JPH082137B2 - 送電線電流差動保護装置 - Google Patents

送電線電流差動保護装置

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JPH082137B2
JPH082137B2 JP2041568A JP4156890A JPH082137B2 JP H082137 B2 JPH082137 B2 JP H082137B2 JP 2041568 A JP2041568 A JP 2041568A JP 4156890 A JP4156890 A JP 4156890A JP H082137 B2 JPH082137 B2 JP H082137B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は電流差動演算に基づいて電力系統を保護す
る送電線電流差動保護装置に関するものである。
〔従来の技術〕
第3図は一般的な高抵抗接地電力系統保護システムを
示す構成図である。図において、(1)は保護対象とな
る電力系統の送電線であり、便宜上単線で示している
が、実際はA相、B相およびC相の3相線からなってい
る。(2)は送電線(1)の一方の端部に設けられた端
局である自端、(3)は自端(2)から所定距離離れた
送電線(1)のもう一方の端部に設けられた端局である
相手端、(4)は自端(2)に設置された自端電気所の
母線、(5)は相手端(3)に設置された相手端電気所
の母線、(6)は自端電流I1を自端電流情報として検出
するための自端CT、(7)は相手端電流I2を相手端電流
情報として検出するための相手端CT、(8)は自端電気
所の母線電圧V1を自端電圧情報として検出するための自
端母線PT、(9)は相手端電気所の母線電圧V2を相手端
電圧情報として検出するための相手端母線PT、(10)は
送電線(1)を自端(2)において遮断するための自端
遮断器、(11)は送電線(1)を相手端(3)において
遮断するための相手端遮断器である。
(12)は自端(2)に設けられた送電線電流差動保護
装置としての自端リレー装置、(13)は相手端(3)に
設けられた同じく送電線電流差動保護装置としての相手
端リレー装置で、通常これら各リレー装置(12)および
(13)は、それぞれ自端CT(6)、自端母線PT(8)お
よび相手端CT(7)、相手端母線PT(9)に接続されて
いる。
(14)は自端リレー装置(12)に接続された自端通信
装置、(15)は相手端リレー装置(13)に接続された相
手端通信装置、(16)は自端通信装置(14)と相手端通
信装置(15)とを接続する伝送路で、自端リレー装置
(12)および相手端リレー装置(13)の電流情報に係る
デジタルデータを相互に伝送する。
第4図は従来の自端リレー装置(12)の内部構成を示
す機能ブロック図であり、図示しない相手端リレー装置
(13)も同一の構成を有している。
図において、(17)および(18)はそれぞれ自端電流
I1および母線電圧V1が入力される入力変換器、(19)お
よび(20)はそれぞれ入力変換器(17)および(18)に
接続されたフィルター回路、(21)はフィルター回路
(19)(20)からの自端電流電圧情報を自端デジタルデ
ータに変換するA/D変換器、(22)は自端通信装置(1
4)に接続された伝送インターフェースで、相手端
(3)に対して自端デジタルデータを導出するととも
に、相手端デジタルデータを導入するようになってい
る。(23)は自端電流I1と相手端電流I2とから差電流Id
を演算する演算部、(24)は差電流Idから送電線(1)
の事故を判定する比率保護演算部である。
なお、ここでは電流、電圧とも1相分しか図示してい
ないが、実際は3相または零相回路がある場合は合計4
相の構成となる。
次に、例えば送電線(1)のA相に1線地絡事故が発
生した場合を想定し、この場合の事故電流の流れる状況
と保護検出の動作について第5図により説明する。
第5図において、(1A)(1B)(1C)は各相送電線、
(61A)(61B)(61C)は自端CT(6)の各相2次巻
線、(62A)(62B)(62C)は自端CT(6)の各相3次
巻線で、通常、これら2次巻線および3次巻線は各相毎
に同一鉄心に巻回した一体形CTの構造として経済性、小
形化が図られている。同様に、(71A)(71B)(71C)
は相手端CT(7)の各相2次巻線、(72A)(72B)(72
C)は相手端CT(7)の各相3次巻線である。
1線地絡時の事故電流は周知のように事故時の零相分
電流の3倍となる。今、自端(2)側から事故点へ流れ
込む事故電流を3I1、相手端(3)側から事故点へ流れ
込む事故電流を3I2とした場合、両CT(6)(7)の各
巻線に流れる電流は第5図に示す通りとなる。但し、便
宜上、各CT(6)(7)の各巻線の巻線比は1としてい
る。
従って、A相の自端リレー装置(12)の比率保護演算
部(24)に入力される差電流Idは次式で表わされる値と
なる。
Id=IA+IA=2I1+2I2 =2(I1+I2)≠0 但し、IAは自端CT(6)のA相2次巻線(61A)か
ら流出する電流、IAは相手端CT(7)のA相2次巻
線(71A)から流出する電流である。
従って、この差電流Idの大きさを比率保護演算部(2
4)で演算判定して1線地絡の事故相を特定することが
できる訳である。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、上記の場合における他相、B,C相の動作に
着目してみると、例えばB相の比率保護演算部(24)に
入力される差電流Idは次式で表わされる値となる。
Id=IB+IB=−I1−I2 =−(I1+I2)≠0 但し、IBは自端CT(6)のB相2次巻線(61B)か
ら流出する電流、IBは相手端CT(7)のB相巻線(7
1B)から流出する電流である。このように自端CT(6)
の事故相以外の相の2次巻線にも電流が流れるのは以下
