JPH08195622A - 発振器 - Google Patents

発振器

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JPH08195622A
JPH08195622A JP9748995A JP9748995A JPH08195622A JP H08195622 A JPH08195622 A JP H08195622A JP 9748995 A JP9748995 A JP 9748995A JP 9748995 A JP9748995 A JP 9748995A JP H08195622 A JPH08195622 A JP H08195622A
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resistor
phase
oscillator
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Tadataka Oe
忠孝 大江
Takeshi Ikeda
毅 池田
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  • Inductance-Capacitance Distribution Constants And Capacitance-Resistance Oscillators (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 集積回路として形成することが容易で、か
つ、発振周波数を大幅に調整することが可能で、安定に
動作する発振器を得ること。 【構成】 抵抗を介して入力信号が反転入力端子に入力
されるオペアンプ、入力信号の電圧が両端に印加される
キャパシタおよび可変抵抗からなる直列回路、オペアン
プの出力を反転入力端子に帰還させる抵抗からなる2つ
の移相回路10と、後段の移相回路10の出力信号の位相を
反転する位相反転回路80と、位相反転回路80から出力さ
れる信号を前段の移相回路10の入力側に帰還させる帰還
抵抗70とを含んで構成されている。直列回路の時定数を
変化させて発振周波数を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、集積回路として形成
することが容易で、かつ、発振周波数を大幅に調整する
ことが可能な発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】正弦波発振器として従来より能動素子お
よびリアクタンス素子を使用した各種の発振回路が提案
され実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】正弦波発振器として、
図20に示すウィーン・ブリッジ型発振器、図21に示
すブリッジT型発振器が従来より知られている。
【0004】図20より明らかなように、ウィーン・ブ
リッジ型発振器においては、周波数を変化させるために
キャパシタCと可変抵抗Rsとの直列回路の可変抵抗Rs
の抵抗値と、キャパシタCと可変抵抗Rpとの並列回路
の可変抵抗Rpの抵抗値の値を連動して変化させなけれ
ばならないが、直列回路の可変抵抗Rsの抵抗値と並列
回路の可変抵抗Rpの抵抗値に連動誤差が生じると、増
幅器Aに入力される電圧が増減するので、その結果、発
振出力が変動する。そして、発振出力が小さくなれば発
振が停止し、大きくなれば発振出力に著しい歪みを生じ
ることになる。
【0005】通常、正弦波発振器の出力変動を少なくす
るように安定化することは難しく、その安定化手段は増
幅器の振幅特性に非線形を付加すること、すなわち、出
力の大きさによってその増幅度が変化するような特性を
付加することになる。
【0006】このように特性を付加することは増幅器の
直線性を悪化させることになるから、出力波形の歪率を
悪化させることになり、出力電圧の安定性と歪率とは二
率背反の関係にある。
【0007】直列回路の間へ抵抗Rsと並列回路の可変
抵抗Rpの比を一定に保って変化させることは、回路を
集積回路化して、外部から電圧制御の手法で可変抵抗を
変化させる場合には特に困難である。
【0008】ウィーン・ブリッジ型発振器に限らず、図
21に示すブリッジT型発振器や移相型発振器でも同様
のことがいえる。
【0009】さらに、発振周波数を大幅に調整し得る可
変周波数発振器を集積回路によって形成することも困難
である。
【0010】そこで、この発明は、このような課題を解
決するために考えられたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、この発明の発振器は、反転入力端子に第1の抵
抗の一方端が接続された差動入力増幅器と、前記差動入
力増幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続された
第2の抵抗と、前記第1の抵抗の他方端に接続された第
3の抵抗およびキャパシタからなる直列回路とを含み、
前記第3の抵抗および前記キャパシタの接続部を前記差
動入力増幅器の非反転入力端子に接続した2つの移相回
路と、入力される交流信号の位相を反転して出力する位
相反転回路と、を備え、前記2つの移相回路および前記
移相反転回路のそれぞれを縦続接続し、これら縦続接続
された複数の回路の中の最終段の出力を初段の入力側に
帰還させるとともに、これら複数の回路のいずれかから
正弦波発振出力を取り出すことを特徴とする。
