JPH08199293A - 亀裂伝播停止特性に優れた耐サワー鋼板 - Google Patents

亀裂伝播停止特性に優れた耐サワー鋼板

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JPH08199293A
JPH08199293A JP935895A JP935895A JPH08199293A JP H08199293 A JPH08199293 A JP H08199293A JP 935895 A JP935895 A JP 935895A JP 935895 A JP935895 A JP 935895A JP H08199293 A JPH08199293 A JP H08199293A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 優れた脆性亀裂伝播停止特性と耐水素誘起割
れ性(耐HIC性)とを同時に満足する、板厚が25m
m以上で引張強度が500MPa以上の耐サワー鋼板。 【構成】 重量%で、C:0.02〜0.12、Mn:
0.6〜1.5、Ti:0.005〜0.03、Nb:
0.01〜0.10、Ca:0.001〜0.005、
N:0.001〜0.005を含有し、以下、Si:
0.6、P:0.015、S:0.001、Al:0.
06、O:0.003以下で、かつ0.5≦〔Ca〕
(1−124〔O〕)/1.25〔S〕≦7.0を満足
し、残部が鉄および不可避的不純物からなる化学成分を
有し、鋼板の両表面から板厚中心部方向に板厚の10〜
25%の距離にわたって5μm以下の結晶粒径を有する
フェライトの面積率が70%以上でビッカース硬さが1
40以上であり、残る板厚方向内部がベイナイトあるい
はアシキュラーフェライトでビッカース硬さが248以
下である、板厚25mm以上の亀裂伝播停止特性がよい
鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は亀裂伝播停止特性に優
れ、引張強度が500Mpa以上で板厚が25mm以上
の耐サワー鋼板に関するものである。本発明による鋼板
は、高圧力、湿潤硫化水素環境および低温で使用される
ラインパイプや圧力容器などに利用できる。
【0002】
【従来の技術】従来、厚鋼板の優れた耐水素誘起割れ性
(耐HIC性)は、例えば特公昭63−001369号
公報、特開昭62−112722号公報のように、鋼
の高純度・高清浄度化、Ca添加による硫化物系介在
物の形態制御、連続鋳造時の軽圧下による中心偏析の
低減、熱間圧延後の加速冷却による中心偏析部のミク
ロ組織の改善、などの技術を駆使して達成されてきた。
特に加速冷却の適用は、中心偏析部を含むミクロ組織を
ベイナイトあるいはアシキュラーフェライトに制御する
ことで耐HIC性を大幅に向上させる。このような組織
制御は中心偏析部近傍において重要であり、Ar3 (変
態開始温度)以上からの加速冷却が必須である。従っ
て、従来の耐サワー鋼板の圧延においては圧延終了温度
がAr3 以上の高温に制限されるため、組織の微細化が
不十分となり良好な亀裂伝播停止特性を達成するのは困
難であった。
【0003】また、板厚が増加するに従って板厚中心部
に及ぶ圧延の効果が小さくなって組織が粗大化するた
め、厚手材において良好な亀裂伝播停止特性を得ること
は困難であった。厚手材の板厚中心部組織を微細化する
方法には、板厚方向の変形抵抗差を利用して板厚中心部
を強圧下する方法、すなわち表面が硬く中心部が軟らか
い状態で圧延する方法がある。このような変形抵抗差を
達成する手段には、板厚方向温度差を大きくすること
や,特開昭63−307216号公報に開示されている
ように表層を硬いフェライト組織に、中心部を軟らかい
オーステナイト組織にすることなどがある。また、特公
平6−929号公報に開示されているようにロール径や
圧下率の大きい高形状比圧延によって板厚中心部を強圧
下する方法もある。しかしながら、これらの従来技術に
よっても厚手材の板厚中心部組織の微細化には限界があ
り、良好な亀裂伝播停止特性を達成することは困難であ
った。そこで、特開昭61−235534号公報では板
厚表層部に超細粒層を厚く形成することによって亀裂伝
播停止特性の優れた鋼板が製造できることを示してい
る。しかしながら、この技術は耐サワー性を一切考慮し
ていない。
【0004】以上のように、厚手材において優れた亀裂
伝播停止特性と良好な耐サワー性を同時に満足できるよ
うな鋼板はこれまでなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は板厚が25m
m以上で引張強度が500MPa以上である鋼板におい
て、優れた脆性亀裂伝播停止特性と耐水素誘起割れ性
(耐HIC性)とを同時に満足する耐サワー鋼板を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、重量で
C:0.02〜0.12%、 Si:0.6%以
下、Mn:0.6〜1.5%、 P:0.
