JPH08231208A - 高純度過酸化水素水溶液の製造方法 - Google Patents

高純度過酸化水素水溶液の製造方法

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JPH08231208A
JPH08231208A JP30296095A JP30296095A JPH08231208A JP H08231208 A JPH08231208 A JP H08231208A JP 30296095 A JP30296095 A JP 30296095A JP 30296095 A JP30296095 A JP 30296095A JP H08231208 A JPH08231208 A JP H08231208A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、精密電子工業分野、特に高集積度
半導体基板の製造に対応できる、不純物が極めて少な
く、しかも過酸化水素の濃度が高い水溶液(即ち、高純
度かつ高濃度の過酸化水素水溶液)を容易に得ることが
できる、工業的に好適な過酸化水素水溶液の製造方法を
提供することを課題とする。 【解決手段】 本発明の課題は、フッ素樹脂製の内壁を
有すると共にフッ素樹脂製の精留部材が蒸留塔内部に設
置されている蒸留塔へ、粗過酸化水素水溶液をその塔底
部から供給して、前記粗過酸化水素水溶液の減圧蒸留を
行いつつ、該蒸留塔の塔頂部から留出液を還流に用いる
ことなく抜き出すと共に、該蒸留塔の塔頂部へ一定の供
給比で超純水を供給しながら、該蒸留塔の中段部より過
酸化水素水溶液を抜き出すことを特徴とする高純度過酸
化水素水溶液の製造方法によって達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極めて高い純度の
過酸化水素水溶液を工業的に容易に製造する方法を提供
するものである。極めて高い純度の過酸化水素水溶液
は、精密電子工業分野、特に高集積度の半導体基板の製
造に用いられており、近年、その需要が増大しつつあ
る。
【0002】
【従来の技術】過酸化水素水溶液は、プロセスを循環す
る作動液としてアルキルアントラキノンを用い、このキ
ノン体を水素添加して得られるハイドロキノン体を空気
でキノン体に再酸化して過酸化水素を生成させる方法に
よって工業的に製造されている。しかし、この公知の方
法によって得られた過酸化水素水溶液(粗過酸化水素水
溶液)は有機不純物、無機不純物等の不純物を多く含む
ものである。
【0003】このため、上記の方法で製造される粗過酸
化水素水溶液は、例えば粗過酸化水素水溶液を蒸発させ
て生じる蒸気相を塔の底部中で洗浄する蒸気相洗浄帯域
を備えた蒸留塔を用いて不純物を除去する方法(特開平
5−201707号公報)などによって精製することが
提案されているが、得られる過酸化水素水溶液は、30
0ppmより少ないが50ppmを超える全有機炭素
(TOC)で表される有機不純物及び約30〜200p
pmの無機不純物を含むために、精密電子工業分野、特
に高集積度の半導体基板の製造に使用するには不適当で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、工業的
に製造される粗過酸化水素水溶液から、蒸留によって、
精密電子工業分野、特に高集積度の半導体基板の製造に
対応できる極めて高い純度の過酸化水素水溶液を容易に
製造できる過酸化水素水溶液の製造方法は知られていな
い。本発明は、精密電子工業分野、特に高集積度半導体
基板の製造に対応できる、不純物が極めて少なく、しか
も過酸化水素の濃度が高い水溶液(即ち、高純度かつ高
濃度の過酸化水素水溶液)を容易に製造できる、工業的
に好適な高純度過酸化水素水溶液の製造方法を提供する
ことを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、フッ素
樹脂製の内壁を有すると共にフッ素樹脂製の精留部材が
蒸留塔内部に設置されている蒸留塔へ、過酸化水素、有
機不純物及び無機不純物を含有する粗過酸化水素水溶液
をその塔底部から供給し、内部を減圧とした該蒸留塔の
塔底部で前記粗過酸化水素水溶液を加熱して、粗過酸化
水素水溶液の減圧蒸留を行いつつ、該蒸留塔の塔頂部か
