JP2790855B2 - 脂肪族o―アリールウレタンの製造法 - Google Patents
脂肪族o―アリールウレタンの製造法Info
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Description
シアナートの中間原料等に広く用いられている脂肪族O
−アリールウレタンの製造方法に関する。さらに詳しく
は,脂肪族1級アミンを芳香族ヒドロキシル化合物の存
在下カルバミン酸O−アリールまたはカルバミン酸O−
アリールと尿素の混合物とを反応させて,反応液中のア
ンモニア濃度が1重量%以下になるように,副生するア
ンモニアを反応系から除去しながら反応させることを特
徴とする脂肪族O−アリールウレタンの製造方法に関す
る。
キシル化合物と脂肪族イソシアナートとを反応させて製
造されている[例えば,岩田 敬治著,プラスチック製
造講座2 ポリウレタン樹脂,175頁,(日刊工業新聞社
刊),1969年;K.C.Frisch,“Fundmental Chemistry and
Catalysis of Polyurethans",Polyurethane Technogy,
P.F.Bruins,Ed.,Interscience Publishers,New York,19
69,p.11.]。この場合,脂肪族イソシアナートは,対応
する脂肪族1級アミンとホスゲンとの反応によって得ら
れる(例えば,英国特許第1077031号明細書)ので,以
下に述べる欠点を有している。すなわち,猛毒性のホス
ゲンを使用すること,および腐食性の塩化水素ガスが大
量に副生すること,さらには,製造中に加水分解性の塩
素化合物を含む場合があり,この副生物の除去が非常に
困難であること等の欠点を有している。したがって,芳
香族ヒドロキシル化合物と脂肪族イソシアナートとを反
応させて脂肪族O−アリールウレタンを得る方法は満足
すべきものではない。
公報には,ホスゲンを用いない脂肪族O−族ヒドロキシ
ル化合物から,貴金属触媒を用いて酸化的にウレタン化
する方法が記載されている。ただし,芳香族ヒドロキシ
ル化合物を用いた実施例はない。しかしこの方法も毒性
の強い一酸化炭素を使用すること,および高価な貴金属
触媒を用いるため,生成物であるウレタンから触媒を回
収するには,煩雑な操作と多大な費用を要すること等の
欠点を有している。
−N′,N′−ジアルキル尿素,芳香族ヒドロキシル化合
物,および塩化水素ガスを反応させて,N−アルキル−O
−アリールウレタンを製造する方法が記載されている。
しかしこの方法も,腐食性の高い塩化水素ガスを使用す
ること,高価で特殊な尿素化合物を消費すること,およ
び副生するN,N−ジアルキルアミンの塩酸塩からウレタ
ンを回収するには,煩雑な操作と多大な費用を要する欠
点を有している。
用いない脂肪族モノウレタンの製造方法として,1段目で
脂肪族1級アミンと尿素からN,N′−ジアルキル尿素を
作り,2段目でN,N′−ジアルキル尿素とヒドロキシル化
合物を反応させて脂肪族モノウレタンを製造し,副生す
る1級アミンを分離回収して1段目に戻す方法が記載さ
れている。ただし,芳香族ヒドロキシル化合物を用いた
実施例はない。しかし,この方法はウレタン収率が低い
だけでなく,反応が2段で且つ1級アミンのリサイクル
設備を要するため,工程が極めて煩雑で工業的に実施す
るのに満足すべきものではない。
よび尿素とを反応させて,脂肪族ウレタンを製造方法す
る方法がいくつか提案されているが,これらの方法で得
られる脂肪族ウレタンは,いずれも脂肪族O−アリール
ウレタンではなく,脂肪族O−アルキルモノウレタンで
ある。例えば,米国特許第2409712号明細書には,脂肪
族1級アミンおよび尿素を脂肪族アルコールと反応させ
て,脂肪族O−アルキルウレタンを製造する方法が記載
されている。また,特開昭55−145657号(西独国特許第
2917493号明細書)公報には,脂肪族1級ポリアミンを
尿素の存在下で脂肪族,脂環族,芳香脂肪族アルコール
と反応させて,脂肪族O−アルキルポリウレタンを製造
する方法が記載されている。さらにこれらの改良法とし
て,特開昭56−103152号(西独国特許第2943551号明細
書)公報,特開昭56−103153(西独国特許第2943550号
明細書)公報には,脂肪族1級ポリアミンを尿素および
カルバミン酸O−アリールの存在下で脂肪族,脂環族,
芳香脂肪族アルコールと反応させて,脂肪族O−アルキ
ルポリウレタンを製造する方法が記載されている。この
場合カルバミン酸O−アリールは脂肪族,脂環族,芳香
脂肪族アルコールと置換されカルバミン酸O−アルキル
となることが記載されている 〔発明が解決しようとする課題〕 しかし,これらの方法で製造される脂肪族O−アルキ
