JPH08225810A - 仮焼結を利用した摺動複合体の製造方法 - Google Patents
仮焼結を利用した摺動複合体の製造方法Info
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- JPH08225810A JPH08225810A JP3525895A JP3525895A JPH08225810A JP H08225810 A JPH08225810 A JP H08225810A JP 3525895 A JP3525895 A JP 3525895A JP 3525895 A JP3525895 A JP 3525895A JP H08225810 A JPH08225810 A JP H08225810A
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- sintered
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 複数の部品を嵌め合わせて焼結体からなる摺
動複合体を製造する際、摺動複合体を構成する部品が破
損するのを防ぐ。 【構成】 金属粉末もしくはセラミックス粉末とバイン
ダ樹脂との混練物であるコンパウンドを所定形状に成形
して個別に得た成形体を脱脂した後、連結する一方の成
形体(雄部材2)を1次焼結し、それとは別にもう一方
の成形体(雌部品3)を仮焼結し、1次焼結後の焼結体
(雄部品2)と仮焼結後の仮焼結体(雌部品3)とを連
結した後、両部品2,3を同時に2次焼結し、仮焼結体
を2次焼結により収縮させて両焼結体(雄部品2、雌部
品3)を摺動可能に連結する。
動複合体を製造する際、摺動複合体を構成する部品が破
損するのを防ぐ。 【構成】 金属粉末もしくはセラミックス粉末とバイン
ダ樹脂との混練物であるコンパウンドを所定形状に成形
して個別に得た成形体を脱脂した後、連結する一方の成
形体(雄部材2)を1次焼結し、それとは別にもう一方
の成形体(雌部品3)を仮焼結し、1次焼結後の焼結体
(雄部品2)と仮焼結後の仮焼結体(雌部品3)とを連
結した後、両部品2,3を同時に2次焼結し、仮焼結体
を2次焼結により収縮させて両焼結体(雄部品2、雌部
品3)を摺動可能に連結する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属粉末射出成形法
(Metal Injection Molding:
以下、MIMと称する)のプロセスを用いて焼結体を製
造するにあたり、一部の部品を仮焼結するようにした仮
焼結を利用した摺動複合体の製造方法に関する。
(Metal Injection Molding:
以下、MIMと称する)のプロセスを用いて焼結体を製
造するにあたり、一部の部品を仮焼結するようにした仮
焼結を利用した摺動複合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】摺動複合体は、製品を構成する複数部品
の内、少なくとも1つの部品が移動動作可能に構成され
ており、例えば、図1に示す摺動複合体1は、軸部2a
およびフランジ部2bより構成される軸2とスライド子
3とからなり、スライド子3は、軸部2a上を矢印の方
向に摺動自在であるものの、フランジ部2bによって軸
2から外れないよう規制されて、分割不可能となってい
る。
の内、少なくとも1つの部品が移動動作可能に構成され
ており、例えば、図1に示す摺動複合体1は、軸部2a
およびフランジ部2bより構成される軸2とスライド子
3とからなり、スライド子3は、軸部2a上を矢印の方
向に摺動自在であるものの、フランジ部2bによって軸
2から外れないよう規制されて、分割不可能となってい
る。
【0003】従来、このような摺動複合体1を製造する
際にMIMのプロセスを応用したものの例として、特開
平6−93306号公報に記載されたものがある。この
公報に記載されたものは、MIMのプロセスにて製造す
る際、成形時にインサート成形の技術を利用することで
軸2とスライド子3とを一体に成形し、脱脂、焼結する
ものである。
際にMIMのプロセスを応用したものの例として、特開
平6−93306号公報に記載されたものがある。この
公報に記載されたものは、MIMのプロセスにて製造す
る際、成形時にインサート成形の技術を利用することで
軸2とスライド子3とを一体に成形し、脱脂、焼結する
ものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平6−933
06号公報にあっては、インサート成形を行なう際、1
次成形体(例えば、図1の軸2)の一部分は、2次成形
体(例えば、図1のスライド子3)を成形するためキャ
ビティの一部となる。1次成形体と一体的に2次成形体
を成形する際、溶融したコンパウンドが高い圧力で射出
されると、1次成形体と2次成形体との境界面におい
て、コンパウンドを構成するバインダ同士が溶着する場
合がある。このように1次成形体と2次成形体とが界面
において溶着した場合、これを脱脂・焼結すると、1次
成形体を構成する金属粉末と2次成形体を構成する金属
粉末とが互いに溶着してしまい、1次成形体である軸2
と2次成形体であるスライド子3とが摺動しなくなる。
06号公報にあっては、インサート成形を行なう際、1
次成形体(例えば、図1の軸2)の一部分は、2次成形
体(例えば、図1のスライド子3)を成形するためキャ
ビティの一部となる。1次成形体と一体的に2次成形体
を成形する際、溶融したコンパウンドが高い圧力で射出
されると、1次成形体と2次成形体との境界面におい
て、コンパウンドを構成するバインダ同士が溶着する場
合がある。このように1次成形体と2次成形体とが界面
において溶着した場合、これを脱脂・焼結すると、1次
成形体を構成する金属粉末と2次成形体を構成する金属
粉末とが互いに溶着してしまい、1次成形体である軸2
と2次成形体であるスライド子3とが摺動しなくなる。
【0005】そこで、軸2とスライド子3とを別々に成
形し、軸2を先に焼結することで、グリーン体時(成形
体)の寸法より収縮させ、これにグリーン体であるスラ
