JPH08209186A - 脂肪及び油含有天然物質から天然芳香物質を抽出する方法 - Google Patents

脂肪及び油含有天然物質から天然芳香物質を抽出する方法

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    • A23L27/11—Natural spices, flavouring agents or condiments; Extracts thereof obtained by solvent extraction

Abstract

(57)【要約】 【課題】 脂肪−及び油含天然物質から天然芳香物質を
抽出すること 【解決手段】 脂肪−及び油含天然物質から天然芳香物
質を圧縮ガスで抽出する場合に、天然物質を２工程法で
抽出し、その際、第１工程では、≦７０℃の温度及び＜
５００バールの圧力で、液体プロパン及び／又はブタン
を、かつ引き続く第２工程では、≦５０℃の温度及び７
０〜５００バールの圧力で、圧縮一酸化炭素を、抽出剤
として使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮ガスを用いて
脂肪−及び油含有天然物質から天然芳香物質を抽出する
方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】現代の食料品工業は、消費者に、時間に
応じ、かつ変わった栄養摂取習慣に応じる製品を提供す
るために、食料品の加工のための多様な方法を利用して
いる。しかしながら、いくつかの方法工程で、出発物質
の当初芳香物質は、工業的に変更され、屡々、負の影響
を受け、殊に価値のある芳香物質が除去又は破壊され
る。しかしながら、製品の感覚は、正に、決定的な品質
基準であるので、食料品工業では、この方法技術的に限
定された製品の損害を芳香物質の所望の添加により補償
する努力がなされている。厳しさの増している消費者の
要求により、このためには、特に天然に由来する芳香物
質に、天然類似の又は全く人工的な芳香物質よりも優先
性が与えられる。
【０００３】工業的観点から、天然物質からの芳香物質
の取得は、屡々非常に問題がある。それというのも、一
方で、特有の典型的感覚印象は多くの個々の化合物の総
合作用により決まり、他方で、多くの芳香成分は、方法
技術的に制限され、殊に熱負荷により分解されるか又は
その高い揮発性に基づき不利に除去される化合物である
からである。この問題は、殊に脂肪−又は油含有天然物
質からの芳香物質の取得の場合に非常に顕著である。付
加的に、この原料の一部において、できるだけ少ない脂
肪−及び／又は油分を含有する芳香フラクシヨンを得る
ことは、例えば、殊に部分的に水溶性のインスタント−
製品、例えば、インスタント−コーヒー又は低減された
脂肪−及び／又は油含分の製品、いわゆる「ライト−プ
ロダクト（Ｌｉｇｈｔ−ｐｒｏｄｕｃｔ）」の製造のた
めに絶対必要な前提である。
【０００４】脂肪−及び油含有天然物質から芳香物質を
得るためには、種々の方法が公知である。蒸留法、例え
ば、分別蒸留又は水蒸気蒸留と並んで、慣用の溶剤法も
使用されている。過去において、圧縮ガス、殊に過臨界
一酸化炭素を用いる芳香物質の抽出が実施される方法が
記載された。例えば、欧州特許（ＥＰ）第００６５１０
６号明細書中には、過臨界圧力及び臨界下温度での一酸
化炭素を用いる抽出による濃縮矯臭−及び矯味物質エキ
スの製造法が記載されている。このような方法は、現在
は、殊にその穏和な方法条件及び溶媒の高い選択性に基
づき、その使用により品質的に非常に高価な芳香物質を
製造することができるので、非常に重要である。
【０００５】この際、圧縮ＣＯ2を用いる芳香物質フラ
クシヨンから脂肪−及び／又は油フラクシヨンを分離す
るための種々の方法が記載できる：（ｉ）異なる内容物
を、連続的に、種々の方法パラメータ、例えば圧力、温
度又は伴出剤供給により天然物質から抽出し、別々に集
める分別抽出；（ｉｉ）種々の内容物を差し当たり一緒
に抽出し、次いで異なる条件下でＣＯ2から沈殿させる
分別沈殿。
【０００６】しかしながら、経験が示しているように、
これら二つの方法は、屡々欠点を伴う：例えば、圧縮一
酸化炭素での分別抽出の際に、芳香物質から脂肪又は油
を有効に抽出分離することは成功していない、それとい
うのも、双方の物質群は同じ条件下では一酸化炭素中に
良好な溶解性を示すからである。分別沈殿の場合にも、
芳香物質からの脂肪及び油脂の有効な分離は、屡々劣悪
に実施可能であるであるだけである、それというのも、
双方の物質群の圧縮一酸化炭素中の溶解性は僅かに異な
っているだけであるからである。付加的な方法技術的手
段、例えば抽出分離機中への助剤の装入により改良は得
られるが、屡々、芳香成分の満足しうる濃化は達成しな
い、それというのも、これらは常にかなりの程度で親油
性マトリックス中に存在するからである。従って、殊に
インスタント−飲料又はライト−プロダクトの芳香付け
のために好適である低脂肪−及び／又は油含分の芳香物
質の製造は、このようにして得られた芳香フラクシヨン
では屡々非常に不満足にのみ可能である。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、その方法で、できるだけ脂肪又は油を少なく含有す
る、感覚的に高価な芳香フラクシヨンを得ることのでき
る、圧縮ガスを用いる脂肪−及び油含有天然物質から天
然芳香物質を抽出する方法を提供することである。もう
一つの課題は、水性媒体中に明らかに改良された溶解性
