JPH08233765A - マイクロセンサ - Google Patents

マイクロセンサ

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JPH08233765A
JPH08233765A JP7041485A JP4148595A JPH08233765A JP H08233765 A JPH08233765 A JP H08233765A JP 7041485 A JP7041485 A JP 7041485A JP 4148595 A JP4148595 A JP 4148595A JP H08233765 A JPH08233765 A JP H08233765A
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crystal silicon
cavity
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盛聖 上西
Takayuki Yamaguchi
隆行 山口
Yukito Sato
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    • G01F1/68Measuring the volume flow or mass flow of fluid or fluent solid material wherein the fluid passes through a meter in a continuous flow by using thermal effects
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 単結晶シリコン基板に異方性エッチングで形
成する空洞の底面に結晶欠陥に起因した凸部が残存せ
ず、単結晶シリコン基板の表面の薄膜が空洞上に突出し
ないマイクロセンサを得る。 【構成】 異方性エッチングでセンサ部20の裏側に空
洞40を形成する単結晶シリコン基板39の表面を(1
10)面とする。異方性エッチングを一時停止させる結
晶欠陥が単結晶シリコン基板39に存在しても、その下
部にエッチングが進行して欠陥形状が除去されるので、
空洞40が良好な形状に形成されてセンサ部20の精度
が改善される。センサ部20の両側で異方性エッチング
が外方に進行しないので、空洞40上に薄膜29が突出
せず、これに連続して形成されるセンサ部20の強度が
良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、裏側に空洞が位置する
薄膜状のセンサ部を単結晶シリコン基板の表面に形成し
たマイクロセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、裏側に空洞が位置する薄膜状のセ
ンサ部を基板の表面に形成したマイクロセンサが実用化
されており、湿度センサ、ガスセンサ、流量センサ、な
どに利用されている。これらのセンサをマイクロセンサ
の従来例として以下に順次説明する。
【0003】まず、マイクロセンサの第一の従来例とし
て、湿度センサ1を図14に基づいて以下に説明する。
単結晶シリコン基板2の表面に薄膜状のセンサ部3が形
成されており、このセンサ部3の裏側に空洞4が形成さ
れている。
【0004】前記センサ部3は、前記空洞4上に形成さ
れた正方形の支持部5と、この支持部5上に形成された
ヒータ6とからなる。前記空洞4は、前記支持部5と中
心が同一の正方形状に形成されているが、前記支持部5
に対して“45°”だけ傾斜している。このため、前記支
持部5は、その四隅において架橋7により支持されてお
り、前記ヒータ6に接続された一対の電極8は、二つの
前記架橋7上に一つずつ形成されている。
【0005】このような構成において、湿度センサ1
は、例えば、エアーコンディショナーの内部に配置さ
れ、雰囲気の湿度の測定に利用される。このような湿度
センサ1で雰囲気の湿度を測定する場合、一対の電極8
に一定電圧を印加してヒータ6を発熱させ、このヒータ
6の電気抵抗を測定する。このような状態において、ヒ
ータ6は一定電圧により一定熱量を発生するが、雰囲気
の湿度が変動すると放熱の度合が変化する。すると、こ
のヒータ6の発熱温度が変化し、電気抵抗も変化するの
で、この抵抗変化により雰囲気の湿度が測定される。
