JPH08217997A - 水性エマルション塗料 - Google Patents

水性エマルション塗料

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JPH08217997A
JPH08217997A JP4897795A JP4897795A JPH08217997A JP H08217997 A JPH08217997 A JP H08217997A JP 4897795 A JP4897795 A JP 4897795A JP 4897795 A JP4897795 A JP 4897795A JP H08217997 A JPH08217997 A JP H08217997A
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water
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Motohiro Sasaki
基寛 佐々木
Yutaka Nakao
豊 中尾
Yoshiki Tachibana
佳樹 橘
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 煙草の煙などで汚染された室内壁面、天井な
どの室内を塗装するのに適した水性エマルション塗料を
を提供する。 【構成】 シリカ粒子、シリカアルミナ粒子、珪酸塩粒
子のいずれかからなる不定形珪素含有粒子表面に水不溶
性アルミニウム化合物を吸着させた複合粒子を含有する
水性エマルション塗料である。 【効果】 上記複合粒子は、塗料溶媒によって塗膜中に
溶解した被塗面の汚染物質、特に煙草のヤニに吸着し、
塗膜表面への染み出しを防止すると共に、塗膜の艶消し
効果もある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水性エマルション塗料、
特に煙草の煙などで汚染された室内壁面、天井などの室
内を塗装するのに適した水性エマルション塗料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】住宅やオフィスの室内の壁面や天井等の
塗り替え、車両内の壁、天井等の塗り替えには、一般に
常乾型と呼ばれる有機溶剤系のエマルション塗料が用い
られている。しかし、近年では、臭気などの環境面や消
防法の観点から、水性エマルション塗料の需要が高まっ
てきている。
【0003】通常、室内の壁面や天井は、落書き、煙草
の煙などによる汚染物によって汚染されているケースが
多く、特に煙草の煙による汚染物質は水性成分が多いた
め、水性エマルション塗料を塗装した後に、塗膜表面に
煙草の煙によるヤニが染み出して、美観を著しく損ねる
という問題があった。従って、美観の問題から現在も有
機溶剤系のエマルション塗料が使用される傾向が強い。
【0004】そこで、近年、塗装後における塗膜表面の
汚染物質の染み出しを防止することを目的とした水性エ
マルション塗料が提案されている。例えば、特開平5−
59304号公報の「水性エマルション塗料」には、水
性エマルション塗料に顔料分として活性アルミナおよび
/または活性白土を配合し、水性エマルション塗料の塗
料溶媒で塗膜中に溶解した上記汚染物質をこの顔料分に
吸着させて、塗膜表面に染み出すことを防止することが
開示されている。
【0005】また、特開平6−207124号公報の
「水性エマルション塗料」には、上述の活性アルミナお
よび/または活性白土の代わりに、ハイドロタルサイト
類を顔料分として水性エマルション塗料に配合して、水
性エマルション塗料の塗料溶媒で塗膜中に溶解した上記
汚染物質をこの顔料分に吸着させて、塗膜表面に染み出
すことを防止することが記載されている。
【0006】しかしながら、その効果も十分でなく、例
えば被塗面に白又は淡彩色の塗装仕上げを行う場合に
は、汚染物質が染み出す(ブリージング)ことに起因し
た黄ばみ等の難点が見られ、シーラーを必要とするのが
現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、近年、水性シ
