JPH08209458A - ウレタン弾性繊維の製造方法 - Google Patents

ウレタン弾性繊維の製造方法

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JPH08209458A
JPH08209458A JP7043474A JP4347495A JPH08209458A JP H08209458 A JPH08209458 A JP H08209458A JP 7043474 A JP7043474 A JP 7043474A JP 4347495 A JP4347495 A JP 4347495A JP H08209458 A JPH08209458 A JP H08209458A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ポリウレタン弾性糸を紡糸する際に,紡糸油剤
で紡糸ボビンに巻かれた糸の膠着並びに経時の膠着上昇
を抑え,紡糸以降の後工程において優れた操業性,作業
性が得られるポリウレタンの製造方法を提供する。 【構成】ウレタンポリマーを溶融紡糸するに際し,口金
より出た糸が固化した後で,ジメチルシロキサン含量が
40重量部以上で,且つポリエーテル鎖中のポリプロピ
レングリコールが50モルパーセント以上の直鎖状ポリ
アルキレンオキサイド変性ポリジメチルシロキサンを含
有してなる非水系油剤を付与した後,巻き取る事を特徴
とするウレタン弾性繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,溶融紡糸法によるポリ
ウレタン弾性繊維の製造方法に関する。
【0002】更に詳しくは,ポリウレタン弾性繊維を紡
糸する時に,紡糸ボビン上での糸間の膠着を防止し,後
次加工工程での糸の解舒性を良好にし,その後の加工工
程での操業性を安定化させる方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】ポリウレタン弾性繊維を得る方法として
は,従来から溶融紡糸法,乾式紡糸法,湿式紡糸法等が
行われている。これらの方法ではいずれの場合でも紡出
時に繊維を巻き取った際,繊維同士が膠着し,そのため
後次工程でボビンから糸を解舒して引き出す時,膠着の
抵抗のため糸の引き出しが困難で糸切れが発生し,順調
な操業が出来ない状態が発生する。特に,活性イソシア
ナート基が多量に存在するプレポリマー混合紡糸法では
この膠着が著しく,通常の油剤を付与したのでは後工程
で糸の引き出しが出来るものは得られない。
【0004】このポリウレタンの膠着を防止する方法と
しては,あらかじめポリマーに離型性に優れた固形粒
子,高級脂肪酸の金属塩やその他の有機化合物を添加し
ておく方法も行われているが,多くは,紡糸時に付与す
る紡糸油剤に離型性に優れた添加剤を付与しておく方法
が取られている。
【0005】その方法としては,タルク,シリカ,コロイ
ダルアルミナ等の固体微粒子を水性または油性スラリー
として繊維に付与する方法,高級脂肪酸の金属塩粉末を
水又は鉱物油に分散させる方法(特公昭41−286号
公報,特公昭40−557号公報),高級脂肪族カルボ
ン酸,高級脂肪族アルコール,パラフィン,酸化ポリエ
チレン等の常温固体のワックスを使用する方法(特公昭
43−272号公報,特公昭43−9955号公報,特
公昭44−8907号公報),常温液状物質としてポリ
アルキレンオキサイド変性シリコン(特開昭48−19
898号公報,特開昭53−81798号公報),環状
アミルシロキサン(特公昭39−24858号公報),
など多くの方法が提案されている。
【0006】特に,ポリジメチルシロキサンに各種の変
性ポリシロキサンを配合した油剤が,後工程の高速化に
対応して,平滑性確保の点から多用されている。
【0007】変性ポリシロキサンとしては,ポリアルキ
レンオキサイド変性ポリジメチルシロキサンが提案され
ているが,ポリジメチルシロキサンとの相溶性で使用に
難点があるものが多く,いまだポリアルキレンオキサイ
ド変性ポリジメチルシロキサンを十分に使いこなしてい
るとは言い難い。
【0008】ポリアルキレンオキサイド変性ポリジメチ
ルシロキサンは従来グラフト共重合体が使用されてい
る。このグラフト共重合体の内,ポリウレタン弾性糸の
紡糸における糸間の膠着防止性に優れたポリアルキレン
キサイド変性率の高いものは,油剤ベースの低粘度ポリ
