JP5143693B2 - 魚節類エキスの製造方法及び該製造方法により製造された魚節類エキス - Google Patents

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本発明は、魚節類エキスの製造方法及び該製造方法により製造された魚節類エキスに関する。さらに詳述すると、本発明は、風味良好な一番出汁タイプの魚節類エキスを製造するのに好適な方法に関する。
従来、節類または煮干し品等の加工魚類を液化状態または超臨界状態の二酸化炭素で抽出処理し、次いで減圧処理することで、節類または煮干し品の加工魚類の天然香味成分を回収する方法が知られている(特許文献1)。この天然香味成分の回収方法によれば、鰹節等の節類や煮干し品等の加工魚類が持つ香気成分を効率良く回収することができる。しかしながら、この方法により得られる香気成分は生臭みが強く、油脂を多く含み、酸化劣化し易いことから、天然の風味が失われ易いという問題点がある。
そこで、より天然の風味を求めた方法として、例えば本枯節タイプの風味素材として、魚節類を5〜99.9容量%の含水アルコールの存在下で、液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素で抽出処理して得られる魚節類の香味成分からなる魚節だしフレーバーが提案されている(特許文献2)。
また、水産物原料抽出物の製造方法としては、水産物原料の水蒸気蒸留によって得られた水産物原料のアロマを、水産物の抽出物に添加する工程を包含する、香味の優れた水産物の抽出物の製造方法も提案されている(特許文献3)
特開昭59−232064号公報 特開平10−57008号公報 特開2004−89141号公報
しかしながら、特許文献2の方法で得られる魚節だしフレーバーは、呈味性が十分ではないという問題点があった。また、特許文献3の方法で得られる水産物の抽出物は、香味全体のバランスが悪く、さらなる改良が望まれていた。
即ち、現状では、香り(アロマ)と呈味性ともに優れた魚節を原料とする風味素材、例えば鰹節タイプの風味素材が存在しておらず、このような風味素材が切望されていた。
そこで、本発明は、香りと呈味性ともに優れた魚節類エキスを提供することを目的とする。
かかる目的を解決するため、請求項1記載の魚節類エキスの製造方法は、魚節類に対し、水蒸気を蒸留容器の底部から導入して魚節類全体に水蒸気を接触させる水蒸気蒸留を行い水蒸気蒸留物を得る水蒸気蒸留工程と、水蒸気蒸留後の魚節類をドリップ方式で水抽出して水抽出物を得る水抽出工程と、水蒸気蒸留物を水抽出物に配合する配合工程とを含み、水蒸気蒸留工程と水抽出工程とを、蒸留容器から魚節類を取り出すことなく、実質的に無酸素状態で連続して行うようにしている。
このように、最初に水蒸気蒸留で魚節類の香り成分(アロマ)を回収することで、新鮮な香り成分の熱的劣化が防止される。また、水蒸気蒸留工程と水抽出工程とを連続して行うことで、魚節が酸素と接触するのを防ぐことができ、水抽出を実質的に無酸素状態で行うことができる。したがって、魚節類の酸化的劣化が防止される。さらに、水蒸気蒸留により魚節類の組織を軟化させることで水抽出効率が高められて雑味が抑えられる。したがって、水蒸気蒸留物と水抽出物とを適宜配合することによって、香り成分と呈味成分のバランスがとれた、力価のある魚節類エキスを得ることができる。
ここで、請求項2に記載のように、水蒸気蒸留は、魚節類1kg当たり0.02〜2kg/時間の水蒸気流量で行い、魚節類100質量部に対して水蒸気蒸留物100質量部を得るようにすることが好ましい。
また、請求項3に記載のように、水蒸気蒸留物のうち、10〜30質量部の初期留出分を配合工程において水抽出物に配合することが好ましい。
さらに、請求項4に記載のように、水抽出処理は、60℃〜100℃の水を使用して1回行い、魚節類100質量部に対して水抽出物を50〜200質量部回収することが好ましい。
