような、接触帯電は、電圧を印加した帯電部材
を被帯電体に当接させて被帯電面を所用の電位に帯電す
るもので、帯電装置として広く利用されているコロナ帯
電装置に比べ、第1に、被帯電面に所望の電位を得るの
に必要とされる印加電圧の低電圧化が図れること、第2
に、帯電過程で発生するオゾン量が極微量でありオゾン
除去フィルタの必要性がなくなること、そのため装置の
排気系の構成が簡素化されること、メンテナスフリーで
あること、第3に、帯電過程において発生したオゾンお
よびオゾン生成物が被帯電面である像担持体表面、例え
ば感光体表面に付着し、コロナ生成物の影響で感光体表
面が湿度に敏感となって水分を吸着し易くなり、表面の
低抵抗化による画像流れを防止するため、終日行われて
いる加熱ヒータによる除湿の必要性がなくなること、そ
のため夜間通電等の電力消費の大幅な低減が図れるこ
と、等の長所を有している。 【0010】そこで例えば、電子記録装置(複写機、レ
ーザビームプリンタ)、静電記録装置等の画像形成装置
において、感光体、誘電体等の像担持体、その他の被帯
電体を帯電処理する手段としてコロナ放電装置に代わる
ものとして注目され、実用化もされている。 【0011】従来、接触帯電手段としては、ブレード状
やシート状の固定式の帯電部材を被帯電体に当接させ、
これにバイアスを印加して帯電を行うものが周知であ
る。 【0012】図8にその一実施態様を示す。801は像
担持体としての感光ドラムであり、矢印Aの時計回りに
所定の周速度(プロセススピード)にて回転駆動される
ドラム型の電子写真感光体である。802は接触帯電部
材であり、電極802−1およびその帯電面に形成した
抵抗層802−2を備えている。 【0013】電極802−1は、通常アルミニウム、ア
ルミニウム合金、真鍮、銅、鉄、ステンレス等の金属
や、樹脂、セラミック等の絶縁材料に導電処理、すなわ
ち、金属をコーティングしたり、導電性塗料を塗布した
りしたものを用いる。 【0014】抵抗層802−2は、ポリプロピレン、ポ
リエチレン等の樹脂や、シリコンゴム、ウレタンゴム等
のエラストマーに、酸化チタン、炭素粉、金属粉等の導
電性フィラーを分散したものが一般的に用いられる。 【0015】該抵抗層802−2の抵抗値は、HIOK
I社(メーカ−)製のMΩテスターで0.25〜1kV
の印加電圧における測定にて、1×103 〜1×1012
Ω・cmとなる。 【0016】803は帯電部材に対する電圧印加電源で
あり、この電源803によって重畳電圧、すなわち感光
ドラム801の帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧
ppを有する振動電圧Vacと直流電圧Vdcとを重畳した
重畳電圧(Vac+Vdc)が帯電部材802の電極802
−1に印加されて、回転駆動されている感光ドラム80
1の表面(外周面)が均一に帯電される。 【0017】さらに、画像信号に応じて強度変調される
レーザビーム805が走査されることによって該感光ド
ラム801上に静電潜像が形成される。この静電潜像
は、現像剤が塗布された現像スリーブ806によって顕
画像化されてトナー画像となり、その後、転写材807
上に転写ローラ808を介して転写される。転写材80
7に転写されないで、感光ドラム801表面に残った転
写残トナーは、クリーニングブレード809によって除
去される。一方、トナー画像転写後の転写材807は、
不図示の定着装置によって表面にトナー画像が定着され
た後、装置本体外部に出力される。 【0018】しかしながらこの方式では、像担持体(感
光ドラム)と接触帯電部材とが直接に接触して、相互に
摩擦するため、長期の使用により接触帯電部材が摩耗
し、定期的な交換が必要となる。近年、画像形成装置に
広く用いられ始めたアモルファスシリコン感光体は半永
久的な寿命を有しており、接触帯電部材の交換は装置の
メンテナスフリーの障害となる問題であり、改善が強く
求められていた。 【0019】その解決策として、接触帯電部材のさまざ
まな改善といった進み方の他に、近接帯電とも言うべ
き、像担持体と帯電部材が非接触で像担持体に電荷を付
与する方式が提案されている。 【0020】図9にその一実施態様を示す。901は像
担持体である感光ドラムであり、矢印Aの時計回りに所
定の周速度(プロセススピード)にて回転駆動されるド
ラム型の電子写真感光体である。902は近接帯電部材
であり、電極902−1およびその帯電面に形成した抵
抗層902−2とからなる。 【0021】電極902−1は、通常アルミニウム、ア
ルミニウム合金、真鍮、銅、鉄、ステンレス等の金属
や、樹脂、セラミック等の絶縁材料に導電処理、すなわ
ち、金属をコーティングしたり、導電性塗料を塗布した
りしたものを用いる。 【0022】抵抗層902−2は、ポリプロピレン、ポ
リエチレン等の樹脂や、シリコンゴム、ウレタンゴム等
のエラストマーに、酸化チタン、炭素粉、金属粉等の導
電性フィラーを分散したものが一般的に用いられる。 【0023】該抵抗層902−2の抵抗値は、HIOK
I社(メーカー)製のMΩテスターで0.25〜1kV
の印加電圧における測定にて、1×103 〜1×1012
Ω・cmとなる。 【0024】感光ドラム901と接触帯電部材902と
の最近接間隙は50〜500μmと極めて近い距離に安
定的に設定される必要がある。このため、感光ドラム9
01の両端部にリング状のスペーサ904を介装し、こ
れに接触帯電部材902を当接させることにより、最近
接間隙を所定の値に設定するようにしている。 【0025】903は帯電部材902に対する電圧印加
電源であり、この電源903により感光ドラム901の
帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧Vppを有する振
動電圧Vacと直流電圧Vdcとを重畳した重畳電圧(Vac
+Vdc)が帯電部材902の電極902−1に印加され
て、回転駆動されている感光ドラム901の表面が均一
に帯電される。 【0026】さらに、画像信号に応じて強度変調される
レーザビーム905が走査されることによって該感光ド
ラム905上に静電潜像が形成される。この静電潜像
は、現像剤が塗布された現像スリーブ906によってト
ナー画像として顕像画化され、その後、トナー画像は、
転写材907上に転写ローラ908を介して転写され
る。転写残トナーは、クリーニングブレード909によ
って感光ドラム上から除去され、一方、転写材907
は、不図示の定着装置によってトナー画像が定着された
後、装置本体外部に排出される。 【0027】前述方式により、像担持体と接触帯電部材
とが非接触となり機械的摩耗等の耐久劣化に対して格段
の向上が図られた。 3.感光体 [有機光導電体(OPC)]電子写真感光体の光導電材
料として、近年種々の有機光導電材料の開発が進み、特
に電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型感光体
は既に実用化され複写機やレーザビームプリンタに搭載
されている。 【0028】しかしながら、これらの感光体は一般的に
耐久性が低いことが1つの大きな欠点であるとされてき
た。耐久性としては、感度、残留電位、帯電能、画像ぼ
け等の電子写真物性面の耐久性及び摺察による感光体表
面の摩耗や引っ掻き傷等の機械的耐久性に大別され、い
ずれも感光体の寿命を決定する大きな要因となってい
る。 【0029】このうち電子写真物性面の耐久性、特に画
像ぼけに関しては、コロナ帯電器から発生するオゾン、
NOx等の活性物質によって、感光体表面層に含有され
る電荷輸送物質が劣化することが原因であることが知ら
れている。 【0030】また、機械的耐久性に関しては、感光層に
対して紙、ブレードやローラ等のクリーニング部材、ト
ナー等が物理的に接触して摺察することが原因であるこ
とが知られている。 【0031】電子写真物性面の耐久性を向上させるため
には、オゾン、ONx等の活性物質によって劣化されに
くい電荷輸送物質を用いることが重要であり、酸化電位
の高い電荷輸送物質を選択することが知られている。ま
た、機械的耐久性を上げるためには、紙やクリーニング
部材による摺察に耐えるため、表面の潤滑性を上げ摩擦
を小さくすること、トナーのフィルミング融着等を防止
するために表面の離形成をよくすることが重要であり、
フッ素系樹脂粉体、フッ化黒鉛、ポリオレフィン系樹脂
粉体等の滑材を表面層に配合することが知られている。
しかしながら、摩耗が著しく小さくなるとオゾン、NO
x等の活性物質により生成した吸湿性物質が感光体表面
に堆積し、その結果として表面抵抗が下がり、表面電荷
が横方向に移動し、いわゆる画像流れを生ずるという問
題があった。 [アモルファスシリコン系感光体(a−Si)]電子写
真において、感光体における感光層を形成する光導電材
料としては、高感度で、SN比[光電流(IP )/暗電
流(Id )]が高く、照射する電磁波のスペクトル特性
に適合した吸収スペクトルを有すること、光応答性が早
く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体
に対して無害であること、等の特性が要求される。特
に、事務機としてオフィスで使用される画像形成装置内
に組み込まれる画像形成装置用感光体の場合には、上記
の、使用時における無公害性は重要な点である。 【0032】このような点に優れた性質を示す光導電材
料に水素化アモルファスシリコン(以下、「a−Si:
H」という)があり、例えば、特公昭60−35059
号公報には画像形成装置用感光体としての応用が記載さ
れている。 【0033】このような画像形成装置用感光体は、一般
的には、導電性支持体を50℃〜400℃に加熱し、該
支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ
ーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCV
D法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を形成
する。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガス
を直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によ
って分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法
が好適なものとして実用に付されている。 【0034】また、特開昭54−83746号公報にお
いては、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素とし
て含むa−Si(以下、「a−Si:X」という)光導
電層からなる画像形成装置用感光体が提案されている。
当該公報においては、a−Siにハロゲン原子を1ない
し40原子%含有させることにより、耐熱性が高く、画
像形成装置用感光体の光導電層として良好な電気的、光
学的特性を得ることができるとしている。 【0035】また、特開昭57−115556号公報に
は、a−Si堆積膜で構成された光導電層を有する光導
電部材の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光
学的、光導電的特性および耐湿性等の使用環境特性、さ
らには経時的安定性について改善を図るため、シリコン
原子を母体としたアモルファス材料で構成された光導電
層上に、シリコン原子および炭素原子を含む非光導電性
のアモルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技
術が記載されている。さらに、特開昭60−67951
号公報には、アモルファスシリコン、炭素、酸素および
フッ素を含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積
層する感光体についての技術が記載され、特開昭62−
168161号公報には、表面層として、シリコン原子
と炭素原子と41〜70原子%の水素原子を構成要素と
して含む非晶質材料を用いる技術が記載されている。 【0036】さらに、特開昭60−67951号公報に
は、アモルファスシリコン、炭素、酸素およびフッ素を
含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する感
光体についての技術が記載され、特開昭62−1681
61号公報には、表面層として、シリコン原子と炭素原
子と41−70原子%の水素原子を構成要素として含む
非晶質材料を用いる技術が記載されている。 【0037】さらに、特開昭57−158650号公報
には、水素を10〜40原子%含有し、赤外吸収スペク
トルの2100cm-1と2000cm-1の吸収ピークの吸収
係数比が0.2〜1.7であるa−Si:Hを光導電層
に用いることにより高感度で高抵抗な画像形成装置用感
光体が得られることが記載されている。 【0038】一方、特開昭60−95551号公報に
は、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のため
に、感光体表面近傍の温度を30〜40℃に維持して帯
電、露光、現像および転写といった画像形成行程を行う
ことにより、感光体表面での水分の吸着による表面抵抗
の低下とそれに伴って発生する画像流れを防止する技術
が開示されている。 【0039】これらの技術により、画像形成装置用感光
体の電気的、光学的、光導電的特性および使用環境特性
が向上し、それに伴って画像品質も向上してきた。 4.[環境対策ヒータ]前述感光体の高湿画像流れを防
止、除去するために、感光体内面に熱源を設けることが
周知であり、最も一般的なものは、面状ないし棒状の電
熱ヒータを円筒状感光体内面に配設している。 【0040】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な電圧印加式の固定系近接帯電装置を像担持体の帯電手
段として利用した場合の問題点として、以下の点が挙げ
られる。 【0041】像担持体と接触帯電部材の再近接間隙は5
0〜500μmと極めて近い距離に安定的に設定される
必要がある。像担持体は回転駆動しているのに対し、近
接帯電部材は固定系であるため、回転駆動に伴った間隔
の誤差が生じ易く、帯電むらの原因となっていた。この
帯電むらが、画像形成の際の画像濃度むらとして現われ
るという問題が生じる。 【0042】このため、従来は固定系近接帯電部材の両
端に固定タイプのスペーサが用いられていた。このスペ
ーサは摺動性の良いPOM等の材料でできてはいるもの
の、数万枚の耐久を行うと像担持体との摺察で固定タイ
プのスペーサもしくは感光層そのものが摺減ってしまい
像担持体と帯電部材との距離が正確に保たれなくなって
しまうという問題を抱えていた。 【0043】スペーサの耐久前後の様子を図16
(a)、(b)、(c)に示す。同図(a)に耐久前の
