JP3632580B2 - 高純度過酸化水素水溶液の製造装置 - Google Patents

高純度過酸化水素水溶液の製造装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極めて高い純度の過酸化水素水溶液を工業的に容易に製造することを可能にする製造装置を提供するものである。極めて高い純度の過酸化水素水溶液は、精密電子工業分野、特に高集積度の半導体基板の製造工程において基板の洗浄などの目的で用いられており、近年、その需要が増大しつつある。
【0002】
【従来の技術】
過酸化水素水溶液は、プロセスを循環する作動液としてアルキルアントラキノンを用い、このキノン体を水素添加して得られるハイドロキノン体を空気と接触させてキノン体に再酸化して過酸化水素を生成させる方法によって工業的に製造されている。しかし、この公知の方法によって得られた過酸化水素水溶液(粗過酸化水素水溶液)は有機不純物、無機不純物等の不純物を多く含んでいる。
【0003】
このため、上記の方法で製造される粗過酸化水素水溶液は、例えば粗過酸化水素水溶液を蒸発させて生じる蒸気相を塔の底部で洗浄する蒸気相洗浄帯域を備えた蒸留塔を用いる不純物の除去方法(特開平5−201707号公報)によって精製することが提案されているが、この方法で精製された過酸化水素水溶液は、300ppmより少ないが50ppmを越える全有機炭素(TOC)で表される有機不純物および約30〜200ppmの無機不純物を含むため、精密電子工業分野で、特に高集積度の半導体基板の製造工程で使用するには不適当である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
工業的に製造される粗過酸化水素水溶液から、蒸留によって、精密電子工業分野において、特に高集積度の半導体基板の製造工程において利用するのに適した極めて高い純度の過酸化水素水溶液を容易に得ることのできる過酸化水素水溶液の製造方法は知られていない。本発明は、精密電子工業分野、特に高集積度半導体基板の製造工程において利用することが可能な、不純物が極めて少なく、しかも過酸化水素の濃度が高い水溶液(即ち、高純度、かつ高濃度の過酸化水素水溶液)を容易に得ることのできる、工業的に好適な高純度過酸化水素水溶液の製造に適した製造装置を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粗過酸化水素水溶液供給用配管を塔底部に、高純度過酸化水素水溶液抜出用配管を中段部に、そして超純水注入用配管と留出液抜出し用配管とを塔頂部に備え、かつフッ素樹脂製の内壁を有すると共にフッ素樹脂製の精留部材が蒸留塔内部に充填されている蒸留塔を備えてなることをを特徴とする高純度過酸化水素水溶液の製造装置にある。
【0006】
本発明の高純度過酸化水素水溶液の製造装置の蒸留塔の塔底部には、流下膜式リボイラが、塔底液導出用配管と加熱塔底液再導入用配管とを介して付設されていることが好ましい。流下膜式リボイラは、気液並流型の流下膜式リボイラであることが好ましい。
蒸留塔内部に充填されている精留部材は、高純度過酸化水素水溶液抜出用配管の蒸留塔との接続部の上側と下側の双方に配置されていることが好ましい。さらにまた、留出液抜出し用配管から取り出された留出液を回収する留出液回収用配管、そして塔底液導出用配管から取り出された塔底液の一部を該留出液回収用配管に供給するための塔底液回収用配管が備えられていることが好ましい。
【0007】