さらに、請求項記載の魚節類エキスは、請求項1〜のいずれか一つに記載の魚節類エキスの製造方法により製造される魚節類エキスである。
以上、本発明の魚節類エキスの製造方法によれば、魚節類の肉感を表現する強い呈味感を有し、且つ魚節類の強い節感を表す香り成分を有するにもかかわらず、劣化臭や雑味を感じさせない、汎用性のある魚節類エキスを提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の魚節類エキスの製造方法は、魚節類を水蒸気蒸留して水蒸気蒸留物を得る水蒸気蒸留工程と、水蒸気蒸留後の魚節類を水抽出して水抽出物を得る水抽出工程と、水蒸気蒸留物を水抽出物に配合する配合工程とを含み、水蒸気蒸留工程と水抽出工程とを連続して行うようにしている。
本発明においてエキスの抽出原料となる魚節類としては、鰹節、そうだ節、まぐろ節(しび節)、さば節、いわし節、あじ節、さんま節といった魚節類全般、または煮干し等の出し抽出用加工品が挙げられるが、特に鰹本枯節や鰹荒節に代表される鰹節が好適である。また、魚節類は、例えば、切屑物、破砕物、粉砕物等の細分化物の形態で用いることが好ましい。
本発明における水蒸気蒸留は、細分化物とした魚節類を蒸留容器内に仕込み、水蒸気を例えば蒸留容器の底部から導入して魚節類全体に水蒸気を接触させるようにし、水蒸気により抽出された香気成分を冷却することにより水蒸気蒸留物(リカバリー)を得る、それ自体公知の方法で実施される。水蒸気蒸留の際には、水蒸気は加圧・加熱条件で蒸留容器内に供給されるので、蒸留容器内に空気が混入することがなく、原料である魚節類の酸化を防止することができる。尚、水蒸気蒸留は、常圧でも減圧下でも可能である。
水蒸気蒸留の際の水蒸気流量は、魚節類1kg当たり0.02〜2kg/時間とすることが好ましく、0.5〜1.5kg/時間とすることがより好ましく、1kg/時間とすることがさらに好ましい。水蒸気流量を0.02kg/時間未満とすると、水蒸気蒸留工程に長時間を要し、回収される香気成分や魚節類自体が熱的に劣化する虞がある。また、水蒸気流量が2kg/時間を超えると、魚節類自体が熱的に劣化したり、回収すべき香り成分自体が熱的に劣化する虞がある。魚節類自体が熱的に劣化すると、水抽出時に雑味の発生の原因となりうる。つまり、水蒸気流量を魚節類1kg当たり0.02〜2kg/時間とすることで、水抽出時の雑味の発生が抑えられる。
また、水蒸気蒸留は、魚節類100質量部に対して100質量部の留出物を得たところで終了することが好ましい。これにより、原料である魚節類の軟化を十分に促進して次工程の水抽出によるエキス抽出効率を高めることができ、水抽出により雑味が発生するのを抑制することができる。また、100質量部を超える留出物には好ましい香り成分が少なく、むしろ劣化臭が多くなる。したがって、水蒸気蒸留は、魚節類100質量部に対して100質量部の留出物を得たところで終了することで、魚節エキスに劣化臭が混入するのを抑えることができる。
ここで、水抽出物に配合する水蒸気蒸留物は、魚節類100質量部に対して得られた100質量部の水蒸気蒸留物の全量を用いるようにしてもよいが、初期留出分の10〜30質量部とすることが好ましく、初期留出分の30質量部とすることがより好ましく、初期留出分の10質量部とすることがさらに好ましい。初期留出分の30質量部には魚節類らしい力強い香りが集中しており、この部分を水蒸気蒸留物として選択することによって、香りの力価の高い魚節類エキスを得ることができる。また、初期留出分の10質量部には魚節類の上品な香りが凝縮しており、且つ強い呈味感と後を引く甘さとを有していることから、この部分を選択することにより、汎用性の高い一番出汁風味素材として好適な魚節類エキスを得ることができる。したがって、水抽出物に配合する水蒸気蒸留物を、初期留出分の30質量部に近づける程、魚節類エキスの香りの力価を高め易くなり、初期留出分の10質量部に近づける程、一番出汁風味素材として好適な魚節類エキスとなる。つまり、水抽出物に配合する水蒸気蒸留物として選択する初期留出分を10〜30質量部の範囲で選択することによって、様々なタイプの魚節エキスを得ることができる。