イド子3を挿入し、脱脂・焼結し、スライド子3が焼結
時に収縮することで、軸2とスライド子3とが締まりば
めとならない程度に軸2とスライド子3とを嵌め合わせ
ることが考えられている。
形し、軸2を先に焼結することで、グリーン体時(成形
体)の寸法より収縮させ、これにグリーン体であるスラ
イド子3を挿入し、脱脂・焼結し、スライド子3が焼結
時に収縮することで、軸2とスライド子3とが締まりば
めとならない程度に軸2とスライド子3とを嵌め合わせ
ることが考えられている。
【0006】しかし、上記軸2とスライド子3とを嵌め
合わせる方法を用いると、インサート成形による不具合
は解消されるものの、非常に脆いグリーン体と焼結体と
を組む際、グリーン体を破損してしまうことが多かっ
た。
合わせる方法を用いると、インサート成形による不具合
は解消されるものの、非常に脆いグリーン体と焼結体と
を組む際、グリーン体を破損してしまうことが多かっ
た。
【0007】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて
なされたものであり、焼結部品からなる摺動複合体を製
造する際、摺動複合体を構成する部品を破損することの
ない仮焼結を利用した摺動複合体の製造方法を提供する
ことを目的とする。
なされたものであり、焼結部品からなる摺動複合体を製
造する際、摺動複合体を構成する部品を破損することの
ない仮焼結を利用した摺動複合体の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は以下のように構成した。請求項1の発明
は、金属粉末もしくはセラミックス粉末とバインダ樹脂
との混練物であるコンパウンドを所定形状に成形し、個
別に得られた成形体を脱脂し、焼結して製品を作製する
焼結体の製造方法であって、複数の同一もしくは異形状
の焼結体部品を摺動可能に嵌め合わせてなる摺動複合体
の製造方法において、連結する一方の成形体を1次焼結
し、それとは別にもう一方の成形体を仮焼結し、1次焼
結後の焼結体と仮焼結後の仮焼結体とを連結した後、両
焼結体を同時に2次焼結し、仮焼結体を2次焼結により
収縮させて両焼結体部材を摺動可能に連結することとし
た。
に、本発明は以下のように構成した。請求項1の発明
は、金属粉末もしくはセラミックス粉末とバインダ樹脂
との混練物であるコンパウンドを所定形状に成形し、個
別に得られた成形体を脱脂し、焼結して製品を作製する
焼結体の製造方法であって、複数の同一もしくは異形状
の焼結体部品を摺動可能に嵌め合わせてなる摺動複合体
の製造方法において、連結する一方の成形体を1次焼結
し、それとは別にもう一方の成形体を仮焼結し、1次焼
結後の焼結体と仮焼結後の仮焼結体とを連結した後、両
焼結体を同時に2次焼結し、仮焼結体を2次焼結により
収縮させて両焼結体部材を摺動可能に連結することとし
た。
【0009】請求項2の発明は、請求項1にあって、仮
焼結体の仮焼結温度を、1次焼結の焼結温度よりも低い
温度であるようにした。
焼結体の仮焼結温度を、1次焼結の焼結温度よりも低い
温度であるようにした。
【0010】請求項3の発明は、請求項1にあって、2
次焼結終了後、焼結の最終温度から20℃/h以下の冷
却速度で焼結炉内冷却することとした。
次焼結終了後、焼結の最終温度から20℃/h以下の冷
却速度で焼結炉内冷却することとした。
【0011】請求項4の発明は、請求項1にあって、少
なくとも仮焼結体と焼結体との接触部位において、仮焼
結体または焼結体の少なくともどちらか一方にセラミッ
クスの粉末を主成分とする分離剤を塗布し、その後、仮
焼結体と焼結体を嵌め合わせて2次焼結することとし
た。
なくとも仮焼結体と焼結体との接触部位において、仮焼
結体または焼結体の少なくともどちらか一方にセラミッ
クスの粉末を主成分とする分離剤を塗布し、その後、仮
焼結体と焼結体を嵌め合わせて2次焼結することとし
た。
【0012】
【作用】請求項1,2の構成にあっては、一方を焼結
体、もう一方を仮焼結体として、これらグリーン体から
の収縮量の異なるものを、2次焼結における仮焼結体の
収縮挙動を利用して、両部材を連結するものである。
体、もう一方を仮焼結体として、これらグリーン体から
の収縮量の異なるものを、2次焼結における仮焼結体の
収縮挙動を利用して、両部材を連結するものである。
【0013】請求項3の構成にあっては、主に、仮焼結
体と焼結体とを嵌め合わせる際、連結部材を一旦塑性変
形し、これを再び戻すことで嵌め合わせるようなとき、
2次焼結後の焼結炉内で冷却し、その冷却速度を20℃
/h以下に制御することで、焼結体を焼きなましする。
金属を焼きなまし処理する場合、一般的に20℃/hの
冷却速度が最適であるとされている。20℃/h以上で
あると十分な焼きなましが行なわれない。
体と焼結体とを嵌め合わせる際、連結部材を一旦塑性変
形し、これを再び戻すことで嵌め合わせるようなとき、
2次焼結後の焼結炉内で冷却し、その冷却速度を20℃
/h以下に制御することで、焼結体を焼きなましする。
金属を焼きなまし処理する場合、一般的に20℃/hの
冷却速度が最適であるとされている。20℃/h以上で
あると十分な焼きなましが行なわれない。
【0014】請求項4の構成にあっては、摺動複合体を
構成する部品同士を非接触なものとする。
構成する部品同士を非接触なものとする。
【0015】
【実施例】以下、本発明に係る仮焼結を利用した摺動複
合体の製造方法の実施例を、図面を用いて詳細に説明す
る。
合体の製造方法の実施例を、図面を用いて詳細に説明す
る。
【0016】[実施例1]本発明の実施例1を図1〜図
5に基づいて説明する。図1は本実施例により製造する
摺動複合体を示す斜視図、図2〜図5は本実施例の摺動
複合体を製造する工程の説明図である。
5に基づいて説明する。図1は本実施例により製造する
摺動複合体を示す斜視図、図2〜図5は本実施例の摺動
複合体を製造する工程の説明図である。
【0017】図1に示す摺動複合体1は、軸部2aおよ
びフランジ部2bを有する雄部材2と、軸部2a上の摺
動(回転、直動:図中の矢印方向)するリング状の雌部
