JPH08226316A - エンジンの消音装置 - Google Patents

エンジンの消音装置

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JPH08226316A
JPH08226316A JP7031895A JP3189595A JPH08226316A JP H08226316 A JPH08226316 A JP H08226316A JP 7031895 A JP7031895 A JP 7031895A JP 3189595 A JP3189595 A JP 3189595A JP H08226316 A JPH08226316 A JP H08226316A
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JP
Japan
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pipe
muffler
engine
elastic pipe
exhaust
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Application number
JP7031895A
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English (en)
Inventor
Masaru Hayashida
大 林田
Tsugunori Hata
継徳 畑
Kei Hasegawa
圭 長谷川
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きなスペースを必要とせずに低周波を含む
エンジン排気騒音を低減する消音装置を提供する。 【構成】 エンジンの排気マフラ1の尾管2にシリコン
ゴム製の弾性パイプ10を接続した構成となっている。
マフラ1を経たエンジンの排気ガスは、弾性パイプ10
内を通ってパイプ出口11から放出されるが、圧力の高
い領域では弾性パイプ10が半径方向に膨張し、圧力の
低い領域では変動しない。この作用により排気ガスの圧
力脈動を低減して、従来の単一のマフラでは消音しにく
い低周波域の排気騒音を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンジンの消音装置に関
し、より詳しくはエンジン排気騒音を消音するエンジン
の消音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記エンジンの消音装置としては、金属
製のマフラが一般に採用される。マフラは一種のガス膨
張タンクであり、高温高圧の排気ガスを急激に膨張させ
音響のエネルギーを消耗させるものである。マフラは、
管路の途中に膨張室を配した膨張型と、共鳴減衰の原理
を応用した共鳴型との2種類に大別されるが、上記膨張
型、共鳴型を複雑に組み合わせるとともに耐熱性の吸音
材を内部に収めた形態のものが多用されている。また近
年、エポキシ樹脂などの合成樹脂をマフラ外周部に使用
し、マフラ自体の消音効果を高めた樹脂マフラが提案さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記金属製マフラにお
いては主に高周波域の音を吸音材により消音し、低周波
域の音を膨張室、共鳴室により消音することが行われる
が、より低周波域の音を消音するためには膨張室、共鳴
室の容積を大きくする必要があり、マフラの体積および
重量が大きくなってしまう問題がある。また、上記樹脂
マフラにおいてもマフラの外周部を覆う構成になってい
るので、基本的にマフラの大きさによって低減できる低
周波の波長が制限されることに変わりはない。また、マ
フラが高温になると樹脂の炭化が発生し、マフラの耐久
性が低下するという問題がある。
【0004】
【発明の目的】本発明は上記の課題に鑑みてなされたも
のであり、大きなスペースを必要とせずに低周波を含む
エンジン騒音を低減することができる、エンジンの消音
装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの請求項1のエンジンの消音装置は、エンジンの排気
通路に所定周波数域において消音効果を発揮する排気マ
フラを配設し、その排気マフラの尾管に弾性パイプを接
続したことを特徴とする。請求項2のエンジンの消音装
置は、弾性パイプが接続される管に弾性パイプの温度上
昇を抑制する手段を設けたことを特徴としている。な
お、温度上昇を抑制する手段としては、弾性パイプが接
