JPH08230649A - 車両用液圧ブレーキ装置 - Google Patents

車両用液圧ブレーキ装置

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JPH08230649A
JPH08230649A JP33732795A JP33732795A JPH08230649A JP H08230649 A JPH08230649 A JP H08230649A JP 33732795 A JP33732795 A JP 33732795A JP 33732795 A JP33732795 A JP 33732795A JP H08230649 A JPH08230649 A JP H08230649A
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JP
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vehicle
hydraulic pressure
wheel
control
hydraulic
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JP33732795A
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English (en)
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Yoshinori Sasaki
良典 佐々木
Yoshikazu Kondo
好和 近藤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両が運転者の停止操作に応じた停止状態に
ない場合に、停止状態に近づけ得る車両用液圧ブレーキ
装置を得る。 【解決手段】 路面μが低く、車両が3〜15km/hで走
行中で、推定車体速度V SOが15km/h以下であり、か
つ、ブレーキペダルが操作された場合には(S2〜4に
おける判定がYES)、3位置電磁弁が予め定められた
パターンに基づいて減圧位置,保持位置,増圧位置にそ
れぞれ切り換えられる(S6以降)。車両が低速走行中
であっても過大な制動スリップが生じる可能性がある場
合には、3位置電磁弁が制御され、過大な制動スリップ
の発生を防止することができ、運転者の停止操作に応じ
た停止状態に近づけることができる。なお、本発明は、
クリープ現象による移動防止にも適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキ操作部材
の操作に応じてマスタシリンダに発生させられる液圧で
ホイールシリンダが作動し、車両を制動する車両用液圧
ブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ホイールシリンダの液圧を、
制動スリップ状態が適正状態に保たれるように制御する
アンチスキッド制御装置を備えた車両用液圧ブレーキ装
置が知られている。この種の車両用液圧ブレーキ装置に
おいては、通常、車両が設定値以下の速度で走行してい
る場合には、アンチスキッド制御が禁止されるようにな
っている。アンチスキッド制御装置においては、ホイー
ルシリンダの液圧が、スリップ率の大きさに基づいて制
御されるが、車両が設定値以下の速度で走行している場
合には、車輪の回転速度が小さく、回転速度を精度よく
検出することができない。そのため、スリップ率が大き
な誤差を含んだ値となってしまい、アンチスキッド制御
を精度よく行うことができないからである。
【0003】車輪の回転速度は電磁ピックアップ型の車
輪速度検出装置によって検出されるのが普通である。車
輪に多数の歯を有するロータを一体的に回転可能に取り
付け、そのロータの回転速度がマグネットおよびコイル
によって構成される電磁ピックアップによって検出され
る。ロータの回転に伴ってマグネットの磁束が変化して
コイルに交流電圧が発生し、この交流電圧の周波数が車
輪の回転数に比例して変化することを利用して検出する
のである。しかし、低速走行時には、交流電圧の周波数
が長くなるため、回転速度の検出誤差が大きくなるとい
う欠点がある。また、交流電圧の振幅が小さくなるた
め、現実には回転速度が0でなくても検出値が0になっ
てしまう場合もある。
【0004】それに対して、特開平6─92218号公
報には、車両が設定値以下の速度で走行している場合に
もアンチスキッド制御が禁止されないアンチスキッド制
御装置を備えた車両用液圧ブレーキ装置が記載されてい
る。この車両用液圧ブレーキ装置においては、走行速度
が設定値以下であっても、アンチスキッド制御がスリッ
プ率に基づいて行われ、ホイールシリンダの液圧が制動
スリップ状態が適正状態に保たれるよう制御される。
【0005】オートマチックトランスミッションを備え
た車両が、運転者の車両停止操作にもかかわらず、クリ
ープ現象により移動させられている場合には、制動スリ
ップが生じる場合がある。その場合に、上記アンチスキ
ッド制御装置を備えた車両用液圧ブレーキ装置によれ
ば、アンチスキッド制御が行われ、ホイールシリンダ液
圧が制動スリップ状態がほぼ適正状態になるように制御
される。
【0006】上記制動スリップが過大な状態は、車両
が、運転者の停止操作に応じた停止状態にない状態の一
例であるが、他にも運転者の停止操作に応じた停止状態
にない場合がある。例えば、ブレーキ操作部材が操作さ
れなくても、シフトレバー位置がニュートラルやパーキ
ングにされるということは、運転者が車両を停止状態に
しようとしていることを意味する。しかし、シフトレバ
ーのニュートラル位置への運転者の停止操作にもかかわ
らず、車両が上記クリープ現象等により走行させられる
ことがあり、運転者の停止操作に応じた停止状態にない
ことになるのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平6─922
18号公報に記載の車両用液圧ブレーキ装置は高価であ
るという問題があった。車両が設定値以下の速度で走行
している場合にもアンチスキッド制御が行われるように
するためには、車輪の小さな回転速度を精度よく検出す
る必要がある。そのため、車輪速度検出装置を回転速度
が小さくても精度よく検出できるものにする必要があ
り、コストが高くなってしまうのである。また、上記の
ように、ブレーキ操作部材が操作されないで、シフトレ
バーがニュートラル位置へ操作された場合に、車両がク
リープ現象等により走行させられる場合には、制動スリ
ップが過大でないため、当然アンチスキッド制御は行わ
れず、従来のアンチスキッド制御装置を備えた車両用液
圧ブレーキ装置においてはホイールシリンダ液圧は制御
されない。
【0008】そこで、請求項1ないし請求項4に係る第
一発明ないし第四発明の共通の課題は、通常のアンチス
キッド制御が行われない場合において、車両を運転者の
停止操作に応じた停止状態に近づけ得る車両用液圧ブレ
ーキ装置を得ることにある。具体的には、第二発明およ
び第三発明の課題は、車両の走行速度が設定値以下の場
合にも制動スリップの抑制をコストアップを回避しつつ
行い得る車両用液圧ブレーキ装置を得ることにあり、第
四発明の課題は、クリープによる車両の移動を防止し得
る車両用液圧ブレーキ装置を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は、第一発明に
おいては、車両用液圧ブレーキ装置に、(1) 運転者によ
って車両を停止させるための車両停止操作が行われた状
態にあるか否かを検出する停止操作検出装置と、(2) 車
両が設定値以下の速度で走行中か否かを検出する低速走
行検出装置と、(3) 停止操作検出装置によって車両停止
操作が行われた状態にあることが検出され、かつ、前記
低速走行検出装置によって車両が低速で走行中であるこ
とが検出された場合に、ホイールシリンダの液圧を、車
輪の回転速度とは無関係に、マスタシリンダの液圧とは
異なる高さに制御するホイールシリンダ液圧制御装置と
を設けることによって解決される。
【0010】ここにおいて、停止操作検出装置により検
出される車両停止操作は、走行中の車両を停止させるた
めの操作であっても、停止状態を継続するための操作で
あってもよい。例えば、ブレーキ操作部材が操作された
状態にあることを検出するブレーキ操作検出装置や、シ
フトレバーがニュートラル位置やパーキング位置にある
ことを検出するシフトレバー位置検出装置等が停止操作
検出装置として利用可能である。
【0011】第二発明においては、前記課題が、第一発
明に係る車両用液圧ブレーキ装置において、前記停止操
作検出装置を、ブレーキ操作部材が操作状態にあるか否
かを検出するブレーキ操作検出装置を含むものとし、前
記ホイールシリンダ液圧制御装置を、ホイールシリンダ
の液圧を、マスタシリンダの液圧より低く抑えるホイー
ルシリンダ液圧抑制装置を含むものとすることにより解
決される。また、第三発明においては、第二発明に係る
車両用液圧ブレーキ装置に、さらに、(4) 路面の摩擦係
数に関連した摩擦係数関連量を取得する摩擦係数関連量
取得手段と、(5) その摩擦係数関連量取得手段によって
取得された摩擦係数関連量が設定値より低い摩擦係数に
対応する量である場合には、前記ホイールシリンダ液圧
抑制装置による抑制を許可し、設定値より高い摩擦係数
に対応する量である場合には禁止する抑制許可禁止手段
とを設けることによって解決される。ここで、摩擦係数
関連量は、路面の摩擦係数自体は勿論、路面の摩擦係数
と一対一の関係があり、摩擦係数推定の根拠となり得る
あらゆる量を含む。
【0012】第四発明は、車両がオートマチックトラン
スミッションを備えた車両である場合に前記課題を解決
するするものであり、前記低速走行検出装置を車両がク
リープ現象により移動している状態であることを検出す
るクリープ移動検出装置を含むものとし、かつ、前記ホ
イールシリンダ液圧制御装置を、クリープ移動検出装置
によって車両がクリープ現象により移動していると検出
された場合に、駆動輪を含む複数輪のうち他の車輪より
回転速度が早い駆動輪の少なくとも一部のもののホイー
ルシリンダの液圧を、マスタシリンダの液圧より高くす
るホイールシリンダ液圧高揚装置を含むものとすること
によって解決される。
【0013】「クリープ現象による移動」は、実施例に
おいて詳述するように、シフトレバーがパーキング位置
やニュートラル位置以外のドライブ位置等にある場合
に、アクセルペダルが踏み込まれていないのにオートマ
チックトランスミッションの作用により車両が移動させ
られている状態や、オートマチックトランスミッション
の作動液の温度が非常に低い場合に、シフトレバーの位
置がニュートラルにあるにもかかわらず車両が移動させ
られている状態等を含む。いずれにしても、車両が慣性
力でなく駆動力によって低速で移動させられている状態
である。
【0014】車両が、後輪駆動車,前輪駆動車である場
合には、ホイールシリンダ液圧高揚装置によって、駆動
輪である後輪あるいは前輪のホイールシリンダの液圧が
高揚させられる。車両がクリープ現象により移動してい
る状態においては、駆動輪の方が非駆動輪より回転速度
が早いからである。この場合には、駆動輪の回転速度と
非駆動輪の回転速度とを実際に検出して比較する必要は
必ずしもない。回転速度がより早い車輪であると推定で
きればよいのである。また、車両が四輪駆動車である場
合には、回転速度が早い駆動輪のホイールシリンダの液
圧が高揚させられる。四輪駆動車においては、四輪すべ
てに均一に駆動トルクや制動トルクが作用するとは限ら
ないため、駆動輪すべての回転速度が同じであるとは限
らないのである。
【0015】
【作用】第一発明の車両用液圧ブレーキ装置において
は、車両が低速走行中であり、かつ、運転者によって車
両停止操作が行われた状態にある場合には、ホイールシ
リンダの液圧が、車輪の回転速度とは無関係に、マスタ
シリンダの液圧とは異なる大きさに制御される。ホイー
ルシリンダの液圧が車輪の回転速度とは無関係に制御さ
れるのであり、従来のアンチスキッド制御装置を備えた
車両用液圧ブレーキ装置におけるようにスリップ率に基
づいて制御されるわけではないのである。
【0016】ホイールシリンダの液圧が車輪の回転速度
とは無関係に制御されるのは、主として、車輪の回転速
度が車輪速度検出装置によって検出はされるが大きな誤
差を含む可能性が高い場合や、車輪速度検出装置によっ
て検出できないほど小さい場合等である。例えば、前者
の場合には、回転速度の大小の比較はできるが、その値
に基づいて精度のよい液圧制御を行うことが困難な場合
等があり、後者の場合には、車輪がロックして回転速度
が現実に0になっている場合や、0ではないが非常に小
さい場合がある。ただし、第一発明は、車輪の回転速度
が精度よく検出される大きさであるにもかかわらず、ホ
イールシリンダの液圧が回転速度とは無関係に制御され
ることを排除するわけではない。例えば、第四発明の態
様において、凍結路上等で運転者が路面の摩擦係数が特
に低いことを意識してブレーキ操作部材を軽く操作し、
非駆動輪においては制動スリップが過大となってアンチ
スキッド制御が開始されているが、駆動輪においては駆
動力の方が制動力より大きいために駆動スリップが生じ
ており、駆動輪のホイールシリンダにはマスタシリンダ
液圧より高い液圧を供給した方が制動距離を短縮し得る
場合には効果がある。
【0017】また、制動スリップが生じていなくてもホ
イールシリンダ液圧が制御される場合もある。ブレーキ
操作部材が操作状態になく、シフトレバー位置がニュー
トラルにある状態において車両が移動させられている場
合である。車両は運転者の停止操作に応じた停止状態に
ないとされ、停止操作に応じた停止状態に近づけるよう
にホイールシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧とは異な
る高さに制御される。この場合には、ブレーキ操作部材
は操作されていないため、マスタシリンダの液圧は大気
圧である。
【0018】第二発明の車両用液圧ブレーキ装置におい