ルウレタンは,熱的に極めて安定なため,対応する脂肪
族イソシアナートとアルコールに分解するのが困難であ
り,しがってマスクドイソシアナートおよび脂肪族イソ
シアナートの中間原料等に用いるには満足すべきもので
はない。
族イソシアナートと芳香族ヒドロキシル化合物に容易に
分解することは知られていた(例えば,O.Bayer,“Das D
iisocyanat−Polyaditions Verfahren",12頁,1963
年)。しかし,脂肪族O−アリールウレタンを脂肪族1
級アミンと芳香族ヒドロキシル化合物およびカルバミン
酸O−アリームまたはカルバミン酸O−アリールと尿素
の混合物との1段反応から製造する方法は,未だ知られ
ておらず,次の点で上述のアルコールを用いる方法に比
べ多大の困難を伴っていた。
−アルキルに比べ分解し易く対応する芳香族ヒドロキシ
ル化合物及びシアン酸に成る事が知られている(J.Gas
Chromatog.,3巻,142頁,1965年)。シアン酸はさらに脂
肪族O−アリールウレタン等と反応してシアヌール酸,
アロファネート,イソシアヌレート等へ不可逆的に変性
する。したがって脂肪族O−アリールウレタンの反応収
率を著しく低下させる。
0℃以上の温度で容易に反応し芳香族ヒドロキシル化合
物と尿素になる(J.Praktische Cheme,1巻,405頁,1834
年)。尿素とアルコールからは容易にカルバミン酸O−
アルキルを合成出来るが,尿素と芳香族ヒドロキシル化
合物からカルバミン酸O−アリールを再生することは極
めて困難である事が知られている(例えば,S.R.Sandler
w.Karo「官能基別 有能化合物合成法II」,248頁,1971
年,広川書店)。したがって脂肪族O−アリールウレタ
ンの反応収率を著しく低下させる。
物,と脂肪族1級アミンとの1段反応から脂肪族O−ア
リールウレタンを製造する方法を開発し(特願昭62−30
8744号),さらに反応収率を上げるため,カルバミン酸
O−アリールと脂肪族1級アミンとの反応から脂肪族O
−アリルを安定に存在させるためには過剰の芳香族ヒド
ロキシル化合物が必要なこと。本反応は例えば式1,2で
表されるように,可逆的でかつ,平衡が著しく原系側に
偏っているため,反応の進行には副生するアンモニアの
除去が肝要なこと,次に酸の一つである芳香族ヒドロキ
シル化合物は,アンモニアと強く結合するため,通常の
方法ではアンモニアの除去が極めて困難であることを見
いだした。
基,Arは芳香族基を表す。) 次に,本発明者らは,鋭意検討を重ねた結果,過剰の
芳香族ヒドロキシル化合物の存在下,脂肪族1級アミン
とカルバミン酸O−アリールまたはカルバミン酸O−ア
リールと尿素の混合物とを反応させ,反応液中のアンモ
ニア濃度が1重量%以下になるように副生するアンモニ
アを反応系から除去することによって,脂肪族O−アリ
ールウレタンを高収率に製造する方法を見い出し,本発
明を完成するに至った。
アリールウレタンを製造する方法において, a)次の一般式: Ar−OH (式中,Arは芳香族基を表す)で表わされる芳香族ヒド
ロキシル化合物の存在下,脂肪族1級アミン及び次の一
般式: Ar−OCONH2 (式中,Arは同じ芳香族基を表す)で表わされるカルバ
ミン酸O−アリール,またはカルバミン酸O−アリール
を1重量%以上含む尿素((NH2CONH2)との混合物とを
反応させること, b)反応液中のアンモニア濃度が1重量%以下になるよ
うに,副生するアンモニアを反応系から除去しながら反
応させること,を特徴とする脂肪族O−アリールウレタ
ンの製造方法を提供するものである。
香族基に直接ヒドロキシル基が結合しているものであれ
ば,どのようなものであってもよい。フェノール;クレ
ゾール(各異性体),キシレノール(各異性体),エチ
ルフェノール(各異性体),プロピルフェノール(各異
性体)等の各種アルキルフェノール類;メトキシフェノ
ール(各異性体),エトキシフェノール(各異性体)等
の各種アルコキシフェノール類;クロルフェノール(各
異性体),ブロモフェノール(各異性体),ジクロルフ
ェノール(各異性体),ジブロモフェノール(各異性
体)等のハロゲン化フェノール類;メチルクロルフェノ
ール(各異性体),エチルクロルフェノール(各異性
体),メチルブロモフェノール(各異性体),エチルブ
ロモフェノール(各異性体)等のアルキルおよびハロゲ
ン置換フェノール類;一般式 A OH 〔Aは単なる結
合,または−O−,−S−,−SO2−,−CO−,−CH2
−,−C(R2)−(Rは低級アルキル基)等の2価の基
を表し,また,芳香環はハロゲン,アルキル基,アルコ
キシ基,エステル基,アミド基,シアノ基等の置換基に