ら留出液を蒸留操作における還流に用いることなく抜き
出すと共に、該蒸留塔の塔頂部へ次式で表される供給比
が0.1〜20になるように超純水を供給しながら、
【0006】
【数2】
【0007】該蒸留塔の中段部より過酸化水素水溶液を
抜き出すことを特徴とする高純度過酸化水素水溶液の製
造方法によって達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で使用される粗過酸化水素
水溶液としては、例えば、プロセスを循環する作動液と
してアルキルアントラキノンを用いる方法、過硫酸又は
その塩の加水分解を伴う電気分解による方法、酸素によ
る水素の直接酸化による方法などによって製造される粗
過酸化水素水溶液が挙げられる。これらの粗過酸化水素
水溶液に含有される過酸化水素の濃度は特に制限される
ものではないが、過酸化水素の濃度が50〜70重量
%、特に55〜65重量%の通常の工業用過酸化水素水
溶液が本発明の粗過酸化水素水溶液として好適に使用さ
れる。工業用過酸化水素水溶液に含有される不純物とし
ては、例えば表1に示す全有機炭素(以下、TOCと称
する)で表される有機不純物及び各種の無機不純物が挙
げられる。
【0009】
【表1】
【0010】超純水としては、逆浸透、紫外線殺菌、イ
オン交換塔及び限外濾過膜などを備えユニットとした超
純水製造装置によって製造されるものを使用することが
できる。超純水の品質は、例えば表2に示す通りであ
る。
【0011】
【表2】
【0012】蒸留塔としては、フッ素樹脂製の内壁を有
する充填塔が好適に用いられる。蒸留塔の内壁がステン
レスの場合は、鉄、ニッケル、クローム等が溶出し、ア
ルミニウムの場合はアルミニウムが溶出し、またこの内
壁がグラスライニングされている場合は、ケイ素、ホウ
素、ナトリウム等が溶出して、それぞれ粗過酸化水素水
溶液に含まれる不純物を増加させるために好ましくな
い。フッ素樹脂製の内壁は、蒸留塔の内壁が全面的にフ
ッ素樹脂でライニング又はコーティングされているもの
でも、また粗過酸化水素水溶液の供給口より上部の内壁
がフッ素樹脂でライニング又はコーティングされている
ものでも、更に蒸留塔自体がフッ素樹脂製のものであっ
ても差し支えない。
【0013】蒸留塔(充填塔)に充填されるフッ素樹脂
製の精留部材としては、フッ素樹脂製又はフッ素樹脂で
コーティングされている充填物、多孔板トレイ、バブル
トレイ、泡鐘トレイ等が挙げられるが、フッ素樹脂製又
はフッ素樹脂でコーティングされている充填物が好適に
使用される。充填物の形状については特に制限はなく、
例えばラシヒリング、インタロックスサドル、ポールリ
ングが使用される。なお、前記精留部材は、蒸留塔の塔
頂部から過酸化水素の濃度が非常に低い留出液を抜き出
すために、通常、蒸留塔の中段部に設けられる過酸化水
素水溶液抜き出し口の上部に二理論段数以上充填され、
そして、後述するように蒸留塔の塔底液からの飛沫同伴
による不純物の混入を防止するために、過酸化水素水溶
液抜き出し口の下部にも該抜き出し口から一理論段数以
下で充填される。
【0014】蒸留塔の内壁及び精留部材に使用されるフ
ッ素樹脂としては、オレフィンの水素原子の一つ以上が
フッ素原子で置換された単量体を重合して得られる樹脂
が用いられる。この単量体としては、例えばテトラフル
オロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリ
フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、パーフルオロア
ルキルビニルエーテルが挙げられる。フッ素樹脂とし
て、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエ
チレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FE
P)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(E
TFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重
合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVD
