JPH08226526A - 部材間低摩擦化構造及びそれにおける摺接面の加工方法、ウォーム減速装置 - Google Patents

部材間低摩擦化構造及びそれにおける摺接面の加工方法、ウォーム減速装置

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JPH08226526A
JPH08226526A JP31935895A JP31935895A JPH08226526A JP H08226526 A JPH08226526 A JP H08226526A JP 31935895 A JP31935895 A JP 31935895A JP 31935895 A JP31935895 A JP 31935895A JP H08226526 A JPH08226526 A JP H08226526A
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contact surface
worm
worm gear
tooth
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JP31935895A
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Toru Ito
徹 伊藤
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Asmo Co Ltd
Original Assignee
Asmo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ウォームギアとウォームホイールとの摺接面の
潤滑性を良好にし、歯表面の摩耗を低減して寿命を長く
することを目的とする。 【解決手段】ウォームギア3とウォームホイール4の互
いに摺接する歯表面10a,11aの少なくともいずれ
か一方に油溜まり部12を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部材間低摩擦化構
造及びそれにおける摺接面の加工方法、ウォーム減速装
置に関する。ここで、ウォーム減速装置は部材間低摩擦
化構造の一種である。
【0002】
【従来の技術】ワイパーモータ等の自動車用小型モータ
によってワイパーを駆動する場合、ワイパーモータの回
転力は、いわゆるウォーム減速装置を介して間接的にワ
イパー駆動機構に伝達される。前記ウォーム減速装置
は、通常、モータ出力軸に一体形成(または連結され
た)ウォームギアと、そのウォームギアに対して噛合す
るウォームホイールとを備えている。従って、回転する
ウォームギアの歯がウォームホイールの歯に摺接してウ
ォームホイールが追従回転する結果、ワイパー駆動機構
側に回転力が伝達されるようになっている。
【0003】ウォームギアとウォームホイールとの摺動
面には、両部材間の摺動摩擦を低減する対策として、一
般にグリス等のような潤滑剤の塗布が行われている。し
かしながら、ウォームギアとウォームホイールとの歯表
面は単純に面当たりしているだけなので、両部材の摺動
面へのグリスの供給は、必然的に不充分なものとなりや
すい。そのため、ウォームギアとウォームホイールとの
摩擦係数が大きくなり、回転力の伝達効率が悪くなると
いう問題がある。
【0004】この問題を解消しうる対策としては、例え
ば摩擦係数を小さくした材料、例えば含油プラスチック
等をギア用の材料に用いることが従来より提案されてい
る(特開昭59−179540号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記含
油プラスチックは一般的に強度及び耐熱性が充分でない
ので、それを使用することはウォームギアやウォームホ
イールの強度や耐熱性の悪化につながる。
【0006】この対策としては、含油プラスチックにガ
ラスフィラ等の強化繊維を混合することにより強度及び
耐熱性の向上を図ることが提案されている(特開昭58
−77964号公報参照)。
【0007】しかし、強化繊維を混合した含油プラスチ
ックをウォームギアやウォームホイールを用いると、摺
接する相手材の歯表面の摩耗が著しく大きくなる。その
ため、ウォーム減速装置の寿命が短くなるという問題が
ある。
【0008】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、第1の目的は、互いに摺接する部材
の摺接面の潤滑性を良好にし、摺接面の摩耗を低減して
寿命を長くすることができる部材間低摩擦化構造を提供
することにある。
【0009】第2の目的は、上記の部材間低摩擦化構造
における摺接面の加工方法として適切かつ有効な方法を
提供することにある。第3の目的は、ウォームギアとウ
ォームホイールとの摺接面の潤滑性を良好にし、摺接面
(歯表面)の摩耗を低減して寿命を長くすることができ
るウォーム減速装置を提供することにある。
【0010】第4の目的は、ウォームギアとウォームホ
イールとが摺接する部分の潤滑を確実に行わせるウォー
ム減速装置を提供することにある。第5の目的は、ウォ
ームギアとウォームホイールとの潤滑を一層確実に行わ
