JPH08211525A - 改良された輻射線感受性乳剤および写真要素 - Google Patents

改良された輻射線感受性乳剤および写真要素

Info

Publication number
JPH08211525A
JPH08211525A JP7291415A JP29141595A JPH08211525A JP H08211525 A JPH08211525 A JP H08211525A JP 7291415 A JP7291415 A JP 7291415A JP 29141595 A JP29141595 A JP 29141595A JP H08211525 A JPH08211525 A JP H08211525A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
emulsion
silver halide
emulsion layer
grain
silver
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7291415A
Other languages
English (en)
Inventor
Roy King
キング ロイ
Roger A Weiss
アラン ウェイス ロジャー
Kenneth J Reed
ジョセフ リード ケネス
Gerald W Klein
ウェイン クレイン ジェラルド
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eastman Kodak Co
Original Assignee
Eastman Kodak Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eastman Kodak Co filed Critical Eastman Kodak Co
Publication of JPH08211525A publication Critical patent/JPH08211525A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/005Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein
    • G03C1/0051Tabular grain emulsions
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/005Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein
    • G03C1/06Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein with non-macromolecular additives
    • G03C1/08Sensitivity-increasing substances
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/005Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein
    • G03C1/06Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein with non-macromolecular additives
    • G03C1/08Sensitivity-increasing substances
    • G03C1/10Organic substances
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/005Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein
    • G03C1/06Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein with non-macromolecular additives
    • G03C1/08Sensitivity-increasing substances
    • G03C1/10Organic substances
    • G03C1/12Methine and polymethine dyes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Silver Salt Photography Or Processing Solution Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 改良された輻射線感受性乳剤および写真要素
を提供する。 【解決手段】 高臭化物平板状粒子が、0.07μm未満の
平均厚さを示し、かつ潜像形成性還元化学増感部位およ
びそれらの表面に吸着された分光増感色素を有する乳剤
により、感度が改良されかつ最低濃度が低減される。前
記平板状粒子は、浅い電子捕獲部位を形成できるドーパ
ントを含み、そして前記分光増感色素は、1.2ボルトよ
りも正の酸化電位を示す。また、マイナス・ブルー記録
性乳剤層を上塗りする層に乳剤を配置する写真要素を開
示する。上塗り乳剤層において、少なくとも 0.2μmの
等価円直径を有するハロゲン化銀粒子の総投影面積の97
パーセントを越える面積が、少なくとも 0.7μmの平均
等価円直径を有する平板状粒子により占められていると
き、一際優れた鮮鋭な画像が、マイナス・ブルー記録性
乳剤層に形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀写真
に向けられており、そしてより詳細には、輻射線感受性
ハロゲン化銀乳剤およびハロゲン化銀乳剤を含有する写
真要素に関する。
【0002】
【従来の技術】ECDは、等価円直径の頭字語として使
用される。記号「μm」は、マイクロメートルを示すの
に使用される。2種以上のハロゲン化物を含有する粒子
を表す際、ハロゲン化物は濃度の高い順に命名される。
「第VIII族(Group VIII)」なる語が第8族、第9族お
よび第10族を示すために使用されることを除いて、すべ
ての元素の周期および族は、米国化学会により採用さ
れ、Chemical and Engineering News, 1985 年 2月 4
日,26ページに公表された周期表に基づいて指定されて
いる。
【0003】「メタ−カルカゾール(meta-chalcazol
e)」なる語は、以下の環構造を示す際に使用される。
【化1】 上式中、Xは、1つのカルコゲン:O、SもしくはSe
である。
【0004】「ドーパント(dopant)」なる語は、ハロ
ゲン化銀粒子の結晶構造内に導入される銀イオンもしく
はハロゲン化物イオン以外のいずれかの物質を称する。
「マイナス・ブルー(minus blue)」なる語は、可視ス
ペクトルの緑色部分および赤色部分、すなわち、 500〜
700 nmを包含する、その技術分野で認められている意味
で使用される。「平行光(specular light)」は、カメ
ラレンズによりフィルム表面の焦点面へ供給される特別
に配向させられた光の型、すなわち、実際上全く散乱し
ない光を示すために慣用されている、その技術分野で認
められている意味で使用される。
【0005】平板状粒子に関して用いられる「超薄型
(ultrathin )」なる語は、<0.07μmの粒子厚さを示
す。平板状粒子乳剤に関して用いられる「超薄型(ultr
athin)」なる語は、<0.07μmの平均厚さを有する平
板状粒子を称する。「酸化ゼラチン」なる語は、酸化剤
で処理して、そのメチオニン含有量を測定可能なレベル
より低くしたゼラチンを称する。Shiba 他,米国特許第
3,790,390号明細書には、その目的として、閃光露光に
おいて青色光に対して高感度を有し(すなわち、高照度
相反則不軌を低めた)、そして明るい黄色がかった緑色
の安全光下における取扱が可能な写真材料が提供されて
いる。写真材料は、(a)平均ECDが 0.9μm以下で
あるハロゲン化銀粒子;(b)ハロゲン化銀1モル当た
り10-6〜10-3モルの少なくとも1つの第VIII族金属の化
合物;および(c)少なくとも1つの前記式のジメチン
メロシアニン色素;を含む乳剤である。
【0006】Ohkubo他,米国特許第 3,890,154号明細書
には、その目的として、閃光露光において緑色光に対し
て高感度を有する(すなわち、高照度相反則不軌を低め
た)写真材料が提供されている。写真材料は、表面感光
性ハロゲン化銀粒子;第VIII族金属ドーパント;および
少なくとも1つの前記式のトリメチンシアニンもしくは
ジメチンメロシアニン色素;を含む乳剤である。Habu
他,米国特許第 4,147,542号明細書には、その目的とし
て、閃光露光において 550nm未満の波長の光に対して高
感度を有する(すなわち、高照度相反則不軌を低めた)
写真材料が提供されている。粒子は、銀1モル当たり10
-8〜 5×10 -7モルの濃度の第VIII族金属ドーパントを含
むが、前記式のメチンメロシアニン色素もしくはモノメ
チンシアニン色素は全く含まない。
【0007】Marchetti 他,米国特許第 4,937,180号明
細書には、レニウム、ルテニウム、オスミウムもしくは
イリジウムと少なくとも4つのシアニド配位子との6座
配位錯体で、任意にヨウ化物を含有する臭化物粒子をド
ーピングすることにより乳剤の安定性を増強することが
記載されている。Bell他,米国特許第 5,132,203号明細
書には、平板状粒子が少なくとも4モルパーセントのヨ
ウ化物含有量を有するホスト層および2モルパーセント
未満のヨウ化物を含有する平板状粒子の主面を形成する
積層を有する、感度が増強されたヨウ臭化銀平板状粒子
乳剤を報告している。表面層の真下にそれと接触状態で
配置された亜表面層は、第VIII族、第4もしくは第5周
期の金属および少なくとも3つのシアニド配位子の6座
配位錯体を含む。
【0008】Lok 他,米国特許第 4,378,426号および同
第 4,451,557号明細書には、スピードを増強し、かつハ
ロゲン化銀乳剤における潜像退行を減少する、2−〔N
−(2−アルキニル)アミノ〕−メタ−カルカゾールが
開示されている。Antoniades他,米国特許第 5,250,403
号明細書には、少なくとも 0.2μmのECDを有する粒
子の>97%が、少なくとも 0.7μmの平均ECDおよび
0.07μm未満の平均厚さを有する平板状粒子で占められ
ている、ヨウ臭化銀平板状粒子乳剤でオーバーコートさ
れたとき、 500〜700 分光領域で増感された第1乳剤層
における画像先鋭度の増強された画像を生成できる写真
要素が開示されている。
【0009】
【課題を解決するための手段】ある態様では、本発明
は、分散媒、(a)銀を基準として50モルパーセントを
越える臭化物を含有し、(b)総粒子投影面積の50パー
セントを越える面積を占め、(c)0.07μm未満の平均
厚さを示し、かつ(d)平板状粒子の表面に潜像形成性
化学増感部位を有する、平板状粒子を包含するハロゲン
化銀粒子、ならびに平板状粒子の表面に吸着された分光
増感色素、を含む改良された輻射線感受性乳剤であっ
て、前記平板状粒子が、浅い電子捕獲部位を形成できる
ドーパントを含有し、前記表面化学増感部位が、少なく
とも一部分は還元増感により形成されており、そして前
記分光増感色素が 1.2ボルトよりも正の酸化電位を示す
こと、を特徴とする改良された輻射線感受性乳剤に向け
られている。
【0010】別の態様では、本発明は、支持体、支持体
上に被覆され、かつ 500〜700 nmのマイナス・ブルー可
視波長領域内の平行光に対して露光されたとき、写真記