スペーサの状態を、図16(c)には耐久後のスペーサ
の状態を示す。これらの図からも明らかなように、耐久
後ではスペーサは摺減ってしまい像担持体と帯電部材と
の間隔が正確に取れなくなくなることがわかる。 【0044】さらに摺減が進行すると帯電部材が像担持
体表面に当たるようになり、像担持体表面に傷を発生さ
せた。 【0045】像担持体が有機感光ドラム(OPC)であ
る場合は感光ドラムそのものの摺減が、またアモルファ
スシリコン感光ドラム(a−Si)の場合はスペーサ自
身の摺減が問題となり、有機感光ドラム(OPC)より
耐久性のあるアモルファスシリコン感光ドラム(a−S
i)では、この問題はさらに深刻なものになっていた。 【0046】そこで、本発明は、上述の問題に鑑み、耐
久によっても、帯電部材と像担持体の間隔が変動しない
ようにした帯電装置および画像形成装置を提供すること
を目的とするものである。 【0047】 【課題を解決するための手段】本発明は、上述事情に鑑
みてなされたものであって、像担持体の被帯電面に近接
させて配置した帯電部材に振動電圧を印加することによ
って前記被帯電面を帯電する帯電装置を備えた画像形成
装置において、前記像担持体は、画像形成領域である前
記被帯電面の両端部に位置する非画像形成領域に、肉盛
りによって形成した段部を有し、前記帯電部材は、前記
被帯電面に非接触状態で近接して対面する帯電面を有す
るとともに、該帯電面の両端部を前記段部に当接させる
ことによって、前記被帯電面との間の間隙を所定の値に
設定することを特徴とする。 【0048】この場合、前記像担持体が、導電性支持体
と、シリコン原子を母体として水素原子とハロゲン原子
とのうちの少なくとも一方を含有する非結晶材料を含む
光導電層を有する光受容層とを備えた感光体であり、前
記光導電層が10〜30原子%の水素を含有し、少なく
とも光の入射する部分において、サブバンドギャップ光
吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギ
ーが50〜60meV、かつ局在状態密度が1×1014
〜1×1016cm-3であるようにしてもよい。 【0049】また、前記像担持体を、導電性支持体と、
高融点ポリエステル樹脂、および硬化樹脂を含む電子写
真感光体とすることができる。 【0050】さらに、前記像担持体の段部は、ゾルゲル
法により形成される金属酸化物を母体とするものであっ
てもよい。 【0051】次に、前記像担持体の段部は、前記被帯電
面の移動方向に沿って形成された溝部を有するようにし
てもよい。 【0052】次に、前記帯電部材は、前記帯電面に近接
する無機保護層を有し、該保護層がゾルゲル法により形
成される金属酸化物を母体とすることができる。 【0053】次に、前記帯電部材は、前記帯電面に近接
する無機保護層を有し、該無機保護層が水素化アモルフ
ァスシリコンを母体とするものであってもよい。 【0054】 【作用】以上構成に基づき、像担持体の被帯電面と帯電
部材の帯電面との間の間隙を設定する段部を、被帯電面
両端の非画像形成領域に肉盛りによって設けることによ
り、像担持体表面の移動に伴う間隔の変動が抑制され画
像濃度むらが解消される。 【0055】被帯電面両端の段部は、具体的には、ゾル
ゲル法による強固で、かつ、均一な金属酸化物皮膜を構
成することができる。 【0056】また、段差部分を金属酸化物を母体とする
材料で構成すると、熱変動による硬度の変化が少ない。
このため、押圧力に対する被帯電面−帯電面間の間隔の
変動が少なく像担持体に温度特性の良好なものの使用が
可能になり、さらなる高画質が望めるようになった。 【0057】また、上述の段部に、被帯電面の移動方向
に沿った溝部を形成することにより、摺察性を向上させ
ることができる。 【0058】さらに、帯電部材の無機保護層を、例えば
塗工、成膜、熔射等によって形成することにより、帯電
部材の耐久性の向上が図れ、帯電部材と像担持体との接
触による外傷も解消され、さらなる高耐久が実現でき
る。 【0059】 【実施例】以下、図面に沿って、本発明の実施例につい
て説明する。 〈実施例1〉 [像担持体の被帯電面両端の段部並びに帯電部材の抵抗
層の材料および塗工方法]図1(a)の帯電部材の側面
図、同図(b)の同じく正面図において、100は近接
帯電部材、101は近接帯電部材の支持体、102は近
接帯電部材の抵抗層、103は近接帯電部材と感光体と
の間隔を規制する段部、104は像担持体としての感光
体等の被帯電体である。 【0060】近接帯電部材の支持体101は、通常、ア
ルミニウム、アルミニウム合金、真鍮、銅、鉄、ステン
レス等の金属や、樹脂、セラミック等の絶縁材料に導電
処理、すなわち、金属をコーティングしたり、導電性塗
料を塗布したりしたものを用いる。近接帯電部材100
の抵抗層102は、無機抵抗層を塗工、成膜、または熔
射する。被帯電体(像担持体)104としては、従来の
ものと同じものでも良いが、必要に応じて後述する新規
な感光体を用いる。 [ゾルゲル]前述の問題点を解決するための「ゾルゲル
法」により形成される有機金属化合物としては、「金属
アルコキシド」と「金属キレート」等を挙げることがで
き、さらに、金属キレートとしては、アセチルアセトナ
ートが好ましい。 【0061】金属アルコキシドを含むゾル状高分子分散
液は、像担持体両端の画像形成に影響の無い部分(非画
像形成領域)、帯電部材の抵抗層に塗工され、次式、 M(OR)n +nH2 O→M(OH)n +nROH (MはSi、Al、Ti、Zr、Be等の金属、RはC
3 、C25 、C37 等のアルキル基、nは金属の
酸化数)の反応によって加水分解し、さらに、次式 M(OH)n →MOn /2+n/2Hn O のごとく縮重合し、溶液中に−M−O−M−O−の結合
ができた骨格を持つ酸化物微粒子が生成しゲル化する。
これを加熱し、強固な金属酸化物皮膜を得る。 【0062】一方、金属キレートを用いる方法として
は、アセチルアセトナート、水、アルコール、塩酸、お
よび導電材のゾル状高分子分散液混合液から金属酸化物
皮膜を得る方法があり、図17に示す式で示される。 【0063】ゾル状高分子分散液はスプレー塗工、ディ
ッピング塗工等、公知の塗工方法により、像担持体両端
の画像形成に影響の無い部分、帯電部材の抵抗層に塗工
される。さらに、均一な表面状態を形成させるのに有効
な手法として、ゾルゲル法において、チキソトロピーま
たはダイランシー等のレオロジー的性質を利用すること
が好ましい。 【0064】本発明の図13に示したようなディッピン
グ法においては前者のチキソトロピーを活用し、粘度の
低い状態でむらなく塗工した後、引き上げられ、溶液が
静止すると粘性が上昇し、今度は液ダレや凹部に入り込
んだ溶液がたれ落ちないような性質を利用する。 【0065】図12に、スプレー法による塗布手段を説
明する。 【0066】同図において、1201は像担持体、12
02は塗布液ポット、1203は保持部材、1204は
スプレーノズル、1205はゾル状高分子分散液、12
06は攪拌モータ、1207は保持部材回転モータであ
る。 【0067】同図において、攪拌モータ1206によ
り、塗布液ポット1202の中のゾル状高分子分散液1
205が攪拌されている。像担持体1201は保持部材
1203によりスプレーノズル1204の前に固定さ
れ、ゾル状高分子分散液1205が軸方向に往復動作す
るスプレーノズル1204から塗工され、像担持体12
01の両端部にゾル状高分子分散液塗布層を形成する。
これを加熱し、強固な金属酸化物皮膜を得る。 【0068】図13に、ディッピング法による塗布手段
を説明する。 【0069】同図において、1301は像担持体、13
02は塗布ポット、1303は保持部材、1304は突
き上げシリンダ、1305はゾル状高分子分散液、13
06は攪拌機、1307は攪拌モータである。 【0070】同図において、攪拌モータ1307により
攪拌機1306が回転し、塗布ポット1302の中のゾ
ル状高分子分散液1305が攪拌されている。像担持体
1301は保持部材1303により突き上げシリンダ1
304の上に固定され、ゾル状高分子分散液1305へ
端部を浸漬し、次に10〜1000mm/minの速度
で上昇させ像担持体1301の端部にゾル状高分子分散
液塗工層を形成する。これを加熱し、強固な金属酸化物
皮膜を得る。 【0071】本発明の図14に示したような紡糸巻き取
り法については後者のダイランシー特性を活用し、溶液
中に−M−O−M−O−の結合ができた骨格を持つ酸化
物微粒子が生成した粘度の高いゲル状紡糸を像担持体周
方向に配向させながら巻き付け、次いで静置することに
より粘度が低下し、膜厚むらの無い溶液膜が形成でき
る。 【0072】図14に、紡糸法による塗布手段を説明す
る。 【0073】同図において、1401は像担持体、14
02は塗布液ポット、1403は像担持体1401の保
持部材、1404は紡糸ノズル、1405はゾル状高分
子分散液、1406は攪拌モータ、1407は回転モー
タである。 【0074】同図において、攪拌モータ1406によ
り、塗布液ポット1402の中のゾル状高分子分散液1
405が攪拌されている。像担持体1401は保持部材
1403および回転モータ1407により紡糸ノゾル1
404の前で回転駆動され、ゾル状高分子分散液140
5が軸方向に所定の範囲だけ往復動作する紡糸ノゾル1
404から塗工され、像担持体1401の両端の表面に
ゾル状高分子分散液塗布層を形成する。これを加熱し、
強固な金属酸化物皮膜を得る。 【0075】膜厚については、像担持体と接触帯電部材
の最近接間隙に対応するため50〜500μmの範囲が
好ましく、さらには100〜300μmが好ましい。 [感光体」本発明に用いられる像担持体として、有機光
導電体(OPC)とアモルファスシリコン系感光体(a
−Si)があげられる。 [有機光導電体(OPC)]本発明に用いた好適な感光
体の一形態であるOPC感光体について以下に述べる。
図11(a)〜(e)は、本発明の画像形成装置用感光
体の層構成を説明するための模式的構成図である。 【0076】同図(e)に示す画像形成装置用OPC感
光体1100は、感光体用としての支持体1101の上
に、感光層(光導電層)1102が設けられている。該
感光層1102は電荷発生層1103、電荷輸送層11
04からなり、必要に応じて、保護層ないし表面層11
05、および支持体1101と電荷発生層1103の間
に中間層(不図示)を設けて構成されている。 【0077】本発明に用いられるOPC感光体、すなわ
ち表面層、光導電層、必要に応じて設けられる中間層、
特にその表面層は、前述の塗工加工の熱硬化時のヒータ
からの高温輻射熱に耐え、かつ軟化しないことが必要で
ある。本出願人らは、高融点ポリエステル樹脂と硬化樹
脂との混成がそれぞれの樹脂成分の特性を相乗的に作用
させあい、こうした条件を満足することを見いだした。 【0078】本発明の電子写真感光体の表面層、光導電
層、電荷輸送層および電荷発生層の形成に用いる樹脂成
分について説明する。 【0079】上述のポリエステルとは酸成分とアルコー
ル成分との結合ポリマーであり、ジカルボン酸と、グリ
コールとの縮合あるいはヒドロキシ安息香酸のヒドロキ
シ基とカルボキシ基とを有する化合物の縮合によって得
られる重合体である。 【0080】酸成分としてテレフタル酸、イソフタル
酸、ハンフタレンジカルホン酸等の芳香族ジカルボン
酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカル
ボン酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボ
ン酸等を用いることができる。 【0081】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメ
チロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等を使用することができる。 【0082】なお、前記ポリエステル樹脂が実質的に線
状である範囲でペンタエリスリトール、ロリメチロール
プロパン、ピロメリット酸およびこれらのエステル形成
誘導体等の多官能化合物を共重合させてもよい。 【0083】本発明に用いるポリエステル樹脂として
は、高融点ポリエステル樹脂を用いる。 【0084】高融点ポリエステル樹脂としては、オルソ
クロロフェノール中36℃で測定した極限粘度が0.4
d1/g以上、好ましくは0.5d1/g以上、さらに
好ましくは0.65d1/g以上のものが用いられる。 【0085】好ましい高融点ポリエステル樹脂として
は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂が挙げられ
る。ポリアルキレンテレフタレート系樹脂は酸成分とし
て、テレフタール酸、グリコール成分として、アルキレ
ングリコールから主としてなるものである。 【0086】その具体例としては、テレフタル酸成分と
エチレングリコール成分とから主としてなるポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、テレフタル酸成分と1,
4−テトラメチレングリコール(1,4−ブチレングリ
コール)成分とから主としてなるポリブチレンテレフタ
レート(PBT)、テフタル酸成分とシクロヘキサンジ
メチロール成分とから主としてなるポリシクロヘキシル
ジメチレンテレフタレート(PCT)等をあげることが
できる。他の好ましい高分子量ポリエステル樹脂として
は、ポリアルキレンナフタレート系樹脂を例示できる。
ポリアルキレンナフタレート系樹脂は酸成分としてナフ
タレンジカルボン酸成分とグリコール成分としてアルキ
レングリコール成分とから主としてなるものであって、
その具体例としては、ナフタレンジカルボン酸成分とエ
チレングリコール成分とから主としてなるポリエチレン
ナフタレート(PEN)等を挙げることができる。 【0087】高融点ポリエステル樹脂としては、その融
点が好ましくは160℃以上、特に好ましくは200℃
以上のものである。 【0088】高融点ポリエステル樹脂は、高融点である
がゆえに結晶性が高い。 【0089】この結果、硬化樹脂ポリマー鎖と高融点ポ
リマー鎖との相互の絡み合いが均一かつ密になって、高
耐久性の表面層を形成できるものと考えられる。低融点
ポリエステル樹脂の場合には、結晶性が低いので、硬化
樹脂ポリマー鎖との絡み合いの程度が大きいところと小
さいところとが生じ、耐久性が劣るものと考えられる。 [アモルファスシリコン系感光体(a−Si)]本発明
に用いた好適な感光体の一形態であるアモルファスシリ
コン感光体について以下に述べる。 【0090】アモルファスシリコン感光体の光導電層の
キャリアの挙動に着目し、バンドギャップ内の局在状態
分布と帯電能の温度依存性や光メモリとの関係について
鋭意検討した結果、光導電層の少なくとも光の入射する
部分において、局在状態密度を一定範囲に制御すること
により上記目的を達成できるという知見を得た。すなわ
