JPH08217744A - ウレタンの連続的製造法 - Google Patents

ウレタンの連続的製造法

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JPH08217744A
JPH08217744A JP2423095A JP2423095A JPH08217744A JP H08217744 A JPH08217744 A JP H08217744A JP 2423095 A JP2423095 A JP 2423095A JP 2423095 A JP2423095 A JP 2423095A JP H08217744 A JPH08217744 A JP H08217744A
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reaction
urethane
ammonia
hydroxyl compound
aliphatic
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JP2423095A
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English (en)
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Yukio Yamawaki
幸男 山脇
Kazunori Yamataka
一則 山高
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 副反応を抑制し、且つ反応液中のアンモニア
濃度を効率的に低下させることによりウレタンを高収率
で得られる連続的製造法を提供する。 【構成】 尿素および/またはN−無置換カルバミン酸
エステル、有機ヒドロキシル化合物および1級ポリアミ
ンを連続的に反応塔に供給し、生成するウレタンを含む
反応液を反応塔の底部より抜き出してなるウレタンの連
続的製造法において、a)混合液中のアンモニア濃度を
0.1〜300ppmに維持すること、b)反応塔の底
部での混合液の平均滞留時間を0.01〜0.5時間に
維持すること、c)反応温度を160〜240゜Cに維
持することを特徴とするウレタンの連続的製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マスクドイソシアナー
トおよびイソシアナートの中間原料等に広く用いられて
いるウレタンの製造法に関する。さらに詳しくは、1級
アミンを芳香族ヒドロキシル化合物と尿素および/また
はN−無置換カルバミン酸エステルとを反応させて、副
生するアンモニアを反応系から除去しながら反応させて
得られるウレタンの連続的製造法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、イソシアナートは第1級アミンとホ
スゲンとの反応によって製造されているが、この方法は
猛毒のホスゲンを使用すること、腐食性の塩化水素ガス
が大量に副生すること、さらにはイソシアナートと分離
困難な加水分解性の塩素化合物が副生し、これが製品中
に混入するなどの欠点を有しており、このためホスゲン
を使用しないイソシアナートの工業的製法の確立が強く
求められてきた。
【0003】特開昭55−120551号公報(米国特
許4,297,501号明細書)には、ホスゲンを用い
ない脂肪族O−アリールウレタンの製造法として、1級
アミン、一酸化炭素および脂肪族アルコールまたは芳香
族ヒドロキシル化合物から、貴金属触媒を用いて酸化的
にウレタン化する方法が記載されている。しかし、この
方法も、毒性の強い一酸化炭素を使用すること、および
高価な貴金属触媒を用いるために、生成物であるウレタ
ンから触媒を回収するには、煩雑な操作と多大な費用を
要することなどの問題点を有している。
【0004】また、米国特許3,873,553号明細
書には,N−アルキル−N’,N’−ジアルキル尿素、
芳香族ヒドロキシル化合物、および塩化水素ガスを反応
させて、N−アルキル−O−アリールウレタンを製造す
る方法が記載されている。しかし、この方法も、腐食性
の塩化水素ガスを使用すること、および副生するN,
N’−ジアルキルアミンの塩酸塩からウレタンを回収す
るには、煩雑な操作と多大な費用を要する問題点を有し
ている。
【0005】一方、米国特許2,677,698号明細
書には、ホスゲンを用いない脂肪族モノウレタンの製造
法として、1段目で脂肪族1級アミンをと尿素からN,
N’−ジアルキル尿素をつくり、2段目でN,N’−ジ
アルキル尿素とヒドロキシル化合物を反応させて脂肪族
モノウレタンを製造し、副生する1級アミンを分離回収
して1段目に戻す方法が記載されている。しかし、この