録を生成するように増感された第1ハロゲン化銀乳剤
層、ならびに第1ハロゲン化銀乳剤層を露光しようとす
る平行マイナス・ブルー光を受けて、第1ハロゲン化銀
乳剤層の上に被覆された第2写真記録を生成できる第2
ハロゲン化銀乳剤層、を含む写真要素であって、前記第
2ハロゲン化銀乳剤層が、平行光の形で第1ハロゲン化
銀乳剤層を露光しようとするマイナス・ブルー光を供給
するための透過媒体として作用でき、第2ハロゲン化銀
乳剤層が、分光増感色素がブルー・スペクトル部分に吸
収ピークを示し、かつ少なくとも 0.2μmの等価円直径
を有するハロゲン化銀粒子の総投影面積の97パーセント
を越える面積が少なくとも 0.7μmの平均等価円直径を
有する平板状粒子により占められている、請求項1に記
載の改良された乳剤からなることを特徴とする写真要素
に向けられている。
【0011】還元増感された超薄型平板状粒子乳剤は、
その平板状粒子をドーピングして、平板状粒子内に浅い
電子捕獲部位を提供し、かつ選ばれたレベルを越える酸
化電位を有する色素で平板状粒子を分光増感すると、最
低濃度の低下および感度増強を示すことが、全く予測さ
れずに発見された。本発明のものより劣る挙動性を有す
る乳剤は、以下の変更のいずれか1つ又は組み合わせて
行われるときに認められる。 (a)分光増感色素を省くか、又は必要な酸化電位を欠
く色素と置き換える。 (b)ドーパントを省く。 (c)還元増感を省く。 (d)極薄型平板状粒子の代わりに厚型平板状粒子を用
いる。
【0012】下記実施例で観察されかつ具体的に示され
る写真挙動の増強は、機構的に以下に帰することができ
ると信じられている。本発明の要件を満たす極薄型粒子
が像様露光において光子を吸収するとき、光子はまず吸
着された分光増感色素により捕獲され、極薄型平板状粒
子結晶格子構造に伝導帯電子(conduction band electr
on)を挿入することにより、光子エネルギーを粒子に移
動する。同時に、分光増感色素の酸化電位が充分に正で
あるとき、価電子帯電子(valence band electron)は超
薄型平板状粒子から移動して色素に戻る。これは、色素
の電荷を中性に維持し、伝導帯電子が色素へ戻ることを
避け、そして増感効率を改良する。従って、正味の質量
移動は全くないが、しかし正味のエネルギー移動が起こ
る。粒子内の浅い電子捕獲部位の有効性は、正孔電子再
結合(hole-electron recombination )により伝導帯電
子が消滅するのを防ぐことである。超薄型平板状粒子の
還元増感は、感度を増強するのみならず、粒子上に(Ag
0 n ,n≧3である表面部位を提供することにより伝
導帯電子が消滅するのを防ぐ。(Ag0 n は、それ自体
が電子を正孔に供与し、それによってAg+ に戻ることが
できる。従って、超薄型粒子の表面上で起こるこの銀漂
白は、最低濃度を低める((Ag0 n の存在による)の
みならず、正孔電子再結合の危険性を減少することによ
り感度を増強する。
【0013】本発明の本質を目で見えるようにするのを
助ける機構説明が信じられているとはいえ、それは観察
された挙動の増強の事後説明である。本発明の組合せ
は、決して本発明の前に認められたものではなく、組合
せの真の効果は予測できるものではなかった。例えば、
Ag0 の漂白は、実際には還元増感が実施され、より高い
写真感度を得るように働くであろうと、研究論文の不存
在下でもっともらしく予測できる。その線の推論を追求
すると、別の色素選択も理論的であるだろう。正孔注入
性(電子受容性)分光増感色素が、表面カブリを漂白し
て粒子を非現像性にするために直接ポジ乳剤に常用され
る。N−(2−アルキニル)アミノ−メタ−カルカゾー
ル、特に前記Eikenberry他のものを還元増感に使用する
ときに具体的に示される優れた挙動の観察は、機構説明
の範囲を越える。最終的には、理論は、組合せ中の超薄
型平板状粒子の挙動の増強の説明とはならない。
【0014】本発明は、分光増感された写真乳剤の改良
に向けられている。前記乳剤は、カメラ・スピード・カ
ラー写真フィルムに取り入れるために特に考えられる。
本発明の乳剤は、平板状粒子が、(a)銀を基準として
50モルパーセントを越える臭化物を含み(好ましくは>
70モル%のBr、そして中程度から高スピード適用につ
いて、少なくとも0.25モル%のI)、(b)総粒子投影
面積の50パーセントを越える面積を占め(そして場合に
よっては、順に総粒子投影面積の>70、>90および>97
%を占めることがさらに好ましい)、そして(c)0.07
μm未満の平均厚さを示す、いずれかの従来の超薄型平
板状粒子乳剤を、以下に詳細に記載される方法でドーピ
ング、還元増感および分光増感することにより実現させ
ることができる。
【0015】中程度から高スピード画像形成適用につい
てのみ要求される超薄型平板状粒子乳剤のさらなる特徴
は、以下の(d)少なくとも 0.7μm(好ましくは少な
くとも 1.0μm)の平均平板状粒子ECD、である。基
準(a)から(d)は、厳しすぎて多数の既知平板状粒
子乳剤によっては満足させることができないとはいえ、
幾つかの公表された沈殿技法はこれらの基準を満たす乳
剤を、それらの好ましい状態で生成することができる。
前記Antoniades他は、これらの基準を満たす好ましいヨ
ウ臭化銀乳剤を具体的に説明している。ZolaおよびBrya
nt発行のヨーローッパ特許出願番号第 0 362 699 A3 号
明細書には、これらの基準を満たすヨウ臭化銀乳剤も開
示されている。
【0016】カメラ・スピード・フィルムについて、一
般的には、銀を基準として少なくとも0.25(好ましくは
少なくとも 1.0)モルパーセントのヨウ化物を含有する
平板状粒子が好ましい。臭化銀結晶格子中のヨウ化物の
飽和レベルが一般的には約40モルパーセントと言及さ
れ、かつそれがヨウ化物導入についての常用限界である
とはいえ、写真適用については、ヨウ化物濃度はめった
に20モルパーセントを越えることはなく、典型的には約
1〜12モルパーセントの範囲内である。当該技術分野で
一般的によく理解されているように、ヨウ臭化銀平板状
粒子乳剤を生成する、Antoniades他ならびにZolaおよび
Bryantのものを包含する沈殿技法は、単にヨウ化物の添
加を省くことにより、平均粒子厚さ以下の臭化銀平板状
粒子乳剤を生成するように改良できる。これは、Kofron
他,米国特許第 4,439,520号明細書により詳細に教示さ
れている。
【0017】少量の塩化物イオンを超薄型平板状粒子に
含むことができる。Delton,米国特許第 5,372,927号明
細書に開示されるように、ハロゲン化物バランスが臭化
物であり、総銀量を基準として、 0.4〜20モルパーセン
トの塩化物および10モルパーセントまでのヨウ化物を含
有する超薄型平板状粒子乳剤は、総銀量の5〜90パーセ
ントを占める粒子の成長を、Piggin他,米国特許第 5,0
61,609号および同第 5,061,616号明細書の曲線Aおよび
Bに対応する、Deltonにより示されるpAg 対温度(℃)
の限界曲線Aの範囲内(好ましくは限界曲線Bの範囲
内)に誘導することにより調製できる。これらの沈殿条
件下では、塩化物イオンの存在は、実際に平板状粒子の
厚さを低減する。塩化物イオンが存在するとき、塩化物
イオンが平板状粒子の厚さを低減できる沈殿条件を使用
することが好ましいとはいえ、0.07μm未満の平板状粒
子平均厚さの保持を両立できる程度に、いずれか従来の
超薄型平板状粒子沈殿処理中に塩化物イオンが添加でき
ることが認められている。
【0018】前記のように、好ましくは超薄型平板状粒
子が、銀を基準として少なくとも70モルパーセントの臭
化物を含有する。これらの超薄型平板状粒子は、臭化
銀、ヨウ臭化銀、塩臭化銀、ヨウ塩臭化銀および塩ヨウ
臭化銀粒子を含む。超薄型平板状粒子がヨウ化物を含む
とき、ヨウ化物は平板状粒子内に均一に分布されうる。
スピード−粒状度関係におけるさらなる改良を得るため
に、ヨウ化物分布がSolberg 他,米国特許第 4,433,048
号明細書の教示を満たすことは好ましい。Antoniades
他、ZolaおよびBryant、ならびにDeltonの教示により生
成された超薄型平板状粒子は、すべて{111}主面を
有する。そのような平板状粒子は、典型的には三角形の
または六方晶形の主面を有する。粒子の平板状構造は、
平行な双晶面を含むことによる。
【0019】本発明の乳剤の平板状粒子は、好ましくは
総粒子投影面積の70パーセントを越える面積を占め、そ
して最も好ましくは総粒子投影面積の90パーセントを越
える面積を占める。平板状粒子が総粒子投影面積の97パ
ーセントを越える面積を占める超薄型平板状粒子乳剤
は、Antoniades他により教示された調製方法によって生
成でき、かつこれが好ましい。Antoniades他は、実質的
にすべて(例えば、99.8%まで)の総粒子投影面積が平
板状粒子により占められている乳剤を報告している。同
様に、Deltonは超薄型平板状粒子乳剤を形成する際に沈
殿した「実質的にすべて」の粒子が平板状であったと報
告している。平板状粒子が総粒子投影面積の高パーセン
テージを占める乳剤を提供することは、特に多層カラー
写真フィルムにおいて、最高の到達可能な画像鮮鋭度レ
ベルを達成するために重要である。また、効率良く銀を
利用すること、および最も好ましいスピード−粒状度関
係を達成することが重要である。
【0020】好ましくは、平板状粒子が少なくとも 0.7
μmの平均ECDを示す。少なくとも 0.7μmの平均E
CDを維持することにより実現される利点は、Antoniad
es他の第III 表および第IV表に具体的に示されている。
極めて大きい平均粒子ECDの乳剤が科学的粒子研究の
ために時折調製されるとはいえ、写真適用については、
ECDは、伝統的には10μm未満に制限され、そしてほ
とんどの場合5μm未満である。中程度から高い画像構
造品質について最適なECD範囲は、1〜4μmの範囲
である。
【0021】本発明の超薄型平板状粒子乳剤において
は、総粒子投影面積の50パーセントを越える面積を占め
る平板状粒子は、0.07μm未満の平均厚さを示す。0.07
μm未満の平均厚さで、スペクトルの緑色領域と赤色領
域との反射率の間にわずかな相違が存在する。加えて、
平均粒子厚さ0.08〜0.20μmの範囲の平板状粒子乳剤と
比較すると、マイナス・ブルーとブルーとの間の反射率
の差異は大きくない。可視領域中の露光波長からの反射
率の大きさのこの分断は、緑色および赤色記録性乳剤
(ならびに多少の青色記録性乳剤)が同じまたは同様の
平板状粒子乳剤を用いて構成されうるフィルム構成を簡
素化する。平板状粒子の平均厚さがさらに0.07μmより
下に減少すると、可視スペクトル範囲内で観察される平
均反射率も減少する。従って、少なくとも0.05μm未満
の平均粒子厚さを維持することは好ましい。一般的に
は、使用される沈殿方法により都合良く実現される最低
平板状粒子厚さが好ましい。従って、平均平板状粒子厚
さが約0.03〜0.05μmの範囲内の超薄型平板状粒子乳剤
は、容易に実現される。Daubendiek他,米国特許第 4,6
72,027号明細書は、 0.017μmの平均平板状粒子厚さを
報告している。Antoniades他により教示された粒子成長
技法を利用して、0.02μm未満の平均厚さを維持しなが
ら、目にみえるほど厚くなく、平均ECDが少なくとも
0.7μmになるように、これらの乳剤を成長させること
ができる。平板状粒子の最低厚さは、沈殿中粒子におい
て形成される最初の2つの平行な双晶面の間隔により制
限される。 0.002μm(すなわち、2nmまたは20Å)の
低い最低双晶面間隔がAntoniades他の乳剤で認められた
とはいえ、Kofron他は実際の最低平板状粒子厚さは約0.