【0012】また、この発明の発振器は、演算増幅器
と、入力された交流信号が印加される抵抗およびキャパ
シタよりなる時定数回路と、前記時定数回路に発生した
信号を前記演算増幅器の非反転入力端子に入力する回路
と、前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、入力信
号が印加される入力抵抗および前記演算増幅器の出力端
子と反転入力端子との間に接続された帰還抵抗とを有
し、交流信号を同じ方向に移相する2段の移相回路と、
前記2段の移相回路のうち、1段の移相回路の出力の位
相を反転する移相反転回路と、前記2段の移相回路およ
び前記位相反転回路を含む閉回路を形成する帰還側イン
ピーダンス素子と、を備えることを特徴とする。
【0013】
【実施例】以下、この発明を適用した一実施例の発振器
について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】以下の各実施例の発振器の特徴は、交流信
号の位相をシフトさせる前段の移相回路と、前段の移相
回路と入出力電圧間の位相関係が同じとなるように交流
信号をシフトさせる後段の移相回路と、後段の移相回路
の出力の位相を反転させる位相反転回路とによって閉回
路を形成し、この閉回路の利得を1より大きく設定し、
閉回路の位相差の総和が0°となる周波数で発振動作を
させることにある。
【0015】(第1実施例)図1は、この発明を適用し
た第1実施例の発振器の構成を示す回路図である。同図
に示す発振器1は、それぞれが入力信号の位相を所定量
シフトさせることにより所定の周波数において合計で1
80°の位相シフトを行う2つの移相回路10と、後段の
移相回路10の出力信号の位相を反転する位相反転回路80
と、位相反転回路80の出力を前段の移相回路10の入力側
に帰還させる帰還抵抗70とを含んで構成されている。こ
の帰還抵抗70は0Ωから有限の抵抗値を有している。
【0016】図2は、図1に示した前段および後段の移
相回路10の構成を抜き出して示したものである。同図に
示す前段の移相回路10は、差動入力増幅器の一種である
オペアンプ(演算増幅器)12と、入力端22に入力された
信号の位相を所定量シフトさせてオペアンプ12の非反転
入力端子に入力するキャパシタ14および可変抵抗16と、
入力端22とオペアンプ12の反転入力端子との間に挿入さ
れた抵抗18と、オペアンプ12の出力端24と反転入力端子
との間に挿入された抵抗20とを含んで構成されている。
【0017】なお、この明細書ではオペアンプ12等は理
想的に動作すると仮定し、実際に回路を設計する上で理
想からのずれが問題となる場合にはその都度説明を加え
るものとする。
【0018】このような構成を有する移相回路10におい
て、所定の交流信号が入力端22に入力されると、オペア
ンプ12の非反転入力端子には、可変抵抗16の両端に現れ
る電圧VR1が印加される。
【0019】また、図2に示したオペアンプ12の2入力
(反転入力端子と非反転入力端子)間には電位差が生じ
ないので、オペアンプ12の反転入力端子の電位と、キャ
パシタ14と可変抵抗16の接続点の電位とは等しくなる。
したがって、抵抗18の両端には、キャパシタ14の両端に
現れる電圧VC1と同じ電圧VC1が現れる。
【0020】ここで、抵抗18と抵抗20の各抵抗値が等し
い場合には、これら2つの抵抗18、20に同じ電流が流れ
るため、抵抗20の両端にも電圧VC1が現れる。しかも、
これら2つの抵抗18、20の各両端に現れる電圧VC1はベ
クトル的に同方向を有しており、オペアンプ12の反転入
力端子(電圧VR1)を基準にして考えると、抵抗18の両
端電圧VC1をベクトル的に加算したものが入力電圧Ei
に、抵抗20の電圧VC1をベクトル的に減算したものが出
力電圧Eoになる。
【0021】図3は、移相回路10の入出力電圧とキャパ
シタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【0022】同図に示すように、可変抵抗16の両端に現
れる電圧VR1とキャパシタ14の両端に現れる電圧VC1と
は互いに90°位相がずれており、これらをベクトル的
に加算したものが入力電圧Eiとなる。したがって、入
力信号の振幅が一定で周波数のみが変化した場合には、
図3に示す半円の円周に沿って可変抵抗16の両端電圧V
R1とキャパシタ14の両端電圧VC1とが変化する。
【0023】また、電圧VR1から電圧VC1をベクトル的
に減算したものが出力電圧Eoとなる。非反転入力端子
に印加される電圧VR1を基準に考えると、入力電圧Ei
と出力電圧Eoとは電圧VC1を合成する方向が異なるだ
けでありその絶対値は等しくなる。したがって、入出力
電圧の大きさと位相の関係は、入力電圧Eiおよび出力
電圧Eoを斜辺とし、電圧VC1の2倍を底辺とする二等
辺三角形で表すことができ、出力信号の振幅は周波数に
関係なく入力信号の振幅と同じであって、位相シフト量
は図3に示すφ1で表されることがわかる。
【0024】また、図3から明らかなように、電圧VR1
と電圧VC1とは円周上で直角に交わるため、理論的には
入力電圧Eiと電圧VR1との位相差は、周波数ωが0か
ら∞まで変化するに従って90°から0°まで変化す
る。そして、移相回路10全体の位相シフト量φ1はその
2倍であり、周波数に応じて180°から0°まで変化
する。
【0025】次に、上述した入出力電圧間の関係を定量
的に検証する。
【0026】入力電圧Eiを入力端22に印加したときに