材3とより構成されている。
びフランジ部2bを有する雄部材2と、軸部2a上の摺
動(回転、直動:図中の矢印方向)するリング状の雌部
材3とより構成されている。
【0018】以下、この摺動複合体1を製造する工程に
ついて図2〜図5を用いて説明する。まず、図示しない
成形金型にて雄部材2および雌部材3を別々に射出成形
する(図2参照)。成形する雌部材3の内径は、雄部材
2の軸部2aの径より若干大きい径とする。その差は、
雄部材2と雌部材3とが摺動する時に必要なクリアラン
スとし、金型のキャビティを、これに合わせて製作して
おく。具体的には、雄部材2の軸部2aがφ3.96m
m、雄部材2のフランジ部2bがφ4.8mm、雌部材
3の内径がφ4mm、雌部材3の外径がφ4.8mmで
ある。雄部材2および雌部材3の成形材料は、雄部材2
および雌部材3ともに同じものを用い、金属粉末として
平均粒径10μmのSUS316Lを80wt%、有機
バインダとしてPMMAを17wt%、ワックスを2w
t%、ステアリン酸を1wt%とし、これらを混練機に
投入し、混練した後、造粒機に投入し、ペレット状に造
粒したコンパウンドを使用した。
ついて図2〜図5を用いて説明する。まず、図示しない
成形金型にて雄部材2および雌部材3を別々に射出成形
する(図2参照)。成形する雌部材3の内径は、雄部材
2の軸部2aの径より若干大きい径とする。その差は、
雄部材2と雌部材3とが摺動する時に必要なクリアラン
スとし、金型のキャビティを、これに合わせて製作して
おく。具体的には、雄部材2の軸部2aがφ3.96m
m、雄部材2のフランジ部2bがφ4.8mm、雌部材
3の内径がφ4mm、雌部材3の外径がφ4.8mmで
ある。雄部材2および雌部材3の成形材料は、雄部材2
および雌部材3ともに同じものを用い、金属粉末として
平均粒径10μmのSUS316Lを80wt%、有機
バインダとしてPMMAを17wt%、ワックスを2w
t%、ステアリン酸を1wt%とし、これらを混練機に
投入し、混練した後、造粒機に投入し、ペレット状に造
粒したコンパウンドを使用した。
【0019】次に、成形した雄部材2および雌部材3を
脱脂する。脱脂は大気雰囲気中325℃で3時間行う。
脱脂する。脱脂は大気雰囲気中325℃で3時間行う。
【0020】脱脂後、雄部材2の焼結(1次焼結)と、
雌部材3の仮焼結を行なう。雄部材2の1次焼結の条件
は、Ar雰囲気中、昇温速度5℃/分で焼結温度120
0℃まで昇温し、この1200℃を3時間保持し、その
後炉内にて放冷とする。また、雌部材3の仮焼結の条件
は、Ar雰囲気中、昇温速度5℃/分で仮焼結温度11
00℃に到達と同時に炉内で放冷とする。そして、雄部
材2の焼結後および雌部材3の仮焼結後、炉より両部材
2,3を取り出す。
雌部材3の仮焼結を行なう。雄部材2の1次焼結の条件
は、Ar雰囲気中、昇温速度5℃/分で焼結温度120
0℃まで昇温し、この1200℃を3時間保持し、その
後炉内にて放冷とする。また、雌部材3の仮焼結の条件
は、Ar雰囲気中、昇温速度5℃/分で仮焼結温度11
00℃に到達と同時に炉内で放冷とする。そして、雄部
材2の焼結後および雌部材3の仮焼結後、炉より両部材
2,3を取り出す。
【0021】ここで、成形体〜焼結体となるまでの雄部
材2の収縮率(線収縮)は、25%である。また、成形
体〜仮焼結体となるまでの雌部材3の収縮率(線収縮)
は8%である。すなわち、雄部材2(焼結体)の収縮量
の方が、雌部材3(仮焼結体)の収縮量より大きい。焼
結の完了している雄部材2の具体的な寸法は、収縮(線
収縮25%)により、軸部2aが2.97mm、フラン
ジ部2bが3.60mmになっている。一方、雌部材3
の4mmの内径(グリーン体時)は、仮焼結後、収縮
(線収縮8%)により、3.68mmとなる(図3参
照)。したがって、雄部材2を雌部材3の内径部に嵌め
込むことができる。
材2の収縮率(線収縮)は、25%である。また、成形
体〜仮焼結体となるまでの雌部材3の収縮率(線収縮)
は8%である。すなわち、雄部材2(焼結体)の収縮量
の方が、雌部材3(仮焼結体)の収縮量より大きい。焼
結の完了している雄部材2の具体的な寸法は、収縮(線
収縮25%)により、軸部2aが2.97mm、フラン
ジ部2bが3.60mmになっている。一方、雌部材3
の4mmの内径(グリーン体時)は、仮焼結後、収縮
(線収縮8%)により、3.68mmとなる(図3参
照)。したがって、雄部材2を雌部材3の内径部に嵌め
込むことができる。
【0022】次に、図4に示す通り、雄部材2を雌部材
3に嵌め込み、これを再び焼結(2次焼結)する。この
時の焼結条件は、上記雄部材2の1次焼結のものと同様
とする。
3に嵌め込み、これを再び焼結(2次焼結)する。この
時の焼結条件は、上記雄部材2の1次焼結のものと同様
とする。
【0023】なお、本実施例においては、金属粉末とし
てSUS316Lを用いて焼結したが、これに限らず、
その他のステンレス鋼や、他の焼結可能な金属粉末、さ
らには金属以外のSiO2 、アルミナ、ジルコニア等の
セラミックス粉末を使用することができる。
てSUS316Lを用いて焼結したが、これに限らず、
その他のステンレス鋼や、他の焼結可能な金属粉末、さ
らには金属以外のSiO2 、アルミナ、ジルコニア等の
セラミックス粉末を使用することができる。
【0024】本実施例の作用を説明する。雄部材2は、
2回同じ条件で焼結(1次焼結、2次焼結)されること
となるが、1次焼結によって緻密化が完了しているた
め、これ以上の収縮挙動は2次焼結においてみられな
い。また、2次焼結時、雌部材3は、仮焼結の状態のま
ま焼結されるため、緻密化が進み(相対密度が上が
り)、収縮する。この収縮により、雄部材2と雌部材3
との間隔(雄部材2の軸部2a外周面と雌部材3の内周
面との間隔)が小さくなり、軸部2aにおいて雌部材3
が摺動可能な程度のクリアランスを保つとともに、雌部
材3が雄部材2のフランジ部2bから抜け落ちない状態
となり、この状態で収縮が完了する(図5参照)。
2回同じ条件で焼結(1次焼結、2次焼結)されること
となるが、1次焼結によって緻密化が完了しているた
