JPH08232002A - 摺動複合体の製造方法 - Google Patents

摺動複合体の製造方法

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Publication number
JPH08232002A
JPH08232002A JP3871995A JP3871995A JPH08232002A JP H08232002 A JPH08232002 A JP H08232002A JP 3871995 A JP3871995 A JP 3871995A JP 3871995 A JP3871995 A JP 3871995A JP H08232002 A JPH08232002 A JP H08232002A
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sliding composite
molding
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JP3871995A
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English (en)
Inventor
Tadahiro Nakano
忠博 中野
Shoji Yamamoto
昇司 山本
Kenji Haga
健二 芳賀
Takuya Kodama
卓弥 児玉
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数の部品を成形と同時に嵌め込んで摺動複
合体を製造するにあたり、洗浄工程が必要となるセラミ
ックス粉末を用いず、低コストにして摺動複合体を得
る。 【構成】 焼結性粉末とバインダ樹脂との混練物である
コンパウンドより1次成形体(軸2)を射出成形し、続
いて2次成形体(スライド子3)を射出成形し、1次成
形体と2次成形体とを一体とし、これを脱脂し、焼結し
て1次成形体と2次成形体とを摺動可能なものとする摺
動複合体の製造方法である。1次成形体(軸2)の成形
後、1次成形体(軸2)の少なくとも2次成形体(スラ
イド子3)と接する部位に、非接触処理剤4として樹脂
の膜を形成し、その後、この樹脂の膜の上に2次成形体
(スライド子3)を射出成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摺動機能を有する複合
体(摺動複合体という)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属粉末射出成形法(Metal Inje
ction Molding ;MIM)のプロセスを用い、複数の部
品を成形と同時に嵌め込んで摺動複合体を製造する方法
として、特開平5−345677号公報に開示されたも
のがある。
【0003】この公報に記載された摺動複合体の製造方
法について、図26および図27を用いて説明する。す
なわち、この方法は、図26に示すような1次成形体1
00を射出成形した後、c−BN微粉末等のセラミック
スの粉末を単体または分散媒体に分散して1次成形体1
00に塗布することにより、セラミックス粉末の層
(膜)を形成し、次に、図27に示すように、1次成形
体100の上に2次成形体101を射出成形するもので
ある。この技術によると、1次成形体100と2次成形
体101とが、セラミックス粉末の層(膜)によって、
脱脂、焼結工程において互いに非接触となり、したがっ
て、互いが溶着することなく、摺動複合体が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技
術によると、焼結後、このセラミックスの粉末の層
(膜)を除去するために何らかの洗浄工程を設ける必要
があるため、生産コストが高くなってしまうという問題
があった。
【0005】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので、請求項1に係る発明は、MIMのプロセ
スを用い、複数の部品を成形と同時に嵌め込んで摺動複
合体を製造するにあたり、洗浄工程が必要となるセラミ
ックス粉末を用いず、低コストにして摺動複合体を得る
ことができる摺動複合体の製造方法を提供することを目
的とする。請求項2に係る発明は、上記目的に加え、非
接触処理剤に起因する成形体同士の溶着を確実に防ぐこ
とができる摺動複合体の製造方法を提供することを目的
とする。請求項3に係る発明は、上記目的に加え、焼結
後の摺動複合体の強度に応じて溶着部位の大きさを設定
することができる摺動複合体の製造方法を提供すること
を目的とする。請求項4に係る発明は、上記目的に加
え、複数個の部品からなる摺動複合体の成形、連結を同
