JP3827208B2 - エンジン用マフラおよび自動二輪車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
請求項に係る発明は、エンジン用マフラ(サイレンサ)と、それを備えた自動二輪車とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的なマフラに関する縦断面図を図5に示す。図のようにマフラ3’は、円筒状のマフラボディ50’の内部に、仕切板(バッフルプレート)51’・52’やバッフルパイプ53’・54’・55’を取り付けることにより複数の膨張室を構成している。マフラボディ50’は、内外二重の円筒50a’・50b’(内側の50b’はパンチングメタル製)にて形成し、それらの間に吸音材(グラスウール)50c’を充填したものである。一方の端部に挿入された排気導入管44の開口(導入口)56’から他方の端部にある排気排出口57’にかけて排気が流れる間に、排気音は、各膨張室での排気の膨張とともに、また各室間の仕切板で生じる反射波が進行波と干渉することにより、さらには吸音材に吸収されて、次第に音圧を下げていく。
【0003】
このような構成のマフラ3’には、図のように、マフラボディ50’に挿入された排気の導入管44に触媒60’が配置されることがある。触媒60’は、ハニカム構造やペレット状に形成されたもので、その作用により排気中のガスを酸化して二酸化炭素や水に変え、または還元して窒素に変えるなどする。排気の導入管44内に触媒を設けるのは、マフラボディ50’のうちで最も排気温度の高い部分に配置することによって触媒60’を活性化し、排気を酸化または還元する上記の作用を強めるのがねらいである。白金やロジウム等の触媒を使用する場合、反応に適したガス温度として約300℃以上が必要であるため、触媒は、排気の温度が300℃以上となる場所に設置する必要があるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図5の例のようにマフラボディにおける排気の導入管内に触媒を設けたとしても、始動の際には触媒の温度上昇にかなりの時間がかかる。とくに寒冷時には、マフラボディや導入管等とともに触媒自体の初期温度が低いので、排気温度が上昇しはじめても触媒の温度はなかなか上がらない。そのため、寒冷時の始動の際には、触媒が本来的に有する排気浄化特性を発揮しはじめるまでに相当時間のウォームアップが必要になる。
【0005】
ウォームアップの時間を短縮する目的で、排気の上流側にも別の触媒を設けることがある。つまり、プレ触媒などと呼ばれる簡易な触媒を、マフラボディ(導入管)内に設ける上記の触媒(本触媒)とは別に、より上流側(たとえば排気マニホールドの前後など)に設けるのである。そのようにすれば、当該上流側の触媒の作用で温度を上昇させた排気をマフラ内の本触媒に通せるので、本触媒の温度が早めに上昇する。しかし、その場合、上流・下流の二箇所に触媒を設ける必要があるので、設備的なコストが上昇するほか機器重量が増すというデメリットが避けられない。
【0006】
請求項に係る発明は、二箇所に触媒を設けることを不要にしながらも、寒冷時等にも触媒が速やかに温度上昇をして好ましい排気浄化特性を発揮するエンジン用マフラ、およびそれを備えた自動二輪車を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載したエンジン用マフラは、一方の端部に排気の導入管および排出管を有していて他方の端部に壁面部分を有する筒状の第1マフラボディと、一方の端部にある排気導入口から他方の端部にある排気排出口にかけて複数の膨張室を有する筒状の第2マフラボディとを一連に(つまり並列にでなく、一方のマフラボディから他方のマフラボディへと順次に排気が流れるように)接続するとともに、第1マフラボディにおける排気の導入管に(つまり、導入管の内部もしくはその開口端部分に、または導入管の先に連結した管状物内に)触媒を配置し、第1マフラボディの排出管の排出口を当該導入管を囲むよう開口させたことを特徴とする。触媒としては、ハニカム構造のものやペレット状のもの等を使用できる。高温域で活性化するものであれば、酸化触媒であるか三元触媒であるか等の種類を問わない。図1に例示したマフラ1は、この請求項のエンジン用マフラに該当する。
【0011】