方法はウレタンの収率が低いだけでなく、反応が2段で
且つ1級アミンのリサイクル設備を要するため、工程が
極めて煩雑で工業的に実施するのに満足すべきものでな
い。
【0006】また、特開平6−41045号公報には脂
肪族1級ポリアミンと尿素、およびアルコールとからビ
ス尿素を製造した後、脂肪族O−アルキルポリウレタン
を製造する方法が記載されている。しかし、この方法も
反応が2段で且つ滞留時間が非常に長くなる点で問題で
ある。また、1段で脂肪族1級アミンとヒドロキシル化
合物および尿素とを反応させて、脂肪族ウレタンを製造
する方法がいくつか提案されている。
【0007】例えば、米国特許2,409,712号明
細書には、脂肪族1級アミンおよび尿素を脂肪族アルコ
ールと反応させて、脂肪族O−アルキルモノウレタンを
製造する方法が記載されている。また、特開昭55−1
45657号公報(西独特許2,917,493号明細
書)には、脂肪族1級ポリアミンを尿素または尿素化合
物の存在下で脂肪族アルコールと反応させて、脂肪族O
−アルキルポリウレタンを製造する方法が記載されてい
る。さらにこれらの改良法として、特開昭56−103
153号公報(西独特許2,943,551号明細
書)、特開昭56−103153号公報(西独特許2,
943,550号明細書)には、脂肪族1級ポリアミン
を尿素およびN−無置換ウレタンの存在下で脂肪族アル
コールと反応させて、脂肪族O−アルキルポリウレタン
を製造する方法が記載されている。
【0008】しかしながら、上記の1段の方法で得られ
る脂肪族ウレタンは、いずれも脂肪族O−アルキルウレ
タンである。このように、O−アリールウレタンが除外
されているのは公知文献の記載からみて以下のような理
由によるものと推定される。例えば、S.R.Sandler、W.K
aro著「官能基別 有機化合物合成法II」、248頁
(1971年 広川書店刊)には尿素とアルコールから
は容易にカルバミン酸O−アルキルを合成できるが、尿
素と芳香族ヒドロキシル化合物からカルバミン酸O−ア
リールを生成することは困難であることの記載がある。
【0009】一方、脂肪族O−アリールウレタンを製造
する方法として、特開平2−759号公報、特開平3−
20254号公報には、尿素および/またはカルバミン
酸O−アリール、芳香族ヒドロキシル化合物と脂肪族1
級アミンとの1段反応から脂肪族O−アリールウレタン
を製造する方法が開示されている。これらの方法では、
反応蒸留法や不活性ガスを多量に導入する方法を用いる
等、アンモニアの除去に関してかなりの改善がみられる
が、依然、反応液中のアンモニア濃度は高く、アンモニ
ア濃度を低減するのには改善の余地がある。さらに、脂
肪族アミンの中でも反応速度の遅い脂環族アミン等への
適用に関しては、反応温度を高めて反応を加速する方法
等をとっているが収率的に満足のできるものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来の欠点を除いてウレタンの高収率の得
られる製造法を提供することである。さらに詳しくは、
ウレタンを高温下に長時間滞留させることで生ずる副反
応を抑制しつつ、反応液中のアンモニア濃度をより効率
的に低下させることにより、特に反応速度の遅い脂環族
アミンからのウレタン製造においても高収率の得られる
製造法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
技術の課題を克服すべく鋭意検討の結果、本発明にいた
った。即ち、本発明は、1級ポリアミンを尿素および/
またはN−無置換カルバミン酸エステル、有機ヒドロキ
シル化合物とともに反応塔に連続的に供給し、触媒の存
在下または不存在下で反応させて、相応するウレタンを
生じさせ、このウレタンを含む反応液を反応塔の底部よ
り抜き出すことからなるウレタンの連続的製造法におい
て、 a)反応塔内で発生するアンモニアを反応塔から連続的
に抜き出し、反応液中のアンモニア濃度を0.1〜30
0ppmに維持すること、 b)反応塔の底部での混合液の平均滞留時間を0.01
〜0.5時間に維持すること、 c)反応温度を160〜240゜Cに維持すること、を
特徴とするウレタンの連続的製造法である。
【0012】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
に用いられる有機ヒドロキシル化合物としては、脂肪族
と芳香族のヒドロキシル化合物がある。脂肪族ヒドロキ
シル化合物は、脂肪族残基に直接ヒドロキシル基が結合
しているものであれば、どのようなものであってもよ
い。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペン
タノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール等の