【0006】つぎに、マイクロセンサの第二の従来例と
して、ガスセンサ9を図15に基づいて以下に説明す
る。まず、単結晶シリコン基板10の表面に薄膜状のセ
ンサ部11が形成されており、このセンサ部11の裏側
に空洞12が形成されている。前記センサ部11は、前
記空洞12上に形成された片持梁状の支持部13と、こ
の支持部13上に形成されたヒータ14及びセンサ15
とからなる。このセンサ15は、酸化錫からなり、前記
ヒータ14と前記センサ15との電極16,17は、前
記単結晶シリコン基板10の角部に位置している。
【0007】このような構成において、ガスセンサ9
は、ガス管の周囲などに配置され、ガス漏れの検知に利
用される。このようなガスセンサ9によりガスを検知す
る場合、ヒータ14によりセンサ15を常時加熱してお
き、センサ15の電気抵抗の変化を監視する。このよう
な状態において、もしも雰囲気にガスが混入すると、加
熱された酸化錫からなるセンサ15はガスを良好に吸着
し、電気抵抗が変化するので、この抵抗変化によりガス
の発生が検知される。
【0008】さらに、マイクロセンサの第三の従来例と
して、流量センサ18を図16に基づいて以下に説明す
る。まず、単結晶シリコン基板19の表面に、薄膜状の
センサ部20が形成されており、このセンサ部20の裏
側に空洞21が形成されている。前記センサ部20は、
前記空洞21上に形成された架橋構造の支持部22と、
この支持部22上に形成されたヒータ23及びセンサ2
4,25とからなる。
【0009】前記空洞21は、流体(図示せず)の流動
方向と平行なトンネル状に形成されており、前記支持部
22は、流体の流動方向と直交する架橋構造として形成
されている。前記ヒータ23と前記センサ24,25と
は、流体の流動方向と直角に細長く形成されており、流
体の流動方向において、前記センサ24、前記ヒータ2
3、前記センサ25の順番に配置されている。前記ヒー
タ23と前記センサ24,25との電極26〜28は、
前記支持部22の両側に位置している。
【0010】このような構成において、流量センサ18
は、例えば、流体である空気が流動する空調ダクトの内
部などに配置され、その流量の測定に利用される。この
ような流量センサ18により流体の流量を測定する場
合、一定電圧の印加によりヒータ23を発熱させ、セン
サ24,25の抵抗値の変化の比率を検出する。
【0011】この時、流体が流動しないと、ヒータ23
の発熱は周囲に静止した流体によりセンサ24,25に
均等に伝播されるため、センサ24とセンサ25とに温
度差が発生しない。このため、センサ24,25の抵抗
値の比率は変化しないので、検出回路により検出される
流体の流量や流速は“0”となる。
【0012】一方、流体が流動すると、センサ24は、
外部から流入する流体により冷却され、センサ25は、
ヒータ23から流動してくる流体により加熱される。こ
のため、センサ24とセンサ25とには、流体の流量に
対応した温度差が発生するので、この温度差に従ってセ
ンサ24,25の抵抗値の比率が変化することになり、
検出回路により流体の流量や流速が検出される。
【0013】上述のようなセンサ1,9,18は、何れ
も空洞4,12,21によりセンサ部3,11,20を
薄膜状に周囲から遊離させることにより、そのセンサ部
3,11,20の熱容量を小さくして感度や応答性を向
上させている。なお、このようなセンサ部3,11,2
0は、薄膜状に周囲から遊離していれば良いので、架橋
構造や片持梁構造の他、ダイアフラム構造として形成す
ることもできる。
【0014】このようなセンサ部3,11,20を空洞
4,12,21上に形成することは、単結晶シリコン基
板2,10,19の異方性エッチングにより実現されて
いる。単結晶シリコンは、(100)(110)(11
1)の結晶面を有するが、これらの結晶面に対するエッ
チングの進行速度は、 (100)>(110)≫(111) の関係にある。つまり、単結晶シリコンは結晶面の方向
によりエッチングの進行速度が相違するので、これを利
用することによりセンサ部3,11,20を遊離させる
空洞4,12,21を単結晶シリコン基板2,10,1
9に形成することができる。
【0015】ここで、流量センサ18を一例として、異
方性エッチングにより単結晶シリコン基板19に空洞2
1を形成する方法を、図16及び図17に基づいて以下
に説明する。なお、以下では流量センサ18を例示して
