JPH08221830A - 光磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

光磁気ディスクの製造方法

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JPH08221830A
JPH08221830A JP2700495A JP2700495A JPH08221830A JP H08221830 A JPH08221830 A JP H08221830A JP 2700495 A JP2700495 A JP 2700495A JP 2700495 A JP2700495 A JP 2700495A JP H08221830 A JPH08221830 A JP H08221830A
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mask
cooling
magneto
temperature
heat
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JP2700495A
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English (en)
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Masaki Ejima
正毅 江島
Kazuichi Yamamura
和市 山村
Yoshimasa Shimizu
佳昌 清水
Kazuyoshi Tamura
和義 田村
Toshimi Kobayashi
利美 小林
Chikayasu Fukushima
慎泰 福島
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 光磁気ディスクの製造の際、スパッタ成膜プ
ロセスでのスパッタ膜の剥離の防止と、真空中でのマス
クの除熱。 【構成】 ディスク基板の一部をマスキングし、非マス
キング部をスパッター成膜する光磁気ディスクの製造方
法において、スパッター装置内での該マスクの脱着を真
空中で行い、該マスクを繰り返し使用することよりなる
光磁気ディスクの製造方法。及び上記光磁気ディスクの
製造方法において、スパッター成膜中に蓄熱されたマス
クの熱を除熱する際、該マスクと冷却に与かる冷却面の
間にガスを供給して除熱するか、又は冷却に与かる冷却
面に取り付けたゴム材を該マスクに接触させて除熱する
ことよりなる光磁気デスクの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光磁気ディスクの製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光磁気ディスクは透明プラスチック基板
上に複数層の薄膜が形成されており、この薄膜は通常ス
パッター法で製造される。たとえば4層膜構成の光磁気
ディスクでは誘電体膜、磁気記録膜、誘電体膜、反射膜
が順次スパッター法で成膜される。量産性を高めるため
のスパッター成膜の装置構成には、複数のディスク基
板、たとえば30枚を矩形状パレット板に取り付け、上記
4層膜に対応する成膜部位を順次通過させスパッター成
膜する通過型構成や、ディスク基板を1枚毎高速タクト
で上記4層膜に対応する成膜部位に順次廻してスパッタ
ー成膜する枚葉型構成などが考案されている。
【0003】このようにして製造される光磁気ディスク
のスパッター成膜工程では、その内周部分と外周部分に
は膜をつけないようにするため通常基板のその部分をマ
スクで覆うマスキング法が採られており、スパッター成
膜に先立ち内周マスクと外周マスクをプラスチック製基
板に取り付け、スパッター成膜終了後マスクは取りはず
される。このマスクの着脱工程は、通常スパッター装置
の外部でロボットを用いて行なう方法が採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように内周マスク
と外周マスクの着脱交換をスパッター装置の外部の大気
下で行なう従来の方法においては、マスクに付着する膜
は、4層膜成膜毎に大気にさらされるため、膜内に発生
する応力が大きく膜の剥離の原因となり、これは装置内