015%以下、S:0.001%以下、 A
l:0.06%以下、Ti:0.005〜0.03%、
Nb:0.01〜0.10%、Ca:0.001
〜0.005%、 O:0.003%以下、N:
0.001〜0.005%を含有し、かつ 0.5≦〔Ca〕(1−124〔O〕)/1.25
〔S〕≦7.0 を満足し、さらに必要に応じて重量%で Ni:0.1〜0.5% Cr:0.1〜
0.5% Mo:0.1〜0.5% Cu:0.1〜
0.5% V:0.01〜0.1%の1種以上を含有し、残部が鉄
および不可避的不純物からなる化学成分を有し、鋼板の
両表面から板厚中心部方向に板厚の10%から30%の
距離にわたって5μm以下の結晶粒径を有するフェライ
トの面積率が70%以上でビッカース硬さが140以上
であり、残る板厚方向内部がベイナイトあるいはアシキ
ュラーフェライトでビッカース硬さが248以下である
ことを特徴とする板厚25mm以上の亀裂伝播停止特性
に優れた耐サワー鋼板にある。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の技術的思想は、特に耐サワー性の観点から化学成
分を調整した鋼板において、板厚表層部に超細粒フェ
ライト層を厚く形成することで優れた亀裂伝播停止特性
を達成すること、板厚内部をベイナイトあるいはアシ
キュラーフェライトに組織制御すると同時に板厚表層部
および内部の硬さを制御することで耐HIC性を確保す
ること、によって亀裂伝播停止特性と耐HIC性に優れ
た鋼板を得ることである。
【0008】亀裂伝播停止特性を向上させる基本的な考
え方は組織の微細化である。一般に、鋼板の最表層部は
組織が微細であるため延性に優れており、板厚内部が脆
性破壊する場合でも最表層部の極めて薄い領域がシアリ
ップと呼ばれる延性破面を形成する。特開昭61−23
5534号公報記載の発明では板厚表層部の超細粒層の
厚みを大きくすることによってシアリップの厚みを増
し、亀裂伝播停止特性を高めている。しかしながら、こ
のような超細粒表層の耐サワー性については考慮されて
いない。
【0009】HICの多くは中心偏析部の硬化組織に起
因して板厚中心部に発生するが、板厚表層部にもブリス
ターとよばれる割れが発生する場合がある。優れた亀裂
伝播停止特性を有する超細粒表層におけるブリスターの
防止策は明らかではなく、本発明者らはこの点について
鋭意検討した。その結果、図1に示すように超細粒表層
のビッカース硬さ(荷重25g:以下Hv25gと表
す)と表面ブリスター発生個数との間には相関が認めら
れ、Hv25gの最小値が140以上である場合に表面
ブリスターを防止できることを見出した。超細粒表層の
なかにHv25gが140未満であるような軟らかいフ
ェライトが存在する場合、ある場所でガス化した水素の
圧力に対してこのような軟らかいフェライトが強度的に
たえられず、表面にブリスターが生成すると考えられ
る。従って、亀裂伝播停止特性の優れた超細粒表層には
耐サワー性の観点から140以上のビッカース硬さが必
要である。
【0010】このような超細粒表層は鋼板の両表面から
板厚中心部方向に板厚の10%から25%の距離にわた
って5μm以下の結晶粒径を有するフェライトの面積率
が70%以上でなければならない。超細粒表層の片側の
厚みが板厚の10%未満であったり、5μm以下の結晶
粒径を有するフェライトの面積率が70%未満であった
り、面積率で70%以上を占めるフェライトの結晶粒径
が5μmを超えたりすると、十分な亀裂伝播停止特性が