よって置換されていてもよい。〕で示される芳香族ジヒ
ドロキシル化合物類;ニトロフェノール(各異性体),
ニトロナフトール(各異性体)等のニトロ置換芳香族ヒ
ドロキシル化合物類;シアノフェノール(各異性体),
シアノナフトール(各異性体)等のシアノ置換芳香族ヒ
ドロキシル化合物類等が用いられる。
よいし,2種以上混合して用いることもできる。また,蒸
溜分離の容易なことから芳香族モノヒドロキシル化合物
を用いるのが好ましい。そのなかでも,沸点が低いフェ
ノールを用いるのがさらに好ましい。
する芳香族ヒドロキシル化合物のヒドロキシル基(−O
H)の代わりにアミノカルボキシル基(−OCONH2)が結
合したものである。
は,存在すれば幾らでも良いが,使用されるカルバミン
酸O−アリール1モル当たり,5モル以上100モル以下と
なるよう使用するのが好ましい。また尿素とカルバミン
酸O−アリールの混合物を用いる場合には,使用する尿
素とカルバミン酸O−アリールとモル数の和に対し5倍
以上100倍以下となるよう使用するのが好ましい。5倍
以下だとカルバミン酸O−アリールまたは尿素が脂肪族
O−アリールウレタンと変成するため脂肪族O−アリー
ルウレタンの収率が低下する。また100倍より多いと空
時収率が低下するので,工業的に実施するには得策では
ないからである。
量は,脂肪族1級アミンのアミノ基1モル当り,尿素と
カルバミン酸O−アリールの和が0.5モル以上となるの
が好ましい。より好ましい使用量は,アミノ基1モル当
り,尿素0.8モル以上2モル以下である。尿素の量が脂
肪族1級アミンのアミノ基1モル当り0.5モルより少な
いと,複雑に置換した尿素化合物が副生するし,2モルよ
り多いと複雑に置換した尿素化合物が副生したり,未反
応の尿素とカルバミン酸O−アリールが残存するので好
ましくない。
は二つ以上の1級アミノ基が脂肪族炭素原子に結合して
いるものであればどのようなものでもよく,脂環族1級
アミンや芳香脂肪族1級アミンであってもよい。
しては,例えば,メチルアミン,エチルアミン,プロピ
ルアミン(各異性体),ブチルアミン(各異性体),ペ
ンチルアミン(各異性体),ヘキシルアミン(各異性
体),ドデシルアミン(各異性体)等の脂肪族1級モノ
アミン類;エチレンジアミン,ジアミノプロパン(各異
性体),ジアミノブタン(各異性体),ジアミノペンタ
ン(各異性体),ジアミノヘキサン(各異性体),ジア
ミノデカン(各異性体)等の脂肪族1級ジアミン類;1,
2,3−トリアミノプロパン,トリアミノヘキサン(各異
性体),トリアミノノナン(各異性体),トリアミノド
デカン(各異性体),1,8−ジアミノ−4−アミノメチル
−オクタン,2,6−ジアミノカプリン酸−2−アミノエチ
ルエステル,1,3,6−トリアミノヘキサン,1,6,11−トリ
アミノウンデカン等の脂肪族1級トリアミン類;シクロ
プロピルアミン,シクロブチルアミン,シクロペンチル
アミン,シクロヘキシルアミン,ジアミノシクロブタ
ン,ジアミノシクロヘキサン(各異性体),3−アミノメ
チル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン,トリ
アミノシクロヘキサン(各異性体)等の脂環族1級モノ
アミンおよびポリアミン類;ベンジルアミン,ジ(アミ
ノメチル)ベンゼン(各異性体),アミノメチルピリジ
ン(各異性体),ジ(アミノメチル)ピリジン(各異性
体),アミノメチルナフタレン(各異性体),ジ(アミ
ノメチル)ナフタレン(各異性体)等の芳香族脂肪族1
級モノアミンおよびポリアミン類などである。
基,脂環族基,芳香族基において,その水素の一部が,
ハロゲン,アルキル基,アルコキシ基,アリール基,エ
ステル基,スルホン基,シアノ基等の置換基によって置
換されていてもよいし,骨格に不飽和結合,エーテル結
合,エステル結合,チオエーテル結合,スルホン結合,
ケトン結合などを含んでいてもよい。
剰量用いて溶媒とすることは好ましい手法であるが,適
当な他の溶媒を用いることもできる。このような溶媒と
しては,例えば,ペタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタ
ン,デカン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン,トルエ
ン,キシレン,メシチレン等の芳香族炭化水素類;アセ
トニトリル,ベンゾニトリル等のニトリル類;スルホラ
ン,メチルスルホラン,ジメチルスルホン等のスルホン
類;テトラヒドロフラン,1.4−ジオキサン,1,2−ジメト
キシエタン等のエーテル類;アセトン,メチルエチルケ
トン等のケトン類:酢酸エチル,安息香酸エチル等のエ