抵抗18、20を通って入力端22から出力端24に向かって流
れる電流をI、抵抗18と抵抗20の各抵抗値が等しくその
値をrとすると、抵抗18、20のそれぞれの両端電圧は−
I・rとなる。
【0027】ところで、上述したように図2に示したオ
ペアンプ12の2入力間には電位差が生じてはならないの
で、オペアンプ12の非反転入力端子に印加される可変抵
抗16の両端電圧VR1と出力電圧Eoとの間には、
【数1】 の関係がある。
【0028】また、オペアンプ12の2入力間に電位差が
生じないためには、キャパシタ14の両端電圧VC1と抵抗
18の両端電圧−I・rを加算した値が0とならなければ
ならないので、
【数2】 となる。(1)式および(2)式から、
【数3】 となる。
【0029】また、可変抵抗16とキャパシタ14の各両端
電圧VR1、VC1を加算したものが入力端22に印加される
電圧Eiであるから、これらの各電圧の間には、
【数4】 の関係がある。(3)式および(4)式から、
【数5】 となる。ここで、Cはキャパシタ14の静電容量、Rは可
変抵抗16の抵抗値を表し、CR回路の時定数をT(=C
R)とした。
【0030】この(5)式においてs=jωを代入して変
形すると、
【数6】 となる。(6)式から出力電圧Eoの絶対値を求めると、
【数7】 となる。すなわち、(7)式は、この実施例の移相回路10
は入出力間の位相がどのように回転しても、その出力信
号の振幅は入力信号の振幅に等しく一定であることを表
している。
【0031】また、(6)式から出力電圧Eoの入力電圧E
iに対する位相シフト量φ1を求めると、
【数8】 となる。この(8)式から、例えばωが1/T(=1/
(CR))となるような周波数における位相シフト量φ
1は90°となり、入力信号の振幅を減衰させることな
く位相のみを90°シフトさせることができる。したが
って、説明を簡単にするために2つの移相回路10の各時
定数Tが等しい場合を考えると、ωが1/Tのときにそ
れぞれにおいて位相を90°、合計で180°シフトす
ることができ、しかも、可変抵抗16の抵抗値Rを可変す
ることにより、2つの移相回路10の合計で位相シフト量
が180°となる周波数ωを変化させることができる。
【0032】図1に示した位相反転回路80は、入力信号
が抵抗84を介して反転入力端子に入力されるとともに非
反転入力端子が接地されたオペアンプ82と、このオペア
ンプ82の反転入力端子と出力端子との間に接続された抵
抗56とを含んで構成されている。抵抗54を介してオペア
ンプ52の反転入力端子に交流信号が入力されると、オペ
アンプ52の出力端子からは位相が反転した逆相の信号が
出力され、この逆相の信号が図1に示した発振器1の出
力端子92から取り出されるようになっている。
【0033】また、位相反転回路80の出力は、帰還抵抗
70を介して前段の移相回路10の入力側に帰還されてお
り、ループゲインを1より大きく設定することにより、
一巡したときに位相シフト量が0°となるような周波数
で正弦波発振が行われる。
【0034】図4は、上述した構成を有する2つの移相
回路10および位相反転回路80の全体を伝達関数K1を有
する回路に置き換えたシステム図であり、伝達関数K1
を有する回路と抵抗値R0の帰還抵抗70とによって閉ル
ープが形成されている。図5は、図4に示すシステムを
ミラーの定理によって変換したシステム図であり、同図
に示すように抵抗値R0を有する帰還抵抗70を入力シャ
ント抵抗に変換すると、その抵抗値Rsは、
【数9】 で表すことができる。
【0035】この式において、K1が1より大きい場合
を考えると、入力シャント抵抗Rsは負性抵抗となるこ
とがわかる。
【0036】伝達関数K1を有する理想的な移相回路
(オール・パス・ネットワーク)で任意の有限な周波数
において位相シフト量が0°である条件を満たすものと
すれば、この周波数において、選択的に負性抵抗を実現
することになり、発振が可能となる。実際には入力シャ
ント抵抗は移相回路の入力インピーダンスと並列接続さ
れた形となり、これらを合成したものが負性抵抗となる
必要があるが、帰還抵抗70の抵抗値R0を低く設定した
り、移相回路の入力インピーダンスを高く設定すること
は設計上極めて容易であるため、理論上は移相回路の入
力インピーダンスの影響を無視して考えることができ
る。
【0037】ところで、2つの移相回路10のそれぞれの
時定数が異なる場合を想定し、それぞれをT1、T2とす
ると、(5)式から明らかなように、前段の移相回路10の
伝達関数K21は、
【数10】 であり、後段の移相回路10の伝達関数K22は、
【数11】 となる。したがって、2つの移相回路10を縦続接続した
場合の全体の伝達関数K3は、
【数12】 となる。ここで、計算を簡単にするために、s=jω、
2=−ω2、A=1+T1・T2・s2=1−T1・T2・ω2
B=T1+T2とおくと、
【数13】 となる。ところで、閉ループを一巡する信号の位相シフ
ト量が0°、すなわち2つの移相回路10を2段接続した
全体の入出力間の位相差が180°となるには、(13)式
の右辺の虚数項が0にならなければならないので、次の
式が成立する。
【数14】 したがって、1−T1・T2・ω2=0またはω=0とな
る。ここで、ω=0の場合は入力信号が直流の場合であ
って位相差が0°となるので、結局他方の条件(1−T
1・T2・ω2=0)を満たすω=1/√(T1・T2)のとき
に位相差が180°となる。この周波数において入力シ