浮遊ダストの発塵源となって光磁気ディスクの欠陥を引
き起こす欠点がある。
【0005】この欠点を克服するには、これらのマスク
をスパッター装置の真空チャンバーの外の大気下で着脱
交換するのではなく、この真空チャンバー内で行なえば
良いことを見いだした。このようにスパッター装置の真
空チャンバー内でマスク着脱を行なえば、マスクの付着
膜の剥離は抑制され、膜剥離片ダストによる光磁気ディ
スクの欠陥が抑えられ、歩留りが向上できる。また、マ
スクの繰り返し使用回数は大きく改善でき、マスクの表
面処理洗浄の頻度も少なくできる。
【0006】このようにマスクの着脱交換をスパッター
装置の真空チャンバー内で行ない繰り返し使用すること
によって大きなメリットが得られるが、マスクがスパッ
ター成膜で累積的に蓄熱される問題が新たに生じた。
【0007】スパッター成膜は、ターゲット表面でスパ
ッターされた粒子が、基板やマスク上に凝縮し堆積する
ため、その凝縮エネルギーにより基板やマスクは蓄熱さ
れる。蓄熱量はスパッター方法、成膜膜厚、投入スパッ
ターパワー、スパッター電極構造等により異なるが、
1.2mm厚プラスチック製光磁気ディスク基板では4層膜
成膜で通常20〜40℃上昇するが、損傷を受ける温度(約
110℃)までには到らない。マスクの蓄熱も1回使用で
は10〜20℃位の温度上昇でプラスチック基板に損傷を与
えることはない。しかしながら、マスクの着脱を真空中
で行ない、繰り返し使用する場合は、その温度は各回毎
に累積的に上昇し、繰り返し使用では基板に損傷を与え
る温度に到り、長時間運転は困難となる。したがって、
マスクの熱はなんらかの方法で除熱することが必要であ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題点を
解決したもので、それによると、ディスク基板の一部を
マスキングし、非マスキング部をスパッター成膜する光
磁気ディスクの製造方法において、スパッター成膜装置
内での該マスクの脱着を真空中で行い、該マスクを繰り
返し使用するこよりなる光磁気ディスクの製造方法であ
り、又前記製造方法で、スパッター成膜中蓄熱されたマ
スクの熱を除熱する際、該マスクと冷却に与かる冷却面
の間にガスを供給して除熱するか、冷却に与かる冷却面
に取付けたゴム材を該マスクに接触させて除熱すること
よりなる光磁気ディスク製造方法を要旨とするものであ
る。
【0009】すなわち、マスク交換をスパッター装置の
真空チャンバーの外の大気下で行なう従来方法の場合、
スパッター成膜プロセスによってマスクに付着した膜が
大気にさらされ、膜内に応力が発生し、繰り返し大気露
出を行なうことで応力が累積的に大きくなり、膜の剥離
の原因となり、これは装置内発塵をひきおこし製品の光
磁気ディスクの欠陥につながる。本発明の場合は、マス
クを真空チャンバー内で着脱交換することにより上記大
気露出に起因する応力発生は抑制され、光磁気ディスク
の欠陥発生の問題が解決された。
【0010】また、マスクを真空チャンバー内で着脱交
換する場合、マスクはスパッタープロセスで蓄熱され、
繰り返し使用でその温度は累積的に上昇するが、この温
度上昇の熱は、ガスを冷却伝熱媒体に用いた冷却方法、
またはゴム材を用いた直接接触伝熱による冷却方法によ
り除熱される。その結果、蓄熱によるディスクの損傷も
なく、剥離ダスト片による光磁気ディスクの欠陥の発生
を抑制できた。
【0011】つぎに本発明の実施態様の一例を図1〜4
により説明する。真空チャンバー101 内で内周マスクお
よび外周マスクの着脱を行なうスパッター装置の一例
を、図1に側面図、図2に正面図で示す。この真空チャ
ンバー101 内の真空度は公知の値でよく、例えば10-5To
rr程度が例示される。ロードロック室(図示せず)、ゲ
ートバルブ107aを経由して、カセット112 で真空チャン
バー101 内に搬入されたディスク基板105 は、上下昇降
機構114 の上下昇降突き上げ部113 で突き上げられ、内
周マスク106 と外周マスク104 を電磁石で吸着したマス
ク着脱機構111 の高さまで、ディスク基板105 を上下昇
降突き上げ機構で突き上げ、マスク着脱機構111 が前進
して、ディスク基板105 をホールダー103 に移しかえ、