め、これ以上の収縮挙動は2次焼結においてみられな
い。また、2次焼結時、雌部材3は、仮焼結の状態のま
ま焼結されるため、緻密化が進み(相対密度が上が
り)、収縮する。この収縮により、雄部材2と雌部材3
との間隔(雄部材2の軸部2a外周面と雌部材3の内周
面との間隔)が小さくなり、軸部2aにおいて雌部材3
が摺動可能な程度のクリアランスを保つとともに、雌部
材3が雄部材2のフランジ部2bから抜け落ちない状態
となり、この状態で収縮が完了する(図5参照)。
【0025】本実施例によれば、一方の成形体(雄部材
2)を1次焼結し、他方の成形体(雌部材3)を一旦仮
焼結することで成形体の機械的強度を向上しているた
め、雄部材2と雌部材3を組み付ける時に成形体を破損
することがない。
2)を1次焼結し、他方の成形体(雌部材3)を一旦仮
焼結することで成形体の機械的強度を向上しているた
め、雄部材2と雌部材3を組み付ける時に成形体を破損
することがない。
【0026】[実施例2]本発明の実施例2を図6に基
づいて説明する。図6は本実施例の製造工程の一部を示
す説明図である。本発明の実施例2は、上記実施例1に
おける焼結(2次焼結)時に、雄部材2と雌部材3との
溶着を確実に防ぐことに関するものであり、上記実施例
1と重複する点についてはその説明を省略する。
づいて説明する。図6は本実施例の製造工程の一部を示
す説明図である。本発明の実施例2は、上記実施例1に
おける焼結(2次焼結)時に、雄部材2と雌部材3との
溶着を確実に防ぐことに関するものであり、上記実施例
1と重複する点についてはその説明を省略する。
【0027】雄部材2と雌部材3とを個別に射出成形
し、その後、雄部材2を1次焼結、雌部材3を仮焼結す
るまでは、上記実施例1と同様である。
し、その後、雄部材2を1次焼結、雌部材3を仮焼結す
るまでは、上記実施例1と同様である。
【0028】次に、図6に示す通り、1次焼結後の雄部
材2の軸部2aに、2次焼結において雌部材3との溶着
を防ぐ分離剤4を塗布し、これを乾燥(揮発乾燥)す
る。
材2の軸部2aに、2次焼結において雌部材3との溶着
を防ぐ分離剤4を塗布し、これを乾燥(揮発乾燥)す
る。
【0029】以下、この分離剤4について説明する。こ
の分離剤4は、セラミックス粉末としてc−BN粉末
(平均粒径1μm)を透明なアクリルラッカーに分散
し、スプレー塗布可能な程度にアクリル溶剤にて希釈し
たものである。
の分離剤4は、セラミックス粉末としてc−BN粉末
(平均粒径1μm)を透明なアクリルラッカーに分散
し、スプレー塗布可能な程度にアクリル溶剤にて希釈し
たものである。
【0030】塗布した分離剤4が乾燥した後、雄部材2
を雌部材3に嵌め込む。以後の製造工程については、上
記実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
を雌部材3に嵌め込む。以後の製造工程については、上
記実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
【0031】なお、本実施例においては、分離剤4の塗
布をスプレー塗布としたが、これに限らず、ハケによる
塗布等、他の塗布手段を用いてもよい。また、本実施例
では、雄部材2側に分離剤4を塗布したが、雌部材3の
内径部に塗布してもよいし、雄部材2および雌部材3の
両方に塗布してもよい。さらに、本実施例では、分離剤
4として透明なアクリル樹脂塗料を使用したが、これに
限らず、成形体(雄部材2、雌部材3)を構成するバイ
ンダを侵さず、かつ、成形体の表面に良好に付着するこ
とのできる樹脂であれば、いずれのものを用いてもよ
い。例えば、本実施例のコンパウンドとの組合せに限っ
ては、ビニル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、等を挙げる
ことができる。また、コンパウンドの組成によって、付
着しにくい塗料種を分離剤4の成分として用いる場合
は、分離剤4を成形体に塗布する前に、成形体に対して
付着性のよい塗料種(クリアなもの)で下塗をした後
に、分離剤4を塗布してもよい。さらに、セラミックス
粉末は、c−BN粉末に限らず、アルミナ、ジルコニ
ア、SiC等を用いてもよい。
布をスプレー塗布としたが、これに限らず、ハケによる
塗布等、他の塗布手段を用いてもよい。また、本実施例
では、雄部材2側に分離剤4を塗布したが、雌部材3の
内径部に塗布してもよいし、雄部材2および雌部材3の
両方に塗布してもよい。さらに、本実施例では、分離剤
4として透明なアクリル樹脂塗料を使用したが、これに
限らず、成形体(雄部材2、雌部材3)を構成するバイ
ンダを侵さず、かつ、成形体の表面に良好に付着するこ
とのできる樹脂であれば、いずれのものを用いてもよ
い。例えば、本実施例のコンパウンドとの組合せに限っ
ては、ビニル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、等を挙げる
ことができる。また、コンパウンドの組成によって、付
着しにくい塗料種を分離剤4の成分として用いる場合
は、分離剤4を成形体に塗布する前に、成形体に対して
付着性のよい塗料種(クリアなもの)で下塗をした後
に、分離剤4を塗布してもよい。さらに、セラミックス
粉末は、c−BN粉末に限らず、アルミナ、ジルコニ
ア、SiC等を用いてもよい。
【0032】本実施例の作用を説明する。本実施例で
は、雄部材2と雌部材3との間に、c−BN粉末(平均
粒径1μm)を主成分とする分離剤4が介在している。
雄部材2と雌部材3とを嵌め合わせて2次焼結すると、
分離剤4を構成するアクリルラッカーは除去され、雄部
材2と雌部材3との間には、c−BN粉末のみが残る。
このc−BN粉末は、化学的に非常に安定な物質であ
り、成形体を構成する有機バインダや金属粉末とは、な
んら反応しない。また、金属粉末を焼結する程度の温度
では、なんら変化しない。したがって、2次焼結時に雄
部材2と雌部材3とを常に非接触に保つことができるの
で、雄部材2と雌部材3とが互いに溶着するのを防ぐこ
とができる。その他の作用に関しては、上記実施例1と