こうした構成のマフラでは、導入管を通って第1マフラボディ内に排気が入ると、その第1マフラボディ内では、導入管のある側の端部とは反対側の端部に壁面部分があるため、排気(の一部または全部)は中ほどで折り返し、導入管と同じ側の端部に設けられた排出管に流入して第2マフラボディへ向かう。この排出管は、第1マフラボディのうち上記のとおり導入管と同じ側の端部に設けられたものなので、第1マフラボディから流出すべく排出管内に排気が流入する際、触媒配置位置(の一部または全部)を含む導入管の周囲に排気の流路が必然的に形成される。したがって、この請求項のマフラでも、エンジンからの排気が、まず導入管を通るとき触媒に接触して触媒の温度を上げ、さらに排出管内に流入すべく導入管等の周囲(上記の流路)を流れることによっても触媒の温度を上昇させる。そのため、寒冷時の始動においても触媒の温度を速やかに上昇させる作用がある。
【0012】
このエンジン用マフラには、さらにつぎのような作用もある。
・ 排気音中の低周波成分を効果的に除去することができる。第1マフラボディは、上記のとおり一方の端部に排気の導入口と排出口とを有していて他方の端部に壁面部分を有するため、導入口から入った排気の排気音がその壁面部分にて反射する結果、進行波と反射波とが第1マフラボディ内で効果的に干渉し合うからである。排気音を反射するための壁面部分は上記のとおり導入口・排出口のある側とは反対側の端部に設けるので、第1マフラボディに十分な長さ(たとえば通常のマフラボディの全長と同様に300mm以上)を与えれば、進行波と反射波との間に十分な位相差をとることができて、低周波成分に対するすぐれた消音効果(排気音の低減効果)を得ることができる。両側の端部間に何も設けないでストレートな空間を形成すれば低周波成分の除去効果が高くなるが、それらの間に仕切板を幾つか設けたり内部に吸音材を設けたりして高周波成分を同時に低減できるようにするのもよい。
【0013】
・ 排気音中の中・高周波成分も効果的に除去できる。上記した第1マフラボディに対して第2マフラボディを一連に接続しているからである。第2マフラボディは、一方の端部にある排気導入口から他方の端部にある排気排出口にかけて複数の膨張室等を有する一般的な構成をもつため、中・高周波成分の除去性能を高めることが容易である。また、第1マフラボディ・第2マフラボディのいずれかまたは双方にグラスウール等の吸音材を使用することによっても、高周波成分の除去特性を高めることが可能である。
【0014】
・ 排気の抵抗を小さくしてエンジン性能を引き出すことも容易である。上記の各点から消音効果にすぐれるため、排気の通過しやすい構成にすることによって消音効果とエンジン性能とのバランスをとることができるからである。
【0015】
・ コンパクトにすることができて配置が容易になる。外径の大きなマフラボディを1本のみ使用するのでなく2つのマフラボディを使用するため、それぞれのマフラボディを小径にすることができ、もって各マフラボディおよびマフラ全体の所要スペースを小さくまとめることが可能なのである。またそのことから外観上の利点もあり、このマフラが自動二輪車やATV等の車両に取り付けられたとき、軽快な印象がもたらされる。
【0016】
請求項2に記載のエンジン用マフラは、請求項1に記載のマフラにおいて、第1マフラボディの筒状部分は吸音ウール材を含む壁面構造にし、第2マフラボディの筒状部分は同ウール材を含まない壁面構造にしたことを特徴とする。吸音ウール材としては、ロックウールやグラスウールなど、エンジン用マフラによく用いられる、耐熱仕様であって断熱作用を有するものを使用するのが好ましい。
【0017】
吸音ウール材は、エンジン用マフラ内の排気音から高周波成分を中心に除去することを目的とし、マフラボディにおける筒状部分の壁面構造中に充填して広く使用されている。一般的には断熱作用を併せもつので、マフラボディの表面温度を低くする目的を兼ねることが多い。しかし、そのような吸音ウール材を請求項1に記載のエンジン用マフラに使用するについては、この請求項2に記載したとおり第1マフラボディの壁面構造中にのみ含めるのが、構成の簡単化やコストダウンをはかるうえで好ましい。その理由はつぎのとおりである。
【0018】
請求項1のように第1・第2の各マフラボディを有するエンジン用マフラでは、第1マフラボディ内の排気温度が第2マフラボディ内の排気温度よりも高くなる。第1マフラボディ内では、上記導入管に設けた触媒の発熱作用によって排気の温度が上昇するからである。一方、第2マフラボディは、排気の下流側にあたるうえ、各膨張室で排気温度は段階的に下降するので、第1マフラボディ内に比べると排気温度は高くない。そこで、エンジン用マフラの配置箇所や使用状態等によっては、温度条件が比較的に緩やかな第2マフラボディにおいて吸音ウール材の使用を取り止めることによって、構造上またはコスト面でのメリットを得ることが可能になる。