ディスク基板105 に内周マスク106 と外周マスク104 を
取り付ける。
【0012】マスク着脱機構111 が後退して、アーム円
板110 が図示した矢印116 の方向へ60°づつ回転し、デ
ィスク基板105 は各スパッター部位117a、117b、117cお
よび117dを順次回転ステップでまわされ、各スパッター
部位で誘電体膜、磁気記録膜、誘電体膜、反射膜の4層
膜をこの順でスパッター成膜され、さらに60°回転して
マスク冷却部位118 で、内周マスク106 と外周マスク10
4 よりスパッター成膜時に蓄熱された熱が除去される。
【0013】除熱後、4層膜成膜したディスクは、さら
に60°回転して、ディスク交換部位115 で内周マスク10
6 と外周マスク104 が、マスク着脱機構111 の電磁石で
吸着されてとりはづされ、上下昇降突き上げ部113 によ
り下降され、カセット112 に収納される。また、外され
た内周マスク106 と外周マスク104 は次のディスク基板
にとりつけられ、繰り返し使用される。4層膜成膜した
ディスクを収納したカセット112 はゲートバルブ107b及
びアンロードロック室(図示せず)を経由して大気中に
とりだされる。このようにして内周マスクおよび外周マ
スクは大気にさらされることなく真空チャンバーの中で
交換され繰り返し使用される。
【0014】スパッター成膜によるマスクの蓄熱量はス
パッター法、成膜膜厚、投入スパッターパワー、電極構
造等に依存するが、マスクの許容上限温度はプラスチッ
ク基板が損傷を受ける温度の約 110℃より低く、例えば
100℃以下に抑制することが必要である。光磁気ディス
クのスパッター成膜プロセスでは、内周マスクおよび外
周マスクは通常10〜20℃上昇するため、マスクを冷却す
るための冷却面の温度は80℃以下とすることが必要であ
る。
【0015】除熱のためのマスクの熱を冷却面へ移行さ
せる伝熱方法としては、真空下においては次の2つ方法
がある。第1の方法はマスクの近傍へ冷却面を近づけ両
物体間にガスを供給しこのガスを伝熱媒体として冷却面
へ除熱する方法である。また第2の方法は、マスクにゴ
ム材を介して冷却面に一定時間接触させ、直接冷却する
方法である。なお、この冷却面は外部から供給される冷
媒により所定の低温に維持されている。
【0016】第1の方法では、効果的な伝熱を得るに
は、伝熱領域のガス圧力を数Torr以上とすることがよ
く、またこのガスは、スパッター部位のガス圧をみださ
ないことと、およびガスの排気を短時間で行なうことが
製造装置上必要である。このためには、ガスを供給する
冷却領域を局所化して小さくすることが望ましい。
【0017】第1の方法に用いる装置の例を図3
(a)、(b)、(c)に示す。図3(a)は、冷却面
312 を有するコの字形をしたガストラップ蓋体210 を上
からかぶせる冷却機構で、これをマスク203、204 を装着
したディスク基板201 を取り付けた基板ホールダー202
に押し付け、この閉空間へ、ガスをガストラップ蓋体21
0 に設けられたガス供給管207aから供給して冷却する装
置である。ガストラップ蓋体210 の冷却面312 は、外部
から供給された冷媒(図示せず)で低温に維持されてい
る。このコの字形のガストラップ蓋体210 の先端部にオ
ーリング209aを設けると、ガスの除熱効率は更に高めら
れる。
【0018】図3(b)と(c)は、ガス供給領域を局
所化したもので、図3(b)はゴム製のオーリング209
b,c を、マスク203 および 204に直接接触させて、ガス
をマスクとの間に封じ込め、ガス伝熱によるマスク冷却
を行うものである。図3(c)では中心部にガス供給の
穴を設けた平面状ゴム209d,eを、マスク203 および 204
に接触させる構造で、この場合マスクと冷却面312 に貼
り合わせた平面状ゴム209d,eの接触面間にガスを封じ込
めるものである。
【0019】この場合、冷却効率を高めるためには、冷
却面312 の温度を、ディスク基板の損傷温度より見て、
80℃以下の温度に保つことが好い。また、用いるガス種
としてはスパッタープロセスを乱さないガスが好まし
く、不活性ガスのアルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノ
ン等が好い。また、ガスの伝熱効率はその元素の質量の
1/2乗の逆数に比例するため、軽い元素が好ましいの
で、スパッタープロセスに影響が無い場合は最も軽い水
素ガスを用いてもよい。
【0020】第2の方法のゴム材の接触による除熱の方
法は、ゴム材の伝熱効率を高めるには、(1)熱伝導度
の高いゴム材を用いること、(2)なるべく薄いゴム材
を使うこと、(3)除熱体と被除熱体の温度差が大きい
こと、すなわち冷却面の温度はディスク基板の損傷温度
より見て、80℃以下の温度に保つことが好いが、あまり
低温の場合は、ゴム特有の弾性を損なっては実効接触面
積が低下するので冷却面の温度は弾性を損なわない温度
以上であることが必要で、そのためゴム材の種類によっ
て冷却面の最低温度は異なり、例えばフッ素系ゴムでは
約−40℃、シリコーン系ゴムでは約−75℃が限界である
ので、各ゴム材はその最低温度以上の温度に設定するこ
とが良い。なお冷却面は外部より供給される冷媒により
所定の温度に維持されている。
【0021】またゴム材は、除熱効率が実効的接触面積
に比例するため、冷却しても弾性を持つものが好く、さ
らにこれに荷重を加えて押し付ける方法が効果的であ
る。真空中で用いることができる弾性を持つゴム材とし
ては特に限定されず、天然ゴム、合成ゴムのいずれでも
よいが、例えばシリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、クロ
ロプレンゴム等が例示される。ゴム材の厚さは伝熱効率
を高めるため薄い方が好ましい。熱伝導度を高めたシリ
コーン系ゴムは最も有効で、これは例えば放熱用シリコ
ーンゴム加工品のTC−A、TC−CG、TC−BG、
TC−BA−AV(以上はいずれも信越化学工業株式会
社製商品名、以下同じ)などが例示される。
【0022】図4(a)および(b)にこれらのゴム材
を用いた接触伝熱による冷却装置の例を示す。図4
(a)は、1枚のゴム材212aを用いた例で、ゴム材は、
押し付け支持体211aの冷却面312 に貼り付けられてお
り、押し付け支持体211aを介して前後駆動機構206jによ
り、真空チャンバー内の外周マスク203 、内周マスク20
4 に押付けられて、該マスクを冷却する。また、図4
(b)はゴム材を局所化したものであり、外周マスク20
3 及び内周マスク204 の各々に、それぞれ別の冷却用の
ゴム材212b,cにより各マスクを冷却するものである。こ
の際、外周マスクの冷却用のゴム材は、外周マスクと同
じリング状であることが効果的である。なお図4
(a),(b)において、冷却面312 は外部から供給さ
れる冷媒(図示せず)に依り所定の温度に維持されてい
る。
【0023】
【作用】光磁気ディスクの製造時、ディスク基板の一部
をマスキングし、非マスキング部をスパッター成膜する
際、マスクの脱着を大気中で行うとスパッター膜の剥離
が起り、発塵を引き起し光磁気ディスクの欠陥につなが
るため、本発明の第1発明は、スパッター成膜装置内の
マスクの脱着を真空中で行うことで、これに依り上記の
問題は解決したが、マスクを繰り返し使用すると、マス
クがスパッター成膜中に蓄熱され温度が上がるために、
これがプラスチック製の基板に悪影響を及ぼし、製品の
品質低下につながる。本発明の第2発明は、スパッター
成膜中に蓄熱されたマスクの熱を、該マスクと冷却に与
かる冷却面の間にガスを供給して除熱するか、又は冷却
に与かる冷却面に取り付けたゴム材を該マスクに接触さ
せて除熱するもので、これにより、マスクの温度を下
げ、ディスク基板の温度上昇を防止し、光磁気ディスク
の品質を向上させることが出来た。
【0024】
【実施例】以下本発明の実施例および比較例を示す。 実施例 本発明の内周マスク用として図6、および外周マスク用
として図7に示す冷却装置を用い、本発明のゴム材を用
いた除熱方法の実験結果を以下に示す。この装置ではマ
スク314、317 を銅筒306a,bに座らせ、この銅筒306a,bに
巻いたヒーター307a,bで銅筒306a,bを通して間接的に加
熱し、エアー駆動押し付け機構303 で一定時間冷却面31
2 に押し付けて冷却し、除熱量はマスクの側面端部に取
り付けた熱電対315b、315c、315eおよび315fでマスク温