せるウォーム減速装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、第1の部材と第2の部材
の互いに摺接する面の少なくともいずれか一方に、潤滑
剤溜まり部を形成したことを特徴とする部材間低摩擦化
構造をその要旨とする。
【0012】請求項2に記載の発明は、第1の部材と第
2の部材の互いに摺接する面の少なくともいずれか一方
に潤滑剤溜まり部を形成してなる部材間低摩擦化構造に
おける摺接面の加工方法であって、前記摺接面の箇所に
使用されている材料を溶解しうる流体でその摺接面を処
理することにより、同摺接面に前記潤滑剤溜まり部を形
成することを特徴とする部材間低摩擦化構造における摺
接面の加工方法をその要旨とする。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項2におい
て、微細な孔を有する皮膜を前記摺接面上に設けた状態
で同摺接面を前記流体で処理することにより、同摺接面
に前記潤滑剤溜まり部を形成した後、その皮膜を同摺接
面上から除去することを特徴とする請求項2に記載の部
材間低摩擦化構造における摺接面の加工方法をその要旨
とする。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項2におい
て、微細な孔を有する耐弱酸性の樹脂皮膜を前記摺接面
上にあらかじめ設けておき、この状態で同摺接面を弱酸
性溶液で処理することにより、同摺接面に前記潤滑剤溜
まり部を形成した後、その樹脂皮膜を有機溶剤で溶解除
去することを特徴とする請求項2に記載の部材間低摩擦
化構造における摺接面の加工方法をその要旨とする。
【0015】請求項5に記載の発明は、ウォームギアと
ウォームホイールの互いに摺接する歯表面の少なくとも
いずれか一方に、油溜まり部を形成したことを特徴とす
るウォーム減速装置をその要旨とする。
【0016】請求項6に記載の発明は、ウォームギアと
ウォームホイールとが互いに摺接する摺接領域内におい
て、ウォームギアとウォームホイールの互いに摺接する
歯表面の少なくともいずれか一方に、油溜まり部を形成
したことを特徴とするウォーム減速装置をその要旨とす
る。
【0017】請求項7に記載の発明は、前記油溜まり部
は微細加工によって複数箇所に形成されたものであるこ
とを特徴とする請求項5または6記載のウォーム減速装
置をその要旨とする。
【0018】以下、本発明の「作用」について説明す
る。請求項1記載の発明によれば、第1の部材と第2の
部材とが互いに摺接する面の少なくともいずれか一方
に、潤滑剤溜まり部が形成されている。これらの面に持
ち込まれた潤滑剤は潤滑剤溜まり部によって保持される
ことから、摺接面間に存在する潤滑剤の量が確実に増加
する。また、当該部分に存在する潤滑剤の圧力も高くな
る。よって、両部材の摺接面における摺動摩擦係数が低
下し、潤滑性が従来のものに比べて良好になる。以上の
結果、両部材の摺接面の磨耗が低減する。
【0019】請求項2〜4記載の発明によれば、このよ
うな処理を行うと摺接面において流体に晒された箇所が
その流体に溶解し、その溶解した部位に潤滑剤溜まり部
が凹設される。この場合、流体に溶解した材料分は、同
流体によって確実に潤滑剤溜まり部から持ち去られる。
従って、以上のような処理であると、切削加工等といっ
た機械的加工法を実施したときとは異なり、潤滑剤溜ま
り部の開口部付近にバリ等の異物が残らない。このた
め、摺接面の表面粗さをより小さくすることができ、摺
動摩擦係数の低減にとって好都合となる。
【0020】請求項3記載の発明によれば、流体易溶部
位を部分的に有する皮膜を前記摺接面上に設けた状態で
同摺接面を前記流体で処理する。すると、流体易溶部位
に孔等のような構造が形成されるとともに、その下にあ
る摺接面上の特定部位が流体に晒され、当該部分のみが
選択的に溶解する。その結果、微細な潤滑剤溜まり部が
摺接面上に凹設される。この後、皮膜を摺接面上から除
去すれば、保護されていた摺接面が外部に露出する。
【0021】請求項4記載の発明によれば、微細な孔か
ら露出する部位が流体に晒され、当該部分のみが選択的
に溶解する。その結果、微細な潤滑剤溜まり部が摺接面
上に凹設される。また、耐弱酸性の樹脂皮膜を用いてい
るため、弱酸性溶液を流体として摺接面を処理したとし
ても、樹脂皮膜の溶解や剥離等といった事態にはつなが
らない。従って、摺接面における所望の部位に所望の大
きさの潤滑剤溜まり部を比較的容易に凹設することが可
能となる。また、不要となった樹脂皮膜は有機溶剤によ
って溶解除去されることになるため、摺接面上に樹脂皮
膜の残渣等が残ることもない。
【0022】請求項5記載の発明によれば、ウォームギ
アとウォームホイールとが互いに摺接する歯表面の少な
くともいずれか一方に油溜まり部が形成されている。こ
れらの歯表面に持ち込まれた潤滑油は油溜まり部によっ
て保持されることから、歯表面間に存在する潤滑油の量
が確実に増加する。また、当該部分に存在する潤滑油の
圧力も高くなる。よって、ウォームギアとウォームホイ
ールの歯表面における摺動摩擦係数が低下し、潤滑性が
従来のものに比べて良好になる。以上の結果、両部材の