ち、シリコン原子を母体とし、水素原子および/または
ハロゲン原子(水素原子とハロゲン原子とのうちのうち
の少なくとも一方)を含有する非単結晶材料で構成され
た光導電層を有する感光体において、その層構造を特定
化するように設計されて作製された感光体は、実用上著
しく優れた特性を示すばかりでなく、従来の感光体と比
べてみてもあらゆる点において凌駕していること、特に
画像形成装置用の感光体として優れた特性を有している
ことを見出した。 【0091】本発明の画像形成装置用感光体は、導電性
支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料から
なる光導電層を有する感光層とから構成され、光導電層
は10〜30原子%の水素を含み、光吸収スペクトルの
指数関数裾(アーバックテイル)の特性エネルギーが5
0〜60meVであって、かつ局在状態密度が1×10
14〜1×1016cm-3であることを特徴としている。 【0092】上記したような構成をとるように設計され
た本発明の画像形成装置用感光体は、極めて優れた電気
的、光学的、光導電的特性、画像品質、耐久性および使
用環境特性を示す。 【0093】一般的に、a−Si:Hのバンドギャップ
内には、Si−Si結合の構造的な乱れに基づくテイル
(裾)準位と、Siの未結合手(ダングリングボンド)
等の構造欠陥に起因する深い準位が存在する。これらの
準位は電子、正孔の捕獲、再結合中心として働き素子の
特性を低下させる原因になることが知られている。 【0094】このようなバンドギャップ中の局在準位の
状態を測定する方法として、一般に深準位分光法、等温
容量過渡分光法、光熱偏向分光法、一定光電流法等が用
いられている。中でも一定光電流法(Constant
PhotocurrentMethod、以下「CP
M」という)は、a−Si:Hの局在準位に基づくサブ
ギャップ光吸収スペクトルを簡便に測定する方法として
有用である。 【0095】本出願人らは、CPMによって測定された
光吸収スペクトルから求められる指数関数裾(アーバッ
クテイル)の特性エネルギ(以下「Eu」という)や局
在状態密度(以下「DOS」という)と感光体特性との
相関を種々の条件にわって調べた結果、EuおよびDO
Sがa−Si感光体の温度特性や光メモリと密接な関係
にあることを見いだし、本発明を完成するに至った。 【0096】ドラムヒータ等で感光体を加熱したときに
帯電能が低下する原因として、熱励起されたキャリアが
帯電時の電界に引かれてバンド裾の局在準位やバンドギ
ャップ内の深い局在準位への捕獲、放出を繰り返しなが
ら表面に走行し、表面電荷を打ち消してしまうことが挙
げられる。このとき、帯電器を通過する間に表面に到達
したキャリアについては帯電能の低下にはほとんど影響
がないが、深い準位に捕獲されたキャリアは、帯電器を
通過した後に表面へ到達して表面電荷を打ち消すために
温度特性として観測される。また、帯電器を通過した後
に熱励起されたキャリアも表面電荷を打ち消し帯電能の
低下を引き起こす。したがって、感光体の使用温度領域
における熱励起キャリアの生成を抑え、なおかつキャリ
アの走行性を向上させることが温度特性の向上のために
必要である。 【0097】さらに、光メモリはブランク露光や像露光
によって生じた光キャリアがバンドギャップ内の局在準
位に捕獲され、光導電層内にキャリアが残留することに
よって生じる。すなわち、ある複写行程において生じた
光キャリアのうち光導電層内に残留したキャリアが、次
回の帯電時あるいはそれ以降に表面電荷による電界によ
って掃き出され、光の照射された部分の電位が他の部分
よりも低くなり、その結果画像上に濃淡が生じる。した
がって、光キャリアが光導電層内に残留することなく、
1回の複写行程で走行するように、キャリアの走行性を
改善しなければならない。 【0098】したがって、本発明のごとくEuおよび特
定のエネルギ範囲のDOSを制御することにより、熱励
起キャリアの生成が抑えられ、なおかつ熱励起キャリア
や光キャリアが局在準位に捕獲される割合を小さくする
ことができるために、キャリアの走行性が著しく改善さ
れる。その結果、感光体の使用温度領域での温度特性が
飛躍的に改善され、同時に光メモリの発生を抑制するこ
とができるために、感光体の使用環境に対する安定性が
向上し、ハーフトーンが鮮明に出てかつ解像力の高い高
品質の画像を安定して得ることができる。 【0099】以下、図面に従って本発明の光導電部材に
ついて詳細に説明する。 【0100】図11(a)〜(e)は、本発明の画像形
成装置用感光体の層構成を説明するための模式的構成図
である。 【0101】図11(a)に示す画像形成装置用感光体
1100は、感光体用としての支持体1101の上に、
感光層1102が設けられている。該感光層1102は
a−Si:H、Xからなり光導電性を有する光導電層1
103で構成されている。 【0102】図11(b)は、本発明の画像形成装置用
感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図であ
る。同図に示す画像形成装置用感光体1100は、感光
体用としての支持体1101の上に感光層1102が設
けられている。該感光層1102はa−Si:H、Xか
らなり光導電性を有する光導電層1103と、アモルフ
ァスシリコン系表面層1104とから構成されている。 【0103】図11(c)は、本発明の画像形成装置用
感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図であ
る。同図に示す画像形成装置用感光体1100は、感光
体用としての支持体1101の上に、感光層1102が
設けられている。該感光層1102は、a−Si:H、
Xからなり光導電性を有する光導電層1103とアモル
ファスシリコン系表面層1104と、アモルファスシリ
コン系電荷注入阻止層1105から構成されている。 【0104】図11(d)は、本発明の画像形成装置用
感光体のさらに他の層構成を説明するための模式的構成
図である。同図に示す画像形成装置用感光体1100
は、感光体用としての支持体1101の上に、感光層1
102が設けられている。該感光層1102は光導電層
1103を構成するa−Si:H、Xからなる電荷発生
層1106ならびに電荷輸送層1107と、アモルファ
スシリコン系表面層1104とから構成されている。 [支持体]本発明において使用される支持体としては、
導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体と
してはAl、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、
V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの
合金、例えば、ステンレス等が挙げられる。また、ポリ
エステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロー
スアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
スチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシ
ート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少な
くとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体
も用いることができる。 【0105】本発明において使用される支持体1101
の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状
無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通り
の画像形成装置用感光体1100を形成し得るように適
宜決定するが、画像形成装置用感光体1100としての
可撓性が要求される場合には、支持体1101としての
機能が十分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすること
ができる。しかしながら、支持体1101は製造上およ
び取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以
上とされる。 【0106】特にレーザ光などの可干渉性光を用いて像
記録を行う場合には、可視画像において現われる、いわ
ゆる干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する
ために、支持体1101の表面に凹凸を設けてもよい。
支持体1101の表面に設けられる凹凸は、特開昭60
−169156号公報、同60−178457号公報、
同60−225854号公報等に記載された公知の方法
により形成される。 【0107】また、レーザ光などの可干渉光を用いた場
合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する
別の方法として、支持体1101の表面に複数の球状痕
跡窪みによる凹凸形状を設けてもよい。すなわち、支持
体1101の表面が画像形成装置用感光体1100に要
求される解像力よりも微小な凹凸を有し、しかも該凹凸
は、複数の球状痕跡窪みによるものである。支持体11
01の表面に設けられる複数の球状痕跡窪みによる凹凸
は、特開昭61−231561号公報に記載された公知
の方法により形成される。 [光導電層]本発明において、その目的を効果的に達成
するために支持体1101上に形成され、感光層110
2の一部を構成する光導電層1103は真空堆積膜形成
方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラ
メータの数値条件が設定されて作成される。具体的に
は、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CV
D法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、
あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真
空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱C
VD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することが
できる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投
資下の負荷程度、製造規模、作製される画像形成装置用
感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択され
て採用されるが、所望の特性を有する画像形成装置用感
光体を製造するに当たっての条件の制御が比較的容易で
あることからしてグロー放電法、特にRF帯またはVH
F帯の電源周波数を用いた高周波グロー放電法が好適で
ある。 【0108】グロー放電法によって光導電層1103を
形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給
し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給
し得るH供給用の原料ガスまたは/およびハロゲン原子
(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧
にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反
応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位
置に設置されてある所定の支持体1101上にa−S
i:H、Xからなる層を形成すればよい。 【0109】また、本発明において光導電層1103中
に水素原子または/およびハロゲン原子が含有されるこ
とが必要である。これはシリコン原子の未結合手を補償
し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を
向上させるために必須不可欠であるからである。よっ
て、水素原子またはハロゲン電子の含有量、または水素
原子とハロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子
または/およびハロゲン原子の和に対して10〜30原
子%、より好ましくは15〜25原子%とされるのが望
ましい。 【0110】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4、Si26 、Si3
8 、Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、さらに層作製時の取り扱い易さ、Si供給
効率の良さ等の点でSiH4 、Si26 が好ましいも
のとして挙げられる。 【0111】そして、形成される光導電層1103中に
水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御
が一層容易になるように図り、本発明の目的を達成する
膜特性を得るために、これらのガスにさらにH2 および
/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガス
も所望量混合して層形成することが必要である。また、
各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合し
ても差し支えないものである。 【0112】また、本発明において使用されるハロゲン
原子供給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合
物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のま
たはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げれられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明において好適に使用し得るセルハロ
ゲン化合物としては、具体的にはフッ素ガス(F2 )、
BrF、C1F、C1F3 、BrF3 、BrF5 、IF
3 、IF7 等のハロゲン間化合物を挙げることができ
る。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン
原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、
例えばSiF4 、Si26 等のフッ化珪素が好ましい
ものとして挙げることができる。 【0113】光導電層1103中に含有される水素原子
または/およびハロゲン原子の量を制御するには、例え