を有するこのような抽出物を製造することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】この課題は、本発明によ
り、天然物質を２工程法で抽出し、この際、第１工程で
は、≦７０℃の温度及び＜５００バールの圧力で液体プ
ロパン及び／又はブタンを、かつ第２工程では、≦５０
℃の温度及び７０〜５００バールの圧力で、圧縮一酸化
炭素を、抽出剤として使用することにより解決される。
【０００９】この処理法で、意外にも、第１工程で脂肪
／油が選択的に液体プロパン及び／又はブタンで除去さ
れ、芳香物質の主要分は出発物質中に残ることが明らか
になった。この芳香物質フラクシヨンを、引き続き、第
２抽出工程で圧縮一酸化炭素で抽出する。本発明の方法
に特に好適な芳香物含有天然物質は、例えばコーヒー、
カカオ、ココヤシ及びピーナツが挙げられる。しかしな
がら、他の脂肪−、油−または芳香物質を含有する全て
の天然物質も好適である。多くの天然物質の温度敏感性
を考慮すると、第１工程の圧縮ガスは、臨界を下回るが
液体状態で使用され、この際、抽出温度は有利に≦５０
℃である。
【００１０】本発明により、第１工程では、相応する抽
出温度でプロパン及び／又はブタンが液体状態を保持す
る抽出圧力を選択するが、５００バールの上限を越えな
い。脱脂／脱油のために必要な抽出剤の量は、主として
抽出すべき天然物質中の脂肪−又は油含分に依存する。
この状態条件で、使用炭化水素、殊にプロパンの脂肪及
び油に関する高い溶解性により、一般に、出発物質１ｋ
ｇ当たりプロパンは１０ｋｇより少なくて充分である。
１５バールより低い圧力に低下させることにより、第１
工程の終わり頃に、２０〜４５℃の温度で、脂肪−及び
／又は油含有抽出物の分離を行うことができる。
【００１１】引き続く第２の工程、固有の芳香物抽出の
際には、近臨界及び過臨界状態の一酸化炭素を使用す
る。この際、方法圧力、温度及び必要ガス量は、記載の
限界値の範囲内で実際に、出発物質、残留芳香物質フラ
クシヨン及び抽出の目標設定により決められる。抽出圧
力は、９０〜２８０バールが有利である。
【００１２】ＣＯ2からの芳香物質分離は、３５〜４５
バールの圧力及び２０〜３５℃の温度で行うことができ
る。この際、この流の水溶性を改良するために、抽出分
離機中の一酸化炭素に短鎖のアルコールの形の溶解助
剤、例えばエタノール又は錯形成性物質、例えばシクロ
デキストリンを添加するのが好適であると立証された。
第２の方法工程で、出発物質１ｋｇ当たり圧縮ＣＯ2
有利に５〜３０ｋｇが使用される。
【００１３】この方法の経済性は、双方の抽出工程、圧
縮炭化水素を用いる脱脂又は脱油並びに圧縮一酸化炭素
を用いる芳香物質抽出を、方法技術的に循環法として設
計し、直接順次に１抽出装置中で実施することにより改
良することができる。
【００１４】
【実施例】次の実施例で本発明を詳述する。
【００１５】例１ 焙焼コーヒーからのコーヒー芳香物質の取得 新しく粉砕された焙焼コーヒー４．７ｋｇを、２０バー
ル及び３０℃で液体プロパン合計３７．６ｋｇで抽出し
た。抽出物を、圧力低下の後、８バール及び２６〜４２
℃で沈殿させると、その際、油状の褐色抽出物７０５ｇ
が得られた。引き続き、実際に脂肪不含の抽出残分３３
５０ｇを、２８０バール及び２０℃で液体一酸化炭素６
７ｋｇで抽出した。この抽出物を、２５℃での４０バー
ルまでの圧力低下により沈殿させた。暗色のペースト状
の抽出物４５ｇが得られた。この抽出物の水溶性は、一
酸化炭素−抽出物の沈殿の間に分離機中にエタノール１
０〜５０ｇを配量導入することにより改良できた。エタ
ノールの代わりにβ−シクロデキストリン粉末又はその
水溶液を分離機中に装入し、分離を記載のように実施す
ると、同様に完全に水溶性の芳香抽出物が得られた。
【００１６】プロパンにより得られた抽出物は、揮発性
芳香香調を全く有しない。これに反し、一酸化炭素−抽
出物は、焙焼コーヒーに典型的な、新鮮な焙焼芳香−香
調を高い濃度で有する。
【００１７】例２ カカオ顆粒からのカカオ芳香物質の取得 脂肪含有率１０重量％の焙焼されたカカオ顆粒２５０ｇ
を、２０バール及び２０℃で、液体プロパン１．５ｋｇ
で抽出し、この際、カカオ脂の殆ど完全な抽出（抽出物
２５ｇ）が達成された（分離条件は、例１におけると同
様）。引き続き、抽出残分を２７０バール及び３０℃で
液体一酸化炭素５ｋｇで抽出し、この際、抽出分離機中
に４０バール及び３０℃で濃縮芳香物質１ｇを集めるこ
とができた。
【００１８】プロパン抽出物は、明らかに僅かな強さの
芳香香調を有したが、一酸化炭素抽出物は、カカオに関
して典型的な、甘く−新鮮な芳香香調を有した。
【００１９】例３ 焙焼ピーナツからの芳香物質の取得 焙焼されたピーナツ（粉砕）１ｋｇを、２０バール及び
２０℃で圧縮プロパン１０ｋｇで抽出した。この際、ピ
ーナツ油４５０ｇが得られた（分離条件は、例１と同
様）。引き続き、抽出残分を、２００バール及び４５℃
で、圧縮一酸化炭素１５ｋｇで抽出すると、この際、分
離機中に芳香抽出物８ｇが得られた。
【００２０】感覚的に比較すると、得られた油フラクシ
ヨンは、弱い芳香作用のみであったが、量的に少量の炭
酸抽出物は、感覚的に、即ち、臭いも味も非常に芳醇で
あり、焙焼されたピーナツで予期される高濃度で典型的
な芳香化合物を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ラルフ カーライス ドイツ連邦共和国 トローストベルク レ ーマーシュトラーセ ６ (72)発明者 アンドレア ジモン ドイツ連邦共和国 キーミング ヴァルト ヴェーク 13