本発明の製造装置を利用する高純度過酸化水素水溶液の製造は、当該装置の塔底部に粗過酸化水素水溶液を供給し、蒸留塔の塔底部に付設した流下膜式リボイラを利用して前記粗過酸化水素水溶液を加熱しながら、該蒸留塔内を減圧にし、粗過酸化水素水溶液の減圧蒸留を行いつつ、該蒸留塔の塔頂部から留出液を、蒸留操作における還流を行なうことなく、そのまま外部に抜き出すと共に、該蒸留塔の塔頂部から、供給比(=[塔頂供給超純水量]/[(塔頂留出液量)−(塔頂供給超純水量)])が0.1〜20になるように超純水を供給しながら、蒸留塔の中段部の高純度過酸化水素水溶液抜出用配管より高純度の過酸化水素水溶液を抜き出すことからなる方法により好適に実施される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の高純度過酸化水素水溶液の製造装置を用いる操作において好適に使用される粗過酸化水素水溶液としては、たとえば、プロセスを循環する作動液としてアルキルアントラキノンを用いる方法、過硫酸またはその塩の加水分解を伴う電気分解による方法、酸素による水素の直接酸化による方法などによって製造される粗過酸化水素水溶液が挙げられる。これらの粗過酸化水素水溶液に含まれる過酸化水素の濃度は特に制限されるものではないが、過酸化水素の濃度が50〜70重量%、特に55〜65重量%である通常の工業用過酸化水素水溶液が好適に使用される。工業用過酸化水素水溶液に含有される不純物としては、例えば下記表1に示す全有機炭素(以下、TOCと称する)で表される有機不純物及び各種の無機不純物が挙げられる。
【0009】
【表1】
Figure 0003632580
【0010】
超純水としては、逆浸透、紫外線殺菌、イオン交換塔及び限外濾過膜などを備えユニットとした超純水製造装置によって製造されるものを使用することができる。超純水の品質は、例えば下記表2に示すとおりである。
【0011】
【表2】
Figure 0003632580
【0012】
蒸留塔としては、フッ素樹脂製の内壁を有する充填塔が好適に用いられる。蒸留塔の内壁がステンレスの場合には、鉄、ニッケル、クローム等が溶出し、アルミニウムの場合はアルミニウムが溶出し、またこの内壁がグラスライニングされている場合は、ガラス層の成分のケイ素、ホウ素、ナトリウム等が溶出して、それぞれ粗過酸化水素水溶液に含まれる不純物を増加させる。フッ素樹脂製の内壁は、蒸留塔の内壁が全面的にフッ素樹脂製でライニングまたはコーティングされているものでも、また粗過酸化水素水溶液の供給口(供給用配管)より上部の内壁がフッ素樹脂でライニングまたはコーティングされているものでも、更に蒸留塔自体がフッ素樹脂製のものであっても差し支えない。
【0013】
蒸留塔に充填されるフッ素樹脂製の精留部材としては、フッ素樹脂製またはフッ素樹脂でコーティングされている充填物、多孔板トレイ、バブルトレイ、泡鐘トレイ等が挙げられるが、フッ素樹脂製、またはフッ素樹脂でコーティングされている充填物が好適に使用される。充填物の形状については特に制限はなく、例えばラシヒリング、インタロックスサドル、ポールリングが使用される。なお、前記精留部材は、蒸留塔の塔頂部から過酸化水素の濃度が非常に低い留出液を抜き出すために、通常は、蒸留塔の中段部に設けられる高純度過酸化水素水溶液抜き出し口(高純度過酸化水素水溶液抜出用配管)の上部に二理論段数以上充填され、そして、蒸留塔の塔底液からの飛沫同伴による不純物の混入を防止するために、過酸化水素水溶液抜き出し口の下部にも該抜き出し口から一理論段数以下で充填される。
【0014】
蒸留塔の内壁及び精留部材に使用されるフッ素樹脂としては、オレフィンの水素原子の一つ以上がフッ素原子で置換された単量体を重合して得られる樹脂が用いられる。この単量体としては、例えばテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、パーフルオロアルキルビニルエーテルが挙げられる。フッ素樹脂として、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などが挙げられるが、なかでもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好ましい。
【0015】