ば、支持体1101の温度、水素原子または/およびハ
ロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反
応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。 【0114】本発明においては、光導電層1103には
必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが
好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層1103
中に万遍なく均一に分布した状態で含有されてもよい
し、あるいは層厚方向に不均一な分布状態で含有してい
る部分があってもよい。 【0115】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、
p型伝導性を与える周期律表III b族に属する原子(以
下「第III b族原子」という)またはn型伝導性特性を
与える周期律表Vb族に属する原子(以下「第Vb族原
子」という)を用いることができる。 【0116】第III b族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(A1)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(T1)等があり、特に
B、A1、Gaが好適である。第Vb族原子としては、
具体的に燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。 【0117】光導電層1103に含有される伝導性を制
御する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2
1×104 原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5
×103 原子ppm、最適には1×10-1〜1×103
原子ppmとされるのが望ましい。 【0118】伝導性を制御する原子、例えば、第III b
族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、
層形成の際に、第III b族原子導入用の原料物質あるい
は第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器
中に、光導電層1103を形成するための他のガスとと
もに導入してやればよい。第III b族原子導入用の原料
物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質となり得る
ものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも
層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるの
が望ましい。 【0119】そのような第III b族原子導入用の原料物
質として具体的には、硼素原子導入用としては、B2
6 、B410、B59 、B511、B610等の水素
化硼素、BF3 、BCl3 、BBr3 等のハロゲン化硼
素等が挙げられる。 【0120】第Vb族原子導入用の原料物質としては有
効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3
24 等の水素化燐、PF3 、PF5 、PCl3 、P
Cl5 、PBr3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この
他、AsH3 、AsF3 、AsCl3 、AsF5 、Sb
3 、SbF5 等も第Vb族原子導入用の出発物質の有
効なものとして挙げることができる。 【0121】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 および/またはHeに
より希釈して使用してもよい。 【0122】さらに本発明においては、光導電層110
3に炭素元素および/または酸素原子および/または窒
素原子を含有させることも有効である。炭素原子および
/または酸素原子および/または窒素原子の含有量はシ
リコン原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子の和に
対して好ましくは1×10-5〜10原子%、より好まし
くは1×10-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原
子%が望ましい。炭素原子および/または酸素原子およ
び/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含
有されてもよいし、光導電層の層厚方向に含有量が変化
するような不均一な分布をもたせた部分があってもよ
い。 【0123】本発明においては、光導電層1103の層
厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効
果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましく
は20〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最
適には25〜40μmとされるのが望ましい。 【0124】本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有
する光導電層1103を形成するにはSi供給用のガス
と希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力
ならびに支持体温度を適宜設定することが必要である。 【0125】希釈ガスとして使用するH2 および/また
はHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選
択されるが、Si供給用のガスに対しH2 および/また
はHeを、通常の場合3〜20倍、好ましくは4〜15
倍、最適には5〜10倍の範囲に制御することが望まし
い。 【0126】反応容器内のガス圧も同様に層設定にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×1
-4〜10Torr、好ましくは5×10-4〜5Tor
r、最適には1×10-3〜1Torrとするのが好まし
い。 【0127】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力を、通常の場合2〜7倍、好ましくは
2.5〜6倍、最適には3〜5倍の範囲に設定すること
が望ましい。 【0128】さらに、支持体1101の温度は、層設計
にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場
合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは23
0〜330℃、最適には250〜310℃とするのが望
ましい。 【0129】本発明においては、光導電層を形成するた
めの支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記
した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に
決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を
形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を
決めるのが望ましい。 [表面層]本発明においては、上述のようにして支持体
1101上に形成された光導電層1103の上に、さら
にアモルファスシリコン系の表面層1104を形成する
ことが好ましい。この表面層1104は自由表面110
6a(図11(b)参照)を有し、主に耐湿性、連続繰
り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性
において本発明の目的を達成するために設けられる。 【0130】また、本発明においては、感光層1102
を構成する光導電層1103と表面層1104とを形成
する非晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成
要素を有しているので、積層界面において化学的な安定
性の確保が十分なされている。 【0131】表面層1104は、アモルファスシリコン
系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、例え
ば、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)
を含有し、さらに炭素原子を含有するアモルファスシリ
コン(以下「a−SiC:H、X」をという)、水素原
子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、
さらに酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下
「a−SiO:H、X」という)、水素原子(H)およ
び/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに窒素原
子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−Si
N:H、X」という)、水素原子(H)および/または
ハロゲン原子(X)を含有し、さらに炭素原子、酸素原
子、窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルファス
シリコン(以下「a−Si(C、O、N):H、X」と
いう)等の材料が好適に用いられる。 【0132】本発明において、その目的を効果的に達成
するために、表面層1104は真空堆積膜形成方法によ
って、所望特性が得られるように適宜成膜パラメータの
数値条件が設定されて作製される。具体的には、例えば
グロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法または
マイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直
流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、
イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法など
の数々の薄膜堆積法によって形成することができる。こ
れらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷
程度、製造規模、作製される画像形成装置用感光体に所
望される特性等の要因によって適宜選択されて採用され
るが、感光体の生産性から光導電層と同等の堆積法によ
ることが好ましい。 【0133】例えば、グロー放電法によってa−Si
C:H、Xよりなる表面層1104を形成するには、基
本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用
の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の
原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原
料ガスまたは/およびハロゲン原子(X)を供給し得る
X供給用の原料ガスを、内部を減圧し得る反応容器内に
所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電
を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電
層1103を形成した支持体1101上にa−SiC:
H、Xからなる層を形成すればよい。 【0134】本発明においては用いる表面層の材質とし
てはシリコンを含有するアモルファス材料ならばいずれ
でもよいが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少な
くとも1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特
にa−SiCを主成分としたものが好ましい。 【0135】表面層をa−SiCを主成分として構成す
る場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対し
て30%から90%の範囲が好ましい。 【0136】また、本発明において表面層1104中に
水素原子または/ハロゲン原子が含有されることが必要
であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層
品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向
上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成
原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適
には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とす
るのが望ましい。また、フッ素原子の含有量として、通
常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜1
0原子%、最適には0.6〜4原子%とされるのが望ま
しい。 【0137】これらの水素および/またはフッ素含有量
の範囲内で形成される感光体は、実際面において従来に
ない格段に優れたものとして充分適用され得るものであ
る。すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリコン
原子や炭素原子のダングリングボンド)は画像形成装置
用感光体としての特性に悪影響を及ぼすことが知られて
いる。例えば、自由表面からの電荷の注入による帯電特
性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造
が変化することによる帯電特性の変動、さらにコロナ帯
電時や光照射時に光導電層により表面層に電荷が注入さ
れ、前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることに
より繰り返し使用時の残像現象の発生等がこの悪影響と
して挙げられる。 【0138】しかしながら、表面層内の水素含有量を3
0原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に
減少し、その結果、従来に比べて電気的特性面および高
速連続使用性において飛躍的な向上を図ることができ