01μmであると提示している。
【0022】好ましい超薄型平板状粒子乳剤は、粒子対
粒子変動が低いレベルに保持されるものである。Antoni
ades他は、90パーセントを越える平板状粒子が六方晶形
主面を有する超薄型平板状粒子乳剤を報告している。ま
たAntoniades他は、ECDを基準とする変動係数(CO
V)が25パーセント未満のそして20パーセント未満を示
す超薄型平板状粒子乳剤を報告している。写真感度およ
び粒状性の両方が平均粒子ECDの増加と共に増大する
ことが認められている。最適に増感された異なる粒子E
CDの乳剤の感度および粒状度の比較から、当業者は、
スピードにおいて各々倍増させて(すなわち、スピード
において 0.3 log E増加,ここでEは露光量であり、ル
クスセカンドで示される)、同じスピード−粒状度関係
を示す乳剤が7粒状度単位の粒状度増加を受けるであろ
うことを確立している。
【0023】本発明の超薄型平板状粒子乳剤におけるほ
んの少しのパーセンテージの大きいECD粒子の存在
が、乳剤粒状度を充分に増大できることが認められてい
る。Antoniades他,好ましい低COV乳剤は、COVに
制限を加えるので、この平板状粒子ECDを平均に近づ
ける必要がある。COVが乳剤粒状度を判断するための
最高の方法ではないことが、ここでは認められている。
低乳剤COV値を必要とすることは、平均粒子ECDよ
りも大きい粒子母集団およびそれよりも小さい粒子母集
団の両方に制限を加えるのに対して、粒状度を高レベル
に動かすのは先の粒子母集団のみである。全COV測定
値における当業者の信頼は、粒子サイズ−度数分布が、
広く分散されていようと狭く分散されていようと、沈殿
方法に固有でありかつ容易に調節されないガウス誤差関
数分布であるという仮定に基づいてきた。
【0024】乳剤の平均ECDよりも大きいECDを示
す超薄型平板状粒子のサイズ−度数分布を選択的に減少
するために、Antoniades他により教示された超薄型平板
状粒子沈殿方法を改良することが特に考えられる。平均
ECDよりも小さいECDを有する粒子のサイズ−度数
分布が相応じて低減しないので、結果として全COV値
はほとんど低減されない。しかしながら、優れた乳剤粒
状度の低減は明らかに確立された。平均ECDよりも大
きいECDを有する超薄型平板状粒子(以下本明細書で
は、>ECDav粒子と称する)のサイズ−度数分布にお
ける不釣合いなサイズ範囲縮小は、以下のように超薄型
平板状粒子乳剤の沈殿方法改良することにより実現でき
ることが認められている。超薄型平板状粒子核形成は、
天然メチオニン含有量を低減するための処理をされてい
ないゼラチン様解膠剤を使用して行われ、そしてゼラチ
ンの成長は、存在するゼラチン様解膠剤のメチオニン含
有量を実質的に排除した後に行われ、次いで導入され
る。これを達成するのに都合のよい方法は、核形成後で
ありかつある程度まで成長が進行する前に沈殿を中断し
てメチオニン酸化剤を導入することである。
【0025】ゼラチン解膠剤のメチオニンを酸化するた
めの従来の技法のいずれを使用してもよい。Maskasky,
米国特許第 4,713,320号明細書は、強酸化剤を使用して
酸化することにより、ゼランチン1グラム当たり30マイ
クロモル未満に、好ましくは12マイクロモル未満にメチ
オニン・レベルを低減することを教示している。事実、
Maskaskyが使用する酸化剤処理は、メチオニンを検出可
能なレベルより下に低減する。ゼラチン解膠剤中のメチ
オニンを酸化するために使用されてきた薬剤の具体例
は、NaOCl、クロラミン、モノ過硫酸カリウム、過
酸化水素および過酸化物関連化合物、ならびにオゾンを
含む。King他,米国特許第 4,942,120号明細書は、アル
キル化剤を用いてゼラチン様解膠剤のメチオニン成分を
酸化することを教示している。Takada他のヨーロッパ特
許出願公開番号第 0 434 012号明細書は、以下の式の1
つのチオスルフェートの存在下で沈殿処理することを開
示している。
【0026】
【化2】
【0027】ここで、R、R1 およびR2 は、同一また
は異なるものでありかつ脂肪族基、芳香族基、または複
素環基を表し、Mは、カチオンを表し、Lは、2価連結
基を表し、そしてmは、0または1であり、上式中、
R、R1 、R2 およびLは、化合して環を形成する。ゼ
ラチン様解膠剤は、ゼラチン、例えば、アルキル処理ゼ
ラチン(ウシ、骨もしくは獣皮ゼラチン)または酸処理
ゼラチン(豚皮ゼラチン)、およびゼラチン誘導体、例
えば、アセチル化またはフタル化ゼラチンを含む。浅い
電子捕獲部位を形成することにより写真スピードを増強
できるドーパントを平板状粒子の面心立方結晶格子に導
入することは、本発明の必須の特徴である。粒子内部に
またはより典型的には粒子の表面に潜像を創造するため
に、単一像様露光で生成された複数の光電子(結晶格子
の伝導帯に高められた電子)は、結晶格子中の幾つかの
銀イオンを還元してAg0 原子の小さな集団を形成するだ
ろう。潜像が形成できる前に競争機構により光電子が消
散される程度まで、ハロゲン化銀粒子の写真感度は低減
される。例えば、光電子が価電子帯における正孔に戻る
とき、そのエネルギーは潜像形成に寄与することなく消
散される。
【0028】ハロゲン化銀をドーピングしてその内部に
浅い電子捕獲部位を創造することが考えられる。これは
かなり効率よく潜像形成に光電子を利用することに寄与
する。これは、イオンもしくは複数のイオンの正味原子
価(net valence)よりも正の原子価を示しかつ結晶格子
中に置き換えられるドーパントを、面心立方結晶格子に
導入することにより達成される。例えば、最も簡単にで
きる態様では、ドーパントは、結晶格子構造中の銀イオ
ン(Ag+ )と置き換えられる、多価(+2から+5)金
属イオンでありうる。例えば、1価Ag+ カチオンを2価
カチオンに置換すると、結晶格子は局在正味正電荷を有
するようになる。これは、局在的に伝導帯のエネルギー
を低下する。伝導帯の局在エネルギーが低下される量
は、J. F.Hamiltonによるjournal Advances in Physic
s, Vol.37 (1988) 395ページ、ならびにM. Ueta, H. Ka
nzaki, K. Kobayashi, Y. ToyozawaおよびE. Hanamura
(1986)によるExcitonic Processes in Solids ,Spring
er-Verlag 出版, Berlin, 359 ページに記載の有効量近
似を適用することにより推定できる。塩化銀結晶格子構
造が+1の正味正電荷をドーピングにより受容すると
き、その伝導帯のエネルギーはドーパントの付近で約
0.048電子ボルト(eV)だけ低下される。正味正電荷が
+2のときについては、シフトは約 0.192eVである。臭
化銀結晶格子構造については、ドーピングにより与えら
れた+1の正味正電荷が、約 0.026eVだけ局在的に伝導
帯エネルギーを低下する。正味正電荷が+2のときにつ
いては、エネルギーは約 0.104eVだけ低下される。
【0029】光の吸収により光電子が発生するとき、そ
れらはドーパント部位で正味正電荷に引き寄せられて、
伝導帯エネルギーの局在低下に等しい結合エネルギーに
より、ドーパント部位で一時的に保持される(すなわ
ち、結合されるかまたは捕獲される)。ドーパント部位
(捕獲部位)に光電子を保持する結合エネルギーはドー
パント部位に永久に電子を保持するには不十分であるた
め、伝導帯を低エネルギーの方へ局在的に曲げるドーパ
ントは、浅い電子捕獲部位と称される。それにもかかわ
らず、浅い電子捕獲部位は有用である。例えば、高照度
露光により発生する光電子の巨大バーストは、浅い電子
捕獲部位に簡単に保持されて即座に消散することからそ
れらを保護することができ、そしてまだなお一定期間に
潜像形成部位にそれらを効率よく移動させることができ
る。
【0030】浅い電子捕獲部位を形成するのに有用であ
るドーパントは、結晶格子に置き換えられるイオンまた
は複数のイオンの正味原子価よりも正の正味原子価を単
に提供する以上に、追加の基準を満たさなければならな
い。ドーパントがハロゲン化銀結晶格子に導入されると
き、それは、ハロゲン化銀価電子帯および伝導帯を含ん
だそれらのエネルギー準位もしくは軌道関数に加えて、
ドーパントの付近に新たな電子エネルギー準位(軌道関
数)を創造する。浅い電子捕獲部位として有用となるド
ーパントは、以下の追加の基準を満たさなければならな
い。(1)その最高エネルギーの電子が占有した分子軌
道関数(HOMO、辺境軌道関数(frontier orbital)
とも称される)は、充満されていなければならない。例
えば、軌道関数が2つの電子(最大可能数)を保持する
であろうとき、それは1つではなく2つの電子を含有し
なければならない。そして(2)その低エネルギーの占
有されていない分子軌道関数(LUMO)は、ハロゲン
化銀結晶格子の最低エネルギー準位の伝導帯よりも高い
エネルギー準位でなければならない。条件(1)および
/または(2)が満たされないとき、局在ドーパント誘
導伝導帯最低エネルギーよりも低いエネルギーで、結晶
格子中に局在ドーパント誘導軌道関数(充満されていな
いHOMOまたはLUMO)が存在し、かつ光電子がこ
の低いエネルギー部位に優先的に保持されて、潜像形成
部位に光電子を効率よく移動するのを妨害するだろう。
【0031】基準(1)および(2)を満たす金属イオ
ンは、以下のものである。+2の原子価を有する第2族
金属イオン、+3の原子価を有する第3族金属イオン
(しかし稀土類元素58−71を除く,これは基準(1)を
満たさない)、+2の原子価を有する第12族金属イオン
(しかしHgを除く,これは、自然発生的にHg+1に変換す
るできるので、強減感剤である)、+3の原子価を有す
る第13族金属イオン、+2もしくは+4の原子価を有す
る第14族金属イオン、ならびに+3もしくは+5の原子
価を有する第15族金属イオン。ドーパントとして導入さ
れるときの実際的な便宜上好ましい、基準(1)および
(2)を満たす金属イオンは、以下の第4、第5および
第6周期の元素:ランタン、亜鉛、カドミウム、ガリウ
ム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、錫、鉛およ
びビスマスを含む。浅い電子捕獲部位の形成に用いるの
に特に好ましい基準(1)および(2)を満たす金属イ
オン・ドーパントは、亜鉛、カドミウム、インジウム、
鉛およびビスマスである。これらの型の浅い電子捕獲部
位用ドーパントの特定の具体例が、DeWitt,米国特許第
2,628,167号明細書、Gilman他,米国特許第 3,761,267
号明細書、Atwell他,米国特許第 4,269,927号明細書、
Weyde 他,米国特許第 4,413,055号明細書およびMuraki