得られない。また、超細粒表層の片側の厚みが板厚の2
5%を超えると、強度が低下したり中心偏析部近傍の組
織制御が困難になったりする。
【0011】超細粒表層を除いた板厚内部はベイナイト
あるいはアシキュラーフェライト主体の組織に制御して
ビッカース硬さを248以下にしなければならない。具
体的には、熱間圧延後の加速冷却によって組織制御する
ことが有効である。特に耐サワー性の観点から化学成分
を調整した鋼板においても、板厚内部がポリゴナルフェ
ライト主体組織となる場合は中心偏析部にはビッカース
硬さが248を超えるような硬化組織(島状マルテンサ
イトなど)が多量に形成され、耐HIC性が大幅に劣化
してしまう。これは、中心偏析部は合金元素の濃化によ
って周囲よりもAr3 点が低下しているため、周囲のフ
ェライト変態によって吐き出されたCが未変態部である
中心偏析部に濃化してしまい、硬化組織が多く形成され
るためである。このような硬化組織は靱性や亀裂伝播停
止特性に対しても不利となる。組織がベイナイトあるい
はアシキュラーフェライト主体に制御される場合は中心
偏析部へのこのようなC濃化が軽減されるため、硬化組
織の形成が抑制される。焼入れなどによって板厚内部が
マルテンサイトとなる場合、ビッカース硬さが248を
超えるような硬い領域が多量に形成されるため、耐HI
C性が劣化するとともに亀裂伝播停止特性も劣化してし
まう。ただし、アシキュラーフェライトは面積率で20
%以下のポリゴナルフェライトの含有を許容し、ベイナ
イトは面積率で3%以下の島状マルテンサイトの含有を
許容する。また、靱性および亀裂伝播停止特性の観点か
ら板厚内部の組織は微細であることが望ましい。
【0012】本発明の対象は板厚が25mm以上の厚手
耐サワー鋼板である。板厚が25mm未満である比較的
薄い耐サワー鋼板においては、TMCP技術によって板
厚全体を微細な組織にすることが可能であり、良好な亀
裂伝播停止特性を達成することができる。板厚が25m
m以上の厚手耐サワー材においては、本発明によっては
じめて優れた亀裂伝播停止特性を達成することができ
る。
【0013】本発明は例えば次のような製造方法によっ
て達成される。すなわち、化学成分を調整した鋼を10
00〜1250℃に加熱し、2t以上の厚みに圧延した
後、950℃以上の温度から水量密度が0.5〜2.0
3 /m2 ・minで水冷時間が10〜50sである冷
却を行い、その後板厚表層部が内部の顕熱によって復熱
する過程でtの厚みに圧延を終え、Ar3 点以上の温度
から5〜40℃/sの冷却速度で300〜550℃まで
冷却し、その後空冷する方法である。ここで、tは圧延
後の最終板厚であり25mm≦tである。この時、板厚
表層部が復熱し終えた降温過程において圧延してはなら
ない。そのような圧延を施してしまうと、板厚表層部の
強加工されたフェライトの一部が再結晶してしまい、超
細粒表層中にビッカース硬さが140未満であるような
軟らかいフェライトが生成してしまうからである。生産
性およびコストの観点から、このようなTMCP技術を
駆使して本発明を達成することが望ましい。
【0014】以下、化学成分の限定理由について説明す
る。C量の増加はスラブの中心偏析におけるMnやPの
偏析を強めて耐水素誘起割れ性を著しく劣化させるた
め、上限を0.12%とした。下限は強度・低温靱性を
確保するため0.02%とした。Mn,P量は中心偏析
を軽減して耐水素誘起割れ性を確保するため、上限をそ
れぞれ1.5%、0.015%とした。Mn量の下限は
母材および溶接部の強度・低温靱性を確保するため0.