【0019】
請求項1の構成をもつエンジン用マフラは、消音性能が高いうえ、消音特性の変更・調整を広い範囲で比較的自由に行うことが可能である。排気音中の低周波成分の除去に有利な第1マフラボディと、中・高周波の成分の除去に適した第2マフラボディとの双方を有するからである。したがって請求項2のマフラでは、一方のマフラボディにおいて吸音ウール材を使用しないとしても、排気音の低減と周波数成分の調整とを適切に行うことが可能である。
【0022】
請求項3に記載した自動二輪車は、上記いずれかの請求項に記載したエンジン用マフラを車体に取り付けたことを特徴とする。
【0023】
この自動二輪車は、上記したエンジン用マフラを備えるものであるから、マフラ内で使用する前記触媒の温度を始動時等に速やかに上昇させ、触媒が有する本来の排気浄化特性を効率的に発揮させる。つまり、この自動二輪車は排気の清浄度に関して好ましく、とくに寒冷時には従来のものに比した改善度が高い。
【0024】
請求項4に記載の自動二輪車は、請求項1または2に記載のマフラボディを、第1マフラボディと第2マフラボディとを車体の側方におき、かつ前者を後者の下側にした状態に配置したことを特徴とする。たとえば図2に示した自動二輪車X1は、この請求項の自動二輪車に相当する。
【0025】
こうした自動二輪車は、請求項1または2に記載したエンジン用マフラを備えることから、始動時等に触媒の温度が速やかに上昇し、排気の浄化を効率的に行うことができる。
【0026】
また、第1マフラボディを第2マフラボディの下にして両者を車体の側方に配置することにも利点がある。つまり、第1マフラボディは、前述のように第2マフラボディよりも排気温度が高いために外側表面の温度も高くなりがちだが、そのような第1マフラボディを下にして両マフラボディを車体の側方に設けることにすれば、表面温度の高い第1マフラボディが、温度の低い第2マフラボディをはさんで運転者または同乗者(の各乗車位置)から遠い側に配置できる。したがってこの自動二輪車は、ユーザーの快適な利用を可能にするマフラ配置を有しているということができる。
【0027】
なお、前記のとおり請求項1・2のマフラには排気音の低減やレイアウトに関する長所があるため、この自動二輪車にはつぎのような利点も付随している。
・ 低周波成分と高周波成分とがバランスよく十分に除去された排気音を発するとともに、排気抵抗によるロスを少なくして高いエンジン性能を発揮することができる。
・ 消音効果等を維持しながら小径に構成できる二つのマフラボディを使用して、マフラの所要スペースを小さくまとめることができる。そのため、マフラを含む車体全幅を小さくし、車体をコンパクト化するとともに重量部分を重心位置付近に集めるという好ましい車体設計が可能である。小径のマフラボディを複数取り付けることから、図2のように外観上の軽快感も備わる。
【0028】
【発明の実施の形態】
発明の実施についての形態を図1〜図4に基づいて説明する。なお、図2および図4に示す自動二輪車X1・X2に関する説明中、「右」「左」「前」「後」は、特別に示さない限り、いずれも自動二輪車の車体のうち進行方向に向かっていう右・左・前・後をさす。
図1は、マフラ1についての全体縦断面図(図1(a))とその一部の断面図(同(b))および部分詳細図(同(c))であり、図2は、そのマフラ1を取り付けた自動二輪車X1の側面図(図2(a))および背面図(後方から見たもの。同(b))である。
【0029】
図1のマフラ1は、外形を円筒形状にした2本のマフラボディ、すなわち第1マフラボディ10と第2マフラボディ20とを一連に接続することにより構成したものである。
【0030】
第1マフラボディ10は、一方の側の端部11に排気の導入口12と排出口13とを設け、他方の側の端部14は仕切板15aとキャップ15bとで閉じることによって内部にただ一つの膨張室を形成したものである。この第1マフラボディ10では、導入管44を経て導入口12から入った排気が中ほどで折り返し、図示黒塗り矢印のように進んで排出口13に入るとともに、排気音が、端部14に到達したうえ仕切板15aやキャップ15bの平坦な壁面部分により白抜き矢印のように反射して端部11の側へ戻る。したがってこの第1マフラボディ10の内部では、排気音の進行波と反射波とが重なり、互いの位相差に基づいて音圧をうち消し合う作用が生じる。しかも、一方の端部11から他方の端部14までの距離が長い(300mm以上。ただし、低減したい周波数域に合わせて変更する)ため、十分な位相差をとることができて低周波成分を中心に排気音を効果的に低減させることができ、したがって、直径が小さくともすぐれた消音性能が発揮される。