ミ止めシーラーによる塗装が実用化され始めた。この水
性シミ止めシーラーは、有機溶剤系ではないので、環境
面・消防面に優れ、かつヤニ等の汚染物質の塗膜表面へ
の染み出しを防止することができる。
【0008】しかしながら、水性シミ止めシーラーは、
酸性であるため煙草のヤニ成分と反応する。従って、例
えばヤニ止め効果はある。しかし、被塗面をこの水性シ
ミ止めシーラーによりシーリングした後に、更に別の塗
料を上塗りする必要があり、壁面や天井の塗り替えの工
程数が増加し、作業が煩雑でかつ作業時間が長時間化す
るという問題があった。
【0009】本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、煙草の煙などで汚染された
室内壁面、天井などの室内を塗装するのに適した水性エ
マルション塗料を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、不定形珪素含有粒子表面に水不溶性アル
ミニウム化合物を吸着させた複合粒子を含有する水性エ
マルション塗料である。
【0011】本発明における上記複合粒子は、塗料溶媒
によって塗膜中に溶解した被塗面の汚染物質、特に煙草
のヤニを吸着し、塗膜表面への染み出しを防止する吸着
材であると同時に、塗膜の艶消し材でもある。
【0012】本発明において、不定形とは、真球と盤状
以外の形状をいう。また、発明における不定形珪素含有
粒子とは、真球と盤状以外の形状であって、相互に不揃
いの形状を有する粒子のことをいう。本発明において、
上記不定形珪素含有粒子としたのは、艶消し機能を有す
る室内等用の塗料を得るためである。すなわち、粒子が
真球又は盤状であると光の反射による塗膜に艶が出てし
まい、室内等の塗装には適さなくなるからである。
【0013】本発明の不定形珪素含有粒子としては、シ
リカ粒子、シリカアルミナ粒子、珪酸塩粒子が挙げられ
る。シリカ粒子としては、「ミズカシルシリーズ P−
553A」(水澤化学工業(株)製)、「ミズカシルシ
リーズ P−707」(同社製)、「ミズカシルシリー
ズ P−802」(同社製)、「ミズカソーブ S−
0」(同社製)、「ミズカソーブ C−1」(同社
製)、「ラジオナイト」(昭和化学(株)製、珪藻土)
等が挙げられる。シリカアルミナ粒子としては、「ミズ
カエース」(水澤化学工業(株)製)、「シリカアルミ
ナ触媒 N633L」(日揮化学(株)製)、「シリカ
アルミナ触媒 N633HN」(日揮化学(株)製)、
「トプコ(パーライト)TP−38」(昭和化学(株)
製)、「トプコ(パーライト)TP−54」(昭和化学
(株)製)等が挙げられる。珪酸塩粒子としては、珪酸
カルシウム(「シルホナイト」(水澤化学工業(株)
製)等)、珪酸ガリウム、珪酸マグネシウム(セピオラ
イト等)、珪酸アルミニウム、含水珪酸アルミニウム等
が挙げられる。含水珪酸アルミニウムとしては、合成、
天然、縮合系のものがあり、天然の含水珪酸アルミニウ
ムは、カオリン、活性白土等が挙げられる。
【0014】上記不定形珪素含有粒子の比表面積は、好
ましくは10〜1000m2 /gであり、50〜500
2 /gであることがより好ましい。上記不定形珪素含
有粒子の比表面積が10m2 /g未満の場合には、アル
ミニウム化合物吸着処理を行っても効果がないという不
都合があり、一方比表面積が1000m2 /gを超える
と、給油量が急激に増すため塗料設計ができなくなると
いう不都合がある。尚、比表面積は、N2 吸着によるB
ET法によって得られた値である。
【0015】上記不定形珪素含有粒子表面に水不溶性ア
ルミニウム化合物を吸着処理する方法(以下「アルミ吸
着処理方法」という)としては、特開平3−28766
9号公報の「アルミニウム化合物複合シリカ担体及び球
状複合顔料」に記載された以下の方法が挙げられる。水
不溶性アルミニウム化合物としては、塩基性アルミニウ
ム塩、アルミナ、アルミナ水和物が好ましい。
【0016】まず、塩基性アルミニウム塩を不定形珪素
含有粒子に吸着させる方法としては、例えば(1)上記
