JPH08208633A - グリシド−ルの精製方法 - Google Patents
グリシド−ルの精製方法Info
- Publication number
- JPH08208633A JPH08208633A JP32045491A JP32045491A JPH08208633A JP H08208633 A JPH08208633 A JP H08208633A JP 32045491 A JP32045491 A JP 32045491A JP 32045491 A JP32045491 A JP 32045491A JP H08208633 A JPH08208633 A JP H08208633A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- glycidyl
- acid
- trioctylamine
- low
- glycidol
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Epoxy Compounds (AREA)
- Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】製品グリシド−ル中の酸分を低減させ、保存安
定性に優れたグリシド−ルを効率よく製造するための精
製方法を提供すること。 【構成】アリルアルコ−ルおよび過酢酸を反応させるこ
とにより得られるグリシド−ルを含む反応粗液より酢
酸、プロピオン酸等の副生カルボン酸を除去する方法に
おいて、低沸点成分のほとんどを蒸留により除いた後、
トリオクチルアミンを添加しカルボン酸を中和塩の形で
除去する。 【効果】本発明の精製方法により、保存安定性に優れ、
さらに効率よくグリシド−ルを製造することが可能にな
った。
定性に優れたグリシド−ルを効率よく製造するための精
製方法を提供すること。 【構成】アリルアルコ−ルおよび過酢酸を反応させるこ
とにより得られるグリシド−ルを含む反応粗液より酢
酸、プロピオン酸等の副生カルボン酸を除去する方法に
おいて、低沸点成分のほとんどを蒸留により除いた後、
トリオクチルアミンを添加しカルボン酸を中和塩の形で
除去する。 【効果】本発明の精製方法により、保存安定性に優れ、
さらに効率よくグリシド−ルを製造することが可能にな
った。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グリシド−ルの精製方
法に関するものである。グリシド−ルは、グリシジルエ
−テル、グリシジルエステル、グリセリンエ−テル、グ
リセリンエステル、アミノプロパンジオ−ル等、医農
薬、塗料、半導体用UV硬化剤の中間体の原料として有
用な物質である。
法に関するものである。グリシド−ルは、グリシジルエ
−テル、グリシジルエステル、グリセリンエ−テル、グ
リセリンエステル、アミノプロパンジオ−ル等、医農
薬、塗料、半導体用UV硬化剤の中間体の原料として有
用な物質である。
【0002】
【従来の技術】グリシド−ルの精製は通常、反応粗液中
の未反応のアリルアルコ−ル、過酢酸の溶媒である酢酸
エチル(場合によっては水)、副生の酢酸等の低沸物質
を蒸留により除き、その後、さらなる蒸留によりグリセ
リングリシジルエ−テル、グリセリンアリルエ−テル、
過酢酸の安定剤等の高沸点成分を除き製品化する方法が
一般的に採られている。
の未反応のアリルアルコ−ル、過酢酸の溶媒である酢酸
エチル(場合によっては水)、副生の酢酸等の低沸物質
を蒸留により除き、その後、さらなる蒸留によりグリセ
リングリシジルエ−テル、グリセリンアリルエ−テル、
過酢酸の安定剤等の高沸点成分を除き製品化する方法が
一般的に採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、蒸留の
みによる従来の精製方法では、製品中の副生カルボン酸
の混入量を1%未満にすることは困難であった。