ma他,EPO 0 590 674 およびEPO 0 563 946 により提供
されている。
【0032】充満された辺境軌道関数を有しそれによっ
て基準(1)を満たしている、第8族、第9族および第
10族の金属イオン(以下本明細書では、合わせて第VIII
族金属イオンと称される)も研究されてきた。これら
は、+2の原子価を有する第8族金属イオン、+3の原
子価を有する第9金属イオンおよび+4の原子価を有す
る第10族金属イオンである。これらの金属イオンは、裸
の(bare)金属イオン・ドーパントとして導入されたと
き、浅い電子捕獲部位を効率よく形成できないことが観
察されている。これは、ハロゲン化銀結晶格子の最低エ
ネルギー準位の伝導帯よりも低いエネルギー準位に存在
するLUMOに帰するものである。しかしながら、これ
らの第VIII族金属イオンならびにGa+3およびIn+3
配位錯体は、ドーパントとして使用したとき、浅い電子
捕獲部位を効率よく形成できる。金属イオンの辺境軌道
関数が充満されるための要件は、基準(1)を満たすこ
とである。基準(2)を満たすには、配位錯体を形成す
る少なくとも1つの配位子が、ハロゲン化物よりも強電
子求引性でなければならない(すなわち、電子求引性が
最も高いハロゲン化物イオンである、フッ化物イオンよ
りも電子求引性でなければならない)。
【0033】電子求引性特性を評価する一般法は、Inor
ganic Chemistry: Principles of Structure and React
ivity, James E. Huheey, 1972, Harper and Row, New
YorkおよびAbsorption Spectra and Chemical Bonding
in Complexes, C. K. Jorgensen, 1962, Pergamon Pres
s, London に言及された、溶液中の金属イオン錯体の吸
収スペクトルから導かれる、配位子の分光化学系列に関
する。これらの文献から、以下の分光化学系列における
配位子の順序が明らかである。
【化3】
【0034】使用された略語は、以下の通りである。en
=エチレンジアミン(ethylenediamine)、ox=オキサレ
ート(oxalate)、dipy=ジピリジン(dipyridine)、ph
en=o−フェナトロリン(o-phenathroline )、および
phosph=4−メチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホ
スファビシクロ〔2.2.2〕オクタン(4-methyl-2,
6,7-trioxa-1-phosphabicyclo[2.2.2]octane )。分光
化学系列は、配位子をそれらの電子求引性の順序どおり
に配列したものであり、系列中最初の(I- )配位子は
電子求引性が最も小さく、そして最後の(CO)配位子
は、最大電子求引性である。下線は、多価金属イオンに
配位結合する部位を示す。ドーパント錯体のLUMO値
を上げる配位子の効率は、金属に結合する配位原子がC
lからS、O、N、Cへ変わるほど、増大する。従っ
て、配位子- およびOは特に好ましい。別の好ま
しい配位子は、チオシアネート(CS- )、セレノシ
アネート(CSe- )、シアネート(CO- )、テ
ルロシアネート(CTe- )およびアジド(N3 -
である。
【0035】まさに、分光化学系列は配位錯体の配位子
に適用でき、また金属イオンに適用することもできる。
以下の金属イオンの分光化学系列は、Absorption Spect
ra and Chemical Bonding, C. K. Jorgensen, 1962, Pe
rgamon Press, Londonに報告されている。
【化4】
【0036】肉太活字型の金属イオンは、前記辺境軌道
関数要件(1)を満たす。この列挙がドーパントとして
配位錯体に使用することが特に考慮されるすべての金属
イオンを含んでいないとはいえ、分光化学系列における
残りの金属の位置は、元素の周期表におけるイオンの位
置が第4周期から第5周期、第6周期へ上がると、系列
におけるイオンの位置がMn+2(少なくとも電気陰性の
金属)からPt+4(最も電気陰性な金属)の方へシフト
することに注目することにより明確にできる。正の電荷
が増大するとき、系列の位置は同じ方向にシフトする。
従って、Os+3(第6周期のイオン)は、Pd+4(最も
電気陰性な第5周期のイオン)よりも電気陰性である
が、Pt+4(最も電気陰性な第6周期のイオン)よりは
電気陰性ではない。前記検討から、Rh+3、Ru+3、P
+4、Ir+3、Os+3およびPt+4は、前記辺境軌道関
数の要件(1)を満たす、明らかに最も電気陰性の金属
イオンであり、それ故に特に好ましい。
【0037】前記基準(2)のLUMO要件を満たすた
めに、辺境軌道関数を充満された第VIII族の多価金属イ
オンが、ハロゲン化物よりも電気陰性である少なくとも
1つ、最も好ましくは少なくとも3つ、そして最適には
少なくとも4つの配位子を含有し、いずれか残りの配位
子または複数の配位子がハロゲン化物配位子である配位
錯体に導入される。金属イオンがそれ自体電気陰性度が
高いとき、例えば、Os+3のときは、単一の強電気陰性
配位子、例えば、カルボニルのみが、LUMO要件を満
たすために必要とされる。金属イオンがそれ自体比較的
低い電気陰性度であるとき、例えば、Fe+2であるとき
は、電気陰性度が高くなるようにすべての配位子を選択
することが、LUMO要件を満たすために必要とされる
だろう。例えば、Fe(II)(CN)6 は、特に好ましい浅い電
子捕獲部位用ドーパントである。事実、6つのシアノ配
位子を含有する配位錯体は、一般的には都合のよい、好
ましいクラスの浅い電子捕獲部位用ドーパントを表す。
【0038】Ga+3およびIn+3は、それらが配位錯体
に導入されるとき、裸金属イオンとしてHOMOおよび
LUMO要件を満たすことができるので、それらは、ハ
ロゲン化物イオンから第VIII金属イオン配位錯体に有用
でより電気陰性な配位子のいずれかまでの範囲の電気陰
性度の配位子を含有できる。第VIII族金属イオンおよび
配位子の中間体レベルの電気陰性度については、特定の
金属配位錯体が、LUMO要件を満たし、従って浅い電
子捕獲部位として作用する電気陰性度の金属および配位
子の適当な組合せを含むかどうか、容易に求めることが
できる。これは、電子常磁性共鳴(EPR)分光学を使
用することにより実施できる。この分析技法は、分析方
法として広範に使用され、それはElectron Spin Resona
nce: A Comprehensive Treatise on Experimental Tech
niques, 第2版,Charles P. Poole, Jr. (1983),John
Wiley & Sons, Inc., New York出版に記載されている。
【0039】浅い電子捕獲部位中の光電子は、ハロゲン
化銀結晶格子の伝導帯エネルギー準位における光電子に
ついて認められる信号と非常に類似したEPR信号を生
じさせる。浅い捕獲電子または伝導帯電子のいずれか由
来のEPR信号は、電子EPR信号と称されている。電
子EPR信号は、gファクターと呼ばれるパラメーター
により通常特徴付けられる。EPR信号のgファクター
の計算方法は、前記C.P. Poole により提供されてい
る。ハロゲン化銀結晶格子中の電子EPR信号のgファ
クターは、電子の付近に(複数の)ハロゲン化物イオン
の型に依存する。従って、R. S. Eachus, M. T. Olm,
R. Janes およびM. C. R. Symons によりjournal Physi
ca Status Solidi (b), Vol. 152 (1989), 583-592 ペ
ージに報告されるように、AgCl結晶における電子EPR
信号のgファクターは1.88±0.001 であり、そしてAgBr
のそれは1.49±0.02である。
【0040】配位錯体ドーパントは、以下に詳細に記載
される試験乳剤において、対応するドーピングされてい
ない対照乳剤と比較して少なくとも20パーセントほど電
子EPR信号の大きさを増大するとき、本発明の実施に
際して浅い電子捕獲部位を形成するのに有用であると確
認できる。ドーピングされていない対照乳剤は、Marche
tti 他,米国特許第 4,937,180号明細書の対照1Aに記
載されるように沈澱したが、しかし次いで増感していな
い、AgBr八面体乳剤のエッジ長さは0.45±0.05μmであ
る。試験乳剤は、Marchetti 他の実施例1BのOs(CN6
4-の代わりに、本発明の乳剤に使用しようとする濃度の
金属配位錯体を用いて同様に調製した。沈澱後、電子E
PR信号測定のために、最初に液状乳剤を遠心分離し、
上清を取り除き、上清を等量の温蒸留水で置き換えて、
乳剤を再懸濁することにより、試験および対照乳剤が各
々調製される。この処理を3回繰り返し、そして最終遠
心分離段階の後、得られた粉末が風乾される。これらの
処理は、安全光条件下で実施される。
【0041】EPR試験は、3種の異なる試料の各乳剤
をそれぞれ20、40および60°Kに冷却し、フィルター通
過出力 200W の水銀ランプに対して波長 365nmで各試料
を露光し、そして露光中にEPR電子信号を測定するこ
とにより行われる。いずれかの選ばれた観察温度で、ド
ーピングしていない対照乳剤と比較してドーピング試験
乳剤試料における電子EPR信号の強度が充分に増強さ
れるとき(すなわち、信号ノイズを越えて計れる程度に
増加されるとき)、ドーパントは浅い電子捕獲部位にな
っている。前記のように行われた特定の試験具体例のよ
うに、常用される浅い電子捕獲部位用ドーパント、Fe(C
N)6 4- を沈澱処理中に前記のように銀1モル当たりドー
パント50×10-6モル濃度で添加したとき、20°Kで試験
すると、電子EPR信号強度はドーピングされていない
対照乳剤を越えてファクター8ほど増強された。
【0042】6座配位錯体は、本発明の実施に際して使
用するのに好ましい配位錯体である。それらは、結晶格
子中の銀イオンおよび6つの隣接するハロゲン化物イオ
ンに取って代わる、1つの金属イオンおよび6つの配位
子を含む。1つもしくは2つの配位部位は、中性配位
子、例えば、カルボニル、アクオまたはアミン配位子に
占領されてもよいが、しかし残りの配位子は結晶格子構
造中への配位錯体の効率のよい導入を促進するアニオン
でなけれなない。突出部への包含に関して特に考慮され
る6座配位錯体の具体的な説明は、McDugle 他,米国特
許第 5,037,732号明細書、Marchetti 他,米国特許第
4,937,180号、同第 5,264,336号および同第5,268,264号
明細書、Keevert 他,米国特許第 4,945,035号明細書な
らびにMurakami他,特開平 2-249588 号公報に提供され