脂肪族第1級アルコールが好ましい。このような脂肪族
ヒドロキシル化合物は1種だけでもよいし、2種以上混
合して用いることもできる。
【0013】一方、芳香族ヒドロキシル化合物として
は、芳香族残基に直接ヒドロキシル基が結合しているも
のであれば、どのようなものであってもよい。例えば、
フェノール;クレゾール(各異性体)、キシレノール
(各異性体)、エチルフェノール(各異性体)、プロピ
ルフェノール(各異性体)等の各種アルキルフェノール
類;メトキシフェノール(各異性体)、エトキシフェノ
ール(各異性体)等の各種アルコキシフェノール類;ク
ロロフェノール(各異性体)、ブロモフェノール(各異
性体)、ジクロルフェノール(各異性体)、ジブロモフ
ェノール(各異性体)等のハロゲン化フェノール類;メ
チルクロルフェノール(各異性体)、エチルクロルフェ
ノール(各異性体)、メチルブロモフェノール(各異性
体)、エチルブロモフェノール(各異性体)等のアルキ
ルおよびハロゲン置換フェノール類;ニトロフェノール
(各異性体)、ニトロナフトール(各異性体)等のニト
ロ置換芳香族ヒドロキシル化合物類;シアノフェノール
(各異性体)、シアノナフトール(各異性体)等のシア
ノ置換芳香族ヒドロキシル化合物類等が用いられる。こ
のような芳香族ヒドロキシル化合物は1種だけでもよい
し、2種以上混合して用いることもできる。また、蒸留
分離の容易なことから芳香族モノヒドロキシル化合物を
用いるのが好ましい。その中でも、沸点が低いフェノー
ルを用いるのがさらに好ましい。
【0014】本発明に用いられる1級ポリアミンとして
は、脂肪族1級ポリアミンや芳香族1級ポリアミンが挙
げられるが、二つ以上の1級アミノ基が脂肪族炭素原子
に結合している脂肪族1級ポリアミンであれば好まし
い。このような脂肪族1級ポリアミンとしては、例え
ば、エチレンジアミン、ジアミノプロパン(各異性
体)、ジアミノブタン(各異性体)、ジアミノペンタン
(各異性体)、ジアミノヘキサン(各異性体)、ジアミ
ノデカン(各異性体)等の脂肪族1級ジアミン類;トリ
アミノヘキサン(各異性体)、トリアミノノナン(各異
性体)、トリアミノドデカン(各異性体)、1,8−ジ
アミノ−4−アミノメチル−オクタン、2,6−ジアミ
ノカプリン酸−2−アミノエチルエステル、1,3,6
−トリアミノヘキサン、1,6,11−トリアミノウン
デカン等の脂肪族1級トリアミン類;トリアミノシクロ
ブタン、ジアミノシクロヘキサン(各異性体)、3−ア
ミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルア
ミン、トリアミノシクロヘキサン(各異性体)、ジ(ア
ミノメチル)ピリジン(各異性体)、ジ(アミノメチ
ル)ナフタレン(各異性体)等の脂環族および芳香脂肪
族1級ポリアミン類などである。
【0015】また、これらの1級ポリアミンの骨格を作
っている脂肪族基、脂環族基、芳香族基において、その
水素の一部がハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ア
リール基、エステル基、スルホン基、シアノ基等の置換
基によって置換されていてもよいし、骨格に不飽和結
合、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、
スルホン結合、ケトン結合などを含んでいてもよい。
【0016】本発明に用いられるN−無置換カルバミン
酸エステルは使用する有機ヒドロキシル化合物のヒドロ
キシル基(−OH)の代わりにアミノカルボキシル基
(−OCONH2)が結合したものであればどのような
ものであっても良い。例えば、カルバミン酸O−フェニ
ル、カルバミン酸O−(メチル)フェニル、カルバミン
酸O−(ジメチル)フェニル、カルバミン酸O−(クロ
ル)フェニル、カルバミン酸O−ブチルなどが挙げられ
る。
【0017】本発明の実施に際し用いられる有機ヒドロ
キシル化合物の量は、使用される1級ポリアミンのアミ
ノ基1当量当たり、2モル以上200モル以下となるよ
う使用するのが好ましい。2倍以下だと得られるウレタ
ンの収率が低下する。また、200モルより多いと空時
収率が低下するばかりでなく、有機ヒドロキシル化合物
のリサイクル量が増大するからである。
【0018】本発明に用いられる尿素とカルバミン酸エ
ステルの量は、反応系において1級ポリアミンのアミノ
基1等量当たり、尿素とカルバミン酸エステルの和が
1.05モル以上2モル以下となるのが好ましい。尿素
とカルバミン酸エステルの和が1級ポリアミンのアミノ
基1等量当たり1.05モルより少ないとN,N’−ジ
アルキル尿素体が副生するし、2モルより多いと未反応
のカルバミン酸エステルが多量に残存し、リサイクル量