ては、車両が低速走行中であり、かつ、ブレーキ操作部
材が操作状態にある場合には、ホイールシリンダの液圧
がマスタシリンダの液圧より低く抑えられ、制動スリッ
プが抑制される。すなわち、車両の慣性力による走行に
伴って発生させられる制動スリップが、ホイールシリン
ダの液圧が抑制されることによって抑制されるのであ
る。このような抑制が必要になるのは、例えば、凍結路
上に停車中に前の車両が発進したためそれに続いて発進
したが、前の車両が何らかの理由で再び制動したため制
動の必要が生じた場合である。この場合の抑制は、車輪
の回転速度の検出が不可能もしくは精度の確保が困難な
低速走行中であるため通常のアンチスキッド制御が開始
されない場合に行われる特殊なアンチスキッド制御と考
えることができる。
【0019】ホイールシリンダ液圧抑制装置による抑制
が、マスタシリンダの液圧がほぼ大気圧にある状態、す
なわち、ブレーキ操作部材が非操作状態から操作状態に
切り換わった直後に開始された場合には、ホイールシリ
ンダの液圧の上昇勾配をマスタシリンダの液圧の上昇勾
配より小さくすることにより、ホイールシリンダの液圧
をマスタシリンダの液圧より低く抑制できる。また、マ
スタシリンダの液圧が大気圧以上に高くなった状態にお
いて開始された場合には、ホイールシリンダの液圧を、
マスタシリンダの液圧より設定量だけ低くすることも、
マスタシリンダの液圧より低い一定の大きさにすること
もできる。
【0020】第三発明の車両用液圧ブレーキ装置におい
ては、摩擦係数関連量が設定値より低い路面の摩擦係数
に対応する量である場合に、ホイールシリンダ液圧抑制
装置による抑制が許可され、高い路面の摩擦係数に対応
する量である場合に、禁止される。車両の低速走行中に
ホイールシリンダの液圧をマスタシリンダの液圧より低
く抑制する方がよいのは、通常、路面の摩擦係数が低い
場合であって、路面の摩擦係数が高い場合には抑制しな
い方がよいのが普通である。したがって、第三発明にお
いては、摩擦係数関連量が設定値より低い路面の摩擦係
数に対応する量であるか否かによって、ホイールシリン
ダ液圧抑制装置による抑制が許可されたり、禁止された
りするのである。
【0021】第四発明の車両用液圧ブレーキ装置におい
ては、オートマチックトランスミッションを備えた車両
が、運転者による車両停止操作が行われた状態にあるに
もかかわらず、駆動力により移動させられている場合
に、ホイールシリンダの液圧がマスタシリンダの液圧よ
り高揚させられる。高揚させられるのは駆動輪のホイー
ルシリンダの液圧であり、特に有効なのは他の車輪より
回転速度の早い駆動輪のホイールシリンダの液圧であ
る。このような液圧高揚が特に有効なのは、例えば、凍
結路等摩擦係数の低い路面上においてクリープ現象が生
じ、それを抑制するために運転者がブレーキ操作部材を
操作し、一部の車輪(例えば非駆動輪)においては制動
スリップが大きくなったが、少なくとも一部の駆動輪に
おいては未だ制動力より駆動力の方が大きく、車両がこ
の駆動力と慣性力との両方で走行させられている場合で
ある。この場合には、制動力より駆動力の方が大きい駆
動輪のホイールシリンダの液圧を高揚させれば、その駆
動輪の駆動力を小さくし、あるいは制動作用を行わせる
ことができ、走行安定性の向上や制動距離の短縮の効果
を得ることができるのである。
【0022】また、第四発明は、オートマチックトラン
スミッションの作動液の温度が非常に低い時に、運転者
がシフトレバーをドライブ等ニュートラル位置やパーキ
ング位置以外の位置からニュートラル位置に操作したに
もかかわらず、車両が移動させられている場合にも適用
可能である。オートマチックトランスミッションにおい
て、シフトレバー位置がニュートラル位置にある場合に
はエンジンの駆動トルクが駆動輪に伝達されないはずで
あるが、作動液の温度が特に低い場合には作動液の粘度
が高くなるため、作動液が供給されていないクラッチや
ブレーキが半係合状態となり、駆動トルクの伝達が行わ
れてしまって車両が移動させられることがある。この場
合に、ホイールシリンダ液圧を高揚させれば、車両を停
止状態に近づけることが可能となる。
【0023】
【発明の効果】第一発明の車両用液圧ブレーキ装置にお
いては、車両が運転者の車両停止操作に応じた停止状態
にない場合には、ホイールシリンダ液圧が制御されるた
め、車両を運転者の停止操作に応じた停止状態に近づけ
ることができる。例えば、低速走行時にもホイールシリ
ンダの液圧が制御され、そのホイールシリンダに対応す
る車輪(例えば、第二発明の態様において)または他の
車輪(例えば、第四発明の態様において)の制動スリッ
プを低減させることができる。しかも、ホイールシリン
ダの液圧が車輪の回転速度とは無関係に制御されるた
め、低い回転速度を精度良く検出し得る高価な車輪速度
検出装置が不要であり、車両用液圧ブレーキ装置のコス
トアップを回避することができる。
【0024】第二発明の車両用液圧ブレーキ装置におい
ては、低速走行時にホイールシリンダの液圧が抑制され
るため、慣性力による車両の走行によって生じる制動ス
リップを低減させることができ、第三発明の車両用液圧
ブレーキ装置においては、ホイールシリンダ液圧抑制装
置による抑制が、路面摩擦係数が小さい場合にのみ許可
されるため、第二発明の効果に加え、路面摩擦係数が大
きい場合に無用に制動力が抑制されてしまうことを回避
することができる。
【0025】さらに、第四発明の車両用液圧ブレーキ装
置によれば、車両のクリープ現象による移動を抑制する
ことができる。ある駆動輪の駆動力による車両の移動に
よって別の車輪に制動スリップが生じている場合に、そ
の制動スリップを抑制したり、過大な制動スリップの有
無とは無関係に駆動輪の回転を抑制してクリープ現象に
よる車両の移動を抑制したりできるのである。
【0026】
【発明の補足説明】本発明は請求項に記載の態様の他、
以下に列挙する態様でも実施することができる。 (1)前記停止操作検出装置が、ブレーキ操作部材が操
作状態にあるか否かを検出するブレーキ操作検出装置
と、そのブレーキ操作検出装置の検出結果に基づいてブ
レーキ操作部材が非操作状態から操作状態に切り換わっ
た場合に停止操作が行われたと検出するブレーキ操作依
拠停止操作検出手段とを含む請求項1ないし4のいずれ
か1つに記載の車両用液圧ブレーキ装置。停止操作検出
装置は、車両停止操作が行われた状態にあるか否かを検
出する装置であるが、この装置によれば、停止操作が行
われていない状態から行われた状態に切り換わったか否
か、すなわち、車両停止操作が行われたか否かが検出さ
れることになる。後述するように、ホイールシリンダ液
圧制御装置による制御は車両停止操作が行われた時点に
開始した方がよい場合がある。 (2)前記停止操作検出装置が、シフトレバーの位置を
検出するシフトレバー位置検出装置と、そのシフトレバ
ー位置検出装置によって検出されたシフトレバーの位置
がニュートラルまたはパーキングにある場合に停止操作
が行われた状態にあると検出するシフトレバー位置依拠
停止操作検出手段とを含む請求項1〜4のいずれか1つ
に記載の車両用液圧ブレーキ装置。シフトレバーの位置
がニュートラルまたはパーキングにあれば、停止操作が
行われた状態にあると検出することができる。 (3)前記停止操作検出装置が、シフトレバーの位置を
検出するシフトレバー位置検出装置と、そのシフトレバ
ー位置検出装置によって検出されたシフトレバー位置が
ニュートラルまたはパーキング以外の位置からニュート
ラルに切り換わった場合に車両停止操作が行われたと検
出するシフトレバー操作依拠停止操作検出手段を含む請
求項1〜4のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキ
装置。シフトレバーが上述のように操作された場合に
は、運転者によって車両を停止状態にするための操作が
行われたとみなすことができる。例えば、ブレーキ操作
部材が操作状態にある場合においてシフトレバーが上述
のように操作されれば、車両の停止状態を維持するため
の操作が行われたと考えることができる。この場合に
は、本態様の停止操作検出装置は停止状態維持操作検出
装置に該当することになる。逆に、ブレーキ操作部材が
操作状態にない場合において、シフトレバーが上述のよ
うに操作されれば、車両を停止させるための操作が行わ
れたと考えることができる。この場合には、本態様に、
さらに、ブレーキ操作部材が操作状態にあるか否かを検
出するブレーキ操作検出装置と、そのブレーキ操作検出
装置によってブレーキ操作部材が操作状態にないと検出
された場合において、前記シフトレバー位置検出装置に
よって検出されたシフトレバー位置がニュートラルまた
はパーキング以外にある状態からニュートラルに切り換
わった場合に車両停止操作が行われたと検出するシフト
レバー操作依拠停止操作検出手段とを設けることが望ま
しい。 (4)当該車両用液圧ブレーキ装置が、ホイールシリン
ダへの作動液の供給を許容する供給許容状態と、ホイー
ルシリンダへの作動液の供給を阻止する供給阻止状態と
に切り換え可能な電磁弁装置を含み、前記ホイールシリ
ンダ液圧制御装置が、前記電磁弁装置を供給許容状態と
供給阻止状態とに切り換える電磁弁装置制御手段を含む
請求項1〜4,態様1〜3のいずれか1つに記載の車両
用液圧ブレーキ装置。電磁弁装置が電磁弁装置制御手段
によって制御されれば、ホイールシリンダ液圧を制御す
ることができる。 (5)当該車両用液圧ブレーキ装置が、少なくともホイ
ールシリンダにマスタシリンダを連通させる増圧状態と
ホイールシリンダをマスタシリンダから遮断してリザー
バに連通させる減圧状態とに切り換え可能な電磁弁装置
を含み、かつ、前記ホイールシリンダ液圧制御装置が、
前記電磁弁装置を、増圧状態と減圧状態とに交互に切り
換える増圧・減圧状態切換手段を含む請求項1〜3,態
様1〜4のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキ装
置。 (6)当該車両用液圧ブレーキ装置が、ホイールシリン
ダをマスタシリンダに連通させる増圧状態と、ホイール
シリンダをマスタシリンダから遮断してリザーバに連通
させる減圧状態と、ホイールシリンダをマスタシリンダ
からもリザーバからも遮断する保持状態とに切り換え可
能な電磁弁装置を含み、かつ、前記ホイールシリンダ液
圧制御装置が、前記電磁弁装置を、減圧状態および保持
状態のいずれか一方と増圧状態とに交互に切り換える増
圧・減圧保持状態切換手段を含む請求項1〜3,態様1
〜4に記載の車両用液圧ブレーキ装置。ブレーキ操作部
材が操作されている場合には、マスタシリンダの液圧は
ホイールシリンダの液圧より高くなる。したがって、ホ
イールシリンダにマスタシリンダが連通させられれば、
ホイールシリンダ液圧は増圧される。また、リザーバに
連通させられれば、減圧され、マスタシリンダからもリ
ザーバからも遮断されれば、液圧は保持される。電磁弁
装置が、減圧状態あるいは保持状態と、増圧状態とに切
り換えられれば、ホイールシリンダの液圧がマスタシリ
ンダの液圧より低く抑えられる。 (7)前記ホイールシリンダ液圧制御装置が、前記増圧
・減圧保持状態切換手段によって、電磁弁装置を、減圧
状態および保持状態のいずれか一方と増圧状態とに交互
に切り換える以前に、減圧状態と保持状態とに交互に切
り換える減圧保持切換手段を含む態様6に記載の車両用
液圧ブレーキ装置。液圧制御が開始される時点におい
て、ホイールシリンダの液圧が既に高くなっている場合
には、電磁弁装置が、増圧状態とそれ以外の状態とに交
互に切り換えられても、ホイールシリンダの液圧が減少
させられないか減圧勾配が小さいかにより、制動スリッ
プを良好に抑制することができない。それに対して、増
圧状態とそれ以外の状態とに交互に切り換えられる以前
に減圧状態と保持状態とに交互に切り換えられれば、ホ
イールシリンダの液圧を良好に減少させ得、制動スリッ
プを良好に抑制することができる。しかし、この減圧状
態と保持状態とに切り換える制御は、ホイールシリンダ
液圧抑制制御が行われる場合には常に行われても、必要
な場合にのみ行われてもよい。後者の場合には、例え
ば、減圧・保持切換手段による制御を、ホイールシリン
ダ液圧等に応じて許可したり禁止したりする減圧保持切
換制御許可禁止手段を設けてもよい。 (8)前記ホイールシリンダ液圧制御装置が、増圧時間
の制御サイクルタイムに対する比率が、制御開始時にお
ける場合より制御終了時における方が大きくなるように
前記電磁弁装置を制御する時間比率対応電磁弁装置制御
手段を含む態様4〜7のいずれか1つに記載の車両用液
圧ブレーキ装置。ここで、増圧時間は、増圧状態に保た
れる時間であり、制御サイクルタイムは記憶手段に記憶
されているパターンの1回の実行に要する時間であっ
て、増圧時間と、増圧状態以外の状態に保たれる時間
(保持時間あるいは減圧時間)との和の時間である。制
御開始当初における増圧時間の制御サイクルタイムに対
する比率が、制御終了時における比率より小さくされれ
ば、制御開始当初には制御終了時より、ホイールシリン
ダ液圧の抑制量が大きくされ、制動スリップが効果的に
抑制される。前述の増圧状態とそれ以外の状態とに交互
に切り換えられる以前に減圧状態と保持状態とに交互に
切り換えられる場合と似た効果が得られる。なお、上記
時間比率は、制御時間の経過に伴って連続的に大きくし
ても、段階的に大きくしてもよい。 (9)当該車両用液圧ブレーキ装置が、マスタシリンダ
液圧より高い液圧の作動液を供給可能な高圧源と、ホイ
ールシリンダを高圧源に連通させる高圧作動液供給許容
状態と高圧源から遮断する高圧作動液供給阻止状態とに
切り換え可能な電磁弁装置とを含み、かつ、前記ホイー
ルシリンダ液圧制御装置が、前記電磁弁装置を高圧作動
液供給許容状態と高圧作動液供給阻止状態とに切り換え
る供給許容・阻止状態切換手段を含む請求項1,4,態
様1〜4のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキ装
置。ブレーキ操作部材が操作状態にない場合には、マス
タシリンダの液圧が低いためにマスタシリンダの作動液