みによる従来の精製方法では、製品中の副生カルボン酸
の混入量を1%未満にすることは困難であった。
【0004】蒸留のみによる従来の精製方法だけで精製
しようとするとグリシド−ルの多大なるロスが生じる。
またこの酸の存在は製品グリシド−ルの品質、特に保存
安定性を著しく悪化させてしまう原因となる。
しようとするとグリシド−ルの多大なるロスが生じる。
またこの酸の存在は製品グリシド−ルの品質、特に保存
安定性を著しく悪化させてしまう原因となる。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は、製品中の酸分を低減さ
せるためのグリシド−ルの精製方法を提供することにあ
る。
せるためのグリシド−ルの精製方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、鋭意検討を重ねた結
果、従来技術に比べ大幅に酸分の低減された製品グリシ
ド−ルを得ることのできる精製方法を見出した。
を解決すべくなされたものであり、鋭意検討を重ねた結
果、従来技術に比べ大幅に酸分の低減された製品グリシ
ド−ルを得ることのできる精製方法を見出した。
【0007】すなわち本発明は、「アリルアルコ−ルお
よび過酢酸を反応させることにより得られるグリシド−
ルを含む反応粗液より酢酸、プロピオン酸等の副生カル
ボン酸を除去する方法において、低沸点成分のほとんど
を蒸留により除いた後、トリオクチルアミンを添加しカ
ルボン酸を中和塩の形で除去することを特徴とするグリ
シド−ルの精製方法」である。
よび過酢酸を反応させることにより得られるグリシド−
ルを含む反応粗液より酢酸、プロピオン酸等の副生カル
ボン酸を除去する方法において、低沸点成分のほとんど
を蒸留により除いた後、トリオクチルアミンを添加しカ
ルボン酸を中和塩の形で除去することを特徴とするグリ
シド−ルの精製方法」である。
【0008】通常、グリシド−ルの精製工程は未反応の
アリルアルコ−ル、過酢酸の溶媒である酢酸エチル(場
合により水)、副生カルボン酸の大部分を除去する脱低
沸工程、グリセリングリシジルエ−テル、グリセリンア
リルエ−テル、過酢酸の安定剤、等の高沸点成分を除去
する脱高沸工程よりなる。
アリルアルコ−ル、過酢酸の溶媒である酢酸エチル(場
合により水)、副生カルボン酸の大部分を除去する脱低
沸工程、グリセリングリシジルエ−テル、グリセリンア
リルエ−テル、過酢酸の安定剤、等の高沸点成分を除去
する脱高沸工程よりなる。
【0009】本発明のポイントは上記脱低沸工程で得ら
れる缶出液中に存在している副生カルボン酸をトリオク
チルアミンにより中和して2層に分離せしめた後、分液
し、目的製品であるグリシド−ル、中和後に残存するト
リオクチルアミン、高沸点成分を主成分とする下層液を
蒸溜処理して精製グリシド−ルを得るところにある。酸
の中和剤としてトリオクチルアミンを使用する理由は以
下の通りである。すなわち、このような長鎖のアルキル
3級アミンは塩基性が弱いためグリシド−ルとの反応が
穏やかであり、また、低温で処理するため、蒸溜時のよ
うな加熱による重合トラブルを回避できるからである。
れる缶出液中に存在している副生カルボン酸をトリオク
チルアミンにより中和して2層に分離せしめた後、分液
し、目的製品であるグリシド−ル、中和後に残存するト
リオクチルアミン、高沸点成分を主成分とする下層液を
蒸溜処理して精製グリシド−ルを得るところにある。酸
の中和剤としてトリオクチルアミンを使用する理由は以
下の通りである。すなわち、このような長鎖のアルキル
3級アミンは塩基性が弱いためグリシド−ルとの反応が
穏やかであり、また、低温で処理するため、蒸溜時のよ
うな加熱による重合トラブルを回避できるからである。
【0010】また、このようなアミンはグリシド−ルへ
の溶解度が低いため残存の酸分に対して過剰に添加する
ことが可能であり、そのことにより酸の除去能力を上げ