続される管に冷却構造を設けること、弾性パイプが接続
される管に断熱構造を設けることなどが例示できる。
【0006】また、変形例としては、排気マフラの尾管
から弾性パイプを接続する管を分岐し、その管に弾性パ
イプの温度上昇を抑制する手段を設けることもできる。
請求項3のエンジンの消音装置は、エンジンの排気通路
に所定周波数域において消音効果を発揮する排気マフラ
を配設し、排気マフラの圧力脈動あるいは排気マフラよ
り下流側の排気通路の圧力脈動を取り出す圧力脈動取り
出し部材を設け、その圧力脈動取り出し部材を圧力室に
収容し、その圧力室に弾性パイプを接続したことを特徴
とする。
【0007】請求項4のエンジンの消音装置は、エンジ
ンの排気通路に所定周波数域において消音効果を発揮す
る排気マフラを配設し、その排気マフラの尾管に金属製
薄肉パイプを連通させ、この金属製薄肉パイプを弾性パ
イプで同心状に覆い、金属製薄肉パイプと弾性パイプの
間に空気層を介在させたことを特徴とする。
【0008】
【作用】請求項1のエンジンの消音装置であれば、排気
マフラを経た排気ガスが、弾性パイプ内を進み、弾性パ
イプの出口から外部に放出される。ここで、弾性パイプ
は弾性を有しているので、排気ガスの音圧の高いところ
で半径方向に膨張することにより排気ガスの排気脈動を
低減することができる。また、弾性パイプの長さを前記
所定周波数域よりも長い周波数の音を消音できる長さに
設定することにより、排気マフラで消音できなかった低
周波域の音を弾性パイプで消音することができる。この
ように主に高中周波域の音を消音する排気マフラと、低
周波域の音を消音する弾性パイプを設けることで、消音
装置の配置スペースを大きくすることなく、従来では消
音しずらかった低周波域の騒音も効果的に低減すること
ができる。
【0009】請求項2のエンジンの消音装置であれば、
弾性パイプが接続される管に弾性パイプの温度上昇を抑
制する手段を設けたことにより、排気マフラが比較的高
温になっても、弾性パイプの温度上昇を抑制することが
でき、弾性パイプの熱的劣化を防止して弾性パイプの耐
久性を向上させることができる。請求項3のエンジンの
消音装置であれば、排気ガスは排気マフラの出口から外
部に放出される。また、圧力室内に収容された圧力脈動
取り出し部材は、排気マフラの圧力脈動あるいは排気マ
フラより下流側の排気通路の圧力脈動を取り出して、そ
の圧力脈動を弾性パイプに導く。弾性パイプは上記膨張
により圧力脈動を低減してエンジンの排気騒音を低減す
る。つまり、この消音装置の構成では排気ガス流と排気
圧力脈動を分離して、圧力脈動のみを弾性パイプにより
低減するようにしている。
【0010】請求項4のエンジンの消音装置であれば、
排気ガスは金属製薄肉パイプ内を通過して外部へ放出さ
れる。排気ガスの圧力脈動により金属席薄肉パイプは振
動し、その振動が空気層を介して弾性パイプに伝わり、
弾性パイプの膨張により消音される。この構成では、高
温の排気ガスは直接、弾性パイプに接することがないの
で弾性パイプの熱的劣化を防止することができる。
【0011】
【発明の効果】上記作用において説明したように請求項
1の発明によれば、以下の特有の効果を奏する。 (イ)主に高周波域、中周波域の音を消音する排気マフ
ラと、排気マフラで消音できなかったより低い周波域の
音を消音する弾性パイプを設けることで、高中周波数域
のみならず、小型のマフラでは消音しずらかった低周波
域の騒音も低減することができる。
【0012】(ロ)弾性パイプの上流側に排気マフラを
介在させることにより、排気マフラ自体を弾性部材で覆
う構成よりも、排気マフラ自体の放熱作用の分だけ、弾
性パイプに接する排気ガスの温度を低温にすることがで
き、弾性パイプの熱的劣化を抑制することができる。 (ハ)製造においては排気マフラの尾管に所定特性の弾
性パイプを接続するだけで構成できる。また、弾性パイ
プの長さ、通路断面積、弾性係数等の消音に関するパラ
メータの設定においては、実際に適用するエンジンにお
いて最も効果のある所定特性の弾性パイプを実験的に選
定することにより決定でき、複雑な設計が不要となる。 (ニ)弾性パイプは自在に曲げることができるので、エ
ンジン回りの空スペースに、例えばロール状に配置する
ことができ、消音装置を小型化することができる。
【0013】請求項2の発明によれば、上記(イ)〜
(ニ)の効果に加えて、排気マフラが比較的高温になっ
ても、弾性パイプの温度上昇を抑制することができ、弾
性パイプの熱的劣化を防止して、耐久性をさらに向上で
きるという特有の効果を奏する。請求項3の発明によれ
ば、上記(イ),(ロ),(ニ)の効果に加えて、排気