る。 【0139】一方、前記表面層中の水素含有量が71原
子%以上になると表面層の硬度が低下するために、繰り
返し使用に耐えられなくなる。したがって、表面層中の
水素含有量を前記の範囲内に制御することが格段に優れ
た所望の電子特性を得る上で非常に重要な因子の一つで
ある。表面層中の水素現有量は、H2 ガスの流量、支持
体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。 【0140】また、表面層中のフッ素含有量を0.01
原子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン
原子と炭素原子との結合の発生をより効果的に達成する
ことが可能となる。さらに、表面層中のフッ素原子の働
きとして、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭
素原子との結合の切断を効果的に防止することができ
る。 【0141】一方、表面層中のフッ素含有量が15原子
%を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合
の発生の効果およびコロナ等のダメージによるシリコン
原子と炭素原子との結合の切断を防止する効果がほとん
ど認められなくなる。さらに、過剰のフッ素原子が表面
層中のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画
像メモリが顕著に認められてくる。 【0142】したがって、表面層中のフッ素含有量を前
記範囲内に制御することが所望の電子写真特性を得る上
で重要な因子の一つである。表面層中のフッ素含有量
は、水素含有量と同様にH2 ガスの流量、支持体温度、
放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。 【0143】本発明の表面層の形成において使用される
シリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、
SiH4 、Si26 、Si38 、Si410等のガ
ス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)
が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層作製
時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH
4 、Si26 が好ましいものとして挙げられる。ま
た、こられらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH
2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用して
もよい。 【0144】炭素供給ガスとなり得る物質としてはCH
4 、C26 、C38 、C410等のガス状態の、ま
たはガス化し得る炭素水素が有効に使用されるものとし
て挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、C供給効
率の良さ等の点でCH4 、C26 が好ましいものとし
て挙げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必
要に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈
して使用してもよい。 【0145】窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質
としては、NH3 、NO、N2 O、NO2 、H2 O、O
2 、CO、CO2 、N2 等のガス状態の、またはガス化
し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げられ
る。また、これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要
に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈し
て使用してもよい。 【0146】また、形成される表面層1104中に導入
される水素原子の導入割合の制御を一層容易になるよう
に図るために、これらのガスにさらに水素ガスまたは水
素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成
することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく
所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものであ
る。 【0147】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲン
を含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン
誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物
が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子と
ハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化
し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効な
ものとして挙げることができる。本発明において好適に
使用し得るハロゲン化合物としては、具体的にはフッ素
ガス(F2 )、BrF、ClF、ClF3 、BrF3
BrF5 、IF3 、IF7 等のハロゲン間化合物を挙げ
ることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわ
ゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、
具体的には、例えば、SiF4 、Si26 等のふっ化
珪素が好ましいものとして挙げることができる。 【0148】表面層1104中に含有される水素原子ま
たは/およびハロゲン原子の量を制御するには、例え
ば、支持体1101の温度、水素原子または/およびハ
ロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反
応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。 【0149】炭素原子および/または酸素原子および/
または窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有され
てもよいし、表面層の層厚方向に含有量が変化するよう
な不均一な分布をもたせた部分があっても良い。 【0150】さらに、本発明においては、表面層110
4には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させる
ことが好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層11
04中に万遍なく均一に分布した状態で含有されてもよ
いし、あるいは層厚方向に不均一な分布した状態で含有
している部分があってもよい。 【0151】前記の伝導性を制御する原子としては、前
述の半導体分野における、いわゆる不純物を挙げること
ができる。 【0152】表面層104に含有される伝導性を制御す
る原子の含有量としては、好ましくは1×10-3〜1×
103 原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×1
2原子ppm、最適には1×10-1〜1×102 原子
ppmとされるのが望ましい。 【0153】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。 【0154】本発明における表面層1104の層厚とし
ては、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μ
m、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいもの
である。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体を使用
中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μ
mを超えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下が
みられる。 【0155】本発明による表面層1104は、その要求
される特性が所望通りに与えられるように注意深く形成
される。すなわち、Si、Cおよび/またはNおよび/
またはO、Hおよび/またはXを構成要素とする物質は
その形成条件によって構造的には結晶からアモルファス
までの形態を取り、電気物性的には導電性から半導体
性、絶縁性までの間の性質を、また、光導電的性質から
非導電的性質までの間の性質を各々示すので、本発明に
おいては、目的に応じた所望の特性を有する化合物が形
成されるように、所望に従ってその形成条件の選択が厳
密になされる。 【0156】例えば、表面層1104を耐圧性の向上を
主な目的として設けるには、使用環境において電気絶縁
性的挙動の顕著な非単結晶材料として作製される。 【0157】また、連続繰り返し使用特性や使用環境特
性の向上を主たる目的として表面層1104が設けられ
る場合には、上記の電気絶縁性の度合いはある程度緩和
され、照射される光に対してある程度の感度を有する非
単結晶材料として形成される。 【0158】本発明の目的を達成し得る特性を有する表
面層1104を形成するには、支持体1101の温度、
反応容器内のガス圧を所望に従って、適宜設定する必要
がある。 【0159】支持体1101の温度(Ts)は、層設計
に従って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好
ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜3
30℃、最適には250〜300℃とするのが望まし
い。 【0160】反応容器内のガス圧も同様に層設計に従っ
て適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましく
は1×10-4〜10Torr、より好ましくは5×10
-4〜5Torr、最適には1×10-3〜1Torrとす
るのが好ましい。 【0161】本発明においては、表面層を形成するため
の支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記し
た範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決
められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形
成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を決
めるのが望ましい。 【0162】さらに、本発明においては、光導電層と表
面層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を
表面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設
けることも帯電能等の特性をさらに向上させるためには
有効である。 【0163】また、表面層1104と光導電層1103
との間に炭素原子および/または酸素原子および/また
は窒素原子の含有量が光導電層1103に向かって減少
するように変化する領域を設けてもよい。これにより表
面層と光導電層の密着性を向上させ、界面での光の反射
による干渉の影響をより少なくすることができる。 [電荷注入阻止層]本発明の画像形成装置用感光体にお
いては、導電性支持体と光導電層との間に、導電性支持
体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻
止層を設けるのが一層効果的である。すなわち、電荷注
入阻止層は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面
に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入され
るのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受け
た際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性
依存性を有している。そのような機能を付与するため
に、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電
層に比べ比較的多く含有させる。 【0164】該層に含有される伝導性を制御する原子
は、該層中に万遍なく均一に分布されてもよいし、ある
いは層厚方向に万遍なく含有されてはいるが、不均一に
分布する状態で含有している部分があってもよい。分布
濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するよう
に含有させるのが好適である。 【0165】しかしながら、いずれの場合にも支持体の
表面と平行面内方向においては、均一な分布で万遍なく
含有されることが面内方向における特性の均一化を図る
点からも必要である。 【0166】電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御
する原子としては、前述の半導体分野における、いわゆ
る不純物を挙げることができる。 【0167】本発明において電荷注入阻止層中に含有さ
れる伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の
目的が効果的に達成できるように所望のしたがって適宜
決定されるが、好ましくは10〜1×104 原子pp
m、より好適には50〜5×103 原子ppm、最適に
は1×102 〜1×103 原子ppmとされるのが望ま
しい。 【0168】さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、
窒素原子および酸素原子の少なくとも一種を含有させる
ことによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けら
れる他の層との間の密着性の向上をより一層図ることが
できる。 【0169】該層に含有される炭素原子または窒素原子
または酸素原子は該層中に万遍なく均一に分布されても
よいし、あるいは層厚方向には万遍なく含有されてはい