時に行うことができる摺動複合体の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、焼結性粉末とバインダ樹脂
との混練物であるコンパウンドより1次成形体を射出成
形し、続いて2次成形体を射出成形し、1次成形体と2
次成形体とを一体とし、これを脱脂し、焼結して1次成
形体と2次成形体とを摺動可能なものとする摺動複合体
の製造方法において、1次成形体の成形後、1次成形体
の少なくとも2次成形体と接する部位に、1次成形体と
2次成形体とを非接触とするための非接触処理剤として
樹脂の膜を形成し、その後、この樹脂の膜の上に2次成
形体を射出成形することとした。請求項2に係る発明
は、請求項1に係る発明において、前記非接触処理剤
は、顔料を含まない塗料であることを特徴とする。請求
項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明におい
て、1次成形体に非接触処理剤を塗布する際、2次成形
体と接する部位において、部分的に非接触処理剤を塗布
しないことを特徴とする。請求項4に係る発明は、請求
項1,2または3に係る発明において、前記2次成形体
の成形以降、成形および非接触処理剤塗布の工程を順次
繰り返し、複数個の成形体を成形と同時に連結して摺動
複合体を製造することを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明においては、1次成形体と2次成形体と
の間に樹脂の層を設けることにより、1次成形体と2次
成形体との間に、摺動複合体として必要なクリアランス
を形成するとともに、これによって、脱脂、焼結時にお
ける1次成形体と2次成形体との接触面積を極力小さく
することで、焼結後には摺動複合体を破壊しない程度の
力量で破壊可能な程度の極微小な溶着部位を形成し、焼
結後、この溶着部位に外力を加えることにより、この溶
着を破壊し、1次成形体と2次成形体とを分離して互い
に摺動可能なものにする。特に、非接触処理剤の塗布す
る箇所を部分的に選択することにより、焼結後の摺動複
合体の強度に合わせて溶着部位の大きさを任意に決める
ことができる。また、2次成形体の成形以降、同様の工
程を繰り返すことにより、複数の成形体の成形・連結
(組立)を、金型内で行うことができる。
【0008】
【実施例】
[実施例1]本実施例を図1〜図7を用いて説明する。
図1は本実施例にて製造する摺動複合体の斜視図、図2
〜図4は図1における摺動複合体を製造する工程を示す
斜視図、図5〜図7は摺動複合体の断面図で、脱脂、焼
結の過程を説明するための図である。
【0009】(構成)図1に示す摺動複合体1は、両端
に大径部を有する円柱状の軸2と、軸2を摺動(図1中
の矢印の方向に回転、直動)するリング状のスライド子
3とから構成される。以下、この摺動複合体1を製造す
る工程について、図2〜図4を用いて説明する。まず、
図示しない成形金型にて、図2に示すように、1次成形
体(グリーン体)として軸2を射出成形する。成形材料
であるコンパウンドの成分は、焼結性粉末として平均粒
径10μmのSUS316Lを91wt%に、有機バイ
ンダとしてPMMAを6wt%、ワックスを2wt%、
ステアリン酸を1wt%とし、これらを混練機に投入
し、混練した後、造粒機に投入し、ペレット状に造粒し
てコンパウンドとする。
【0010】次に、図3に示すように、軸2の小径部に
非接触処理剤4を塗布する。この非接触処理剤4は、透
明なアクリル樹脂塗料で、顔料を含まない無色透明なも
のである。塗布に際しては、溶剤で粘度を低くし、スプ
レー塗布する。塗布する厚さは、摺動複合体として必要
なクリアランスに合わせ、本実施例では、30μmとす
る。塗布後、これを乾燥する。このアクリル樹脂塗料
は、コンパウンドの構成要素である有機バインダの大部
分を占めるPMMAを侵すことのないものであり、溶剤
成分が揮発することで乾燥し、塗膜を形成する。
【0011】非接触処理剤4の乾燥後、図示しない金型
を用いて、インサート成形により、図4に示すように、
2次成形体として軸2にスライド子3を一体に射出成形
する。ここに、スライド子3の成形材料(コンパウン
ド)は軸2のものと同一である。スライド子3の成形
後、軸2とスライド子3とが一体となった状態のまま、
これをアルミナ製のセッターと呼ばれる表面が平滑な皿
の上に置き、脱脂、焼結する。脱脂は、大気雰囲気中、
325℃で3時間、焼結は、Arガス雰囲気中、125
0℃で3時間行う。
【0012】焼結後、炉より摺動複合体1を取り出し、
部分的に溶着した部位を、外力を加えることで破壊し、
図1に示す、互いに摺動可能な摺動複合体1を得る。な
お、外力を加える方向は、図1中の矢印方向、すなわち
スライド子3の可動方向である。
【0013】(作用)非接触処理剤(アクリル樹脂塗
料)4は、図5に示すように、成形後、脱脂前の状態で