歯表面の磨耗が低減し、もって回転伝達効率を向上させ
ることが可能となる。
【0023】請求項6記載の発明によれば、ウォームギ
アとウォームホイールとが互いに摺接する摺接領域内に
おけるウォームギアまたはウォームホイールの歯表面の
少なくとも一方に油溜まり部が形成されている。そのた
め、ウォームギアとウォームホイールとが摺接する摺接
領域内に位置する油溜まり部は、相手部材によって閉塞
された状態となる。すると、油溜まり部に溜まった潤滑
油は、該油溜まり部から逃げにくくなり、それに伴って
潤滑油の圧力も高くなる。この潤滑油によりウォームギ
アとウォームホイールとが摺動する歯表面には潤滑油が
安定した状態で介在し、摺動摩擦係数が低下して伝達効
率を向上する。
【0024】請求項7記載の発明によれば、微細加工に
よって複数箇所に油溜まり部を形成した場合、それらの
油溜まり部は相手部材によって閉塞され易いものとな
る。そのため、これら複数の油溜まり部に溜まった潤滑
油の圧力も、仮に油溜まり部を1箇所のみとした場合に
比較して確実に高くなる。この潤滑油によりウォームギ
アとウォームホイールとが摺動する歯表面にはより多く
の潤滑油が安定した状態で介在し、より一層摺動摩擦係
数が低下して伝達効率が向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施の形態〕以下、本発明をウォーム減速装置
に具体化した一実施形態を図1〜図5に基づいて説明す
る。
【0026】図1に示すように、本実施形態のウォーム
減速装置は、自動車用ワイパーモータ等に使用されるも
のである。モータ1の出力軸2には、第1の部材として
のウォームギア3が固定されている。このウォームギア
3の外周面には、螺旋状に延びる歯11が形成されてい
る。ウォームギア3の歯11には、第2の部材としての
ウォームホイール4の歯10が噛合している。このウォ
ームホイール4には、回転力を図示しないワイパー駆動
機構に伝達するための出力軸5が固定されている。
【0027】図2,図3は、ウォームギア3とウォーム
ホイール4との摺動部の拡大図である。図面右側から見
た場合、ウォームギア3は反時計回りに回転する。従っ
て、ウォームギア3の歯11は、図面の右方向から左方
向へ進行する。前記ウォームギア3の歯11と噛合する
ウォームホイール4の歯10(詳細には上側に位置する
歯10)は、ウォームギア3によって図中左側方向に押
圧される。従って、このウォームホイール4は、反時計
回りに回転する。
【0028】前記ウォームギア3は金属材料を用いて形
成されている。ウォームホイール4は、ある程度の強度
及び耐熱性を有するプラスチック材料を用いて形成され
ている。
【0029】ウォームギア3の歯11により押圧される
ウォームホイール4の歯10の歯表面10aには、図3
〜図5に示すように、潤滑剤溜まり部としての円形状の
油溜まり部12が凹設されている。これらの油溜まり部
12は、機械的手法による微細加工(例えば切削加工、
放電加工、レーザ加工等)によって形成されたものであ
る。本実施形態では、複数個ある油溜まり部12の深さ
は0.1mmに、直径は0.1mmにそれぞれ設定され
ている。また、各油溜まり部12は0.2mmピッチで
グリッド状に整列している。
【0030】なお、これらの油溜まり部12は、歯10
の歯表面10aの全域にわたって凹設されているわけで
はなく、特定の領域α内のみに凹設されている。ここ
で、領域αとは、ウォームギア3の歯11とウォームホ
イール4における歯10の歯表面10aとが摺接する領
域αをいう。このため、油溜まり部12は歯11によっ
て閉塞されうるようになっている。
【0031】ここで、本実施形態において特徴的な作用
効果を列挙する。 (イ)モータ1が回転すると、ウォームギア3もそれに
伴って回転する。この場合、ウォームギア3の歯11と
ウォームホイール4の歯10の歯表面10aとが摺接す
る。上記のように、歯表面10aの領域α内には油溜ま
り部12が凹設されている。そのため、油溜まり部12
内には、グリス等のような粘性の高い潤滑油が蓄えられ
る。その際、油溜まり部12は歯11により閉塞されよ
うとするため、該油溜まり部12に蓄えられた潤滑油の
圧力は必然的に高くなる。従って、この潤滑油が、ウォ
ームギア3とウォームホイール4との摺動をスムーズに
行わせるように作用する。その結果、ウォームギア3と
ウォームホイール4との間の摺動摩擦係数が低下し、回
転伝達効率の向上が達成される。つまり、この実施形態
においては、油溜まり部12内に蓄えられた潤滑油が逃
げにくくなっている。この結果、油溜まり部12内の潤
滑油によって、ウォームホイール4とウォームギア3と
の摺動摩擦係数が低下する。
【0032】(ロ)本実施形態では、歯表面10aの全
域ではなく、領域α内のみに油溜まり部12が形成され
ている。この結果、歯表面10aにおいて領域αの外側
(つまり歯11が摺接しない領域)に、油溜まり部12
を形成する必要がなくなる。よって、ウォームホイール
4の製造にかかる手間を少なくすることができる。
【0033】(ハ)本実施形態によると、機械的手法に
よる微細加工によって、歯表面10aの複数箇所に微細