6%とした。一方、P量は少ないほど耐水素誘起割れ性
が向上する。
【0015】Nb,Tiは本発明鋼に必須の元素であ
る。Nbは制御圧延におけるオーステナイト組織の微細
化や析出強化に寄与して鋼を強靱化する。Tiは微細な
TiNを形成し、スラブ加熱時および溶接時の加熱オー
ステナイト粒の粗大化を抑制し、母材靱性およびHAZ
靱性を改善する。Nb量の下限0.01%、Ti量の下
限0.005%はこれらの元素がその効果を発揮するた
めの最小量であり、Nb量の上限0.10%、Ti量の
上限0.03%はHAZ靱性や現地溶接性を劣化させな
い添加量の限界である。
【0016】NはTiNを形成しスラブ再加熱時や溶接
時のγ粒の粗大化抑制を通じて母材、HAZ靱性を向上
させる。このために必要な最小量は0.001%であ
る。しかし多過ぎるとスラブ表面疵や固溶NによるHA
Z靱性劣化の原因となるので、その上限は0.005%
に抑える必要がある。Siは多く添加すると現地溶接
性、HAZ靱性を劣化させるため、その上限を0.6%
とした。鋼の脱酸はAl,Tiのみでも十分であり、S
iは必ずしも添加する必要はない。
【0017】本発明鋼においては不純物であるSは0.
001%以下とし、かつCaを添加して、0.5≦〔C
a〕(1−124〔O〕)/1.25〔S〕≦7.0を
満足させる。SはMnS系介在物を形成し、MnSは圧
延で伸長してHICの発生起点となる。これを防止する
には、介在物の絶対量を低減するとともに、硫化物の形
態を制御して圧延で延伸化し難いCaS(−O)としな
ければならない。
【0018】そこでS量を0.001%以下とし、Ca
量を0.001〜0.005%添加し、Caによる硫化
物の形態制御を十分に行うため、〔Ca〕(1−124
〔O〕)/1.25〔S〕≧0.5とした。しかしこの
値が大きすぎると、Ca系介在物が増加、HICの発生
起点となるので、その上限を7.0とした。
【0019】上記に関連してO量を0.003%以下に
限定した。これはHICの起点となる酸化物系介在物を
低減し、Ca量で硫化物の形態制御を行うためである。
Alは脱酸元素として鋼に含まれる元素であるが、脱酸
はTiあるいはSiでも可能であり、必ずしも添加する
必要はない。Al量が0.06%超になるとAl系非金
属介在物が増加して鋼の清浄度を害するので、その上限
を0.06%とした。
【0020】次に選択元素であるNi,Mo,Cr,C
u,Vを添加する理由について説明する。基本となる成
分にさらにこれらの元素を添加する主な目的は、本発明
鋼の優れた特徴を損なうことなく強度、靱性などの特性
の向上をはかるためである。従って、その添加量は自ら
制限されるべき性質のものである。
【0021】Niは0.1%以上で溶接性およびHAZ
靱性に悪影響を及ぼすことなく母材の強度、靱性を向上
させるが、過剰な添加は溶接性に好ましくないため上限
を0.5%とした。Moは0.1%以上で母材の強度、
靱性をともに向上させるが、過剰な添加は母材およびH
AZの靱性、溶接性の劣化を招くため、上限を0.5%
とした。
【0022】CrはCCスラブにおいて中心偏析し難
く、かつ0.1%以上で母材の強度を向上させるが、過
剰な添加は母材およびHAZの靱性、溶接性を劣化させ
るため、上限を0.5%とした。Cuは0.1%以上で
Niとほぼ同様の効果を有するが、過剰な添加は熱間圧
延時にCu−クラックを発生し製造が困難となるため、
上限を0.5%とした。
【0023】Vは0.01%以上でNbとほぼ同様な効
果を有し、ミクロ組織の微細化による靱性の向上や、焼
入れ性の増大、析出硬化による強度の向上を可能とす
る。しかし、過剰な添加はHAZ靱性、溶接性の劣化を
招くため、上限を0.1%とした。
【0024】
【実施例】表1に鋼の化学成分を示す。表2に鋼板の組
織的特徴と硬さ、ならびに機械的性質と耐サワー性を示
す。表1、表2中鋼1〜6は本発明鋼で、鋼7〜19は
比較鋼である。本発明鋼はTSが500MPa級以上の
高強度を有し、かつ優れた亀裂伝播停止特性と優れた耐
サワー性(NACE環境)を有する。一方、比較鋼は化
学成分、組織構成、硬さが適当でないために機械的性質
あるいは耐サワー性が劣る。鋼7、8、9はそれぞれC
量、Mn量、P量が多すぎるため、板厚内部をベイナイ
トあるいはアシキュラーフェライト主体の組織に制御し
ても中心偏析部に多くの硬化組織が形成してしまい、耐
HIC性が劣っている。鋼10はS量が多すぎるために
ESSP(=〔Ca〕(1−124〔O〕)/1.25