本発明の装置を用いた高純度過酸化水素の製造を工業的に効率よく実施するためには次のような工夫をすることが好ましい。すなわち、蒸留塔の形状については、高純度過酸化水素水溶液の抜き出し口より下部は上昇ガス量が多くなり、これより上部は上昇ガス量が少なくなるために、通常の蒸留塔の設計によれば、蒸留塔の最適な塔径を、高純度過酸化水素水溶液の抜き出し口より下部は大きくして、上部は下部に比べて小さくすることが好ましい。このような塔径は、通常の化学工学的手法により容易に計算することができる。蒸留塔の塔底部にはリボイラ(塔底部液加熱補助装置)が付設されていることが好ましく、そのリボイラとしては、蒸留塔内での塔底液のエントレ(飛沫同伴)を回避するために、流下膜式リボイラ(好ましくは気液並流型の流下膜式リボイラ)を用いることが特に有効である。
【0016】
本発明の装置を利用する粗過酸化水素水溶液の蒸留に際しては、過酸化水素、有機不純物、及び無機不純物を含有する前記粗過酸化水素水溶液が、通常、前記超純水で希釈されて、粗過酸化水素水溶液供給口(供給用配管)より前記蒸留塔の塔底部に供給される。粗過酸化水素水溶液の希釈度は特に制限されるものではないが、不純物の濃度が非常に低く、しかも過酸化水素の濃度が高い水溶液(すなわち、高純度かつ高濃度の過酸化水素水溶液)を得るためには、粗過酸化水素水溶液は、過酸化水素の濃度が通常20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%、更に好ましくは35〜45重量%になるように希釈される。希釈された粗過酸化水素水溶液中に含有される不純物の量は前記粗過酸化水素水溶液の製造方法や製造装置などにより変動するが、通常は、TOCが10〜300ppm、無機不純物が5〜500ppmの範囲にある。
【0017】
蒸留操作は、粗過酸化水素水溶液供給用配管から、上記のように希釈された粗過酸化水素水溶液を前記蒸留塔の塔底部に供給し、塔底部に付設された流下膜式リボイラを利用して塔底液温度を通常50〜110℃、好ましくは60〜70℃に維持調整し、塔頂圧力が通常20〜300トール、好ましくは40〜60トールの条件で、蒸留塔の塔頂部から過酸化水素の濃度が非常に低い留出液(塔頂留出液)が蒸留操作における還流を行なうことなく抜き出すと共に、超純水(塔頂供給超純水)を、その供給比が0.1〜20、好ましくは0.5〜3になるように前記蒸留塔の塔頂部へ供給しながら行なう。
【0018】
蒸留操作により不純物の濃度が非常に低下した過酸化水素水溶液は、蒸留塔中段部に設けられた高純度過酸化水素水溶液抜き出し口(抜出用配管)から、TOCが10ppm以下、好ましくは5ppm以下、そして、無機不純物の合計量が200ppb以下、好ましくは100ppb以下で、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)等の金属不純物がそれぞれ1ppb以下、好ましくは、0.5ppb以下の高純度過酸化水素水溶液として蒸留塔より抜き出して分離する。
【0019】
高純度過酸化水素水溶液抜出用配管は、過酸化水素の濃度が高く(すなわち、過酸化水素の濃度が25〜50重量%、特に30〜40重量%)、しかも上記のように不純物の濃度が非常に低い過酸化水素水溶液を得るという製品の品質上の問題、塔底液の過酸化水素の濃度を74〜80重量%に維持しなければならないという安全上の問題、及び気液平衡上の問題から、蒸留塔中段部でも塔底に近いところに設置することが好ましい。このため、この過酸化水素水溶液抜き出し口は、通常、抜き出し口と塔底部との間に一理論段数以下の前記充填物が充填できるように設置されている。このとき、塔底部の粗過酸化水素水溶液(塔底液)には不純物が高濃度に濃縮されているが、塔底部からの飛沫同伴による不純物の混入の発生は、この充填物によって減少させることができる。
【0020】