を利用してホイールシリンダ液圧を高揚させることがで
きないが、本態様によれば、ホイールシリンダ液圧をマ
スタシリンダの液圧より高くすることができる。高圧源
の液圧は、マスタシリンダの液圧より常に高くなくても
よく、少なくとも必要な場合に高ければよい。つまり、
運転者の停止操作にもかかわらず車両がクリープ現象に
より移動させられている場合に、その車両の移動を抑制
し得るだけの制動力を発生させ得る高さであればよく、
運転者によってブレーキ操作部材が大きな操作力で操作
される場合に、それに応じて発生させられるマスタシリ
ンダ液圧よりは高くなくてもよいのである。 (10)前記ホイールシリンダ液圧制御装置が、前記電
磁弁装置を、高圧作動液供給許容状態に設定時間保つ高
圧作動液許容状態維持手段を含む態様9に記載の車両液
圧ブレーキ装置。電磁弁装置を高圧作動液許容状態に保
てば、ホイールシリンダ液圧を高揚させることができ
る。また、交互に切り換える場合より制御を簡易にする
ことができる。 (11)前記ホイールシリンダ液圧制御装置が、前記電
磁弁装置を制御する制御パターンを記憶するパターン記
憶手段を含む態様4〜10のいずれか1つに記載の車両
用液圧ブレーキ装置。 (12)前記パターン記憶手段が、複数のパターンを記
憶するものであり、前記ホイールシリンダ液圧制御装置
が、その複数のパターンから1つを選択するパターン選
択手段を含む態様11に記載の車両用液圧ブレーキ装
置。電磁弁装置が、パターン記憶手段によって記憶され
た予め定められたパターンに基づいて制御される。ホイ
ールシリンダ液圧の制御が、走行速度が設定速度以下の
場合にのみ行われるため、スリップ率等に基づいて制御
が行われなくても差し支えない。制動スリップを抑制し
得る等車両を運転者の意図に応じた制動状態にすること
ができるのである。パターン記憶手段に記憶されたパタ
ーンは1種類であっても複数種類であってもよい。複数
種類記憶されている場合には、複数種類のパターンのう
ちの1つのパターンが路面摩擦係数,走行速度,ブレー
キ操作部材の操作力,操作速度,シフトレバー位置等に
基づいて選択されるようにすることができる。例えば、
パターン記憶手段には、ホイールシリンダ液圧抑制制御
が行われる場合の抑制制御パターンとホイールシリンダ
液圧高揚制御が行われる場合の高揚制御パターンとの2
つが記憶されている場合、複数種類の抑制制御パターン
が記憶されている場合等がある。抑制制御パターンに
は、電磁弁装置を、減圧状態と保持状態とに交互に切り
換えた後に、減圧状態と保持状態とのいずれか一方と増
圧状態とに切り換えるパターンや、制御開始時における
増圧時間の制御時間に対する時間比率を制御終了時にお
ける比率より小さくするパターンや、これら両方のパタ
ーン等複数種類のパターンが含まれる。また、態様7に
示すように、電磁弁装置が、減圧状態と保持状態とに切
り換えられた後、減圧状態および保持状態のいずれか一
方と増圧状態とに切り換えられる場合には、最初の減圧
状態と保持状態とに切り換える制御パターンは、後の減
圧状態および保持状態のいずれか一方と増圧状態とに切
り換える制御パターンと一緒にパターン記憶手段に記憶
させても、別個に記憶させてもよい。前述のように、こ
の減圧状態と保持状態とに切り換える制御は、ホイール
シリンダ液圧抑制制御が行われる場合に必ずしも不可欠
なものではないからである。 (13)前記電磁弁装置が、前輪側のホイールシリンダ
に対して設けられた前輪電磁弁装置と、後輪側のホイー
ルシリンダに対して設けられた後輪電磁弁装置とを含
み、前記ホイールシリンダ液圧制御装置が、前記前輪電
磁弁装置と後輪電磁弁装置とのいずれか一方の電磁弁装
置の制御を行い、他方の電磁弁装置の制御を行わないも
のである態様4〜12のいずれか1つに記載の車両用液
圧ブレーキ装置。 (14)前記ホイールシリンダ液圧制御装置が、前記前
輪電磁弁装置の制御を行わないで後輪電磁弁装置の制御
を行う後輪電磁弁装置制御手段を含む態様13に記載の
車両用液圧ブレーキ装置。 (15)前記電磁弁装置が、非駆動輪のホイールシリン
ダに対して設けられた非駆動輪電磁弁装置と、駆動輪の
ホイールシリンダに対して設けられた駆動輪電磁弁装置
とを含み、前記ホイールシリンダ液圧制御装置が、前記
駆動輪電磁弁装置の制御を行い、非駆動輪電磁弁装置の
制御を行わない駆動輪電磁弁装置制御手段を含む態様
4,9〜12のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレー
キ装置。全車輪のホイールシリンダに対する電磁弁装置
に対して制御を行う必要は必ずしもない。車両用液圧ブ
レーキ装置が前後配管である場合には、前輪側のホイー
ルシリンダ液圧と後輪側のホイールシリンダ液圧との抑
制を別個に行うことが容易である。ホイールシリンダ液
圧抑制制御を行う場合には、一般に比較的制動能力が低
くかつ操縦安定性確保の上では重要である後輪側のホイ
ールシリンダの液圧を制御する電磁弁装置に対してのみ
抑制制御を行うことが望ましい場合が多い。それに対し
て、クリープの移動を阻止するためのホイールシリンダ
液圧高揚制御を行う場合には、駆動輪のホイールシリン
ダの液圧を高揚させればよい。非駆動輪のホイールシリ
ンダの液圧を高揚させる必要はなく、高揚させることに
よって制動スリップが過大になるおそれがある。後輪側
および前輪側のいずれか一方が駆動輪であり他方が非駆
動輪である車両においては、本態様は、態様13の一態
様となり、後輪が駆動輪である車両においては、態様1
4の一態様にも該当することになる。 (16)当該車両用液圧ブレーキ装置が、マスタシリン
ダとホイールシリンダとの間に設けられた流量制御弁を
含み、前記ホイールシリンダ液圧制御装置が、前記流量
制御弁における流路面積を小さくする流量制御弁制御手
段を含む請求項1〜3,態様1〜3のいずれか1つに記
載の車両用液圧ブレーキ装置。ホイールシリンダに、マ
スタシリンダの作動液が絞りを介して供給されれば、ホ
イールシリンダの液圧の上昇勾配がマスタシリンダの液
圧の上昇勾配より小さくなり、ホイールシリンダ液圧を
抑制することができる。 (17)路面の摩擦係数に関連した摩擦係数関連量を取
得する摩擦係数関連量取得手段と、その摩擦係数関連量
取得手段によって取得された摩擦係数関連量が設定値よ
り低い摩擦係数に対応する量である場合には、前記ホイ
ールシリンダ液圧高揚装置による高揚を許可し、設定値
より高い摩擦係数に対応する量である場合には禁止する
高揚許可禁止手段とを含む請求項4,態様1〜4,9〜
15のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキ装置。
摩擦係数関連量に基づく路面摩擦係数が小さい場合に、
液圧高揚を許可すれば、車両のクリープ現象による移動
を良好に抑制することができる。それに対して、路面摩
擦係数が大きい場合には、路面と車輪との間にクリープ
現象による駆動力に十分打ち勝ち得る大きな摩擦力が発
生可能であるため、運転者がその大きな摩擦力を発生さ
せるようにブレーキ操作部材の操作を行えばよく、液圧
を高揚させる必要はないのである。また、摩擦係数関連
量が小さい場合において、ブレーキ操作部材が操作され
ている場合には過大な制動スリップが生じていると推定
することができるため、摩擦係数関連量取得手段が、過
大制動スリップ推定手段に該当する。 (18)前記摩擦係数関連量取得手段が、摩擦係数関連
量として制動時の車体減速度を検出する減速度検出装置
を含む請求項3,態様1〜8,11〜17のいずれか1
つに記載の車両用液圧ブレーキ装置。 (19)当該車両用液圧ブレーキ装置が、ホイールシリ
ンダ液圧を、駆動スリップ状態が適正状態に保たれるよ
うに制御するトラクション制御手段を含み、前記摩擦係
数関連量取得手段が、摩擦係数関連量として制動直前の
車両発進時に前記トラクション制御手段によりトラクシ
ョン制御が行われた否かを検出する請求項3,態様1〜
8,11〜17のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレ
ーキ装置。路面の摩擦係数の大きさ、あるいはそれが低
いことを、路面の反射率を測定する反射率測定装置,路
面の平滑度等を測定する平滑度測定装置等、専用の装置
により検出することも可能であるが、既存の装置を利用
して検出することも可能であり、後者の場合にはコスト
アップを回避することができる。 (20)当該車両用液圧ブレーキ装置が、過大な制動ス
リップが発生していることを推定する過大制動スリップ
推定手段を含む請求項1〜4,態様1〜19のいずれか
1つに記載の車両用液圧ブレーキ装置。ホイールシリン
ダ液圧制御装置による制御は、制動スリップが過大であ
る等車両が運転者の意図する制動状態にない場合に行わ
れることが望ましい。なお、過大制動スリップ推定手段
は、実際に制動スリップが過大であることを検出する手
段であっても、制動スリップが過大であることを推定す
る手段であってもよい。また、過大な制動スリップが生
じれば、路面摩擦係数が小さいと推定することができる
ため、過大制動スリップ推定手段は、路面摩擦係数関連
量取得手段の一態様であると考えることもできる。しか
し、後述するように、ホイールシリンダ液圧制御は、制
動スリップが過大でない場合にも行われる。 (21)当該車両用液圧ブレーキ装置が、車輪の回転速
度を検出する回転速度検出装置と、その回転速度検出装
置によって検出された車輪の回転速度が設定速度以下の
場合にホイールシリンダ液圧制御装置による制御を許可
する回転速度対応制御許可手段とを含む請求項1〜4,
態様1〜20のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレー
キ装置。上記回転速度の設定値は、回転速度検出装置に
よる車輪の回転速度の検出が不可能もしくは可能ではあ
るが検出精度が不十分であるような低い値に設定され
る。設定値は0を含み、この場合「車輪の回転速度が
0」とは、現実の車輪の回転速度が0の場合は勿論、現
実には0ではないが、回転速度検出装置によっては検出
不可能であるほど回転速度が小さい場合を含む。車両が
低速走行中で、車両停止操作が行われた状態において、
回転速度検出装置によって検出された車輪の回転速度が
設定値以下である場合には、制動スリップが過大になっ
ている可能性があるとしてホイールシリンダ液圧制御装
置による制御が許可される。車両が低速走行中である場
合において、回転速度検出装置によって検出された車輪
の回転速度がほぼ0である場合には制動スリップが過大
になっている可能性が高いからである。なお、本態様に
おいては、車両用液圧ブレーキ装置が、低速走行検出装
置と回転速度検出装置とを含むのであるが、これらは必
ずしも別個独立の装置である必要はなく、例えば、回転
速度検出装置が低速走行検出装置の一部を構成してもよ
い。 (22)当該車両用液圧ブレーキ装置が、駆動輪の回転
速度を検出する駆動輪回転速度検出装置と、非駆動輪の
回転速度を検出する非駆動輪回転速度検出装置とを含
み、かつ、前記クリープ移動検出装置が、前記駆動輪回
転速度検出装置によって検出された駆動輪の回転速度
が、非駆動輪回転速度検出装置によって検出された非駆
動輪の回転速度より大きいことを検出する回転速度差検
出装置を含む請求項4,態様1〜4,9〜12,15,
17〜21のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキ
装置。低速走行中であって、駆動輪の回転速度が非駆動
輪の回転速度より大きい場合に、車両がクリープ現象で
移動していると判定される。クリープ現象で移動してい
る場合には必ず駆動輪の回転速度が非駆動輪の回転速度
より早くなるのである。 (23)前記クリープ移動検出装置が、シフトレバーの
位置を検出するシフトレバー位置検出装置と、アクセル
操作部材が操作されたか否かを検出するアクセル操作検
出装置とを含む請求項4,態様1〜4,9〜15,17
〜21のいずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキ装
置。シフトレバー位置検出装置によって検出されたシフ
トレバーの位置がパーキング,ニュートラル以外であ
り、かつ、前記アクセル操作検出装置によってアクセル
操作部材が操作されていないことが検出された場合に、
車両が設定値以下の速度で走行していれば、車両がクリ
ープ現象により移動していると判定される。また、シフ
トレバー位置検出装置によって検出されたシフトレバー
の位置がニュートラルである状態において、車両が設定
値以下の速度で走行している場合にも、車両がクリープ
現象により移動していると判定される。この場合には、
アクセル操作部材が操作されているか否かを検出する必
要はない。本態様によれば、車両が四輪駆動車であって
も、クリープ現象により移動しているか否かを検出する
ことができる。また、車輪の回転速度が回転速度検出装
置によっては検出できないほど小さい場合や回転速度検
出装置の出力値が大きな誤差を含む可能性が高い場合に
おいても検出することができるという利点もある。 (24)前記クリープ移動検出装置が、前記オートマチ
ックトランスミッションの作動液の温度が設定温度以下
であるか否かの情報を取得する作動液温取得装置を含む
請求項4,態様1〜4,9〜15,17〜21のいずれ
か1つに記載の車両用液圧ブレーキ装置。作動液温取得
装置の典型的なものは、作動液の温度が設定温度以下か
否かを直接検出するものであるが、作動液の温度が設定
温度以下であることを推定する装置でもよい。例えば、
外気温が設定温度以下か否かを検出する装置であっても
よい。外気温が低い場合には、作動液の温度も低いと推
定することができる。また、設定温度は、作動液の粘性
が高くなり、オートマチックトランスミッション内にお
いて、クラッチやブレーキに作動液が供給される状態か
ら供給されない状態に切り換わっても、係合状態から非
係合状態に切り換わらないで半係合状態にされるほど低
い温度である。したがって、作動液の温度が設定温度よ
り低く、車両が低速で移動させられている場合には、ク
リープ現象により移動させられると考えることができ