ることもできる。
の溶解度が低いため残存の酸分に対して過剰に添加する
ことが可能であり、そのことにより酸の除去能力を上げ
ることもできる。
【0011】使用するトリオクチルアミンの量は存在す
る酸の含有量により適宜決められるが、通常は酸分に対
して1〜10倍モル、より好ましくは3〜5倍モルであ
る。添加量が1倍モルより少ないと中和が十分に行われ
ないため好ましくない。また、10倍モルより多く添加
してもグリシド−ルのロスが多くなるだけである。
る酸の含有量により適宜決められるが、通常は酸分に対
して1〜10倍モル、より好ましくは3〜5倍モルであ
る。添加量が1倍モルより少ないと中和が十分に行われ
ないため好ましくない。また、10倍モルより多く添加
してもグリシド−ルのロスが多くなるだけである。
【0012】中和する際の温度は0〜30℃、好ましく
は0〜15℃である。30℃以上ではグリシド−ルのロ
スが顕著であり、逆に0℃未満ではグリシド−ルへのア
ミンの溶解度の低下による中和能力の低下のためいずれ
も好ましくない。中和する際にはアミンの滴下速度およ
び反応速度をチェックしながら十分攪拌する必要があ
る。また、グリシド−ルとトリオクチルアミンが二層に
分離するため過剰に添加しても簡単に回収することがで
きるため無駄にならない。
は0〜15℃である。30℃以上ではグリシド−ルのロ
スが顕著であり、逆に0℃未満ではグリシド−ルへのア
ミンの溶解度の低下による中和能力の低下のためいずれ
も好ましくない。中和する際にはアミンの滴下速度およ
び反応速度をチェックしながら十分攪拌する必要があ
る。また、グリシド−ルとトリオクチルアミンが二層に
分離するため過剰に添加しても簡単に回収することがで
きるため無駄にならない。
【0013】苛性ソ−ダのような無機のアルカリを使用
するのはアルカリが過剰になった場合、室温でも激しい
重合反応が起こる可能性があり、中和反応の抑制が困難
であるため好ましくない。
するのはアルカリが過剰になった場合、室温でも激しい
重合反応が起こる可能性があり、中和反応の抑制が困難
であるため好ましくない。
【0014】熱に対して非常に不安定なグリシド−ルを
含有する粗液の蒸留は、通常操作温度を下げるために減
圧下で行い、塔低の加熱部での滞留時間を短くする目的
で、薄膜式蒸発器を用いる。4%程度の残存カルボン酸
を含む缶出液は、即座に室温以下に冷却し中和工程へ移
送される。
含有する粗液の蒸留は、通常操作温度を下げるために減
圧下で行い、塔低の加熱部での滞留時間を短くする目的
で、薄膜式蒸発器を用いる。4%程度の残存カルボン酸
を含む缶出液は、即座に室温以下に冷却し中和工程へ移
送される。
【0015】中和工程は回分式反応槽、連続式反応槽
等、どのような形態でもよくさらにグリシド−ルとトリ
オクチルアミンが二層分離する特性により抽出装置も使
用可能である。
等、どのような形態でもよくさらにグリシド−ルとトリ
オクチルアミンが二層分離する特性により抽出装置も使
用可能である。
【0016】中和反応後、反応液を二層分離させその下
層液を薄膜式蒸発器を持つ蒸留塔下部に仕込み塔頂より
製品を得る。
層液を薄膜式蒸発器を持つ蒸留塔下部に仕込み塔頂より
製品を得る。
【0017】この発明による効果を以下の実施例により
さらに詳しく説明するが、この発明は実施例に何ら限定
されるものではない。
さらに詳しく説明するが、この発明は実施例に何ら限定
されるものではない。
【0018】
【実施例】アリルアルコ−ル/過酢酸=1.1(モル
比)で反応させて得られた粗液(アリルアルコ−ル5.
1%、酢酸エチル47.9%、酢酸26.9%、グリシ
ド−ル19.1%、高沸点成分1%)を薄膜式蒸発器を
持つ蒸留塔に仕込み、ほとんどの低沸点成分が除かれた
缶出液(酢酸4.2%、グリシド−ル90.0%、高沸
点成分5.8%)を得た。
比)で反応させて得られた粗液(アリルアルコ−ル5.