ステル類等があげられる。
クロルベンゼン,フルオロベンゼン,クロルトルエン,
クロルナフタレン,ブロモナフタレン等のハロゲン化芳
香族炭化水素類;クロルヘキサン,クロルシクロヘキサ
ン,トリクロルトリフルオロエタン,塩化メチレン,四
塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類あるいはハロ
ゲン化脂環族炭化水素類等も溶媒として用いられる。
ことが好ましい。160℃より低い温度で反応を行えば,
芳香族ヒドロキシル化合物と脂肪族1級アミンやアンモ
ニアおよび尿素が強く結合するため,反応が遅かった
り,反応が殆ど起こらなかったり,あるいは複雑に置換
した尿素化合物が増加したりするために好ましくない。
280℃より高い温度で反応を行えば,尿素やカルバミン
酸O−アリールが著しく分解したり,芳香族ヒドロキシ
ル化合物が脱水素変性したり,あるいは生成物である脂
肪族O−アリールウレタンの分解や変性等による収率低
下を招いたりするために好ましくない。この意味におい
て,より好ましい温度範囲は190〜260℃である。さらに
好ましい温度範囲は200〜250℃である。本発明の実施に
際し,反応系に副生したアンモニアの除去すべき量は,
反応温度および1級アミンと芳香族ヒドロキシル化合物
の塩基性度の差によって多少異なるが,反応系の組成に
よらずほぼ一定であり,反応液中のアンモニア濃度が1
重量%以下となるように除去することが非常に重要であ
る。アンモニア濃度が1重量%以上だと,前記式(1)
と(2)に示した平衡のため脂肪族O−アリールウレタ
ンはほとんど得られないばかりでなく,カルバミン酸O
−アリール及び尿素の変性に伴い脂肪族O−アリールウ
レタンの収率が著しく低下するからである。さらに脂肪
族O−アリールウレタンの収率を多くするためには,反
応液中のアンモニア濃度が0.5重量%以下のとなるよう
に除去することが好ましい。
態様の一つとして,反応蒸留法がある。すなわち,反応
蒸留法とは,反応下で逐次生成してくるアンモニアを蒸
留によって気体状で分離する方法である。アンモニアの
蒸留効率を上げるために,溶媒もしくは芳香族ヒドロキ
シル化合物の沸騰下で行うこともできる。
一つの実施態様として,不活性ガスを用いる方法があ
る。すなわち,反応下で逐次的に生成してくるアンモニ
アを,気体状で不活性ガスに同伴させることによって,
反応系から分離する方法である。このような不活性ガス
として,例えば,窒素,ヘリウム,アルゴン,炭酸ガ
ス,メタン,エタン,プロパン等を単独で,または混合
して反応系中に導入することも好ましい方法である。ま
た,ガス状の低沸点有機溶媒も不活性ガス同様に副生し
たアンモニアを反応系から除去するのに用いることがで
きる。こうした低沸点の有機溶媒類として例えば,ジク
ロルメタン,クロロホルム,四塩化炭素等のハロゲン化
炭化水素類;ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,ベンゼ
ン,トルエン,キシレン等の低級炭化水素類;アセト
ン,メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフ
ラン,ジオキサン等のエーテル類を用いることもでき
る。
おいて温度を低下させたり,反応速度を高める目的で,
触媒を用いることもできる。このような触媒としては,
例えば,希土類元素,アンチモン,ビスマスの単体およ
びこれらの元素の炭化物,硫化物および塩類;ホウ素単
体およびホウ素化合物;周期律表の銅族,亜鉛族,アル
ミニウム族,炭素族,チタン族の金属およびこれらの金
属の酸化物および硫化物;周期律表の炭素を除く炭素
族,チタン族,バナジウム族,クロム族元素の炭化物お
よび窒化物等が好ましく用いられる。触媒を用いる場
合,これら触媒と脂肪族1級アミンの量比はいくらでも
とりうるが,脂肪族1級アミンに対し重量比で通常0.00
01〜100倍の触媒を用いるのが好ましい。
地態様としては,アンモニアを吸着剤に吸着させて分離
する方法がある。用いられる吸着剤としては,例えば,
シリカ,アルミナ,各種ゼオライト類,珪藻土類等の16
0〜280℃の温度条件下で使用可能な吸着剤を用いること
ができる。
に,反応蒸留法,不活性ガス等を用いる方法,および吸
着剤に吸着させて分離する方法等を組み合わせて用いる
こともできる。
反応温度,アンモニアの除去方法,および反応装置の種
類等によって異なるが,通常0.1〜50気圧の圧力範囲で
反応を行うことが好ましい。さらに好ましくは,1〜30気
圧の圧力範囲が工業的に実施する上で好ましい。同様
に,反応時間も,反応系の組成,反応温度,アンモニア
の除去方法,および反応温度の種類等によって異なる