る。 (25)当該車両用液圧ブレーキ装置が、車両が運転者
の停止操作に応じた停止状態にあるか否かを推定する運
転者停止操作対応停止状態推定手段と、その運転者停止
操作対応停止状態推定手段によって車両が運転者の停止
操作に応じた停止状態にないと推定された場合に、前記
ホイールシリンダ液圧制御装置による制御を許可する運
転者停止操作依拠液圧制御許可手段とを含む請求項1〜
4,態様1〜24のいずれか1つに記載の車両用液圧ブ
レーキ装置。運転者によって停止操作が行われているに
もかかわらず、車両が走行状態にある場合には、車両が
運転者の停止操作に応じた停止状態にないと推定するこ
とができる。このような場合にホイールシリンダ液圧制
御が行われれば、車両を運転者の停止操作に応じた停止
状態に近づけることができる。アンチスキッド制御は、
運転者の停止操作に応じた停止状態にない場合に行われ
る制御の一態様であるが、アンチスキッド制御が本来行
われない領域においてこのような事態が生じる場合や、
アンチスキッド制御では運転者の停止操作に応じた停止
状態に近づけることができない場合等があり、本態様に
よれば、これらの場合に運転者の停止操作に応じた停止
状態に近づけ得る。 (26)当該車両用液圧ブレーキ装置が、制動力が不足
している状態にあるか否かを推定する制動力不足状態推
定手段と、その制動力不足状態推定手段によって制動力
が不足している状態にあると推定された場合に、前記ホ
イールシリンダ液圧制御装置による制御を許可する制動
力不足時許可手段とを含む請求項1,4,態様1〜4,
9〜15,17〜25のいずれか1つに記載の車両用液
圧ブレーキ装置。運転者によって停止操作が行われた状
態にあり、かつ、車両が低速走行中にあれば、制動力が
不足していると推定することができる。その場合に、ホ
イールシリンダ液圧高揚制御が行われれば、制動力不足
を解消することができる。 (27)前記ブレーキ操作検出装置によってブレーキ操
作部材が非操作状態から操作状態に切り換わったことが
検出された場合に、前記ホイールシリンダ液圧制御装置
による制御を許可するブレーキ操作開始時制御許可手段
を設けた請求項1〜3,態様1,4〜8,11〜26の
いずれか1つに記載の車両用液圧ブレーキ装置。車両が
低速走行中にブレーキ操作部材が非操作状態から操作状
態に切り換えられた時点に制動スリップが発生しても、
制動スリップを抑制することができなかったが、本態様
においては、走行速度が設定速度以下であっても、ブレ
ーキ操作部材が非操作状態から操作状態に切り換えられ
た際に抑制制御が開始されるため、制動スリップを良好
に抑制することができる。また、過大な制動スリップの
発生を事前に回避できるという利点もある。この効果
は、後に過大な制動スリップがアンチスキッド制御によ
り抑制される場合であっても享受し得る。その意味にお
いて、この態様は、前述のように、第一発明において、
車輪の回転速度が精度よく検出される大きさであるにも
かかわらずホイールシリンダの液圧が回転速度とは無関
係に制御されるようにすることを排除しない方がよい場
合の一例と言える。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、第一発明ないし第四発明の
共通の一実施形態である車両用液圧ブレーキ装置を図面
に基づいて詳細に説明する。図1において、10はマス
タシリンダであり、12,13は駆動輪としての左右後
輪14,15に設けられたホイールシリンダであり、1
6,17は、非駆動輪としての左右前輪18,19に設
けられたホイールシリンダである。本実施形態の液圧ブ
レーキ装置は前後配管式であり、図2に示すようにオー
トマチックトランスミッションを備えたFR車に搭載さ
れている。
【0028】マスタシリンダ10の一方の加圧室に発生
させられた液圧は液通路20を経てホイールシリンダ1
2,13に供給される。液通路20の途中には3位置電
磁弁22が設けられている。3位置電磁弁22は、通常
は、図示するマスタシリンダ10とホイールシリンダ1
2,13とを連通させる第一位置にあるが、図示しない
ソレノイドの励磁により、ホイールシリンダ12,13
をマスタシリンダ10からもマスタシリンダ10とは別
の後述する副液圧源24からも遮断する第二位置,ホイ
ールシリンダ12,13をマスタシリンダ10から遮断
して副液圧源24に連通させる第三位置にそれぞれ切換
え可能なものである。ソレノイドは、後述する液圧制御
装置26の指令に基づいて図示しない駆動回路により制
御される。
【0029】液通路20のホイールシリンダ12,13
と3位置電磁弁22との間には、3位置電磁弁30が設
けられている。3位置電磁弁30は、ホイールシリンダ
12を3位置電磁弁22に連通させる増圧位置と、ホイ
ールシリンダ12を3位置電磁弁22からもリザーバ3
6からも遮断する保持位置と、ホイールシリンダ12を
リザーバ36に連通させ、3位置電磁弁22から遮断す
る減圧位置とに切り換え可能なものである。また、3位
置電磁弁30をバイパスするバイパス通路32の途中に
は、逆止弁34が設けられている。逆止弁34は、ホイ
ールシリンダ12,13からマスタシリンダ10への作
動液の流れを許容するが、逆方向の流れを阻止するもの
である。バイパス通路32および逆止弁34は、制動終
了時やトラクション制御終了時やアンチスキッド制御中
にブレーキペダル38の踏み込みが解除された場合に等
に、ホイールシリンダ12,13の作動液を早急にマス
タシリンダ10に戻すために設けられたものである。
【0030】このように、本実施形態においては、3位
置電磁弁22,30がホイールシリンダ12,13に共
通に設けられている。そのため、アンチスキッド制御,
トラクション制御,液圧抑制制御,液圧高揚制御等にお
いては、ホイールシリンダ12,13の制御は共通に行
われる。
【0031】一方、リザーバ36は、ポンプ46を介し
て液通路20に接続されている。リザーバ36内の作動
液は、ポンプ46によって汲み上げられてマスタシリン
ダ10に戻される。ポンプ46を駆動するモータ48
は、液圧制御装置26の指令に基づいて図示しない駆動
回路によって制御される。モータ48は、アンチスキッ
ド制御中あるいはトラクション制御中は継続して駆動さ
れる。
【0032】前記副液圧源24は、アキュムレータ5
4,ポンプ56,モータ58等を備えたものである。モ
ータ58の駆動によりポンプ56が作動させられると、
マスタシリンダ10に取り付けられたリザーバ60の作
動液が加圧されてアキュムレータ54に蓄えられる。モ
ータ58は、圧力センサ62によって検出されるアキュ
ムレータ圧がほぼ設定範囲内にあるように制御される。
また、副液圧源24とリザーバ60との間には、リリー
フ弁64が設けられ、万一圧力センサ62が故障した場
合にもアキュムレータ圧が設定圧以上にならないように
されている。
【0033】同様に、非駆動輪としての前輪18,19
のホイールシリンダ16,17とマスタシリンダ10の
他方の加圧室とを接続する液通路68の途中には,3位
置電磁弁70,72がそれぞれ配設されている。また、
3位置電磁弁70,72をバイパスするバイパス通路7
4,76の途中には、逆止弁78,80がそれぞれ設け
られている。さらに、リザーバ82はポンプ84を介し
て液通路68に接続されており、ポンプ84はモータ8
6によって作動させられるようになっている。非駆動輪
に対しては、トラクション制御が行われないため3位置
電磁弁22に相当する制御弁は不要である。
【0034】本車両用液圧ブレーキ装置が搭載された車
両は前述のようにFR車である。フロント側に設置され
たエンジン87の出力軸88(図3参照)の回転が、図
2に示すようにオートマチックトランスミッション90
によって変速されてプロペラシャフト92に伝達され、
プロペラシャフト92の回転がディファレンシャル94
を介して後輪14,15に伝達される。
【0035】オートマチックトランスミッション90
は、トルクコンバータ96と補助変速機としてのプラネ
タリギヤユニット98とを備えている。トルクコンバー
タ96は、図3に示すように、エンジン87の出力軸8
8と一体的に回転可能なポンプ羽根車100と、トルク
コンバータ96の出力軸101と一体的に回転可能なタ
ービン羽根車102と、ポンプ羽根車100とタービン
羽根車102との間の、トルクコンバータ本体104に
ワンウエイクラッチ106を介して設けられたステータ
羽根車108とを備えたものである。これらの間を流動
する作動液によって、エンジン87の出力軸88の駆動
トルクが増加させられて出力軸101に伝達される。ト
ルク比は、エンジン87の出力軸88の回転速度の出力
軸101のそれに対する比率が大きいほど大きい。出力
軸101にかかる負荷が大きくなり、回転速度が小さく
なると、駆動トルクが大きなトルク比で増加させられて
伝達されるのである。トルクコンバータ96の出力軸1
01は、プラネタリギヤユニット98の入力軸でもあ
る。
【0036】プラネタリギヤユニット98は、ケース1
10内において共通の軸線上に配列された前記トルクコ
ンバータ96の出力軸101(プラネタリギヤユニット
98の入力軸であるため、以下、入力軸101と称す
る),第一〜第三プラネタリギヤ112〜114および
出力歯車116を備えており、出力歯車116は、前記
プロペラシャフト92に連結されている。プラネタリギ
ヤ112〜114は、シングルピニオン型を成してお
り、それぞれ、リングギヤ118〜120,ピニオンギ
ヤ122〜124,ピニオンギヤ122〜124の回転
軸であるキャリヤ126〜128,サンギヤ130〜1
32を備えている。
【0037】また、図3から明らかなように、第一プラ
ネタリギヤ112のキャリヤ126と第二プラネタリギ
ヤ113のリングギヤ119とが一体的に連結されると
ともに、第一〜第三プラネタリギヤ112〜114の各
サンギヤ130〜132が互いに一体的に連結されてい
る。同様に、キャリヤ127とキャリヤ128、リング
ギヤ120と出力歯車116がそれぞれ一体的に連結さ
れている。
【0038】本プラネタリギヤユニット98はさらに、
第一プラネタリギヤ112のリングギヤ118を入力軸
101に選択的に連結するクラッチ134や、第一〜第
三プラネタリギヤ112,113,114のサンギヤ1
30〜132を入力軸101に選択的に連結するクラッ
チ135や、第一プラネタリギヤ112のキャリヤ12
6および第二プラネタリギヤ113のリングギヤ119
を入力軸101に選択的に連結するクラッチ136を備
えている。また、クラッチ134〜135の他に、ブレ
ーキ138〜140を備えるとともに、これら各クラッ
チ134〜136,ブレーキ138〜140等に供給す
る作動液を制御する図示しない専用の作動液制御装置を
備えている。各クラッチ134〜136,ブレーキ13
8〜140に作動液が供給されるとこれらが作動状態と
なり、これらを介して接続されている要素間が連結さ
れ、それに基づいてトルク比が決定される。
【0039】シフトレバー142の位置がパーキング
(P),ニュートラル(N)以外のドライブ(D4 ,D
3 ,L等)やリバース(R)にある場合には、少なくと
もクラッチ134〜136のうちの1つとブレーキ13
8〜140のうちの1つとに作動液が供給される。クラ
ッチ134〜136,ブレーキ138〜140が作動状
態にされ、これらによって接続されている各要素同士が
連結され、それによって決まるトルク比(変速比)の駆
動トルクがプロペラシャフト92に伝達されるのであ
る。
【0040】例えば、シフトレバー142の位置がドラ
イブL(D1 )にある場合には、クラッチ134,ブレ
ーキ138に作動液が供給され、作動状態にさせられ
る。入力軸101とリングギヤ118とが連結されると
ともに、キャリヤ126およびリングギヤ119がケー
ス110に連結される。これにより入力軸101の駆動
トルクは、リングギヤ118からピニオン122を介し
てサンギヤ130へ伝達される。サンギヤ130〜13
2は入力軸101とは反対方向に回転させられ、サンギ
ヤ132に伝達された駆動トルクは、ピニオン124を
介してリングギヤ120および出力歯車116に伝達さ
れる。リングギヤ120および出力歯車116の回転方
向は入力軸101と同じとなる。また、このように伝達
された駆動トルクの一部は、キャリヤ128,127,
ピニオン123を経てサンギヤ131に戻され、同様
に、リングギヤ120および出力歯車116に伝達され
る。このように、入力軸101の駆動トルクは決定され
たトルク比でプロペラシャフト92に伝達されるのであ
る。
【0041】それに対して、シフトレバー142の位置
がニュートラル(N)にある場合には、すべてのクラッ
チ134〜136,ブレーキ138〜140に、作動液
が供給されない。その結果、プラネタリギヤユニット9
8において、駆動トルクが伝達されない状態となる。プ
ロペラシャフト92にはエンジン87の駆動トルクが伝
達されず、後輪14,15には駆動トルクは伝達されな
い。停止した車両はその状態に保たれる。
【0042】シフトレバー142の位置がパーキング
(P),ニュートラル(N)以外のドライブ(D4 ,D
3 ,L等)やリバース(R)にある場合には、上述のよ
うに入力軸101の駆動トルクが、プラネタリギヤユニ
ット98において設定されたトルク比でプラペラシャフ
ト92に伝達される状態にある。そして、イグニッショ
ンスイッチがONの間はエンジン87が作動状態にあ
り、エンジン87の出力軸88が回転している。したが
って、アクセル操作部材としての図示しないアクセルペ
ダルが踏み込まれて出力軸88の回転速度が大きくされ
れば必ず、トルクコンバータ96によりプラネタリギヤ
ユニット98およびプラペラシャフト92に伝達される
駆動トルクが走行抵抗より大きくなり、車両は走行させ
られる。
【0043】それに対して、シフトレバー142の位置
がドライブ(D4 ,D3 ,L等)やリバース(R)にあ
っても、アクセルペダルが踏み込まれていない場合(エ
ンジンアイドリング時)には、車両が走行させられる場
合と、走行させられない場合とがある。後者が、通常、
クリープ現象による移動と称されるものである。車両が