同様であるため、その説明を省略する。
は、雄部材2と雌部材3との間に、c−BN粉末(平均
粒径1μm)を主成分とする分離剤4が介在している。
雄部材2と雌部材3とを嵌め合わせて2次焼結すると、
分離剤4を構成するアクリルラッカーは除去され、雄部
材2と雌部材3との間には、c−BN粉末のみが残る。
このc−BN粉末は、化学的に非常に安定な物質であ
り、成形体を構成する有機バインダや金属粉末とは、な
んら反応しない。また、金属粉末を焼結する程度の温度
では、なんら変化しない。したがって、2次焼結時に雄
部材2と雌部材3とを常に非接触に保つことができるの
で、雄部材2と雌部材3とが互いに溶着するのを防ぐこ
とができる。その他の作用に関しては、上記実施例1と
同様であるため、その説明を省略する。
【0033】本実施例によれば、分離剤4によって、焼
結時に雄部材2と雌部材3とが非接触となるため、雄部
材2と雌部材3との、焼結時における溶着を完全に防ぐ
ことができる。その他の効果については、上記実施例1
と同様である。
結時に雄部材2と雌部材3とが非接触となるため、雄部
材2と雌部材3との、焼結時における溶着を完全に防ぐ
ことができる。その他の効果については、上記実施例1
と同様である。
【0034】[実施例3]本発明の実施例3を図7〜図
11に基づいて説明する。図7は本実施例によって製造
する摺動複合体を示す斜視図、図8は本実施例で製造す
る摺動複合体を構成する雌側管状構造体を示す斜視図、
図9は本実施例で製造する摺動複合体を構成する雄側管
状構造体を示す斜視図、図10および図11は雌側管状
構造体と雄側管状構造体を連結する工程を説明するため
の説明図である。
11に基づいて説明する。図7は本実施例によって製造
する摺動複合体を示す斜視図、図8は本実施例で製造す
る摺動複合体を構成する雌側管状構造体を示す斜視図、
図9は本実施例で製造する摺動複合体を構成する雄側管
状構造体を示す斜視図、図10および図11は雌側管状
構造体と雄側管状構造体を連結する工程を説明するため
の説明図である。
【0035】本実施例で製造する摺動複合体10は、図
7に示す通り、筒状の管状構造体すなわち雌側管状構造
体11と雄側管状構造体12を交互に複数個連結してな
るものである。
7に示す通り、筒状の管状構造体すなわち雌側管状構造
体11と雄側管状構造体12を交互に複数個連結してな
るものである。
【0036】雌側管状構造体11は、図8に示す通り、
筒状の胴部11aと胴部11aの両端外周に設けた4個
の耳部11bとからなっている。耳部11bは胴部11
aの両端から突出して2個づつ対向する位置に胴部11
aと一体に形成されている。また、突出対向させた耳部
11bの内側の間隔は、胴部11aの外径と同じであ
り、各耳部11bには厚み方向に孔11cがそれぞれ設
けられている。
筒状の胴部11aと胴部11aの両端外周に設けた4個
の耳部11bとからなっている。耳部11bは胴部11
aの両端から突出して2個づつ対向する位置に胴部11
aと一体に形成されている。また、突出対向させた耳部
11bの内側の間隔は、胴部11aの外径と同じであ
り、各耳部11bには厚み方向に孔11cがそれぞれ設
けられている。
【0037】一方、雄側管状構造体12は、図9に示す
通り、筒状の胴部12aと胴部12aの両端面から2個
づつ突出して設けた4個の耳部12bとからなってい
る。この胴部12aは雌側管状構造体11の胴部11a
と同一形状である。また、4個の耳部12bは胴部12
aと一体に形成され、それぞれ対向する位置に設けられ
ている。両端面で対向する耳部12bの外側の間隔は、
雌側管状構造体11に対向配置した耳部11bの外側の
間隔とほぼ同一であり、各耳部12bには雌側管状構造
体11の孔11cに対応し、かつ嵌合自在な突起12c
がそれぞれ設けられている。
通り、筒状の胴部12aと胴部12aの両端面から2個
づつ突出して設けた4個の耳部12bとからなってい
る。この胴部12aは雌側管状構造体11の胴部11a
と同一形状である。また、4個の耳部12bは胴部12
aと一体に形成され、それぞれ対向する位置に設けられ
ている。両端面で対向する耳部12bの外側の間隔は、
雌側管状構造体11に対向配置した耳部11bの外側の
間隔とほぼ同一であり、各耳部12bには雌側管状構造
体11の孔11cに対応し、かつ嵌合自在な突起12c
がそれぞれ設けられている。
【0038】上記雌側管状構造体11と雄側管状構造体
12は、図7に示すように、耳部11bに設けた孔11
cと、雄側管状構造体12bに設けた突起12cとをそ
れぞれ嵌め合わせることで、互いが摺動可能に連結され
るものである。なお、図7では3個(雌側管状構造体1
1が2個)のみの連結例を示したが、必要なだけ、幾つ
でも交互に連結できるものである。
12は、図7に示すように、耳部11bに設けた孔11
cと、雄側管状構造体12bに設けた突起12cとをそ
れぞれ嵌め合わせることで、互いが摺動可能に連結され
るものである。なお、図7では3個(雌側管状構造体1
1が2個)のみの連結例を示したが、必要なだけ、幾つ
でも交互に連結できるものである。
【0039】以下、これら雌側管状構造体11と雄側管
状構造体12の成形・連結・脱脂・焼結の、一連の工程
について説明する。まず、雌側管状構造体11と雄側管
状構造体12を個別に射出成形する。両管状構造体1
1,12の成形材料であるコンパウンドは同一のものを
用い、このコンパウンドは、金属粉末として平均粒径1
0μmのSUS316Lを80wt%、有機バインダと
してPMMAを17wt%、ワックスを2wt%、ステ
アリン酸を1wt%とし、これらを混練機に投入し、混
練した後、造粒機に投入し、ペレット状に造粒したもの
である。
状構造体12の成形・連結・脱脂・焼結の、一連の工程
について説明する。まず、雌側管状構造体11と雄側管
状構造体12を個別に射出成形する。両管状構造体1
1,12の成形材料であるコンパウンドは同一のものを
用い、このコンパウンドは、金属粉末として平均粒径1
0μmのSUS316Lを80wt%、有機バインダと
してPMMAを17wt%、ワックスを2wt%、ステ
アリン酸を1wt%とし、これらを混練機に投入し、混