な油溜まり部12を形成している。このため、歯10と
歯11とが摺動する場合において、油溜まり部12の閉
塞数が確実に増加する。そのため、これら複数の油溜ま
り部12に溜まった潤滑油の圧力も、仮に油溜まり部1
2を1箇所のみとした場合に比較して確実に高くなる。
従って、歯11と歯10の歯表面10aとの間に、より
多くの潤滑油を安定した状態で介在させることができ
る。ゆえに、より一層ウォームホイール4とウォームギ
ア3との摺動摩擦を軽減させることができる。 〔第2の実施の形態〕次に、本発明をウォーム減速装置
に具体化した第2の実施形態を図6〜図11に基づいて
詳細に説明する。なお、実施形態1ではウォームホイー
ル4の歯10の歯表面10aに油溜まり部12を形成し
ていたのに対し、ここではウォームギア3の歯11の歯
表面11aに油溜まり部12を形成している。また、実
施形態1では機械的手法による微細加工によって油溜ま
り部12を形成しているのに対し、ここでは機械的手法
を用いずに油溜まり部12を形成している。以下、摺動
面である歯表面11aを微細加工する手順について述べ
る。
【0034】まず、図6,図7に示されるように、歯表
面11a上に油溜まり部12の形成用の皮膜20をあら
かじめ形成する。ここで好適な皮膜20としては、耐弱
酸性の(極弱い酸性の溶液L1 に対して安定の)樹脂皮
膜20が挙げられる。上記のような樹脂皮膜20は、例
えばアクリル塗料のような樹脂系塗料や樹脂系接着剤等
を、歯表面11aに塗布、印刷、吹き付け等することに
よって薄くかつ均一に形成される。なお、皮膜20を形
成するための材料は、液状であってもペースト状であっ
てもよい。また、樹脂皮膜20は、図6に示されるよう
に歯表面11aの片側のみに形成されていてもよく、両
側に形成されていてもよい。
【0035】次に、図8に示されるように、加工される
べき油溜まり部12の寸法程度の大きさに分級した微粉
末21を、未硬化状態にある樹脂皮膜20に対して吹き
付ける。すると、歯表面11a上に微粉末21が付着し
た状態となる。なお、樹脂皮膜20への付着後に微粉末
21が脱落したとしても後工程において何ら支障は生じ
ない。この場合、脱落した部分に既に微細な孔20aが
形成される。
【0036】使用される微粉末21としては、例えばイ
オン化傾向の高い金属(例えばアルミニウム、亜鉛、
鉄、ニッケル、錫、鉛等)の微粉末21が挙げられる。
ここに列挙した金属は、ウォームギア3に使用されてい
る金属材料を溶解しうる流体L1 、即ち本実施形態では
極弱い酸性の溶液L1 によって溶解可能なものである。
極弱い酸性の溶液L1 としては、具体的には希塩酸や希
硫酸等がある。
【0037】なお、金属の微粉末21以外に使用可能な
ものとしては、例えば氷の微粉末等がある。氷の微粉末
を歯表面11aに吹き付けた後、常温以上の環境下にウ
ォームギア3を置けば、氷微粉末が溶けてその部分に微
細な孔20aが形成されるからである。勿論、前記氷微
粉末は、吹き付け後に歯表面11aから脱落しても構わ
ない。
【0038】前記樹脂皮膜20は、上記の吹き付け工程
等を実施した後に加熱処理等によって完全に硬化され
る。次いで、図9に示されるように、ウォームギア3の
歯表面11aを極弱い酸性の溶液L1 で所定時間処理す
る。すると、樹脂皮膜20における流体易溶部位である
微粉末21が、まず選択的に溶解し、その部分に微粉末
21の大きさにほぼ相当する微細な孔20aが形成され
る。従って、この部分の下にあった歯表面11aは外部
に露出した状態となり、その露出部分は極弱い酸性の溶
液L1 に晒されうる状態となる。なお、ここでいう微細
な孔20aとは、図示された円形状の孔20aをいうば
かりでなく、樹脂皮膜20の表裏面を連通するような構
造(例えば亀裂等)を全般的に指すものである。そし
て、前記露出した部分は極弱い酸性の溶液L1 に溶解
し、それによって略円形状をした微細な油溜まり部12
が凹設される。
【0039】上記のような弱酸性溶液の処理の後、ウォ
ームギア3をアセトンやDMF(ジメチルホルムアミ
ド)等の有機溶剤L2 で処理する。その結果、図10に
示されるように、樹脂皮膜20を溶解し、歯表面11a
上から樹脂皮膜20を除去する。すると、樹脂皮膜20
によって保護されていた歯表面11aが全体的に外部に
露出する。以上のようにして、歯表面11aに油溜まり
部12を備えた好適なウォームギア3を得ることができ
る。
【0040】さて、本実施形態によれば、前記実施形態
1のときと同じく油溜まり部12が凹設されていること
から、ウォームギア3とウォームホイール4との間の摺
動摩擦係数が低下し、回転伝達効率の向上が達成され
る。さらに、本実施形態では以下に列挙するような特徴
的な作用効果がある。
【0041】(イ)本実施形態によると、ウォームギア
3に使用されている金属材料を溶解しうる流体L1 でそ
の歯表面11aを処理することを特徴とする。そのた
め、歯表面11aにおいて流体L1 に晒された箇所がそ
の流体L1 に溶解し、その溶解した部位に油溜まり部1
2が凹設される。この場合、流体L1 に溶解した金属材
料分は、同流体L1 によって確実に油溜まり部12から
持ち去られる。従って、図11(a)に示されるよう