実際に走行させられるか否かは、トルクコンバータ96
によりプラペラシャフト92に伝達される駆動トルクと
走行抵抗とのいずれが大きいかによって決まるのであ
る。
【0044】また、稀にはシフトレバー142の位置が
ニュートラル(N)にあっても車両が走行させられる場
合がある。例えば、作動液の温度が非常に低く、粘度が
非常に高いことにより、プラネタリギヤユニット98に
おいてクラッチ134〜136やブレーキ138〜14
0が半ば作動状態となり、プロペラシャフト92に走行
抵抗を超える駆動トルクが伝達されて車両が走行させら
れることがあるのである。これは、寒冷地に特有のクリ
ープ現象による移動と考えることができる。この移動は
排気量の大きな車両ほど生じ易い。
【0045】前記液圧制御装置26は、図示しないCP
U,RAM,ROM,入力部,出力部等を備えたもので
ある。入力部には、車輪14,15,18,19の回転
速度を検出する車輪速センサ150〜156、車両の走
行速度を検出する走行速度センサ158、ブレーキペダ
ル38が踏み込まれたか否かを検出するブレーキスイッ
チ162、前記シフトレバー142の位置を検出するシ
フトポジションセンサ164、図示しないスロットルバ
ルブが開いているか否かを検出するスロットルスイッチ
166等が接続されている。出力部には、図示しない駆
動回路を介して各3位置電磁弁22,30,70,72
のソレノイド,各モータ48,58,86等が接続され
ている。ブレーキスイッチ162は、ブレーキペダル3
8が踏み込まれた状態にある場合にON信号を出力する
ものであり、スロットルスイッチ166は、スロットル
バルブが開いている場合にON信号を出力するものであ
る。
【0046】上記ROMには、アンチスキッド制御プロ
グラム、トラクション制御プログラム、ソレノイド・モ
ータ制御プログラム、副液圧源モータ制御プログラム、
走行速度等演算プログラム、路面摩擦係数(以下、路面
μと略称する)演算プログラム、図4のフローチャート
で表される液圧抑制制御プログラム、図6のフローチャ
ートで表される液圧高揚制御プログラム、図5のタイム
チャートで表される抑制制御パターン、図7のタイムチ
ャートで表される高揚制御パターン等が格納されてい
る。図4のフローチャートで表される液圧抑制制御プロ
グラム、図6のフローチャートで表される液圧高揚制御
プログラムはアンチスキッド制御プログラムの一部とみ
なすことも可能である。
【0047】車輪速センサ150〜156は、通常の検
出精度を有する電磁ピックアップ型のものである。した
がって、車輪の回転速度が小さい場合には、大きな誤差
を含んだ値となる。それに対して走行速度センサ158
は、本実施形態においては、プロペラシャフト92の回
転速度を検出するもので、フォトインタラプタ型のもの
である。したがって電磁ピックアップ型のものより小さ
い回転速度まで検出できる。プロペラシャフト92の回
転速度は、駆動輪としての後輪14,15の平均回転速
度に対応する。
【0048】本実施形態の車両用液圧ブレーキ装置にお
いては、アンチスキッド制御時には、後輪14,15に
対してローセレクト制御が行われる。後輪14,15の
うち回転速度が低い方のものを制動スリップが大きい側
と見なし、低い方の回転速度に基づいて両リヤホイール
シリンダ12,13の液圧が共通に制御されるのであ
る。ただし、後輪14,15の回転速度のみではなく、
上記走行速度センサ158により検出される平均回転速
度も補助値として利用される。例えば、通常は上記のよ
うに後輪14,15の回転速度のうち低い方に基づいて
アンチスキッド制御が行われるのであるが、その低い方
の回転速度と走行速度センサ158により検出される平
均回転速度との差が設定値以上である場合には、後輪1
4,15の一方が段差やくぼみの乗越え等の理由で一時
的に路面から浮き上がり、あるいは車輪速センサが故障
するなど、特殊な状況に陥ったと判定されて、回転速度
の高い方に基づくアンチスキッド制御に切り換えられる
のである。
【0049】走行速度等演算プログラムの実行によっ
て、走行速度センサ158の出力信号に基づいて車両の
走行速度が求められるとともに、車輪速度センサ150
〜156の出力信号に基づいて推定車体速度VSOが演算
される。アンチスキッド制御,液圧抑制制御,液圧高揚
制御が行われる場合においては、推定車体速度VSOは、
次式 VSO=MED(VWO,VSO(n-1) −αDW・Δt,V
SO(n-1) +αUP・Δt) で求められるが、ここで、VWOは最大車輪速度に基づく
車体速度であり、αUP,αDW,はそれぞれ車両の最大加
速度,最大減速度(最小加速度)であり、MEDは、か
っこ内の3つの値のうちの中央値を選択することを表す
記号である。すなわち、推定車体速度VSOは、基本的に
は、最大車輪速度に基づく車体速度とされるのである
が、それの最小値が(VSO(n-1) −αDW・Δt)で、最
大値が(VSO (n-1) +αUP・Δt)でそれぞれ規制され
るのである。トラクション制御が行われる場合において
は、推定車体速度VTOは、次式 VTO=MED(VWO,VTO(n-1) −αDW・Δt,V
TO(n-1) +αUP・Δt) で求められる。ここでは、VWOは、非駆動輪である前輪
18,19の最小車輪速度に基づく車体速度である。
【0050】路面μは、路面μ演算プログラムの実行に
よって求められる。本実施形態においては、最も近い過
去におけるアンチスキッド制御またはトラクション制御
の実行時における推定車体速度VSOの変化量としての車
体減速度または車体加速度DVSOに基づいて決定され
る。車体減速度または車体加速度DVSOが0.3G
(0.3×9.8m/s2)の場合には路面μが0.3と推
定され、路面μが0.3以下の場合には低μ路であると
判定される。車体減速度または車体加速度は路面摩擦係
数関連量の一例であり、車輪速センサ150〜156
と、液圧制御装置26の走行速度等演算プログラムおよ
び路面μ演算プログラムを記憶および実行する部分とに
よって摩擦係数関連量取得手段が構成されている。
【0051】以上のように構成された車両用液圧ブレー
キ装置の作動を説明する。ブレーキペダル38が踏み込
まれれば、それに応じてマスタシリンダ10の各加圧室
に液圧が発生させられる。一方の加圧室に発生させられ
た液圧は、3位置電磁弁22,30を経てホイールシリ
ンダ12,13にそれぞれ伝達され、他方の加圧室に発
生させられた液圧は、3位置電磁弁70,72を経てホ
イールシリンダ16,17にそれぞれ伝達される。ブレ
ーキペダル38の踏込みが解除されれば、ホイールシリ
ンダ12,13の作動液は、3位置電磁弁30,22を
経てと逆止弁34および3位置電磁弁22を経てとの両
方によりマスタシリンダ10に戻される。同様に、ホイ
ールシリンダ16,17の作動液は、3位置電磁弁7
0,72を経てと逆止弁78,80を経てとの両方によ
りマスタシリンダ10に戻される。
【0052】走行速度vが設定値v0 (本実施形態にお
いては15km/h)より大きい場合において、制動スリッ
プが過大になれば、アンチスキッド制御が開始される。
3位置電磁弁22は図示する原位置に保たれたまま、3
位置電磁弁30,70,72が増圧位置,保持位置,減
圧位置にそれぞれ切り換えられることによって、ホイー
ルシリンダ12,13,16,17の液圧が、制動スリ
ップ状態がほぼ適正状態になるよう制御されるのであ
る。後輪14,15のホイールシリンダ12,13につ
いては前述のようにローセレクト制御が行われる。
【0053】また、駆動スリップが過大になれば、トラ
クション制御が開始される。トラクション制御において
は、後輪14,15の駆動スリップ状態が適正状態とな
るようにホイールシリンダ12,13の液圧が制御され
る。3位置電磁弁22が3位置電磁弁30を副液圧源2
4に連通させる第三位置に切り換えられた状態におい
て、3位置電磁弁30が増圧位置,保持位置,遮断位置
に切り換えられることによって、ホイールシリンダ1
2,13の液圧が制御されるのである。
【0054】走行速度vが設定値v0 以下の低速走行中
において過大な制動スリップが生じる可能性があると判
定されれば、液圧抑制制御,液圧高揚制御のいずれかが
行われる。液圧抑制制御は、車両が慣性力によって移動
させられる場合に行われ、液圧高揚制御は、クリープ現
象(駆動力)によって移動させられている場合に行われ
る。
【0055】まず、液圧抑制制御について説明する。液
圧抑制制御は、路面μが設定値μ0 (本実施形態におい
ては0.3)より低く、走行速度vが5km/h以上15km
/h以下で、推定車体速度VSOが15km/h以下であり、か
つ、ブレーキスイッチ162の出力信号がOFFからO
Nに切り換わった場合に開始される。低μ路である場合
にはブレーキペダル38が踏み込まれた際、過大な制動
スリップが生ずる可能性が高いと判定されるからであ
る。推定車体速度VSOの値が15km/h以下か否かが判定
されるのは、安価な車輪速センサ150〜156の検出
値に基づいてスリップ率を精度よく求めることができな
い状態であり、通常のアンチスキッド制御が行われない
状態であることと、走行速度センサ158に異常が発生
してそれの出力信号に基づく車両の走行速度vが異常な
値になってはいないこととを確認するためであり、不可
欠ではない。
【0056】本実施形態においては、ホイールシリンダ
12,13の液圧の抑制が、3位置電磁弁30が図5に
示す予め決められたパターンで制御されることによって
行われる。すなわち、スリップ率の大きさ、ひいては車
輪の回転速度の大きさとは無関係に3位置電磁弁30が
減圧位置,保持位置,増圧位置に予め決められたパター
ンで切り換えられるのである。図5から明らかなよう
に、3位置電磁弁30が、まず、減圧位置と保持位置と
に交互に切り換えられ、その後、増圧位置と保持位置と
に交互に切り換えられる。
【0057】最初に、減圧位置と保持位置とに交互に切
り換えてホイールシリンダ12,13の液圧が減圧され
るのは、ホイールシリンダ12,13の液圧が制御開始
時に既に高くなっている場合に増圧の抑制を行っても、
制動スリップを良好に抑制することができないからであ
る。また、増圧位置と保持位置とに交互に切り換えられ
る際には、増圧位置に保たれる増圧時間の、増圧時間と
保持位置に保たれる保持時間との和である制御サイクル
タイムに対する比率が、制御開始時には終了時より小さ
くされる。本実施形態においては、制御開始から一定回
数の制御サイクルとそれ以後の一定回数の制御サイクル
とでは、保持時間は同じであるが増圧時間が後者の方が
長くされることにより制御サイクルタイムが長くされ、
それによって増圧時間のサイクルタイムに対する比率が
前者の方が小さくされる。すなわち、ホイールシリンダ
12,13の液圧の抑制度合が初期時には終了時より大
きくされているのである。したがって、雪路で発進した
後直ちにブレーキペダル38が踏み込まれた場合等に
は、踏込み開始初期時に増圧勾配がより小さくされるこ
とになり、制動スリップが効果的に抑制される。
【0058】本実施形態においては、抑制制御が後輪1
4,15のホイールシリンダ12,13液圧を制御する
3位置電磁弁30に対してのみ行われ、前輪18,19
のホイールシリンダ16,17の液圧を制御する3位置
電磁弁70,72に対しては行われない。本車両用液圧
ブレーキ装置が前後配管になっているため、前輪側,後
輪側を別々に制御し得、かつ、後輪側のブレーキの方
が、前輪側のブレーキより制動力は小さいが、走行安定
性への寄与が大きいからである。
【0059】以下、図4に示すフローチャートに基づい
て説明する。ステップ1(以下、S1と略称する。他の
ステップについても同様とする)において、制御フラグ
がセットされているか否かが判定される。制御フラグ
は、液圧抑制制御の開始条件が満たされるとセットされ
るフラグである。最初にS1が実行される場合にはセッ
トされていないため、S2において、低μ路か否かが判
定される。最も近い過去に行われたアンチスキッド制御
またはトラクション制御の実行中に推定された路面μが
設定値μ0 より小さいか否かが判定されるのである。
【0060】続いて、S3において、走行速度vが5〜
15km/hであり、かつ、推定車体速度VSOが15km/h以
下であるか否かが判定され、S4においてブレーキスイ
ッチ162の出力信号がOFFからONに切り換わった
か否かが判定される。S2〜4における判定がすべてY
ESである場合には、S5において制御フラグがセット
され、S6以降において、液圧抑制制御が行われるが、
いずれか1つのステップにおける判定がNOである場合
には、抑制制御は行われない。
【0061】S6において、回数カウンタCN のカウン
ト値がND より小さいか否かが判定される。回数カウン
タCN は、3位置電磁弁30が保持位置に切り換えられ
た回数をカウントするものである。図5に示すように、
3位置電磁弁30は、減圧位置と保持位置とに交互に切
り換えられた後、増圧位置と保持位置とに交互に切り換
えられるため、保持位置に切り換えられた回数をカウン
トすれば、減圧位置と保持位置、増圧位置と保持位置に
それぞれ切り換えられた回数(以下、制御回数と称す
る)をカウントすることができる。
【0062】本実施形態においては、制御回数が2回ま
では、減圧位置と保持位置とに切り換えられ、それ以降
は増圧位置と保持位置とに切り換えられる。また、制御
回数が2回までは、減圧時間TD と保持時間THDとは共
に5msである。制御回数が3回から5回までは、増圧時
間TA(1)が15msで、保持時間TH(1)が5msであるが、
6回から8回までは、増圧時間TA(2)が30msで、保持
時間TH(2)が5msである。したがって、制御回数ND
2で、制御回数NA(1)は5、制御回数NA(2)は8であ
る。また、減圧時間TD と保持時間THDとを合わせた制
御サイクルタイムT SDは10msであり、増圧時間TA(n)
と保持時間TH(n)とを合わせた制御サイクルタイムT
S(1),TS(2)は制御回数が3回から5回までは20ms,
6回から8回までは35msである。なお、サイクルタイ