ている。6座配位錯体に有用な中性およびアニオン性有
機配位子は、Olm 他,米国特許第 5,360,712号明細書に
開示されている。
【0043】注意深い科学的研究により、R. S. Eachu
s、R. E. GravesおよびM. T. Olm, J. Chem. Phys., Vo
l. 69, 4580-7 (1978) およびPhysica Status Solidi
A, Vol. 57, 429-37 (1980) に具体的に示されるよう
に、第VIII族ヘキサハロ配位錯体が深い(減感性)電子
捕獲部位を創造することが明かされている。特に好まし
い態様では、ドーパントとして次式を満たす6座配位錯
体を使用することが考えられる。
【化5】
【0044】上式中、Mは、辺境軌道関数が充満された
多価金属イオン、好ましくはFe+2、Ru+2、Os+2
Co+3、Rh+3、Ir+3、Pd+4もしくはPt+4であ
り、L6 は、独立して選択されうる、6つの配位錯体配
位子を表すが、但し、少なくとも4つの配位子がアニオ
ン性配位子でありかつ少なくとも1つ(好ましくは少な
くとも3つそして最適には少なくとも4つ)の配位子が
いずれのハロゲン化物配位子よりも電気陰性であり、そ
してnは、−2、−3もしくは−4である。以下は、浅
い電子捕獲部位を提供できるドーパントの特定の具体例
である。
【0045】
【化6】
【0046】いずれかの伝統的な濃度の浅い電子捕獲部
位形成性ドーパントが使用できる。一般的には、浅い電
位捕獲部位形成性ドーパントは、銀1モル当たり少なく
とも1×10-6モルからそれらの溶解性限界まで、典型的
には銀1モル当たり約5×10 -4モルの濃度で導入される
ことが考えられる。好ましい濃度は、銀1モル当たり約
10-5〜10-4モルの範囲である。すべてのドーパントが、
平板状粒子核形成の前に分散媒に導入される場合、望ま
しくない厚さの平板状粒子が得られるか、または極端
に、望ましくない非平板状粒子母集団が形成されるだろ
う。従って、粒子核形成が完了するまでドーパント導入
を延ばすことが好ましい。すなわち、ドーパント導入
は、好ましくは、新しい粒子の形成から現存する粒子の
成長へ推移するまで遅延される。典型的によく調節され
た沈澱については、粒子形成から現存する粒子の成長へ
の推移は、平板状粒子を形成する総銀量の 0.2パーセン
トが分散媒に導入される前に生じる。
【0047】平板状粒子中にドーパントを均一に分布す
るためのある別の方法が特に考えられる。ドーパントが
銀と同時に導入されかついつでも前記全濃度範囲内に維
持される場合、粒子核形成中のドーパントの濃度は超薄
型平板状粒子形成に影響を及ぼさないほど充分低い。本
発明の好ましい態様では、ドーパントは銀と同時に導入
され、最も好ましくは粒子核形成の直後に開始される
が、しかしドーパントの添加は粒子成長が完了する前に
それが完了するように加速される。平板状粒子を形成す
る際に沈澱される総銀量の最初の50パーセント、最も好
ましくは最初の25パーセントの導入処理中にドーパント
導入が完了するとき、写真感度のさらなる増強が実現で
きることが認められている。
【0048】浅い電子捕獲部位を提供するように作用す
るドーパントのみが、本発明の超薄型平板状粒子乳剤に
必要とされる。しかしながら、浅い電子捕獲部位を提供
しかつ超薄型平板状粒子厚さを維持する機能と両立しな
い訳ではない、いずれか別の従来のドーパントを導入し
てもよい。従来のドーパントおよびそれらの機能は、
サーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure),
Vol.365, 1994 年 9月,Item 36544, I.乳剤粒子および
それらの沈澱(Emulsion grains and their precipitat
ion), D.粒子改質条件および調節(Grain modifying co
nditions and adjustments), paragraphs (3)-(5) に要
約されている。リサーチ・ディスクロージャーは、Kenn
eth Mason Publications, Ltd., Dudley House, 12 Nor
th St.,Emsworth, Hampshire P010 7DQ, England より
出版されている。
【0049】内部ドーピング超薄型平板状粒子乳剤は、
いずれか都合のよい従来の方法で還元増感できる。従来
の還元増感は、前記リサーチ・ディスクロージャー(Re
search Disclosure),Item 36544, IV. 化学増感(Chem
ical sensitization) paragraph (1)に要約されてい
る。特に好ましいクラスの還元増感剤は、Lok 他,米国
特許第 4,378,426号および同第 4,451,557号明細書に開
示される2−〔N−(2−アルキニル)アミノ〕−メタ
−カルカゾールである。好ましい2−〔N−(2−アル
キニル)アミノ〕−メタ−カルカゾールは、次式により
表すことができる。
【0050】
【化7】
【0051】上式中、 X=O,S,Se; R1 =(Va)水素、または(Vb)アルキルもしくは
置換アルキルまたはアリールもしくは置換アリール;そ
してY1 およびY2 は、独立して水素、アルキル基もし
くは芳香核を表すか、または一緒に、炭素、酸素、セレ
ンおよび窒素原子の中から選ばれる原子を含有する芳香
環もしくは脂肪環を完成するのに必要とされる原子を表
す。
【0052】前記Eikenberry他により開示されるよう
に、式(V)化合物は、化学増感を与える加熱段階中
(最後)に存在するとき、一般的に有効である((V
b)型は非常に大きなスピードの粒子および一際優れた
潜像安定性を与える)。本発明の好ましい態様では、ア
ルキニルアミノ置換基は、ベンゾキサゾール、ベンゾチ
アゾールもしくはベンゾセレナゾール核に付けられてい
る。ある特定の好ましい態様では、本発明の化合物Va
および仲間の非発明化合物Vbは、次式により表すこと
ができる。
【0053】
【化8】
【0054】別の好ましいVIb構造物は、エチル、プ
ロピル、p−メトキシフェニル、p−トリルもしくはp
−クロロフェニルのようなR1 と、ハロゲン、メトキ
シ、アルキルもしくはアリールのようなR2 またはR3
を有する。VaおよびVbと同様の構造を有する化合物
を使用する先の操作については、増感後でありかつ乳剤
を含有する層を形成する前に添加したとき、0.10ミリモ
ル/銀1モルで前記化合物を用いるとスピード粒子が約
40%得られると記載されていたのに対して(Lok 他,米
国特許第 4,451,557号明細書)、利用された乳剤および
増感色素に依存して、増感段階中に0.02〜0.03ミリモル
/銀1モルのVbを添加することにより、66%〜 250%
を越える範囲のスピード粒子が得られることがEikenber
ry他により具体的に示されている。Va化合物が使用さ
れるとき、充分に高いレベルのカブリが観察される。
【0055】本発明のVb化合物は、典型的には、アル
キルもしくはアリールであるR1 を含む。最高のスピー
ド増強および潜像維持については、R1 がメチルもしく
はフェニル環のいずれかであることが好ましい。本発明
の化合物は、化学増感処理の最終段階中に存在するよう
に、沈澱に次ぐ時点でハロゲン化銀乳剤に添加される。
乳剤への〔N−(2−アルキニル)−アミノ〕−メタ−
カルカゾール導入についての好ましい濃度範囲は、銀1
モル当たり 0.002〜0.2 (最も好ましくは 0.005〜0.1
)ミリモルの範囲である。本発明の特に好ましい態様
では、〔N−(2−アルキニル)−アミノ〕−メタ−カ
ルカゾール還元増感は、従来の金(もしくは白金属)お
よび/または中間(S、SeもしくはTe)カルコゲン
増感と組み合わせられる。これらの増感は、前記リサー
チ・ディスクロージャー(Research Disclosure),Item
36544, IV. 化学増感(Chemical sensitization) に要
約されている。硫黄、金および〔N−(2−アルキニ
ル)−アミノ〕−メタ−カルカゾール還元増感の組み合
わせが特に好ましい。
【0056】特に好ましいクラスの中間カルコゲン増感
剤は、Herz他,米国特許第 4,749,646号および同第 4,8
10,626号明細書に開示される型の四置換中間カルコゲン
尿素である。好ましい化合物は、次式により表されるも
のを含む。
【化9】
【0057】上式中、Xは、硫黄、セレンもしくはテル
ルであり、各々R1 、R2 、R3 およびR4 は、独立し
て、アルキレン、シクロアルキレン、アルカリーレン、
アラルキレンもしくは複素環式アリーレン基を表すか、
またはそれらに結合された窒素原子と合わせて、R1
よびR2 またはR3 およびR4 は5もしくは7員複素環
を完成し、そして各々A1 、A2 、A3 およびA4 は、
独立して、水素もしくは酸性基を含む基を表すが、但
し、少なくとも1つのA1 1 からA4 4 が、1〜6
個の炭素原子を含有する炭素鎖を介して尿素窒素と結合
した酸性基を含む。
【0058】好ましくはXが硫黄であり、好ましくはA
1 1 からA4 4 がメチルもしくはカルボキシメチル
である(ここでカルボキシ基は酸もしくは塩型でありう
る)。特に好ましい四置換チオ尿素増感剤は、1,3−
ジカルボキシメチル−1,3−ジメチルチオ尿素であ
る。特に好ましい金増感剤は、Deaton,米国特許第 5,0
49,485号明細書に開示される金(I)化合物である。こ
れらの化合物は、次式により表される。
【0059】
【化10】 上式中、Lは、メソイオン性化合物であり、Xは、アニ
オンであり、そしてL1 は、ルイス酸供与体である。
【0060】+1.2 ボルトよりも正の、好ましくは+1.
4 ボルトよりも正の酸化電位を有するいずれか従来の分
光増感色素は、本発明の実施に際して使用できる。先に
記載したように、酸化電位が正の大きな値であると、粒
子からの荷電子帯電子の受容を促進する。色素酸化およ
び還元電位は、R. J. Cox,写真感度 (Photographic Sen
sitivity), Academic Press, 1973, Chapter 15 に記載
されるように測定できる。増感作用は、ハロゲン化銀結
晶の基底状態および伝導帯エネルギー準位については、
色素の分子エネルギー準位の位置と相関している。これ
らのエネルギー準位は、Photographic Science and Eng
ineering, Vol. 18, 1974, 49-53ページ(Sturmer
他),175-178 ページ(Leubner)および475-485 (Gilm
an)で検討されるように、順番に、ポーラログラフィッ
ク酸化および還元電位に相関している。高臭化物ハロゲ
ン化銀乳剤用の分光増感剤であるそれらの色素が、−1.