説明するが、他のセンサ1,9も同様である。
【0016】まず、一個の正方形の単結晶シリコン基板
19を用意し、その表面に絶縁性薄膜29を成膜する。
この絶縁性薄膜29をフォトリソグラフィーとエッチン
グとにより支持部22の形状にパターニングし、単結晶
シリコン基板19を空洞21の開口形状に露出させる。
これをKOH溶液により異方性エッチングすると、支持
部22の裏側に空洞21が形成されて支持部22が架橋
構造に残存する。なお、流量センサ18等を実際に製作
する場合には、そのセンサ25等を形成する工程が含ま
れる。
【0017】上述のように単結晶シリコン基板19に異
方性エッチングにより空洞21を形成した場合、図16
及び図17に示すように、この空洞21は一つの底面3
0と六つの斜面31〜36とに囲まれている。
【0018】この場合、流体の流動方向に交差する四つ
の斜面33〜36は、単結晶シリコン基板19の(11
1)面であり、この(111)面にはエッチングが殆ど
進行しない。つまり、この方向ではエッチングは絶縁性
薄膜29の裏側に進行しないので、図17(b)に示す
ように、斜面33〜36は、絶縁性薄膜29の開口に略
連続するように形成される。一方、流体の流動方向と平
行な二つの斜面31,32は、特定の結晶面を有しない
ため、エッチングは横方向に進行する。つまり、エッチ
ングは絶縁性薄膜29の裏側にも進行するので、図17
(a)に示すように、斜面31,32は、絶縁性薄膜2
9の裏面に位置するように形成される。
【0019】なお、流量センサ18の試作品において斜
面31,32の傾斜角“a”を測定したところ“45°”
であり、斜面33〜36の傾斜角“b”を測定したとこ
ろ“54.7°”であった。また、斜面31,32が消失す
るまでエッチングを進行させ、空洞21を四つの斜面3
3〜36に囲まれた四角錐状に形成することも可能であ
る。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、単結晶
シリコン基板19の異方性エッチングにより薄膜状のセ
ンサ部20の裏側に空洞21を形成することができる。
【0021】しかし、異方性エッチングにより単結晶シ
リコン基板19に空洞21を形成すると、図18に示す
ように、その底面30に四角錐状の凸部37が残存する
ことがある。製造誤差のために単結晶シリコン基板19
には結晶欠陥が存在するが、この結晶欠陥に起因して凸
部37が発生することが判明している。
【0022】つまり、単結晶シリコン基板19を異方性
エッチングさせる場合、結晶欠陥が異方性エッチングを
停止させるため、結晶欠陥を頂点として(111)面で
ファセットされた四角錐が形成される。異方性エッチン
グにより結晶欠陥が除去されても、四角錐は頂点から各
面にエッチングされるので、ここに四角錐状の凸部37
が形成される。
【0023】このような凸部37が各センサ1,9,1
8の空洞4,12,21に存在した場合、センサ部3,
11,20が有効に遊離しないために検出精度が低下す
る。特に、流量センサ18は空洞21を流動する流体に
乱流が発生するため、その検出精度が極度に低下する。
【0024】また、図17(a)に示すように、斜面3
1,32の位置では絶縁性薄膜29の裏側まで異方性エ
ッチングが進行するため、この絶縁性薄膜29は空洞2
1上に突出することになる。そして、各センサ1,9,
18のセンサ部3,11,20は、空洞21上に突出し
た絶縁性薄膜29に連続して形成されるため、その機械
強度が低下している。また、このセンサ部3,11,2
0の電極8,16,17,26〜28は、空洞21上に
突出した絶縁性薄膜29上にも形成する必要があるた
め、電極8,16,17,26〜28を良好に形成する
ことが困難である。
【0025】前述のように、斜面31,32の傾斜角
“a”は“45°”であるため、絶縁性薄膜29の突出量
“c”は空洞21の深さと同一である。センサ部3,1
1,20を有効に機能させるためには、空洞21を充分
な深さに形成する必要があるため、絶縁性薄膜29の突
出量も増大する。
【0026】このような絶縁性薄膜29の突出を軽減す
るためには、図16に示すように、絶縁性薄膜29の流
動と平行な辺の長さ“d,e”を短縮すれば良いが、こ
こを短縮すると熱損失が急激に増大して流量センサ18
の感度が低下する。このため、絶縁性薄膜29の流動と
