JPH0822745B2 - 針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法 - Google Patents

針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法

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JPH0822745B2 JP61296168A JP29616886A JPH0822745B2 JP H0822745 B2 JPH0822745 B2 JP H0822745B2 JP 61296168 A JP61296168 A JP 61296168A JP 29616886 A JP29616886 A JP 29616886A JP H0822745 B2 JPH0822745 B2 JP H0822745B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法に関する
ものであり、詳しくは、高密度記録用の磁性酸化鉄粒子
粉末として好適である高い保磁力を有し、且つ、消去特
性に優れている粒子表面がCo化合物で被覆されている針
状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法に関するものである 〔従来の技術〕 近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化が進むにつれ
て磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対する
高性能化の必要性が益々生じてきている。即ち、記録密
度特性の向上である。
磁気記録媒体の記録密度特性を向上させる為には、用
いる磁性材料粒子粉末が出来るだけ高い保磁力を有する
ことである。この事実は、例えば、社団法人電子通信学
会「電子通信学会技術研究報告」MR77−36(1978年発
行)、第37頁の「磁気テープの記録密度を上げるために
は、テープに用いる磁性粉の保磁力を大きくすることが
必要である。」なる記載の通りである。
現在、高い保磁力を有する磁性酸化鉄粒子粉末として
所謂、Coドープ型の針状磁性酸化鉄粒子と所謂、Co被着
型の磁性酸化鉄粒子とが知られており、これら磁性酸化
鉄粒子の保磁力は、Co量が多くなる程高くなる傾向にあ
る。前者は出発原料である針状ゲータイト粒子の生成反
応にあたり予めCo塩を添加しておくことによりCo含有針
状ゲータイト粒子を生成させ、次いで、還元してCo含有
針状マグネタイト粒子とするか、必要により更に酸化し
てCo含有針状マグネタイト粒子とすることにより、後者
は、出発原料である針状ゲータイト粒子を還元、又は必
要により更に酸化して得られた針状マグネタイト粒子又
針状マグネタイト粒子を前駆体粒子として該前駆体粒子
の粒子表面をCo化合物で被覆することにより得られる。
一方、磁気記録媒体は、繰り返して長期に亘り使用す
るものであるから磁気特性が熱的、経時的に安定であ
り、且つ、消去特性にすぐれていることが強く要望され
ている。
磁気記録媒体に対する上記のような要求を満足させる
為には、用いられる磁性酸化鉄粒子の磁気特性が熱的、
経時的に安定であり、且つ、消去特性に優れていること
が必要である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
高い保磁力を有し、且つ、熱的、経時的に安定であ
り、しかも消去特性に優れた磁性酸化鉄粒子は、現在、
最も要求されているところであるが、上述した通りのCo
ドープ型の磁性酸化鉄粒子は、高い保磁力を有するもの
であるが、一方、Coが結晶内に拡散する等に起因して保
磁力分布の拡がりが大きくなり、その結果、熱的、経時
的に不安定であり、消去特性が悪いという欠点を有する
ものである。
この現象は、前出「電子通信学会技術研究報告」の
「Co固溶型(ドープ型)酸化鉄磁性粉は、保磁力が熱