は、軸2とスライド子3との間に介在し、両部材同士
を、一定のクリアランスをもって保たせ、非接触のまま
一体のものとする役割をもっている。その後、この非接
触処理剤4は、脱脂の工程(325℃、3時間)によっ
て、完全に除去される。したがって、図6に示すよう
に、除去された非接触処理剤4の膜厚分、軸2とスライ
ド子3との間には、間隙4cが生じる。この間隙4c
は、脱脂時、徐々に非接触処理剤4が除去されるに伴っ
て、軸2の自重により、部分的に徐々に狭くなる部位
と、徐々に広くなる部位とが現れる。狭くなる部位は、
極限まで狭くなり、図7に示すように、ついには、接触
部位を形成してしまう。この接触部位は、焼結時の高温
下、溶着し、溶着部位Aとなる。
【0014】しかしながら、この溶着部位Aは、非接触
処理剤4によって形成されたクリアランス(膜厚)によ
って、極一部の線接触(軸2とスライド子3とが平行な
場合)あるいは点接触(軸2とスライド子3とが傾いた
場合)に限られている。したがって、この接触部位は溶
着するが、他の部位は非接触のために溶着しない。ま
た、溶着部位Aは、基本的に線接触または点接触になっ
ているため、その溶着強度は極めて小さい。そこで、こ
の溶着部位Aにある力量を加えることでこの溶着を破壊
し、軸2とスライド子3とを分離する。具体的には、図
1において矢印方向に力を加えると、上記の部分的な溶
着は破壊され、軸2とスライド子3とが摺動可能とな
る。
【0015】すなわち、本実施例では、焼結体を破壊し
ない程度の力量で破壊されるような、強度的に軽度な溶
着を積極的に利用し、インサート成形技術を用いて焼結
部品からなる摺動部材を成形と同時に組み立て、摺動複
合体を製造するのである。
【0016】(効果)本実施例によると、セラミックス
の粉末を用いることなく、焼結後の摺動複合体1を摺動
可能とすることができるため、焼結後にセラミックス粉
末を除去するための洗浄工程が必要なく、したがって、
生産コストを低く抑えることができる。また、非接触処
理剤4として用いた塗料に含まれる泡消し剤によって、
ムラ、泡のない均一で平滑な非接触処理剤4の塗膜が得
られるため、そこにスライド子3の射出成形を行うこと
により、両部材の摺動面を平滑なものとすることができ
る。さらに、非接触処理剤4として、顔料を含まないも
のを選択したため、焼結時に、顔料に起因する成形体同
士の溶着を防ぐことができる。
【0017】なお、本実施例においては、非接触処理剤
4の塗布をスプレー塗布としたが、これに限らず、刷毛
による塗布など、他の塗布手段を用いてもよい。また、
本実施例では、非接触処理剤4として透明なアクリル樹
脂塗料を使用したが、これに限らず、成形体を構成する
バインダを侵さず、かつ、成形体の表面に良好に付着す
ることのできる樹脂であれば、いずれのものを用いても
よく、例えば、本実施例のコンパウンドとの組み合わせ
に限っては、ビニル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料等が挙
げられる。
【0018】さらに、本実施例においては、焼結性粉末
としてSUS316L粉末を用いて焼結したが、これに
限らず、その他のステンレス鋼の粉末や、他の焼結可能
な金属粉末、更には、金属以外のシリカ、アルミナ、ジ
ルコニア等のセラミックスを用いても上記実施例のよう
な効果を得ることができる。
【0019】また、本実施例では、グリーン体時に非接
触処理剤4を塗布したが、摺動部品とする一方を焼結体
としてからでもよい。この場合、一方の部材、例えば、
軸2のみを先に焼結し、その後に焼結体となった軸2に
対して非接触処理剤4を塗布し、その上にスライド子3
を射出成形し、脱脂、焼結する。つまり、雄部材である
軸2は、2回脱脂、焼結されることとなる。
【0020】このように、軸2のみを先に焼結体とする
場合、軸2とスライド子3とを一体に成形する金型のキ
ャビティは、グリーン体時にキャビティへインサートす
る上記実施例1の場合よりも脱脂、焼結によってインサ
ートする軸2が収縮しているため、その収縮に見合った
だけ小さなものとする。また、このとき、軸2に塗布す
る非接触処理剤4は、スライド子3の収縮を見込んで塗
布厚を決める等の処置が必要となる。
【0021】[実施例2]本実施例は、上記実施例1と
同様の構成である摺動複合体を製造するものであり、非
接触処理剤の塗布方法が異なる点以外は、上記実施例1
と同様の構成であるため、その説明は省略する。図8
は、本実施例における軸2への非接触処理剤4の塗布パ
ターンを説明するための斜視図、図9はスライド子3を
射出成形した後の軸2およびスライド子3の状態を示す
断面図、図10は焼結によって軸2とスライド子3との
間に溶着部位が形成された状態を示す断面図である。
【0022】(構成)本実施例では、軸2とスライド子