【0031】
第1マフラボディ10の具体的な構造はつぎのとおりである。円筒状のボディ本体は、ステンレス鋼板からなる円筒10aの内側に耐熱型グラスウール製の吸音材10cを付けるとともに、さらに内側にステンレス鋼パンチングメタルよりなる内側円筒10bを挿入して円筒10aと一体化する。端部14には、外側から見た形を排出口に似せたキャップ15bを一体化した仕切板15aを、溶接によって円筒10a(または10b)の内側に取り付ける。仕切板15aまたはキャップ15bには、ボディ本体の中心線と直角であって排気音を反射させやすい平坦面を含めておく。一方の端部11には、平坦部を有するとともに円筒10a等との溶接が容易なようにU字(またはJ字)形の断面部分を周状に備えた仕切板11aを取り付け、その内側の開口に、排気の導入口12と排出口13とをそれぞれ備える導入管44および排出管16(両者を一体化したもの)を挿入し溶接している。
【0032】
このような第1マフラボディ10において、端部11に挿入された導入管44の先にハニカム触媒30を取り付けている。ハニカム触媒30は、導入管44の延長部となる円管31の内側に、軸心部分を中心にして薄い平板および波板状の金属板(ステンレス鋼板など)を巻くことにより軸方向に通じた多数の通孔を有するハニカム構造体を形成し、その構造体の各板の表面に白金やロジウム等の触媒体32を担持させたものである。この触媒30はいわゆる三元触媒であって、一酸化炭素および炭化水素の酸化反応と窒素酸化物の還元反応とを同時に行わせるものである。導入管44内を通る排気は、第1マフラボディ10内で膨張する前に触媒30(の触媒体32)と接触し、そのような反応を通じて浄化される。
【0033】
第1マフラボディ10内に入って膨張した排気は、上記のように中ほどで折り返して排出口13から排出管16内に流れ込むが、その際に排気は矢印36のように触媒30の外周に沿って流れる。排出口13が、導入管44と同じ側の端部11に、しかも導入管44を囲んで開口しているからである。したがって、導入管44を通るとき触媒30に接触した排気が、排出口13へ向かう際にも触媒30の外周に接触することにより触媒体32の温度を上昇させる。触媒体32の温度が上昇すれば、上記した酸化・還元の反応が活発化するので、こうして二度も排気が触媒30に接触することは、寒冷時の始動の際などにも速やかに触媒作用を活発化させて排気の浄化を促進するうえで効果的である。
【0034】
導入管44と排出管16とは、それぞれを別々に仕切板11aに挿入するのではなく、図1(b)・(c)のとおり後者の内側に前者を同心状(正確な同心状態でなくてもよい)に含むよう一体化したうえで仕切板11aに(したがってボディ本体内に)挿入している。すなわち、太めの管をU字形に曲げた排出管16の一部に穴16aをあけ、その穴16aの内側に導入管44を通したうえ穴16aとの間を全周溶接する。そして、導入管44と排出管16との一体化をさらに安定させるため(安定度が十分な場合を除く)、図(c)のように数片の支持材11bを溶接づけして導入管44と排出管16とをつなぐ。このように導入口12と排出口13とを同心状に重ねて配置すると、導入管44を内側に有する部分において排出管16を十分に太いものにする(最大では仕切板11aの直径に一致させる)ことにより、導入口12だけでなく排出口13およびそれにつづく排気の流路に広い断面積をもたせることができ、排気の流れを円滑化できる。同時に、上記した同心状の配置をとると、端部11にある仕切板11aに対する導入管44および排出管16の溶接も容易になる。
【0035】