に、好適な形状の油溜まり部12を得ることができる。
【0042】参考例として、機械的手法による微細加工
を経て形成された油溜まり部12の形状を図11(b)
〜図11(d)に示す。図11(b)には、レーザー加
工または放電加工によって形成された油溜まり孔12が
示されている。これらの加工法では被加工部が高温にな
ることから、どうしても油溜まり孔12の開口部から溶
融バリB1 が突出した状態となる。図11(c)には、
切削加工によって形成された油溜まり孔12が示されて
いる。この加工法では被加工部がそれほど高温になるこ
とはないものの、やはり開口部から切削バリB2 が突出
した状態となる。図11(d)には、溶融バリB1 や切
削バリB2 ができた箇所を面仕上げした状態が示されて
いる。しかし、このような対策を事後的に採ったとして
も、溶融バリB1 や切削バリB2 が油溜まり部12内に
残ることは不可避である。
【0043】その点、本実施形態のような加工法による
と、機械的加工法を実施したときとは異なり、油溜まり
部12の開口部付近に異物が残らない。このため、歯表
面11aの表面粗さをより小さくすることができ、摺動
摩擦係数の低減にとって極めて好都合となる。つまり、
本実施形態のように流体L1 を使用する加工方法は、摺
動面11aの加工方法として適切かつ有効なものである
といえ、さらにウォーム等の複雑な形状のものについて
は特に加工が簡単で有効である。
【0044】(ロ)本実施形態では、耐弱酸性の樹脂皮
膜20を用いているため、弱酸性溶液L1 を流体として
処理を行ったとしても、樹脂皮膜20の溶解や剥離等と
いった事態にはつながらない。従って、歯表面11aに
おける所望の部位に所望の大きさの油溜まり部12を比
較的容易に凹設することが可能となる。また、不要とな
った樹脂皮膜20は有機溶剤L2 によって溶解除去され
ることになるため、歯表面11a上に樹脂皮膜20の残
渣等が残らないという利点がある。
【0045】(ハ)微粉末21を利用して油溜まり部1
2を凹設する本実施形態によると、微粉末21の大きさ
を適宜設定することによって、得られる油溜まり部12
の大きさや深さを調整することが可能である。 〔第3の実施の形態〕次に、本発明をウォーム減速装置
に具体化した実施形態3について説明する。この実施形
態においても、機械的手法を用いることなくウォームギ
ア3の歯11の歯表面11aに対して油溜まり部12を
形成している。以下、歯表面11aを微細加工する手順
を述べる。
【0046】まず、歯表面11a上に、油溜まり部12
形成用の耐酸性の樹脂皮膜20を形成する。前記樹脂皮
膜20は、例えばアクリル塗料のような樹脂系塗料や樹
脂系接着剤等を、歯表面11aに塗布、印刷、吹き付け
等することによって薄くかつ均一に形成される。この点
については実施形態2と特に変わりはない。ただし、本
実施形態において使用される液状またはペースト状をし
た皮膜形成用材料には、あらかじめ微粉末21が均一に
分散されている。また、分散される微粉末21は、例え
ば炭酸水素ナトリウム粉末などのように、加熱処理等に
よって簡易に分解発泡、昇華、蒸発する特性を持つもの
である必要がある。勿論、実施形態1において挙げた氷
微粉末を用いてもよい。なお、この樹脂皮膜20におい
て微粉末21が存在する部位は、流体易溶部位として把
握される。
【0047】そして、樹脂皮膜20が完全硬化状態にな
る前に上記の加熱処理等を実施することにより、微粉末
21を樹脂皮膜20から消失させる。すると、樹脂皮膜
20には微細な孔20aが多数凹設され、その部分から
歯表面11aの一部が露出した状態となる。このような
微粉末消失工程の実施後、加熱処理等によって樹脂皮膜
20を完全に硬化させる。
【0048】次いで、ウォームギア3の歯表面11aを
極弱い酸性の溶液L1 で所定時間処理する。すると、露
出した部分が極弱い酸性の溶液L1 に溶解し、それによ
って略円形状をした微細な油溜まり部12が凹設され
る。
【0049】上記のような弱酸性溶液の処理の後、ウォ
ームギア3をアセトンやDMF等の有機溶剤L2 で処理
することにより、歯表面11a上から樹脂皮膜20を除
去する。以上のようにして、歯表面11aに油溜まり部
12を備えた好適なウォームギア3を得ることができ
る。
【0050】本実施形態によれば、前記実施形態1と同
様の作用効果を奏するばかりでなく、前記実施形態2と
同様の作用効果も奏することはいうまでもない。なお、
本実施形態では、あらかじめ樹脂皮膜20用の材料中に
微粉末21を分散させておく手法を採っていることが特
徴的である。それゆえ、樹脂皮膜20に微粉末21を吹
き付けるという手法に比べて、より均一に油溜まり部1
2を形成することができるという利点がある。 〔第4の実施の形態〕次に、本発明をウォーム減速装置
に具体化した実施形態4について説明する。この実施形
態においても、機械的手法を用いることなくウォームギ
ア3の歯11の歯表面11aに対して油溜まり部12を
形成している。以下、歯表面11aを微細加工する手順
を述べる。
【0051】まず、歯表面11a上に油溜まり部12形
成用の耐酸性の樹脂皮膜20を、塗布、印刷、吹き付け
等することによって薄くかつ均一に形成する。ただし、