蒸留塔の塔頂からは塔頂留出液(0.001〜2重量%、特に0.01〜1重量%の過酸化水素を含有する水溶液)が抜き出される。この塔頂留出液については、コンデンサ、リフラックスドラム、還流ラインなどの装置材料の溶出及び/又は外気のリークによる蒸留塔内の汚染を防止するため、蒸留操作において通常行なわれる還流を行なうことなく、塔頂留出液として全て留出させ、その代わりに供給比(先に定義した供給比)が0.1〜20、好ましくは0.5〜3になるように超純水を塔頂部に供給する操作を行なう。この操作により、蒸留塔内の汚染を防止できるのみならず、コンデンサおよびリフラックスドラムについては、高価なフッ素樹脂ライニングを用いる必要がなく、安価なステンレス製のものを用いることができる。また、塔頂留出液回収用の熱交換器として、総括伝熱係数がフッ素樹脂ライニングのものより2.8〜3倍高いことからステンレス製の熱交換器を用いることができ、さらに熱交換器のサイズを大幅に縮小することもできるため、本発明の装置を用いる高純度過酸化水素水溶液の製造プロセスは非常に有利なものになる。
【0021】
蒸留塔の塔底部から加熱のために抜き出される塔底液中の過酸化水素濃度は、前記のように気液平衡上74重量%以上であることが必要であるが、通常は安全上の問題から74〜80重量%の範囲に維持される。従って、塔底液の一部は蒸留塔に循環されるが、他の一部は塔頂留出液で過酸化水素濃度が約60重量%になるように希釈し、工業用過酸化水素水溶液として再利用することが好ましい。
【0022】
本発明の装置を用いる高純度過酸化水素水溶液の製造プロセスは連続式またはバッチ式いずれの方法でも実施することができるが、工業的には連続式が好ましい。連続式で蒸留する場合は、(a)塔底部へ供給される粗過酸化水素水溶液及び塔頂部へ供給される超純水の量と、(b)塔底部から抜き出される塔底液、塔中部から抜き出される過酸化水素水溶液及び塔頂部から抜き出される塔頂留出液の量とはバランスしており、塔内の溶液の量は実質的に変化しない。
【0023】
次に、本発明の装置を用いる高純度過酸化水素水溶液の製造プロセスを本発明の高純度過酸化水素水溶液の製造装置の一実施態様を示す図面(図1)に従って具体的に説明する。
【0024】
フッ素樹脂製の充填物を充填したフッ素樹脂ライニングの蒸留塔(A)の塔底部に、まず、希釈用超純水注入用配管2から送り込まれる超純水で希釈された粗過酸化水素水溶液が粗過酸化水素水溶液供給用配管1を通して供給される。そして、この粗過酸化水溶液を、外部補助加熱装置である流下膜式リボイラ(D)を利用して加熱してながら、蒸留塔(A)内で減圧蒸留することによって、例えば過酸化水素の濃度が31重量%の高純度過酸化水素水溶液を蒸留塔中段部の過酸化水素水溶液抜き出口用配管3を通して抜き出すことができる。このとき、塔頂部からは留出液抜出し用配管4を通して塔頂留出液が取り出されると共に、前記で規定した供給比が0.1〜20、好ましくは0.5〜3になるように超純水が超純水注入用配管5を通して塔頂部へ供給される。
【0025】
不純物が濃縮された蒸留塔の塔底液(高濃度の過酸化水素水溶液は)は塔底液導出用配管6を通して抜き出される。抜き出された塔底液の一部は、途中に設置されたポンプ(E)により、流下膜式リボイラ(D)に、次いで加熱塔底液再導入用配管11を経て蒸留塔(A)の塔底部に循環供給される。また、塔底液の他の一部は塔底液希釈用配管7を通して抜き出された後、塔頂部からは留出液抜出し用配管4、コンデンサ(B)、リフラックスドラム(C)を経て留出液回収用配管8から供給される塔頂留出液と混合されて過酸化水素の濃度が60重量%の工業用過酸化水素水溶液として再利用される。流下膜式リボイラ(D)では、塔底液導出用配管6を通して供給された塔底液を加熱蒸発させるために、スチーム供給管9よりスチームが供給されて熱交換が行われる。スチームの凝縮水は凝縮液排出管10より排出される。
【0026】
以上のようにして、有機不純物、無機不純物等の不純物を多く含む粗過酸化水素水溶液から、高集積度の半導体基板の製造に対応できる、不純物の濃度が非常に低く(即ち、TOCが10ppm以下、好ましくは5ppm以下、無機不純物の合計量が200ppb以下、好ましくは100ppb以下、Al、B、Ca、Fe、Mg、Na、Si、Zn等の金属不純物がそれぞれ1ppb以下、好ましくは0.5ppb以下で)しかも過酸化水素の濃度が高い(即ち、過酸化水素の濃度が25〜50重量%、特に30〜40重量%の)過酸化水素水溶液、即ち高純度かつ高濃度の過酸化水素水溶液を容易に得ることができる。