3とが接触する部分において、非接触処理剤4を塗布す
る部分と塗布しない部分とを設けた。具体的には、本実
施例では、軸2にマスキングテープを貼り、その上から
非接触処理剤4を塗布し、乾燥後テープを剥がし、テー
プを貼った部分には非接触処理剤4が塗布されないよう
にした。軸2への非接触処理剤4の塗布パターンは、図
8に示すようなもので、本実施例においては、非接触処
理剤4を塗布しない非塗布部4aを、軸2の軸線に沿っ
た直線状に、幅0.3mmのものを3本設ける。なお、
このパターンに関しては、特に限定するものではなく、
幅、本数、形状ともに、任意に設定してもよい。
【0023】非接触処理剤4が乾燥した後、軸2と一体
にスライド子3を射出成形する。このとき、溶着したコ
ンパウンドは、非接触処理剤4が非塗布部4aにも流れ
込む。これによって、スライド子3は、図9に示すよう
に、内径部位に、軸方向に細長で高さの低い(高さは、
非接触処理剤4の厚さと等しい)リブ3aを有する形状
となる。以後、一体となった摺動複合体を脱脂し、焼結
する。その他の構成は上記実施例1と同様である。
【0024】(作用)脱脂および焼結時、スライド子3
は、非接触処理剤4の非塗布部4aにて形成されたリブ
3aによって支持されることとなる。そして、焼結時、
このリブ3aと軸2とが接触しているため、図10に示
すように、この部位には溶着部位Aが発生する。この溶
着部位Aは、リブ3aと軸2との接触部分にのみ限定さ
れ、他の部位は、溶着が起こらない。つまり、スライド
子3と軸2との溶着部位Aは、非接触処理剤4を軸2に
塗布したときに決まるものである。焼結後、この溶着部
位Aに外力を加えることで、溶着部位Aを破壊する。
【0025】(効果)本実施例によると、溶着部位Aの
大きさやその数を任意に決めることにより、焼結体の機
械的な強度に見合った溶着部位Aを決めることができる
ため、溶着が強固なことにより焼結体を破損してしまう
ようなことがない。その他の効果については、上記実施
例1と同様である。
【0026】[実施例3]図11〜図25を用いて本実
施例を詳細に説明する。図11は、本実施例における成
形体の形状を示す斜視図、図12は図11に示す成形体
を連結した摺動複合体を示す斜視図、図13および図1
4は図12に示す摺動複合体を成形し、かつ、組み立て
ることのできる金型の構成を説明する断面図、図15〜
図25は、成形体を成形しつつ連結する工程を説明する
ための図である。
【0027】(構成)まず、図11および図12を用い
て本実施例にて成形する成形体の形状を説明する。図1
1に示す成形体5は、同様の形状のものを複数個連結す
ることで、図12に示す摺動複合体(湾曲機構)6を構
成するものである。断面略Y字状の成形体5は、基部の
両側に突き出した円柱状の突起5aと、二股部にそれぞ
れ設けられ、この突起5aの外径より若干大径である孔
部5bとを有しており、一方の成形体5の突起5aがそ
れに連結される成形体5の孔部5bに遊嵌し、互いの側
面5c、5dが摺り合わされることで、双方が摺動自在
に連結されるものである。なお、図12にて示す摺動複
合体6において、先頭の成形体5’は、これらを成形す
る金型の構造上、断面略Y字状ではなく、図11にて示
す成形体5のような側面5dおよび孔部5bは形成され
ない。
【0028】次に、この成形体5を成形しつつ連結(組
立)し、摺動複合体(グリーン体)6とする金型につい
て、図13および図14を用いて説明する。図13は、
本金型装置の断面図、図14は図13におけるX−X線
断面矢視図である。この金型装置7は、図13に示すよ
うに、図示を省略した固定側型板に備えられた固定側入
子8と、この固定側入子8に備えられたホットランナ9
と、図示を省略した可動側型板に備えられた可動側入子
10と、この可動側入子10に備えられたスライド入子
11、12とからなり、また、これに加え、図14に示
すように、3ヶのスライド16(図14では示されない
固定側入子8に備えられている)と、押し出しロッド1
7と、スプレー装置18とからなる。図13に示すよう
に、本金型装置7は、図13中、P.L.(パーティン
グライン)で示す直線より分割されるものであり、可動
側入子10が図13における右方向に移動することで、
型が開くものである。なお、型開き時、スライド11、
12も可動側入子10とともに移動する。
【0029】次に、図14に基づき説明する。図14に
示すように、可動側入子10に備えられたスライド入子
11、12は、成形体5の突起5aを成形するキャビテ
ィ14を構成している。また、両スライド入子11、1
2の中間には、押し込みロッド13が備えられている。
この押し込みロッド13は、スライド入子11、12に
摺動自在であり、その先端は成形体5の一部を成形する
キャビティ14となっている。
【0030】また、スライド入子11、12の側方に