排出管16を介して第1マフラボディ10の排出口13につながる第2マフラボディ20は、一方の端部21にある排気導入口22(排出管16の下流端)から他方の端部27にある排気排出口28にかけて、バッフルプレート等により複数の膨張室等を形成した一般的な形式のマフラボディである。具体的には、まずボディ本体は、内外二重の円筒20a・20b(ステンレス鋼製。内側の20bはパンチングメタル)にて形成し、それらの間に吸音材(グラスウール)20cを充填している。内側の円筒20bの内側には、図のようにパンチングメタル製の仕切板23や、バッフルパイプ24aを有する仕切板24、数カ所に開口25aを有する仕切板25、バッフルパイプ26aを有するとともに数カ所に開口26bをもつ仕切板26をプラグ溶接等によって固定している。排気の上流側に相当する一方の端部21においては、上記の排出管16を溶接した仕切板21aを円筒20aに溶接固着し、他方の端部27では、パイプ26aの支持を兼ねる仕切板27aをやはり円筒20aに溶接固着している。
【0036】
こうしたマフラボディ20において、排気は、各仕切板の間を膨張室とし、また仕切板26とバッフルパイプ26a・仕切板27a等とに囲まれた空間を共鳴室としながら、排気排出口28(パイプ26aの下流端)から排出される。各膨張室と共鳴室、および吸音材20cの作用によって、中・高周波成分を中心に排気音が低減される。上記のように第1マフラボディ10にて低周波成分がよく除去されるため、第2マフラボディ20も大きめの直径にする必要がない。内部に概ね直線的な排気流れができるようにしたので、第2マフラボディでの排気の圧力損失は比較的小さい。なお、第2マフラボディ20においては、吸音材20cの使用を省略できることが多い。第1マフラボディ10よりも下流にあるうえ触媒の使用をしないので排気温度がそれほど高くないこと、吸音材20cを使用しなくても、二つのマフラボディ10・20で音質調整をはかる(たとえば各膨張室の容積を変更する)ことにより高周波成分等を十分に除去できるケースが多いからである。
【0037】
図1のマフラ1は、上記のように排気音中の低〜高周波の成分を効果的に低減し得る点に加え、つぎのような点でもすぐれている。すなわち、第1マフラボディ10における排気の導入口12と排出口13とに大きな開口断面積を与え得ることや、第2マフラボディ20には概ね直線的な排気流れを形成できることなどから、排気への抵抗を小さくしてエンジンの出力を引き出しやすい。また、細めのマフラボディ10・20を組み合わせてなることに基づいて、太めの一本型のマフラよりもレイアウト上の自由度が高く、コンパクトで美観をともなう配置を実現しやすい。
【0038】
図2に示す自動二輪車X1は、上記のような利点をふまえて図1のマフラ1を排気系に使用したものである。すなわち、自動二輪車X1には、燃料タンク47の下方位置に4気筒4サイクルエンジン41を搭載し、その排気口41aにエキゾーストパイプ42やマニホールド43、さらには、ジョイントパイプとも呼ばれる導入管44などの排気管をつないだうえ、それらの末端部分にマフラ1を接続している。
【0039】
排気管等の構成はつぎのとおりである。まず、エンジン41からは、気筒数に等しい4本のエキゾーストパイプ42を前方下部へ向けて延ばし、エンジン41の下方位置に設けたマニホールド43にそれぞれを接続する。マニホールド43は、4つの入側開口と2つの出側開口とを有するもので、これを介することにより、4本のエキゾーストパイプ42の下流端を、2本の導入管(ジョイントパイプ)44に統合するよう接続する。これら2本の導入管44のうち1本は、図2(a)・(b)のように車体の左側に配置し、他の1本は図1(b)のとおり車体の右側に配置する。左側および右側に1本ずつ配置した各導入管44に対し、それらの各下流端を図1に示す排気の導入口12として、マフラ1を接続するのである。
【0040】
図2(a)・(b)のように、マフラ1は、第1マフラボディ10を下側にして第2マフラボディ20との双方を平行に並べ、後輪6の側方であってその車軸より上方(運転者シート48および後部シート49よりは下方)の位置に、斜めを向けて(排気排出口28のある後ろ側を上げて)取り付けている。このような位置および姿勢にマフラ1を取り付けたことに加え、各マフラボディ10・20を小径(それぞれの直径を70〜130mm)にしたこと、および図2(b)のようにマフラボディ10・20を車体の側部に近づけ平行に並べて配置したことなどから、この自動二輪車X1には、走行時に十分なバンク(傾斜)をさせ得ることのほか、車幅が小さく重量部分が中央付近に集約されている等の利点が備わっている。それに関連して、外観的にも軽快感やスピード感が備わっていて好ましい。
【0041】
そして言うまでもなく、自動二輪車X1は、マフラ1自体の構成および機能に基づいて排気音およびエンジン性能の面で好ましく、さらには、マフラ1内の触媒30(図1)が始動時に速やかに活性化するため排気浄化の効率にすぐれている。