ガス流と排気圧力脈動を分離して、圧力脈動のみを弾性
パイプにより消音することができるので、排気ガス流が
弾性パイプ内を通過することによる弾性パイプの劣化の
問題(例えば、熱的劣化、排気ガス中の不純物の付着な
ど)を解決することができるという特有の効果を奏す
る。
【0014】請求項4の発明によれば、上記(イ),
(ロ),(ニ)の効果に加えて、高温の排気ガスは直
接、弾性パイプに接することがないので、排気ガス流が
弾性パイプ内を通過することによる弾性パイプの劣化の
問題を解決することができるという特有の効果を奏す
る。
【0015】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面によって詳細に
説明する。図1は本発明に係るエンジンの消音装置の第
1実施例を説明するための一部切欠断面図である。この
実施例のエンジンの消音装置は、エンジンの排気マフラ
1の尾管2に弾性ゴム製のパイプ10(以下、弾性パイ
プと称する)を接続した構成となっている。
【0016】マフラ1を経たエンジンの排気ガスは、弾
性パイプ10内を通ってパイプ出口11から放出され
る。この場合、図2に示すように弾性パイプ10内を通
る排気ガスは圧力が高い領域と低い領域が存在するが、
弾性パイプ10が弾性を有しているのでその圧力の高い
領域のパイプ部分13が膨張する。膨張するとき、パイ
プの変形により圧力の一部がパイプの運動エネルギー、
熱エネルギーに変換され、排気ガスの持つ音圧が低減さ
れる。
【0017】つまり、圧力の高い領域では弾性パイプ1
0が半径方向に膨張し、圧力の低い領域では変動しない
ことにより、排気ガスの圧力脈動を低減することができ
る。排気ガスの圧力脈動は時間的、空間的(弾性パイプ
の長手方向位置)に刻々変化するが、弾性パイプ10は
その変化に対応して膨張、収縮を繰り返すので、排気ガ
スが有する圧力脈動を効果的に低減することができる。
【0018】また、弾性樹脂の形状をパイプ状に形成す
ることにより、排気ガス通路に対して弾性面を一定間隔
で配置することができるので、圧力脈動の時間的変化、
空間的変化に対して敏感に対応させることができるとと
もに、汎用の弾性パイプで代用できるので安価に構成す
ることができる。さらに、弾性パイプ10は自在に曲げ
ることができるので、エンジン回りの空スペースにロー
ル状に配置することができ、エンジンの小型化、省スペ
ース化を達成することができる。
【0019】弾性パイプ10の長さは基本的に長ければ
長いほど消音効果は高く、弾性パイプ10の通路断面積
は小さいほど消音効果は高い。また、弾性パイプ10を
長くするとより長い波長の音を低減することができる。
しかし、弾性パイプ10の長さの設定により、排気騒音
の基本波が弾性パイプ内の定在波となることは避けなけ
ればならない。なお、排気騒音の基本波fは、f=Ns
・Zと、2f、3f…の高調波で与えられる。ここで、
Nsは毎秒排気回数、Zはシリンダ数である。また、弾
性パイプ10の通路断面積が小さすぎると弾性パイプ1
0の存在によってエンジン排気圧力(背圧)が増加して
エンジン出力が低下するので適当な通路断面積を確保す
ることも必要である。
【0020】上記のことを考慮して、エンジンの排気騒
音の周波数特性、低減しようとする低周波の波長に対応
させて、弾性パイプの長手方向の長さ、弾性パイプの断
面積、弾性パイプの弾性係数等のパラメータを適宜設定
することにより、エンジンの騒音を大幅に低減すること
ができる。この場合、所定のシュミレーション計算によ
って上記パラメータを設定することもできるが、上記パ
ラメータの大きく異なる数種類程度の弾性パイプを予め
製造しておき、実機による消音実験によってさらに細か
なパラメータデータを決定するようにした方がより効率
的である。というは、エンジン運転時の弾性パイプが収
容された部屋の温度などにより、弾性パイプの消音特性
が複雑に左右され、耐久試験もかねて実験的に弾性パイ
プの詳細を設定した方が効率的だからである。
【0021】また、エンジン騒音の高周波成分は従来ど
おり、グラスウールなどによる消音材を使用した排気マ
フラ1で消音するようにすればよい。弾性パイプ10の
材料としては、耐熱性の点においてシリコンゴム、フッ
素ゴムが好適である。また、使用する弾性パイプのヤン
グ率は、107〜108dyncm-2程度である。
【0022】また、図1に示す構成であると、エンジン
の排気はマフラ1により冷却された後に、弾性パイプ1
0内へ導かれるので、マフラ1を介さずに弾性パイプ1
0に連通した場合よりも弾性パイプ10の耐久期間を延