平行な辺の長さ“d,e”は“0.3(mm)”以上とする必
要があり、この位置で絶縁性薄膜29は空洞21上に突
出することになる。
【0027】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
薄膜状のセンサ部を単結晶シリコン基板の表面に形成
し、この単結晶シリコン基板の前記センサ部の裏側に空
洞を異方性エッチングにより形成したマイクロセンサに
おいて、単結晶シリコン基板の表面を(110)面とし
た。
【0028】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、センサ部の長手方向を単結晶シリコン基板
の〈100〉軸と略平行とした。
【0029】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、センサ部の長手方向を単結晶シリコン基板
の〈111〉軸と略平行とした。
【0030】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発
明において、センサ部の長手方向と単結晶シリコン基板
の〈100〉軸との内角を“35.26°”以下とした。
【0031】請求項5記載の発明は、請求項1記載の発
明において、センサ部の長手方向と単結晶シリコン基板
の〈111〉軸との内角を“19.47°”以下とした。
【0032】請求項6記載の発明は、請求項1記載の発
明において、空洞の深さを“200(μm)”以上とした。
【0033】
【作用】請求項1記載の発明は、単結晶シリコン基板の
表面を(110)面としたので、この単結晶シリコン基
板に異方性エッチングにより空洞を形成する際、単結晶
シリコン基板にエッチングを停止させる結晶欠陥が存在
しても、この結晶欠陥は下部にエッチングが進行するの
で除去される。
【0034】請求項2記載の発明は、センサ部の長手方
向が単結晶シリコン基板の〈100〉軸と略平行なの
で、センサ部の両側の位置では単結晶シリコン基板の表
面に形成した薄膜層の裏側に異方性エッチングが進行せ
ず、単結晶シリコン基板の表面に形成した薄膜層が空洞
上に突出することがなく、薄膜層に連続して形成するセ
ンサ部の機械強度が向上する。
【0035】請求項3記載の発明は、センサ部の長手方
向が単結晶シリコン基板の〈111〉軸と略平行なの
で、センサ部の両側の位置では単結晶シリコン基板の表
面に形成した薄膜層の裏側に異方性エッチングが進行せ
ず、単結晶シリコン基板の表面に形成した薄膜層が空洞
上に突出することがなく、薄膜層に連続して形成するセ
ンサ部の機械強度が向上する。
【0036】請求項4記載の発明は、センサ部の長手方
向と単結晶シリコン基板の〈100〉軸との内角が“3
5.26°”以下なので、センサ部の裏側に単結晶シリコ
ン基板の異方性エッチングが進行し、薄膜状のセンサ部
が空洞上に形成される。
【0037】請求項5記載の発明は、センサ部の長手方
向と単結晶シリコン基板の〈111〉軸との内角が“1
9.47°”以下なので、センサ部の裏側に単結晶シリコ
ン基板の異方性エッチングが進行し、薄膜状のセンサ部
が空洞上に形成される。
【0038】請求項6記載の発明は、空洞の深さが“20
0(μm)”以上なので、センサ部は空洞の底面から良好に
遊離して感度が向上する。
【0039】
【実施例】本発明の第一の実施例を図1ないし図3に基
づいて以下に説明する。なお、本実施例でマイクロセン
サとして示す流量センサ38に関し、第三の従来例とし
て前述した流量センサ18と同一の部分は、同一の名称
及び符号を利用して詳細な説明は省略する。
【0040】まず、本実施例の流量センサ38では、図
1に示すように、単結晶シリコン基板39の表面に、薄
膜状のセンサ部20が形成されており、このセンサ部2
0の裏側に空洞40が形成されている。前記単結晶シリ
コン基板39は、表面が(110)面であり、前記セン
サ部20は、長手方向が前記単結晶シリコン基板39の
〈111〉軸と平行となるよう形成されている。
【0041】前記空洞40は、図1及び図2に示すよう
に、一つの底面41と二つの斜面42,43と四つの垂
直面44〜47とに囲まれており、“200(μm)”以上の
深さに形成されている。図2に示すように、前記斜面4
2,43の傾斜角“f”は“35.26°”であるが、前記
垂直面44〜47の傾斜角“g”は“90°”である。図