【0027】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、蒸留は図1に示される装置を用いて行い、過酸化水素及びその他の成分は次の方法によりそれぞれ分析した。
(1)過酸化水素含有量:過マンガン酸カリウム規定液による滴定(JIS K−8230)
(2)TOC:白金で過酸化水素を分解した後にTOCメーターで測定する方法
(3)塩化物イオン(Cl)、亜硝酸イオン(NO )、硝酸イオン(NO )、リン酸イオン(PO 3−)及び硫酸イオン(SO 2−): 白金で過酸化水素を分解した後にサプレッサー式イオンクロマト分析装置で測定する方法
(4)アンモニウムイオン(NH ):白金で過酸化水素を分解した後にイオンクロマト分析装置で測定する方法
(5)アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn):ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析
【0028】
[実施例1]
前記表1に示される品質を持ち、過酸化水素の濃度が60重量%工業用過酸化水素水溶液を、希釈用超純水供給用配管2より供給される前記表2に示される品質の超純水で希釈して、過酸化水素の濃度が40重量%の粗過酸化水素水溶液を調製し、これを、外径6.0mmφ×内径4.0mmφ×高さ6.0mmのフッ素樹脂製充填物を180mL充填した内径30mmφ、高さ1.0mのフッ素樹脂製蒸留塔に粗過酸化水素水溶液供給用配管1を通して387.7g/時で供給した。なお、フッ素樹脂としては、蒸留塔及び充填物ともポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使用した。
【0029】
流下膜式リボイラを利用して蒸留塔の塔底液(缶液)を液温69℃に調整しながら、塔頂圧力60トールで、塔頂留出液は還流させることなく112mL/時で留出液抜出し用配管4から全て留出させて、還流を行う代わりに塔頂部に前記表2に示される品質の超純水58mL/時を導管5から供給しながら蒸留を行って、蒸留塔の中段部から高純度過酸化水素水溶液抜出用配管3を通して過酸化水素水溶液を375mL/時で抜き出した。得られた過酸化水素水溶液を分析したところ、表3に示すように、高集積度の半導体基板の製造に対応できる、不純物の濃度が非常に低くしかも過酸化水素の濃度が高い水溶液、即ち高純度かつ高濃度(31.0重量%)の過酸化水素水溶液が得られていた。
【0030】
また、塔底液を塔底液回収用配管7から153mL/時で抜き出し、これに留出液回収用配管8により回収した塔頂留出液の一部をから40mL/時で供給・混合し、過酸化水素の濃度が60重量%工業用過酸化水素水溶液を193mL/時で得た。
【0031】
【表3】
Figure 0003632580
【0032】
[実施例2]
実施例1において、塔底液温度を63℃、塔頂圧力を40トールに変えたほかは実施例1と同様に蒸留を行って、蒸留塔の中段部から過酸化水素溶液を375mL/時で抜き出した。得られた過酸化水素水溶液を分析したところ、表3に示すように、高集積度の半導体基板の製造に対応できる、不純物の濃度が非常に低くしかも過酸化水素の濃度が高い水溶液、即ち高純度かつ高濃度(31.3重量%)の過酸化水素水溶液であることが確認された。
【0033】
[比較例1]
実施例1において、塔頂留出液の全留出と超純水の供給を行うことなく、塔頂留出液を還流比1で還流させたほかは、実施例1と同様に蒸留を行って、蒸留塔の中段部から過酸化水素水溶液を375mL/時で抜き出した。得られた過酸化水素水溶液を分析したところ、表4に示すように不純物の濃度が高く、高集積度の半導体基板の製造に使用するには不適当なものであった。
【0034】
[比較例2]
実施例1において、フッ素樹脂製蒸留塔を内径30mmφ、高さ1mのガラス(パイレックス)製蒸留塔に変えたほかは、実施例1と同様に蒸留を行って、蒸留塔の中段部から過酸化水素水溶液を375mL/時で抜き出した。得られた過酸化水素水溶液を分析したところ、表4に示すように不純物の濃度が高く、高集積度の半導体基板の製造に使用するには不適当なものであった。
