JPH08204301A - 金属ベース回路基板及びそれを用いたモジュール - Google Patents

金属ベース回路基板及びそれを用いたモジュール

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JPH08204301A
JPH08204301A JP7008033A JP803395A JPH08204301A JP H08204301 A JPH08204301 A JP H08204301A JP 7008033 A JP7008033 A JP 7008033A JP 803395 A JP803395 A JP 803395A JP H08204301 A JPH08204301 A JP H08204301A
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Makoto Fukuda
誠 福田
Naoki Yonemura
直己 米村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱抵抗、静電容量のいずれもが小さい電気的
に信頼性の高い金属ベース回路基板及びモジュールを提
供する。 【構成】 金属ベース回路基板を構成する絶縁接着剤層
が、酸化アルミニウムを1容量%以上80容量%以下含有
する無機物、又は、窒化ホウ素を30容量%以上80容量%
以下で残部が酸化ケイ素である無機物を、50容量%以上
80容量%以下樹脂に配合し硬化させて得られる、熱抵抗
が0.6℃/W以下で静電容量が50pF/cm2以下であること
を特徴とする金属ベース回路基板であり、又、これを用
いたモジュールである。 【効果】 電気的信頼性に優れるモジュールが容易に得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放熱性に優れ、かつ電気
的信頼性が高い電気機器に用いられる金属ベース回路基
板とそれを用いたモジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器は小型化、軽量化の方向
に進んでおり、IC、LSI、パワートランジスターな
どの高発熱部品から如何に放熱するか、そして、高密度
実装するかが大きな課題となっている。この様な背景か
ら、金属ベース回路基板が、特にハイパワー分野におい
て、使用されてきた。
【0003】金属ベース回路基板は、高熱伝導性を発現
させるために、酸化アルミニウム等の無機物を高充填し
た樹脂が金属板上に塗布硬化されて、絶縁層を形成し、
この絶縁層を介して、金属箔等からなる電気回路が搭載
されている構造を有する。
【0004】又、金属ベース回路基板は、セラミックス
基板の代替としてパワー素子のみを搭載していた経緯が
あり、熱伝導性を向上させる目的で、比誘電率が高い酸
化アルミニウムを無機充填材に用いていた(特開昭64ー69
661号公報)。
【0005】しかし、回路基板のIPM(Interigent Po
wer Module)化が進み、制御素子とパワー素子が一体化
して搭載されるにつれ、酸化アルミニウムを無機フィラ
ーとした金属ベース回路基板においては、パワー素子か
ら生じるノイズのために、それを用いたモジュールが誤
動作する問題を生じる問題があった。即ち、従来の金属
ベース回路基板では0.6℃/W以下の熱伝導性を有するも
のの、静電容量は1cm2当たり50pFより大きく、このため
パワー素子からのノイズを吸収できないという問題があ
った。
【0006】金属ベース回路基板については、その構造
上、熱抵抗を重要視して絶縁層厚を薄くすると静電容量
は増大し、逆に、静電容量を低減させようと絶縁層の厚
みを厚くすると熱抵抗が大きくなるという制約があるの
で、高い熱伝導性を有しながらも、静電容量が小さく耐
ノイズ特性に優れ、その結果、高い電気信頼性を有す回
路基板を得ることは容易なことでない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱抵
抗、静電容量が小さく、耐ノイズ性に優れ電気的に信頼
性の高い金属ベース回路基板とモジュールを提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属板の少な