度を直接測定する構成である。装置は305 へ排気し真空
度はガスを供給しない状態で10-5Torr以下を確保してか
ら実験を行なった。冷却面312 の温度は冷凍器からエチ
レングリコール冷媒を循環させて冷却ポット309 へ供給
し−30℃から+80℃まで変えて実験を行なった。なお、
冷却ポット309 の熱容量は内周マスク314 および外周マ
スク317 の熱容量よりはるかに大きいため、マスク冷却
時のポット309 の温度変動は微弱でありマスク冷却温度
幅△Tの実測に測定誤差は与えない。
【0025】図6の装置の場合では弾性を有するゴム材
316aを内周マスク314 へ圧着させ直接伝熱で内周マスク
314 を冷却した。ゴム材316aにはシリコーン系ゴムTC
−A、TC−BGおよびTC−CG(以上は信越化学工
業株式会社製商品名、以下同じ)、ネオプレンゴム(米
国du Pont 社製商品名、以下同じ)およびフッ素系ゴム
のバイトン(米国du Pont 社製商品名、以下同じ)を用
いた。また、材料の比較のため銅製の冷却ポットへ直接
押し付けてゴム材と金属銅の面の冷却効率のちがいを見
た。
【0026】図7の装置の場合では外周マスク317 を弾
性を有するゴム材316bへ圧着させ直接伝熱で外周マスク
317を冷却した。加熱用の銅筒306bには、その上部に外
周マスク押し付けのため3ケ所切りかきを入れ、さらに
円周方向の外周マスク温度分布測定のため60°毎に6ケ
の熱電対を取り付ける切りかきを入れた。マスクの加熱
および圧着は図6の装置の場合と同様に行なった。
【0027】図6の装置を用いて内周マスク314 を 100
℃まで銅筒306a上で加熱し荷重 5.6kgで 2.5秒間冷却面
312 に押し付けたときの内周マスク 314の側面両端部に
取り付けた熱電対315bおよび315cで測定した内周マスク
温度の波形を図8に示す。このデータの実験では冷却面
のゴム材316aには厚さ 0.2mmのシリコーン系ゴムTC−
BGを用い、冷却面温度は20℃とした。加熱された内周
マスク314 の熱は 2.5秒間で冷却面312 へ移行し、押し
付け機構303 が下降して内周マスク314 は銅筒306a上に
戻って再度加熱が継続されるが真空中では加熱効率が悪
く加熱速度は約1℃/分位であるためこの再加熱による
冷却除熱量測定誤差は無視できる。この図の場合は内周
マスク314 は 2.5秒間で△T=9℃が除熱冷却されてい
る。
【0028】冷却温度幅△Tは押し付け冷却時間に正比
例することが予測される。図6の装置を用いてこれを実
測した結果を図9に3個の異なる冷却面温度に対して示
す。この図では冷却開始時の内周マスク温度初期値を 1
00℃とし、押し付け荷重は 5.6kgとした。冷却面のゴム
材には 0.2mm厚のシリコーン系ゴムTC−Aを用いた。
予測通りマスク冷却温度幅△Tは押し付け時間に正比例
することが確認された。
【0029】伝熱冷却によってマスクから冷却面へ移行
する熱量はマスクの温度初期値と冷却面温度との差に正
比例することが予測され、図6の装置を用いてこれを確
認した実験結果を図10に示す。図ではマスクの初期値温
度を 100℃に固定し、冷却面の温度を変えてマスクの冷
却温度幅△Tを測定した。ゴム材には厚さ 0.2mmのシリ
コーン系ゴムTC−Aを用い、冷却時間 2.5秒間とし、
押し付け荷重は 5.6kgとした。
【0030】直接接触によるマスク冷却での伝熱量は、
マスクの接触面と冷却側のゴム材の接触面との間の接触
の具合すなわち接触面積の実効値に依存する。マスクは
金属製であるため、この接触面積の実効値を増加させる
には冷却面のゴム材に高い弾性率を有する材料を用いる
ことが好ましい。また伝熱効率の点から薄い材料が好ま
しい。この点を以下に述べる図6の装置を用いて冷却面
側のゴム材を各種準備して冷却効率の比較を行なった。
ゴム材としてはフッ素系ゴム(0.3mm 厚バイトン)、ネ
オプレンゴム(0.3mm 厚)、シリコーン系ゴム(0.2mm
厚TC−A、 0.2mm厚TC−CGおよび 0.2mm厚、0.45
mm厚、 0.8mm厚TC−BG)および銅(銅製ポット309
の底部銅面)を用いた。冷却面温度を+15℃とし、冷却
開始時内周マスク温度初期値を 100℃とし、押し付け荷
重を 5.6kgとし、押し付け時間を2.5秒間としたときの