1に示すように、前記単結晶シリコン基板39の〈11
1〉軸と前記斜面42,43の上縁部との内角“h”は
“ 35.26°”であり、〈111〉軸と前記垂直面44,
45の上縁部との内角“i”は“ 19.47°”である。
【0042】このような構成において、本実施例の流量
センサ38では、センサ部20の裏側に空洞40が単結
晶シリコン基板39の異方性エッチングにより形成され
ているが、この単結晶シリコン基板39は(110)面
が表面であるため、結晶欠陥に起因する凸部が空洞40
の底面に発生することがない。しかも、センサ部20の
長手方向が単結晶シリコン基板39の〈111〉軸と平
行であるため、センサ部20の両側で絶縁性薄膜29が
空洞40上に突出することもない。このことを、流量セ
ンサ38の製作方法に基づいて以下に順次説明する。
【0043】まず、表面が(110)面の単結晶シリコ
ン基板39を用意し、その表面に層厚“1.0(μm)”のS
i O2 からなる絶縁性薄膜29をスパッタリング法によ
り堆積させる。この絶縁性薄膜29としては、例えば、
Si34 やTa25 等も利用可能であり、CVD(Chemi
cal Vapor Deposition)法でも形成できる。この表面に
層厚“0.5(μm)”のPt からなる金属薄膜をスパッタリ
ング法により堆積させるが、この金属薄膜としては、N
i Cr 等も利用可能であり、真空蒸着法やCVD法等で
も形成できる。
【0044】つぎに、金属薄膜をフォトリソグラフィー
とエッチングとによりヒータ23とセンサ24,25と
の形状にパターニングし、絶縁性薄膜29をフォトリソ
グラフィーと異方性エッチングとにより支持部22の形
状にパターニングする。すると、単結晶シリコン基板3
9が空洞40の開口形状に露出するので、KOHの“5.
0(%)”溶液による異方性エッチングにより、支持部2
2の裏側に空洞40を形成する。
【0045】この場合、空洞40の底面41は、単結晶
シリコン基板39の(110)面であるために異方性エ
ッチングが急速に進行するが、空洞40の外周の各面4
2〜47は、単結晶シリコン基板39の(111)面で
ある。このため、〈111〉軸との内角“h”が“ 35.
26°”の斜面42,43の位置では、傾斜角“f= 35.
26°”の方向に異方性エッチングが進行し、〈111〉
軸との内角“i”が“19.47°”の垂直面44〜47の
位置では、傾斜角“g=90°”の方向に異方性エッチン
グが進行する。つまり、これらの各面42〜47は、異
方性エッチングが横方向には殆ど進行しないため、絶縁
性薄膜29の開口に略連続するように形成される。
【0046】このため、本実施例の流量センサ38で
は、絶縁性薄膜29が空洞40上に突出しないので、セ
ンサ部20の機械強度が良好であり、電極26〜28を
良好に形成することができる。絶縁性薄膜29の突出を
懸念することなく空洞40を充分な深さに形成すること
ができるので、センサ部20を有効に機能させることが
できる。
【0047】特に、本実施例の流量センサ38では、上
述のような異方性エッチングを“240(min)”まで実行す
ることにより、空洞40を“200(μm)”の深さに形成す
る。このため、図3に示すように、ヒータ23の温度上
昇率が良好であり、センサ部20は、熱効率、消費電
力、特性、感度が良好である。
【0048】しかも、本実施例の流量センサ38では、
センサ部20の長手方向が単結晶シリコン基板39の
〈111〉軸と平行であるため、センサ部20の両側に
は空洞40の垂直面46,47が位置することになり、
センサ部20が周囲から良好に遊離して有効に機能す
る。
【0049】さらに、本実施例の流量センサ38は、絶
縁性薄膜29の突出を軽減するために垂直面46,47
の上縁部の長さを短縮する必要もないので、熱損失の増
大が防止されて感度が良好である。このため、本実施例
の流量センサ38は、垂直面46,47の上縁部の長さ
を“0.3(mm)”以上としてセンサ部20の感度を改善し
ており、この場合でも絶縁性薄膜29が空洞21上に突
出することがない。
【0050】なお、支持部22の両側下部では、単結晶
シリコン基板39に(111)面が出現しないので、エ
ッチングが横方向に進行する。このため、支持部22の
裏側で単結晶シリコン基板39はエッチングされるの
で、支持部22が空洞40上に架橋構造として形成され
る。
【0051】また、上述のような異方性エッチングを一