が多くなるからである。
【0019】また、反応系における尿素とカルバミン酸
エステルの比は任意の値を取りうる。カルバミン酸エス
テルは尿素に比べ高価であり、原料として供給する場合
には尿素を主体とし、カルバミン酸エステルはリサイク
ル量にとどめることが工業的には好ましい。本発明の実
施に際し、有機ヒドロキシル化合物を過剰量用いて溶媒
とすることは好ましい手法であるが、適当な他の溶媒を
用いることもできる。溶媒としては溶解度などの点から
例えばトルエン、キシレン、クロルベンゼン、ジクロル
ベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジ
オキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジ
エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系化
合物類;N,Nジメチルホルムアミド、N,Nジメチル
アセトアミド等のアミド系化合物類などが挙げられる。
【0020】本発明の実施は160〜240゜Cの温度
範囲で反応を行う。160゜Cより低い温度で反応を行
えば、反応速度が遅いばかりでなく、アンモニアの溶解
度が高く化学平衡的にも不利となり、ウレタンの収率が
低下する。また、240゜Cより高い温度で反応を行え
ば、尿素やカルバミン酸エステルが著しく分解したり有
機ヒドロキシル化合物が脱水素変性したり、あるいは生
成物であるウレタンの分解や変性よる収率低下を招いた
りする。さらに本発明者らによれば、O−アリールウレ
タンに特徴的な副生物としてフリース転位物が生成し、
この反応は高温で急激に増加する。特に脂環族O−アリ
ールウレタンの場合にそれが著しい。
【0021】本発明の実施に際し、ウレタン化反応系に
副生したアンモニアの除去すべき量は、反応温度および
1級ポリアミンと有機ヒドロキシル化合物の塩基性度の
差によって多少異なるが、反応液中のアンモニア濃度が
300ppm以下となるように除去することが非常に重
要である。アンモニア濃度が300ppm以上だと、下
記式(1)、(2)に示した平衡のためウレタンの収率
は低下するからである。さらにウレタンの収率を多くす
るためには、反応の最終段階における反応液中のアンモ
ニア濃度が15ppm以下となるように除去することが
好ましい。
【0022】 R−NHCONH2+Ar−OH‖R−NHCOO−Ar+NH3 (1) R−NHCONH2+R’−OH‖R−NHCOO−R’+NH3 (2) (反応式中、「R−」,「R’−」は脂肪族残基を示
し、[Ar−」は芳香族残基を示す。) 反応系に副生したアンモニアを除去する好ましい実施態
様の一つとして、反応塔に反応蒸留塔を用いた反応蒸留
法がある。すなわち、反応蒸留法とは、反応下で逐次生
成してくるアンモニアを蒸留によって気体状で分離する
方法である。アンモニアの蒸留効率を上げるために、溶
媒もしくは有機ヒドロキシル化合物の沸騰下で行うこと
もできる。
【0023】もう1つの実施態様として不活性ガスを用
いる方法がある。これは反応系内で副生してくるアンモ
ニアを、気体状で不活性ガスに同伴させることによっ
て、反応系から分離する方法である。このような不活性
ガスとして、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸
ガス、メタン、プロパン等を単独で、または混合して反
応系中に導入することも好ましい方法である。また、ガ
ス状低沸点有機溶媒も不活性ガス同様に副生したアンモ
ニアを反応系から除去するのに用いることができる。こ
うした低沸点の有機溶媒類として、例えば、ジクロルメ
タン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水
素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トル
エン、キシレン等の低級炭化水素類;アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等のエーテル類を用いることもできる。
【0024】さらに、反応系に副生したアンモニアを除
去するために、反応蒸留法、不活性ガス等を用いる方法
等を組み合わせて用いることもできる。しかし、不活性
ガス等を用いる方法でアンモニアを十分に除去するには
不活性ガスとしてかなりの量が必要である。本発明者ら
によれば、反応塔の底部に有機ヒドロキシル化合物の一
部を導入することで効率的に且つ容易にアンモニア濃度
を低減できる。この方法と、前述の方法とを組み合わせ
て用いるとより効果的である。さらに、後述するがこの
方法を用いることで反応塔の底部における滞留時間を短
く制御することができ、そこで起こるウレタンの変性を