各種冷却面材料に対する冷却温度幅△Tの比較を図11に
示す。弾性のない金属の銅の場合は実効接触面積が小さ
いことが予測され、除熱量実測値はこの予測通り微弱で
あった。ゴム材としては弾性の大きいゴムが良好で、な
かでも熱伝導度を高めたシリコーン系ゴム(TC−A、
TC−CG、TC−BG)が、またさらには薄いシリコ
ーン系ゴムが最も良好であった。なお、図示しないが、
ネオプレンゴムの冷却温度幅△Tはフッ素系ゴム(バイ
トン)の値とほぼ同等であった。
【0031】実効接触面積を向上させるには押し付け荷
重を高めた方が好ましく、図6の装置を用いてこれを確
認した実験結果を図12に示す。この実験では、冷却開始
時内周マスク温度初期値を 100℃とし、冷却時間を 2.5
秒間とし、ゴム材には 0.2mm厚TC−Aゴムを用い、押
し付け荷重は 2.3kgから10kgまで変えた。図には−15
℃、25℃、75℃の場合を示す。冷却温度幅△Tは押し付
け荷重とともに増加しているが正比例ではなかった。こ
のことは、実効接触面積は押し付け荷重で向上するが6
kg以上の荷重では飽和値に近づいているものと解釈され
る。
【0032】図7の装置を用いて直接接触伝熱による外
周マスク冷却を行なった結果、冷却温度幅△Tの冷却面
温度に対する依存性、冷却時間に対する依存性および押
し付け荷重に対する依存性はそれぞれ図10、図9および
図12に示した内周マスクにおける前記結果と同じであっ
た。内周マスクの冷却の場合と異なる点は外周マスクが
細い環状であることによって円周方向に温度分布が発生
することであり、この測定結果を図14に示す。この実験
ではゴム材にはシリコーン系TC−Aゴムを使用し、冷
却面温度は+20℃とし、押し付け荷重は 6.4kgとした。
図は冷却時間を2.5秒間とし、押し付け開始から0秒、
2.5秒、5秒、10秒および20秒後の外周マスク上の円周
方向温度分布を示したものである。この図の実験の場
合、熱電対#3、#4の領域では接触が不充分だが熱電
対#5、#6の領域では良好で、#3、#4の領域の熱
はすべてが直接冷却面へ移行するのではなくその一部が
#5、#6の領域を経由して冷却面へ移行していること
が判る。
【0033】次に図5に示す冷却装置を用いて本発明の
ガスを用いた除熱方法の実験結果を以下に述べる。この
装置では冷却面312 の冷却は図6の場合と同様に行い、
エアー駆動押し付け機構303 で内周マスク314 を冷却面
312 側へ押し付け、これと同時にアルゴンガス供給ライ
ンのニードル弁311 を開いて内周マスク 314と冷却面31
2 の間にアルゴンガスを供給しオーリング 313でこのガ
スをトラップさせこのアルゴンガスの媒体を通して内周
マスク314 の熱を冷却面312 へ伝熱させ除熱した。内周
マスク314 の加熱および圧着の方法は図6の場合と同じ
である。一定時間の押し付け冷却の後、ニードル弁311
を閉じ、これと同時に押し付け機構303を下降させた。
封じ込められていたガスはこのとき一気に放出されチャ
ンバー内ガス圧は瞬間的に上昇した。ガストラップ容
積、チャンバー容積およびガス圧上昇量の実測から内周
マスク冷却時の内周マスク314 と冷却面312 間のガス圧
力は約1〜5Torrと推定された。
【0034】オーリング313 には 0.3mm厚3mm幅環状バ
イトンのオーリングを用い、冷却媒体ガスにはアルゴン
ガスを用い、押し付け荷重は 1.2kgとし、内周マスクの
冷却温度初期値は90℃とし、冷却時間は13.5秒間とし
た。冷却面と内周マスクの冷却温度幅△Tの冷却面温度
に対する依存性の結果を図13に示す。図10で示されたゴ
ムによる直接接触伝熱での冷却の場合と同じく、冷却温
度幅△Tは冷却開始時マスク温度と冷却面温度の差に正
比例であることが確認された。
【0035】この場合ではアルゴンガスを用いたが他の
ガスを用いてもよい。ただし、スパッター成膜プロセス
に影響を与えにくい不活性元素の不活性ガスのヘリウ
ム、ネオン、アルゴン、キセノン等が好ましい。またガ
スの熱伝導度はその元素の質量の 1/2乗の逆数に比例す
るので軽い元素が好ましく、スパッタープロセスに影響
を与えない場合は水素ガスを用いてもよい。
【0036】以上、上記に示したように、真空チャンバ