F)及びポリクロロトリフルオロエチレン(PCTF
E)などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)及びテトラフルオロエチレン−パー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が
好ましい。
【0015】本発明の方法を工業的に効率よく実施する
ためには次のような工夫をすることが好ましい。即ち、
蒸留塔の形状については、過酸化水素水溶液の抜き出し
口より下部は上昇ガス量が多くなり、これより上部は上
昇ガス量が少なくなるために、通常の蒸留塔の設計によ
れば、蒸留塔の最適な塔径を過酸化水素水溶液の抜き出
し口より下部は大きくして、上部は下部に比べて小さく
することが好ましい。なお、このような塔径は通常の化
学工学的手法により容易に計算することができる。ま
た、蒸留塔にはリボイラーが設置されるが、本発明の方
法では、蒸留塔の塔底液のエントレ(飛沫同伴)が問題
となるために、各種の型式のリボイラーの中でも流下膜
式リボイラー、好ましくは気液並流型の流下膜式リボイ
ラーを設置することが好ましい。
【0016】本発明では、粗過酸化水素水溶液を蒸留す
るに当たって、過酸化水素、有機不純物及び無機不純物
を含有する前記粗過酸化水素水溶液が、通常、前記超純
水で希釈されて、粗過酸化水素水溶液供給口より前記蒸
留塔の塔底部に供給される。粗過酸化水素水溶液の希釈
度は特に制限されるものではないが、不純物の濃度が非
常に低くしかも過酸化水素の濃度が高い水溶液(即ち、
高純度かつ高濃度の過酸化水素水溶液)を得るために
は、粗過酸化水素水溶液は、過酸化水素の濃度が通常2
0〜60重量%、好ましくは30〜50重量%、更に好
ましくは35〜45重量%になるように希釈される。希
釈された粗過酸化水素水溶液中に含有される不純物の量
は前記粗過酸化水素水溶液の製造方法や製造装置などに
より一定するものではないが、通常、TOCが10〜3
00ppm、無機不純物が5〜500ppm含有され
る。
【0017】前記蒸留は、粗過酸化水素水溶液供給口か
ら上記のように希釈された粗過酸化水素水溶液が前記蒸
留塔の塔底部に供給されて、塔底温度が通常50〜11
0℃、好ましくは60〜70℃、塔頂圧力が通常20〜
300torr、好ましくは40〜60torrの条件
で、前記蒸留塔の塔頂部から過酸化水素の濃度が非常に
低い留出液(塔頂留出液)が蒸留操作における還流に用
いられることなく抜き出されると共に、超純水(塔頂供
給超純水)が次式で表される供給比が0.1〜20、好
ましくは0.5〜3になるように前記蒸留塔の塔頂部へ
供給されながら行われる。
【0018】
【数3】
【0019】そして、不純物の濃度が非常に低くなった
過酸化水素水溶液は、蒸留塔中段部に設けられた過酸化
水素水溶液抜き出し口から、TOCが10ppm以下、
好ましくは5ppm以下、無機不純物の合計量が200
ppb以下、好ましくは100ppb以下で、アルミニ
ウム(Al)、ホウ素(B)、カルシウム(Ca)、鉄
(Fe)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(N
a)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)等の金属不純物が
それぞれ1ppb以下、好ましくは0.5ppb以下の
高純度過酸化水素水溶液として抜き出されて分離され
る。
【0020】ここで、過酸化水素水溶液抜き出し口は、
過酸化水素の濃度が高く(即ち、過酸化水素の濃度が2
5〜50重量%、特に30〜40重量%で)しかも上記
のように不純物の濃度が非常に低い過酸化水素水溶液を
得るという製品の品質上の問題、塔底液の過酸化水素の
濃度を74〜80重量%に維持しなければならないとい
う安全上の問題、及び気液平衡上の問題から、蒸留塔中
段部でも塔底に近いところに設置することが好ましい。
このため、この過酸化水素水溶液抜き出し口は、通常、
抜き出し口と塔底の間に一理論段数以下の前記充填物が
充填できるように設置される。このとき、塔底部には不
純物が高濃度に濃縮されているが、塔底液からの飛沫同
伴による不純物の混入は、この充填物によって減少させ