ジメチルシロキサンとの相溶性が悪く使用できないた
め,膠着に劣るアルキレンオキサイド変性率の低いもの
しか使用されていない。
【0009】ポリウレタン弾性糸の紡糸における糸間の
膠着防止性から見ると,ポリアルキレンオキサイド変性
率が高いものを使用するほうが望ましく,ベース油のポ
リジメチルシロキサンとの相溶性を改善する方法とし
て,ポリジメチルシロキサンとポリアルキレンオキサイ
ド変性ポリジメチルシロキサンの相溶剤を使うと言う極
めて難しい油剤混合技術を用いなければならない。この
相溶剤には高級アルコールが使用されるが,この成分を
多量に使用するとポリジメチルシロキサンとポリアルキ
レンオキサイド変性ポリジメチルシロキサンからなる油
剤の膠着防止性を低下させることになったり,また,糸
の平滑性低下やポリウレタンの膨潤を引き起こし未だ完
成された技術になっていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,ポリウレタ
ン弾性糸を紡糸する際に,紡糸油剤で紡糸ボビンに巻か
れた糸の膠着並びに経時の膠着上昇を抑え,紡糸以降の
後工程において優れた操業性,作業性が得られるポリウ
レタンの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め,紡糸時に付与する油剤組成について鋭意検討の結
果,ウレタンポリマーを溶融紡糸するに際し,口金より
出た糸が固化した後で一般式
【化2】 の構造式を有し,ジメチルシロキサン含量が40重量部
以上で,且つポリエーテル鎖中のポリプロピレングリコ
ールが50モルパーセント以上の直鎖状ポリアルキレン
オキサイド変性ポリジメチルシロキサンを含有してなる
非水系油剤を付与した後,巻き取る事で本発明に到達し
たものである。
【0012】本発明に使用される直鎖状ポリアルキレン
オキサイド変性ポリジメチルシロキサンは,ベース油の
ポリジメチルシロキサンと相溶性がよく,透明な油剤が
得られるため,紡糸時の糸への付与も均一で,ポリアル
キレンオキサイド変性ポリジメチルシロキサンがもって
いる離型性を有効に発揮でき,優れた膠着防止性を示
す。
【0013】本発明は溶融紡糸,乾式紡糸,湿式紡糸の
どの方法にでも適用できる。
【0014】本発明に使用するポリウレタンは溶融紡
糸,乾式紡糸,湿式紡糸に供する事が出来る熱可塑性ポ
リウレタンであればどのような組成でも使用出来る。又
ポリウレタンの伸縮物性並びに耐熱物性を向上させるた
め,紡糸時にジイソシアナート化合物を混合したり,あ
るいは耐光性などの改善のため,金属酸化物,有機化合
物を混合するなど紡糸時に何らかの変成を受けた物でも
同様に使用出来る。
【0015】ポリウレタンを構成するポリオール成分と
しては,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリ
コール,ポリテトラメチレングリコール,エチレンオキ
サイドとプロピレンオキサイドの共重合体などのポリエ
ーテル,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリ
コール,ポリテトラメチレングリコール,エチレンオキ
サイドとプロピレンオキサイドの共重合体とアジピン酸
などの二塩基酸とのエステル,ポリε−カプロラクト
ン,ポリヘキサメチレンカーボネート,シリコンポリオ
ールなどが挙げられる。
【0016】又,ジイソシアナート成分としては4.4
´−ジフェニルメタンジイソシアナート,4.4´−ジ
シクロヘキシルメタンジイソシアナート,イソホロンジ
イソシアナート,ヘキサメチレンジイソシアナートが挙
げられる。
【0017】本発明で使用する直鎖状ポリアルキレンオ
キサイド変性ポリジメチルシロキサンは,糸の平滑性を
上げるため,低粘度のポリジメチルシロキサンと混合し
て使用する。
【0018】直鎖状ポリアルキレンオキサイド変性ポリ
ジメチルシロキサンの離型効果を有効に発揮させるため
には,高分子量のポリシロキサンの方が効果的であるが
通常2000から10000の物が使用される。分子量
2000以下では,離型効果が弱く,また10000以
上では紡糸時に付与する油剤の粘度が高くなり過ぎるた
め,油剤中の配合量に制約を受け少量しか配合できない
ため膠着防止性がわるかったり,また高粘度のまま使用
すると糸表面への均一付着性が悪くなり,膠着防止斑が
発生し好ましくない。