ー内でマスク着脱交換を行なう場合、マスクにスパッタ
ー成膜プロセスで蓄熱される熱は冷却媒体として弾性を
有するゴム材による直接接触の伝熱による除熱方法、お
よびガス伝熱媒体の伝熱による除熱方法のいずれでも除
熱は良好にできることが実証できた。以上の知見にもと
ずき、以下に本発明の実施の一例を示す。
【0037】図1、2に示す真空度10-5Torrのスパッタ
ー成膜装置を用い、ロードロック室(図示せず)、ゲー
トバルブ107aを経由して、カセット112 で真空チャンバ
ー101 内に搬入されたポリカーボネート製ディスク基板
105 は、上下昇降機構114 の上下昇降突き上げ部113 で
突き上げられ、内周マスク106 と外周マスク104 を電磁
石で吸着したマスク着脱機構111 の高さまで運ばれ、マ
スク着脱機構111 が前進してディスク基板105 をホール
ダー103 に移しかえて、内周マスク106 と外周マスク10
4 を取り付けた。
【0038】次いでマスク着脱機構111 が後退して、ア
ーム円板110 が図示した矢印116 の方向へ60°づつ回転
し、ディスク基板105 は、スパッター部位117a、117b、
117cおよび117dを順次9秒毎に回転ステップでまわさ
れ、SiNよりなる膜厚 300Åの誘電体膜、Tb-Fe-Coよ
りなる膜厚 150Åの磁気記録膜、SiNよりなる膜厚 3
00Åの誘電体膜、Alよりなる膜厚 800Åの反射膜を順
次成膜された。さらにアーム円板110 を60°回転させ、
成膜済のディスクはマスク冷却部位118 で、図4(a)
に示す冷却装置で、内周マスク106 と外周マスク104 が
冷却された。この冷却装置は、ゴム材212 に厚さ 0.2mm
のシリコーンゴムTC−A[信越化学工業(株)製商品
名]を用い、冷却面312 を冷却するためのエチレングリ
コール冷媒(図示せず)の供給温度は15℃に設定し、ゴ
ム材212 のマスクの押し付け時間は4秒として行った。
【0039】除熱後、デスクはさらに60°回転され、デ
ィスク交換部位115 で、内周マスク106 と外周マスク10
4 がマスク着脱機構111 の電磁石で吸着されてとりはづ
され、ディスクは上下昇降突き上げ部113 により下降さ
れカセット112 に収納され、外された内周マスク106 と
外周マスク104 は次のディスク基板にとりつけられ、繰
り返し使用された。4層膜成膜終了したディスクを収納
したカセット112 はゲートバルブ107b及びアンロードロ
ック室(図示せず)を経由して大気中へとりだされた。
以上の様にして内周マスクおよび外周マスクは大気にさ
らされることなく、真空チャンバー内で交換され繰り返
し使用された。
【0040】この様にして光磁気ディスクを 500枚連続
作成したが、成膜ディスクの反りや、スパッター層の剥
離のあるものは1枚もなかった。
【0041】比較例 図1の装置を用い、冷却部位118 の押し付け駆動を停止
させて、各回毎のマスク冷却を行わなかった以外は、実
施例1と同様に運転したところ、10枚目で成膜ディスク
のマスキング部に、マスクの熱で部分的に溶けた跡形が
観察された。
【0042】
【発明の効果】本発明に依ると、マスキングに依るスパ
ッター製膜法より成る光磁気ディスクの製造方法におい
て、マスクの脱着を繰り返し行っても、マスクの蓄熱に
依るディスク基板の損傷も生ぜず、ディスクの成膜層の
剥離も生じないため剥離ダスト片による光磁気ディスク
の欠陥の発生は抑制され、歩留りも向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するためのスパッター装置の側面
図である。
【図2】本発明を説明するためのスパッター装置の正面
図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は、本発明のガスを介
して冷却する方法の冷却装置の例を示す略図である。
【図4】(a)、(b)は、本発明のゴム材を用いて冷
却する方法の冷却装置の例を示す略図である。
【図5】内周マスクをガスを用いて冷却する実験装置の
断面図である。
【図6】内周マスクをゴム材を用いて直接接触伝熱で冷
却する実験装置の断面図である。
【図7】外周マスクをゴム材を用いて直接接触伝熱で冷
却する実験装置の断面図である。