練した後、造粒機に投入し、ペレット状に造粒したもの
である。
【0040】射出成形後、雌側管状構造体11と雄側管
状構造B12(いずれもグリーン体)を脱脂する。脱脂
は大気雰囲気中325℃で、3時間で行った。脱脂後、
まず、雄側管状構造体12を焼結(1次焼結)する。こ
れとならんで、雌側管状構造体11を仮焼結する。雄側
管状構造体12の1次焼結の条件は、Ar雰囲気中、昇
温速度5℃/分で焼結温度1200℃に昇温した後、こ
の1200℃を3時間保持し、その後炉内で放冷とす
る。また、雌側管状構造体11の仮焼結の条件は、Ar
雰囲気中、昇温速度5℃/分で仮焼結温度1100℃に
到達と同時に炉内で放冷とする。
状構造B12(いずれもグリーン体)を脱脂する。脱脂
は大気雰囲気中325℃で、3時間で行った。脱脂後、
まず、雄側管状構造体12を焼結(1次焼結)する。こ
れとならんで、雌側管状構造体11を仮焼結する。雄側
管状構造体12の1次焼結の条件は、Ar雰囲気中、昇
温速度5℃/分で焼結温度1200℃に昇温した後、こ
の1200℃を3時間保持し、その後炉内で放冷とす
る。また、雌側管状構造体11の仮焼結の条件は、Ar
雰囲気中、昇温速度5℃/分で仮焼結温度1100℃に
到達と同時に炉内で放冷とする。
【0041】雄側管状構造体12の1次焼結および雌側
管状構造体11の仮焼結が終了後、炉より雄側管状構造
体12、雌側管状構造体11を取り出す。成形体〜焼結
体となるまでの雄側管状構造体12の収縮率(線収縮)
は、25%である。また、成形体〜仮焼結体となるまで
の雌側管状構造体11の収縮率(線収縮)は8%であ
る。
管状構造体11の仮焼結が終了後、炉より雄側管状構造
体12、雌側管状構造体11を取り出す。成形体〜焼結
体となるまでの雄側管状構造体12の収縮率(線収縮)
は、25%である。また、成形体〜仮焼結体となるまで
の雌側管状構造体11の収縮率(線収縮)は8%であ
る。
【0042】次に、1次焼結の完了した雄側管状構造体
12に分離剤を塗布する。この分離剤は、雌側管状構造
体11と雄側管状構造体12を連結して焼結する時に、
接触し合う成形体同士が溶着するのを防ぐもので、少な
くとも耳部12bの外側および突起12cに塗布する。
この分離剤は、上記実施例2と同様のものであるため、
その説明を省略する。
12に分離剤を塗布する。この分離剤は、雌側管状構造
体11と雄側管状構造体12を連結して焼結する時に、
接触し合う成形体同士が溶着するのを防ぐもので、少な
くとも耳部12bの外側および突起12cに塗布する。
この分離剤は、上記実施例2と同様のものであるため、
その説明を省略する。
【0043】分離剤の塗布後、図10(b)に示す通
り、1次焼結が完了した雄側管状構造体12の耳部12
bに設けた突起12cに仮焼結後の雌側管状構造体11
の耳部11bに設けた孔11cを嵌め込み、雄側管状構
造体12と雌側管状構造体11を連結する。この時、突
起12cの先端間隔が、図10(a)のように、耳部1
1bの内側の間隔より大きい場合、耳部11bを外側に
たわませて、突起12cを孔11cに嵌め込む。この
時、耳部11bは、弾性変形内でたわませる。
り、1次焼結が完了した雄側管状構造体12の耳部12
bに設けた突起12cに仮焼結後の雌側管状構造体11
の耳部11bに設けた孔11cを嵌め込み、雄側管状構
造体12と雌側管状構造体11を連結する。この時、突
起12cの先端間隔が、図10(a)のように、耳部1
1bの内側の間隔より大きい場合、耳部11bを外側に
たわませて、突起12cを孔11cに嵌め込む。この
時、耳部11bは、弾性変形内でたわませる。
【0044】嵌め込み後、両構造体11,12を2次焼
結する。2次焼結の条件は、雄側管状構造体12の1次
焼結条件と同一とする 2次焼結終了後、炉より取り出し、残った分離剤の残留
物であるc−BN粉末を超音波洗浄にて除去する。
結する。2次焼結の条件は、雄側管状構造体12の1次
焼結条件と同一とする 2次焼結終了後、炉より取り出し、残った分離剤の残留
物であるc−BN粉末を超音波洗浄にて除去する。
【0045】本実施例の作用を説明する。仮焼結体であ
る雌側管状構造体11は、2次焼結によって緻密化して
収縮する。この収縮挙動によって、図11に示すよう
に、雌側管状構造体11と雄側管状構造体12とが互い
に隙間なく(摺動可能な程度のクリアランスを残して:
これは、グリーン体成形時の金型寸法で決定するもので
ある)連結される。この時、雌側管状構造体11と雄側
管状構造体12とは分離剤により溶着しない。
る雌側管状構造体11は、2次焼結によって緻密化して
収縮する。この収縮挙動によって、図11に示すよう
に、雌側管状構造体11と雄側管状構造体12とが互い
に隙間なく(摺動可能な程度のクリアランスを残して:
これは、グリーン体成形時の金型寸法で決定するもので
ある)連結される。この時、雌側管状構造体11と雄側
管状構造体12とは分離剤により溶着しない。
【0046】本実施例によれば、仮焼結体は、焼結体程
ではないが、グリーン体時以上の弾性変形量を有するた
め、この変形を利用して、嵌め合わせることが可能とな
る。その他は、上記実施例1,2と同様の効果を得るこ
とができる。
ではないが、グリーン体時以上の弾性変形量を有するた
め、この変形を利用して、嵌め合わせることが可能とな
る。その他は、上記実施例1,2と同様の効果を得るこ
とができる。
【0047】なお、本実施例では、仮焼結体とした雌側
管状構造体11の耳部11bを多少変形させることで、
雌側管状構造体11と雄側管状構造体12とを連結した
が、耳部11bまたは/および耳部12bの間隔次第で
は、変形させる必要が無い場合がある。すなわち、先に
焼結体とした雄側管状構造体12の突起12c先端の間
隔が、雌側管状構造体11の耳部11b内側の間隔より
狭い場合である。このような場合には、雌側管状構造体
11と雄側管状構造体12との位置決め、正確には、孔
11cと突起12cとの位置決めを正確に行えば、孔1
1cと突起12cとを2次焼結する前に嵌め合わせると
いう作業が必要でなくなり、2次焼結の際の雌側管状構