1%、酢酸エチル47.9%、酢酸26.9%、グリシ
ド−ル19.1%、高沸点成分1%)を薄膜式蒸発器を
持つ蒸留塔に仕込み、ほとんどの低沸点成分が除かれた
缶出液(酢酸4.2%、グリシド−ル90.0%、高沸
点成分5.8%)を得た。
【0019】この液に2倍重量のトリオクチルアミンを
加え、12℃において、回分式反応器で3時間攪拌混合
を行った。その後、分液ロ−ト内に5℃で1時間静置し
下層液(グリシド−ル83.1%、トリオクチルアミン
10.5%、高沸点成分6.4%)を得た。この液を薄
膜式蒸発器を持つ蒸留塔に仕込み塔頂より純度99.7
%、酸分0.04%のグリシド−ルが得られた。
加え、12℃において、回分式反応器で3時間攪拌混合
を行った。その後、分液ロ−ト内に5℃で1時間静置し
下層液(グリシド−ル83.1%、トリオクチルアミン
10.5%、高沸点成分6.4%)を得た。この液を薄
膜式蒸発器を持つ蒸留塔に仕込み塔頂より純度99.7
%、酸分0.04%のグリシド−ルが得られた。
【0020】脱低沸、中和および脱高沸それぞれの工程
におけるグリシド−ル収率はそれぞれ91.5%、9
3.0%および87.5%であった。
におけるグリシド−ル収率はそれぞれ91.5%、9
3.0%および87.5%であった。
【0021】
【比較例1】実施例と同じ反応粗液を薄膜式蒸発器を持
つ蒸留塔に仕込み缶出液中の酢酸濃度が1%以下になる
ような加熱条件で運転を行った。その缶出液を蒸留塔で
精製し、純度98.7%、酸分1.2%のグリシド−ル
を得た。
つ蒸留塔に仕込み缶出液中の酢酸濃度が1%以下になる
ような加熱条件で運転を行った。その缶出液を蒸留塔で
精製し、純度98.7%、酸分1.2%のグリシド−ル
を得た。
【0022】脱低沸および脱高沸それぞれの工程におけ
るグリシド−ル収率はそれぞれ43.2%および95.
2%であった。
るグリシド−ル収率はそれぞれ43.2%および95.
2%であった。
【0023】
【発明の効果】アリルアルコ−ルおよび過酢酸を反応さ
せることにより得られるグリシド−ルを含む反応粗液よ
り酢酸、プロピオン酸等の副生カルボン酸を除去する方
法において、低沸点成分のほとんどを蒸留により除いた
後、塩基性の低いトリオクチルアミンを添加しカルボン
酸を中和塩の形で除去する本発明の精製方法により、酸
分の少ないグリシド−ルを効率よく製造することが可能
になった。
せることにより得られるグリシド−ルを含む反応粗液よ
り酢酸、プロピオン酸等の副生カルボン酸を除去する方
法において、低沸点成分のほとんどを蒸留により除いた
後、塩基性の低いトリオクチルアミンを添加しカルボン
酸を中和塩の形で除去する本発明の精製方法により、酸
分の少ないグリシド−ルを効率よく製造することが可能
になった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年2月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グリシド−ルの精製方
法に関するものである。グリシド−ルは、グリシジルエ
−テル、グリシジルエステル、グリセリンエ−テル、グ
リセリンエステル、アミノプロパンジオ−ル等、医農
薬、塗料、半導体用UV硬化剤の中間体の原料として有
用な物質である。
法に関するものである。グリシド−ルは、グリシジルエ
−テル、グリシジルエステル、グリセリンエ−テル、グ
リセリンエステル、アミノプロパンジオ−ル等、医農
薬、塗料、半導体用UV硬化剤の中間体の原料として有
用な物質である。
【0002】
【従来の技術】グリシド−ルの精製は通常、反応粗液中
の未反応のアリルアルコ−ル、過酢酸の溶媒である酢酸
エチル(場合によっては水)、副生の酢酸等の低沸物質
を蒸留により除き、その後、さらなる蒸留によりグリセ
リングリシジルエ−テル、グリセリンアリルエ−テル、
過酢酸の安定剤等の高沸点成分を除き製品化する方法が
一般的に採られている。
の未反応のアリルアルコ−ル、過酢酸の溶媒である酢酸