ャント抵抗Rsは負性抵抗となって、発振電圧条件と周
波数条件を同時に満たすことになる。
【0038】このように、2つの移相回路10と位相反転
回路80とを組み合わせることにより、閉ループを一巡す
る信号の位相シフト量をある周波数において0°とする
ことができ、このときのループゲインを1より大きくす
ることにより正弦波発振が持続される。また、位相シフ
ト量が0°となる周波数は、2つの移相回路10内の可変
抵抗16あるいは36の抵抗値を変えることにより変化させ
ることができるため、容易に周波数可変型の発振器を実
現することができる。
【0039】また、この実施例の発振器1は、オペアン
プやキャパシタあるいは抵抗を組み合わせて構成してお
り、どの構成素子も半導体基板上に形成することができ
ることから、電圧制御型の発振器1の全体を半導体基板
上に形成して集積回路とすることも容易である。
【0040】(第2実施例)図6は、この発明を適用し
た第2実施例の発振器の構成を示す回路図である。同図
に示す発振器1aは、それぞれが入力信号の位相を所定
量シフトさせることにより所定の周波数において合計で
180°の位相シフトを行う2つの移相回路30と、後段
の移相回路10の出力信号の位相を反転する位相反転回路
80と、位相反転回路80の出力を前段の移相回路30の入力
側に帰還させる帰還抵抗70とを含んで構成されている。
【0041】図7は、図6に示した前段および後段の移
相回路30の構成を抜き出して示したものである。同図に
示す移相回路30は、差動入力増幅器の一種であるオペア
ンプ32と、入力端42に入力された信号の位相を所定量シ
フトさせてオペアンプ32の非反転入力端子に入力する可
変抵抗36およびキャパシタ34と、入力端42とオペアンプ
32の反転入力端子との間に挿入された抵抗38と、オペア
ンプ32の出力端44と反転入力端子との間に挿入された抵
抗40とを含んで構成されている。
【0042】このような構成を有する移相回路30におい
て、所定の交流信号が入力端42に入力されると、オペア
ンプ32の非反転入力端子には、キャパシタ34の両端に現
れる電圧VC2が印加される。
【0043】また、図7に示したオペアンプ32の2入力
(反転入力端子と非反転入力端子)間には電位差が生じ
ないので、オペアンプ32の反転入力端子の電位と、可変
抵抗36とキャパシタ34の接続点の電位とは等しくなる。
したがって、抵抗38の両端には、可変抵抗36の両端に現
れる電圧VR2と同じ電圧VR2が現れる。
【0044】ここで、抵抗38と抵抗40の各抵抗値が等し
い場合には、これら2つの抵抗38、40に同じ電流が流れ
るため、抵抗40の両端にも電圧VR2が現れる。しかも、
これら2つの抵抗38、40の各両端に現れる電圧VR2はベ
クトル的に同方向を向いており、オペアンプ32の反転入
力端子(電圧VC2)を基準にして考えると、抵抗38の両
端電圧VR2をベクトル的に加算したものが入力電圧Ei
に、抵抗40の両端電圧R2をベクトル的に減算したものが
出力電圧Eoになる。
【0045】図8は、移相回路30の入出力電圧とキャパ
シタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【0046】同図に示すように、キャパシタ34の両端に
現れる電圧VC2と可変抵抗36の両端に現れる電圧VR2と
は互いに90°位相がずれており、これらをベクトル的
に加算したものが入力電圧Eiとなる。したがって、入
力信号の振幅が一定で周波数のみが変化した場合には、
図8に示す半円の円周に沿ってキャパシタ34の両端電圧
VC2と可変抵抗36の両端電圧VR2とが変化する。
【0047】また、上述したように電圧VC2から電圧V
R2をベクトル的に減算したものが出力電圧Eoとなる。
非反転入力端子に印加される電圧VC2を基準に考える
と、入力電圧Eiと出力電圧Eoとは電圧VR2を合成する
方向が異なるだけでありその絶対値は等しくなる。した
がって、入出力電圧の大きさと位相の関係は、入力電圧
Eiおよび出力電圧Eoを斜辺とし、電圧VR2の2倍を底
辺とする二等辺三角形で表すことができ、出力信号の振
幅は周波数に関係なく入力信号の振幅と同じであって、
位相シフト量は図8に示すφ2で表されることがわか
る。
【0048】また、図8から明らかなように、電圧VC2
と電圧VR2とは円周上で直角に交わるため、理論的には
入力電圧Eiと電圧VC2との位相差は、周波数ωが0か
ら∞まで変化するに従って0°から90°まで変化す
る。そして、移相回路30全体のシフト量φ2はその2倍
であり、周波数に応じて0°から180°まで変化す
る。
【0049】次に、上述した入出力電圧間の関係を定量
的に検証する。
【0050】図2に示した移相回路10の場合と同様に、
電圧Eiを入力端42に印加したときに抵抗38、40を通っ
て入力端42から出力端44に向かって流れる電流をI、抵
抗38と抵抗40の各抵抗値が等しくその値をrとすると、
抵抗38、40のそれぞれの両端電圧は−I・rとなる。
【0051】図7に示したオペアンプ32の2入力間には
電位差が生じてはならないので、オペアンプ32の非反転
入力端子に印加されるキャパシタ34の両端電圧VC2と出
力電圧Eoとの間には、
【数15】 の関係がある。
【0052】また、オペアンプ32の2入力間に電位差が
生じないためには、可変抵抗36の両端電圧VR2と抵抗38
の両端電圧−I・rを加算した値が0とならなければな
らないので、
【数16】 となる。(15)式および(16)式から、
【数17】 となる。