的、経時的に変化しやすいため、テープにしたとき、転
写及び消去特性が劣るという大きな欠点を有している。
これらの欠点は、室温でもCoイオンが結晶内を動くこと
に起因する、と考えられている。」なる記載の通りであ
る。
また、上述した通りのCo被着型の磁性酸化鉄粒子は、
高い保磁力を有すると同時に、Coドープ型の磁性酸化鉄
に比べ、熱的、経時的にも安定であり、消去特性が優れ
ているという特徴を有するものである。この現象は、前
出「電子通信学会技術研究報告」の「‥‥Coエピタキシ
ャル(Co被着型)酸化鉄磁性粉においては、二重構造に
なっているため、これらの欠点は解消され、熱的経時的
にも安定で、この磁性粉を使用したテープは、すぐれた
転写特性、消去特性を有する。‥‥」なる記載の通りで
ある。
しかしながら、近時、消去特性の改良に対する要請は
とどまるところがなく、上記Co被着型の磁性酸化鉄粒子
においても未だ、保磁力分布の拡がりが大きく、消去特
性が優れたものとは言い難いことが指摘されている。
この事実は、例えば、特開昭61−17426号公報の「‥
‥上記γ−Fe2O3粒子を使用した磁性粉にあっては、こ
のγ−Fe2O3粒子が微粒子になるにつれ抗磁力分布が広
がり、さらにコバルト被着を行うとこの抗磁力分布はよ
り一層広がる傾向にあることがわかった。‥‥高密度記
録を図るために上記コバルト被着型γ−Fe2O3粒子の微
細化を進めると、所定の抗磁力Hcは得られても、抗磁力
分布の悪い消去特性に劣る磁性粉しか得られない。‥
‥」なる記載の通りである。
そして、Co被着型の磁性酸化鉄粒子の保磁力分布の拡
がりはCo被覆量が多くなる程大きくなり、その結果、消
去特性は劣化する傾向にあり、保磁力の向上とは逆の相
関関係にある。
そこで、Co被着型磁性酸化鉄粒子の保磁力を、より少
ないCo被覆量で効果的に向上させる為の技術手段の確立
が強く要望されている。
〔問題点を解決する為の手段〕
本発明者は、Co被着型磁性酸化鉄粒子の保磁力を少な
いCo被覆量で効果的に向上させる方法について、種々検
討を重ねた結果、本発明に到達したのである。
即ち、本発明は、針状磁性酸化鉄粒子の水分散液と少
なくともCo塩水溶液及びアルカリ水溶液とを混合して得
られたpH11以上の混合液を、50〜100℃の温度範囲で加
熱処理して、前記針状磁性酸化鉄粒子の粒子表面にCo化
合物を生成させることにより、粒子表面がCo化合物で被
覆されている針状磁性酸化鉄粒子粉末を製造する方法に
おいて、前記pH11以上の混合液に、Co化合物の生成反応
開始後から終了までの間に、混合液中の針状磁性酸化鉄
粒子に対しCu換算で0.2〜2.0重量%の銅塩を添加するこ
とからなる針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法である。
〔作用〕
先ず、本発明において最も重要な点は、前駆体粒子で
ある針状磁性酸化鉄粒子の粒子表面をCo化合物で被覆す
るにあたり、Co化合物の生成反応開始後から終了までの
間に銅塩を添加した場合には、少ないCo被覆量で効果的
に保磁力を向上させることができる点である。
今、本発明者が行った数多くの実験例から、その一部
を抽出して説明すれば次の通りである。
図1は、Co化合物で被覆されている針状磁性酸化鉄粒
子粉末の保磁力とCu塩の添加量との関係図である。
即ち、針状γ−Fe2O3粒子(平均長軸径0.3μm、軸比
(長軸:短軸)8:1、保磁力370Oe)100gを含む2.0の
水分散液とCo1.0mol/を含む水溶液51ml及び18−NのN
aOH25mlとを混合して得られたpH13の混合液を90℃に昇
温した後、空気の混入を防止して撹拌しながら混合液中
の針状γ−Fe2O3粒子に対しCu換算で0〜2.0重量%のCu
SO4を添加し、次いで300分間保持することにより得られ
た粒子表面がCo化合物で被覆されている針状γ−Fe2O3
粒子の保磁力とCu塩の添加量との関係を示したものであ
る。