抑えられるという相乗効果を有する。
【0025】本発明の実施に際し、反応時間は、反応系
の組成、反応温度、アンモニアの除去法、および反応装
置の種類等によって異なるが、通常数十分〜数十時間で
ある。好ましくは数十分〜数時間である。ただし、高温
になる反応塔の底部に長時間ウレタンを滞留させること
は前述のようにウレタンの分解や、O−アリールウレタ
ンの場合にはフリース転位物生成等を招くことになり、
しかもフリース転位物は高温下で急激に増加する。この
ため特に、O−アリールウレタンの場合は反応塔の底部
の滞留時間は0.5時間以内とするように反応液を抜き
出すことが必須となる。また、O−アルキルウレタンの
場合も反応塔の底部での滞留時間を短くするのが好まし
い。反応塔の底部での滞留時間を短くする方法として
は、例えば反応塔をリボイラー形式とした場合にリボイ
ラーを濡れ壁型にする等して底部の容積を減少させる方
法や、反応塔の底部に有機ヒドロキシル化合物を導入す
る方法等がありこれらは必要に応じ実施できる。また、
反応塔の底部での滞留時間は短い方がよいが、現実的に
は滞留時間0時間は実施できない。
【0026】同様に、反応圧力も、反応系の組成、反応
温度、アンモニアの除去方法、および反応装置の種類等
によって異なるが、通常0.1〜50気圧の圧力範囲で
反応を行うことが好ましい。さらに好ましくは、1〜3
0気圧の圧力範囲が工業的に実施する上で好ましい。ま
たさらに、反応速度を高める目的で、触媒を用いること
もできる。このような触媒としては、例えば、希土類元
素、アンチモン、ビスマスの単体およびこれらの元素の
酸化物、硫化物および塩類;ホウ素単体およびホウ素化
合物;周期律表の銅族、亜鉛族、アルミニウム族、炭素
族、チタン族の金属およびこれらの金属の酸化物および
硫化物;周期律表の炭素を除く炭素族、チタン族、バナ
ジウム族、クロム族元素の炭化物および窒化物等が好ま
しく用いられる。
【0027】触媒を用いる場合、これら触媒と1級ポリ
アミンの量比はいくらでもとりうるが、1級ポリアミン
に対し重量比で通常0.0001〜100倍の触媒を用
いるのが好ましい。本発明の方法は、モノウレタンおよ
びポリウレタンを製造するのに適しており、工業的に多
量に使用されている1,6−ヘキサメチレンジイソシア
ナートのマスクドイソシアナートである1,6−ヘキサ
メチレン−O,O’−ジフェニルウレタンまたはジブチ
ルウレタンの製造、3−イソシアナートメチル−3,
5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアナート(イ
ソホロンジイソシアナート)のマスクドイソシアナート
である3−フェノキシカルボニルアミノメチル−3,
5,5−トリメチル−1−フェノキシカルボニルアミノ
メチルシクロヘキサン(イソホロンジフェニルウレタ
ン)またはジブチルウレタンの製造、およびm−キシリ
レンジイソシアナートのマスクドイシシアナートである
m−キシリレン−O,O−ジフェニルウレタンまたはジ
ブチルウレタンの製造にも適した方法である。
【0028】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づき、さらに詳
しく説明する。本発明の実施例に関わる分析方法、実施
装置システム及び実施フローについて説明する。 (原料の分析方法)有機ヒドロキシル化合物、カルバミ
ン酸エステルおよび1級アミンの定量は、ガスクロマト
グラフィー(GC)および液体クロマトグラフィー(L
C)で行った。尿素、カルバミン酸エステルおよびウレ
タンの定量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)およびLCで行った。反応液中のアンモ
ニアの定量は、反応液を等量の10mM硝酸水溶液で抽
出した後、アンモニウムイオンをイオンクロマトグラフ
ィー(IC)で行った。
【0029】(実施装置システム及び実施フロー)以
下、図1によって、ウレタンを連続的に製造するための
本発明の方法を実施する装置システム例及び実施フロー
を説明する。また、以下の実施例、比較例は当該システ
ム例及び実施フローに基づき実施した。対応する物質流
を括弧内の番号で示す。
【0030】混合容器Aにて、1級ポリアミン(1)、
尿素(2)および/またはN−無置換カルバミン酸エス
テル(3)、および有機ヒドロキシル化合物(4)を混
合する。その混合液(5)をポンプによって反応蒸留塔
Bの最も上のプレートに供給する。反応蒸留塔は例えば
充填塔、棚段塔などの通常の装置が使用され、本実施例
では内径151mm、高さ12624mmおよび底部の
容積はリボイラーを含んで約8リットルの反応蒸留塔を
用いた。反応蒸留塔Bの平均滞留時間は0.5〜1.5
時間であり、かつ反応蒸留塔Bの底部の滞留時間は0.