不定形珪素含有粒子を塩基性アルミニウム塩水溶液中で
攪拌させながら加水分解処理を行い、塩基性アルミニウ
ム塩の加水分解物を不定形珪素含有粒子に吸着させる方
法と、(2)ポリ塩化アルミニウム水溶液中で不定形珪
素含有粒子を攪拌させながら、加水分解処理を行い、ポ
リ塩化アルミニウムの加水分解物を不定形珪素含有粒子
に吸着させる方法と、が挙げられる。上記ポリ塩化アル
ミニウムの一般式は、[Al2 (OH)n Cl6-n m
と表され、例えば、「PAC」(多木化学(株)製、(p
H3.5〜5.0)、(1W/V%) )、「TKフロック」(多木化学
(株)製、(pH2.7〜3.3)、(1W/V%) )等が挙げられる。
【0017】また、アルミナ水和物を不定形珪素含有粒
子に吸着させる方法としては、例えば、(3)上記不定
形珪素含有粒子をアルミニウム塩水溶液中で攪拌し、ア
ンモニア又はアルカリを添加する方法、(4)上記不定
形珪素含有粒子をアルミン酸ナトリウム水溶液中で攪拌
し、酸を添加する方法、(5)上記不定形珪素含有粒子
をアルミニウム塩水溶液中で攪拌し、尿素を添加して加
熱する方法(尿素方法、又は均一沈殿法ともいう)等が
挙げられる。
【0018】本発明の特徴は、上記アルミ吸着処理にお
いて焼成工程は不要であり、上記(1)の方法における
アルミ吸着処理温度は、50〜100℃、好ましくは7
0〜100℃である。この温度範囲でヤニに対する吸着
能を有するスラリー状の複合粒子が得られる。また、上
記(2)の方法におけるアルミ吸着処理温度は、30〜
100℃、好ましくは50〜100℃である。また、上
記(5)の方法におけるアルミ吸着処理温度は、70〜
100℃、好ましくは80〜100℃である。上記
(1)〜(5)の各方法においてはスラリー状の複合粒
子が得られ、このスラリーはそのまま水性エマルション
塗料に配合できる。但し、いずれの方法においても、更
にスラリー状の複合粒子を特開平3−287669号公
報の記載のように乾燥及び焼成を行ってから、水性エマ
ルション塗料に配合してもよい。
【0019】上記いずれの方法によっても、不定形珪素
含有粒子の表面に水不溶性アルミニウム化合物が吸着し
た複合粒子が得られ、その表面には、水酸基が存在する
こととなる。この水酸基が、水溶性のヤニを有効に吸着
していると考察される。
【0020】上記いずれかのアルミ処理方法を用いて、
上述の不定形珪素含有粒子を核としてこの不定形珪素含
有粒子に対して重量比で1/20〜1/1の水不溶性ア
ルミニウム化合物を吸着させて、粒径0.1〜50μ
m、好ましくは1〜20μmの形状の不揃いな複合粒子
を得る。ここで、粒径は、複合粒子の最長径をいう。粒
径が0.1μm未満の場合には、艶消し効果が低下し、
汚染物質、特にヤニに対する吸着力が不十分となり、汚
染物質が塗膜表面に染み出してしまう。一方、粒径が5
0μmを超えると、塗膜表面がザラつき肌荒れ状態とな
り、仕上がりが良好でない。尚、本発明において、粒径
は、走査型電子顕微鏡(SEM)により視野中の粒子群
を撮影し、その写真に基づいて測定した。
【0021】また、本発明の水性エマルション塗料のビ
ヒクル成分となる樹脂エマルションとしては、従来水性
エマルション塗料分野でビヒクルとして使用されている
ものであればよく、例えば、アクリルエマルション、ア
クリル共重合エマルション、酢酸ビニルエマルション、
酢酸ビニル共重合エマルション等が挙げられる。
【0022】本発明の水性エマルション塗料における上
記複合粒子の配合量は、塗料中の樹脂エマルションの固
形分100重量部に対して、2〜300重量部であるこ
とが好ましく、より好ましくは10〜100重量部であ
る。上記複合粒子の配合量が2重量部未満の場合には、
汚染物質、特にヤニへの吸着能が十分発揮できず、塗膜
表面にヤニが染み出してしまう。一方、上記複合粒子の
配合量が300重量部を超えると、塗膜表面にザラつき
が生じ、塗膜が肌荒れ状態になり、仕上がりが良好でな
い。
【0023】また、本発明の水性エマルション塗料は、
上記樹脂エマルション、複合粒子以外に、必要に応じ
て、更にチタン白、ベンガラ、カーボンブラック、フタ
ロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アゾ系レ
ッドなどの着色顔料や、炭酸カルシウム、タルク、クレ
ー、シリカ、バリタ、マイカなどの通常塗料分野で使用
される体質顔料や、溶剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、造
膜助剤、防腐剤、凍結防止剤などの塗料用添加剤などを
含有することができる。
【0024】また、本発明の水性エマルション塗料を製
造する方法は、従来一般に行われている方法でよく、従
って本発明の水性エマルション塗料は、例えば前記樹脂
エマルション中に、複合粒子、必要に応じて水や上記塗
料用添加剤を添加して、攪拌装置により均一に分散する
ことにより得ることができる。
【0025】
【作用】本発明の水性エマルション塗料によれば、不定
形珪素含有粒子表面に水不溶性アルミニウム化合物が吸
着した複合粒子を含有し、この複合粒子は、光を乱反射
するために、この水性エマルション塗料による塗膜は良
好な艶消し効果を奏する。
【0026】また、本発明の複合粒子は、不定形珪素含
有粒子の表面に吸着させた水不溶性アルミニウム化合物
の表面に水酸基があるので、この水酸基によって、汚染
物質の1つである水溶性のヤニに有効に吸着すると考察
される。従って、この複合粒子は吸着材として機能し、
例えば被塗面に白又は淡彩色の塗装仕上げを行う場合に
も、汚染物質が染み出す(ブリージング)ことがなく、
仕上げの良好な塗装を行うことができる。
【0027】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明する。
【0028】なお、実施例及び比較例において用いた水
性エマルション塗料の製造例及び水性エマルション塗料
に供される各成分の製造例は、以下の通りである。
【0029】(A)樹脂エマルションの製造例:1リッ
トルの4つ口フラスコにイオン交換水200部を仕込
み、窒素置換後80℃に昇温し、この温度に保持したま
ま、フラスコ内に下記表1の成分のプレエマルションを
3時間かけて滴下した。
【0030】
【表1】 イオン交換水 174.3重量部 エマール20CM *1 20.3重量部 メチルメタクリレート 122.4重量部 n−ブチルメタクリレート 122.4重量部 スチレン 155.0重量部 アクリル酸 8.2重量部 10%過硫酸アンモニウム 20.3重量部 (註)*1:「エマール20CM」:花王(株)製のアニ
オン界面活性剤。
【0031】滴下終了時から30分経過後に10%過硫
酸アンモニウム1重量部を滴下し、更に2.5時間、8
0℃に保ち、その後、30℃まで冷却して更に28%ア
ンモニア水5重量部を加えてpH8.5からpH9.0
の間に調製し、エマルション液を得た。このエマルショ
ン液の樹脂固形分は、50.5%であった。
【0032】(B)複合粒子の製造例: 製造例1.水道水100重量部に対してポリ塩化アルミ
ニウム(「PAC 250−AD」多木化学(株)製、
Al2 3 として30%以上)を3重量部溶解させ、温
度80℃に保ちながら、シリカ粒子(「ミズカソーブ
C−1」水澤化学工業(株)製)を5部添加し、攪拌し
た。分散状態のまま約1時間保持した。得られた粒子
(平均粒径6.5μm、比表面積360m2 /g)を洗
浄後、遠心分離して、一定の固形分濃度に調製した。
【0033】製造例2.水道水100重量部に対してポ
リ塩化アルミニウム(「PAC 250−AD」多木化
学(株)製、Al2 3 として30%以上)を3重量部
溶解させ、温度60℃に保ちながら、珪酸カルシウム
(日本インシュレーション(株)製)を5部添加し、攪
拌した。分散状態のまま約1時間保持した。得られた粒
子を洗浄後、遠心分離して、一定の固形分濃度に調製し
た。この粒子の平均粒径は20μm、比表面積は60m
2 /gであった。
【0034】製造例3.水道水100重量部に対して塩
基性塩化アルミニウム(「ロクロン−P」ヘキスト
(株)製)を20重量部溶解させ、温度95℃に保ちな
がら、珪酸カルシウム(日本インシュレーション(株)