くとも一主面上に絶縁接着材層を介して金属箔を設けた
金属ベース回路基板であって、熱抵抗が 0.6℃/W以下
であり、かつ静電容量が50pF/cm2以下であることを特徴
とする金属ベース回路基板である。
【0009】本発明は、絶縁接着材層が、酸化アルミニ
ウムを1容積%以上80容積%以下含有する無機化合物
を、50容積%以上80容積%以下樹脂に配合し硬化させて
なることを特徴とする金属ベース回路基板である。
【0010】本発明は、絶縁接着材層が、酸化アルミニ
ウムを1容積%以上80容積%以下含有し残部が酸化ケイ
素、窒化ホウ素、窒化アルミニウムの群から選ばれた1
種以上からなる無機化合物を、50容積%以上80容積%以
下樹脂に配合し硬化させたことを特徴とする金属ベース
回路基板である。
【0011】本発明は、絶縁接着材層が、窒化ホウ素を
30容積以上80容積%以上含有し残部が酸化ケイ素である
無機化合物を、50容積%以上80容積%以下樹脂に配合し
硬化させてなることを特徴とする金属ベース回路基板で
ある。更に、本発明は、上記の金属ベース回路基板を用
いてなるモジュールである。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】本発明でいう静電容量とは、1cm2当たり
に換算した静電容量を示す。本発明の金属ベース回路基
板は、長期に渡り電気的に信頼性が高いモジュールを得
る為に、静電容量が50pF/cm2以下であり、しかも熱抵抗
が0.6℃/W以下であることが必須である。静電容量が50
pF/cm2を越える場合、この基板を用いたモジュールの耐
ノイズ性が急激に悪くなるし、又、熱抵抗が0.6℃/Wを
越える場合は、金属ベース回路基板上に搭載される電子
部品の放熱が充分でない為に、長期信頼性が充分でな
い。
【0014】本発明を達成する具体的な手段について、
以下、図をもって説明する。
【0015】図1は、本発明の金属ベース回路基板の一
例を示した模式図である。金属板1に絶縁接着材層2を
介して金属箔3が積層された構造を有する。絶縁接着剤
層2と金属箔3の積層は、一つの面に限定されることな
く、両面にあっても良い。又、接着剤層2及び金属箔3
の積層は、金属板1の全面にあっても、又、一部のみで
あっても構わない。
【0016】ここで金属板1には、板厚0.5〜3.0mm程
度のアルミニウム、アルミニウム合金、銅、鉄、ステン
レス系合金及びインバー系多層金属等が用いられる。
【0017】絶縁接着材層2は、酸化アルニミウムの他
にいろいろな無機物の混合物を、樹脂に配合して、金属
板に塗布し、更に、金属箔を張り付けて層状とした後
に、硬化させてたものが一般的であるが、特に、製法を
限定する必要はない。
【0018】絶縁接着材層2を形成する無機物について
は、従来の酸化アルミニウム(比誘電率9.0、熱伝導率0.
07〜0.09cal/cm・sec・℃)よりも比誘電率が低く、熱伝導
性の高い物質が選択される。この様な物質として、窒化
ホウ素、酸化ケイ素、ダイアモンド、酸化ベリリウム、
窒化アルミニウム等があげられるが、経済性と安全性を
考慮すると酸化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム
が工業的に好ましい。
【0019】これらの無機物は、以下では混合して得る
場合について例示するが、これに限定されるものではな
く、これらの混合物を予め焼結体となしこれを粉砕した
ものであっても良い。又、粒子の大きさについては、15
μm程度以下のものであれば良く、その粒子の形状につ
いては、樹脂に高充填する為に、球形に近いものが好ま
しい。更に、酸化ケイ素に関しては熱伝導性に優れる結
晶質の酸化ケイ素が、窒化ホウ素に関しても結晶性が発
達しているものが好ましい。
【0020】本発明でいう樹脂とは、エポキシ樹脂、シ
リコーン樹脂、BTレジン、ポリイミド樹脂等が用いら
れる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が低粘度で
あり、無機物の高充填に適しており、好ましい。
【0021】本発明の目的を達成する為に本発明者ら
は、酸化アルミニウムに前記の無機物の1種以上を混合
してゆくこと、及び、上記の無機物の中から選ばれた2