エチル(場合によっては水)、副生の酢酸等の低沸物質
を蒸留により除き、その後、さらなる蒸留によりグリセ
リングリシジルエ−テル、グリセリンアリルエ−テル、
過酢酸の安定剤等の高沸点成分を除き製品化する方法が
一般的に採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、蒸留の
みによる従来の精製方法では、製品中の副生カルボン酸
の混入量を1%未満にすることは困難であった。
みによる従来の精製方法では、製品中の副生カルボン酸
の混入量を1%未満にすることは困難であった。
【0004】蒸留のみによる従来の精製方法だけで精製
しようとするとグリシド−ルの多大なるロスが生じる。
またこの酸の存在は製品グリシド−ルの品質、特に保存
安定性を著しく悪化させてしまう原因となる。
しようとするとグリシド−ルの多大なるロスが生じる。
またこの酸の存在は製品グリシド−ルの品質、特に保存
安定性を著しく悪化させてしまう原因となる。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は、製品中の酸分を低減さ
せるためのグリシド−ルの精製方法を提供することにあ
る。
せるためのグリシド−ルの精製方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、鋭意検討を重ねた結
果、従来技術に比べ大幅に酸分の低減された製品グリシ
ド−ルを得ることのできる精製方法を見出した。
を解決すべくなされたものであり、鋭意検討を重ねた結
果、従来技術に比べ大幅に酸分の低減された製品グリシ
ド−ルを得ることのできる精製方法を見出した。
【0007】すなわち本発明は、「アリルアルコ−ルお
よび過酢酸を反応させることにより得られるグリシド−
ルを含む反応粗液より酢酸、プロピオン酸等の副生カル
ボン酸を除去する方法において、低沸点成分のほとんど
を蒸留により除いた後、トリオクチルアミンを添加しカ
ルボン酸を中和塩の形で除去することを特徴とするグリ
シド−ルの精製方法」である。
よび過酢酸を反応させることにより得られるグリシド−
ルを含む反応粗液より酢酸、プロピオン酸等の副生カル
ボン酸を除去する方法において、低沸点成分のほとんど
を蒸留により除いた後、トリオクチルアミンを添加しカ
ルボン酸を中和塩の形で除去することを特徴とするグリ
シド−ルの精製方法」である。
【0008】通常、グリシド−ルの精製工程は未反応の
アリルアルコ−ル、過酢酸の溶媒である酢酸エチル(場
合により水)、副生カルボン酸の大部分を除去する脱低
沸工程、グリセリングリシジルエ−テル、グリセリンア
リルエ−テル、過酢酸の安定剤、等の高沸点成分を除去
する脱高沸工程よりなる。
アリルアルコ−ル、過酢酸の溶媒である酢酸エチル(場
合により水)、副生カルボン酸の大部分を除去する脱低
沸工程、グリセリングリシジルエ−テル、グリセリンア
リルエ−テル、過酢酸の安定剤、等の高沸点成分を除去
する脱高沸工程よりなる。
【0009】本発明のポイントは上記脱低沸工程で得ら
れる缶出液中に存在している副生カルボン酸をトリオク
チルアミンにより中和して2層に分離せしめた後、分液
し、目的製品であるグリシド−ル、中和後に残存するト
リオクチルアミン、高沸点成分を主成分とする下層液を
蒸溜処理して精製グリシド−ルを得るところにある。酸
の中和剤としてトリオクチルアミンを使用する理由は以
下の通りである。すなわち、このような長鎖のアルキル
3級アミンは塩基性が弱いためグリシド−ルとの反応が
穏やかであり、また、低温で処理するため、蒸溜時のよ
うな加熱による重合トラブルを回避できるからである。
れる缶出液中に存在している副生カルボン酸をトリオク
チルアミンにより中和して2層に分離せしめた後、分液
し、目的製品であるグリシド−ル、中和後に残存するト
リオクチルアミン、高沸点成分を主成分とする下層液を
蒸溜処理して精製グリシド−ルを得るところにある。酸
の中和剤としてトリオクチルアミンを使用する理由は以