【0053】また、キャパシタ34と可変抵抗36の各両端
電圧VC2、VR2を加算したものが入力端42に印加され
る電圧Eiであるから、これらの各電圧の間には、
【数18】 の関係がある。(17)式および(18)式から、
【数19】 となる。ここで、Cはキャパシタ34の静電容量、Rは可
変抵抗36の抵抗値を表し、移相回路10の場合と同様にC
R回路の時定数をT(=CR)とした。
【0054】(19)式においてs=jωを代入して変形す
ると、
【数20】 となる。
【0055】上述した(19)式および(20)式は、移相回路
10について示した(5)式および(6)式と符号のみ異なって
いる。したがって、出力電圧Eoの絶対値は(7)式をその
まま適用することができ、移相回路30は入出力間の位相
がどのように回転しても、その出力信号の振幅は入力信
号の振幅に等しく一定であることがわかる。
【0056】また、(19)式から出力電圧Eoの入力電圧
Eiに対する位相シフト量φ2を求めると、
【数21】 となる。この(20)式から、例えばωが1/T(=1/
(CR))となるような周波数における位相シフト量φ
2は90°となり、入力信号の振幅を減衰させることな
く位相のみを90°シフトさせることができる。したが
って、説明を簡単にするために2つの移相回路30の各時
定数Tが等しい場合を考えると、第1実施例と同様に、
ωが1/Tのときにそれぞれにおいて位相を90°、2
つの移相回路30の合計で180°シフトすることがで
き、しかも、可変抵抗36の抵抗値Rを可変することによ
り、合計で位相シフト量が180°となる周波数ωを変
化させることができる。
【0057】図6に示した位相反転回路80は、第1実施
例において図1に示したものと同じであり、後段の移相
回路30から出力される信号の位相をさらに反転して発振
器1aの出力端子92から出力する。また、この位相反転
回路80の出力は、帰還抵抗70を介して前段の移相回路10
の入力側に帰還されている。
【0058】このような帰還ループを形成することによ
り、ある周波数において2つの移相回路30によって位相
が180°シフトされ、さらに位相反転回路80によって
位相が反転され、全体として帰還ループを一巡する信号
の位相シフト量が0°となる。このとき、位相反転回路
80の増幅度を所定の値にして、発振器1a全体のループ
ゲインを1より大きく設定することにより、発振が行わ
れる。
【0059】ところで、上述した2つの移相回路30およ
び位相反転回路80を含む第2実施例の発振器1aは、そ
の全体を伝達関数K1を有する回路に置き換えると、第
1実施例の場合と同様に、図4に示すシステム図で表す
ことができる。したがって、ミラーの定理によって変換
することにより図5に示すシステム図で表すことがで
き、変換後のシステムの入力シャント抵抗Rsは(9)式で
表すことができる。
【0060】また、(19)式から明らかなように、2つの
移相回路30のそれぞれの伝達関数は移相回路10の伝達関
数の符号「−」を「+」に変えただけであり、移相回路
30を2段接続した全体の伝達関数は移相回路10を2段接
続した全体の伝達関数と同じとなって、(13)式に示した
K3をそのまま適用することができる。したがって、2
つの移相回路30を接続した全体の入出力間では、ω=1
/√(T1・T2)のときに位相差が180°となって、
発振条件と周波数条件を同時に満たすことになる。
【0061】このように、2つの移相回路30と位相反転
回路80とを組み合わせることにより、閉ループを一巡す
る信号の位相シフト量をある周波数において0°とする
ことができ、このときのループゲインを1より大きくす
ることにより正弦波発振が持続される。また、位相シフ
ト量が0°となる周波数は、2つの移相回路30内の可変
抵抗16あるいは36の抵抗値を変えることにより変化させ
ることができるため、容易に周波数可変型の発振器を実
現することができる。
【0062】また、この実施例の発振器1は、オペアン
プやキャパシタあるいは抵抗を組み合わせて構成してお
り、どの構成素子も半導体基板上に形成することができ
ることから、電圧制御型の発振器1の全体を半導体基板
上に形成して集積回路とすることも容易である。
【0063】(その他の実施例)上述した各実施例の発
振器1および1aは、2つの移相回路10あるいは2つの
移相回路30と位相反転回路80とによって構成されてお
り、これら3つの回路の全体によって所定の周波数にお
いて合計の位相シフト量を0°にすることにより所定の
発振を行うようになっている。したがって、位相シフト
量だけに着目すると、3つの回路をどのような順番で接
続するかはある程度の自由度があり、必要に応じて接続
順番を決めることができる。
【0064】図9および図10は、2つの移相回路10あ
るいは30と位相反転回路80の接続状態を示す図である。
なお、これらの図において、帰還側インピーダンス素子
70aは、最も一般的には図1等に示すように帰還抵抗70
を使用する。但し、帰還側インピーダンス素子70aをキ
ャパシタあるいはインダクタにより形成したり、抵抗や
キャパシタあるいはインダクタを組み合わせて形成して
もよい。
【0065】図9(A)には2つの移相回路10の後段に位
相反転回路80を配置した構成が示されており、図1に示
した発振器1に対応している。図9(B)には2つの移相
回路30の後段に位相反転回路80を配置した構成が示され
ており、図6に示した発振器1aに対応している。この
ように、後段に位相反転回路80を配置した場合には、こ