01〜0.5時間である。この場合必要に応じ反応蒸留
塔Bの底部にタンクFからポンプによって有機ヒドロキ
シル化合物(7)を導入する。また反応塔の底部にある
リボイラーCは底部の滞留時間を短くするため塗れ壁形
式とし、リボイラーCで発生した蒸気は反応蒸留塔Bの
塔頂部の所で冷却水で定量的に凝縮され反応蒸留塔B内
に全還流され、一方系内で副生したアンモニア(6)は
塔頂部からガス状で取り出される。
【0031】反応蒸留塔Bの底部で得られる反応液
(8)は濃縮缶Dに送られる。有機ヒドロキシル化合物
およびカルバミン酸エステルの反応液からの除去、回収
を行う濃縮工程は好ましくは減圧系で運転され次のよう
に構成されている。下部に濃縮缶D、上部に吸収塔Eが
在る。濃縮缶Dではウレタンを含む濃縮液(9)を一部
抜き出しながらを循環しており濃縮に必要なエネルギー
は循環ラインに備えられた熱交換器から供給される。吸
収塔Eは、例えば濡れ壁形式で有機ヒドロキシル化合物
をポンプにて循環している。濃縮缶Dで発生した少量の
イソシアン酸および/またはカルバミン酸エステルを含
む有機ヒドロキシル化合物の蒸気は吸収塔Eの下部に導
入される。ここでイソシアン酸を吸収、反応させカルバ
ミン酸エステルとし、またカルバミン酸エステルおよび
有機ヒドロキシル化合物を凝縮させた後、回収液(1
0)としてタンクFに戻す。 (実施例1)1,6−ヘキサメチレンジアミン(HD
A)4.408kg,尿素5.244kg、そしてカル
バミン酸O−フェニルを含むフェノール142.88k
gからなる原料液を用いた。反応圧を1.10kg/c
2−G、反応温度を210℃とし、原料供給量は7k
g/Hr、反応塔の底部へのフェノール導入量は20k
g/Hrとすることで反応塔の底部の滞留時間は約18
分という条件で行った。反応終了後、反応液を全量回収
し反応液に含まれる1,6−ヘキサメチレン−O,O’
−ジフェニルウレタン(HDU)およびアンモニア(N
3)の重量%を定量した。この値からHDAの仕込み
モル数あたりのHDUのモル収率を換算した。その結果
を表1に示す。 (実施例2〜4)実施例1と同じ装置、同じ原料組成お
よび原料供給量で行い、反応圧、温度、よび反応塔の底
部へのフェノール導入量を表1に示す様に変える以外は
実施例1と同様の条件で行った。 (実施例5)実施例1と同じ装置、同じ原料組成、反応
圧、温度、原料供給量で行い、反応塔の底部へのフェノ
ール導入をしなかった以外は実施例1と同様の条件で行
った。 (比較例1〜4)実施例1と同じ装置、同じ原料組成を
用い、反応圧、温度、原料供給量および反応塔の底部へ
のフェノール導入量を変える以外は実施例1と同様の条
件で行った。
【0032】比較例1では、反応塔の底部へのフェノー
ル導入をしなかった。比較例2では、反応塔の底部への
フェノール導入をせず、反応圧を2.00kg/cm2
−G、反応温度を220℃とした。比較例3では、反応
塔の底部へのフェノール導入をせず、反応圧を3.50
kg/cm2−G、反応温度を235℃とした。
【0033】比較例4では、反応塔の底部へのフェノー
ル導入量を4kg/Hr、反応圧を3.50kg/cm
2−G、温度を235℃とした。その結果を表1に示
す。 (実施例6〜9)実施例1と同じ操作を、原料の組成、
反応圧、温度、原料供給量、反応塔内平均滞留時間およ
び反応塔の底部へのフェノール導入量を次のように変え
る以外は実施例1と同様の条件で行った。
【0034】3−アミノメチル−3,5,5−トリメチ
ルシクロヘキシルアミン(IPDA)6460g,尿素
5244g、そしてカルバミン酸O−フェニルを含むフ
ェノール160.74kgからなる原料液を用いた。反
応圧、反応温度、原料供給量および反応塔の底部へのフ
ェノール導入量は表1に示す様々な条件下で行った。反
応終了後、反応液を全量回収し反応液に含まれる3−フ
ェノキシカルボニルアミノメチル−3,5,5−トリメ
チル−1−フェノキシカルボニルアミノシクロヘキサン
(IPDU)およびアンモニア(NH3)の重量%を定