が,通常,数十分〜数十時間である。好ましくは数十分
〜数時間であり,可能な限り短い方がよい。
定されるものではなく,例えば,縦型の管形装置の内部
を原料液を流下させながら反応を進め,副生するアンモ
ニアを装置の上部から取り出して除去する方法や,ある
いは槽型装置を用いて反応させると共に,副生するアン
モニアを気相に取り出して除去する方法,およびこれら
を組み合わせた方法等が好ましく用いられる。さらに必
要に応じて,これらの装置の上部に蒸留塔および/また
は部分凝縮器等を設けることも好ましい方法である。
施できる。
リウレタンを製造するのに適しており,工業的に多量に
使用されている1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート
のマスクドイソシアナートである1,6−ヘキサメチレン
−O,O′−ジフェニルウレタンの製造,3−イソシアナー
トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシア
ナート(IPI)のマスクドイソシアナートである3−フ
ェノキシカルボニルアミノメチル−3,5,5−トリメチル
−1−フェノキシカルボニルアミノシクロヘキサンの製
造,およびm−キシリレンジイソシアナートのマスクド
イソシアナートであるm−キシリレン−O,O−ジフェニ
ルウレタンの製造にも適した方法である。
うに,副生するアンモニアを反応系から積極的に除去し
ながら反応させることにより,脂肪族O−アリールウレ
タンを高収率で得ることができる。
等の問題,および塩化水素ガス等が大量に副生する問題
がない。さらに,高価な貴金属触媒を使用する必要がな
いため安価である。
ン収率が高いため工業的に実施する上で有利である。さ
らに,得られるウレタンが脂肪族O−アリールウレタン
であるため,熱解離が容易でありマスクドイソシアナー
トおよび脂肪族イソシアナートの中間原料等に用いるの
に有利である。
が,本発明は,これらの実施例に限定されるものではな
い。
の水で抽出し水溶液とした後,アンモニウムイオンをイ
オンクロマトグラフィー(IC)を用いて定量した。イオ
ンクロマトカラムおよび検出器は,東ソー株式会社製
TSK−gel IC−CationおよびCM−8000を用い,溶離液と
して2mM濃硝酸水溶液を毎分1.2ml流し,35℃で測定し
た。また,反応ガス中のアンモニアの定量はガスクロマ
トグラフィー(GC)で行った。芳香族ヒドロキシル化合
物,カルバミン酸O−アリールおよび脂肪族1級アミン
の定量は,ガスクロマトグラフィー(GC)および液体ク
ロマトグラフィー(LC)で行った。尿素,カルバミン酸
O−アリールおよび脂肪族O−アリールウレタンの定量
は,ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GP
C)およびLCで行った。
1000ml容のガラス四つ口フラスコに,1,6−ヘキサメチレ
ンジアミン(以下HDAという)29g,カルバミン酸O−フ
ェニル75g,フェノール470gを仕込み,反応器の底まで達
したボールフィルターより窒素ガスを毎時20流しなが
ら,フェノールの沸騰下(170〜180℃)で撹拌しながら
反応を行った。さらに,20時間毎に次の操作を繰り返し
た。まず,反応液を全量回収し重さ(g)を測定した。
次に1.0g採取し,反応液に含まれる1,6−ヘキサメチレ
ン−O,O′−ジフェニルウレタン(HDPh)およびアンモ
ニア(NH3)の重量%を定量した。この値から,HDAの仕
込モル数当りの1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジフェニ
ルウレタンのモル収率%を換算した。
ノールが120g流出していた。その結果を第1表に示す。
%まで積極的に除去すれば1,6−ヘキサメチレン−O,O′
−ジフェニルウレタンが82%な高収率で得られることが
解る。また,反応液に副生するアンモニアの重量%が多
いほど1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジフェニルウレタ
ンの収率が低いことが解る。したがって,前記式(1)
の平衡があること,および平衡は原系側に偏っているこ
とが明かとなった。しかし80時間の反応では収率が低下
していることから,変性反応も同時に起こっていること
も明らかになった。従って反応時間には最適値があるこ
とが判明した。
操作を行った。還流温度(179〜182℃)で60時間撹拌し
た。反応液中にアンモニアは1.0重量%含まれていたが,
1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジフェニルウレタンは検