下の通りである。すなわち、このような長鎖のアルキル
3級アミンは塩基性が弱いためグリシド−ルとの反応が
穏やかであり、また、低温で処理するため、蒸溜時のよ
うな加熱による重合トラブルを回避できるからである。
【0010】また、このようなアミンはグリシド−ルへ
の溶解度が低いため残存の酸分に対して過剰に添加する
ことが可能であり、そのことにより酸の除去能力を上げ
ることもできる。
の溶解度が低いため残存の酸分に対して過剰に添加する
ことが可能であり、そのことにより酸の除去能力を上げ
ることもできる。
【0011】使用するトリオクチルアミンの量は存在す
る酸の含有量により適宜決められるが、通常は酸分に対
して1〜10倍モル、より好ましくは3〜5倍モルであ
る。添加量が1倍モルより少ないと中和が十分に行われ
ないため好ましくない。また、10倍モルより多く添加
してもグリシド−ルのロスが多くなるだけである。
る酸の含有量により適宜決められるが、通常は酸分に対
して1〜10倍モル、より好ましくは3〜5倍モルであ
る。添加量が1倍モルより少ないと中和が十分に行われ
ないため好ましくない。また、10倍モルより多く添加
してもグリシド−ルのロスが多くなるだけである。
【0012】中和する際の温度は0〜30℃、好ましく
は0〜15℃である。30℃以上ではグリシド−ルのロ
スが顕著であり、逆に0℃未満ではグリシド−ルへのア
ミンの溶解度の低下による中和能力の低下のためいずれ
も好ましくない。中和する際にはアミンの滴下速度およ
び反応速度をチェックしながら十分攪拌する必要があ
る。また、グリシド−ルとトリオクチルアミンが二層に
分離するため過剰に添加しても簡単に回収することがで
きるため無駄にならない。
は0〜15℃である。30℃以上ではグリシド−ルのロ
スが顕著であり、逆に0℃未満ではグリシド−ルへのア
ミンの溶解度の低下による中和能力の低下のためいずれ
も好ましくない。中和する際にはアミンの滴下速度およ
び反応速度をチェックしながら十分攪拌する必要があ
る。また、グリシド−ルとトリオクチルアミンが二層に
分離するため過剰に添加しても簡単に回収することがで
きるため無駄にならない。
【0013】苛性ソ−ダのような無機のアルカリを使用
するのはアルカリが過剰になった場合、室温でも激しい
重合反応が起こる可能性があり、中和反応の抑制が困難
であるため好ましくない。
するのはアルカリが過剰になった場合、室温でも激しい
重合反応が起こる可能性があり、中和反応の抑制が困難
であるため好ましくない。
【0014】熱に対して非常に不安定なグリシド−ルを
含有する粗液の蒸留は、通常操作温度を下げるために減
圧下で行い、塔低の加熱部での滞留時間を短くする目的
で、薄膜式蒸発器を用いる。4%程度の残存カルボン酸
を含む缶出液は、即座に室温以下に冷却し中和工程へ移
送される。
含有する粗液の蒸留は、通常操作温度を下げるために減
圧下で行い、塔低の加熱部での滞留時間を短くする目的
で、薄膜式蒸発器を用いる。4%程度の残存カルボン酸
を含む缶出液は、即座に室温以下に冷却し中和工程へ移
送される。
【0015】中和工程は回分式反応槽、連続式反応槽
等、どのような形態でもよくさらにグリシド−ルとトリ
オクチルアミンが二層分離する特性により抽出装置も使
用可能である。
等、どのような形態でもよくさらにグリシド−ルとトリ
オクチルアミンが二層分離する特性により抽出装置も使
用可能である。
【0016】中和反応後、反応液を二層分離させその下
層液を薄膜式蒸発器を持つ蒸留塔下部に仕込み塔頂より
製品を得る。
層液を薄膜式蒸発器を持つ蒸留塔下部に仕込み塔頂より
製品を得る。
【0017】この発明による効果を以下の実施例により
さらに詳しく説明するが、この発明は実施例に何ら限定
されるものではない。
さらに詳しく説明するが、この発明は実施例に何ら限定
されるものではない。
【0018】
【実施例】アリルアルコ−ル/過酢酸=1.1(モル
比)で反応させて得られた粗液(アリルアルコ−ル5.