次に、本発明でいう水抽出とは、60℃〜100℃の水に抽出原料である魚節類を接触させ、次いで固液分離を行うことにより水溶性画分を得ることをいう。
本発明において、水抽出工程は、水蒸気蒸留工程が完了した後、魚節類を蒸留容器から取り出すことなく連続して行う。尚、ここでいう連続とは、水蒸気蒸留工程の後、原料である魚節類が空気(酸素)に晒される前に水抽出工程を行うことを意味する。これにより、魚節が酸素と接触するのを防ぐことができるので、水抽出を実質的に無酸素状態で行うことができる。したがって、魚節類の酸化的劣化を抑えることができる。また、魚節類は水蒸気蒸留工程によりその組織が軟化しているので、水抽出による抽出効率が高められて、雑味が抑えられる。
ここで、水抽出工程について具体的に説明する。水蒸気蒸留工程終了後遅滞なく、60℃〜100℃の水を水蒸気蒸留後の魚節類に添加する。この場合、シャワー方式により魚節類に水を均一に散布することが好ましい。また、一般的な加熱攪拌方式の抽出では味に雑味が生じる場合があるため、抽出はカラム型抽出槽によるドリップ方式が好ましい。尚、水抽出に用いる水の温度を60℃未満とすると、エキスが十分に抽出されない場合がある。
水抽出に用いる水の量は、魚節類100質量部に対して、50〜200質量部の水抽出物、好ましくは略100質量部の水抽出物を得ることができる量とすればよい。これにより、雑味の発生を効果的に抑えることができ、強い呈味感を有しながらも雑味のない一番出汁風の風味を有するものとすることができる。水抽出物の量を50質量部未満とすると、抽出を十分に行うことができなくなる。また、水抽出物の量が200質量部を超えると、雑味までも抽出される可能性がある。尚、水蒸気蒸留後の魚節類には、溜まり水、即ち水蒸気蒸留の際に魚節類が吸水した水が残留しており、この溜まり水の量を加味して魚節類に水を散布し、水抽出物を得るようにすればよい。
尚、水蒸気蒸留後に鰹節を取り出すことなく連続して水抽出を行う装置としては、例えば多機能抽出装置TEX型(株式会社イズミフードマシナリ製)を利用し、この装置の蒸留容器に水蒸気を導入する水蒸気導入管と、香気成分を含む水蒸気を流出させると共に冷却して凝縮させるための水蒸気流出・冷却管とを備えることで実施することができる。しかしながら、この装置を利用する形態には限定されず、要は、水蒸気蒸留工程と水抽出工程を連続で行うことができ、且つ魚節類が酸素雰囲気に晒されにくい状態で魚節類エキスを製造できる装置を適宜用いればよい。
本発明の魚節類エキスは、水蒸気蒸留物を水抽出物に配合して調製される。配合比率は、魚節エキスとして必要な香り成分と呈味成分とのバランスに基づき、適宜決定することができるが、上記水抽出物100質量部に対して、上記水蒸気蒸留物100質量部のうちの初期留出分30質量部を配合することが好ましい。この場合には、魚節の香りが高く、味の力価の高い、未濃縮品でありながらあたかも濃縮品であるかのような風味を有する魚節類エキスが得られる。また、上記水抽出物100質量部に対して、上記水蒸気蒸留物100質量部のうちの初期留出分10質量部を配合することがさらに好ましい。この場合には、すっきりと上品でありながら、強い呈味感と後を引く甘さを有する一番出汁タイプの魚節エキスが得られる。