造体11(仮焼結体)の収縮挙動によって、雌側管状構
造体11と雄側管状構造体12とを連結することができ
る。位置決めには、焼結を行う成形体を支持でき、かつ
焼結時に成形体と溶着しないアルミナ等のブロックを用
いるとよい。また、このブロックの成形体支持部を成形
体の形状に倣ったものにすると、さらに効果的な位置決
めが可能となる。
管状構造体11の耳部11bを多少変形させることで、
雌側管状構造体11と雄側管状構造体12とを連結した
が、耳部11bまたは/および耳部12bの間隔次第で
は、変形させる必要が無い場合がある。すなわち、先に
焼結体とした雄側管状構造体12の突起12c先端の間
隔が、雌側管状構造体11の耳部11b内側の間隔より
狭い場合である。このような場合には、雌側管状構造体
11と雄側管状構造体12との位置決め、正確には、孔
11cと突起12cとの位置決めを正確に行えば、孔1
1cと突起12cとを2次焼結する前に嵌め合わせると
いう作業が必要でなくなり、2次焼結の際の雌側管状構
造体11(仮焼結体)の収縮挙動によって、雌側管状構
造体11と雄側管状構造体12とを連結することができ
る。位置決めには、焼結を行う成形体を支持でき、かつ
焼結時に成形体と溶着しないアルミナ等のブロックを用
いるとよい。また、このブロックの成形体支持部を成形
体の形状に倣ったものにすると、さらに効果的な位置決
めが可能となる。
【0048】[実施例4]本発明の実施例4を説明す
る。本実施例は、管状構造体同士を組み付ける際に、管
状構造体の耳部を塑性変形することで組み付けを行うも
のである。なお、本実施例は、上記実施例3と同様の構
造体を焼結し、その連結方法が異なるだけであるため、
図10を参照しつつ説明する。
る。本実施例は、管状構造体同士を組み付ける際に、管
状構造体の耳部を塑性変形することで組み付けを行うも
のである。なお、本実施例は、上記実施例3と同様の構
造体を焼結し、その連結方法が異なるだけであるため、
図10を参照しつつ説明する。
【0049】雌側管状構造体11および雄側管状構造体
12を個別に射出成形し、その後、雄側管状構造体12
を1次焼結体、雌側管状構造体11を仮焼結体とし、雄
側管状構造体12に分離剤を塗布するまでは上記実施例
3と同様である。
12を個別に射出成形し、その後、雄側管状構造体12
を1次焼結体、雌側管状構造体11を仮焼結体とし、雄
側管状構造体12に分離剤を塗布するまでは上記実施例
3と同様である。
【0050】ここで、雄側管状構造体12の突起12c
先端の間隔の方が、雌側管状構造体11の耳部11bを
弾性範囲内で変形させても大きい場合、雌側管状構造体
12の耳部11bを一旦塑性変形して耳部11bの間隔
を広げ、雄側管状構造体12の突起12bを雌側管状構
造体11の孔11cに嵌め込み、その塑性変形した耳部
11bを閉じる(すなわち、図10(a)において、破
線で示すよう、耳部11bを塑性変形させる)。
先端の間隔の方が、雌側管状構造体11の耳部11bを
弾性範囲内で変形させても大きい場合、雌側管状構造体
12の耳部11bを一旦塑性変形して耳部11bの間隔
を広げ、雄側管状構造体12の突起12bを雌側管状構
造体11の孔11cに嵌め込み、その塑性変形した耳部
11bを閉じる(すなわち、図10(a)において、破
線で示すよう、耳部11bを塑性変形させる)。
【0051】このようにして組み付けた雌側管状構造体
11および雄側管状構造体12を、2次焼結する。2次
焼結終了までは、上記実施例3と同様である。
11および雄側管状構造体12を、2次焼結する。2次
焼結終了までは、上記実施例3と同様である。
【0052】2次焼結終了後、炉内で冷却する際、冷却
速度を20℃/h以下と、ゆっくりした冷却速度となる
ように制御する。
速度を20℃/h以下と、ゆっくりした冷却速度となる
ように制御する。
【0053】本実施例の作用を説明する。2次焼結終了
後の炉内における冷却速度を20℃/h以下とすること
で、連結時に塑性変形したがために変形箇所に抱えた残
留応力を除去する。その他の作用は実施例2と同様であ
る。
後の炉内における冷却速度を20℃/h以下とすること
で、連結時に塑性変形したがために変形箇所に抱えた残
留応力を除去する。その他の作用は実施例2と同様であ
る。
【0054】本実施例によれば、連結時の塑性変形によ
って生じた残留応力を、焼結後、炉内にて冷却速度の制
御(20℃/h以下)によって焼きなましして除去する
ことで、残留応力に起因する管状構造体の機械的強度低
下、ならびに、耐蝕性低下を改善できる。その他の効果
は実施例2と同様である。
って生じた残留応力を、焼結後、炉内にて冷却速度の制
御(20℃/h以下)によって焼きなましして除去する
ことで、残留応力に起因する管状構造体の機械的強度低
下、ならびに、耐蝕性低下を改善できる。その他の効果
は実施例2と同様である。
【0055】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、以下の
効果を得ることができる。請求項1,2の発明によれ
ば、摺動複合体を構成する部品を組み付ける際、部品の
破損を防ぐことができる。
効果を得ることができる。請求項1,2の発明によれ
ば、摺動複合体を構成する部品を組み付ける際、部品の
破損を防ぐことができる。
【0056】請求項3の発明によれば、摺動複合体を構
成する部材を嵌め込む際に塑性変形したがために生じた
残留応力を、焼結時に除去することができる。
成する部材を嵌め込む際に塑性変形したがために生じた
残留応力を、焼結時に除去することができる。
【0057】請求項4の発明によれば、分離剤により、
摺動部材を構成する部品同士が非接触なものとなるた
め、焼結時において、部品同士が溶着することがない。
摺動部材を構成する部品同士が非接触なものとなるた
め、焼結時において、部品同士が溶着することがない。
【図1】本発明の実施例1により製造する摺動複合体を
示す斜視図である。
示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の製造工程における射出成形
した雄部品と雌部品を示す斜視図である。