ここでは皮膜形成材料として、極弱い酸性の溶液L1 に
対して穏やかに溶解するような性質の樹脂材料等が選択
される。このようなものとしては、例えばPVA(ポリ
ビニルアルコール)等がある。そして、前記の樹脂材料
中には、既に列挙したイオン化傾向の高い金属(例えば
アルミニウム、亜鉛、鉄、ニッケル、錫、鉛等)の微粉
末21が均一に分散される。なお、この樹脂皮膜20に
おいて微粉末21が存在する部位は、流体易溶部位とし
て把握される。
【0052】次に、前記樹脂皮膜20を加熱処理等によ
って完全に硬化させた後、ウォームギア3の歯表面11
aを極弱い酸性の溶液L1 で所定時間処理する。する
と、樹脂皮膜20における流体易溶部位である微粉末2
1が、まず選択的に溶解し、その部分に微粉末21の大
きさにほぼ相当する微細な孔20aが形成される。従っ
て、この部分の下にあった歯表面11aは外部に露出し
た状態となり、極弱い酸性の溶液L1 に晒されうる状態
となる。そして、前記露出した部分は極弱い酸性の溶液
L1 に溶解し、それによって略円形状をした微細な油溜
まり部12が凹設される。
【0053】上記のように弱酸性の溶液L1 を処理した
後、ウォームギア3を熱水で洗浄することにより、樹脂
皮膜20を歯表面11a上から除去する。すると、樹脂
皮膜20によって保護されていた歯表面11aが全体的
に外部に露出する。以上のようにして、歯表面11aに
油溜まり部12を備えた好適なウォームギア3を得るこ
とができる。
【0054】さて、本実施形態によれば、前記実施形態
1と同様の作用効果を奏するばかりでなく、前記実施形
態2と同様の作用効果も奏することはいうまでもない。
なお、本実施形態の加工方法において特徴的な事項は、
有機溶剤L2 を用いることなく樹脂皮膜20を除去する
ことができるという点である。従って、実施形態2,3
に比較して、製造の容易化及びコストの低減を図ること
が可能となる。
【0055】なお、本発明は次のように変更することが
可能である。 (1)前記実施形態においては、歯表面10aの領域α
内に油溜まり部12を複数微細加工により形成した。こ
の他に、図12に示すように、歯表面10aの領域α内
に形成される油溜まり部12を不規則に点在させてもよ
い。また、必要に応じて油溜まり部12を領域α外の歯
表面10aに形成してもよい。
【0056】(2)また、前記実施形態においては、歯
表面10aの領域α内に整列状態となる円形状の油溜ま
り部12を微細加工した。この他に、図13に示すよう
に、歯表面10aの領域α内に長孔形状となる油溜まり
部12を整列状態で微細加工してもよい。この構成であ
ると、この長孔となる油溜まり部12の両端部13a,
13bに潤滑油が集まりやすくなり、潤滑油をより高圧
にすることができる。即ち、ウォームギア3が反時計回
りに回転した場合、油溜まり部12の端部13bに潤滑
油が集まりやすく、ウォームギア3が時計回りに回転し
た場合、油溜まり部12の端部13aに潤滑油が集まり
やすい。
【0057】(3)さらに、図14に示すように、歯表
面10aの領域α内に菱形となる油溜まり部12を整列
状態で微細加工してもよい。この場合、ウォームギア3
の回転方向に合わせて頂部14a,14bに潤滑油12
が集まりやすくなり、潤滑油をより高圧にすることがで
きる。そして、図15に示すように、歯表面10aの領
域α内に三角形状となる油溜まり部12を整列状態で微
細加工してもよい。この場合、ウォームギア3の回転方
向に合わせて頂点部15a,15bに潤滑油12が集ま
りやすくなり、潤滑油をより高圧にすることができる。
【0058】(4)また、図16に示すように、歯表面
10aの領域α内にく字形となる油溜まり部12を整列
状態で微細加工してもよい。この場合、ウォームギア3
の回転に合わせて油溜まり部12の屈曲部16やその両
終端部17a,17bに潤滑油が集まりやすくなり、潤
滑油をより高圧にすることができる。
【0059】(5)さらに、図12〜図16に示した油
溜まり部12を領域α内で不規則に配列させて形成して
もよい。また、必要に応じて領域α以外に油溜まり部1
2を形成してもよい。
【0060】(6)前記実施形態においては、ウォーム
ホイール4をプラスチック製、ウォームギア3を金属製
としたが、ウォームホイール4及びウォームギア3をと
もに金属製にしたりプラスチック製にしてもよい。ま
た、ウォームホイール4を金属製、ウォームギア3をプ
ラスチック製にしてもよい。
【0061】(7)また、強度及び耐熱性を有した含油
プラスチックや強化繊維で補強した強化プラスチックを
使用してウォームホイール4やウォームギア3を構成し
てもよい。
【0062】(8)歯表面10a,11aのいずれかに
ではなく、両者10a,11aにそれぞれ油溜まり部1
2を形成することも可能である。 (9)図2のようにウォームギア3における歯11の歯
表面11aに油溜まり部12を形成する際、ウォームホ
イール4の歯10が摺接する範囲の歯11の歯表面11
aのみに油溜まり部12を形成してもよい。
【0063】この構成によれば、ウォームギア3におけ
る歯11の歯表面11aの全周に油溜まり部12を形成
する必要がないので、油溜まり部12の形成を容易にす