図1から明らかな通り、1.0重量%付近を最高値とし
てCu塩の増加に伴って保磁力は向上する傾向を示す。
次に、本発明実施にあたっての諸条件について述べ
る。
本発明における針状磁性酸化鉄粒子としては、針状マ
グネタイト粒子、針状マグネタイト粒子(FeOx・Fe2O3
0<x≦1)及びこれらにCo、Ni、Si、Al、Zn、P等
の一種又は二種以上を含む粒子を用いることができる。
本発明における磁性酸化鉄粒子のCo化合物による被覆
は、針状磁性酸化鉄粒子の水分散液と少なくともCo塩水
溶液及びアルカリ水溶液とを混合することにより得られ
たpH11以上の混合液を50〜100℃の温度範囲で加熱処理
すればよい。Co塩水溶液は必要により硫酸鉄、塩化鉄等
のFe(II)塩水溶液とともに用いてもよい。Co塩水溶液
としては、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸コバルト
等の水溶液を使用することができる。加熱処理の雰囲気
は、N2等の不活性ガス流下における非酸化性雰囲気、空
気等の酸素含有ガス流下における酸化性雰囲気のいずれ
であってもよい。
本件発明におけるCu塩としては、硫酸銅、塩化銅及び
硝酸銅等を使用することができる。
Cu塩の添加時期は、Co化合物の生成反応開始後から終
了までの間であり、Co化合物の生成反応開始前、即ち、
針状磁性酸化鉄の水分散液と少なくともCo塩水溶液及び
アルカリ水溶液との混合液を50℃以上に昇温する前にCu
塩を添加しても本発明の効果は得られない。Cu塩の添加
量は、針状磁性酸化鉄粒子に対し、Cu換算で0.2〜2.0重
量%である。0.2重量%未満である場合には、本発明の
目的を十分達成することができない。2.0重量%を越え
る場合には、Co化合物で被覆されている針状磁性酸化鉄
粒子の純度の低下により飽和磁束密度が減少し好ましく
ない。
Co化合物で被覆されている針状磁性酸化鉄粒子の保磁
力及び飽和磁束密度を考慮した場合、0.5〜1.5重量%が
好ましい。
〔実 施 例〕
次に、実施例及び比較例により本発明を説明する。
尚、以下の実施例並びに比較例における粒子の平均粒
子径及び軸比は電子顕微鏡写真から測定した数値の平均
値で示し、保磁力は「振動試料型磁力計VSM−3S−15」
(東英工業(株)製)を用いて外部磁場を10kOeまでか
けて測定した。粒子中のCo量及びCu量は、「螢光X線分
析装置3063M型」(理学電機工業(株)製)を使用し、J
ISK0119の螢光X線分析通則に従って、螢光X線分析を
行うことにより測定した。
実施例1 前駆体として針状γ−Fe2O3粒子(平均長軸径0.3μ
m、軸比(長軸:短軸)8:1、保磁力370Oe)を用い、該
前駆体粒子粉末100gを2の水に分散させて得られた分
散液と、硫酸第一鉄と硫酸コバルトとを用いて第一鉄0.
2mol及びコバルト0.1molを溶存させた水溶液500mlとを
混合した後6−NのNaOH水溶液500mlを加え、pH14の混
合液とした。得られた混合液を95℃に昇温した後、空気
の混入を防止して撹拌しながら60分間保持した後、CuSO
42.5g(混合液中の針状γ−Fe2O3粒子に対し1.0重量%
に該当する。)を添加し、引き続き180分間保持して黒
褐色沈澱粒子を生成させた。
上記黒褐色沈澱を含む反応溶液は、常法により過、
水洗、乾燥した。
得られた黒褐色粒子粉末は、螢光X線分析及びX線回
折の結果、粒子表面がCo化合物で被覆されている針状γ
−Fe2O3粒子粉末(Co量は、Co被覆γ−Fe2O3粒子粉末に
対し2.5重量%に該当する。)であり、該粒子は、0.85
重量%のCuを含有していた。
このCuを含有するCo化合物で被覆されている針状γ−
Fe2O3粒子粉末の保磁力は784Oeであった。
実施例2 前駆体として針状γ−Fe2O3粒子(平均長軸径0.3μ
m、軸比(長軸:短軸)8:1、保磁力370Oe)を用い、該
前駆体粒子粉末100gを2の水に分散させて得られた分
散液と、硫酸第一鉄と硫酸コバルトとを用いて第一鉄0.