の理由による。
即ち、自端CT(6)には零相電流検出用の3次巻線
(62A)(62B)(62C)が巻回されており、これら各相
巻線は外部で相互に結線され閉回路が形成されている。
従って、各相巻線(62A)(62B)(62C)には等しく零
相電流I1が流れることになる。この結果、これら3次巻
線と同一鉄心に巻回された2次巻線には、変圧器のいわ
ゆる等アンペアターンの作用で第5図に示すように電流
が流れる。なお、A相では送電線である1次巻線の電流
3I1と2次巻線(61A)の電流2I1および3次巻線(62A)
の電流I1とで等アンペアーターンが成立する。
以上のように、事故相であるA相とは逆極性で大きさ
が1/2となるが、B相(C相も同様)にも差電流Idが流
れ比率保護演算部(24)がこれで動作することがあり、
リレー装置として誤動作となる可能性があるという問題
点があった。
この発明は以上のような問題点を解消するためになさ
れたもので、誤動作がなく1線地絡事故の事故相を確実
に判定することができる送電線電流差動保護装置を得る
ことを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
この発明に係る送電線電流差動保護装置は、送電線両
端のCT2次巻線の出力電流の差を各相毎に演算して所定
の設定値以上になったとき出力信号を出す従来からの第
1の演算部に加え、CT2次巻線からの出力電流とPTから
の零相電圧との位相関係を判別する第2の演算部と、上
記両演算部の出力論理積から送電線における1線地絡事
故相を判別する第3の演算部とを備えたものである。
〔作用〕
差電流と零相電圧とはそれぞれ事故相では逆位相にな
り、健全相では同位相となり判別対象が明確であるの
で、第2の演算部が健全相を事故相と誤って動作するこ
とはない。従って、第3の演算部は事故相を確実に特定
する。
〔実施例〕
第1図はこの発明の一実施例による送電線電流差動保
護装置としての自端リレー装置(25)の内部構成を示す
機能ブロック図である。図において、第4図第5図と同
一符号は従来と同一のもので説明を省略する。(26A)
(26B)(26C)は自端電流と相手端電流との差Idを演算
してこの差電流Idが所定の設定値以上となったとき出力
信号を出す第1の演算部、(27A)(27B)(27C)は自
端電流I1と自端母線PT(8)から得られる零相電圧V0
の位相関係を判別する第2の演算部で、具体的には、第
2図に示すように、自端電流I1と零相電圧V0とが逆位相
の場合のみ出力信号を出し、両者が同位相の場合は出力
信号を出さない。(28A)(28B)(28C)は第1の演算
部(26A)等と第2の演算部(27A)等との出力の論理積
を演算する第3の演算部である。
この実施例においても、2次、3次巻線一体形の自端
CT(6)等を使用しているので、従来技術で説明したと
おり、1線地絡事故発生時には事故相だけでなく、健全
相にも差電流が流れることになる。しかし、第2図に示
した通り、差電流の位相が零相電圧に対し、事故相では
逆位相に、健全相では同位相になり第2の演算部(27
A)等で確実な判別が可能となる。即ち、第2の演算部
(27A)のみが出力信号を出し、他の第2の演算部(27
B)(27C)は出力信号を出さない。
従って、差電流の大きさにより、例えば健全相である
B相の第1の演算部(26B)がたとえ誤動作により出力
信号を出したとしても第2の演算部(27B)の出力レベ
ルが“L"であるので、論理積をとる第3の演算部(28
B)の出力レベルは“L"となり、健全相を事故相である
と誤って判定する可能性がなくなり、保護装置としての
信頼性が大幅に向上する。
なお、上記実施例では、零相電圧を外部から導入して
いるが、各相電圧を導入し、内部で零相電圧を求める方
式としてもよい。
また、零相電流の差動演算を行い、その結果を含めた
論理積をとるようにすれば、地絡事故検出の信頼性を一
層向上させることができる。
更に、上記実施例では保護装置をデジタル形で構成し
たが、必ずしもそれに限定される訳ではない。
〔発明の効果〕
この発明は以上のように構成されているので、零相電
流検出用の3次巻線を備えたCTを使用しているにもかか
わらず、1線地絡事故の事故相を正確確実に検出するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例による自端リレー装置の内
部構成を示す機能ブロック図、第2図は差電流と零相電
圧との位相関係を示すベクトル図、第3図は一般的な高
抵抗接地電力系統保護システムを示す構成図、第4図は
従来の自端リレー装置の内部構成を示す機能ブロック
図、第5図は1線地絡事故時の電流分布を示す説明図で
ある。 図において、(1)は送電線、(2)は送電線の自端、
(3)は送電線の相手端、(6)は自端CT、(61A)等
は2次巻線、(62A)等は3次巻線、(8)は自端母線P
T、(25)は送電線電流差動保護装置としての自端リレ
ー装置、(26A)等は第1の演算部、(27A)等は第2の
演算部、(28A)等は第3の演算部である。 なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】零相電圧検出用のPTおよび正相電流検出用
    の2次巻線と零相電流検出用に3相閉回路に結線される
    3次巻線とを備えたCTを送電線の自端と相手端とのそれ
    ぞれに設置し、更に、上記両端のCT2次巻線の出力電流
    の差を各相毎に演算して所定の設定値以上となったとき
    出力信号を出す第1の演算部、上記CT2次巻線からの出
    力電流と上記PTからの零相電圧との位相関係を判別する
    第2の演算部、および上記両演算部の出力論理積から上
    記送電線における1線地絡事故相を判別する第3の演算
    部を備えた送電線電流差動保護装置。
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