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 圧縮ガスを用いて脂肪−及び油含有天然
    物質から天然芳香物質を抽出する方法において、天然物
    質を２工程で抽出し、この際、第１工程では、≦７０℃
    の温度及び＜５００バールの圧力で、液体プロパン及び
    ／又はブタンを、かつ、引き続く第２工程では、≦５０
    ℃及び７０〜５００バールの圧力で、圧縮一酸化炭素
    を、抽出剤として使用することを特徴とする、脂肪及び
    油含有天然物質から天然芳香物質を抽出する方法。
  2. 【請求項２】 第１工程の温度は、≦５０℃である、請
    求項１に記載の方法。
  3. 【請求項３】 第１工程の抽出分離を≦１５バールの圧
    力及び２０〜４５℃の温度で実施する、請求項１又は２
    に記載の方法。
  4. 【請求項４】 一酸化炭素を近臨界から過臨界状態で使
    用する、請求項１から３のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項５】 第２工程の圧力は、９０〜２８０バール
    の間である、請求項１から４のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項６】 第２工程での芳香物質分離を、３５〜４
    ５バールの圧力及び２０〜３５℃の温度で実施する、請
    求項１から５のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項７】 第２工程で、出発物質１ｋｇ当たり抽出
    剤≦３０ｋｇを使用する、請求項１から６のいずれかに
    記載の方法。
  8. 【請求項８】 第２工程で、付加的に、短鎖アルコール
    又は錯形成性物質をベースとする溶解助剤を使用する、
    請求項１から７のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項９】 溶解助剤として、エタノールを使用す
    る、請求項８に記載の方法。
  10. 【請求項１０】 錯形成性物質として、シクロデキスト
    リンを使用する、請求項８に記載の方法。
  11. 【請求項１１】 双方の工程を直接順次に実施し、循環
    法として設計する、請求項１から１０までのいずれかに
    記載の方法。
  12. 【請求項１２】 コーヒー、カカオ、ピーナツ又はココ
    ヤシを抽出する、請求項１から１１のいずれかに記載の
    方法。
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