ムtは5msである。一方、前述の増圧時間の制御サイク
ルタイムに対する比率は、3回から5回までの比率が
0.75(15/20)であるが、6回から8回までの
それが0.86(30/35)となり、増圧開始時にお
ける比率が終了時におけるそれより小さいことが明らか
である。
【0063】最初にS6が実行される場合には、回数カ
ウンタCN のカウント値は0であるため、判定はYES
となり、S7において、時間カウンタCT のカウント値
が1(TD /t=1)より小さいか否かが判定される。
時間カウンタCT は、制御サイクルタイムを計測するた
めのものである。時間カウンタCT のカウント値も0で
あるため、S8において、3位置電磁弁30を減圧位置
に切り換えるように決定される。モータ・ソレノイド制
御プログラムの実行により、駆動回路が制御され、ソレ
ノイドが励磁されて3位置電磁弁30が減圧位置に切り
換えられるのである。
【0064】そして、S9において時間カウンタCT
カウント値が1増加させられ、S10においてブレーキ
スイッチ162がOFFか否かが判定される。ブレーキ
ペダル38の踏込みが解除されれば、判定はYESとな
り、S11,12において各カウンタ等が初期値に戻さ
れ、フラグがリセットされ、3位置電磁弁30の位置が
増圧位置に決定される。すなわち、液圧抑制制御の終了
処理が行われるのである。本実施形態においては、ブレ
ーキペダル38の踏込みが解除されたか否かが5ms毎に
判定され、ブレーキペダル38の踏込みが解除されたこ
とが検出されれば、液圧抑制制御が終了させられるよう
になっているのである。一方、ブレーキペダル38の踏
込みが解除されておらず、ブレーキスイッチ162の出
力信号がONのままである場合には判定はNOとなり、
S1に戻される。液圧抑制制御が継続されるのである。
【0065】ここでは、制御フラグがセットされた状態
にあるため、S1における判定がYESとなり、S6以
降が実行される。回数カウンタCN のカウント値は1で
2より小さいので、S6における判定はYESとなり、
S7において時間カウンタCT のカウント値に相当する
時間が5msより小さいか否かが判定される。ここでは,
カウント値は1であり、それに相当する時間は5msであ
るため判定はNOとなり、さらにS13において、時間
カウンタCT のカウント値に相当する時間が10msより
小さいか否かが判定される。ここでの判定はYESであ
るため、S14において3位置電磁弁30の位置が保持
位置に決定される。その後、S15において、時間カウ
ンタCT のカウント値が1増加させられて2とされ、再
びS10においてブレーキスイッチ162がOFFか否
かが判定され、判定がNOであれば、S1に戻されるの
である。
【0066】次に、S1の判定がYES,S6における
判定がYES,S7における判定がNOとなり、S13
が実行される。ここでは、時間カウンタCT のカウント
値が2であるため、判定はNOとなり、S16,17に
おいて、時間カウンタCT がクリアされ、回数カウンタ
N の値が1増加させられて1にされる。S6におい
て、回数カウンタCN の値が2より小さいか否かが判定
される。判定はYESであるため、S7以降が実行され
る。同様に3位置電磁弁30が減圧位置と保持位置とに
5msずつ切り換えられるのである。減圧位置と保持位置
とに合計2回切り換えられて、回数カウンタCN のカウ
ント値が2になれば、S6における判定がNOとなり、
S18において、回数カウンタCN のカウント値が5よ
り小さいか否かが判定される。
【0067】ここでの判定はYESであるため、以下、
S19以降が実行される。上述と同様に、3位置電磁弁
30が増圧位置と保持位置とに時間15ms,5ms間隔で
切り換えられる。増圧位置と保持位置とに交互に3回切
り換えられ、回数カウンタC N のカウント値が5になれ
ば、S18における判定がNOとなり、S27におい
て、増圧保持回数nが増圧保持終了回数nE (本実施形
態においては2)より小さいか否かが判定される。ここ
では、増圧保持回数nは1であるため、判定はYESと
なり、S28において、1増加させられて2にされる。
【0068】その結果、制御回数NA(2)は8となり、増
圧時間TA(2)は30,制御サイクルタイムTS(2)は35
となる。S19以降の実行により、3位置電磁弁30
が、増圧位置と保持位置とに、時間30ms,5ms間隔で
交互に切り換えられることになる。増圧位置と保持位置
とに3回交互に切り換えられて、回数カウンタCN のカ
ウント値が8になれば、S18における判定がNO,S
27における判定がNOとなり、S11,12において
液圧抑制制御の終了処理が行われるのである。
【0069】以上の液圧抑制制御によって、3位置電磁
弁30が、図5に示すようなパターンで制御され、その
結果、ホイールシリンダ12,13の液圧の上昇勾配が
マスタシリンダ10のそれより小さくされる。したがっ
て、例えば、雪路において発進後、直ちにブレーキペダ
ル38が踏み込まれた場合において、ホイールシリンダ
12,13の液圧が抑制され、制動スリップが抑制され
る。車両が運転者のブレーキペダル操作に応じた停止状
態にない場合に、ホイールシリンダ12,13の液圧が
抑制制御されることによって車両がブレーキペダル操作
に応じた停止状態に近づけられるのである。また、3位
置電磁弁30が車輪の回転速度に基づいて制御されない
ため、車輪速センサ150〜156を15km/h以上の検
出が可能な安価なものとすることができる。そのため、
装置のコストダウンを図ることができる。さらに、路面
μが0.3より大きく、制動スリップが生じている可能
性が低い場合には、液圧抑制制御が禁止されるため、制
動力不足になることが良好に回避される。
【0070】また、3位置電磁弁30が減圧位置,保持
位置,増圧位置とに予め決められたパターンに基づいて
切り換えられるようになっているため、制御を簡単にす
ることができる。さらに、抑制制御が3位置電磁弁30
に対して行われ、後輪14,15のホイールシリンダ1
2,13の液圧が抑制されるようになっているため、車
両全体としての制動性能の低下を極力回避しつつ走行安
定性を向上させることができる。
【0071】次に、液圧高揚制御が行われる場合につい
て説明する。車両が、低μ路において、制動力不足によ
りクリープ現象(駆動力)により移動させられる場合に
は液圧高揚制御が行われる。例えば、車両がクリープ現
象により移動させられたためにブレーキペダル38が踏
み込まれたにもかかわらず車両が停止しない場合や、車
両の停止状態を保持するために運転者によってブレーキ
ペダル38が踏み込まれたにもかかわらず車両がクリー
プ現象により移動させられる場合がある。路面μが高い
場合にはブレーキペダル16の踏力を増せば、クリープ
現象による車両の移動を良好に防止することができる
が、路面μが低い場合には、踏力を増せば駆動輪として
の後輪14,15の駆動トルクは小さくし得るが、同時
に非駆動輪としての前輪14,15の制動スリップが過
大となり、車両の移動を良好に防止することができな
い。
【0072】本実施形態においては、アクセルペダルが
踏み込まれていない状態において、シフトレバー142
の位置が、パーキング,ニュートラル以外にあり、か
つ、走行速度が非常に小さく、後輪14,15の回転速
度が前輪18,19の回転速度より大きい場合に、クリ
ープ現象により移動していると判定される。車両がクリ
ープ現象により移動させられている場合には、駆動輪と
しての後輪14,15の回転速度が非駆動輪としての前
輪18,19の回転速度より大きくなるからである。
【0073】車両がクリープ現象により移動させられて
いる場合には、駆動輪である後輪14,15の駆動トル
クにより車両が移動させられる。ブレーキペダル38が
踏み込まれ、全車輪14,15,18,19に作用する
制動トルクが後輪14,15に加えられる駆動トルクよ
り大きくなれば車両の移動が防止されるが、制動トルク
が駆動トルクより小さい場合には、後輪14,15が駆
動トルクにより回転させられ、車両が移動し続ける。路
面μが大きく、前輪18,19に十分大きな摩擦力が発
生させられる場合には、後輪14,15の駆動トルクに
打ち勝つに十分な制動力を発生させるに足る力でブレー
キペダル38が踏み込まれても、前輪18,19には過
大な制動スリップは生じず、車両のクリープ現象による
移動は良好に防止される。それに対して、路面μが小さ
く、前輪18,19に大きな摩擦力が発生させられない
場合には、後輪14,15の駆動トルクに打ち勝つため
にブレーキペダル38の踏力が増されれば、前輪18,
19に過大な制動スリップが生じ、車両の移動が良好に
防止されない。
【0074】そこで、液圧高揚制御の開始条件が成立す
れば、前輪18,19の制動トルクを増すことなく後輪
14,15に制動トルクが増大させられる。3位置電磁
弁22が図7に示すパターンで制御され、ホイールシリ
ンダ12,13には、制動トルクが駆動トルクより大き
くなる程度の液圧が供給される。制動トルクが駆動トル
クより大きくなれば、駆動輪としての後輪14,15に
駆動トルクが与えられなくなったと同じになり、クリー
プ現象の原因がなくなるのみならず、駆動トルクと制動
トルクとの差に相当する制動トルクが作用する状態にな
る。また、前輪18,19の制動トルクは増大させられ
ないため、制動スリップが過大となることはなく、前輪
18,19は適切な制動状態を維持し得る。
【0075】図6のフローチャートに基づいてさらに具
体的に説明する。S40において、制御フラグがセット
されているか否かが判定される。最初にS40が実行さ
れる場合には、制御フラグはリセットされたままである
ため、判定はNOとなり、S41〜46が実行される。
S41において、走行速度が3km/h以上で15km/h以下
か否か、推定車体速度VSOが15km/h以下か否かが判定
され、S42において、ブレーキスイッチ162がON
か否かが判定される。また、S43において、スロット
ルスイッチ166がOFFか否かが判定され、S44に
おいて、後輪14,15の回転速度が前輪18,19の
回転速度より大きいか否かが判定される。さらに、S4
5において、シフトレバーポジションセンサ164によ
って検出されたシフトレバー142の位置がパーキン
グ,ニュートラル以外か否かが判定され、S46におい
て低μ路か否かが判定されるのである。なお、車両の走
行速度が3〜15km/hの場合には、後輪14,15の回
転速度と前輪18,19の回転速度との信頼性は低いも
のの大小の比較は可能であるため、S44の判定が可能
である。すべての車輪14,15,18,19の回転速
度が0の場合には、判定はNOとなる。
【0076】S41〜46のすべてのステップにおける
判定がYESの場合には、S47において制御フラグが
セットされ、S48以降において、液圧高揚制御が行わ
れる。本実施形態においては、3位置電磁弁22の位置
が、図7に示すように、液圧高揚制御が開始されてから
設定時間経過以前は第三位置に決定され、設定時間経過
後は第二位置に決定される。ホイールシリンダ12,1
3に副液圧源24の作動液が設定時間の間だけ供給さ
れ、以後保持されるのである。また、制御途中にブレー
キペダル38の踏込みが解除されれば、液圧高揚制御が
中止させられ、3位置電磁弁22が第一位置に戻され
る。
【0077】S48において、制御開始から設定時間経
過したか否かが判定される。最初にS48が実行される
場合には、時間カウンタCT のカウント値は0であるた
め、判定はNOであるため、S49において3位置電磁
弁22が第三位置に決定される。その後、S50におい
て、時間カウンタCT のカウント値が1増加させられて
1とされた後、S51においてブレーキペダル38の踏
込みが解除されたか否かが判定される。踏込みが解除さ
れていない場合には、判定はNOとなり、S40に戻さ
れる。踏込みが解除されれば、S52,53において、
3位置電磁弁22が第一位置に戻され、時間カウンタC
T がクリアされ、制御フラグがリセットされる等液圧高
揚制御の終了処理が行われる。
【0078】次に、S40が実行される場合には、制御
フラグはセットされているため、判定はYESとなり、
S48において、時間カウンタCT のカウント値に相当
する時間が設定時間を経過したか否かが判定される。設
定時間経過以前には、3位置電磁弁22は第三位置に保
たれるが、設定時間を経過すれば、S48における判定
がYESとなり、S54において第二位置に決定され
る。以下、ブレーキペダル38の踏み込みが解除される
まで、第二位置に保たれるが、解除されれば第一位置に
戻され、ホイールシリンダ12,13の作動液はマスタ
シリンダ10に戻される。
【0079】以上のように、本実施形態においては、駆
動輪である後輪14,15の制動トルクの不足により非
駆動輪である前輪18,19に過大な制動スリップが生
じる場合には、前輪18,19の制動トルクを増大させ
ることなく後輪14,15の制動トルクを大きくし、前
輪18,19の制動スリップの抑制を図ることができ
る。雪路や凍結路等において車両がクリープ現象により
移動させられる場合においても、本実施形態によれば、
良好に移動を防止することができるのである。特に、排
気量の大きな車両においてはクリープ現象による駆動ト
ルクも大きくなり、非駆動輪に過大な制動スリップが生
じて車両の移動を良好に防止できない事態が発生する可
能性が高い。また、近年、スパイクタイヤの使用禁止等
により雪路等とタイヤとの間の摩擦係数が小さくなり、
車両の移動を防止させ難くなっている。これらの場合に
も、本実施形態の車両用液圧ブレーキ装置によれば、良
好に移動を防止し得るのである。
【0080】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ホイールシリンダ液圧制御装置が液圧制
御装置26等によって構成されている。そのうちの、液
圧抑制制御プログラムのS6以降を記憶して実行する部
分等によってホイールシリンダ液圧抑制装置が構成さ
れ、液圧高揚制御プログラムのS48以降を記憶して実
行する部分等によってホイールシリンダ液圧高揚装置が