の位相反転回路80に出力バッファの機能を持たせること
により、大きな出力電流を取り出すこともできる。
【0066】図9(C)には2つの移相回路10の間に位相
反転回路80を配置した構成が、図9(D)には2つの移相
回路30の間に位相反転回路80を配置した構成がそれぞれ
示されている。このように、中間に位相反転回路80を配
置した場合には、2つの移相回路間の相互干渉を完全に
防止することができる。
【0067】図10(A)には2つの移相回路10の前段に
位相反転回路80を配置した構成が、図10(B)には2つ
の移相回路30の前段に位相反転回路80を配置した構成が
それぞれ示されている。このように、前段に位相反転回
路80を配置した場合には、前段の移相回路10あるいは30
に対する帰還側インピーダンス素子70aの影響を最小限
に抑えることができる。
【0068】また、上述した実施例において示した移相
回路10、30には可変抵抗16あるいは36が含まれている。
これらの可変抵抗16、36は、具体的には接合型あるいは
MOS型のFETを用いて実現することができる。
【0069】図11は、各実施例において示した2つの
移相回路内の可変抵抗16あるいは36をFETに置き換え
た場合の移相回路の構成を示す図である。
【0070】同図(A)には、図1に示した2つの移相回
路10において、可変抵抗16をFETに置き換えた構成が
示されている。同図(B)には、図6に示した2つの移相
回路30において、可変抵抗36をFETに置き換えた構成
が示されている。
【0071】このように、FETのソース・ドレイン間
に形成されるチャネルを抵抗体として利用して可変抵抗
16あるいは36の代わりに使用すると、ゲート電圧を可変
に制御してこのチャネル抵抗をある範囲で任意に変化さ
せて各移相回路における位相シフト量を変えることがで
きる。したがって、各発振器において一巡する信号の位
相シフト量が0°となる周波数を変えることができ、各
実施例の発振器の発振周波数を任意に変更することがで
きる。
【0072】なお、図11に示した各移相回路は、可変
抵抗を1つのFET、すなわちpチャネルあるいはnチ
ャネルのFETによって構成したが、pチャネルのFE
TとnチャネルのFETとを並列接続して1つの可変抵
抗を構成し、各FETのゲートとサブストレート間に大
きさが等しく極性が異なるゲート電圧を印加するように
してもよい。抵抗値を可変する場合にはこのゲート電圧
の大きさを変えればよい。このように、2つのFETを
組み合わせて可変抵抗を構成することにより、FETの
非線形領域の改善を行うことができるため、発振出力の
歪みを少なくすることができる。
【0073】また、上述した各実施例において示した移
相回路10あるいは30は、キャパシタ14、34と直列に接続
された可変抵抗16あるいは36の抵抗値を変化させて位相
シフト量を変化させることにより全体の発振周波数を変
えるようにしたが、キャパシタ14、34を可変容量素子に
よって形成し、その静電容量を変化させることにより全
体の発振周波数を変えるようにしてもよい。
【0074】図12は、各実施例において示した2種類
の移相回路10あるいは30内のキャパシタ14あるいは34を
可変容量ダイオードに置き換えた場合の移相回路の構成
を示す図である。
【0075】同図(A)には、図1に示した2つの移相回
路10において、可変抵抗16を固定抵抗に置き換えるとと
もにキャパシタ14を可変容量ダイオードに置き換えた構
成が示されている。同図(B)には、図6に示した2つの
移相回路30において、可変抵抗36を固定抵抗に置き換え
るとともにキャパシタ34を可変容量ダイオードに置き換
えた構成が示されている。
【0076】おな、図12(A)、(B)において、可変容
量ダイオードに直列に接続されたキャパシタは、可変容
量ダイオードのアノード・カソード間に逆バイアス電圧
を印加する際にその直流電流を阻止するためのものであ
り、そのインピーダンスは動作周波数において極めて小
さく、すなわち大きな静電容量を有している。また、図
13(A)、(B)に示したキャパシタの両端の電位は直流
成分をみると一定であるため、交流成分の振幅より大き
な逆バイアス電圧をアノード・カソード間に印加するこ
とにより、各可変容量ダイオードを容量可変のキャパシ
タとして機能させることができる。
【0077】このように、キャパシタ14あるいは34を可
変容量ダイオードで構成し、そのアノード・カソード間
に印加する逆バイアス電圧の大きさを可変に制御してこ
の可変容量ダイオードの静電容量をある範囲で任意に変
化させて各移相回路における位相シフト量を変えること
ができる。したがって、各発振器において一巡する信号
の位相シフト量が0°となる周波数を変えることがで
き、発振器の発振周波数を任意に変更することができ
る。
【0078】ところで、上述した図12(A)、(B)では
可変容量素子として可変容量ダイオードを用いたが、ソ
ースおよびドレインを直流的に固定電位に接続するとと
もにゲートに可変電圧を印加したFETを用いるように
してもよい。上述したように、図13(A)、(B)に示し
た可変容量ダイオードの両端電位は直流的に固定されて
いるため、これらの可変容量ダイオードを上述したFE
Tに置き換えるだけでよく、ゲートに印加する電圧を可
変することによりゲート容量、すなわちFETが有する
静電容量を変えることができる。
【0079】また、上述した図12(A)、(B)では可変
容量ダイオードの静電容量のみを可変したが、同時に可