上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では、水蒸気蒸留工程と水抽出工程とを連続して行うようにしているが、連続して行わなくても香り成分と呈味成分のバランスに優れたエキスを製造できる場合がある。即ち、魚節類1kg当たり0.02〜2kg/時間の水蒸気流量で水蒸気蒸留を行って魚節類100質量部に対して水蒸気蒸留物100質量部を得る水蒸気蒸留工程と、水蒸気蒸留後の魚節類を60℃〜100℃の水で水抽出を1回おこなって魚節類100質量部に対して水抽出物50〜200質量部を得る水抽出工程と、水蒸気蒸留物のうち10〜30質量部の初期留出分を水抽出物に配合する配合工程とを含むようにすることで、香り成分と呈味成分のバランスに優れた魚節類エキスを製造でき、特に水抽出物の配合量を略100質量部とすることで、さらに優れた魚節類エキスを製造することができる。つまり、各工程の条件を上記に限定することによって、水蒸気蒸留工程と水抽出工程とが連続で行われない場合、例えば、水蒸気蒸留工程後に蒸留容器から原料である魚節類が取り出されること等により空気と接触した後、水抽出工程に供しても、優れた魚節エキスを製造することが可能である。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。
<実施例1>水蒸気蒸留物の調製
蒸留容器内に粗粉砕した鰹の荒節2kgを収容し、水蒸気流量を1.0kg/時間に設定して、蒸留容器の底部、即ち鰹節原料下部より水蒸気を導入し、水蒸気蒸留を行った。水蒸気蒸留物は初留から200gづつ採取して水蒸気蒸留物1〜10を得て、総量2kgの留出物を得たところで水蒸気蒸留を終了した。
水蒸気蒸留終了後遅滞無く、80℃の水2kgを鰹節原料に散水し、ドリップエキスを採取して、2.5kgの水抽出物1を得た。尚、鰹節原料に散水した水の量に対し、水抽出物1の量が多くなった理由は、水蒸気蒸留により鰹節原料に吸収された水(溜まり水)の影響によるものである。さらに、この抽出操作を2回繰り返し、水抽出物2(1.8kg)および水抽出物3(1.8kg)を得た。
<試験例1>
水蒸気蒸留物1〜10について、官能評価を行った。評価サンプルは、市販の3倍濃縮めんつゆをイオン交換水で5倍に希釈したものを評価生地とし、水蒸気蒸留物の各留分(1〜10)を各0.01質量%添加したサンプルを調製した。評価は熟練した官能評価パネル5名で行い、香りの強さ、甘さを、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。評価点の平均値と香味のコメントを表1に示す。
Figure 0005143693
表1から明らかなように、鰹節の香り及び甘さは、水蒸気蒸留物1〜3に集中していることが分かり、水蒸気蒸留物4〜10には殆ど含まれていないことが明らかとなった。したがって、鰹節100質量部に対して得られた水蒸気蒸留物100質量部を水抽出物に配合しても、鰹節の香り及び甘さを鰹節エキスに含ませることができるが、鰹節の香り及び甘さを効果的に引き出すためには、水蒸気蒸留物100質量部のうち初期留出分の30質量部までを配合することが好ましいことが明らかとなった。尚、本願発明者等がさらに検討を行ったところ、鰹節100質量部に対して100質量部を超える水蒸気蒸留物を得た場合には、水蒸気蒸留物に劣化臭が混入し易くなることが明らかとなった。また、鰹節100質量部に対して100質量部の水蒸気蒸留物を得ることで、次工程の水抽出におけるエキス抽出効率が十分に高まることが確認された。このことから、水蒸気蒸留により採取すべき水蒸気蒸留物の量は鰹節100質量部に対して100質量部とすることが好ましいことが明らかとなった。
<試験例2>
水抽出物1〜3について、官能評価を行った。評価サンプルは、市販の3倍濃縮めんつゆをイオン交換水で5倍に希釈したものを評価生地とし、水抽出物1〜3を各0.1質量%添加したサンプルを調製した。評価は熟練した官能評価パネル5名で行い、旨みの強さ、甘さを、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。評価点の平均値と香味のコメントを表2に示す。
Figure 0005143693
表2から明らかなように、水抽出物2および3は、旨みや甘みに殆ど寄与しないことがわかった。このことから、水抽出物には、1回目の水抽出により得られる水抽出物を用いる必要があることが明らかとなった。
<実施例2>