構成されている。また、液圧制御装置26の液圧抑制制
御プログラムのS2を記憶して実行する部分等によって
抑制許可禁止手段が構成されている。
【0081】また、ブレーキスイッチ162,液圧制御
装置26のこれの出力信号を処理する部分等によって停
止操作検出装置としてのブレーキ操作検出装置が構成さ
れている。さらに、車輪速センサ150〜156,走行
速度センサ158,シフトレバーポジションセンサ16
4,スロットルスイッチ166,液圧制御装置26の各
センサの出力信号を処理する部分,走行速度等演算プロ
グラムを記憶して実行する部分等によって低速走行検出
装置が構成されている。本実施形態においては低速走行
検出装置がクリープ状態検出装置でもある。
【0082】なお、本実施形態においては、3位置電磁
弁22が第三位置に保たれる設定時間が液圧高揚制御プ
ログラムのサイクルタイムより長くされているが、短い
場合には、3位置電磁弁22が第三位置から第二位置に
切り換えられた後、ブレーキペダル38の踏込みが解除
されたか否かが判定され、解除されれば、第一位置に戻
されるようにすればよい。すなわち、図6のフローチャ
ートにおいて、S48,49,50,54のステップに
代わって、第三位置から設定時間経過後に第二位置へ切
り換える指令を発するステップを設けるのである。した
がって、制御サイクルタイムカウンタCT は不要とな
る。
【0083】また、上記実施形態においては、S41に
おいて、走行速度の最低値が3km/hであったが、3km/h
以下にすることもできる。例えば、低μ路において後輪
14,15が急に回転を始めた場合は後輪14,15は
スリップを生じる。この場合には、走行速度が3km/h以
下であっても、後輪14,15の回転速度がその走行速
度(3km/h以下)に対応する値より大きく、車輪速セン
サによって検出できる大きさとなることもある。それに
対して、前輪18,19の回転速度は車輪速センサによ
って検出できないほど小さいこともあるが、後輪14,
15の回転速度が前輪18,19の回転速度より大きい
か否かを判定することが可能なのである。この場合に
は、走行速度センサをドップラ式の対地車速センサとす
ることが望ましい。
【0084】さらに、上記実施形態においては、シフト
レバー142の位置がパーキング,ニュートラル以外の
ドライブ等にある状態において液圧高揚制御が行われる
ようになっていたが、シフトレバー142の位置がニュ
ートラルにある状態において液圧高揚制御が行われるよ
うにしてもよい。前述のように、外気温度が非常に低い
場合にはオートマチックトランスミッション90の潤滑
液の粘性が非常に高くなるため、シフトレバー142の
位置がニュートラルにあっても、プロペラシャフト92
に駆動トルクが伝達され、車両が移動させられることが
あるのである。
【0085】シフトレバー142がニュートラル位置に
ある状態において液圧高揚制御が行われるようにするた
めのプログラムの一例を図8に示す。図中、S61〜6
4において、車両が3〜15km/hで低速走行中であり、
推定車体速度VSOが15km/h以下であることが検出さ
れ、後輪14,15の回転速度が前輪18,19の回転
速度より大きく、シフトレバー142の位置がニュート
ラルであり、かつ、低μ路であることが検出された場合
には、S66以降において液圧高揚制御が行われる。な
お、アクセルペダルが踏み込まれたか否かが判定されな
いのは、シフトレバー142の位置がニュートラルの場
合には、アクセルペダルが踏み込まれていても、いなく
ても、車両は移動してはならないのであり、アクセルペ
ダルの操作状況は関係がないからである。
【0086】本実施形態においては、シフトポジション
センサ164,車輪速センサ150〜156,走行速度
センサ158,液圧制御装置26のセンサの出力信号を
処理する部分,走行速度等プログラムを記憶し実行する
部分等によってクリープ移動検出装置が構成されること
になり、シフトレバー142の位置がニュートラルにあ
る場合において、路面μが小さいためにクリープ現象に
より車両が移動させられるのを良好に防止し得ないとい
う問題が解消される。また、液圧制御装置26のROM
に、図6のフローチャートで表される液圧高揚制御プロ
グラムと図8のフローチャートで表されるニュートラル
時液圧高揚制御プログラムとの両方を格納し、これら両
方のプログラムが実行されるようにしてもよい。このよ
うにすれば、シフトレバー142の位置がニュートラル
であってもドライブやリバースであっても、車両のクリ
ープ現象による移動を良好に防止することができる。
【0087】上記各実施形態においては、ROMには液
圧抑制制御パターンおよび液圧高揚制御パターンが1つ
ずつしか記憶されていなかったが、複数個ずつ記憶さ
れ、そのうちの1つが、路面μ,走行速度,ブレーキペ
ダル38の踏込力等に基づいて選択されるようにしても
よい。また、パターンは、上記実施形態における態様に
限らず、他の態様であってもよい。また、パターンを予
め記憶しておく必要は必ずしもなく、3位置電磁弁22
や30を、路面μ,走行速度,踏込力等、車輪の回転速
度以外の要素に基づいて制御してもよい。
【0088】図5に示すパターンの3位置電磁弁30を
減圧位置と保持位置とに交互に切り換える部分は省略し
てもよい。また、抑制制御が開始される時点で、ホイー
ルシリンダ12,13の液圧を検出し、その液圧の大き
さが設定値以下の場合には減圧位置と保持位置とに切り
換える制御が行われないようにする等、選択的に実行さ
れるようにすることもできる。上記実施形態において
は、液圧抑制制御が、3位置電磁弁30に対してのみ行
われるようになっていたが、3位置電磁弁70,72に
対しても行われるようにしてもよい。
【0089】3位置電磁弁30を増圧位置と保持位置と
に切り換える代わりに増圧位置と減圧位置とに切り換え
るようにしてもよい。その場合には、減圧時間を保持時
間より短くすることが望ましい。保持位置を備えない電
磁方向切換弁による増圧状態と減圧状態との切換えによ
ってホイールシリンダの液圧を制御することも可能であ
り、1個の3位置電磁弁の代わりに増圧用と減圧用との
2個の電磁開閉弁を使用することも、さらに、比例電磁
液圧制御弁を使用することも可能である。液圧抑制制御
においては、マスタシリンダとホイールシリンダとの間
に可変絞り弁等の流量制御弁を設け、その流量制御弁に
おける流路面積を流量制御弁制御手段により制御するこ
とも可能である。その他、3位置電磁弁30が後輪1
8,19に対してそれぞれ設けられていてもよい等アン
チスキッド制御装置とトラクション制御装置との少なく
とも一方の構成を種々に変更することも可能である。
【0090】上記実施形態においては、路面μの値とし
て、最も近い過去のアンチスキッド制御またはトラクシ
ョン制御の実行時に推定された値が使用されたが、特開
平6─92218号公報に記載されているように、以下
に述べる合成値GXYに基づいて取得されるようにしても
よい。アンチスキッド制御中に検出された横加速度
Y ,前後加速度GX の合成値G XY=√(GX 2 +GY
2 )を演算する。この合成値GXY が0.2G(0.2
×9.8m/s2) である場合には路面μが0.2であると
推定するのである。この合成値GXYは摩擦係数関連量の
別の一例である。
【0091】さらに、路面μが設定値より低いことは、
制動が行われる直前の発進時にトラクション制御が行わ
れたか否かによって判定することもできる。トラクショ
ン制御が行われた場合には、路面μが低いと推定するの
である。また、最も近い過去におけるアンチスキッド制
御とトラクション制御とのうちいずれか一方の実行時の
みにおいて推定された路面μを判定材料とすることも可
能である。
【0092】上記各実施形態の液圧抑制制御において
は、ブレーキペダル38が非操作状態から操作状態に切
り換わったことが、液圧抑制制御の実行が許可されるた
めの条件の1つであったが、ブレーキペダル38が操作
状態にあることを条件の1つにしてもよい。その場合に
は、液圧抑制制御が、アンチスキッド制御の終了時に、
あるいは終了後ある程度の時間が経過してから開始され
るようにすることも可能である。
【0093】上記各実施形態においては、推定車体速度
SOが設定値以下であることが、液圧抑制制御や液圧高
揚制御の開始条件の1つとされていたが、この場合の設
定値を0km/hとすることもできる。すなわち、車輪速セ
ンサ150〜156の出力信号に基づく回転速度の演算
が不可能であるほどの低速時にのみ液圧抑制制御と液圧
高揚制御との少なくとも一方が行われるようにするので
ある。なお、この場合には、クリープ現象による移動を
検出するための条件から「駆動輪の回転速度が非駆動輪
の回転速度より大きいこと」を除く必要がある。「推定
車体速度VSOが設定値以下であること」を液圧抑抑制制
御や液圧高揚制御の開始条件から省くことも可能であ
る。これら液圧制御が車輪速センサ150〜156の検
出値に基づいて開始されたり、行われたりする必要をな
くせば、本発明の効果を享受することができるのであ
る。さらに、走行速度センサは、ドップラ対地車速セン
サ等他の形態のセンサであってもよい。
【0094】第一,二,四発明においては、S2,S4
6,S64のステップを省略してもよい。例えば、発明
の補足説明(22)で述べたように、過大な制動スリッ
プが生ずる可能性があるか否かを、駆動輪と非駆動輪と
の回転速度の比較等により判定することができるのであ
り、発明の補足説明(21)で述べたように、車輪速セ
ンサの出力信号に基づいて演算される車輪の回転速度が
0km/hであるような低速の移動中にのみ液圧抑制制御や
液圧高揚制御が行われる場合には、路面μが高い場合に
もこれらの制御が行われるようにしても支障はないので
ある。
【0095】また、上記各実施形態の車両用液圧ブレー
キ装置が搭載された車両がFR車であったが、FF車で
あっても、RR車であっても、四輪駆動車であってもよ
い。さらに、第一ないし第三発明においては、上記各実
施形態の車両用液圧ブレーキ装置が搭載される車両がオ
ートマチックトランスミッションを備えた車両でなくて
も、マニュアルトランスミッションを備えた車両であっ
てもよい。
【0096】次に、第一ないし第四発明に共通のさらに
別の一実施形態である車両用液圧ブレーキ装置を説明す
る。本車両用液圧ブレーキ装置の液圧回路は、図1に示
す液圧ブレーキ装置のそれと同じであるが、液圧制御装
置26のROMには、前述の液圧抑制制御プログラム,
液圧高揚制御プログラム等複数のプログラムの他に、図
10のフローチャートで表されたブレーキ非操作時液圧
高揚制御プログラムも格納されている。また、入力部に
は、前述の複数個のセンサ等の他に図示しないパーキン
グブレーキレバーが操作状態にある場合にON信号を出
力するパーキングブレーキレバー操作検出装置が接続さ
れている。さらに、本車両用液圧ブレーキ装置が搭載さ
れた車両には、図9に示すオートマチックトランスミッ
ション200が搭載されている。
【0097】本オートマチックトランスミッション20
0は、トルクコンバータ210とプラネタリギヤユニッ
ト212とを備えている。トルクコンバータ210は、
上記実施形態のトルクコンバータ96と同様に、エンジ
ン87の出力軸88と一体的に回転可能なポンプ羽根車
202,プラネタリギヤユニット212の入力軸(トル
クコンバータ210の出力軸)214と一体的に回転可
能なタービン羽根車204,本体にワンウェイクラッチ
206を介して設けられたステータ羽根車208等を備
えたものであるが、本トルクコンバータ210には、こ
れらの他に、ロックアップクラッチ216が設けられて
いる。ロックアップクラッチ216が非係合状態にある
場合には、エンジン87の駆動トルクはトルクコンバー
タ210を介して(流体によって)プラネタリギヤユニ
ット212の入力軸214に伝達されるが、ロックアッ
プクラッチ216が係合状態にされると、入力軸88と
入力軸214とが直結され、駆動トルクはトルクコンバ
ータ210を介さないで伝達されることになる。これに
より、流体伝達による損失がなくなるため、燃費の向上
を図ることが可能になる。
【0098】プラネタリギヤユニット212は、プラネ
タリギヤ220〜224,クラッチC0 ,C1 ,C2
ブレーキB0 ,B1 ,B2 ,B3 ,ワンウェイクラッチ
01 ,F2 等を備えたものであり、プラネタリギヤ
220および添字0が付されたクラッチC0 ,ブレーキ
0 ,ワンウェイクラッチF0 は、第4速ギヤ段(オー
バドライブ)用に設けられたものである。上記各クラッ
チC0 〜C2 ,ブレーキB0 〜B3 は、多板式のクラッ
チ,ブレーキ等を備えた油圧式摩擦係合装置であり、図
示しない液圧アクチュエータによって作動させられる。
クラッチC0 〜C2 ,ブレーキB0 〜B3 に作動液が供
給されると係合状態にされ、作動液が供給されないと非
係合状態にされる。ワンウェイクラッチF0 〜F2 は、
それに連結されたプラネタリギヤ220〜224の各要
素の一方向の回転のみを許容するものであるため、回転
方向によっては要素相互間で係合させられたり、要素と
ハウジング226とが係合させられたりする。
【0099】前記入力軸214(トルクコンバータ21
0の出力軸)は、プラネタリギヤ220のピニオン23
0の回転軸であるキャリア232に連結され、オートマ
チックトランスミッション200の出力軸であるプラペ
ラシャフト92には、プラネタリギヤ222のピニオン
234の回転軸であるキャリヤ236およびプラネタリ
ギヤユニット224のリングギヤ238が連結されてい
る。入力軸214の駆動トルクが決められたトルク比で
プロペラシャフト92に伝達される。
【0100】上記プラネタリギヤユニット220のサン
ギヤ240とキャリヤ232との間にはクラッチC0
よびワンウェイクラッチF0 が並列に設けられ、サンギ
ヤ240とハウジング226との間にはブレーキB0
設けられている。また、リングギヤ244には、クラッ
チC1 を介して上記プラネタリギヤ222のリングギヤ
246が連結されるとともに、クラッチC2 を介してサ