【0019】直鎖状ポリアルキレンオキサイド変性ポリ
シロキサンがベース油のポリジメチルシロキサンへよく
溶解する必要があるため,直鎖状ポリアルキレンオキサ
イド変性ポリジメチルシロキサン中のジメチルシロキサ
ンの割合は,多いほうが望ましい。しかしジメチルシロ
キサンの割合が多くなる程粘度が低くなり,粘性による
離型効果が弱まるため,ベース油のポリジメチルシロキ
サンへの溶解度を考えジメチルシロキサンの割合を選定
する必要がある。
【0020】直鎖状ポリアルキレンオキサイド変性ポリ
ジメチルシロキサン中のジメチルシロキサンの割合は,
30〜90重量部,望ましくは40〜85重量部,さら
に望ましくは50〜80重量部が有用に使用できる。
【0021】直鎖状ポリアルキレンオキサイド変性ポリ
ジメチルシロキサン中のポリエチレングリコールとポリ
プロピレングリコールの重量割合は任意のものが使用で
きるが,ポリエチレングリコール部分が多くなり過ぎる
と,ベース油のポリジメチルシロキサンへの溶解度が悪
くなり,紡糸時に糸への付着の不均一が起こり膠着斑な
どを引き起こし好ましくない。
【0022】直鎖状ポリアルキレンオキサイド変性ポリ
ジメチルシロキサンのベース油ポリジメチルシロキサン
への配合量は多いほど離型性に優れるが,配合量が多く
なるほど配合油剤の粘度が高くなり,粘性による糸道抵
抗増大による糸の走行不安定や糸のローラー巻き付き,
糸への付着斑の発生による膠着防止斑が起こり好ましく
ない。
【0023】直鎖状ポリアルキレンオキサイド変性ポリ
ジメチルシロキサンのベース油ポリジメチルシロキサン
への配合量は配合油の粘度が30℃粘度で50cst以
下になるように,直鎖状ポリアルキレンオキサイド変性
ポリジメチルシロキサンの粘度により適宜決定される。
【0024】油剤を糸に付与する方法は,噴霧法,ロー
ラー表面接触法,給油ガイド法など,公知の方法が使用
出来るが,糸への均一付着を考えると給油ガイド法が最
良である。
【0025】以下実施例により本発明を詳細に説明す
る。本発明の効果を評価する方法として,膠着防止性の
代用特性である解舒張力(紡糸直後と経時後)を用い
た。
【0026】解舒張力 紡糸ボビンから1m/mi
nの引き取り速度で,糸を引き出した時の,ボビン表面
から糸を引きはがすのに要する張力を言い(図1),本
方法で糸長5m当たりの最高張力20点の平均値をもっ
て解舒張力とする。測定は、紡糸直後と7日後に行っ
た。
【0027】直鎖状ポリアルキレンオキサイド変性ポリ
ジメチルシロキサンはそれぞれに対応する片末端カルビ
ノール変成ポリジメチルシロキサンを反応出発物質とし
て,エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの公知
反応,例えば新界面活性剤(堀内博著,三共出版,19
77 671ぺージ)記載の方法により製造できる。
【0028】表1に10cst/30℃のポリジメチル
シロキサンにジメチルポリシロキサン含量とポリアルキ
レングリコール鎖中のポリプロピレングリコール含量を
変化させた分子量11500の直鎖状ポリアルキレンオ
キサイド変性ポリジメチルシロキサンを10重量部溶解
させた場合の両成分の溶解状態(表1の〇は溶解透明,
△は一部不溶,×は不溶不透明)を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【実施例】
(実施例1)ポリエーテルとして分子量1800のポリ
テトラメチレングリコール,ジイソシアナート化合物と
して4.4´−ジフェニルメタンジイソシアナ−ト,鎖
伸長剤として1.4−ブタンジオールから成るショアー
硬度90の熱可塑性ポリウレタン弾性体を210℃で溶
融してスクリュー押出機にて押し出す際に,紡糸口金に
入る前に,分子量1500のポリ(1.4−オキシブチ
レン)ジイソシアナートをポリウレタン重合体に対し,
15重量%混合した後,0.5mmのノズルより吐出
し,500m/minでボビンに巻き取り,40デニー
ルのモノフィラメントを得た。
【0031】紡糸口金より押し出されボビンに巻き取ら
れるまでに,ポリジメチルシロキサン含量が50重量
部,ポリアルキレングリコール中のポリプロピレングリ
コールの重量割合が75%の分子量15000の直鎖状
ポリアルキレンオキサイド変性ポリジメチルシロキサン
を10cst/30℃のポリジメチルシロキサンに5重
量部溶解した非水系油剤を糸に対し6%付与し巻き取っ