ることができる。つまり、ウォームホイール4の歯10
の歯表面10aに油溜まり部12を形成する場合、全て
の歯表面10aに形成しなければならないが、この別例
では極限られた範囲に油溜まり部12を形成すればよい
ことになる。
【0064】(10)さらに、前記実施形態において
は、ウォームギア3によってウォームホイール4を反時
計回りの一方向にのみ回転させるように構成したが、必
要に応じて往復回転する構成にしたウォームギア3とウ
ォームホイール4との摺動面に油溜まり部12を形成す
ることも可能である。
【0065】(11)本発明は、前記実施形態において
例示したようなウォーム減速装置ばかりでなく、それ以
外の部材間低摩擦化構造に具体化されることも可能であ
る。図17には、第1の部材としてのシャフト25と、
第2の部材としての焼結滑り軸受26とによって構成さ
れた軸受装置が示されている。筒状をした焼結滑り軸受
26は、前記シャフト25を回転可能に支持している。
ゆえに、この構成においてはシャフト25の外周面25
a及び焼結滑り軸受26の内壁面26aが、それぞれ摺
接面25a,26aとなっている。そして、シャフト2
5側の摺接面25aには、潤滑油が溜められる油溜まり
部12が多数凹設されている。
【0066】次に、上記実施形態から把握される請求項
以外の技術思想を、その効果とともに以下に記載する。 (1) 請求項5において、ウォームギアとウォームホ
イールの互いに摺接する歯表面の少なくともいずれか一
方に、相手材により閉塞される油溜まり部を少なくとも
1つ以上形成したことを特徴とするウォーム減速装置。
【0067】この構成によれば、油溜まり部が相手材に
より閉塞されるので、油溜まり部に蓄えられた潤滑油が
高圧となり、この潤滑油によってウォームギアとウォー
ムホイールとの摺動抵抗を低減させることができる。
【0068】(2) 請求項5〜7において、油溜まり
部はウォームホイールと噛合して摺接する部分となるウ
ォームギアの歯表面のみに形成されていることを特徴と
するウォーム減速装置。
【0069】この構成であると、ウォームホイールと接
触して始動するウォームギアの歯表面はある程度決めら
れた範囲内となる。このウォームホイールと噛合して摺
動する歯表面のみに油溜まり部を形成すれば、油溜まり
部を形成する作業を容易にすることができる。つまり、
ウォームホイールの歯表面に油溜まり部を形成する場
合、ウォームホイールの歯表面全体に形成する必要があ
るが、この場合においては、ウォームギアの一部の歯表
面に形成すればよいだけである。
【0070】(3) 請求項2において、前記摺接面上
に耐弱酸性の樹脂皮膜を設ける工程と、弱酸性溶液に溶
解しうる微粒子を同樹脂皮膜に対して吹き付ける工程
と、前記樹脂皮膜を完全硬化させた後に弱酸性溶液で前
記摺接面を処理することにより、同摺動面に前記潤滑剤
溜まり部を凹設する工程と、有機溶剤の処理により前記
樹脂皮膜を溶解除去する工程とからなる、部材間低摩擦
化構造における摺接面の加工方法。この方法であると、
潤滑剤溜まり部にバリが形成されないので、摺接面の加
工方法として適切かつ有効である。
【0071】(4) 請求項2において、分解発泡、昇
華、蒸発等によって消失しうる微粒子を分散した樹脂材
料を用いて前記摺接面上に耐弱酸性の樹脂皮膜を設ける
工程と、前記微粒子を前記樹脂皮膜中から消失させるこ
とにより同樹脂皮膜に微細な孔を形成する工程と、前記
樹脂皮膜を完全硬化させた後に弱酸性溶液で前記摺接面
を処理することにより、同摺動面に前記潤滑剤溜まり部
を凹設する工程と、有機溶剤の処理により前記樹脂皮膜
を溶解除去する工程とからなる、部材間低摩擦化構造に
おける摺接面の加工方法。この方法であると、潤滑剤溜
まり部にバリが形成されないので、摺接面の加工方法と
して適切かつ有効である。
【0072】(5) 請求項2において、弱酸性溶液に
穏やかに溶解する樹脂材料中に弱酸性溶液に速やかに溶
解する微粒子が分散されてなる混合物を用いて前記摺接
面上に樹脂皮膜を設ける工程と、前記樹脂皮膜を完全硬
化させた後に弱酸性溶液で前記摺接面を処理することに
より、同摺動面に前記潤滑剤溜まり部を凹設する工程
と、熱水処理により前記樹脂皮膜を洗浄除去する工程と
からなる、部材間低摩擦化構造における摺接面の加工方
法。この方法であると、潤滑剤溜まり部にバリが形成さ
れないので、摺接面の加工方法として適切かつ有効であ
る。
【0073】なお、本明細書中において使用した技術用
語を以下のように定義する。 「機械的加工法: レーザー加工、放電加工、切削加工
などといった加工法をいう。」
【0074】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の
発明によれば、互いに摺接する部材の摺接面の潤滑性を
良好にし、摺接面の摩耗を低減して寿命を長くすること
ができる部材間低摩擦化構造を提供することができる。
【0075】請求項2〜4に記載の発明によれば、流体
を用いて潤滑剤溜まり部の形成を行うこととしているの
で、潤滑剤溜まり部の開口部付近にバリ等の異物が残り
にくい。よって、上記の部材間低摩擦化構造における摺
接面の加工方法として適切かつ有効な方法を提供するこ