ることができる。
【0021】蒸留塔の塔頂からは塔頂留出液(0.00
1〜2重量%、特に0.01〜1重量%の過酸化水素を
含有する水溶液)が取り出される。このとき、コンデン
サー、リフラックスドラム、還流ラインなどの装置材料
の溶出及び/又は外気のリークによる蒸留塔内の汚染を
防止するため、本発明では、蒸留操作において行われる
還流を中止して塔頂留出液を全て留出させ、その代わり
に前記の供給比が0.1〜20、好ましくは0.5〜3
になるように超純水を塔頂部に供給する操作が行われ
る。この操作により、蒸留塔内の汚染を防止できるのみ
ならず、コンデンサー及びリフラックスドラムを高価な
フッ素樹脂ライニングのものから安価なステンレス製の
ものに変えることができる。更に、ステンレス製の熱交
換器の総括伝熱係数がフッ素樹脂ライニングのものより
2.8〜3倍高いことから、熱交換器のサイズを大幅に
縮小することもできるため、本発明のプロセスは非常に
有利なものになる。
【0022】蒸留塔の塔底部から抜き出される塔底液中
の過酸化水素の濃度は、前記のように気液平衡上74重
量%以上必要であるが、通常は安全上の問題から74〜
80重量%の範囲に維持される。この塔底液の一部は蒸
留塔に循環され、一部は前記塔頂留出液で約60重量%
に希釈されて工業用過酸化水素水溶液として再利用され
る。
【0023】なお、本発明のプロセスは連続式又はバッ
チ式いずれの方式でも実施することができるが、工業的
には連続式が好ましい。連続式で蒸留する場合は、
(a)塔底部へ供給される粗過酸化水素水溶液及び塔頂
部へ供給される超純水の量と、(b)塔底部から抜き出
される塔底液、塔中部から抜き出される過酸化水素水溶
液及び塔頂部から抜き出される塔頂留出液の量とはバラ
ンスしており、塔内の溶液の量は実質的に変化しない。
【0024】次に、本発明のプロセスを本発明の一実施
態様を示すフローシート図面(図1)に従って具体的に
説明する。フッ素樹脂製の充填物を充填したフッ素樹脂
ライニングの蒸留塔Aの塔底部に、導管2より導入され
る超純水で希釈された粗過酸化水素水溶液が導管1を通
して粗過酸化水素水溶液供給口より供給される。そし
て、この粗過酸化水素水溶液を前記のような条件で蒸留
することによって、例えば過酸化水素の濃度が31重量
%の高純度過酸化水素水溶液が蒸留塔中段部の過酸化水
素水溶液抜き出し口から導管3を通して抜き出される。
このとき、塔頂部からは塔頂留出液取り出し口より導管
4を通して塔頂留出液が取り出されると共に、前記の供
給比が0.1〜20、好ましくは0.5〜3になるよう
に超純水が導管5を通して超純水供給口より塔頂部へ供
給される。なお、蒸留塔Aにおいて、粗過酸化水素水溶
液供給口は導管1の開口部、過酸化水素水溶液抜き出し
口は導管3の開口部、塔頂留出液取り出し口は導管4の
開口部で、超純水供給口は導管5の開口部である。
【0025】不純物が濃縮された蒸留塔の塔底液(高濃
度の過酸化水素水溶液)は導管6を通して抜き出され
る。抜き出された塔底液の一部は、導管6に設置された
ポンプEにより流下膜式リボイラーD、導管11を経て
蒸留塔の塔底部へ循環供給され、一部は導管7を通して
抜き出された後、更に導管4、コンデンサーB、リフラ
ックスドラムCを経て導管8から供給される前記塔頂留
出液と混合されて過酸化水素の濃度が60重量%の工業
用過酸化水素水溶液として再利用される。なお、リボイ
ラーDでは、導管6を通して供給された前記塔底液を蒸
発させるために、導管9よりスチームが供給されて熱交
換が行われ、凝縮水が導管10より排出される。
【0026】以上のようにして、有機不純物、無機不純
物等の不純物を多く含む粗過酸化水素水溶液から、高集
積度の半導体基板の製造に対応できる、不純物の濃度が
非常に低く(即ち、TOCが10ppm以下、好ましく
は5ppm以下、無機不純物の合計量が200ppb以
下、好ましくは100ppb以下、Al、B、Ca、F
e、Mg、Na、Si、Zn等の金属不純物がそれぞれ
1ppb以下、好ましくは0.5ppb以下で)しかも
過酸化水素の濃度が高い(即ち、過酸化水素の濃度が2
5〜50重量%、特に30〜40重量%の)過酸化水素
水溶液、即ち高純度かつ高濃度の過酸化水素水溶液を容
易に得ることができる。