【0042】
つづく図3には、図1のマフラ1とは一部が異なるマフラ2を示している。図3(a)はそのマフラ2の全体縦断面図、同(b)は同(a)におけるb矢視図である。すなわちこのマフラ2では、第1マフラボディ10Aに対する排気の導入口12Aおよび排出口13Aの形成態様が図1のものと相違する。第1マフラボディ10Aの一方の端部11Aに接続する導入管44と排出管16Aとを、同心状等に一体化することをせず、それぞれを別々に、平坦な仕切板11Aaに対し挿入して固定したのである。第1マフラボディ10Aおよび第2マフラボディ20A自体の構成は図1の各マフラボディ10・20と同じであるため、それぞれの内部での排気(進路を図中の黒塗り矢印で示す)および排気音(マフラボディ10中の進路を図中の白抜き矢印で示す)の進み方は図1の場合と相違なく、したがって各マフラボディ10A・20Aにおける排気音や排気抵抗に関する機能は図1のマフラ1と同等である。
【0043】
このマフラ2においても、第1マフラボディ10Aに挿入した排気の導入管44に、前記と同様のハニカム触媒30を取り付けている。導入管44から送られる排気が、触媒30の通孔を通って第1マフラボディ10A内に入ったのち、図示黒塗りの矢印に沿って折り返し、矢印36A等に沿って排出口13Aへ流れ込もうとするとき、外周の側から再び触媒30に接触する。したがってこのマフラ2においても、寒冷時の始動の際などに触媒30の温度を速やかに上昇させて排気浄化を促進できる、という効果がある。なお、図1のマフラ1に比べると図3のマフラ2では、排出管16Aおよび導入管44として汎用の管を使用でき、排出管16Aに特殊な加工や溶接を施して導入管44を通すといった製造過程が不要である、という利点が付随する。
【0044】
図4(a)に示すマフラ3は、図1または図3の例と異なり1本のマフラボディ50によって構成したものである。マフラボディ50は、図5に示したものと同様、一方の端部に設けた排気導入口56から他方の端部に設けた排気排出口57にかけて、比較的大径のボディ本体内に複数の膨張室を有している。具体的には、内外二重の円筒50a・50b(ステンレス鋼製。内側の50bはパンチングメタル製)にて形成し、それらの間に耐熱仕様の吸音材(グラスウール)50cを充填したものである。マフラボディ50の内部に、仕切板(バッフルプレート)51・52やそれらと一体化したバッフルパイプ53・54・55を取り付けることにより複数の膨張室を構成している。導入管44の開口(導入口)56からマフラボディ50内に送られた排気は、図中の黒塗り矢印にしたがいバッフルパイプ53・54・55を順次通過して、そのつど膨張室で膨張を繰り返す。このような膨張により、また各膨張室間の仕切板で生じる反射波が進行波と干渉することにより、さらには吸音材50cの作用によって、排気音の音圧が次第に低下する。
【0045】
このマフラ3でも、導入管44の一部であってマフラボディ50内に挿入された部分の内部に触媒60を取り付けている。触媒60も、円管61の内側にハニカム構造体を形成したうえそれに白金等の触媒体62を担持させたものである。導入管44内を通る排気中の一定のガス成分は、この触媒60(の触媒体62)と接触させて酸化反応等により排気浄化をはかる。
【0046】
触媒60を含む導入管44の開口端(導入口56)には、有底筒状の排気案内部材63をかぶせるように配置している。排気案内部材63は、平板状の底部64とその周囲に連なる筒状部分65とをステンレス鋼板によって一体に形成したもので、導入管44の先端部外周に付けた連結部材(図示省略)にて支持させている。導入管44の開口端と排気案内部材63の底部64との間、および導入管44の外周面と排気案内部材63の筒状部分65との間には、それぞれ10〜50mm程度の間隔をとっている。
【0047】
導入管44を経てマフラボディ50内に入った排気は排気案内部材63にて流路を決定づけられ、図示の矢印66のように、まず底部64に当たり、つづいて筒状部分65の内側に沿って流れる。筒状部分65に沿って流れるとき、排気は導入管44の外周面に対して熱伝達をし、触媒60を外側から加熱する。触媒60は排気によって二度加熱されることになるので、寒冷時の始動の際などに有利な排気浄化を行える。
【0048】