【0035】
[比較例3]
実施例1において、フッ素樹脂製充填物をガラス(パイレックス)製充填物に変えたほかは、実施例1と同様に蒸留を行って、蒸留塔の中段部から過酸化水素水溶液を375mL/時で抜き出した。得られた過酸化水素水溶液を分析したところ、表4に示すように不純物の濃度が高く、高集積度の半導体基板の製造に使用するには不適当なものであった。
【0036】
【表4】
Figure 0003632580
【0037】
【発明の効果】
本発明の装置を用いて有機不純物、無機不純物等の不純物を多量含む粗過酸化水素水溶液の蒸留を行なうことにより、電子工業分野、特に高集積度の半導体基板の製造に際して利用できる、不純物の濃度が非常に低く(すなわち、TOCが10ppm以下、好ましくは5ppm以下、無機不純物の合計量が200ppb以下、好ましくは100ppb以下、かつAl、B、Ca、Fe、Mg、Na、Si、Zn等の金属不純物がそれぞれ1ppb以下、好ましくは0.5ppb以下で)しかも過酸化水素の濃度が高い(すなわち、過酸化水素の濃度が25〜50重量%、特に30〜40重量%の)過酸化水素水溶液、即ち高純度かつ高濃度の過酸化水素水溶液を容易に得ることができる。また、本発明の装置では、コンデンサ及びリフラックスドラムを高価なフッ素樹脂ライニングのものから安価なステンレス製のものに変えることができ、その上、ステンレス製の熱交換器の総括伝熱係数がフッ素樹脂ライニングのものより2.8〜3倍高いことから熱交換器のサイズを大幅に縮小することもできるので、工業的に非常に有利な高純度過酸化水素水溶液の製造プロセスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高純度過酸化水素水溶液の製造装置を示す図である。
【符号の説明】
A 蒸留塔
B コンデンサ
C リフラックスドラム
D 流下膜式リボイラ
E ポンプ
1 粗過酸化水素水溶液供給用配管
2 希釈用超純水供給用導管
3 高純度過酸化水素水溶液抜出用配管
4 留出液抜出し用配管
5 超純水注入用配管
6 塔底液導出用配管
7 塔底液回収用配管
8 留出液回収用配管
9 スチーム供給管
10 凝縮液排出管
11 加熱塔底液再導入用配管

Claims (5)

  1. 粗過酸化水素水溶液供給用配管を塔底部に、高純度過酸化水素水溶液抜出用配管を中段部に、そして超純水注入用配管と留出液抜出し用配管とを塔頂部に備え、かつフッ素樹脂製の内壁を有すると共にフッ素樹脂製の精留部材が蒸留塔内部に充填されている蒸留塔を備えてなることをを特徴とする高純度過酸化水素水溶液の製造装置。
  2. 該蒸留塔の塔底部に、流下膜式リボイラが、塔底液導出用配管と加熱塔底液再導入用配管とを介して付設されていることを特徴とする請求項1に記載の高純度過酸化水素水溶液の製造装置。
  3. 流下膜式リボイラが、気液並流型の流下膜式リボイラであることを特徴とする請求項2に記載の高純度過酸化水素水溶液の製造装置。
  4. 蒸留塔内部の精留部材が、高純度過酸化水素水溶液抜出用配管と蒸留塔との接続部の上側と下側の双方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の高純度過酸化水素水溶液の製造装置。
  5. 留出液抜出し用配管から取り出された留出液を回収する留出液回収用配管、そして塔底液導出用配管から取り出された塔底液の一部を該留出液回収用配管に供給するための塔底液回収用配管が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の高純度過酸化水素水溶液の製造装置。
JP2000290117A 1994-11-22 2000-09-25 高純度過酸化水素水溶液の製造装置 Expired - Fee Related JP3632580B2 (ja)

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