変抵抗16あるいは36の抵抗値を可変するようにしてもよ
い。図12(C)には、図1に示し2つ方の移相回路10に
おいて、可変抵抗16を用いるとともにキャパシタ14を可
変容量ダイオードに置き換えた構成が示されている。同
図(D)には、図6に示した2つの移相回路30において、
可変抵抗36を用いるとともにキャパシタ34を可変容量ダ
イオードに置き換えた構成が示されている。これらにお
いて可変容量ダイオードをゲート容量可変のFETに置
き換えてもよいことは当然である。
【0080】また、図12(C)、(D)に示した可変抵抗
を図11に示したようにFETのチャネル抵抗を利用し
て形成することができることをいうまでもない。特に、
pチャネルのFETとnチャネルのFETとを並列接続
して1つの可変抵抗を構成し、各FETのベースとサブ
ストレート間に大きさが等しく極性が異なるゲート電圧
を印加した場合には、FETの非線形領域の改善を行う
ことができるため、同調信号の歪みを少なくすることが
できる。
【0081】このように、可変抵抗と可変容量素子を組
み合わせて移相回路を構成した場合であっても、可変抵
抗の抵抗値および可変容量素子の静電容量をある範囲で
任意に変化させて各移相回路における位相シフト量を変
えることができる。したがって、各発振器において一巡
する信号の位相シフト量が0°となる周波数を変えるこ
とができ、発振器の発振周波数を任意に変更することが
できる。
【0082】また、上述したように可変抵抗や可変容量
素子を用いる場合の他、素子定数が異なる複数の抵抗あ
るいはキャパシタを用意しておいて、スイッチを切り換
えることにより、これら複数の素子の中から1つあるい
は複数を選ぶようにしてもよい。この場合にはスイッチ
切り換えにより接続する素子の個数および接続方法(直
列接続、並列接続あるいはこれらの組み合わせ)によっ
て、素子定数を不連続に切り換えることができる。例え
ば、可変抵抗の代わりに抵抗値がR、2R、4R、…と
いった2のn乗の系列の複数の抵抗を用意しておいて、
1つあるいは任意の複数を選択して直列接続することに
より、等間隔の抵抗値の切り換えをより少ない素子で容
易に実現することができる。同様に、キャパシタの代わ
りに静電容量がC、2C、4C、…といった2のn乗の
系列の複数のキャパシタを用意しておいて、1つあるい
は任意の複数を選択して並列接続することにより、等間
隔の静電容量の切り換えをより少ない素子で容易に実現
することができる。
【0083】また、上述した各実施例の発振器1等を半
導体基板上に形成した場合には、実用上キャパシタ14あ
るいは34としてあまり大きな静電容量を設定することが
できない。したがって、半導体基板上に実際に形成した
キャパシタの小さな静電容量を回路を工夫することによ
り、見かけ上大きくすることができれば時定数Tを大き
な値に設定して発振周波数の低周波数化を図る際に都合
がよい。
【0084】図13は、図1等に示した移相回路10、30
に用いたキャパシタ14あるいは34を素子単体ではなく回
路によって構成した変形例を示す図であり、実際に半導
体基板上に形成されるキャパシタの静電容量を見かけ上
大きくみせる静電容量変換回路として機能する。なお、
図14に示した回路全体が移相回路10あるいは30に含ま
れるキャパシタ14あるいは34に対応している。
【0085】図13に示す静電容量変換回路14aは、所
定の静電容量C0を有するキャパシタ210と、2つのオペ
アンプ212、214と、4つの抵抗216、218、220、222とを
含んで構成されている。
【0086】1段目のオペアンプ212は、出力端子と反
転入力端子との間に抵抗218(この抵抗値をR18とす
る)が接続されており、さらにこの反転入力端子が抵抗
216(この抵抗値をR16とする)を介して接地されてい
る。
【0087】1段目のオペアンプ212の非反転入力端子
に印加される電圧E1と出力端子に現れる電圧E2との間
には、
【数22】 の関係がある。この1段目のオペアンプ212は、主にイ
ンピーダンス変換を行うバッファとして機能するもので
あり、利得は1であってもよい。利得1の場合とはR18
/R16=0のとき、すなわちR16を無限大(抵抗216を
除去すればよい)、あるいはR18を0Ω(直結すればよ
い)に設定する。
【0088】また、2段目のオペアンプ214は、出力端
子と反転入力端子との間に抵抗222(この抵抗値をR22
とする)が接続されているとともに反転入力端子と上述
したオペアンプ212の出力端子との間に抵抗220(この抵
抗値をR20とする)が接続されており、さらに非反転入
力端子が接地されている。
【0089】2段目のオペアンプ214の出力端子に現れ
る電圧をE3とすると、この電圧E3と1段目のオペアン
プ212の出力端子に現れる電圧E2との間には、
【数23】 の関係がある。このように2段目のオペアンプ214は反
転増幅器として機能するものであり、その入力側を高イ
ンピーダンスに設定するために1段目のオペアンプ212
が使用されている。
【0090】また、このような接続がなされた1段目の
オペアンプ212の非反転入力端子と2段目のオペアンプ2
14の出力端子との間には、上述したように所定の静電容
量を有するキャパシタ210が接続されている。
【0091】図13に示した静電容量変換回路14aにお
いて、キャパシタ210を除く回路全体の伝達関数をK4と
すると、静電容量変換回路14aは図14に示すシステム
図で表すことができる。図15は、これをミラーの定理