1%、酢酸エチル47.9%、酢酸26.9%、グリシ
ド−ル19.1%、高沸点成分1%)を薄膜式蒸発器を
持つ蒸留塔に仕込み、ほとんどの低沸点成分が除かれた
缶出液(酢酸4.2%、グリシド−ル90.0%、高沸
点成分5.8%)を得た。
比)で反応させて得られた粗液(アリルアルコ−ル5.
1%、酢酸エチル47.9%、酢酸26.9%、グリシ
ド−ル19.1%、高沸点成分1%)を薄膜式蒸発器を
持つ蒸留塔に仕込み、ほとんどの低沸点成分が除かれた
缶出液(酢酸4.2%、グリシド−ル90.0%、高沸
点成分5.8%)を得た。
【0019】この液に2倍重量のトリオクチルアミンを
加え、12℃において、回分式反応器で3時間攪拌混合
を行った。その後、分液ロ−ト内に5℃で1時間静置し
下層液(グリシド−ル83.1%、トリオクチルアミン
10.5%、高沸点成分6.4%)を得た。この液を薄
膜式蒸発器を持つ蒸留塔に仕込み塔頂より純度99.7
%、酸分0.04%のグリシド−ルが得られた。
加え、12℃において、回分式反応器で3時間攪拌混合
を行った。その後、分液ロ−ト内に5℃で1時間静置し
下層液(グリシド−ル83.1%、トリオクチルアミン
10.5%、高沸点成分6.4%)を得た。この液を薄
膜式蒸発器を持つ蒸留塔に仕込み塔頂より純度99.7
%、酸分0.04%のグリシド−ルが得られた。
【0020】脱低沸、中和および脱高沸それぞれの工程
におけるグリシド−ル収率はそれぞれ91.5%、9
3.0%および87.5%であった。
におけるグリシド−ル収率はそれぞれ91.5%、9
3.0%および87.5%であった。
【0021】
【比較例1】実施例と同じ反応粗液を薄膜式蒸発器を持
つ蒸留塔に仕込み缶出液中の酢酸濃度が1%以下になる
ような加熱条件で運転を行った。その缶出液を蒸留塔で
精製し、純度98.7%、酸分1.2%のグリシド−ル
を得た。
つ蒸留塔に仕込み缶出液中の酢酸濃度が1%以下になる
ような加熱条件で運転を行った。その缶出液を蒸留塔で
精製し、純度98.7%、酸分1.2%のグリシド−ル
を得た。
【0022】脱低沸および脱高沸それぞれの工程におけ
るグリシド−ル収率はそれぞれ43.2%および95.
2%であった。
るグリシド−ル収率はそれぞれ43.2%および95.