ばすことができる。なお、コージェネレーション装置と
して使用する場合は、マフラの上流側に熱交換器を設け
た構成が採用され、この場合は熱交換器が放熱器として
の機能を発揮する。したがって、マフラ1を経た状態で
は排気ガスは十分に温度が低下しているので温度による
弾性パイプの劣化の問題はなくなる。
【0023】
【実施例2】図3は本発明に係るエンジンの消音装置の
第2実施例を説明するための概略斜視図である。この第
2実施例が前記第1実施例と異なる点は、弾性パイプ1
0に予めロール状の巻きグセを付けた点のみである。ま
た、弾性パイプ10に巻きグセを付けておくことにより
一定容積中に収めることのできる弾性パイプ10の長さ
を長くすることができるとともに、消音装置のエンジン
への実装作業が簡単になるという利点がある。なお、弾
性パイプの巻きグセ10は前記ロール状に限定されず、
螺旋状など弾性パイプ収納空間に対応させて形状を決定
することができる。
【0024】
【実施例3】図4,図5はそれぞれ本発明に係るエンジ
ンの消音装置の第3実施例を説明するための一部切欠断
面図である。この第3実施例が図1に示す第1実施例と
異なる点は、弾性パイプ10の出口において通路断面積
が小さくなるように構成した点のみである。図4に示す
実施例はマフラ1の尾管2に接続した弾性パイプ10の
出口に、弾性パイプ10内径と一致する外径を有する管
状部材15を接続した構成例であり、管状部材15の弾
性パイプ側端面15aにおいて排気ガスの圧力波の一部
が反射され、消音効果を得ることができる。つまり、排
気ガス流路の断面積を急変させることにより、膨張型マ
フラと同様の消音効果を発揮できるのである。
【0025】図5に示す実施例は、弾性パイプ10の出
口付近を段付き16に形成して、弾性パイプの排気ガス
通路の断面積を急変させることにより、図4に示す実施
例と同様の効果を奏するようにしたものである。なお、
段付き16の個数は複数にしてもよく、複数にした場合
は、膨張室を複数個設けた場合と同じような効果を得る
ことができる。
【0026】
【実施例4】図6,図7はそれぞれ本発明に係るエンジ
ンの消音装置の第4実施例を説明するための一部切欠断
面図である。図6に示す構成例の特徴点は、マフラ1の
尾管2に排気ガス温度を低下させる冷却フィン18を設
けて、弾性パイプ10に温度に低くなった排気ガスを導
入して消音するようにした点である。この構成であると
弾性パイプ10の排気ガス温度による劣化をさらに抑制
することができ、弾性パイプ10の寿命を延ばすことが
できる。
【0027】また、冷却フィン18を設けることによ
り、使用できる弾性パイプ10の材質の種類を広げるこ
とができる。例えば、弾性パイプ10の温度を150℃
程度に抑えることができれば、アクリルゴム、ブチルゴ
ム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレン−プ
ロピレンゴムなどが適用できる。
【0028】図7はこの第4実施例の他の構成例を示す
図である。この構成例は、マフラ1の尾管2(本管)の
途中から分岐させた副管20に排気ガスを冷却するため
の冷却フィン18を形成するとともに、副管20に弾性
パイプ10を取り付け、弾性パイプ10の先端口に栓2
1をした構成となっている。この構成例であると、マフ
ラ1を経た排気ガスは本管2から副管20にも流れ、冷
却フィン18により放熱された後、弾性パイプ10によ
り圧力脈動を低減される。排気ガス自体は出口である本
管2の後端口22から放出されるが、弾性パイプ10の
存在により圧力脈動は効果的に低減される。また、冷却
フィン18により弾性パイプ10には温度の低下した排
気ガスが導入されるので弾性パイプ10の寿命を延ばす
ことができる。
【0029】
【実施例5】図8は本発明に係るエンジンの消音装置の
第5実施例を説明するための一部切欠断面図である。図
8に示す実施例の特徴点は、マフラ1の尾管2と弾性パ
イプ10とを熱的に遮断する断熱管24を尾管2と弾性
パイプ10の間に設けることにより、排気通路の熱伝導
による弾性パイプ10の劣化を防止するようにした点で
ある。この構成を採用すれば、弾性パイプ10の寿命を
延ばすことができる。なお、断熱管24を介在させる構
成例は、図7に示したマフラの尾管(本管2)の途中か
ら分岐させた副管20に弾性パイプ10を取り付け、弾
性パイプ10の先端に栓21をした構成にも適用でき
る。
【0030】
【実施例6】図9は本発明に係るエンジンの消音装置の
第6実施例を説明するための一部切欠断面図である。こ
の第6実施例は、エンジンの排気通路の途中に排気マフ