図4(b)は、以上のようなマフラ3を、エキゾーストパイプ42等につながる導入管(ジョイントパイプ)44につないで取り付けた自動二輪車X2の側面図である。導入管44に触媒60を取り付けたことと、その導入管44の先端部に排気案内部材63を配置したこととに基づいて上記のとおり触媒60の温度が上昇しやすく、排気浄化を効率的に行えるという利点がある。
【0049】
以上、図面に沿って幾つかの形態を示したが、発明の実施がこれらに限定されるわけではない。以上に説明したほかに、たとえば、
イ) 導入管に設けた触媒のほかに、マフラ内の他の部分(たとえば導入管より下流にあるバッフルパイプ内)や、マフラよりも上流側の他の部分(たとえば排気マニホールド43内)にも、別の触媒を併せて配置する、
ロ) エンジンの気筒数などに応じて、1本のマフラボディに接続する導入管の数を適宜複数本に設定するとともに、そうした導入管の全部または一部に触媒を取り付ける、
ハ) 図1や図3のように第1マフラボディと第2マフラボディとを有するマフラを構成しながらも、それらマフラボディを離して設置したり、それぞれの長さや太さ、外形を異ならせたりする、
ニ) 自動二輪車以外のエンジンの排気系にマフラを使用する
−といった形態の実施も可能だからからである。
【0050】
【発明の効果】
請求項に記載したエンジン用マフラでは、始動の際などに触媒の温度が速やかに上昇するため、触媒が有する本来の排気浄化特性が効率的に発揮される。
【0051】
請求項に記載したエンジン用マフラなら、始動時等に触媒の温度が短時間内に上昇して好ましい排気浄化が実現するほか、低周波成分を含めて排気音の低減効果にすぐれる、排気の抵抗を小さくすることも容易である、コンパクトであって配置が容易になる−といった効果がもたらされる。
【0052】
請求項2に記載のエンジン用マフラなら、さらに、吸音ウール材の使用に関連して構造上またはコスト面でのメリットが得られる。
【0054】
請求項に記載した自動二輪車は、上記したエンジン用マフラを有することから、排気の清浄特性に関して好ましく、とくに寒冷時の改善度にすぐれる。
【0055】
請求項に記載の自動二輪車は、排気浄化の面で好ましいことに加え、排気音の低減やマフラのレイアウト、外観に関するメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施についての一形態であるマフラ1を示す図であって、図1(a)はマフラ1の全体縦断面図、同(b)はマフラ1の一部を示す断面図、同(c)は同(b)中のc−c矢視を示す部分詳細図である。
【図2】図1のマフラ1を取り付けた自動二輪車X1を示す図であって、図2(a)は側面図、同(b)は背面図(後方から見たもの)である。
【図3】発明の実施形態の一つであるマフラ2を示す図であって、図3(a)はマフラ2の全体縦断面図、同(b)は同(a)中の矢視b(第1マフラボディ10Aに関するもの)を示す部分詳細図である。
【図4】図4(a)は、発明の実施形態の一つであるマフラ3を示す全体縦断面図、同(b)は、そのマフラ3を取り付けた自動二輪車X2を示す側面図である。
【図5】従来のマフラ3’を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・2・3 マフラ
10・10A 第1マフラボディ
12・12A 導入口
20・20A 第2マフラボディ
30・60 触媒
44 導入管
50 マフラボディ
63 排気案内部材
X1・X2 自動二輪車

Claims (4)

  1. 一方の端部に排気の導入管および排出管を有していて他方の端部に壁面部分を有する筒状の第1マフラボディと、一方の端部にある排気導入口から他方の端部にある排気排出口にかけて複数の膨張室を有する筒状の第2マフラボディとが一連に接続され、
    第1マフラボディにおける排気の導入管に触媒が配置されるとともに、第1マフラボディの排出管の排出口が当該導入管を囲んで開口していることを特徴とするエンジン用マフラ。
  2. 第1マフラボディの筒状部分は吸音ウール材を含む壁面構造を有し、第2マフラボディの筒状部分は同ウール材を含まない壁面構造を有していることを特徴とする請求項1に記載のエンジン用マフラ。
  3. 請求項1または2に記載のエンジン用マフラを備えることを特徴とする自動二輪車。
  4. 請求項1または2に記載のマフラボディが、第1マフラボディと第2マフラボディとを車体の側方におき、かつ前者を後者の下側にして配置されていることを特徴とする自動二輪車。
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