JPH0822856B2 - 1,5−ベンゾチアゼピン誘導体の製法 - Google Patents

1,5−ベンゾチアゼピン誘導体の製法

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JPH0822856B2 JP3356115A JP35611591A JPH0822856B2 JP H0822856 B2 JPH0822856 B2 JP H0822856B2 JP 3356115 A JP3356115 A JP 3356115A JP 35611591 A JP35611591 A JP 35611591A JP H0822856 B2 JPH0822856 B2 JP H0822856B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬化合物として有用な
3−アセトキシ−2,3−ジヒドロ−5−〔2−(ジメ
チルアミノ)エチル〕−2−(p−メトキシフェニル)
−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン・塩酸
塩の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】3−アセトキシ−2,3−ジヒドロ−5
−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−2−(p−メト
キシフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5
H)−オン・塩酸塩〔以下、目的物質と称する〕、とり
わけそのd−シス体は一般名:塩酸ジルチアゼムとして
知られており、冠血管拡張剤、降圧剤として有用な医薬
化合物である。従来この目的物質は、3−ヒドロキシ−
2,3−ジヒドロ−5−〔2−(ジメチルアミノ)エチ
ル〕−2−(p−メトキシフェニル)−1,5−ベンゾ
チアゼピン−4(5H)−オン〔以下、3−ヒドロキシ
化合物と称する〕を、常法によりアセチル化剤、例え
ば無水酢酸と加熱下反応させて3−アセトキシ体とした
後、塩化水素−エタノール(あるいはメタノール)で処
理して製造する方法(特公昭47−813号及び特公昭
53−18038号)や、塩酸の存在下、無水酢酸と
反応させて一工程で製造する方法(特開昭62−132
876号)等が知られている。
【0003】しかしながら、の方法は、アセチル化反
応を無水条件下で実施しうるが、アセチル化反応工程と
塩酸塩形成工程の2工程を別個に行う必要があった。一
方、の方法は、塩化水素供給源として用いる塩酸(水
溶液)の添加時に発熱を伴うため、まず冷却下に塩酸を
添加し次いで加熱下にアセチル化反応を実施しなければ
ならず、操作が煩雑であった。また、アセチル化反応の
系内に水が存在すると反応が完結しないので、塩酸添加
に伴い系内に入る水を除去する目的で、無水酢酸を大過
剰用いなければならないという難点もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来法
の欠点を克服し、一工程で、しかも大過剰のアセチル化
剤を用いることなくかつ冷却の必要もなく単純な操作
で、3−ヒドロキシ化合物から目的物質を製造する方法
を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、3−ヒドロキ
シ−2,3−ジヒドロ−5−〔2−(ジメチルアミノ)
エチル〕−2−(pーメトキシフェニル)−1,5−ベ
ンゾチアゼピン−4(5H)−オンを、酢酸又は酢酸と
無水酢酸との混合溶媒中でアセチルクロリドと反応させ
ることを特徴とする、3−アセトキシ−2,3−ジヒド
ロ−5−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−2−(p
−メトキシフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4
(5H)−オン・塩酸塩の製法に関する。上記本発明
は、アセチルクロリドが、無水の条件下で、3−ヒドロ
キシ化合物のアセチル化剤として作用すると共に、塩酸
塩とするための塩化水素供給源ともなり、一挙に目的物
質を生成させうるとの新規知見に基づき確立されたもの
であり、本発明方法によれば、従来法の如く塩化水素を
別途供給してやる必要や、大過剰のアセチル化剤を用い
ることなく、また、冷却操作の必要もなく、目的物質を
極めて高収率に製造できるという利点が得られる。
【0006】本発明方法を実施するに際し、アセチルク
ロリドの使用量は、用いる溶媒によっても異なるが、通
常、3−ヒドロキシ化合物1モルに対し1〜20モル使
用すればよい。溶媒として酢酸を単独で用いる場合に
は、3−ヒドロキシ化合物1モルに対し1モルを越える
量、好ましくは1.01〜10モル、より好ましくは
1.05〜1.5モル用いるのがよい。一方、溶媒とし
て酢酸と無水酢酸の混合溶媒を用いる場合には、3−ヒ
ドロキシ化合物1モルに対し1モル以上、好ましくは1
〜5モル、より好ましくは1〜1.5モル用いるのがよ
い。溶媒としては、酢酸単独でもよく、或いは酢酸と無
水酢酸との混合溶媒を用いてもよい。混合溶媒を用いる
場合、混合比率は、無水酢酸を酢酸の10分の1程度と