製)を5部添加し、攪拌した。分散状態のまま約1時間
保持した。得られた粒子を洗浄後、遠心分離して、一定
の固形分濃度に調製した。この粒子の平均粒径は20μ
m、比表面積は68m2 /gであった。
【0035】製造例4.水道水100重量部に対して硝
酸アルミニウム・9水和物(和光純薬(株)製)を7重
量部、尿素23重量部を溶解させ、温度90℃に保ちな
がら、珪酸カルシウム(日本インシュレーション(株)
製)を5部添加し、1時間攪拌した。得られた粒子(平
均粒径20μm、比表面積60m2 /g)を洗浄後、遠
心分離して、一定の固形分濃度に調製した。
【0036】(C)顔料ペーストの製造例:1リットル
のステンレスの容器に下記表2の組成を配合し、直径
1.5mmのガラスビーズ500重量部と共に攪拌機に
て30分間攪拌して顔料ペーストを得た。
【0037】
【表2】 水 道 水 238重量部 ポイズ 530 *1 12重量部 SNデフォーマー154 *2 4重量部 炭酸カルシウム *3 154重量部 チタンR−930 *4 200重量部 複 合 粒 子 *5 3重量部 計 611重量部 (註)*1:花王(株)製、分散剤 *2:サンノプコ(株)製、消泡剤 *3:丸尾カルシウム(株)製 *4:石原産業(株)製 *5:上記(B)の製造例1により製造された複合粒子。
【0038】(D)水性エマルション塗料の製造例: 実施例1.上記(C)の製造例により得られた顔料ペー
スト611重量部に対して、上記(A)の製造例で得ら
れたエマルション液284重量部及びブチルセロソルブ
20重量部、25%アンモニア水3重量部、SNデフォ
ーマー154(サンノプコ(株)製、消泡剤)を2重量
部、エチレングリコール10重量部を加えて、20分間
攪拌して水性エマルション塗料を得た。この水性エマル
ション塗料の複合粒子の含有量は、塗料中の樹脂エマル
ションの固形分100重量部に対して、2重量部であっ
た。これを実施例1に供した。
【0039】実施例2〜4.上記(C)の製造例に準じ
て、顔料ペースト中の複合粒子の含有量を調整し、上記
実施例1に準じて上記(A)の製造例で得られたエマル
ション液等を配合して、塗料中の樹脂エマルションの固
形分100重量部に対して、それぞれ複合粒子の含有量
が10、30、100重量部になるように水性エマルシ
ョン塗料を調製した。これらを、それぞれ実施例2、
3、4に供した。
【0040】実施例5〜8.市販品の水性エマルション
塗料である「Hi−ビニレックス 70」(日本ペイン
ト(株)製、アクリルエマルション塗料、JIS K5
663、1種品)に、この塗料中の樹脂エマルションの
固形分100重量部に対して、複合粒子の含有量が30
重量部になるように上記製造例1,2,3,4の複合粒
子を配合して調製し、これを実施例5〜8に供した。
【0041】比較例1〜4.上記(C)の製造例に準じ
て、顔料ペースト中に、下記表3に示す示す各粒子を適
量配合し、この顔料ペーストを上記実施例1に準じて上
記(A)の製造例で得られたエマルション液等と混合し
て、塗料中の樹脂エマルションの固形分100重量部に
対して、各粒子の含有量が30重量部になるように水性
エマルション塗料を調製した。これらを、それぞれ比較
例1、2、3、4に供した。
【0042】比較例5.市販品の水性エマルション塗料
である「Hi−ビニレックス 70」(日本ペイント
(株)製、アクリルエマルション塗料)を用いた。
【0043】(E)評価方法:I.ヤニ止め効果の評価方法 :煙草葉のアルコール抽出
液をUV装置で一定の吸光度に保っておく。「Hi−ビ
ニレックス 70」(日本ペイント(株)製、水性エマ
ルション塗料)をガラス板に6milドクターブレード
で塗布し、乾燥後にこれを分光測色計(ミノルタ(株)
製)にて測定し、そのb値をb1 とする。この塗膜上に
ヤニ抽出液を一定の濃度で塗布し乾燥させた。その後、
このヤニ上に上記実施例1〜5および比較例1〜5の水
性エマルション塗料を6milドクターブレードで2回
塗り重ねて、乾燥後のb値を測定した。この時のb値を
2 とする。耐ヤニ止め性は、Δb=b2 −b1 の式に