るが、不均一に分布する状態で含有している部分があっ
てもよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表
面と平行面内方向においては、均一な分布で万遍なく含
有されることが面内方向における特性の均一化を図る点
からも必要である。 【0170】本発明における電荷注入阻止層の全層領域
に含有される炭素原子および/または窒素原子および/
または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的には
達成されるように適宜決定されるが、一種の場合はその
量として、二種以上の場合はその総和として、好ましく
は1×10-3〜50原子%、より好適には5×10-3
30原子%、最適には1×10-2〜10原子%とされる
のが望ましい。 【0171】また、本発明における電荷注入阻止層に含
有される水素原子および/またはハロゲン原子は層内に
存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。
電荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるい
は水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1
〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適には
10〜30原子%とするのが望ましい。 【0172】本発明においては、電荷注入阻止層の層厚
は所望の電子写真特性が得られること、および経済的効
果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好ましく
は0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるの
が望ましい。 【0173】本発明においては電荷注入阻止層を形成す
るには、前述の光導電層を形成する方法と同様の真空堆
積法が採用される。 【0174】本発明の目的を達成し得る特性を有する電
荷注入阻止層1105を形成するには、光導電層110
3と同様に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、
反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体1101
の温度を適宜設定することが必要である。 【0175】希釈ガスであるH2 および/またはHeの
流量は、層設計に従って適宜最適範囲が選択されるが、
Si供給用ガスに対しH2 および/またはHeを、通常
の場合1〜20倍、好ましくは3〜15倍、最適には5
〜10倍の範囲に制御することが望ましい。 【0176】反応容器内のガス圧も同様に層設計に従っ
て適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×10-4
〜10Torr、好ましくは5×10-4〜5Torr、
最適には1×10-3〜1Torrとするのが好ましい。 【0177】放電電力もまた同様に層設計に従って適宜
最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対
する放電電力を、通常の場合1〜7倍、好ましくは2〜
6倍、最適には3〜5倍の範囲に設定することが望まし
い。 【0178】さらに、支持体1101の温度は、層設計
に従って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好
ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜3
30℃、最適には250〜300℃とするのが望まし
い。 【0179】本発明においては、電荷注入阻止層を形成
するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持
体温度の望ましい数値範囲としては前記した範囲が挙げ
られるが、これらの層作製ファクターは通常は独立的に
別々に決められるものではなく、所望の特性を有する表
面層を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて各
層作製ファクターの最適値を決めるのが望ましい。 【0180】このほかに、本発明の画像形成装置用感光
体においては、感光層1102の前記支持体1101側
に、少なくともアルミニウム原子、シリコン原子、水素
原子または/およびハロゲン原子が層厚方向に不均一な
分布状態で含有される層領域を有することが望ましい。 【0181】また、本発明の画像形成装置用感光体にお
いては、支持体1101と光導電層1103あるいは電
荷注入阻止層1105との間の密着性の一層の向上を図
る目的で、例えば、Si34 、SiO2 、SiO、あ
るいはシリコン原子を母体とし、水素原子および/また
はハロゲン原子と、炭素原子および/または酸素原子お
よび/または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成され
る密着層を設けてもよい。さらに、支持体からの反射光
による干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設け
てもよい。 【0182】次に、感光層を形成するための装置および
膜形成方法について詳述する。 【0183】図2は、電源周波数としてRF帯を用いた
高周波プラズマCVD法(以後「RF−PCVD」とい
う)による画像形成装置用感光体の製造装置の一例を示
す模式的な構成図である。同図に示す製造装置の構成は
以下の通りである。 【0184】この装置は大別すると、堆積装置210
0、原料ガスの供給装置2200、反応容器2111内
を減圧にするための排気装置(不図示)から構成されて
いる。堆積装置2100中の反応容器2111内には円
筒状支持体2112、支持体加熱用ヒータ2113、原
料ガス導入管2114が設置され、さらに高周波マッチ
ングボックス2115が接続されている。 【0185】原料ガス供給装置2200は、SiH4
GeH4 、H2 、CH4 、B26、PH3 等の原料ガ
スのボンベ2221〜2226とバルブ2231〜22
36、2241〜2246、2251〜2256、およ
びマスフローコントローラ2211〜2216から構成
され、各原料ガスのボンベはバルブ2260を介して反
応容器2111内のガス導入管2114に接続されてい
る。 【0186】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行うことができる。 【0187】まず、反応容器2111内に円筒状支持体
2112を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポン
プ)により反応容器2111内を排気する。続いて、支
持体加熱用ヒータ2113により円筒状支持体2112
の温度を200℃ないし350℃の所定の温度に制御す
る。 【0188】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器211
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ2231〜2
236、反応容器のリークバルブ2117が閉じられて
いることを確認し、また、流入バルブ2241〜224
6、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ226
0が開かれていることを確認して、まずメインバルブ2
118を開いて反応容器2111およびガス配管211
6内を排気する。 【0189】次に真空計2119の読みが約5×10-6
Torrになった時点で補助バルブ2260、流出バル
ブ2251〜2256を閉じる。 【0190】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガスをバルブ2231〜2236を開いて導入し、
圧力調整器2261〜2266により各ガス圧を2kg
/cm2 に調整する。次に、流入バルブ2241〜224
6を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ2
211〜2216内に導入する。 【0191】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。 【0192】円筒状支持体2112が所定の温度になっ
たところで流出バルブ2251〜2256のうちの必要
なものおよび補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボ
ンベ2221〜2226から所定のガスをガス導入管2
114を介して反応容器2111内に導入する。次にマ
スフローコントローラ2211〜2216によって各原
料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反
応容器2111内の圧力が1Torr以下の所定の圧力
になるように真空計2119を見ながらメインバルブ2
118の開口を調整する。内圧が安定したところで、周
波数13.56MHzのRF電源(不図示)を所望の電
力に設定して、高周波マッチングボックス2115を通
じて反応容器2111内にRF電力を導入し、グロー放
電を生起させる。この放電エネルギによって反応容器内
に導入された原料ガスが分解され、円筒状支持体211
2上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成され
るところとなる。所望の膜厚の形成が行われた後、RF
電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器211
1へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。 【0193】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の感光層が形成される。 【0194】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることはいうま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器2111
内、流出バルブ2251〜2256から反応容器211
1に至る配管内に残留することを避けるために、流出バ
ルブ2251〜2256を閉じ、補助バルブ2260を
開き、さらにメインバルブ2118を全開して系内を一
旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。 【0195】また、膜形成の均一化を図るために、層形
成を行っている間は、支持体2112を駆動装置(不図
示)によって所定の速度で回転させることも有効であ
る。 【0196】さらに、上述のガス種およびバルブ操作は
各々の層の作製条件にしたがって変更が加えられること
はいうまでもない。 【0197】次に、電源にVHF帯の周波数を用いた高
周波プラズマCVD(以下「VHF−PCVD」とい
う)法によって形成される画像形成装置用感光体の製造
方法について説明する。 【0198】図2に示した製造装置におけるRF−PC
VD法による堆積装置2100を、図3に示す堆積装置
3100に交換して原料ガス供給装置2200と接続す
ることにより、VHF−PCVD法による以下の構成の
画像形成装置用感光体を得ることができる。 【0199】この装置は大別すると、真空気密化構造を
なした減圧にし得る反応容器3111内には円筒状支持
体3112、支持体加熱ヒータ3113、原料ガス導入
管3114、電極が設置され、電極にはさらに高周波の
マッチングボックス3116が接続されている。また、
反応容器3111内は排気管3121を通じて不図示の
拡散ポンプに接続されている。 【0200】原料ガス供給装置2200(図2参照)
は、SiH4 、GeH4 、H2 、CH4 、B26 、P
3 等の原料ガスのボンベ2221〜2226とバルブ
2231〜2236、2241〜2246、2251〜
2256およびマスフローコントローラ2211〜22
16から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ226
0を介して反応容器3111内のガス導入管3114に
接続されている。また、円筒状支持体3112によって
取り囲まれた空間3130が放電空間を形成している。 【0201】VHFーPCVD法によるこの装置での堆
積膜の形成は、以下のように行うことができる。 【0202】まず、反応容器3111内に円筒状支持体
3112を設置し、駆動装置3120によって支持体3
112を回転し、不図示の排気装置(例えば真空ポン
プ)により反応容器3111内を排気管3121を介し
て排気し、反応容器3111内の圧力を1×10-7To
rr以下に調整する。続いて、支持体加熱用ヒータ31
13により円筒状支持体3112の温度を200℃ない
し350℃の所定の温度に加熱保持する。 【0203】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器311
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ2231〜2
236、反応容器のリークバルブ(不図示)が閉じられ
ていることを確認し、また、流入バルブ2241〜22
46、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ22
60が開かれていることを確認して、まずメインバルブ
(不図示)を開いて反応容器3111およびガス排気管
3121内を排気する。 【0204】次に真空計(不図示)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ2260、流出バ
ルブ2251〜2256を閉じる。 【0205】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガスをバルブ2231〜2236を開いて導入し、
圧力調整器2261〜2266により各ガス圧を2kg
/cm2 に調整する。次に、流入バルブ2241〜224
6を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ2
211〜2216内に導入する。 【0206】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下のようにして円筒状支持体3112上に各層の
形成を行う。 【0207】円筒状支持体3112が所定の温度になっ
たところで流出バルブ2251〜2256のうちの必要
なものおよび補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボ
ンベ2221〜2226から所定のガスをガス導入管3
114を介して反応容器3111内の放電空間3130
に導入する。次にマスフローコントローラ2211〜2
216によって各原料ガスが所定の流量になるように調
整する。その際、放電空間3130内の圧力が1Tor
r以下の所定の圧力になるように真空計(不図示)を見
ながらメインバルブ(不図示)の開口を調整する。 【0208】圧力が安定したところで、周波数500M
HzのVHF電源(不図示)を所望の電力に設定して、
マッチングボックス3116を通じて放電空間3130
にVHF電力を導入し、グロー放電を生起させる。かく
して支持体3112により取り囲まれた放電空間313
0において、導入された原料ガスは、放電エネルギによ
り励起されて解離し、円筒状支持体3112上に所定の
堆積膜が形成される。このとき、層形成の均一化を図る
ため支持体回転用モータ3120によって、所望の回転
速度で回転させる。 【0209】所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電
力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器3111
へのガス流入を止め、堆積膜の形成を終える。 【0210】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の感光層が形成される。 【0211】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることはいうま
でもなく、また、それぞれのガスを反応容器3111
内、流出バルブ2251〜2256から反応容器311
1に至る配管内に残留することを避けるために、流出バ
ルブ2251〜2256を閉じ、補助バルブ2260を
開き、さらにメインバルブ(不図示)を全開にして系内
を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。 【0212】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作成条件にしたがって変更が加えられることはいうま
でもない。 【0213】いずれの方法においても、堆積膜形成時の
支持体温度は、特に200℃以上350℃以下、好まし
くは230℃以上330℃以下、より好ましくは250
℃以上300℃以下が好ましい。 【0214】支持体の加熱方法は、真空仕様である発熱
体であればよく、より具体的にはシース状ヒータの巻き
付けヒータ、板状ヒータ、セラミックヒータ等の電気抵
抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ラ
ンプ発熱体、液体、気体等を温媒とする熱交換手段によ
る発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質は、ステ
ンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラ
ミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができ
る。 【0215】それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の
容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で支持体
を搬送する等の方法が用いられる。 【0216】また、特にVHF−PCVD法において、
放電空間の圧力として、好ましくは1mTorr以上5
00mTorr以下、より好ましくは3mTorr以上
300mTorr以下、最も好ましくは5mTorr以
上100mTorr以下に設定することが望ましい。 【0217】VHF−PCVD法において放電空間に設
けられる電極の大きさおよび形状は、放電を乱さないな
らばいずれのものでもよいが、実用上は直径1mm以上
10cm以下の円筒状が好ましい。このとき、電極の長さ
も、支持体に電界が均一にかかる長さであれば任意に設
定できる。 【0218】電極の材質としては、表面が導電性となる
ものならばいずれのものでも良く、例えば、ステレス、
Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、T
i、Pt、Pb、Fe等の金属、これらの合金または表
面を導電処理したガラス、セラミック、プラスチック等
が通常使用される。 【0219】以上述べてきた内容を実施することによ
り、優れた効果を引き出すことが可能である。 【0220】図10にその一例を示す。1001は像担
持体である感光ドラムであり、矢印Aの時計回りに所定
の周速度(プロセススピード)にて回転駆動されるドラ
ム型の電子写真感光体である。1002は近接帯電部材
であり、電極1002−1およびその帯電面に形成した
抵抗層1002−2とからなる。近接帯電部材1002
には急速加熱可能なセラミックヒータ1010を一体化
して配置してある。該セラミックヒータ1010は必要
なときだけ、通電加熱し、100〜300℃の高温で一
気に像担持体である感光ドラム1001表面上の水分を
除去する。この際、帯電部材にも熱伝導がなされ、抵抗
層1002−2を一気に除湿する。抵抗層1002−2
の耐熱性は前記いずれのケースにおいても300℃まで
は、経時変化を含めて問題ない。 【0221】電極1002−1は、通常アルミニウム、
アルミニウム合金、真鍮、銅、鉄、ステンレス等の金属
や、樹脂、セラミック等の絶縁材料に導電処理、すなわ
ち、金属をコーティングしたり、導電性塗料を塗布した
りしたものを用いる。 【0222】抵抗層1002−2の抵抗値は、HIOK
I社(メーカー)製のMΩテスターで0.25〜1kV
の印加電圧における測定にて、1×103 〜1×1012
Ω・cmである。 【0223】像担持体1001と接触帯電部材1002
の最近接間隙は、像担持体1001の両端に設けられた
段部1004の厚さに等しく好適には50〜500μ
m、さらに好ましくは100〜300μmと極めて近い
距離に安定的に設定される必要がある。 【0224】1003は帯電部材に対する電圧印加電源
であり、この電源1003により帯電開始電圧の2倍以
上のピーク間電圧Vppを有する振動電圧Vacと直流電圧
dcとを重畳した重畳電圧(Vac+Vdc)が帯電部材1
002の電極1002−1に印加されて、回転駆動され
ている感光ドラム1001の表面(外周面)が均一に帯
電される。 【0225】さらに、画像信号に応じて強度変調される
レーザビーム1005が走査されることによって該感光
ドラム1001上に静電潜像が形成される。この静電潜
像は、現像剤が塗布された現像スリーブ1006によっ
てトナー画像として顕画像化された後、このトナー画像
は、転写材1007上に転写ローラ1008を介して転
写される。転写残トナーは、クリーニングブレード10
09によって感光ドラム1001上から除去され、一
方、トナー画像転写後の転写材1007は、不図示の定
着装置によってトナー画像が定着された後、装置本体外
部に排出される。 【0226】以下、さらに具体的に数値を上げて、本発
明に係る画像形成装置について詳述する。ただし、本発
明は、以下の実施例に限定されるものではない。 (請求項1、2、4、6に対応する実施例)図2に示す
RF−PCVD法による画像形成装置用感光体の製造装
置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニ
ウムシリンダ上に、図18に示す条件で電荷注入阻止
層、光導電層、表面層からなる感光体を作製した。さら
に、光導電層のSiH4 とH2 との混合比ならびに放電
電力を変えることによって、種々の感光体を作製した。 【0227】作製した感光体を画像形成装置(キヤノン
製NP6150をテスト用に改造)にセットして、帯電
能の温度依存性(温度特性)、メモリ並びに画像欠陥を
評価した。 【0228】温度特性は、感光体の温度を室温から約4
5℃まで変えて帯電能を測定し、このときの温度1℃当
たりの帯電能の変化を測定して、2V/deg以下を合
格と判定した。 【0229】また、メモリ、画像流れについては、画像
を目視により判定し、1:非常に良好、2:良好、3:
実用上問題なし、4:実用上やや難ありの4段階にラン
ク分けした。 【0230】一方、円筒形のサンプルホルダーに設置し
たガラス基板(コーニング社 7059)並びにSiウ
エハー上に、光導電層の作製条件で膜厚約1μmのa−
Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜にはAlの串
型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネル
ギ(Eu)と局在準位(状態)密度(DOS)を測定
し、Siウエハー上の堆積膜はFTIRにより含有水素
量を測定した。 【0231】このときのEuと温度特性との関係を図4
に、DOSとメモリ、画像流れとの関係を図5、図6に
示す。いずれのサンプルも水素含有量は10〜30原子
%の間であった。 【0232】図4、図5、および図6から明らかなよう
に、Eu=50〜60meV、DOS=1×1014〜1
×101 6cm-3
の範囲にすることが良好な電子写真特性を得るために必
要であることがわかった。 【0233】前記感光体の中から下記aからcを用い、
続いて、感光体両端の段部を、以下の条件で製作した。 【0234】感光体両端の段部および帯電部材の抵抗層
は、図12に示したようなスプレー塗工手段により、テ
トラエトキシランSi(OC 254 、水、アルコー
ル、塩酸、酸化チタン導電材の混合液を塗布し、次い
で、40〜90度に加熱乾燥させ乾燥ゲル体とした。硬
化後に段部の厚さを100μmまで研磨加工を施した。 【0235】作製した、両端に段部を持つ感光体を図1
0に示したような画像形成装置にセットして、温度23
℃、湿度60%RHの環境で10万枚の耐刷試験を行
い、帯電能力の周方向むらについて初期と耐刷試験後を
評価した。帯電部材への印加電圧条件は、1.0k
dc、3kVpp、12kHzであり、また、プロセスス
ピードは300mm/sec で行った。 【0236】感光体の条件は、 a:Euは51meV、DOSは9×1015cm-3 b:Euは55meV、DOSは6×1014cm-3 c:Euは59meV、DOSは1×1016cm-3 結果を図15に示す。耐刷試験前後において帯電能力の
周方向むらが変化しておらず良好な再現性を示している
ことがわかる。 【0237】図15の結果はaに示された感光体を用い
た場合の結果であるが、他の像担持体についても同様な
良好な特性を示した。 〈実施例2〉次に、請求項1、2、4、6に対応する実
施例2を示す。 【0238】前述の図1に示す作製条件で得られたa−
Si感光体d、e、fを用い、感光体両端の段部を実施
例1と同様にスプレー塗工手段により形成した。硬化後
に最初に厚さが1mmとなるように研磨加工を施し、そ
の後700μm、500μm、300μm、100μ
m、50μm、10μmと研磨により段部の厚さを変化
させそれぞれの厚さにおいて帯電特性を調べた。 【0239】周方向の帯電むらを最大値と最小値の差で
比較した。 【0240】 ◎:非常に良好 ;20V未満 〇:良好 ;20V以上30V未満 △:実用上問題無し ;30V以上40V未満 ×:実用上やや難あり ;40V以上 結果を図19に示す。 【0241】このときの感光体の条件は、 d:Euは50meV、DOSは2×1014cm-3 e:Euは58meV、DOSは8×1015cm-3 f:Euは52meV、DOSは2×1015cm-3 この結果より、段部としては50μmから500μmが
適していることがわかり、さらに好ましくは100μm
から300μmが望ましいことがわかった。また、段部
の厚さが大きくなるにつれてオゾンの発生量が多くな
り、その点においても1000μmは実用上やや難あり
と判断した。 〈実施例3〉次に、請求項1、2、4、7に対応する実
施例3を示す。 【0242】図2に示す製造装置を用い、図20に示す
作製条件で画像形成装置用感光体を作製した。このとき
の光導電層のEuとDOSは、それぞれ55meV、2
×1015cm-3であった。 【0243】これに図13に示したようなディッピング
塗工手段により、テトラメトキシシランSi(OCH
34 、チタンイソプロポキシドTi(OC37
4 、水、アルコール、塩素、導電材料の混合液を該感光
体の両端に塗布する。次いで、40〜90度に加熱乾燥
させ乾燥ゲル体とし、硬化後に200μmまで研磨加工
を施した。 【0244】また、図2に示す製造装置を用い、a−S
iH薄膜を近接帯電部材の抵抗層として作製した。抵抗
は5×109 Ω・cmであった。帯電部材への印加電圧条
件は、0.8kVdc、2kVpp、6kHz、またプロセ
ススピードは250mm/sec で行った。実施例1と同
様の評価をしたところ耐刷試験前後において良好な帯電
特性が得られ、良好な画像が得られた。 〈実施例4〉次に、請求項1、2、4、6に対応する実
施例4を示す。 【0245】図2示す画像形成装置用感光体の製造装置
を用い、図21に示す作製条件で画像形成装置用感光体
を作製した。このときの光導電層のEuとDOSは、そ
れぞれ50meV、8×1014cm-3であった。 【0246】これに図14に示したような紡糸塗工手段
により、Zr(OC254 、水、アルコール、塩
酸、導電材料の混合液を塗布する。 【0247】次いで、40〜90度に加熱乾燥させ乾燥
ゲル体とし、硬化後に150μmまで研磨加工を施し
た。 【0248】帯電部材への印加電圧条件は、0.5kV
dc、2kVpp、3kHz、またプロセススピードは10
0mm/sec で行った。実施例1と同様の評価をしたと
ころ耐刷試験前後において良好な帯電特性が得られ、良
好な画像が得られた。 〈実施例5〉次に、請求項1、2、4、5に対応する実
施例5を示す。 【0249】図2示す画像形成装置用感光体の製造装置
を用い、図22に示す作製条件で画像形成装置用感光体
を作製した。このときの光導電層のEuとDOSは、そ
れぞれ60meV、5×1015cm-3であった。 【0250】この感光体両端の段部を実施例1と同様に
スプレー塗工手段により形成し、硬化後に250μmま
で研磨加工を施し、図28(a)、(b)に示すよう
に、さらに周方向(被帯電面の移動方向)に沿って5本
/cmの間隔で細溝(溝部)103aを形成した。帯電部
材への印加電圧条件は、0.6kVdc、1.4kVpp
4kHz、またプロセススピードは250mm/sec で
行った。 【0251】これに実施例1と同様の評価をしたところ
耐刷試験前後において良好な帯電特性が得られた。 〈実施例6〉次に、請求項1、3、4、6に対応する実
施例6を示す。 【0252】外径80mm×長さ358mmのアルミニ
ウムシリンダを基体とし、これにアルコキシメチル化ナ