2%であった。
【0023】
【発明の効果】アリルアルコ−ルおよび過酢酸を反応さ
せることにより得られるグリシド−ルを含む反応粗液よ
り酢酸、プロピオン酸等の副生カルボン酸を除去する方
法において、低沸点成分のほとんどを蒸留により除いた
後、塩基性の低いトリオクチルアミンを添加しカルボン
酸を中和塩の形で除去する本発明の精製方法により、酸
分の少ないグリシド−ルを効率よく製造することが可能
になった。
せることにより得られるグリシド−ルを含む反応粗液よ
り酢酸、プロピオン酸等の副生カルボン酸を除去する方
法において、低沸点成分のほとんどを蒸留により除いた
後、塩基性の低いトリオクチルアミンを添加しカルボン
酸を中和塩の形で除去する本発明の精製方法により、酸
分の少ないグリシド−ルを効率よく製造することが可能
になった。
Claims (1)
- 【請求項1】アリルアルコ−ルおよび過酢酸を反応させ
ることにより得られるグリシド−ルを含む反応粗液より
酢酸、プロピオン酸等の副生カルボン酸を除去する方法
において、低沸点成分のほとんどを蒸留により除いた
後、トリオクチルアミンを添加しカルボン酸を中和塩の
形で除去することを特徴とするグリシド−ルの精製方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32045491A JPH08208633A (ja) | 1991-12-04 | 1991-12-04 | グリシド−ルの精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32045491A JPH08208633A (ja) | 1991-12-04 | 1991-12-04 | グリシド−ルの精製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08208633A true JPH08208633A (ja) | 1996-08-13 |
Family
ID=18121632
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32045491A Pending JPH08208633A (ja) | 1991-12-04 | 1991-12-04 | グリシド−ルの精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08208633A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7176041B2 (en) | 2003-07-01 | 2007-02-13 | Samsung Electronics Co., Ltd. | PAA-based etchant, methods of using same, and resultant structures |
-
1991
- 1991-12-04 JP JP32045491A patent/JPH08208633A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7176041B2 (en) | 2003-07-01 | 2007-02-13 | Samsung Electronics Co., Ltd. | PAA-based etchant, methods of using same, and resultant structures |
US7709277B2 (en) | 2003-07-01 | 2010-05-04 | Samsung Electronics Co., Ltd. | PAA-based etchant, methods of using same, and resultant structures |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7355066B1 (en) | Process for making terpene esters | |
FR2566394A1 (fr) | Procede pour la preparation d'esters des acides acrylique et methacrylique par trans-esterification | |
US20060161025A1 (en) | Process for preparing alkanediols and alkanetriols having a vicinal diol group | |
JP2002509551A (ja) | マロン酸およびそのエステル | |
US4260813A (en) | Process for the continuous production of ethylene glycol monoethyl ether acetate | |
WO2004106278A1 (ja) | (メタ)アクリル酸n−アルキルアミノアルキルエステルの製造方法 | |
JPH08208633A (ja) | グリシド−ルの精製方法 | |
US5370774A (en) | Process for isolating pure diketene with recovery of materials of value | |
JP2943523B2 (ja) | アクリル酸エステルのミカエル付加物から有用化合物を製造する方法 | |
JPH0511102B2 (ja) | ||
FR2565967A1 (fr) | Procede de preparation d'anhydride trifluoracetique | |
JP3777408B2 (ja) | カルボン酸誘導体の製造法 | |
JP6460434B2 (ja) | プロピレングリコールモノアルキルエーテルの製造 | |
JPS63190862A (ja) | N−ビニルホルムアミドの回収法 | |
JP2000072719A (ja) | 2−ヒドロキシイソ酪酸アリルの製造方法 | |
JP2018531257A6 (ja) | プロピレングリコールモノアルキルエーテルの製造 | |
JPS635017B2 (ja) | ||
JPS63154643A (ja) | 低級カルボン酸エステルの製法 | |
JP3192975B2 (ja) | ハロゲン化ベンゼンの製造方法 | |
TW202306941A (zh) | 丙二醇單甲醚醋酸酯的製造方法 | |
JP2756373B2 (ja) | 1,1,1−トリフルオロ−3−ニトロ−2−プロペンの製造方法 | |
JPH10130220A (ja) | O−アルキル−n−シアノイミデートの製造法 | |
JPH11180969A (ja) | Δ1−脂環式酸無水物の精製方法 | |
JPH05238989A (ja) | アルキル−β−(3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートの製法 | |
JP2514001B2 (ja) | アセチンの製造方法 |