時停止させる結晶欠陥が単結晶シリコン基板39に存在
した場合、この結晶欠陥の下部には(111)面が出現
する。この(111)面は微少ながらもエッチングされ
るので、結晶欠陥は下部が無くなって除去される。この
ため、結晶欠陥に起因した凸部が空洞40の底面41に
発生することがないので、センサ部20を有効に遊離さ
せることができ、センサ部20空洞21を流動する流体
に乱流が発生することもないので、検出精度が良好であ
る。(110)面を有する四個の単結晶シリコンウエハ
ーから十個の流量センサ38を試作したところ、空洞2
1に凸部が発生したものは“0”であった。
【0052】本発明の第二の実施例を図4及び図5に基
づいて以下に説明する。なお、本実施例でマイクロセン
サとして示す流量センサ48に関し、第一の実施例とし
て前述した流量センサ38と同一の部分は、同一の名称
及び符号を利用して詳細な説明は省略する。
【0053】まず、本実施例の流量センサ48では、図
4に示すように、(110)面が表面の単結晶シリコン
基板39の空洞49上に薄膜状のセンサ部20が形成さ
れており、このセンサ部20の長手方向が単結晶シリコ
ン基板39の〈100〉軸と平行である。
【0054】前記空洞49は、図4及び図5に示すよう
に、一つの底面50と四つの垂直面51〜54と二つの
斜面55,56とに囲まれており、“200(μm)”以上の
深さに形成されている。図5に示すように、前記斜面5
5,56の傾斜角“f”は“35.26°”であるが、前記
垂直面51〜54の傾斜角“g”は“90°”である。ま
た、前記単結晶シリコン基板39の〈100〉軸と前記
垂直面51〜54の上縁部との内角“h”は“ 35.26
°”である。
【0055】このような構成において、本実施例の流量
センサ48は、第一の実施例として前述した流量センサ
38と同様に、単結晶シリコン基板39の(110)面
が表面である。このため、異方性エッチングにより形成
する空洞49の底面に凸部が発生することがないので検
出精度が良好であり、センサ部20の両側で絶縁性薄膜
29が空洞49上に突出することもないので機械強度も
良好である。
【0056】この場合、空洞49の外周の各面51〜5
4は、単結晶シリコン基板39の(111)面であるた
め、異方性エッチングは垂直面51〜54の位置では傾
斜角“g=90°”の方向に進行し、斜面55,56の位
置では傾斜角“f= 35.26°”の方向に進行する。
【0057】また、本実施例の流量センサ48は、セン
サ部20の長手方向が単結晶シリコン基板39の〈10
0〉軸と平行であるため、センサ部20の両側には空洞
49の斜面55,56が位置する。このため、第一の実
施例の流量センサ38に比較すると、センサ部20が周
囲から遊離する度合が小さいので熱損失は増大するが、
空洞49が流体の流動方向に対して左右対称に形成され
るので空力特性は良好である。
【0058】なお、本実施例の流量センサ48では、単
結晶シリコン基板39の〈100〉軸と空洞49の垂直
面51〜54の上縁部との内角“h”を“ 35.26°”と
することにより、この位置でも絶縁性薄膜29が空洞4
9上に突出しないようにした。しかし、この位置で絶縁
性薄膜29が空洞49上に突出しても、これはセンサ部
20の機械強度に影響しない。
【0059】そこで、図6に第二の実施例の一変形例と
して示す流量センサ57のように、単結晶シリコン基板
39の〈100〉軸と絶縁性薄膜29の開口縁部との内
角“m”を“45°”とすることにより、この位置では絶
縁性薄膜29を空洞49上に突出させることも可能であ
る。同様に、図7に第一の実施例の一変形例として示す
流量センサ58のように、センサ部20の長手方向を単
結晶シリコン基板39の〈111〉軸と平行に形成する
場合に、この〈111〉軸と絶縁性薄膜29の開口縁部
との内角“m”を“45°”とすることにより、この位置
では絶縁性薄膜29を空洞49上に突出させることも可
能である。
【0060】また、第二の実施例の流量センサ48で
は、センサ部20の長手方向を単結晶シリコン基板39
の〈100〉軸と平行にすることにより、センサ部20
の両側の位置で絶縁性薄膜29が空洞49上に突出しな
いようにして機械強度を改善することを例示したが、本
発明は上記実施例に限定されるものでもない。例えば、
図8に第二の実施例の他の変形例として示す流量センサ