【0027】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。なお、蒸留は図1に示される装置を用いて行い、
過酸化水素及びその他の成分は次の方法によりそれぞれ
分析した。 (1)過酸化水素含量:過マンガン酸カリウム規定液に
よる滴定(JIS K−8230) (2)TOC:白金で過酸化水素を分解した後にTOC
メーターで測定する方法 (3)塩化物イオン(Cl- )、亜硝酸イオン(NO2
- )、硝酸イオン(NO3 - )、リン酸イオン(PO4
3-)及び硫酸イオン(SO4 2-):白金で過酸化水素を
分解した後にサプレッサー式イオンクロマト分析装置で
測定する方法 (4)アンモニウムイオン(NH4 + ):白金で過酸化
水素を分解した後にイオンクロマト分析装置で測定する
方法 (5)アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、カルシウ
ム(Ca)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、ナト
リウム(Na)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn):IC
P(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析
【0028】実施例1 前記表1に示される品質の過酸化水素の濃度が60重量
%工業用過酸化水素水溶液を、導管2より供給される前
記表2に示される品質の超純水で希釈して、過酸化水素
の濃度が40重量%の粗過酸化水素水溶液を調製し、こ
れを、外径6.0mmφ×内径4.0mmφ×高さ6.
0mmのフッ素樹脂製充填物を180ml充填した内径
30mmφ、高さ1.0mのフッ素樹脂製蒸留塔に導管
1を通して387.7g/hrで供給した。なお、フッ
素樹脂としては、蒸留塔及び充填物ともポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)を使用した。
【0029】缶液温度69℃、塔頂圧力60torr
で、塔頂留出液は還流させることなく112ml/hr
で導管4から全て留出させて、還流を行う代わりに塔頂
部に前記表2に示される品質の超純水58ml/hrを
導管5から供給しながら蒸留を行って、蒸留塔の中段部
から導管3を通して過酸化水素水溶液を375ml/h
rで抜き出した。得られた過酸化水素水溶液を分析した
ところ、表3に示すように、高集積度の半導体基板の製
造に対応できる、不純物の濃度が非常に低くしかも過酸
化水素の濃度が高い水溶液、即ち高純度かつ高濃度(3
1.0重量%)の過酸化水素水溶液であった。
【0030】また、塔底液を導管7から153ml/h
rで抜き出し、これに前記塔頂留出液の一部を導管8か
ら40ml/hrで供給・混合し、過酸化水素の濃度が
60重量%の工業用過酸化水素水溶液を193ml/h
rで得た。
【0031】
【表3】
【0032】実施例2 実施例1において、缶液温度を63℃、塔頂圧力を40
torrに変えたほかは実施例1と同様に蒸留を行っ
て、蒸留塔の中段部から過酸化水素水溶液を375ml
/hrで抜き出した。得られた過酸化水素水溶液を分析
したところ、表3に示すように、高集積度の半導体基板
の製造に対応できる、不純物の濃度が非常に低くしかも
過酸化水素の濃度が高い水溶液、即ち高純度かつ高濃度
(31.0重量%)の過酸化水素水溶液であった。
【0033】比較例1 実施例1において、塔頂留出液の全留出と超純水の供給
を行うことなく、塔頂留出液を還流比1で還流させたほ
かは、実施例1と同様に蒸留を行って、蒸留塔の中段部
から過酸化水素水溶液を375ml/hrで抜き出し
た。得られた過酸化水素水溶液を分析したところ、表4
に示すように不純物の濃度が高く、高集積度の半導体基
板の製造に使用するには不適当なものであった。
【0034】
【表4】
【0035】比較例2 実施例1において、フッ素樹脂製蒸留塔を内径30mm
φ、高さ1mのガラス(パイレックス)製蒸留塔に変え
たほかは、実施例1と同様に蒸留を行って、蒸留塔の中
段部から過酸化水素水溶液を375ml/hrで抜き出
した。得られた過酸化水素水溶液を分析したところ、表