種以上の無機物を混合してゆくことを実験的に検討し、
本発明に至ったものである。
【0022】まず、酸化アルミニウムに無機物を混合す
る場合、酸化アルミニウムが酸化アルミニウムと無機物
との混合物中の80容積%を越える場合には、得られる金
属ベース回路基板の特性は、従来の酸化アルミニウムを
単独でもちいた金属ベース回路基板の特性と大差なくな
るので、又、1容積%未満では実質的に酸化アルミニウ
ムを添加していない公知の金属ベース回路基板と同じと
なり、酸化アルミニウムの場合に得られる低熱抵抗性が
発揮しにくくなる。無機物については、先に述べた理由
により、酸化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウムが
好ましい。
【0023】つぎに、前記の無機物の中から2種以上を
選択し配合する場合については、窒化ホウ素と酸化ケイ
素とを組み合わせ、しかも、窒化ホウ素が両者を合わせ
た全体の30容積%以上80容積%以下の場合に所望の特性
の金属ベース回路基板が得られるということを実験的に
見いだし、本発明に至ったものである。
【0024】窒化ホウ素と酸化ケイ素の組み合わせの場
合に好結果を得た理由は、明確でないが、窒化ホウ素の
配合割合が30容積%未満では、得られる金属ベース回路
基板の比誘電率は所望のものが得られるけれど熱抵抗は
0.6℃/W以下のものが得られない。また、窒化ホウ素の
配合割合が80容積%を越える場合には、窒化ホウ素の粒
子が偏平の為か、時として、耐電圧特性の低い金属ベー
ス回路基板しか得られなくなることがあり、実用的でな
い。
【0025】上記の酸化アルミニウムと無機物、或い
は、無機物同士の混合物は、前記の樹脂に50容積%以上
80容積%以下配合される。50容積%未満の配合割合で
は、樹脂の熱伝導率が向上せず所望の熱抵抗を有する金
属ベース回路基板が得られないし、80容積%を越える場
合には、混合時に樹脂の粘度が上がり気泡を巻き込み易
くなるので耐絶縁破壊等の電気的性質が劣化した金属ベ
ース回路基板しか得られなくなる。
【0026】配合時に、樹脂と酸化アルミニウム或いは
無機物との界面の接着性を高める為に、シリコーンカッ
プリング剤、チタネートカップリング剤、シリル化剤等
の表面処理剤を添加してもよい。或いは、前記の目的の
ために、混合に先立ち、酸化アルミニウムや無機物の表
面を処理することもできる。
【0027】絶縁接着剤層2の厚みとしては20μm以上2
00μm以下が好ましい。絶縁接着材層の厚みが20μm未
満の場合には、得られる金属ベース回路基板の静電容量
が大きくなるし、200μmを越える場合には、熱抵抗が
大きくなるので、所望の特性の金属ベース回路基板が得
られなくなる。実用的には、特に、80μm以上200μm
以下の範囲が好ましい。
【0028】本発明に用いる金属箔3は、導体回路用銅
箔、複合箔又は銅、アルミニウム、ニッケル等の金属を
2種類以上含む合金又は前記金属を使用したクラッド箔
等の汎用のものが用いられる。その厚みは、5μmから1
mmである。又、ワイヤーボンディング特性を付与する
ためにニッケルメッキ、ニッケル−金メッキを金属箔3
上に施しても構わない。
【0029】
【実施例】以下、実施例について具体的に説明する。 (実施例1)酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、AS3
0)75容積%に結晶性酸化ケイ素(龍森(株)、クリス
タライト)を25容積%配合し、この混合物をビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂に80容積%配合、混合して絶縁接
着材とした。次に、大きさが640mm×640mmで厚みが
1.5mmのアルミニウム板の上に、前記の絶縁接着材を
硬化後の厚さが145μmになるように塗布し、更に、厚
さ35μmの銅箔を接着し、硬化させて金属ベース回路基
板を作製した。この金属ベース回路基板を用いて、以下
に示す方法で、熱抵抗の測定、1cm2当たりの静電容量の
測定、更に、トランジスターを搭載してモジュールを作
成し、V-t特性の測定を行い平均破壊時間とその間のト
ランジスターの誤動作の有無を調べた。その結果、表1
に記載したように、熱抵抗は0.43℃/W、静電容量は49.