ラ1を配設するとともに、排気マフラ1の圧力脈動を取
り出す圧力脈動取り出し部材としての金属ベローズ31
を取り付け、その金属ベローズ31を収容する圧力室3
2を設け、その圧力室32に断熱管33を介して弾性パ
イプ10を接続した構成となっている。
【0031】さらに説明すれば、図9においてマフラ1
の膨張室1aと圧力室32とは区画壁34により区画さ
れている。膨張室1aと圧力室32との間には連通孔3
5が設けられ、連通孔35に金属ベローズ31を取り付
けることにより、圧力室32内で金属ベローズ31が膨
張、収縮できるようになっているとともに、膨張室1a
の排気ガス流が圧力室32に流れこまないようになって
いる。圧力室32の連通孔35が設けられた反対側の壁
には出口36が設けられ、その出口36に断熱管33を
介して弾性パイプ10を接続している。弾性パイプ10
の出口には栓21がしてある。
【0032】マフラ1の膨張室1aに流入管37から流
れ込んだ排気ガスの圧力脈動は、金属ベローズ31によ
り圧力室32に伝えられ、弾性パイプ10の膨張、収縮
作用により消音される。一方、圧力脈動が除去された排
気ガス成分は、膨張室1aの排出管38から出ていき、
マフラ1の出口(図示せず)から外部に放出される。こ
のように金属ベローズ31の膨張、収縮作用により排気
ガス流と圧力脈動を分離し、圧力脈動のみを弾性パイプ
10に導くことにより、高温のガスは弾性パイプ10を
流れないので、弾性パイプ10が高温とはならず、弾性
パイプ10の耐久性の問題を解決することができる。ま
た、排気ガスが弾性パイプ10を流れないので、排気ガ
ス中の不純物がパイプ内面に付着することがなく、弾性
パイプ10の弾性を長期間にわたって維持できる。
【0033】なお、圧力脈動を取り出す圧力脈動取り出
し部材は金属ベローズ31以外にも各種の部材が適用で
きる。また、圧力室32はマフラ1より下流の所定位置
に設けても良い。例えば、図7に示す構成において本管
2と副管20の分岐部に金属ベローズを配設して、弾性
パイプ10に排気ガスが流れないようにしても良い。
【0034】
【実施例7】図10は本発明に係るエンジンの消音装置
の第7実施例を説明するための一部切欠断面図である。
この消音装置は、マフラ1の尾管2に金属製薄肉パイプ
41を接続し、この金属製薄肉パイプ41の外側を弾性
パイプ10で同心状に覆い、断熱部材で構成されたスペ
ーサ42を金属製薄肉パイプ41の長手方向に所定間隔
で配設することにより、金属製薄肉パイプ41と弾性パ
イプ10との間に空気層43を介在させた構成となって
いる。金属製薄肉パイプ41は、例えば、肉厚1mm以
下のものが使用され、排気ガスの脈動によりフレキシブ
ルに振動することができるようになっている。
【0035】金属製薄肉パイプ41,スペーサ42およ
び弾性パイプ10で構成される消音パイプ47の製造方
法の一例としては、図11に示すような方法が挙げられ
る。即ち、予め円筒状に形成された断熱性枠体44の外
周面を覆うように弾性パイプ10を形成して、弾性パイ
プ10を断熱性枠体44で支持する。そして、金属薄肉
パイプ41の外周を前記断熱性枠体44を支持された弾
性パイプ10で同心状に覆った後、同じく断熱性素材で
形成された一対の保持管45,45で、金属薄肉パイプ
41,断熱性枠体44を挟持固定する。
【0036】この場合、断熱性枠体44は金属薄肉パイ
プ41に当接してもしなくても良い。なお断熱性枠体4
4が図10におけるスペーサ42として機能する。この
ように構成すれば、金属薄肉パイプ41および断熱性枠
体44を保持管45,45で挟持固定するだけで、消音
パイプ47を構成することができる。
【0037】マフラ1の尾管2からの排気ガスは金属製
薄肉パイプ41内を流れ、排気ガスの脈動により、金属
製薄肉パイプ41を振動させ、金属製薄肉パイプ41の
振動により空気層43を圧力波が伝わり弾性パイプ10
を振動させる。弾性パイプ10の振動により消音効果が
得られるのは前述の実施例と同様である。この実施例の
構成であると、排気ガスは金属製薄肉パイプ41内を流
れ、弾性パイプ10は高温の排気ガスが直接触れること
がないので、弾性パイプ10の熱による劣化、排気ガス
の不純物の付着を防止することができる。
【0038】この発明は上記実施例に限定されるもので
はなく、この発明の要旨を変更しない範囲内において種
々の設計変更を施すことが可能である。以下、そのよう
な実施例を説明する。 (1)前記第1実施例から第7実施例は実施形態の一例
を示したものであるから、各実施例の構成を組み合わせ
て、それぞれの効果を共に得るような実施例を構成する