水蒸気蒸留物1、2、3を各100質量部、および水抽出物1を1250質量部配合して鰹節エキスを調製した。即ち、水抽出物略100質量部に対し水蒸気蒸留物のうちの初期留出分を30質量部配合した鰹節エキスを調製した。
<実施例3>
水蒸気蒸留物1を100質量部、および水抽出物1を1000質量部配合して鰹節エキスを調製した。即ち、水抽出物100質量部に対し水蒸気蒸留物のうちの初期留出分を10質量部配合した鰹節エキスを調製した。
<比較例1>
蒸留容器内に粗粉砕した鰹の荒節2kgを収容し、水蒸気流量を1.0kg/時間に設定して、蒸留容器の底部、即ち鰹節原料下部より水蒸気を導入し、水蒸気蒸留を行った。水蒸気蒸留物は、総量2kgの留出物を得たところで水蒸気蒸留を終了した。このとき、鰹節残渣は3.2kgであった。この水蒸気蒸留残渣を蒸留容器から取り出し、80℃の水2kgに添加攪拌後、濾過することにより2.5kgの水抽出物を得た。この水抽出物に水蒸気蒸留物2kgを配合し、比較例の鰹節エキスを調製した。
<試験例3>
実施例2及び3の鰹節エキスと、比較例1及び市販品の鰹節エキスについて官能評価を行った。評価サンプルは、市販の3倍濃縮めんつゆをイオン交換水で5倍に希釈したものを評価生地とし、実施例2及び実施例3の鰹節エキスを各0.1質量%添加したサンプルを調製した。比較サンプルとして、市販の鰹節エキス(市販品1:熱水抽出カツオエキス、市販品2:含水アルコール抽出エキス)を同様に0.1質量%添加したサンプルを調製した。評価は熟練した官能評価パネル5名で行い、香りの強さ、旨みの強さ、甘さを、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。評価点の平均値と香味のコメントを表3に示す。
Figure 0005143693
表3から明らかなように、実施例2及び3の鰹節エキスは、比較例及び市販品と比べて香り、旨み、甘さの全てにおいて優れていることがわかった。また、実施例2の鰹節エキスは鰹節全体の風味を強め、未濃縮品でありながらあたかも濃縮品であるかのような風味を有していることがわかった。一方、実施例3の鰹節エキスは、あっさりと上品でありながら後を引く強い旨みと甘さを有し、一番出汁タイプの鰹節エキスとして最適であることがわかった。
本発明の魚節類エキスは、その優れた香り及び呈味感(旨さと甘さ)により、調味食品に広く魚節類の出汁の風味を与えることができ、また水蒸気蒸留物と水抽出物との配合比を変えることにより、異なるタイプの魚節エキスを調製できるため、極めて有用な素材となる。

Claims (5)

  1. 魚節類に対し、水蒸気を蒸留容器の底部から導入して前記魚節類全体に前記水蒸気を接触させる水蒸気蒸留を行い水蒸気蒸留物を得る水蒸気蒸留工程と、前記水蒸気蒸留後の前記魚節類をドリップ方式で水抽出して水抽出物を得る水抽出工程と、前記水蒸気蒸留物を前記水抽出物に配合する配合工程とを含み、前記水蒸気蒸留工程と前記水抽出工程とを、前記蒸留容器から前記魚節類を取り出すことなく、実質的に無酸素状態で連続して行うことを特徴とする魚節類エキスの製造方法。
  2. 前記水蒸気蒸留は、前記魚節類1kg当たり0.02〜2kg/時間の水蒸気流量で行い、前記魚節類100質量部に対して前記水蒸気蒸留物100質量部を得る請求項1に記載の魚節類エキスの製造方法。
  3. 前記水蒸気蒸留物のうち、10〜30質量部の初期留出分を前記配合工程において前記水抽出物に配合する請求項2に記載の魚節類エキスの製造方法。
  4. 前記水抽出は、60℃〜100℃の水で1回行い、前記魚節類100質量部に対して前記水抽出物50〜200質量部を得る請求項1〜3のいずれか一つに記載の魚節類エキスの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする魚節類エキス。
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