は、図13において破線で示すように、スリーブ15が
備えられている。このスリーブ15は、図14に示すよ
うに、成形体5の外形状と同一の内径をもつ断面長方形
の筒状であり、その内側面は、成形体5の一部を成形す
るためのキャビティ14となっている。さらに、スリー
ブ15の後方には、1次成形体5と2次成形体5との間
隔を保つための3ヶのスライド16が、図14の紙面に
対して垂直方向に、可動側入子10の中を摺動自在とな
っている。また、スリーブ15の内部には、押し出しロ
ッド17が摺動自在に備えられている。押し出しロッド
17の先端は、成形体5の一部を成形するキャビティ1
4となっている。
【0031】一方、押し込みロッド13の両サイドに
は、非接触処理剤を塗布するためのスプレー装置18が
備えられている。このスプレー装置18は、スライド入
子11、12が移動することで、キャビティ14内にあ
る成形体5付近に接近可能になっている。なお、図14
において、符号19で示す点は、図13にて示すホット
ランナ9のゲート位置であり、これは、固定側入子8に
設けられているものであるため、ここでは、単にゲート
位置を点にて示しただけである。
【0032】次に、図15〜図24を用いて、上記構成
の金型装置7を用いた成形体5の連続成形・連結(組
立)の手順について説明する。まず、図15に示すよう
に、キャビティ14内に溶融コンパウンドを射出し、先
頭の1次成形体5’を得る。ここで、先頭となる1次成
形体5’には、孔部5bが形成されない(図12にて示
す成形体5’となる)。このコンパウンドの成分は、焼
結性粉末として平均粒径10μmのSUS316Lを9
1wt%、有機バインダとしてPMMAを6wt%、ワ
ックスを2wt%、ステアリン酸を1wt%としたもの
で、これらを混練機に投入し、混練した後、造粒機に投
入し、ペレット状に造粒してコンパウンドとした。
【0033】射出後、一定時間の冷却によって1次成形
体5’が十分固化した後、図16に示すように、スライ
ド入子11、12を後退し、スライド入子11、12が
十分に後退したら、スプレー装置18を前進し、非接触
処理剤4として成形体5’に樹脂を塗布する。非接触処
理剤4は、成形体5’の突起5aと側面5c(次に成形
する2次成形体5と接する面であり、また、2次成形体
5のキャビティとなる面である)に塗布する。
【0034】ここで、突起5aへの塗布は、実施例1に
おける軸への塗布と同様なものとし、側面5cへの塗布
は、上記実施例2のように、選択的に塗布するものと
し、非接触処理剤4を塗布する部分と塗布しない部分
(非塗布部4a)とに分ける。側面5cへの塗布のパタ
ーンは、図17に示す通りであり、側面5cに幅0.3
mmの直線状の非塗布部4aを4箇所設けた。なお、図
17において、裏面側の側面5cも同様に塗布してあ
る。実施例2では、マスキングテープを貼って塗布した
が、本実施例では、塗布パターンを転写したプレート
(図示省略)を用意し、これによって、塗布部と非塗布
部4aとを分けた。
【0035】以下、本実施例における樹脂の性質につい
て説明する。この樹脂は、一般的にアクリル系塗料と称
される合成樹脂塗料である。この塗料には、一切の顔料
を含まない透明なものを使用した。また、スプレー塗布
時に周囲の空気を巻き込むことによる泡立ちを防ぐ泡消
し剤を含んだものである。このアクリル樹脂塗料は、成
形体5の構成要素である有機バインダを侵すことなく、
また、成形体5(5’)に対する付着性もよいことから
選んだものである。アクリル樹脂塗料の塗布厚さは、3
0μmとする。この厚さは、焼結後、成形体5同士の摺
動に必要なクリアランスである。また、塗布部位は、2
次成形体5と接する部位(1次成形体5’が2次成形体
5を成形するためのキャビティとなる部位)とした。
【0036】非接触処理剤4を塗布後、図18に示すよ
うに、スプレー装置18を後退し、押し込みロッド13
によって1次成形体5’をスリーブ15内に押し込む。
このとき、押し込みロッド13に連動して押し出しロッ
ド17が後退する。1次成形体5’の押し込み量は、1
次成形体5’と2次成形体5との間隔に等しい。
【0037】1次成形体5’の押し込みが完了したら、
図19に示すように、押し込みロッド13を元の位置に
後退し、スライド11、12を前進するとともにスライ
ド16を前進(図19の紙面に対して垂直方向)し、2
次成形体5を成形するためのキャビティ14’を再形成
する。このとき、1次成形体5’の突起5aは、2次成
形体5の孔部5bを成形するキャビティ14’となる。
キャビティ14’の再形成後、図20に示すように、溶
融コンパウンドをキャビティ14’に射出し、2次成形
体5を得る。コンパウンドは1次成形体5’を成形した
ものと同一のものを用いる。このとき、コンパウンド