しても、数倍量程度まで増量しても差支えない。反応温
度や所望の反応時間に応じて適宜選択できる。溶媒の使
用量は特に制限がないが、例えば、3−ヒドロキシ化合
物1重量部に対し、約1〜5倍重量部程度で十分であ
る。
【0007】本発明の方法は、冷却〜加熱下、好ましく
は室温〜還流下で実施できるが、溶媒として酢酸を単独
で用いる場合には10〜110℃、とりわけ40〜80
℃で実施するのが好ましく、一方、溶媒として酢酸と無
水酢酸の混合溶媒を用いる場合には5〜130℃、とり
わけ10〜110℃で実施するのが好ましい。本発明方
法はまた、酢酸と無水酢酸の混合溶媒中で実施すれば、
反応促進の効果があり、また気温低下時における溶媒の
凍結を防ぐことができる効果もある。
【0008】なお、本発明の原料化合物たる3−ヒドロ
キシ化合物には、その2位及び3位の不斉炭素原子に基
づく4種の立体異性体が存在するが、本発明方法はラセ
ミ化を伴うことなく実施し得るため、光学活性な3−ヒ
ドロキシ化合物を用いれば、目的物質も対応する光学活
性体として得ることができる。反応終了後の目的物質の
単離は、反応溶媒を留去してから再結晶などの常法によ
り、容易に行うことができる。
【0009】実験例1〔アセチル化反応溶媒選択の効
果〕 d−シス−3−ヒドロキシ化合物25g、アセチルクロ
リド5.8g(d−シス−3−ヒドロキシ化合物1モル
に対し1.1モル)を、第2表記載の溶媒200mlと
混合し、混合物を30℃で2時間かくはんした。目的物
質の生成率を高速液体クロマトグラフィーで測定した結
果は、下記第1表に示す通りであり、酢酸、或いは酢酸
と無水酢酸との混合溶媒を用いると、他の溶媒を用いる
場合と較べて、著しく高い比率で目的物質が生成するこ
とがわかる。
【0010】
【表1】
【0011】
【実施例】
実施例1 d−シス−3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−5−
〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−2−(p−メトキ
シフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)
−オン7.45g(0.02モル)を酢酸15mlに加
熱下溶解する。次いでアセチルクロリド 1.71g
(0.022モル)を20℃で加え、室温で72時間か
くはんする。反応後、酢酸を留去し、残渣をエタノール
から再結晶してd−シス−3−アセトキシ−シスー2,
3−ジヒドロ−5−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕
−2−(p−メトキシフェニル)−1,5−ベンゾチア
ゼピン−4(5H)−オン・塩酸塩7.53gを得る。 収率 83% M.p.213−214℃
【0012】実施例2 実施例1の反応条件を、70−80℃で3時間かくはん
として実施し、酢酸留去後の再結晶を 97%エタノー
ルを用いて実施して、d−シスー3−アセトキシ体・塩
酸塩8.45gを得る。 収率94% 本品の物理恒数は実施例1の目的物のそれと一致した。
【0013】実施例3 d−シス−3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−5−
〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−2−(p−メトキ
シフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)
−オン50g(0.13モル)及びアセチルクロリド1
2.7g(0.16モル)を用い、実施例1の反応条件
を、酢酸81mlと無水酢酸19mlの混合溶媒中、6
0℃で3時間かくはんとして実施し、溶媒留去後の再結
晶を97%エタノールを用いて実施して、d−シスー3
−アセトキシ体・塩酸塩55.9gを得る。 収率92% 本品の物理恒数は実施例1の目的物のそれと一致した。
【0014】実施例4 d−シス−3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−5−
〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−2−(p−メトキ
シフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)
−オン50g(0.13モル)及びアセチルクロリド1
0.8g(0.13モル)を用い、実施例1の反応条件
を、酢酸50mlと無水酢酸50mlの混合溶媒中、1
00−110℃で6時間かくはんとして実施し、溶媒留
去後の再結晶を97%エタノールを用いて実施して、d
−シス−3−アセトキシ体・塩酸塩53.7gを得る。 収率89% 本品の物理恒数は実施例1の目的物のそれと一致した。
【0015】実施例5 d−シス−3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−5−
〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−2−(p−メトキ
シフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)