1 ボルトよりも負の還元電位を示すことは、一般的には
承認されている(James, The theory of the Photograp
hic Process,第4版,Macmillan, New York, 1977, 277
ページを参照されたい)。
【0061】酸化および還元電位は、色素の最大吸収波
長に相関している(例えば、James,前記,204 ページお
よびDobles他,EPO 0 472 004 を参照されたい)。以下
の関係式が一般的に承認されている。
【数1】
【0062】上式中、λmax は、色素の最大吸収波長を
表し、 Es=Eox−Eredoxは、色素の酸化電位(ボルト)であり、そしてE
red は、色素の還元電位(ボルト)である。関係式(I
X)から、増感色素が約 535nmよりも長い最大吸収波長
を示すことができないことは明らかである。本発明の要
件を満たす多数の分光増感色素は、スペクトルの青色部
分に最大吸収波長を示す。本発明の要件を満たす特に好
ましいクラスの分光増感色素は、モノメチンシアニン色
素である。
【0063】モノメチンシアニン分光増感色素は、唯一
のメチン基で連結された、2つの塩基性複素環核、例え
ば、キノリニウム、ピリジニウム、イソキノリニウム、
3H−インドリウム、ベンズ〔e〕インドリウム、オキ
サゾリウム、チアゾリウム、セレナゾリウム、イミダゾ
リウム、ベンズオキサゾリニウム、ベンゾチアゾリウ
ム、ベンゾセレナゾリウム、ベンズイミダゾリウム、ナ
フトキサゾリウム、ナフトチアゾリウム、ナフトセレナ
ゾリウム、チアゾリニウム、ジヒドロナフトチアゾリウ
ム、ピリリウムおよびイミダゾピラジニウム第四塩より
誘導されるものを含む。従来の分光増感色素およびそれ
らのハロゲン化銀乳剤への導入の詳細な概要は、リサー
チ・ディスクロージャー(Research Disclosure), Item
36544, 前記,V.分光増感および減感(Spectral sensi
tization and desensitization),A.増感色素(Sensit
izing dyes)に提供されている。分光増感色素の混合物
が使用されるとき、1つの色素のみが+1.2 ボルトより
も正の酸化電位を示す必要があるが、しかしすべての分
光増感色素がこの値よりも正の酸化電位を示すことが好
ましい。
【0064】本発明の実施に際して有用な好ましい分光
増感色素およびそれらの酸化電位を以下に列挙する。 D−1 アンヒドロ−3,3′−ビス(3−スルホプロ
ピル)−5,5′−ジフェニルオキサシアニン ヒドロ
キシド,ナトリウム塩(Eox +1.425 V); D−2 アンヒドロ−3,3′−ビス(3−スルホプロ
ピル)−5−クロロ−5′−フェニルオキサシアニン
ヒドロキシド,ナトリウム塩(Eox +1.459V); D−3 アンヒドロ−5′−クロロ−3,3′−ビス
(3−スルホプロピル)−5−フェニルオキサチアシア
ニン ヒドロキシド,ナトリウム塩(Eox +1.447
V); D−4 アンヒドロ−3,3′−ビス(3−スルホプロ
ピル)−5,5′−ジクロロチアシアニン ヒドロキシ
ド,トリエチルアンモニウム塩(Eox +1.469 V); D−5 5,5′−ジクロロ−3,3′−ジエチルチア
カルボシアニン ヨーダイド(Eox +1.425 V); D−6 アンヒドロ−5−ブロモ−3′−(2−カルボ
キシアリル)−5′−クロロ−3−エチルチアシアニ
ン,ヒドロキシド内部塩(Eox +1.483 V); D−7 アンヒドロ−5′−クロロ−3′−(3−スル
ホプロピル)−3−エチルセレナチアシアニン,ヒドロ
キシド内部塩(Eox +1.423 V); D−8 アンヒドロ−5,6−ベンゾ−3−エチル−
3′−(2−スルホエチルカルバモイル)チアシアニ
ン,ヒドロキシド内部塩(Eox +1.461 V); D−9 3,3′−ジエチル−5−ヨードチアシアニン
ブロミド(Eox +1.460 V); D−10 1,1′,3,3′−テトラエチルイミダゾ
ロ〔4,5−b〕キノキソリノシアニン p−トルエン
スルホネート(Eox +1.411 V);
【0065】前記本発明の乳剤の特徴およびそれらの調
製を除いて、乳剤はいずれか所望の従来の態様を取るこ
とができる。例えば、必須ではないが、本発明の要件を
満たす新規乳剤を調製した後、それを1種以上の別の本
発明に従う新規乳剤とまたはいずれか別の従来の乳剤と
混合することができる。従来の乳剤混合処理は、リサー
チ・ディスクロージャー,Item 36544,前記,I.乳剤粒
子およびそれらの調製(Emulsion grain and their pre
paration), E.混合、層および挙動種類(Blends, laye
rs and performance categories)に具体的に示されてい
る。一度生成された乳剤は、いずれか都合のよい従来の
技法により写真用にさらに調製できる。追加の従来の特
徴が、リサーチ・ディスクロージャー,Item 36544,前
記,II.ベヒクル、ベヒクル・エクステンダー、ベヒク
ル様添加剤およびベヒクル関連添加剤(Vehicles, vehi
cle extenders, vehicle-like addenda andvehicle-rel
ated addenda),II.乳剤洗浄(Emulsion washing),V
II.カブリ防止剤および安定剤(Antifoggants and stab
ilizers),VIII.吸収物質および散乱物質(Absorbing
and scattering materials),IX.コーティング物理
的性質改質剤(Coating physical property modifying
agents),ならびにX.色素画像形成剤および改質剤(Dy
e image formers and modifiers)により、具体的に示さ
れている。VIII-Xの特徴を、別法により別の写真要素層
に提供できる。
【0066】本発明の新規エピタキシャル銀塩増感超薄
型平板状粒子乳剤を、いずれか別の従来の写真要素に使
用できる。前記乳剤は、例えば、1つ以上のハロゲン化
銀乳剤層と共に写真要素に含まれる。ある特別な適用で
は、本発明に従う新規乳剤は、観察用または走査用の銀
もしくは色素写真画像のいずれかを形成するための写真
要素の単一乳剤層に存在することができる。ある重要な
態様では、本発明は、いずれか都合のよい型の従来の写
真支持体上に被覆された、少なくとも2つの重ね合わせ
た輻射線感受性ハロゲン化銀乳剤層を含む写真要素に向
けられている。具体的な写真支持体は、リサーチ・ディ
スクロージャー,Item 36544,前記,Section XVに要約
されている。支持体表面のすぐ近くに被覆された乳剤層
は、写真要素が可視スペクトルのマイナス・ブルー部分
内の平行光に対して露光されるとき、写真記録を生成す
るように分光増感される。
【0067】第2の2つのハロゲン化銀乳剤層は、第1
ハロゲン化銀乳剤層の上に被覆される。この配置では、
第2乳剤層は、2種の全く異なる写真機能を示すことが
要求される。これらの機能の1つは、少なくとも記録し
ようとする波長の光の一部分を吸収することである。第
2乳剤層は、青色または緑色分光領域のいずれかの光を
記録できる。特に好ましい適用では、第2乳剤層がスペ
クトルの青色部分の光を記録する。記録しようとする波
長にかかわらず、写真スピードおよび画像構造(すなわ
ち、粒状度および先鋭さ)の適当なバランスを提供する
第2乳剤層の性能は、第1の機能を満たすために重要で
ある。第2乳剤層が示さなければならない第2の異なる
機能は、第1乳剤層に記録しようとするマイナス・ブル
ー光の伝達である。第2乳剤層中におけるハロゲン化銀
粒子の存在がその第1の機能に必須であるのに対して、
一方粒子の存在は、本発明により要求されるように選択
されない限り、その伝達機能を充分に示す第2乳剤層の
性能を著しく減少しうる。上塗り乳剤層(例えば、第2
乳剤層)が下塗り乳剤層(例えば、第1乳剤層)におけ
る画像不鮮鋭さの原因になりうるので、第2乳剤層は以
下本明細書では光学的起因層とも称され、かつ第1乳剤
層は光学的受容層とも称される。
【0068】どのようにして上塗り(第2)乳剤層が下
塗り(第1)乳剤層における不鮮鋭さを生じうるのか、
Antoniades他により詳細に説明されているので、ここで
は繰り返し説明する必要はない。写真感度および画像構
造(例えば、粒状度および鮮鋭さ)の好ましい組合せ
は、本発明の要件を満たす超薄型平板状粒子乳剤を使用
して少なくとも第2の上塗り乳剤層が生成されるときに
実現する。下塗り乳剤層に得られる鮮鋭な画像は、総粒
子投影面積の高比率を占める上塗り乳剤層中の超薄型平
板状粒子に依存するが、しかしながら、 0.2μm未満の
ECDを有する粒子は、これらの粒子は比較的光学的に
透明であるので、存在するとしても、計算される総粒子
投影面積から排除できる。 0.2μm未満のECDを有す
る粒子を計算される総粒子投影面積から排除すると、本
発明の超薄型平板状粒子乳剤を含有する上塗り乳剤層
が、ハロゲン化銀粒子の総投影面積の97パーセントを越
える、好ましくは99パーセントを越える面積を占めるこ
とが好ましい。
【0069】0.2μm未満のECDを有する粒子(以下
本明細書では光学的に透明な粒子と称する)を包含でき
ることを除いて、第2乳剤層はほとんど全て超薄型平板
状粒子からなる。 0.2μm未満のECDを有する粒子の
マイナス・ブルー光に対する光学的透明度は、従来技術
文献に充分に提供されている。例えば、0.05μm未満か
ら 0.1μmを越える典型的なECDを有するリップマン
乳剤は、光学的に透明であることが周知である。 0.2μ
mのECDを有する粒子は 400nmの光のかなりの散乱を
示すが、しかしマイナス・ブルー光の散乱を制限した。
本発明の特に好ましい態様では、総粒子投影面積の97%
を越える、最適には99%を越える平板状粒子投影面積
が、 0.1(最適には0.05)μm未満のECDを有する粒
子のみを排除して満たされている。従って、第2乳剤層
は、実質的に、本発明の超薄型平板状粒子乳剤またはこ
れらの平板状粒子と光学的に透明な粒子との混合物に寄
与する平板状粒子からなりうる。光学的に透明な粒子が
存在するとき、それらは第2乳剤層中の総銀量の好まし
くは10パーセント未満に、そして最適には5パーセント
未満に制限される。
【0070】本発明の写真要素の有利な性質は、特別な
粒子の性質の組合せを有するように、マイナス・ブルー
記録性乳剤層に上塗りされる乳剤層の粒子を選択するこ
とに依存する。第1に、好ましくは平板状粒子が写真的
に充分なレベルのヨウ化物を含有すること。ヨウ化物含
有物は、スピードの点でおよび多色写真においてインタ
ーイメージ効果の点で、比較しうる臭化銀乳剤を越える
当該技術分野で認められている利点を与える。第2に、
平板状粒子により占められている前記総粒子母集団の非
常に高い比率を有することが、少なくとも 0.7μmの平
均ECDと0.07μm未満の平均粒子厚さとを関連させた
とき、マイナス・ブルー光の散乱を鋭く低減する。少な
くとも 0.7μmの平均ECDは、もちろん、光伝達の平
行性(specularity)を増強することは別として、第2乳
剤層において高レベルのスピードを都合良く達成させ
る。第3に、超薄型粒子を使用すると、銀を利用して低
レベルの粒状度を実現する。最後に、先に詳細に記載さ
れた乳剤の特徴は、写真感度において予測不可能な増強
を実現させる。
【0071】ある簡単な態様では、写真要素が、下塗り
(第1)乳剤層がオルソクロマチックまたはパンクロマ
チック増感されている、黒白(例えば、銀画像形成性)
写真要素でありうる。別の態様では、写真要素が、青色
記録性(イエロー色素画像形成性)、緑色記録性(マゼ
ンタ色素画像形成性)および赤色記録性(シアン色素画
像形成性)層単位をいずれかの塗布配列で含む多色写真
要素でありうる。多種多様な塗布配置が、Kofron他,前
記,columns 56-58 により開示される。
【0072】
【実施例】本発明は、本発明の要件を満たす乳剤調製、
乳剤および写真要素の以下の特別な具体例を参照するこ
とにより評価できる。写真スピードは、相対 logスピー
ドとして報告する。30 log単位のスピード差は 0.3 log
Eのスピード差に等しい(ここで、E は、ルクスセカン
ドで示した露光量を表す)。コントラスト(γ)は、中
間スケール・コントラスト(mid-scale contrast)とし
て測定した。
【0073】乳剤調製 下記乳剤の全ての調製に際して、以下の一般法を使用し
た。初めに、 1.5g/Lの酸化ゼラチン、0.7148g/L のNaB
rを反応容器に入れ、次いでpHを 2.5に調整した。35℃
で0.21分間、ダブルジェット方法を用いて 2.5N硝酸銀
を流入して核生成を行い、そして2.4625N NaBrおよび
0.375N KIからなるハロゲン化物塩を混合した。次いで
最後の15分間に、硫酸アンモニウムを用いてpH10.0で 1
00mLのOxone (商標)(2KHSO5・KHSO4 ・K2SO4 )の存
在下で熟成段階を開始した。酸化ゼラチンを添加して、
ゼラチン濃度を10.5g/L にし、次いでpHを 5.8にして熟
成を終了させた。温度を45℃に上げてNaBrを最終濃度2.