量した。この値からIPAの仕込みモル数あたりのIP
DUのモル収率を換算した。その結果を表2に示す。 (比較例5〜7)実施例9と同じ装置を用い、反応圧、
温度、反応塔の底部へのフェノールの導入量を変える以
外は実施例9と同様の条件で行った。比較例5では、反
応圧0.85kg/cm2−G、温度205℃、フェノ
ール導入をしなかった。比較例6では、反応圧3.95
kg/cm2−G、温度240℃、フェノール導入をし
なかった。比較例7では、反応圧0.20kg/cm2
−G、温度190℃、フェノール導入をしなかった。そ
の結果を表2に示す。 (実施例10)実施例1と同じ操作を、原料の組成、反
応圧、温度を次のように変える以外は実施例1と同様の
条件で行った。実施例10では、1,6−ヘキサメチレ
ンジアミン(HDA)8.816kg,尿素10.48
8kg、そしてカルバミン酸O−ブチルを含むブタノー
ル(BuOH)56.24kgからなる原料液を用い、
反応圧10kg/cm2−G、温度210℃の条件とし
た。その結果を表3に示す。 (比較例8)実施例10と同じ操作を、反応塔の底部へ
のブタノール導入を変えた以外は実施例16と同様の条
件で行った。比較例8では、ブタノール導入をしなかっ
た。その結果を表3に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、従来法に比べ次の利点
がある。 1)反応液中のアンモニア濃度が300ppm以下にな
るように、副生するアンモニアを反応系から積極的に除
去しながら反応させること、且つ反応塔の底部での滞留
時間を短縮させそこでの変性を防止すること、によりウ
レタンを高収率で得ることができる。
【0039】2)ホスゲンや一酸化炭素を用いないた
め、腐食や毒性の問題、および塩化水素ガス等が大量に
副生する問題がない。さらに、高価な貴金属触媒を使用
する必要がないため安価である。 3)ウレタン収率が高いため工業的に実施する上で有利
である。さらに、熱解離が容易でありマスクドイソシア
ナートおよびイソシアナートの中間原料等に用いるのに
有利であるO−アリールウレタンを高収率で得ることが
でき、工業的に実施する上で有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法を実施する装置のシステム例及
び実施フローを示す説明図である。
【符号の説明】
A、混合容器 B、反応蒸留塔 C、リボイラー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1級ポリアミンを尿素および/またはN
    −無置換カルバミン酸エステル、有機ヒドロキシル化合
    物とともに反応塔に連続的に供給し、触媒の存在下また
    は不存在下で反応させて、相応するウレタンを生じさ
    せ、このウレタンを含む反応液を反応塔の底部より抜き
    出すことからなるウレタンの連続的製造法において、 a)反応塔内で発生するアンモニアを反応塔から連続的
    に抜き出し、反応液中のアンモニア濃度を0.1〜30
    0ppmに維持すること、 b)反応塔の底部での混合液の平均滞留時間を0.01
    〜0.5時間に維持すること、 c)反応温度を160〜240゜Cに維持すること、を
    特徴とするウレタンの連続的製造法。
  2. 【請求項2】 反応塔を反応蒸留塔とする請求項1記載
    のウレタンの連続的製造法。
  3. 【請求項3】 反応塔の底部から有機ヒドロキシル化合
    物の一部を連続的にフィードする請求項1または2記載
    のウレタンの連続的製造法。
  4. 【請求項4】 有機ヒドロキシル化合物が芳香族ヒドロ
    キシル化合物である請求項1から3のいずれかに記載の
    ウレタンの連続的製造法。
  5. 【請求項5】 1級ポリアミンが脂肪族1級ポリアミン
    である請求項1から4のいずれかに記載のウレタンの連
    続的製造法。
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