は、非接触処理剤4の非塗布部4aにも充填されるた
め、この部分において、1次成形体5’と2次成形体5
とが接触した状態となる。
【0038】非塗布部4aに充填されたコンパウンド
は、2次成形体5の側面部5d(図11参照)にリブを
形成した形状となる(実施例2と同様)。2次成形体5
を成形後、図21に示すように、スプレー装置18を前
進し、これによって2次成形体5に非接触処理剤4を塗
布する。上記と同様に非接触処理剤4はアクリル樹脂塗
料とする。以降、図18〜図21までの手順を順次繰り
返すことで、同一形状の成形体5を複数個連続成形しつ
つ連結する。
【0039】所定個数成形後、図22に示すように、金
型7を開き、固定側入子8と可動側入子10とを分離す
る。続いて、スライド入子11、12を後退し(図23
参照)、スリーブ15を可動側入子10より外し(図2
4参照)、押し出しロッド17によってスリーブ15内
の連結された成形体5を押し出す(図25参照)。
【0040】金型7より取り出した上記連結状態の成形
体5(図9に示す状態)をセッターと称されるセラミッ
クス製の皿(本実施例ではアルミナ)に載せ、脱脂、焼
結する。脱脂は、大気雰囲気中、325℃の温度で3時
間行う。この脱脂によって、非接触処理剤4は除去され
る。このとき、隣り合う成形体5同士(例えば、1次成
形体5’と2次成形体5)は、実施例2と同様に、非接
触処理剤4の非塗布部4aによって形成されたリブによ
ってのみ接触している。脱脂後、焼結を行う。焼結は、
Arガス雰囲気中、1300℃の温度で2時間行う。焼
結時において、隣り合う成形体5同士(例えば、1次成
形体5’と2次成形体5)は、非接触処理剤4の非塗布
部4aでのみ溶着する。焼結後、この溶着部位に対して
外力を加えることで、溶着部位を破壊し、隣り合う成形
体5同士を分離して、摺動可能にする。外力は、この摺
動複合体6の屈曲方向、すなわち、図12にて示す矢印
の方向である。
【0041】(作用)本実施例によると、1次成形体5
(5’)を成形後、これを所定量(1次成形体5と2次
成形体5との間隔分)スライドし、その上に非接触処理
剤4を塗布した後に、この上に2次成形体5を成形す
る。そして、1次成形体5の一部(2次成形体5と接す
る部位)を、2次成形体5を成形するキャビティ14’
の一部とすることで、同一形状の成形体5の、金型7内
における成形・連結(組立)を行う。そして、この手順
を繰り返すことで、複数個の成形体5を連結するもので
ある。その他の作用は、上記実施例1、2と同様であ
る。
【0042】(効果)本実施例によると、部品の破損に
つながるような溶着を防ぎつつも同一形状の成形体5を
複数個連続して成形、組立、脱脂、焼結を行うことがで
きる。その他の効果は、上記実施例1、2と同様であ
る。
【0043】[実施例4〜12]コンパウンドの組成と
分離剤の組成の組み合わせ以外が上記実施例2と重複し
ているものに関しては、実施例4〜12として表1に示
した。なお、各実施例における乾燥機構も表1中に併記
した。
【0044】
【表1】
【0045】表1において、コンパウンドの構成は、バ
インダの主成分以外の成分に関しては特に限定するもの
ではなく、例えば、金属粉末は焼結可能なものであれ
ば、いずれの金属粉末を用いてもよく、また、バインダ
に助剤として含まれる成分も、成形時の流動性、離型性
を付与するものであれば、いずれのものを用いてもよ
い。なお、実施例4〜12における作用、効果は、上記
実施例2と同様である。
【0046】
【発明の効果】以上のように、請求項1に係る発明によ
れば、焼結によって摺動複合体を得る際、摺動複合体を
構成する個々の部品同士の焼結時における溶着を防ぐた
めに、セラミックスの粉末を使用することがない。その
ため、焼結後に摺動複合体を洗浄する必要がなく、低コ
ストにして摺動複合体を得ることができる。請求項2に
係る発明によれば、上記効果に加え、非接触処理剤用の
樹脂として、一般的な塗料を用いたことによって、ムラ
のない、均一な膜を得ることができる。また、透明塗料
とすることで、顔料に起因する成形体同士の溶着がな
い。請求項3に係る発明によれば、上記効果に加え、1
次成形体と2次成形体との接触部位の大きさを任意に設
定できるため、焼結後の摺動複合体の強度に合わせた溶
着部位の大きさを設定できる。請求項4に係る発明によ
れば、上記効果に加え、複数個の部品からなる摺動複合
体の成形、連結を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造する摺動複合体を示す斜視図で
ある。
【図2】図1に示す摺動複合体を製造する工程を説明す
る斜視図である。
【図3】図1に示す摺動複合体を製造する工程を説明す
る斜視図である。
【図4】図1に示す摺動複合体を製造する工程を説明す
る斜視図である。
【図5】図1に示す摺動複合体を製造する工程を説明す