59のように、センサ部20の長手方向を単結晶シリコ
ン基板39の〈100〉軸に対して傾斜させることも可
能である。この場合、センサ部20の両側の位置で絶縁
性薄膜29が空洞49上に突出するので機械強度は低下
するが、センサ部20の長手方向と単結晶シリコン基板
39の〈100〉軸との内角“j”“k”が“35.26
°”以下であれば、単結晶シリコン基板39の異方性エ
ッチングによりセンサ部20を架橋構造に形成すること
は可能である。
【0061】同様に、第一の実施例の流量センサ38で
は、センサ部20の長手方向を単結晶シリコン基板39
の〈111〉軸と平行にすることにより、センサ部20
の両側の位置で絶縁性薄膜29が空洞49上に突出しな
いようにして機械強度を改善することを例示したが、本
発明は上記実施例に限定されるものでもない。例えば、
図9に第一の実施例の他の変形例として示す流量センサ
60のように、センサ部20の長手方向を単結晶シリコ
ン基板39の〈111〉軸に対して傾斜させることも可
能である。この場合、センサ部20の両側の位置で絶縁
性薄膜29が空洞40上に突出するので機械強度は低下
するが、センサ部20の長手方向と単結晶シリコン基板
39の〈111〉軸との内角“n”“m”が“ 19.47
°”以下であれば、単結晶シリコン基板39の異方性エ
ッチングによりセンサ部20を架橋構造に形成すること
は可能である。なお、実際には一方の内角“m”は“ 3
5.26°”まで許容できる。
【0062】また、上述した実施例や変形例の流量セン
サ38等では、空洞40等が単結晶シリコン基板39の
上面に開口することを例示したが、例えば、上述のよう
に形成した流量センサ38等の前縁部や後縁部を切断す
ることにより、図10に示すように、空洞40が前面に
開口した流量センサ61や、空洞40が後面に開口した
流量センサ62や、空洞40が前面と後面とに開口した
流量センサ63なども実現できる。このようにすること
で、下記の表1に示すように、より良好に空洞40の空
力特性が改善されるため、より高精度な流量センサ61
〜63を得ることができる。
【0063】
【表1】
【0064】さらに、上述した実施例や変形例では、支
持部22上に一個のヒータ23と二個のセンサ24,2
5とを設けて流量センサ38等を形成することを例示し
たが、本発明は上記実施例に限定されるものでもなく、
マイクロセンサとしてガスセンサや湿度センサや赤外線
センサなどを形成することが可能である。例えば、図1
1に示すように、ガスに反応する半導体からなるセンサ
15とヒータ14とを支持部22上に設け、マイクロセ
ンサとしてガスセンサ64を形成することも可能であ
る。
【0065】また、上述した実施例や変形例では、セン
サ部20を架橋構造に形成することを例示したが、本発
明は上記実施例に限定されるものでもなく、これを片持
梁構造やダイアフラム構造に形成することも可能であ
る。例えば、図12に示すように、片持梁構造の支持部
11上にセンサ15とヒータ14とを支持部22上に設
け、マイクロセンサとしてガスセンサ65を形成するこ
とも可能である。さらに、図13に示すように、流量セ
ンサ66のセンサ25を一個とすることも可能である。
【0066】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、単結晶シリコン
基板の表面を(110)面としたことにより、異方性エ
ッチングを一時停止させる結晶欠陥に起因する凸部が空
洞の底面に発生することがないので、センサ部を空洞の
底面から良好に遊離させて有効に機能させることがで
き、センサ部の両側で異方性エッチングが単結晶シリコ
ン基板の表面の薄膜の裏側に進行しないので、この薄膜
に連続して形成されるセンサ部の機械強度の低下を防止
することができ、精度と強度とが良好なマイクロセンサ
を得ることができる。
【0067】請求項2記載の発明は、センサ部の長手方
向を単結晶シリコン基板の〈100〉軸と略平行とした
ことにより、センサ部の両側で異方性エッチングが単結
晶シリコン基板の表面から垂直に進行するので、この薄
膜に連続して形成されるセンサ部の機械強度の低下を防
止することができ、センサ部を空洞の両側の内面から良
好に遊離させて有効に機能させることができ、精度と強
度とが良好なマイクロセンサを得ることができる。
【0068】請求項3記載の発明は、センサ部の長手方
向を単結晶シリコン基板の〈111〉軸と略平行とした