出されなかった。また,還流器上部からの流出物もなか
った。
黄褐色の固形物44gが得られた。
レタンの良溶媒であるジメチルアセトアミドで抽出して
さらに分析をした。しかしこの抽出物からも1,6−ヘキ
サメチレン−O,O′−ジフェニルウレタンは全く検出さ
れなかった。
タノール650g用いる点以外は,比較例1と全く同じ操作
を行なった。還流温度(180〜182℃)で20時間撹拌し
た。反応液からn−オクタノール及びフェノールを留去
したところ,淡黄色の反応生成物が103g得られた。この
中にヘキサメチレンジ(n−オクチルウレタン)が87g
生成していた。仕込のHDA当り,1,6−ヘキサメチレン−
O,O′−ジ(n−オクチルウレタン)の収率は81%であ
った。
ヒドロキシル化合物の存在下カルバミン酸O−アリール
と脂肪族1級アミンから脂肪族O−アリールウレタンを
製造する反応では,反応系からアンモニアを除去するこ
とは極めて困難である。したがって,効率的にアンモニ
アを除去しないと,目的の脂肪族O−アリールウレタン
が得られない。実施例1より,反応蒸留と不活性ガスを
用いる手法組み合わせることで効果的にアンモニアが除
去出きることが解った。さらに比較例2から,特別の方
法を用いなくともアンモニアの除去は容易であるので,
アルコールおよびカルバミン酸O−アリールと脂肪族1
級アミンからたやすく脂肪族O−アルキルウレタンを製
造できる。しかしながら比較例1より脂肪族O−アリー
ルウレタンを製造する方法において,アンモニアの除去
が極めて困難であるという事実は脂肪族O−アルキルウ
レタンを製造する方法からは全く予想できない事は明ら
かである。
1の上部より原料液Aを連続的に流入し,反応管1の下
部より反応液Bを連続的に回収した。一方,反応管1の
下部より窒素ガスCを導入し,反応管上部の冷却還流器
2および気液分離器3を経て反応ガスEを回収した。こ
の時,ガスに同伴する凝縮成分Dは気液分離器の下部よ
り連続的に回収した。
ノール7520gからなる原料液を用いた。反応圧は6気圧
(実施例8および9は12気圧),冷却還流器2の温度は
140℃,窒素ガス量は標準状態換算で毎時20流した。
反応温度(℃)および原料液Aの流入量(g/Hr)は表2
に示す様々な条件下で行った。平均滞留時間は8分〜45
分であった。反応終了後,反応液Bを全量回収し重量
(g)を測定した,次に反応液Bに含まれる1,6−ヘキ
サメチレン−O,O′−ジフェニルウレタン(HDPh)およ
びアンモニア(NH3)の重量%を定量した。この値からH
DAの仕込モル数当りの1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジ
フェニルウレタンのモル収率%を換算した。その結果を
第2表に示す。
操作を行った。実施例10ではHDA464g,カルバミン酸O−
フェニル576g,尿素252g,そしてフェノール7520gからな
る原料液を用い,実施例11ではHDA464g,カルバミン酸O
−フェニル5g,尿素502g,そしてフェノール7520gからな
る原料液を用い,比較例3ではHDA464g,尿素504g,そし
てフェノール7520Gからなる原料液を用いた。その結果
を第2表に示す。
0.01重量%まで積極的に除去することで1,6−ヘキサメ
チレン−O,O′−ジフェニルウレタンが連続的に94%の
高収率で得られることが判明した。また,実施例2〜6
の結果から,反応液に副生するアンモニアを除去するほ
ど,1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジフェニルウレタン
の収率が高いこと,および1,6−ヘキサメチレン−O,O′
−ジフェニルウレタンを得るためには,反応液に副生す
るアンモニア濃度を1重量%になるまで除去すべきであ
ること,さらに高収率を得るためには液中のアンモニア
濃度を0.5重量%になるまで除去するのが好ましいこと
が解った。
キサメチレン−O,O′−ジフェニルウレタンを得るため
には,反応温度が160℃〜280℃の範囲にあることが好ま
しく,さらに高収率を得るためには,反応温度が190℃
〜260℃の範囲にあると好ましいことが解った。
ルバミン酸O−フェニルを1重量%以上尿素と混合する
ことで尿素だけを用いるときより高い収率が得られるこ
とが解った。
じ操作を行った。HDA464g,カルバミン酸O−フェニル11
51g,そしてフェノール3764gからなる原料液を用い,反
応圧は6気圧,反応温度は220℃,原料液Aの流入量は
毎時100g,および窒素ガス量は標準状態換算で毎時20
流した。反応終了後,反応液Bが5169g回収された。こ