より求め、このΔbをヤニ止め特性値とした。
【0044】従って、Δbが0に近いほどヤニ止め効果
が高く、一方Δbが3以上の場合にはヤニ止め効果が不
良であると判定した。
【0045】II.艶消し効果の評価方法:上記実施例1
〜8および比較例1〜5の水性エマルション塗料をガラ
ス板に6milドクターブレードで塗布し、光沢計(ス
ガ試験機(株)製)で60度グロスを測定した。
【0046】実施例1〜8および比較例1〜5 下記表3に上述した実施例1〜8、比較例1〜5の水性
エマルション塗料の性能評価結果を示す。
【0047】
【表3】 これらの結果から、本発明の水性エマルション塗料によ
れば、配合されている複合粒子が汚染物質の1つである
ヤニに有効に吸着する吸着材としての効果を奏すると共
に、有効な塗膜の艶消し効果を有することが判明した。
【0048】更に、本発明の好ましい他の実施態様を以
下に示す。
【0049】1.不定形珪素含有粒子は、シリカ粒子、
シリカアルミナ粒子、珪酸塩粒子である。
【0050】2.上記「1.」の不定形珪素含有粒子を塩
基性アルミニウム塩(Aln (OH)m Clo 、3n=
m+o)水溶液中で、温度50〜100℃に保つか、ポ
リ塩化アルミニウム水溶液中で30〜100℃に保つ
か、又はアルミニウム塩と尿素との混合水溶液を70〜
100℃以上に保ち、水不溶性アルミニウム化合物を不
定形珪素含有粒子の表面に吸着させるいずれかの方法に
より、水性エマルション塗料に配合する複合粒子のスラ
リーを得る。
【0051】3.上記「2.」で得られた複合粒子のスラ
リーは、乾燥させずに水性エマルション塗料中にそのま
ま配合される。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る水性エマル
ション塗料によれば、不定形珪素含有粒子表面に水不溶
性アルミニウム化合物が吸着した複合粒子を含有し、こ
の複合粒子が光を乱反射するために、この水性エマルシ
ョン塗料による塗膜は良好な艶消し効果を奏する。
【0053】また、本発明の複合粒子は、不定形珪素含
有粒子の表面に吸着させた水不溶性アルミニウム化合物
の表面に水酸基を有するので、この水酸基によって、汚
染物質の1つである水溶性のヤニを有効に吸着すると考
察される。従って、この複合粒子は吸着材として機能
し、例えば被塗面に白又は淡彩色の塗装仕上げを行う場
合にも、汚染物質が染み出す(ブリージング)ことがな
く、仕上げの良好な塗装を行うことができる。
【0054】更に、本発明の塗料は水系の塗料であるた
め、塗装作業の環境を損ねることなく、また消防の点で
も安心な塗料を提供することができる。また、水性シミ
止めシーラーによる塗装に比べ、塗装作業の工程数を削
減でき、作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いる不定形珪素含有粒子の形状を
示す走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である。
【図2】 比較例に用いた真球粒子の形状を示す走査型
電子顕微鏡写真(SEM写真)である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不定形珪素含有粒子表面に水不溶性アル
    ミニウム化合物を吸着させた複合粒子を含有することを
    特徴とする水性エマルション塗料。
JP4897795A 1995-02-14 1995-02-14 水性エマルション塗料 Pending JPH08217997A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002138252A (ja) * 2000-11-02 2002-05-14 Takatoshi Fujino 珪藻土含有塗料組成物
WO2021100400A1 (ja) * 2019-11-20 2021-05-27 東ソー・シリカ株式会社 水性塗料用表面処理沈降シリカ

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