た。
【0032】一方,比較例として,実施例1と同様に紡
糸した糸にポリジメチルシロキサン(10cst/30
℃)95重量部,オレイン酸ジエタノールアミド5重量
部の非水系油剤を糸に対し6%付与し巻き取った。
【0033】実施例の油剤と比較例の油剤の優劣を判断
するため,紡糸ボビンの解舒張力を評価した。評価した
結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】比較例の油剤は膠着が大きいため,後次工
程での糸の巻き返しが不良で糸切れが多く操業性が極め
て不良であったが,実施例の本発明の油剤は糸は膠着防
止性も優れ,平滑性も適度であるため後次工程の操業は
極めて順調であった。
【0036】(実施例2)ポリエーテルとして分子量1
000のポリテトラメチレングリコール500重量部,
ジイソシアナート化合物として4.4´−ジフェニルメ
タンジイソシアナート1000重量部をジメチルホルム
アミド中で反応させ,反応完了後,エチレンジアミン6
0重量部で鎖伸長反応させ,ポリマー濃度30%の溶液
を得た。このポリマー溶液をホール数が10の紡糸口金
から熱気流中に押し出し,300m/minでボビンに
巻き取る前にポリジメチルシロキサン含量が75重量
部,ポリアルキレングリコール中のポリプロピレングリ
コールの重量割合が50%の分子量7500の直鎖状ポ
リアルキレンオキサイド変性ポリジメチルシロキサンを
10cst/30℃のポリジメチルシロキサンに5重量
部溶解した非水系油剤を糸に対し6%付与し巻き取っ
た。
【0037】実施例の油剤と比較例の油剤の優劣を判断
するため,紡糸ボビンの解舒張力を評価した。評価した
結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】実施例の本発明の油剤は糸は膠着防止性も
優れ,平滑性も適度であるため後次工程の操業は極めて
順調であった。
【0040】以上,本発明の直鎖状ポリアルキレンオキ
サイド変性ポリジメチルシロキサンを使用することで,
当化合物を使用しない場合に比べ優れた膠着防止性が得
られた。
【0041】
【発明の効果】本発明のウレタン弾性繊維の製造方法に
よれば,紡糸ボビン膠着が少なく,後次工程での解舒性
不良による糸切れが少なく,極めて操業性が良い高品質
のウレタン弾性繊維が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】解舒張力の測定方法を表す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウレタンポリマーを溶融紡糸するに際
    し,口金より出た糸が固化した後で一般式 【化1】 の構造式を有し,ジメチルシロキサン含量が40重量部
    以上で,且つポリエーテル鎖中のポリプロピレングリコ
    ールが50モルパーセント以上の直鎖状ポリアルキレン
    オキサイド変性ポリジメチルシロキサンを含有してなる
    非水系油剤を付与した後,巻き取る事を特徴とするウレ
    タン弾性繊維の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100438147B1 (ko) * 1996-08-27 2004-08-09 다케모토 유시 가부시키 가이샤 열처리공정에제공하는합성섬유필라멘트사조용의윤활제및열처리공정에제공하는합성섬유필라멘트사조의윤활성부여방법
KR100438148B1 (ko) * 1996-08-28 2004-08-12 다케모토 유시 가부시키 가이샤 쇼트히터식가연가공에제공하는합성섬유필라멘트사조의윤활성부여방법
JP2020111863A (ja) * 2019-01-07 2020-07-27 ジョンサン インターナショナル カンパニーリミテッドJEONGSAN INTERNATIONAL Co., Ltd. 優秀な解糸性、製織性及び原糸収縮率特性を有する熱可塑性弾性体原糸及びこれの製造方法{Thermoplastic elastomer yarn with improved unwinding、weaving and yarn shrinking property,and manufacturing method thereof}

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