とができる。
【0076】請求項5〜7に記載の発明によれば、油溜
まり部に溜められた潤滑油を高圧にしてウォームギアと
ウォームホイールとの摺動摩擦係数を低下させることが
できる。この結果、ウォーム減速装置の摩耗を低減して
寿命を長くすることができる。請求項6に記載の発明に
よれば、ウォームギアとウォームホイールとが摺接する
領域にのみ油溜まり部が形成されるので、油溜まり部が
相手部材によって確実に閉塞される。この結果、油溜ま
り部を形成する手間を軽減することができるとともに、
ウォームギアとウォームホイールとの摩擦を低減して寿
命を長くすることができる。請求項7に記載の発明によ
れば、複数の油溜まり部が微細加工されているので、相
手部材により複数の油溜まり部を閉塞することができ
る。この結果、より多くの潤滑油をウォームギアとウォ
ームホイールとの間に介在させることができるので、一
層摺動摩擦係数を低下させてウォーム減速装置の寿命を
長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1の実施形態において、
ウォーム減速装置の構成を示す断面図。
【図2】同じくウォームギアとウォームホイールとが噛
合した状態を示す部分側面図。
【図3】同じくウォームホイールの部分斜視図。
【図4】同じくウォームホイールにおける歯の歯表面に
形成された油溜まり部を示す部分正面図。
【図5】同じく油溜まり部の形状を示す断面図。
【図6】本発明を具体化した第2の実施形態において、
ウォームギアの歯表面に樹脂皮膜を形成した状態を示す
部分正面図。
【図7】同じくウォームギアの歯表面の様子を示す断面
図。
【図8】同じくウォームギアの歯表面の様子を示す断面
図。
【図9】同じくウォームギアの歯表面の様子を示す断面
図。
【図10】同じくウォームギアの歯表面の様子を示す断
面図。
【図11】(a)は実施形態2の微細加工法によって形
成された油溜まり部の形状を示す断面図、(b)〜
(d)は実施形態1の微細加工法によって形成された油
溜まり部の形状を示す断面図。
【図12】油溜まり部の形状の別例を示す部分正面図。
【図13】油溜まり部の形状の別例を示す部分正面図。
【図14】油溜まり部の形状の別例を示す部分正面図。
【図15】油溜まり部の形状の別例を示す部分正面図。
【図16】油溜まり部の形状の別例を示す部分正面図。
【図17】別例における軸受け構造の構成を示す部分破
断斜視図。
【符号の説明】
3…第1の部材としてのウォームギア、4…第2の部材
としてのウォームホイール、10a,11a…摺接面
(歯表面)、12…潤滑剤溜まり部としての油溜まり
部、20…(樹脂)皮膜、20a…微細な孔、25…第
1の部材としてのシャフト、26…第2の部材としての
焼結滑り軸受、25a,26a…摺接面、α…領域、L
1 …流体としての弱酸性溶液、L2 …有機溶剤。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の部材と第2の部材の互いに摺接する
    面の少なくともいずれか一方に、潤滑剤溜まり部を形成
    したことを特徴とする部材間低摩擦化構造。
  2. 【請求項2】第1の部材と第2の部材の互いに摺接する
    面の少なくともいずれか一方に潤滑剤溜まり部を形成し
    てなる部材間低摩擦化構造における摺接面の加工方法で
    あって、 前記摺接面の箇所に使用されている材料を溶解しうる流
    体でその摺接面を処理することにより、同摺接面に前記
    潤滑剤溜まり部を形成することを特徴とする部材間低摩
    擦化構造における摺接面の加工方法。
  3. 【請求項3】部分的に流体易溶部位を有する皮膜を前記
    摺接面上に設けた状態で同摺接面を前記流体で処理する
    ことにより、同摺接面に前記潤滑剤溜まり部を形成した
    後、その皮膜を同摺接面上から除去することを特徴とす
    る請求項2に記載の部材間低摩擦化構造における摺接面
    の加工方法。
  4. 【請求項4】微細な孔を有する耐弱酸性の樹脂皮膜を前
    記摺接面上にあらかじめ設けておき、この状態で同摺接
    面を弱酸性溶液で処理することにより、同摺接面に前記
    潤滑剤溜まり部を形成した後、その樹脂皮膜を有機溶剤
    で溶解除去することを特徴とする請求項2に記載の部材
    間低摩擦化構造における摺接面の加工方法。
  5. 【請求項5】ウォームギアとウォームホイールの互いに
    摺接する歯表面の少なくともいずれか一方に、油溜まり
    部を形成したことを特徴とするウォーム減速装置。
  6. 【請求項6】ウォームギアとウォームホイールとが互い
    に摺接する摺接領域内において、ウォームギアとウォー
    ムホイールの互いに摺接する歯表面の少なくともいずれ
    か一方に、油溜まり部を形成したことを特徴とするウォ
    ーム減速装置。
  7. 【請求項7】前記油溜まり部は微細加工によって複数箇
    所に形成されたものであることを特徴とする請求項5ま
    たは6記載のウォーム減速装置。
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