1736g/L となるように添加することにより、調製の次の
成長段階を行った。後核生成成長段階では、銀およびハ
ロゲン化物ジェットに加えて、AgI リップマン乳剤を導
入するために第3のジェットを使用した。リップマン銀
導入は、銀ジェットを介して導入される銀量に基づいて
1.5%に調節された。第5成長段階では、各々導入され
た累積銀量の 0.2〜15.4%、15.4〜41.8%、41.8〜81.3
%および81.3〜95%を占める、先のものよりも高い銀導
入率を使用した。同時にヨウ化物を導入することなく、
最後の5%の銀を導入した。乳剤を、以下に報告するよ
うに調製中にドーピングしていないか、または別個にド
ーピングした。ドーピングは、沈殿した粒子の物理的特
徴に最小の衝撃を与えた。平板状粒子は、総粒子投影面
積の>90%を占めた。乳剤の平均ECDは、1.44〜1.50
μmの範囲であった。平板状粒子の平均厚さは、 0.050
5 〜0.0524μmの範囲であった。
【0074】乳剤増感 銀1モル当たりを基準として最適の増感は、以下のとお
りであった。 200mgのNaSCN 、 1.365ミリモルの分光増
感色素,アンヒドロ−5′,6′−ジクロロ−1′−エ
チル−3,3′−ビス(3−スルホプロピル)ナフト
〔1,2−d〕オキサゾロベンズイミダゾロシアニン
ヒドロキシド,トリエチルアンモニウム塩(λmax <45
0nm )および 1.2ミリモルの分光増感色素D−4(λ
max <470nm)を添加した。次いで 6.7mgの還元増感剤
〔N−(2−ブチニル)アミノ〕−メタ−ベンゾオキサ
ゾール(以下本明細書ではR−1と示される)を溶融物
に添加した。続いてこれを、10.4mgの1,3−ジカルボ
キシメチル−1,3−ジエチルチオウレアおよび8.32mg
の金(I)ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4
−トリアゾリウム−3−チオレート)テトラフルオロボ
レートで化学増感した。乳剤の温度を40℃から55℃に上
げて、15分間維持し、次いで40℃に戻した。次いで、カ
ブリ防止剤,5−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル
−1,3,3A,7−テトラアザインデンを 1.6gのレ
ベルで溶融物に添加した。
【0075】乳剤被覆 各乳剤を、以下のように評価するために、単一層フォー
マットで、ハレーション防止用裏引き層を備えた写真酢
酸セルロースフィルム基体上に被覆した。乳剤層は、5.
38mg/dm2の銀(ハロゲン化銀として)、 21.52mg/dm2
ゼラチン、0.43mg/dm2の硝酸カルシウム界面活性剤、 1
3.67mg/dm2のイエロー色素画像形成性カプラー,N−
{2−クロロ−5−〔(ヘキサデシルスルホニル)アミ
ノ〕フェニル}−2−{4−〔(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホニル〕フェノキシ}−4,4−ジメチル−3
−オキソペンタンアミド、0.33mg/dm2の現像抑制性カプ
ラー(次式)を含むものであった。
【0076】
【化11】 次いで 21.52mg/dm2のゼラチン・オーバーコートを、乳
剤およびオーバーコート層におけるゼラチンの総重量を
基準として、1.75%のビス(ビニルスルホニル)メタン
と共に被覆した。
【0077】露光および処理 塗膜を、 390nmよりも短い波長の光を吸収する、Wattan
(商標)WR-2B フィルターを介して濾過した5500°K光
源に1/50秒間各々露光した。露光した塗膜を、3分15秒
間現像を用いて、Kodak Flexicolor(商標)C-41カラー
・ネガティブ・プロセスの処理にかけた。
【0078】ドーパントおよび増感の変動 浅い電子捕獲部位用ドーパント,K4Ru(CN)6 (ここでは
SET−1と示される)を、種々の配置および濃度で異
なる乳剤調製物に添加して、対照乳剤挙動を示すことも
抑制した。また、還元増感剤R−1は、幾つかの場合
で、本発明の乳剤の全挙動に対するそれの寄与を示すこ
とを抑制された。ドーパントおよび還元増感剤を一緒に
超薄型平板状粒子乳剤に使用することにより実現される
利点を第I表に具体的に示す。
【0079】
【表1】
【0080】ドーパントSET−1を、沈殿の4つの成
長段階全てにおいて均一に導入した。還元増感剤および
浅い電子捕獲部位用ドーパントの両方を欠く対照乳剤A
は、最低の観察写真スピードを示した。還元増感剤を用
いることなくドーパントを使用したとき、最低濃度には
全く増加を認めることなく、 0.5ストップ(0.15 log
E)のスピード増加を認めた。ドーパントを用いること
なく還元増感剤を使用したとき、フル・ストップのスピ
ードの増加が認められたが、しかし最低濃度に好ましく
ない増加が認められた。
【0081】対照の挙動を基準として、高いスピード増
強(0.42 log E,ほぼ 1.5ストップ)が実現され、同時
にドーパントを使用しないで還元増感剤を使用するとき
に観察される最低濃度よりも最低濃度が低くなることは
予測できなかった。従って、本発明の乳剤、乳剤Dは、
スピードに関する予測できない利益および最低濃度低下
を具体的に示した。種々のドーパント・レベルの効果を
具体的に説明するために、前記のドーパントを様々な量
で導入して変化させた乳剤Bを第II表に報告する。
【0082】
【表2】 第II表から、浅い電子捕獲部位用ドーパントは濃度増加
に従って次第にスピードを増強したが、しかし最低濃度
は25mppmを越えてドーパント濃度が高くなっても上昇し
なかったことは明らかである。以下の第III 表では、一
連の乳剤を、還元増感を受けたものおよび種々のレベル
および配置でドーパントを添加したものと比較してい
る。
【0083】
【表3】
【0084】第III 表から、最低スピードの還元増感さ
れた乳剤が、ドーパントを全く含有しないものであった
ことは明らかである。浅い電子捕獲部位用のドーパント
は、観察された全ての配置および濃度でスピードを増強
した。観察された最高スピードは、総銀量の50パーセン
トが沈殿する前にドーパント添加が行われたときに生じ
た。ドーパントは、最低濃度およびコントラストにほと
んど影響を与えなかった。
【0085】発明のさらなる具体的な態様 1.分散媒、(a)銀を基準として50モルパーセントを
越える臭化物を含有し、(b)総粒子投影面積の50パー
セントを越える面積を占め、(c)0.07μm未満の平均
厚さを示し、かつ(d)平板状粒子の表面に潜像形成性
化学増感部位を有する、平板状粒子を包含するハロゲン
化銀粒子、ならびに平板状粒子の表面に吸着された分光
増感色素、を含む改良された輻射線感受性乳剤であっ
て、前記平板状粒子が、浅い電子トラップ部位を形成で
きるドーパントを含有し、前記表面化学増感部位が少な
くとも一部分は還元増感により形成されており、そして
前記分光増感色素が 1.2ボルトよりも正の酸化電位を示
すことを特徴とする改良された輻射線感受性乳剤。 2.前記平板状粒子が、少なくとも 0.7μmの平均等価
円直径を示すことをさらなる特徴とする、具体的な態様
1に記載の改良された乳剤。
【0086】3.前記平板状粒子が、総粒子投影面積の
90パーセントを越える面積を占めることをさらなる特徴
とする、具体的な態様1または2に記載の改良された乳
剤。 4.前記平板状粒子が、ヨウ臭化銀粒子であることをさ
らなる特徴とする、具体的な態様1から3のいずれか一
態様に記載の改良された乳剤。 5.前記ドーパントが、最初に沈殿された50パーセント
の銀を含む平板状粒子の部分に配置されることをさらな
る特徴とする、具体的な態様1から4までのいずれか一
態様に記載の改良された乳剤。 6.前記ドーパントが、(a)平板状粒子のハロゲン化
銀結晶格子中のイオンと置き換わり、そして置換された
イオンの正味原子価よりも正の正味原子価を示し、
(b)ハロゲン化物イオンのいずれかよりも電気陰性で
ある、少なくとも1つの配位子を含み、(c)+2〜+
4の正の原子価を有し、かつその最高エネルギー電子で
占められて充満された分子軌道関数を有する金属イオン
を含み、そして(d)平板状粒子を形成するハロゲン化
銀結晶格子の最低エネルギー伝導帯よりも高いエネルギ
ー準位のその最低エネルギーの占領されていない分子軌
道関数を有する、配位錯体であることをさらなる特徴と
する、具体的な態様5に記載の改良された乳剤。
【0087】7.前記平板状粒子が、次式
【化12】 (上式中、 X=O,S,Se; R1 =アルキルもしくは置換アルキルまたはアリールも
しくは置換アリール;そしてY1 およびY2 は、独立し
て水素、アルキル基もしくは芳香核を表すか、または一
緒に、炭素、酸素、セレンおよび窒素原子の中から選ば
れる原子を含有する芳香環もしくは脂肪環を完成するの
に必要とされる原子を表す。)の化合物で還元増感され
ることをさらなる特徴とする、具体的な態様1から6ま
でのいずれか一態様に記載の改良された写真乳剤。 8.前記分光増感色素が、−1.1 ボルトよりも負の還元
電位を示すことをさらなる特徴とする、具体的な態様1
から7までのいずれか一態様に記載の改良された写真乳
剤。
【0088】9.前記分光増感色素が、 1.4ボルトより
も正の酸化電位を示すことをさらなる特徴とする、具体
的な態様8に記載の改良された写真乳剤。 10.支持体、支持体上に被覆され、かつ 500〜700 nm
のマイナスブルー可視波長領域内の平行光に対して露光
されたとき、写真記録を生成するように増感された第1
ハロゲン化銀乳剤層、ならびに第1ハロゲン化銀乳剤層
を露光しようとする平行マイナスブルー光を受けて、第
1ハロゲン化銀乳剤層の上に被覆された第2写真記録を
生成できる第2ハロゲン化銀乳剤層、を含む写真要素で
あって、前記第2ハロゲン化銀乳剤層が、平行光の形で
第1ハロゲン化銀乳剤層を露光しようとするマイナスブ
ルー光を供給するための透過媒体として作用でき、第2
ハロゲン化銀乳剤層が、分光増感色素がブルー・スペク
トル部分に吸収ピークを示し、かつ少なくとも 0.2μm
の等価円直径を有するハロゲン化銀粒子の総投影面積の
97パーセントを越える面積が少なくとも 0.7μmの平均
等価円直径を有する平板状粒子により占められている、
具体的な態様1から9までのいずれか一態様に記載の改
良された乳剤からなることを特徴とする写真要素。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/10 (72)発明者 ロジャー アラン ウェイス アメリカ合衆国,ニューヨーク 14580, ウェブスター,メイプルウッド レーン 458 (72)発明者 ケネス ジョセフ リード アメリカ合衆国,ニューヨーク 14626, ロチェスター,ウエスト エミー レーン 35 (72)発明者 ジェラルド ウェイン クレイン アメリカ合衆国,ワシントン 98027,イ サクア,サウスイースト サイカモア レ ーン 495

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散媒、 (a)銀を基準として50モルパーセントを越える臭化物
    を含有し、 (b)総粒子投影面積の50パーセントを越える面積を占
    め、 (c)0.07μm未満の平均厚さを示し、かつ (d)平板状粒子の表面に潜像形成性化学増感部位を有
    する、平板状粒子を包含するハロゲン化銀粒子、ならび
    に平板状粒子の表面に吸着された分光増感色素、を含む
    改良された輻射線感受性乳剤であって、 前記平板状粒子が、浅い電子捕獲部位を形成できるドー
    パントを含有し、 前記表面化学増感部位が、少なくとも一部分は還元増感
    により形成されており、そして前記分光増感色素が 1.2
    ボルトよりも正の酸化電位を示すこと、を特徴とする改
    良された輻射線感受性乳剤。
  2. 【請求項2】 支持体、 支持体上に被覆され、かつ 500〜700 nmのマイナス・ブ
    ルー可視波長領域内の平行光に対して露光されたとき、
    写真記録を生成するように増感された第1ハロゲン化銀
    乳剤層、ならびに第1ハロゲン化銀乳剤層を露光しよう
    とする平行マイナス・ブルー光を受けて、第1ハロゲン
    化銀乳剤層の上に被覆された第2写真記録を生成できる
    第2ハロゲン化銀乳剤層、を含む写真要素であって、 前記第2ハロゲン化銀乳剤層が、平行光の形で第1ハロ
    ゲン化銀乳剤層を露光しようとするマイナス・ブルー光