の中に1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジフェニルウレタ
ンは5.5重量%,およびアンモニアは0.01重量%含まれ
ていた。この値からHDAの仕込モル数当りの1,6−ヘキサ
メチレン−O,O′−ジフェニルウレタン収率は19%であ
った。このことから芳香族ヒドロキシル化合物の量がカ
ルバミン酸O−アリールの5モル倍以下の場合はウレタ
ンの収率は低下することが解った。
て行った。HDA464g,カルバミン酸O−(m−クレジル)
1268g,そしてm−クレゾール8640gからなる原料液を用
い,反応圧は6気圧,反応温度は220℃,原料液Aの流
入量は毎時100g,および窒素ガス量は標準状態換算で毎
時20流した。反応終了後,反応液Bは9684g回収され
た。この中に1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジ(m−ク
レシルウレタン)は15.0重量%,およびアンモニアは0.
01重量%含まれていた。この値からHDAの仕込モル数当
りの1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジ(m−クレシルウ
レタン)収率は94%であった。
じ反応条件で同じ操作を行った。すなわち,HDA464g,カ
ルバミン酸O−(O−クロルフェニル)1441g,そしてO
−クロルフェノール10280gからなる原料液を用いた。
1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジ(O−クロルフェニル
ウレタン)は14.7重量%,およびアンモニアは0.01重量
%含まれていた。この値からHDAの仕込モル数当りの1,6
−ヘキサメチレン−O,O′−ジ(O−クロルフェニルウ
レタン)収率は92%であった。
じ反応条件で同じ操作を行った。すなわち,HDA464g,カ
ルバミン酸O−(2−ナフトール)1571g,そして2−ナ
フトール11520gからなる原料液を用いた。
1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジ(2−ナフチルウレタ
ン)は13.2重量%,およびアンモニアは0.01重量%含ま
れていた。この値からHDAの仕込モル数当りの1,6−ヘキ
サメチレン−O,O′−ジ(2−ナフチルウレタン)収率
は91%であった。
じ反応条件で同じ操作を,行った。すなわち,3−アミノ
メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(IP
A)680g,カルバミン酸O−フェニル1151g,そしてフェノ
ール7520gからなる原料液を用いた。
3−フェノキシカルボニルアミノメチル−3,5,5−トリ
メチル−1−フェノキシカルボニルアミノシクロヘキサ
ンは17.3重量%,およびアンモニアは0.01重量%含まれ
ていた。この値からIPAの仕込モル数当りの3−フェノ
キシカルボニルアミノメチル−3,5,5−トリメチル−1
−フェノキシカルボニルアミノシクロヘキサン収率は92
%であった。
じ反応条件で同じ操作を行った。すなわち,m−キシリレ
ンジアミン544g,カルバミン酸O−フェニル1151g,そし
てフェノール7520gからなる原料液を用いた。
m−キシリレン−O,O′−ジフェニルウレタンは17.2重
量%,およびアンモニアは0.01重量%含まれていた。こ
の値からm−キシリレンジアミンの仕込モル数当りのm
−キシリレン−O,O′−ジフェニルウレタン収率は96%
であった。
を標準状態換算で毎時10流すこと以外は実施例12と同
じ反応条件で同じ操作を行った。すなわち,n−オクチル
アミン516g,カルバミン酸O−フェニル575g,そしてフェ
ノール3760gからなる原料液を用いた。
n−オクチル−O−フェニルウレタンは21.8重量%,お
よびアンモニアは0.01重量%含まれていた。この値から
n−オクチルアミンの仕込モル数当りのn−オクチル−
O−フェニルウレタン収率は97%であった。
Aの組成および反応条件を次の様に変える以外は実施例
2と同じ操作を行った。HDA464g,カルバミン酸O−フェ
ニル1151g,そしてフェノール15040gからなる原料液を用
い,反応圧は4.2気圧,反応温度は235℃,冷却還流器2
の温度は100℃,原料液Aの流入量は毎時1500g,および
窒素ガス量は標準状態換算で毎時100流した。平均滞
留時間は30分であった。反応終了後,反応液Bは15826g
回収された。この中に1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジ
フェニルウレタンは8.82重量%,およびアンモニアは0.