る断面図である。
【図6】図1に示す摺動複合体を製造する工程を説明す
る断面図である。
【図7】図1に示す摺動複合体を製造する工程を説明す
る断面図である。
【図8】実施例2における非接触処理剤の塗布パターン
を示す斜視図である。
【図9】実施例2の摺動複合体を製造する工程を説明す
る断面図である。
【図10】実施例2の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図11】実施例3における成形体の形状を示す斜視図
である。
【図12】実施例3で製造する摺動複合体を示す斜視図
である。
【図13】実施例3で用いた金型装置を示す断面図であ
る。
【図14】図13におけるX−X線断面矢視図である。
【図15】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図16】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図17】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図18】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図19】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図20】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図21】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図22】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図23】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図24】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する断面図である。
【図25】実施例3の摺動複合体を製造する工程を説明
する斜視図である。
【図26】従来の摺動複合体の製造方法を示す斜視図で
ある。
【図27】従来の摺動複合体の製造方法を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1,6 摺動複合体 2 軸 3 スライド子 4 非接触処理剤 4a 非塗布部 5,5’ 成形体 7 金型装置 14,14’ キャビティ 18 スプレー装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 児玉 卓弥 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結性粉末とバインダ樹脂との混練物で
    あるコンパウンドより1次成形体を射出成形し、続いて
    2次成形体を射出成形し、1次成形体と2次成形体とを
    一体とし、これを脱脂し、焼結して1次成形体と2次成
    形体とを摺動可能なものとする摺動複合体の製造方法に
    おいて、 1次成形体の成形後、1次成形体の少なくとも2次成形
    体と接する部位に、1次成形体と2次成形体とを非接触
    とするための非接触処理剤として樹脂の膜を形成し、そ
    の後、この樹脂の膜の上に2次成形体を射出成形するこ
    とを特徴とする摺動複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記非接触処理剤は、顔料を含まない塗
    料であることを特徴とする請求項1記載の摺動複合体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 1次成形体に非接触処理剤を塗布する
    際、2次成形体と接する部位において、部分的に非接触
    処理剤を塗布しないことを特徴とする請求項1または2
    記載の摺動複合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記2次成形体の成形以降、成形および
    非接触処理剤塗布の工程を順次繰り返し、複数個の成形
    体を成形と同時に連結して摺動複合体を製造することを
    特徴とする請求項1,2または3記載の摺動複合体の製
    造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101377271B1 (ko) * 2012-08-22 2014-04-01 미래메탈테크(주) 자동차 터보차저용 웨이스트 게이트 밸브 제조방법

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