    を供給するための透過媒体として作用でき、 第2ハロゲン化銀乳剤層が、分光増感色素がブルー・ス
    ペクトル部分に吸収ピークを示し、かつ少なくとも 0.2
    μmの等価円直径を有するハロゲン化銀粒子の総投影面
    積の97パーセントを越える面積が少なくとも 0.7μmの
    平均等価円直径を有する平板状粒子により占められてい
    る、請求項1に記載の改良された乳剤からなることを特
    徴とする写真要素。
JP7291415A 1994-11-09 1995-11-09 改良された輻射線感受性乳剤および写真要素 Pending JPH08211525A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/336,817 US5518872A (en) 1994-11-09 1994-11-09 Emulsion and photographic element
US336817 1994-11-09

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08211525A true JPH08211525A (ja) 1996-08-20

Family

ID=23317806

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7291415A Pending JPH08211525A (ja) 1994-11-09 1995-11-09 改良された輻射線感受性乳剤および写真要素

Country Status (4)

Country Link
US (1) US5518872A (ja)
EP (1) EP0712033B1 (ja)
JP (1) JPH08211525A (ja)
DE (1) DE69526905T2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5576171A (en) * 1995-05-15 1996-11-19 Eastman Kodak Company Tabular grain emulsions with sensitization enhancements
US5614358A (en) * 1995-05-15 1997-03-25 Eastman Kodak Company Ultrathin tabular grain emulsions with reduced reciprocity failure
US6335154B1 (en) 1999-03-24 2002-01-01 Fuji Photo Film Co., Ltd. Silver halide photographic emulsion and light-sensitive material containing the same, and image-forming method using the light-sensitive material
US6277552B1 (en) 1999-05-25 2001-08-21 Agfa-Gevaert Shallow electron trap dopants in silver halide tabular grain emulsions for use in medical diagnostic imaging materials
EP1058150A1 (en) * 1999-05-25 2000-12-06 Agfa-Gevaert N.V. Shallow electron trap dopants in silver halide tabular grain emulsions for use in medical diagnostic imaging materials
JP4280430B2 (ja) * 2001-03-29 2009-06-17 富士フイルム株式会社 ハロゲン化銀乳剤及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料
US6727055B1 (en) * 2002-11-19 2004-04-27 Eastman Kodak Company High bromide cubic grain emulsions
WO2010110845A1 (en) 2009-03-27 2010-09-30 Carestream Health, Inc. Radiographic silver halide films having incorporated developer
EP2259136A1 (en) 2009-06-03 2010-12-08 Carestream Health, Inc. Film with blue dye
US8617801B2 (en) 2009-06-03 2013-12-31 Carestream Health, Inc. Film with blue dye

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3890154A (en) * 1969-12-24 1975-06-17 Fuji Photo Film Co Ltd Light-sensitive silver halide photographic materials
JPS4914265B1 (ja) * 1970-12-30 1974-04-06
US4147542A (en) * 1975-05-27 1979-04-03 Konishiroku Photo Industry Co., Ltd. Silver halide photographic emulsions for use in flash exposure
US4378426A (en) * 1981-11-12 1983-03-29 Eastman Kodak Company Photographic speed increasing and latent image stabilizing compounds, silver halide emulsions, and photographic elements
US4937180A (en) * 1988-04-08 1990-06-26 Eastman Kodak Company Photographic emulsions containing internally modified silver halide grains
DE69120480T2 (de) * 1990-08-16 1997-01-23 Eastman Kodak Co Sensibilisatorfarbstoffkombination für photographische Materialien
US5132203A (en) * 1991-03-11 1992-07-21 Eastman Kodak Company Tabular grain emulsions containing laminar halide strata
US5250403A (en) * 1991-04-03 1993-10-05 Eastman Kodak Company Photographic elements including highly uniform silver bromoiodide tabular grain emulsions
CA2067559A1 (en) * 1991-05-14 1992-11-15 Ramesh Jagannathan High edge cubicity tabular grain emulsions
US5389510A (en) * 1993-12-16 1995-02-14 Eastman Kodak Company Photographic elements containing alkynylamine dopants
US5413905A (en) * 1993-12-16 1995-05-09 Eastman Kodak Company Photographic sensitivity increasing alkynylamine compounds and photographic elements

Also Published As

Publication number Publication date
EP0712033A1 (en) 1996-05-15
US5518872A (en) 1996-05-21
EP0712033B1 (en) 2002-06-05
DE69526905T2 (de) 2003-01-02
DE69526905D1 (de) 2002-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0701164B1 (en) Ultrathin tabular grain emulsions containing speed-granularity enhancements
DE3241635C2 (de) Photographisches Aufzeichnungsmaterial
US5503971A (en) Ultrathin tabular grain emulsions containing speed-granularity enhancements
JP3652767B2 (ja) 放射線感受性乳剤及びその調製方法並びに写真プリント要素
FR2516255A1 (fr) Emulsion a grains d'halogenures d'argent tabulaires portant des sites de sensibilisation orientes
JPH08220684A (ja) 写真要素
JPH08220681A (ja) 写真要素
US5605789A (en) Iodochloride emulsions containing iodonium salts having high sensitivity and low fog
JPH0221572B2 (ja)
JPH08211525A (ja) 改良された輻射線感受性乳剤および写真要素
JPH11133531A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
US5536632A (en) Ultrathin tabular grain emulsions with dopants at selected locations
US5576171A (en) Tabular grain emulsions with sensitization enhancements
US5631126A (en) Epitaxially sensitized tabular grain emulsions containing speed/fog sulfodihydroxy aryl enhancing addenda
WO1996013757A1 (en) Photographic emulsions of enhanced sensitivity
US5629144A (en) Epitaxially sensitized tabular grain emulsions containing speed/fog mercaptotetrazole enhancing addenda
US5728517A (en) Photographic emulsions of enhanced sensitivity
US5672467A (en) Higher speed color photographic element and a method for high speed imaging
JPS6353540A (ja) 銀塩付着色素を含有する写真乳剤
JPH10501635A (ja) 限定された高ヨウ化物表面相を含有する平板状粒子乳剤
EP0699949B1 (en) Ultrathin tabular grain emulsions with dopants at selected locations
JPH08101473A (ja) 輻射線感性乳剤及び写真要素
JPH08171163A (ja) 輻射線感性乳剤及び写真要素
JPH08234354A (ja) 写真要素
JPH08171162A (ja) エピタキシャル増感極薄平板状粒子乳剤及びそれを含有する写真要素

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040323