0pF/cm2であり、トランジスター搭載時の平均寿命は1万
時間を越えていて、しかも、トランジスターの誤動作は
認められず、耐ノイズ性が向上していた。
【0030】<熱抵抗の測定>金属ベース回路基板よ
り、大きさ30mm×30mmの部分を切り出し、中央に位
置する金属箔をエッチングして10mm×15mmの大きさ
のパッド部を形成し、次に、このパッド部に、トランジ
スター(TO220、(株)東芝製)をはんだ付けする。
金属板のトランジスターを搭載していない面を冷却しつ
つ、トランジスターに100Wを通電し、トランジスター
の温度を測定する。この時のトランジスター温度と冷却
部金属板の温度の差、並びに、トランジスターへの付加
電力より熱抵抗を算出する。
【0031】<静電容量の測定>JIS C6481に基づき、
測定周波数100kHz、測定温度25℃で行い、結果は、1cm2
当たりに換算する。
【0032】<V-t特性の測定>大きさ640mm×640m
mの金属ベース回路基板について、中央部1箇所と各4角
の1箇所、計5箇所に、エッチング法により金属箔を除い
て直径20mmの円電極用パターンを作製した。次に、金
属板と前記円電極パターン部分にAC半波2kVの電圧を印
可し、絶縁破壊に至る時間を測定する。測定は、促進の
ために、125℃の温度下で行った。得られた5点のデータ
から、ワイブルプロット法により、平均寿命を算出す
る。
【0033】(実施例2〜15、比較例1〜5)無機物の種
類とその混合割合、その無機物の混合物を樹脂へ混合す
る割合、更に、絶縁接着材層の厚みをいろいろ変えた以
外は、実施例1と同様に操作していろいろな金属ベース
回路基板とそれを用いたモジュールを作成し、実施例1
と同様にその特性を評価した。実施例の結果を表1に、
比較例の結果を表2に記載した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】表1と表2との対比から、本発明品は、
電気的に信頼性が高く、長寿命であるので、より小型で
軽量の電子機器に適用できることが明かである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属ベース回路基板の一例を示した模
式図である。
【符号の説明】 1 金属板 2 絶縁接着材層 3 金属箔 4 はんだ 5 セラミックスチップ部品 6 半導体素子 7 端子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の少なくとも一主面上に絶縁接着
    材層を介して金属箔を設けた金属ベース回路基板であっ
    て、熱抵抗が 0.6℃/W以下であり、かつ静電容量が50p
    F/cm2以下であることを特徴とする金属ベース回路基
    板。
  2. 【請求項2】 絶縁接着材層が、酸化アルミニウムを1
    容積%以上80容積%以下含有する無機物を、50容積%以
    上80容積%以下樹脂に配合し硬化させてなることを特徴
    とする請求項1記載の金属ベース回路基板。
  3. 【請求項3】 絶縁接着材層が、酸化アルミニウムを1
    容積%以上80容積%以下含有し残部が酸化ケイ素、窒化
    ホウ素、窒化アルミニウムの群から選ばれた1種以上か
    らなる無機物を、50容積%以上80容積%以下樹脂に配合
    し硬化させたことを特徴とする請求項2記載の金属ベー
    ス回路基板。
  4. 【請求項4】 絶縁接着材層が、窒化ホウ素を30容積%
    以上80容積%以下含有し残部が酸化ケイ素である無機物
    を、50容積%以上80容積%以下樹脂に配合し硬化させて
    なることを特徴とする請求項1記載の金属ベース回路基
    板。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の金属ベース回路基板を用
    いてなるモジュール。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005036939A1 (ja) * 2003-10-07 2005-04-21 Neomax Materials Co., Ltd. 基板およびその製造方法
WO2013061975A1 (ja) * 2011-10-24 2013-05-02 住友化学株式会社 回路基板用積層板及び金属ベース回路基板
JP2016155953A (ja) * 2015-02-25 2016-09-01 デンカ株式会社 エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂シート及びそれを用いた金属ベース回路基板
CN111527797A (zh) * 2018-03-23 2020-08-11 三菱综合材料株式会社 绝缘电路基板及绝缘电路基板的制造方法

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