した雄部品と雌部品を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例1の製造工程における1次焼結
した雄部品と仮焼結した雌部品を示す斜視図である。
した雄部品と仮焼結した雌部品を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例1の製造工程における1次焼結
した雄部品と仮焼結した雌部品を嵌め合わせた状態を示
す斜視図である。
した雄部品と仮焼結した雌部品を嵌め合わせた状態を示
す斜視図である。
【図5】本発明の実施例1の製造工程における2次焼結
した状態を示す斜視図である。
した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例2の製造工程における分離剤を
塗布した状態を示す斜視図である。
塗布した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例3により製造する摺動複合体を
示す斜視図である。
示す斜視図である。
【図8】本発明の実施例3で製造する摺動複合体を構成
する雌側管状構造体を示す斜視図である。
する雌側管状構造体を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施例3で製造する摺動複合体を構成
する雄側管状構造体を示す斜視図である。
する雄側管状構造体を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例3の製造工程における雌側管
状構造体と雄側管状構造体を連結する工程を説明するた
めの説明図で、図10(a)は連結前、図10(b)は
連結後を示している。
状構造体と雄側管状構造体を連結する工程を説明するた
めの説明図で、図10(a)は連結前、図10(b)は
連結後を示している。
【図11】本発明の実施例3の製造工程における2次焼
結した状態を示す説明図である。
結した状態を示す説明図である。
1,10 摺動複合体 2 雄部材 3 雌部材 4 分離剤 11 雌側管状構造体 12 雄側管状構造体 11a,12a 胴部 11b,12b 耳部 11c 孔 12c 突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 児玉 卓弥 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 金属粉末もしくはセラミックス粉末とバ
インダ樹脂との混練物であるコンパウンドを所定形状に
成形し、個別に得られた成形体を脱脂し、焼結して製品
を作製する焼結体の製造方法であって、複数の同一もし
くは異形状の焼結体部品を摺動可能に嵌め合わせてなる
摺動複合体の製造方法において、 連結する一方の成形体を1次焼結し、それとは別にもう
一方の成形体を仮焼結し、1次焼結後の焼結体と仮焼結
後の仮焼結体とを連結した後、両焼結体を同時に2次焼
結し、仮焼結体を2次焼結により収縮させて両焼結体部
材を摺動可能に連結することを特徴とする仮焼結を利用
した摺動複合体の製造方法。 - 【請求項2】 仮焼結体の仮焼結温度は、1次焼結の焼
結温度よりも低い温度であることを特徴とする請求項1
記載の仮焼結を利用した摺動複合体の製造方法。 - 【請求項3】 2次焼結終了後、焼結の最終温度から2
0℃/h以下の冷却速度で焼結炉内冷却することを特徴
とする請求項1記載の仮焼結を利用した摺動複合体の製
造方法。 - 【請求項4】 少なくとも仮焼結体と焼結体との接触部
位において、仮焼結体または焼結体の少なくともどちら
か一方にセラミックスの粉末を主成分とする分離剤を塗
布し、その後、仮焼結体と焼結体を嵌め合わせて2次焼
結することを特徴とする請求項1記載の仮焼結を利用し
た摺動複合体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3525895A JPH08225810A (ja) | 1995-02-23 | 1995-02-23 | 仮焼結を利用した摺動複合体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3525895A JPH08225810A (ja) | 1995-02-23 | 1995-02-23 | 仮焼結を利用した摺動複合体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08225810A true JPH08225810A (ja) | 1996-09-03 |
Family
ID=12436795
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3525895A Withdrawn JPH08225810A (ja) | 1995-02-23 | 1995-02-23 | 仮焼結を利用した摺動複合体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08225810A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005037039A3 (en) * | 2004-01-14 | 2005-06-09 | Browne & Co | A food comminuting apparatus with a telescopically extensible frame |
-
1995
- 1995-02-23 JP JP3525895A patent/JPH08225810A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005037039A3 (en) * | 2004-01-14 | 2005-06-09 | Browne & Co | A food comminuting apparatus with a telescopically extensible frame |
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