ことにより、センサ部の両側で異方性エッチングが単結
晶シリコン基板の表面から垂直に進行するので、この薄
膜に連続して形成されるセンサ部の機械強度の低下を防
止することができ、空洞を左右対称に形成して空力特性
を改善することができるので、精度と強度とが良好なマ
イクロセンサを得ることができる。
【0069】請求項4記載の発明は、センサ部の長手方
向と単結晶シリコン基板の〈100〉軸との内角を“3
5.26°”以下としたことにより、センサ部の裏側に位
置する単結晶シリコン基板に異方性エッチングを進行さ
せることができるので、センサ部を空洞上に形成するこ
とができる。
【0070】請求項5記載の発明は、センサ部の長手方
向と単結晶シリコン基板の〈111〉軸との内角を“1
9.47°”以下としたことにより、センサ部の裏側に位
置する単結晶シリコン基板に異方性エッチングを進行さ
せることができるので、センサ部を空洞上に形成するこ
とができる。
【0071】請求項6記載の発明は、空洞の深さを“20
0(μm)”以上としたことにより、センサ部を空洞の底面
から良好に遊離させることができるので、特性的にセン
サ部の温度上昇率を大きくすることができ、その熱効率
や消費電力や特性や感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロセンサの第一の実施例である
流量センサを示す平面図である。
【図2】空洞の形状を示す断面図である。
【図3】空洞の深さとヒータの温度上昇率との関係を示
す特性図である。
【図4】マイクロセンサの第二の実施例である流量セン
サを示す平面図である。
【図5】空洞の形状を示す断面図である。
【図6】流量センサの一変形例を示す平面図である。
【図7】流量センサの他の変形例を示す平面図である。
【図8】流量センサの他の変形例を示す平面図である。
【図9】流量センサの他の変形例を示す平面図である。
【図10】流量センサの他の変形例を示す縦断側面図で
ある。
【図11】マイクロセンサであるガスセンサを示す平面
図である。
【図12】ガスセンサの他の変形例を示す平面図であ
る。
【図13】流量センサの他の変形例を示す縦断側面図で
ある。
【図14】マイクロセンサの第一の従来例である湿度セ
ンサを示す平面図である。
【図15】マイクロセンサの第二の従来例であるガスセ
ンサを示す平面図である。
【図16】マイクロセンサの第三の従来例である流量セ
ンサを示す平面図である。
【図17】流量センサの空洞の形状を示す断面図であ
る。
【図18】空洞の底面に凸部が発生した状態を示す平面
図である。
【符号の説明】
3,11,20 センサ部 5,11,22 支持部 38,48,57〜65 マイクロセンサ 39 単結晶シリコン基板 40,49 空洞
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/306 H01L 21/306 B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜状のセンサ部を単結晶シリコン基板
    の表面に形成し、この単結晶シリコン基板の前記センサ
    部の裏側に空洞を異方性エッチングにより形成したマイ
    クロセンサにおいて、単結晶シリコン基板の表面を(1
    10)面としたことを特徴とするマイクロセンサ。
  2. 【請求項2】 センサ部の長手方向を単結晶シリコン基
    板の〈100〉軸と略平行としたことを特徴とする請求
    項1記載のマイクロセンサ。
  3. 【請求項3】 センサ部の長手方向を単結晶シリコン基
    板の〈111〉軸と略平行としたことを特徴とする請求
    項1記載のマイクロセンサ。
  4. 【請求項4】 センサ部の長手方向と単結晶シリコン基
    板の〈100〉軸との内角を“35.26°”以下としたこ
    とを特徴とする請求項1記載のマイクロセンサ。
  5. 【請求項5】 センサ部の長手方向と単結晶シリコン基
    板の〈111〉軸との内角を“19.47°”以下としたこ
    とを特徴とする請求項1記載のマイクロセンサ。
  6. 【請求項6】 空洞の深さを“200(μm)”以上としたこ
    とを特徴とする請求項1記載のマイクロセンサ。
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