ンギヤ248が連結されている。サンギヤ248は、図
に示すように、2つのプラネタリギヤユニットギヤ22
2,224に共通とされている。サンギヤ248と上記
ハウジング226との間には、ブレーキB1 と、直列に
設けられたワンウェイクラッチF1 およびブレーキB2
とが並列に設けられ、プラネタリギヤ224のピニオン
250の回転軸であるキャリヤ252とハウジング22
6との間には、ブレーキB3 およびワンウェイクラッチ
2 が並列に設けられている。
【0101】本オートマチックトランスミッション20
0には、また、上記液圧アクチュエータ等を含む液圧回
路260,これを制御する専用のA/T制御装置262
および液温センサ264等が設けられている。液圧回路
260は、液圧源や上記液圧アクチュエータを制御する
ための複数個の電磁弁等を備えたものであり、これら複
数個の電磁弁はソレノイドS1 〜S3の励磁により駆動
される。図11に示すように、ソレノイドS1 ,S2
それぞれ励磁状態あるいは非励磁状態にされることによ
り、液圧回路260が切り換えられ、各クラッチC0
2 ,ブレーキB0 〜B3 等に選択的に作動液が供給さ
れる。ソレノイドS1 ,S2 の励磁状態と非励磁状態と
の組合せにより、第1速ギヤ段ないし第4速ギヤ段(O
/D)のうちのいずれかが有効化されるのである。液圧
回路260の切換えは、シフトレバー142の操作に基
づくシフトポジションの切換えによっても行われる。シ
フトレバー142の操作に伴って図示しないマニュアル
バルブレバーが切り換えられ、液圧回路260が切り換
えられるのである。また、ソレノイドS3 が制御される
ことによってロックアップクラッチ216の係合状態が
制御される。これらソレノイドS1 〜S3 の制御は、A
/T制御装置262の指令に基づいて図示しない駆動回
路により行われる。
【0102】液温センサ264は、オートマチックトラ
ンスミッション200の作動液の温度を検出するもので
ある。本液温センサ264は、オートマチックトランス
ミッション本体の下部を構成するオイルパンに取り付け
られており、オイルパンに収容された作動液の温度が検
出される。オイルパンに収容された作動液の温度はオー
トマチックトランスミッション200の内部の作動液の
温度と同じであると見なすことができるからである。こ
の液温センサ264の出力信号は、前述のように、液圧
制御装置26に供給され、これに基づいて後述するブレ
ーキ非操作時液圧高揚制御プログラムが実行される。
【0103】シフトレバー142の位置がドライブ
(D)にあって、第1速ギヤ段(1st)が設定された場
合には、ソレノイドS1 が励磁される。それに応じて液
圧回路260が、クラッチC0 ,C1 に作動液を供給す
る状態に切り換えられる。クラッチC0 ,C1 が係合状
態にされ、キャリヤ232がサンギヤ240に連結さ
れ、リングギヤ244がリングギヤ246に連結され
る。その結果、入力軸214の駆動トルクはキャリヤ2
32に伝達されるとともに、クラッチC0 を介してサン
ギヤ240に伝達され、ピニオン230を介してリング
ギヤ244が回転させられる。リングギヤ244の駆動
トルクは、クラッチC1 を介してリングギヤ246に伝
達される。リングギヤ246の回転が、プラネタリギヤ
222においてピニオン234を介してキャリヤ236
に伝達されるとともにサンギヤ248に伝達され、サン
ギヤ248の回転がプラネタリギヤ224においてピニ
オン250を介してリングギヤ238に伝達される。プ
ロペラシャフト92には、キャリヤ236に伝達された
駆動トルクと、リングギヤ238に伝達された駆動トル
クとが伝達されることになる。
【0104】それに対して、シフトレバー142の位置
がニュートラル(N)やパーキング(P)にある場合に
は、クラッチC0 のみに作動液が供給され、係合状態に
される。クラッチC1 が非係合状態にあるため、プロペ
ラシャフト92には駆動トルクは伝達されない。すなわ
ち、停止状態にある車両は停止状態に保たれることにな
る。しかし、シフトレバー142がドライブ(D)から
ニュートラル(N)に操作されたことによって、クラッ
チC1 に作動液に供給されなくなっても、作動液の温度
が非常に低い場合には車両が移動させられる場合があ
る。作動液の温度が低いと、前述のように、粘度が高く
なるため、クラッチC1 において係合状態から非係合状
態に切り換えられないで半係合状態にされ、プロペラシ
ャフト92に駆動トルクが伝達されることがあるからで
ある。この車両の移動がクリープ現象による移動であ
り、運転者によってブレーキペダル38やパーキングブ
レーキレバーが操作されなければ、車両は停止しない。
【0105】本実施形態においては、運転者によってブ
レーキペダル38が操作されている場合に、車両がクリ
ープ現象により移動させられる場合には、前記実施形態
と同様に、液圧高揚制御プログラムやニュートラル時液
圧高揚制御プログラムの実行に従ってホイールシリンダ
液圧が高揚制御される。一方、ブレーキペダル38やパ
ーキングブレーキレバーが操作されていない状態で、シ
フトレバー142がドライブ(D,2,L)やリバース
(R)からニュートラル(N)に操作された場合には、
図10のフローチャートで表されるブレーキ非操作時液
圧高揚制御プログラムにおいて、運転者によって車両を
停止状態にするための車両停止操作が行われたと判定さ
れる。そして、この車両停止操作にもかかわらず車両が
移動する場合には、車両が運転者の停止操作に応じた停
止状態にないとされ、車両を停止状態に近づけるように
制御される。
【0106】ブレーキペダル38もパーキングブレーキ
レバーも操作されておらず、かつ、作動液の温度が設定
値より低く、シフトレバー142がドライブ(D,2,
L)やリバース(R)からニュートラル(N)に操作さ
れたにもかかわらず、車両が低速で走行している場合に
は、ホイールシリンダ12,13の液圧が高揚させられ
るのである。ここで、設定温度は、作動液の粘度が高く
なり、オートマチックトランスミッション200におい
て、クラッチやブレーキに作動液が供給される状態から
供給されない状態に切り換えられたにもかかわらず、半
係合状態にされるおそれがある温度である。また、本実
施形態における液圧高揚制御は、路面の摩擦係数μの大
きさとは無関係に行われる。
【0107】S81〜85において、作動液温度が設定
温度以下か否か、走行速度が15km/h以下か否か、シフ
トレバー142かドライブ(D,2,L)やリバース
(R)からニュートラル(N)に操作されたか否か、ブ
レーキペダル38,パーキングブレーキレバーが操作状
態にないか否かが判定される。これらすべてのステップ
における判定がYESの場合には、S86以降において
上記実施形態における場合と同様にホイールシリンダ液
圧が高揚させられるのである。
【0108】以上のように、本実施形態によれば、車両
を運転者の停止操作に応じた停止状態に近づけることが
できる。また、ブレーキペダル38が操作されている場
合に車両がクリープ現象により移動させられている場合
には、第一実施形態における場合と同様に制御されるた
め、結局、ブレーキペダル38が操作されていてもされ
ていなくても、ホイールシリンダ液圧の高揚制御が行わ
れ、車両を停止状態に近づけることができる。
【0109】なお、シフトレバーのポジションは、通
常、パーキング(P),リバース(R),ニュートラル
(N),ドライブ(D,2,L)の順になっているた
め、リバース(R)とドライブ(D,2,L)との間の
切換え時には、必ず一旦ニュートラル(N)に切り換え
られることとなるが、多くの場合、リバース(R)とド
ライブ(D)との間の切換え時にはブレーキペダル38
が操作されているため、上記ブレーキ非操作時液圧高揚
制御プログラムによる液圧高揚制御が実行されることは
ない。しかし、もし、ブレーキペダル38の非操作状態
でリバース(R)とドライブ(D,2,L)との間の切
換えが行われた場合に、ブレーキ非操作時液圧高揚制御
プログラムによる液圧高揚制御が実行されることを回避
する必要があれば、図10のプログラムの適当な個所、
例えば、S85とS86との間に一定短時間の経過を待
つステップを追加し、その一定短時間以内にシフトレバ
ーのポジションがニュートラル(N)からリバース
(R)またはドライブ(D)に変わった場合には、S8
6以降が実行されず、液圧高揚制御が行われないように
すればよい。
【0110】さらに付言すれば、オートマチックトラン
スミッションは、第一実施形態のオートマチックトラン
スミッションであってもよい。また、ドライブ(D)位
置にある場合に5段以上に自動変速可能なものであって
も、ドライブ(2)位置やドライブ(L)位置にある場
合に3段以上に自動変速可能なものであってもよい等他
のタイプのものであってもよい。さらに、液圧制御装置
26のROMには、液圧高揚制御プログラム,ニュート
ラル時液圧高揚制御プログラム,ブレーキ非操作時液圧
高揚制御プログラム等複数のプログラムが格納されてい
なくても、これら複数の液圧高揚制御プログラムのうち
の少なくとも1つが格納されていればよい。その他、い
ちいち例示することはしないが、特許請求の範囲を逸脱
することなく当業者の知識に基づいて種々の変形,改良
を施した態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一発明ないし第四発明の共通の一実施形態で
ある車両用液圧ブレーキ装置の全体の回路図である。
【図2】上記車両用液圧ブレーキ装置が搭載された車両
の駆動系を表す概念図である。
【図3】上記車両に搭載されたオートマチックトランス
ミッションの構成を説明するための図である。
【図4】上記車両用液圧ブレーキ装置の液圧制御装置の
ROMに格納された液圧抑制制御プログラムを表すフロ
ーチャートである。
【図5】上記ROMに格納された液圧抑制制御パターン
を示す図である。
【図6】上記ROMに格納された液圧高揚制御プログラ
ムを表すフローチャートである。
【図7】上記ROMに格納された液圧高揚制御パターン
を示す図である。
【図8】第一発明ないし第四発明の共通の別の実施形態
である車両用液圧ブレーキ装置の液圧制御装置のROM
に格納されたニュートラル時液圧高揚制御プログラムを
表すフローチャートである。
【図9】第一発明ないし第四発明の共通のさらに別の実
施形態である車両用液圧ブレーキ装置が搭載された車両
に搭載されたオートマチックトランスミッションの構成
を説明するための図である。
【図10】上記車両用液圧ブレーキ装置の液圧制御装置
のROMに格納されたブレーキ非操作時液圧高揚制御プ
ログラムを表すフローチャートである。
【図11】上記車両のA/T制御装置における変速ギヤ
段とクラッチやブレーキの係合状態との関係を表した図
である。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ 12,13 ホイールシリンダ 22,30 3位置電磁弁 24 副液圧源 26 液圧制御装置 142 シフトレバー 150〜156 車輪速センサ 158 走行速度センサ 160 ブレーキペダル 162 ブレーキスイッチ 164 シフトポジションセンサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ操作部材の操作に応じてマスタ
    シリンダに発生させられる液圧でホイールシリンダが作
    動し、車両を制動する車両用液圧ブレーキ装置であっ
    て、 運転者によって車両を停止させるための車両停止操作が
    行われた状態にあるか否かを検出する停止操作検出装置
    と、 車両が設定値以下の速度で走行中か否かを検出する低速
    走行検出装置と、 前記停止操作検出装置によって車両停止操作が行われた
    状態にあることが検出され、かつ、前記低速走行検出装
    置によって車両が低速で走行中であることが検出された
    場合に、ホイールシリンダの液圧を、車輪の回転速度と
    は無関係に、マスタシリンダの液圧とは異なる高さに制
    御するホイールシリンダ液圧制御装置とを含むことを特
    徴とする車両用液圧ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 前記停止操作検出装置が、前記ブレーキ
    操作部材が操作状態にあるか否かを検出するブレーキ操
    作検出装置を含み、前記ホイールシリンダ液圧制御装置
    が、前記ホイールシリンダの液圧を、マスタシリンダの
    液圧より低く抑えるホイールシリンダ液圧抑制装置を含
    むことを特徴とする請求項1に記載の車両用液圧ブレー
    キ装置。
  3. 【請求項3】 さらに、 路面の摩擦係数に関連した摩擦係数関連量を取得する摩
    擦係数関連量取得手段と、 その摩擦係数関連量取得手段によって取得された摩擦係
    数関連量が設定値より低い摩擦係数に対応する量である
    場合には、前記ホイールシリンダ液圧抑制装置による抑
    制を許可し、設定値より高い摩擦係数に対応する量であ
    る場合には禁止する抑制許可禁止手段とを含むことを特
    徴とする請求項2に記載の車両用液圧ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 前記車両が、オートマチックトランスミ
    ッションを備えた車両であって、前記低速走行検出装置
    が車両がクリープ現象により移動している状態であるこ
    とを検出するクリープ移動検出装置を含み、かつ、前記
    ホイールシリンダ液圧制御装置が、前記クリープ移動検
    出装置によって車両がクリープ現象により移動している
    と検出された場合に、駆動輪を含む複数輪のうち他の車
    輪より回転速度が早い駆動輪の少なくとも一部のものの
    ホイールシリンダの液圧を、マスタシリンダの液圧より
    高くするホイールシリンダ液圧高揚装置を含むことを特
    徴とする請求項1に記載の車両用液圧ブレーキ装置。
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