〔S〕)が0.5未満となり、硫化物系介在物の形態制
御が不十分となって耐HICが劣っている。鋼11はN
b量が少なすぎるために圧延によるオーステナイト組織
の微細化と析出硬化が不十分となり、靱性および強度が
劣っており、良好な亀裂伝播停止特性(例えばKc(a
t−100℃)≧400kgf・mm-3/2)も得られて
いない。鋼12はCa量が少なすぎるために硫化物系介
在物の形態制御が不十分となり、耐HIC性が劣ってい
る。鋼13はTi量が少なすぎるためにTiNによる加
熱オーステナイト粒の成長抑制が不十分となり、加熱γ
粒の粗大化によって変態後の組織も粗大となり、靱性が
劣っており、良好な亀裂伝播停止特性も得られていな
い。鋼14は超細粒表層が薄いため、鋼16は超細粒表
層における5μm以下のフェライト面積率が小さいた
め、亀裂伝播停止特性が大幅に劣化している。鋼15は
超細粒表層が厚すぎるため、強度が低く、加速冷却によ
る中心偏析部の組織制御が不十分となって耐HIC性が
劣っている。鋼17、18は超細粒表層のビッカース硬
さが140未満であるため、表面ブリスターが多く発生
している。鋼19は板厚内部に面積率で20%を超える
ポリゴナルフェライトが生成しているため、中心偏析部
に多くの硬化組織が形成され、耐HIC性および靱性が
劣っている。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【発明の効果】本発明によって提供される耐サワー厚手
高強度鋼板は、従来の鋼に比較して非常に優れた亀裂伝
播停止特性を有しており、高圧力、湿潤硫化水素環境お
よび低温で使用されるラインパイプや圧力容器など安全
性が格段に向する。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面ブリスター個数と超細粒表層のビッカース
硬さの最小値の関係を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.02〜0.12%、
    Si:0.6%以下、 Mn:0.6〜1.5%、 P:0.01
    5%以下、 S:0.001%以下、 Al:0.06%
    以下、 Ti:0.005〜0.03%、 Nb:0.01
    〜0.10%、 Ca:0.001〜0.005%、 O:0.00
    3%以下、 N:0.001〜0.005%を含有し、かつ 0.5≦〔Ca〕(1−124〔O〕)/1.25
    〔S〕≦7.0 を満足し、残部が鉄および不可避的不純物からなる化学
    成分を有し、鋼板の両表面から板厚中心部方向に板厚の
    10%から25%の距離にわたって5μm以下の結晶粒
    径を有するフェライトの面積率が70%以上でビッカー
    ス硬さが140以上であり、残る板厚方向内部がベイナ
    イトあるいはアシキュラーフェライトでビッカース硬さ
    が248以下であることを特徴とする板厚25mm以上
    の亀裂伝播停止特性に優れた耐サワー鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%でC:0.02〜0.12%、
    Si:0.6%以下、 Mn:0.6〜1.5%、 P:0.01
    5%以下、 S:0.001%以下、 Al:0.06%
    以下、 Ti:0.005〜0.03%、 Nb:0.01
    〜0.10%、 Ca:0.001〜0.005%、 O:0.00
    3%以下、 N:0.001〜0.005%を含有し、かつ 0.5≦〔Ca〕(1−124〔O〕)/1.25
    〔S〕≦7.0 を満足し、さらにNi:0.1〜0.5%
    Cr:0.1〜0.5% Mo:0.1〜0.5% Cu:0.1〜
    0.5% V:0.01〜0.1%の1種以上を含有し、残部が鉄
    および不可避的不純物からなる化学成分を有し、鋼板の
    両表面から板厚中心部方向に板厚の10%から30%の
    距離にわたって5μm以下の結晶粒径を有するフェライ
    トの面積率が70%以上でビッカース硬さが140以上
    であり、残る板厚方向内部がベイナイトあるいはアシキ
    ュラーフェライトでビッカース硬さが248以下である
    ことを特徴とする板厚25mm以上の亀裂伝播停止特性
    に優れた耐サワー鋼板。
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