イロンの5%メタノール溶液を浸漬法で塗布して、膜厚
1μmの下引き層(中間層)を設けた。 【0253】次に、チタニルフタロシアニン顔料を10
倍(重量部、以下同様)、ポリビニルブチラール8部、
およびシクロヘキサノン50部を直径1mmのガラスビ
ーズ100部を用いたサンドミル装置で20時間混合分
散した。この分散液にメチルエチルケント70〜120
(適宜)部を加えて下引き層上に塗布し、100℃で5
分間乾燥して0.2μmの電荷発生層を形成させた。 【0254】次にこの電荷発生層の上に図23に示す構
造式のスチリル化合物10部とビスフェノールZ型ポリ
カーボネート10部をモノクロベンゼン65部に溶解し
た。この溶液をディッピング法によって基体上に塗布
し、120℃で60分間の熱風乾燥させて、20μm厚
の電荷輸送層を形成させた。 【0255】次に、この電荷輸送層の上に以下の方法で
膜厚1.0μmの保護層を設けた。 【0256】酸成分としてテレフタル酸を、またグリコ
ール成分としてエチレングリコールを用いて得られた高
融点ポリエチレンフタレート(A)(極限粘度0.70
dl/g、融点258℃(示差熱測定器を用いて10℃
/minの昇温速度で測定した。また、測定サンプルは
5mgで、測定しようとするポリエステル樹脂を280
℃で溶融後、0℃の氷水で急冷して作成した。以下の実
施例について同じ)、ガラス点移転温度70℃)100
部とエポキシ樹脂(B)(エポキシ当量160;芳香族
エステルタイプ;商品名:エピコート190P(油化シ
ェルエポキシ社製))30部とをフェノールとテトラク
ロロエタン(1:1)混合液100mlに溶解させた。
次いで、光重合開始剤としてトリフェニルフォニウムヘ
キサフルオロアンチモネート(C)3部を添加して樹脂
組成物溶液を調整した。 【0257】光の照射条件としては、2kW高圧水銀灯
(30W/cm)を20cm離した位置から130℃で8秒
間照射して硬化させた。 【0258】このようにして作製した感光ドラムの両端
に、実施例1と同様にして図12に示したようなスプレ
ー塗工手段により、150μmの段部を形成した。 【0259】また帯電部材の抵抗層は、図13に示した
ようなディッピング塗工手段により、テトラメトキシシ
ランSi(OCH34 、チタンイソプロポキシドTi
(OC374 、水、アルコール、塩酸、導電材料の
混合液を該感光体の両端に塗布する。次いで、40〜9
0度に加熱乾燥させ乾燥ゲル体とした。 【0260】帯電部材への印加電圧条件は、1.0kV
dc、3kVpp、12kHz、またプロセススピードは3
00mm/sec で行った。 【0261】これに実施例1と同様の評価をしたところ
耐刷試験前後において良好な帯電特性が得られた。 〈実施例7〉図3に示すRF−PCVD法による画像形
成装置用感光体の製造装置を用い、実施例1と同様に直
径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダ
(支持体)上に、図24に示す条件で電荷注入阻止層、
光導電層、表面層からなる感光体を作製した。 【0262】さらに、光導電層のSiH4 とH2 との混
合比、放電電力、支持体温度並びに内圧を変えることに
より、種々の感光体を作製した。作製した感光体を画像
形成装置(キヤノン製NP6150をテスト用に改造)
にセットして、帯電能の温度依存性(温度特性)、ブラ
ンク露光メモリ並びにゴーストメモリを評価した。温度
特性並びにメモリの評価は実施例1と同様にした。さら
にハーフトーン画像の濃度むら(ガサツキ)をメモリと
同様、4段階のランク分けを行って評価した。 【0263】一方、光導電層の作製条件で、円筒形のサ
ンプルホルアに設置したガラス基板(コーニング社 7
059)並びにSiウエハー上に膜厚約1μmのa−S
i膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜にはAlの串型
電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネルギ
(Eu)と局在準位密度(DOS)を測定し、Siウエ
ハー上の堆積膜はFTIRにより含有水素量並びにSi
−H2 結合とSi−H結合の吸収ピーク強度比を測定し
た。Eu、DOSと温度特性、メモリ、画像流れとの関
係は実施例1と同様であり、良好な電子写真特性のため
にはEu=50〜60meV、DOS=1×1014〜1
×1016cm-3のであることが必要であることがわかっ
た。さらに、図7に示すSi−H2 /Si−Hと感度と
の関係からSi−H2 /Si−H=0.2〜0.5の範
囲にすることが必要であることがわかった。 【0264】この感光体内、Eu、DOSおよびSi−
2 /Si−Hが、それぞれ54meV、8×1014cm
-3、0.29の感光体について、実施例1と同様の評価
をしたところ耐刷試験前後において良好な帯電特性が得
られた。 〈実施例8〉図3に示す画像形成装置用感光体の製造装
置を用い、図25に示す作製条件で画像形成装置用感光
体を作製した。このときの光導電層のEu、DOSおよ
びSi−H2 /Si−Hは、それぞれ53meV、5×
1014cm-3、0.29であった。作製した画像形成装置
用感光体の両端の段部を実施例1と同様にして150μ
m形成し、実施例1と同様の評価をしたところ耐刷試験
前後において良好な帯電特性が得られた。 〈実施例9〉図3に示す画像形成装置用感光体の製造装
置を用い、図26に示す作製条件で画像形成装置用感光
体を作製した。このときの光導電層のEu、DOSおよ
びSi−H2 /Si−Hは、それぞれ56meV、1.
3×1015cm-3、0.38であった。作製した画像形成
装置用感光体の両端の段部を実施例1と同様にして15
0μm形成し、実施例1と同様の評価をしたところ耐刷
試験前後において良好な帯電特性が得られた。 〈実施例10〉図3に示す画像形成装置用感光体の製造
装置を用い、図27に示す作製条件で画像形成装置用感
光体を作製した。このときの光導電層のEu、DOSお
よびSi−H2 /Si−Hは、それぞれ59meV、3
×1015cm-3、0.45であった。作製した画像形成装
置用感光体の両端の段部を実施例1と同様にして100
μm形成し、実施例1と同様の評価をしたところ耐刷試
験前後において良好な帯電特性が得られた。 【0265】 【発明の効果】以上説明したように、本発明は近接帯電
装置を用いた画像形成装置における帯電部材と像担持体
の間隙を規制する段部を該像担持体両端の画像形成に影
響しない部分(画像形成領域である被帯電面の両端部に
位置する非画像形成領域)に肉盛りして設けることによ
り、被帯電面の移動に伴う間隙の変動を抑制することが
でき、帯電むらを防止して、画像の濃度むらを解消する
ことができる。 【0266】さらに、帯電部材の抵抗層に無機抵抗層を
塗工、成膜、ないし熔射することにより耐久性の向上が
図れ、帯電部材と像担持体の接触による外傷も解消さ
れ、さらなる高耐久が実現可能となった。これにより画
質が低下が防止され、メンテナンスフリー化をさらに促
進することができる。 【0267】像担持体両端の段部は具体的には、ゾルゲ
ル法による強固で、かつ均一な金属酸化物皮膜によって
形成することができ、さらに例えば、段部形成後に段部
を研磨加工することにより該帯電部材と像担持体の間隙
を精度よく一定に保つことが可能となる。 【0268】像担持体両端の段部に被帯電面の移動方向
に沿った溝部(細溝)を形成することにより、像担持体
と帯電部材との摺察性を向上させることも効果的であっ
た。 【0269】さらに、段部を金属酸化物を母体とする材
料で構成するため、熱変動による硬度の変化が少ない。
そのため押圧力に対する間隙の変動が少なく、像担持体
には温度特性の良好なものが使用可能になり、さらなる
高画質が望めるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施例1における帯電部材、感光ドラ
ムの側面図。(b)は実施例1における帯電部材、感光
ドラムの正面図。
【図2】本発明の画像形成装置用感光体の光受容層を形
成するための装置の一例で、RF帯の高周波を用いたグ
ロー放電法による画像形成装置用感光体の製造装置の模
式的説明図。
【図3】本発明の画像形成装置用感光体の光受容層を形
成するための装置の一例で、VHF帯の高周波を用いた
グロー放電法による画像形成装置用感光体の製造装置の
模式的説明図。
【図4】感光体における光導電層のアーバックテイルの
特性エネルギ(Eu)と温度特性との関係を示す図。
【図5】感光体における光導電層の局在状態密度(DO
S)と光メモリとの関係を示す図。
【図6】感光体における光導電層の局在状態密度(DO
S)と画像流れとの関係を示す図。
【図7】感光体における光導電層のSi−H2 結合とS
i−H結合の吸収ピーク強度比とハーフトーン濃度ムラ
(ガサツキ)との関係を示す図。
【図8】従来の画像形成装置の要部の構成を示す模式
図。
【図9】従来の他の画像形成装置の要部の構成を示す模
式図。
【図10】実施例1の画像形成装置の要部の構成を示す
模式図。
【図11】(a)〜(e)はそれぞれ従来の感光体の構
成を模式的に示す部分断面図。
【図12】感光ドラムの段部を塗工する塗工手段の一例
を示す図。
【図13】感光ドラムの段部を塗工する他の塗工手段の
一例を示す図。
【図14】感光ドラムの段部を塗工する別の塗工手段の
一例を示す図。
【図15】感光ドラムの周方向における帯電状態を示す
図。
【図16】(a)は従来の帯電部材の側面図。(b)は
従来の帯電部材の正面図。(c)は従来のラブの固定型
スペーサの摩耗の様子を示す側面図。
【図17】金属酸化物被膜を得るための構造式を示す
図。
【図18】実施例1における感光体の作製条件を示す
図。
【図19】実施例2における感光体両端の段部の厚さと
帯電特性との関係を示す図。
【図20】実施例3における感光体の作製条件を示す
図。
【図21】実施例4における感光体の作製条件を示す
図。
【図22】実施例5における感光体の作製条件を示す
図。
【図23】実施例6の感光体の電荷輸送層を形成するた
めのスチリル化合物の構造式を示す図。
【図24】実施例7における感光体の作製条件を示す
図。
【図25】実施例8における感光体の作製条件を示す
図。
【図26】実施例9における感光体の作製条件を示す
図。
【図27】実施例10における感光体の作製条件を示す
図。
【図28】(a)は実施例5の帯電部材、感光ドラムの
構成を示す側面図。(b)は実施例5の帯電部材、感光
ドラムの構成を示す正面図。
【符号の説明】
100 近接帯電部材 101 支持体 102 抵抗層 103 段部 104 像担持体(被帯電体、感光体、感光ドラ
ム) 1001 像担持体(被帯電体、感光体、感光ドラ
ム) 1002 接触帯電部材 1002−1支持体 1002−2抵抗層 1003 高圧電源 1010 ヒータ 1100 感光体 1101 支持体 1102 感光層 1103 光導電層 1104 表面層 1105 電荷注入阻止層 1106 電荷発生層 1106a 自由表面 1107 電荷輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 清志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 像担持体の被帯電面に近接させて配置し
    た帯電部材に振動電圧を印加することによって前記被帯
    電面を帯電する帯電装置を備えた画像形成装置におい
    て、 前記像担持体は、画像形成領域である前記被帯電面の両
    端部に位置する非画像形成領域に、肉盛りによって形成
    した段部を有し、 前記帯電部材は、前記被帯電面に非接触状態で近接して
    対面する帯電面を有するとともに、該帯電面の両端部を
    前記段部に当接させることによって、前記被帯電面との
    間の間隙を所定の値に設定する、 ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記像担持体が、 導電性支持体と、 シリコン原子を母体として水素原子とハロゲン原子との
    うちの少なくとも一方を含有する非結晶材料を含む光導
    電層を有する光受容層とを備えた感光体であり、 前記光導電層が10〜30原子%の水素を含有し、少な
    くとも光の入射する部分において、サブバンドギャップ
    光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネル
    ギーが50〜60meV、かつ局在状態密度が1×10
    14〜1×1016cm-3である、 ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記像担持体が、導電性支持体と、高融
    点ポリエステル樹脂、および硬化樹脂を含む電子写真感
    光体である、 ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 前記像担持体の段部が、ゾルゲル法によ
    り形成される金属酸化物を母体とする、 ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記
    載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記像担持体の段部は、前記被帯電面の
    移動方向に沿って形成された溝部を有する、 ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記
    載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記帯電部材は、前記帯電面に近接する
    無機保護層を有し、該保護層がゾルゲル法により形成さ
    れる金属酸化物を母体とする、 ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか記
    載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 前記帯電部材は、前記帯電面に近接する
    無機保護層を有し、該無機保護層が水素化アモルファス
    シリコンを母体とする、 ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか記
    載の画像形成装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8057975B2 (en) 2006-08-31 2011-11-15 Kyocera Corporation Electrophotographic photoreceptor and image forming apparatus having same

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