4に示すように不純物の濃度が高く、高集積度の半導体
基板の製造に使用するには不適当なものであった。
【0036】比較例3 実施例1において、フッ素樹脂製充填物をガラス(パイ
レックス)製充填物に変えたほかは、実施例1と同様に
蒸留を行って、蒸留塔の中段部から過酸化水素水溶液を
375ml/hrで抜き出した。得られた過酸化水素水
溶液を分析したところ、表4に示すように不純物の濃度
が高く、高集積度の半導体基板の製造に使用するには不
適当なものであった。
【0037】
【発明の効果】本発明により、有機不純物、無機不純物
等の不純物を多量含む粗過酸化水素水溶液から、電子工
業分野、特に高集積度の半導体基板の製造に対応でき
る、不純物の濃度が非常に低く(即ち、TOCが10p
pm以下、好ましくは5ppm以下、無機不純物の合計
量が200ppb以下、好ましくは100ppb以下、
Al、B、Ca、Fe、Mg、Na、Si、Zn等の金
属不純物がそれぞれ1ppb以下、好ましくは0.5p
pb以下で)しかも過酸化水素の濃度が高い(即ち、過
酸化水素の濃度が25〜50重量%、特に30〜40重
量%の)過酸化水素水溶液、即ち高純度かつ高濃度の過
酸化水素水溶液を容易に得ることができる。また、本発
明により、コンデンサー及びリフラックスドラムを高価
なフッ素樹脂ライニングのものから安価なステンレス製
のものに変えることができ、その上、ステンレス製の熱
交換器の総括伝熱係数がフッ素樹脂ライニングのものよ
り2.8〜3倍高いことから熱交換器のサイズを大幅に
縮小することもできるので、工業的に非常に有利な高純
度過酸化水素水溶液の製造プロセスを提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例を示すフローチャート
である。
【符号の説明】
Aは蒸留塔、Bはコンデンサー、Cはリフラックスドラ
ム、Dはリボイラー、Eはポンプを示す。1〜11は導
管を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 幸博 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部 興産株式会社宇部統合事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂製の内壁を有すると共にフッ
    素樹脂製の精留部材が蒸留塔内部に設置されている蒸留
    塔へ、過酸化水素、有機炭素不純物及び無機不純物を含
    有する粗過酸化水素水溶液をその塔底部から供給し、 内部を減圧とした該蒸留塔の塔底部で前記粗過酸化水素
    水溶液を加熱して、粗過酸化水素水溶液の減圧蒸留を行
    いつつ、 該蒸留塔の塔頂部から留出液を蒸留操作における還流に
    用いることなく抜き出すと共に、該蒸留塔の塔頂部へ次
    式で表される供給比が0.1〜20になるように超純水
    を供給しながら、 【数1】 該蒸留塔の中段部より過酸化水素水溶液を抜き出すこと
    を特徴とする高純度過酸化水素水溶液の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記精留部材がフッ素樹脂製の充填物で
    あることを特徴とする請求項1の高純度過酸化水素水溶
    液の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記粗過酸化水素水溶液が、過酸化水素
    を20〜60重量%含有すると共に全有機炭素を10〜
    300ppm、無機不純物を5〜500ppm含有する
    水溶液であることを特徴とする請求項1の高純度過酸化
    水素水溶液の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1で示すように高純度過酸化水素
    水溶液を製造すると共に、前記蒸留塔の塔底部より抜き
    出された過酸化水素水溶液を、前記蒸留塔の塔頂部から
    抜き出された留出液で希釈して工業用過酸化水素水溶液
    を調製することを特徴とする請求項1の高純度過酸化水
    素水溶液の製造方法。
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