ことも可能である。例えば、冷却フィン18と断熱管2
4を組み合わせて弾性パイプ10の温度上昇を一層抑制
した実施例が例示できる。また、図9に示す第6実施例
における弾性パイプ10を図10に示す消音パイプ47
の構成に代えた実施例においては、圧力脈動が金属製薄
肉パイプ41、空気層43を介して弾性パイプ10に伝
わることになるので、弾性パイプ10に耐熱温度が低い
ゴム、樹脂などを採用することができる。 (2)本発明は一般の排気マフラでは消音しにくい低周
波域の騒音を消音するために弾性パイプを用いたもので
あるから、弾性パイプの材質、製造方法は特に限定され
ず、実質的に排気ガスの音圧を低減できるものであれば
よい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジンの消音装置の第1実施例
を説明するための一部切欠断面図である。
【図2】弾性パイプの断面図である。
【図3】本発明に係るエンジンの消音装置の第2実施例
を説明するための概略斜視図である。
【図4】本発明に係るエンジンの消音装置の第3実施例
を説明するための一部切欠断面図である。
【図5】本発明に係るエンジンの消音装置の第3実施例
を説明するための一部切欠断面図である。
【図6】本発明に係るエンジンの消音装置の第4実施例
を説明するための一部切欠断面図である。
【図7】本発明に係るエンジンの消音装置の第4実施例
を説明するための一部切欠断面図である。
【図8】本発明に係るエンジンの消音装置の第5実施例
を説明するための一部切欠断面図である。
【図9】本発明に係るエンジンの消音装置の第6実施例
を説明するための一部切欠断面図である。
【図10】本発明に係るエンジンの消音装置の第7実施
例を説明するための一部切欠断面図である。
【図11】第7実施例の消音パイプの分解斜視図であ
る。
【符号の説明】
1…排気マフラ、2…尾管、10…弾性パイプ、18…
冷却フィン、20…副管、24…断熱管、31…金属ベ
ローズ、32…圧力室、33…断熱管、41…金属製薄
肉パイプ、43…空気層、45…保持管。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン排気騒音を消音するエンジンの
    消音装置において、エンジンの排気通路に所定周波数域
    において消音効果を発揮する排気マフラ(1)を配設
    し、その排気マフラ(1)の尾管(2)に弾性パイプ
    (10)を接続したことを特徴とするエンジンの消音装
    置。
  2. 【請求項2】 弾性パイプ(10)が接続される管
    (2)(20)に弾性パイプ(10)の温度上昇を抑制
    する手段(18)(24)(33)(45)を設けたこ
    とを特徴とする請求項1に記載のエンジンの消音装置。
  3. 【請求項3】 エンジン排気騒音を消音するエンジンの
    消音装置において、エンジンの排気通路に所定周波数域
    において消音効果を発揮する排気マフラ(1)を配設
    し、排気マフラ(1)の圧力脈動あるいは排気マフラ
    (1)より下流側の排気通路の圧力脈動を取り出す圧力
    脈動取り出し部材(31)を設け、その圧力脈動取り出
    し部材(31)を圧力室(32)に収容し、その圧力室
    (32)に弾性パイプ(10)を接続したことを特徴と
    するエンジンの消音装置。
  4. 【請求項4】 エンジン排気騒音を消音するエンジンの
    消音装置において、エンジンの排気通路に所定周波数域
    において消音効果を発揮する排気マフラ(1)を配設
    し、その排気マフラ(1)の尾管(2)に金属製薄肉パ
    イプ(41)を連通させ、この金属製薄肉パイプ(4
    1)を弾性パイプ(10)で同心状に覆い、金属製薄肉
    パイプ(41)と弾性パイプ(10)の間に空気層(4
    3)を介在させたことを特徴とするエンジンの消音装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011115340A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Ntt Facilities Inc 噴出ヘッド及びガス消火システム
JP2016029269A (ja) * 2014-07-18 2016-03-03 前田建設工業株式会社 消音装置
JP2016029445A (ja) * 2014-07-18 2016-03-03 前田建設工業株式会社 消音装置

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