2mol及びコバルト0.1molを溶存させた水溶液500mlとを
混合した後6−NのNaOH水溶液500mlを加え、pH14の混
合液とした。得られた混合液を95℃に昇温した後、空気
の混入を防止して撹拌しながら240分間保持した後、CuS
O42.5g(混合液中の針状γ−Fe2O3粒子に対し1.0重量%
に該当する。)を添加し、引き続き60分間保持して黒褐
色沈澱粒子を生成させた。
上記黒褐色沈澱を含む反応溶液は、常法により過、
水洗、乾燥した。
得られた黒褐色粒子粉末は、螢光X線分析及びX線回
折の結果、粒子表面がCo化合物で被覆されている針状γ
−Fe2O3粒子粉末(Co量は、Co被覆γ−Fe2O3粒子粉末に
対し2.5重量%に該当する。)であり、該粒子は、0.8重
量%のCuを含有していた。
このCuを含有するCo化合物で被覆されている針状γ−
Fe2O3粒子粉末の保磁力は804Oeであった。
実施例3 前駆体として針状γ−Fe2O3粒子(平均長軸径0.3μ
m、軸比(長軸:短軸)8:1、保磁力370Oe)を用い、該
前駆体粒子粉末100gを2の水に分散させて得られた分
散液と、硫酸第一鉄と硫酸コバルトとを用いて第一鉄0.
2mol及びコバルト0.1molを溶存させた水溶液500mlとを
混合した後6−NのNaOH水溶液500mlを加え、pH14の混
合液とした。得られた混合液を95℃に昇温した後、空気
の混入を防止して撹拌しながら240分間保持した後、CuS
O41.26g(混合液中の針状γ−Fe2O3粒子に対し0.5重量
%に該当する。)を添加し、引き続き180分間保持して
黒褐色沈澱粒子を生成させた。
上記黒褐色沈澱を含む反応溶液は、常法により過、
水洗、乾燥した。
得られた黒褐色粒子粉末は、螢光X線分析及びX線回
折の結果、粒子表面がCo化合物で被覆されている針状γ
−Fe2O3粒子粉末(Co量は、Co被覆γ−Fe2O3粒子粉末に
対し2.5重量%に該当する。)であり、該粒子は、0.40
重量%のCuを含有していた。
このCuを含有するCo化合物で被覆されている針状γ−
Fe2O3粒子粉末の保磁力は790Oeであった。
比較例1 CuSO4を添加しなかった以外は、実施例1と同様にし
てCo化合物で被覆されている針状γ−Fe2O3粒子粉末を
得た。
得られたCo化合物で被覆されている針状γ−Fe2O3
子粉末の保磁力は734Oeであった。
〔発明の効果〕
本発明における針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法によ
れば、前出実施例に示した通り、少ないCo被覆量で保磁
力を効果的に向上させることができることに起因して、
高い保磁力を有し、且つ、消去特性に優れているCo化合
物で被覆されている針状磁性酸化鉄粒子粉末を得ること
ができるので、高密度記録用磁性酸化鉄粒子粉末として
好適である。
【図面の簡単な説明】
図1は、Co化合物で被覆されている針状磁性酸化鉄粒子
粉末の保磁力とCu塩の添加量との関係図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】針状磁性酸化鉄粒子の水分散液と少なくと
    もCo塩水溶液及びアルカリ水溶液とを混合して得られた
    pH11以上の混合液を、50〜100℃の温度範囲で加熱処理
    して、前記針状磁性酸化鉄粒子の粒子表面にCo化合物を
    生成させることにより、粒子表面がCo化合物で被覆され
    ている針状磁性酸化鉄粒子粉末を製造する方法におい
    て、前記pH11以上の混合液に、Co化合物の生成反応開始
    後から終了までの間に、混合液中の針状磁性酸化鉄粒子
    に対しCu換算で0.2〜2.0重量%の銅塩を添加することを
    特徴とする針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法。
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