004重量%含まれていた。この値からHDAの仕込モル数当
りの1,6−ヘキサメチレン−O,O′−ジフェニルウレタン
の収率は98%であった。また,反応終了までに反応ガス
E量は標準状態換算で1256回収され,反応ガスEにア
ンモニアはGCより12.5容量%含まれていたことから,ア
ンモニアはガスとして理論量の99%が回収できたことに
なる。
らフェノールを留去し1562gの淡黄色固体が得られた。
次にこの固体を100℃で3のキシレンに溶解し,再結
晶したところ1351gの白色固体が得られた。1,6−ヘキサ
メチレン−O,O′−ジフェニルウレタンの純度はGPC分析
により99重量%であった。
施例18と同じ操作を行った。毎時385gのn−ヘキサンは
蒸発器を経て縦型反応管1の下部にガス状で導入した。
反応終了後,反応液Bは15914g回収された。この中に1,
6−ヘキサメチレン−O,O′−ジフェニルウレタンは8.68
重量%,およびアンモニアは0.004重量%含まれてい
た。この値からHDAの仕込モル数当りの1,6−ヘキサメチ
レン−O,O′−ジフェニルウレタンの収率は97%であっ
た。さらにロータリーエバポレーターでフェノールを留
去し,次に,100℃,3のキシレンから再結晶したところ
1337gの白色固体が得られた。1,6−ヘキサメチレン−O,
O′−ジフェニルウレタンの純度はGPC分析により99重量
%であった。
型反応管,2は冷却還流器,3は気液分離器,Aは原料液,Bは
反応液,Cは窒素ガス,Dは凝縮成分,Eは反応ガスを示す。
Claims (1)
- 【請求項1】脂肪族1級アミンから脂肪族O−アリール
ウレタンを製造する方法において, a)次の一般式: Ar−OH (式中,Arは芳香族基を表す)で表わされる芳香族ヒド
ロキシル化合物の存在下,脂肪族1級アミン及び次の一
般式: Ar−OCONH2 (式中,Arは同じ芳香族基を表す)で表わされるカルバ
ミン酸O−アリール,またはカルバミン酸O−アリール
を1重量%以上含む尿素(NH2CONH2)との混合物とを反
応させること, b)反応液中のアンモニア濃度が1重量%以下になるよ
うに,副生するアンモニアを反応系から除去しながら反
応させること,を特徴とする脂肪族O−アリールウレタ
ンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15241889A JP2790855B2 (ja) | 1989-06-16 | 1989-06-16 | 脂肪族o―アリールウレタンの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15241889A JP2790855B2 (ja) | 1989-06-16 | 1989-06-16 | 脂肪族o―アリールウレタンの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0320254A JPH0320254A (ja) | 1991-01-29 |
JP2790855B2 true JP2790855B2 (ja) | 1998-08-27 |
Family
ID=15540080
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15241889A Expired - Lifetime JP2790855B2 (ja) | 1989-06-16 | 1989-06-16 | 脂肪族o―アリールウレタンの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2790855B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
BRPI0920794B1 (pt) * | 2009-08-21 | 2019-04-24 | Asahi Kasei Chemicals Corporation | Método para produzir um éster de ácido carbâmico n-substituído, e, composição para transferência e armazenamento de um o-ar éster de ácido carbâmico n-substituído |
EP2679575B1 (en) | 2011-02-21 | 2019-04-10 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Process for producing carbonyl compounds |
-
1989
- 1989-06-16 JP JP15241889A patent/JP2790855B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0320254A (ja) | 1991-01-29 |
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