−オン50g(0.13モル)及びアセチルクロリド1
2.7g(0.16モル)を用い、実施例1の反応条件
を、酢酸25ml及び無水酢酸75mlの混合溶媒中、
60℃で3時間かくはんとして実施し、溶媒留去後の再
結晶を97%エタノールを用いて実施してd−シス−3
−アセトキシ体・塩酸塩54.7gを得る。 収率90.4% 本品の物理恒数は実施例1の目的物のそれと一致した。
【0016】
【発明の効果】上記実験例及び実施例にみられる通り、
本発明方法によれば、アセチルクロリドが、アセチル化
剤としてだけでなく、塩化水素供給源としても作用する
ため、アセチル化反応後にさらに塩形成処理を行うこと
も、また反応系に塩酸の形で塩化水素を別途供給してや
る必要もなく、目的物質を一挙にかつ高収率に得ること
ができる。
【0017】このため、本発明方法は、従来法と比較し
ても、簡便な操作でかつ高収率で目的物質を製造し得
る、という工業的に優れた利点が得られる。例えば、方
法、即ち特公昭47−813号及び特公昭53−13
038号記載方法では、アセチル化反応工程と塩酸塩形
成工程の2工程を別個に行う必要があったが、本発明方
法によれば1工程で目的物質を得ることができる。ま
た、方法、即ち特開昭62−132876号記載方法
では塩酸(水溶液)を用いるため、系外に水を除去のた
め、大過剰の無水酢酸を使用する必要があったが、本発
明方法によれば3−ヒドロキシ化合物1モルに対し、1
モル又はそれよりわずかに過剰量のアセチルクロリドを
用いるのみで、しかも冷却下に試薬(塩酸)を添加する
必要もなく、目的物質を高収率で製造できるという利点
が得られる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−5
    −〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−2−(p−メト
    キシフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5
    H)−オンを、酢酸又は酢酸と無水酢酸との混合溶媒中
    でアセチルクロリドと反応させることを特徴とする、3
    −アセトキシ−2,3−ジヒドロ−5−〔2−(ジメチ
    ルアミノ)エチル〕−2−(p−メトキシフェニル)−
    1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン・塩酸塩
    の製法。
  2. 【請求項2】 アセチルクロリドを、原料化合物である
    3−ヒドロキシ−1,5−ベンゾチアゼピン誘導体1モ
    ルに対し1〜20モル使用する請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 アセチルクロリドを原料化合物である3
    −ヒドロキシ−1,5−ベンゾチアゼピン誘導体1モル
    に対し1.01〜10モル使用し、酢酸中で反応を行う
    請求項1記載の製法。
  4. 【請求項4】 アセチルクロリドを原料化合物である3
    −ヒドロキシ−1,5−ベンゾチアゼピン誘導体1モル
    に対し1〜5モル使用し、酢酸と無水酢酸の混合溶媒中
    で反応を行う請求項1記載の製法。
  5. 【請求項5】 原料である3−ヒドロキシ−1,5−ベ
    ンゾチアゼピン誘導体がd−シス体である請求項1、
    2、3又は4記載の製法。
JP3356115A 1990-11-29 1991-11-27 1,5−ベンゾチアゼピン誘導体の製法 Expired - Lifetime JPH0822856B2 (ja)

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CN (1) CN1031342C (ja)
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AU (1) AU634108B2 (ja)
DE (1) DE69102614T2 (ja)
DK (1) DK0488210T3 (ja)
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AU634108B2 (en) 1993-02-11
IL100157A0 (en) 1992-08-18
FI104173B (fi) 1999-11-30
DE69102614D1 (de) 1994-07-28
HK174295A (en) 1995-11-24
KR920009808A (ko) 1992-06-25
FI915625A (fi) 1992-05-30
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AU8825391A (en) 1992-06-04
EP0488210A1 (en) 1992-06-03
DK0488210T3 (da) 1994-08-01
KR0133056B1 (ko) 1998-04-17
CN1062141A (zh) 1992-06-24
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