【図8】図6の装置を用いて内周マスクを直接伝熱で冷
却したときの内周マスク温度波形である。
【図9】図6の装置を用いて内周マスクを直接伝熱で冷
却したときの押し付け冷却時間に対する内周マスク冷却
温度幅△Tの依存性を3ケの異なる冷却面温度−15℃、
+25℃、+75℃に対して示した図である。
【図10】図6の装置を用いて内周マスクを直接伝熱で
冷却したときの冷却面温度に対する内周マスク冷却温度
幅△Tの依存性を示した図である。
【図11】図6の装置を用いて内周マスクを直接伝熱で
冷却したときの各種材料の冷却効率の比較を示した図で
ある。
【図12】図6の装置を用いて内周マスクを直接伝熱で
冷却したときの押し付け荷重に対する内周マスク冷却温
度幅△Tの依存性を3ケの異なる冷却面温度−15℃、+
25℃、+75℃に対して示した図である。
【図13】図5の装置を用いて内周マスクをガス伝熱媒
体を通して冷却したときの内周マスク冷却温度幅△Tの
冷却面温度に対する依存性を示した図である。
【図14】図7の装置を用いて外周マスクを直接伝熱で
冷却したときの冷却温度幅△Tの円周方向分布を示した
図である。
【符号の説明】
101…真空チャンバー 102…スパッター電極 103…ホールダー 104…外周マスク 105…ディスク基板 106…内周マスク 107a,107b…ゲートバルブ 108…アーム回転モーター 109…ターボ分子ポンプ 110…回転アーム円板 111…マスク着脱機構 112…カセット 113…上下昇降機構突き上げ部 114…上下昇降機構駆動部 115…マスク交換着脱部位 116…アーム円板回転方向 117a,117b,117c,117d…スパッター成膜部位 118…マスク冷却部位 201…ディスク基板 202…ホールダー 203…外周マスク 204…内周マスク 205…支持体 206…前後駆動機構 207…ガス供給管 208…真空チャンバー 209…オーリング 210…ガストラップ蓋体 211…押し付け支持体 212…ゴム材 301…真空チャンバー 302…真空用ベローズ 303…押し付け駆動機構 304…押し付け棒 305…真空排気系 306a,306b,…銅筒 307a,307b…ヒーター 308…冷媒循環管 309…冷却ポット 310…ガス供給管 311…ニードル弁 312…冷却面 313…オーリング 314…内周マスク 315a,315b,315c,315e,315f…熱電対 316a,316b…ゴム材 317…外周マスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 和義 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 (72)発明者 小林 利美 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 (72)発明者 福島 慎泰 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスク基板の一部をマスキングし、非
    マスキング部をスパッター成膜する光磁気ディスクの製
    造方法において、スパッター成膜装置内での該マスクの
    脱着を真空中で行い、該マスクを繰り返し使用すること
    を特徴とする光磁気ディスクの製造方法。
  2. 【請求項2】 スパッター成膜中に蓄熱されたマスクの
    熱を除熱する際、該マスクと冷却に与かる冷却面の間に
    ガスを供給して除熱することよりなる請求項1に記載の
    光磁気ディスクの製造方法。
  3. 【請求項3】 ガスが不活性ガスであることよりなる請
    求項2に記載の光磁気ディスクの製造方法。
  4. 【請求項4】 スパッター成膜中に蓄熱されたマスクの
    熱を除熱する際、冷却に与かる冷却面に取り付けたゴム
    材を該マスクに接触させて除熱することよりなる請求項
    1に記載の光磁気ディスクの製造方法。
  5. 【請求項5】 該ディスク基板の温度を摂氏80℃以下と
    することよりなる請求項2または4のいずれかに記載の
    光磁気ディスクの製造方法。
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