によって変換したシステム図である。
【0092】図14に示したインピーダンスZ0を用い
て図15に示したインピーダンスZ1を表すと、
【数24】 となる。ここで、図13に示した静電容量変換回路14a
の場合には、インピーダンスZ0=1/(jωC0)であ
り、これを(24)式に代入して、
【数25】
【数26】 となる。この(26)式は、静電容量変換回路14aにおいて
キャパシタ210が有する静電容量C0が見掛け上は(1−
K4)倍になったことを示している。
【0093】したがって、増幅器の利得が負の場合には
常にK4は1より大きくなるため、静電容量C0を大きい
ほうに変化させることができる。
【0094】ところで、図13に示した静電容量変換回
路14aにおける増幅器の利得、すなわちオペアンプ212と
214の全体により構成される増幅器の利得K4は、(22)式
および(23)式から、
【数27】 となる。この(27)式を(26)式に代入すると、
【数28】 となる。したがって、4つの抵抗216、218、220、222の
抵抗値を所定の値に設定することにより、2つの端子22
4、226間の見掛け上の静電容量Cを大きくすることがで
きる。
【0095】また、1段目のオペアンプ212による増
幅器の利得が1の場合、すなわち上述したようにR16を
無限大(抵抗216を除去)、あるいはR18を0Ωに設定
したときであってR18/R16=0の場合には、上述した
(28)式は簡略化されて、
【数29】 となる。
【0096】図16は、図13に示した第1のオペアン
プ212の反転入力端子に接続されている抵抗216を除去し
た静電容量変換回路14bの構成を示す図である。この場
合には、端子224、226間に現れる静電容量Cは(28)式に
より表されるため、R22とR20の比を変化させるだけで
C0から大きいほうに変化させることができる。
【0097】このように、上述した静電容量変換回路14
aあるいは14bは、抵抗220と抵抗222との抵抗比R22/R
20あるいは抵抗216と抵抗218との抵抗比R18/R16を変
えることにより、実際に半導体基板上に形成するキャパ
シタ210の静電容量C0を見掛け上大きい方に変換するこ
とができる。そのため、半導体基板上に図1等に示した
発振器1等の全体を形成するような場合には、半導体基
板上に小さな静電容量C0を有するキャパシタ210を形成
しておいて、図13あるいは図16に示した回路によっ
て大きな静電容量Cに変換することができ、集積化に際
して好都合となる。特に、このようにして大きな静電容
量を確保することができれば、図1に示した発振器1等
の全体の実装面積を小型化して、材料コスト等の低減も
可能となる。
【0098】また、抵抗216、218、220、222の中の少な
くとも1つ(図16に示した静電容量変換回路14bの場
合は抵抗220、222の少なくとも1つ)を可変抵抗により
形成することにより、具体的には接合型やMOS型のF
ETあるいはpチャネルFETとnチャネルFETとを
並列に接続して可変抵抗を形成することにより、容易に
静電容量が可変のキャパシタを形成することができる。
したがって、このキャパシタを図12に示した可変容量
ダイオードの代わりに使用することにより、位相シフト
量をある範囲で任意に変化させることができる。このた
め、発振器において一巡する信号の位相シフト量が0°
となる周波数を変えることができ、各実施例の発振器の
発振周波数を任意に変更することができる。
【0099】なお、上述したように第1段目のオペアン
プ212は入力インピーダンスを高くするためのバッファ
として用いているため、このオペアンプ212をエミッタ
ホロワ回路あるいはソースホロワ回路に置き換えるよう
にしてもよい。
【0100】図17は、1段目にエミッタホロワ回路を
用いた静電容量変換回路14cの構成を示す図である。同
図に示す静電容量変換回路14cは、図13に示した1段
目のオペアンプ212および2つの抵抗216、218をバイポ
ーラトランジスタと抵抗からなるエミッタホロワ回路22
8に置き換えた構成を有している。
【0101】図18は、1段目にソースホロワ回路を用
いた静電容量変換回路14dの構成を示す図である。同図
に示す静電容量変換回路14dは、図13に示した1段目
のオペアンプ212および2つの抵抗216、218をFETと
抵抗からなるソースホロワ回路230に置き換えた構成を
有している。
【0102】また、上述した静電容量変換回路14c、14d
のそれぞれは、オペアンプ214に接続されている抵抗22
0、222の抵抗比を変えることにより端子224、226間の見
掛け上の静電容量Cを任意に変化させることができる点
は図13等に示した静電容量変換回路14a等と同じであ
る。したがって、抵抗220、222の少なくとも一方を、接
合型やMOS型のFETあるいはpチャネルFETとn
チャネルFETとを並列に接続した可変抵抗に置き換え
ることにより、静電容量可変のキャパシタを構成するこ
とができ、このキャパシタを図12に示した可変容量ダ
イオードの代わりに使用することにより、位相シフト量
をある範囲で任意に変化させることができる。このた
め、各発振器において一巡する信号の位相シフト量が0
°となる周波数を変えることができ、各実施例の発振器
の発振周波数を任意に変更することができる。
【0103】なお、この発明は上記実施例に限定される
ものではなく、この発明の要旨の範囲内で種々の変形実
施が可能である。
【0104】例えば、上述した各実施例の発振器1ある
いは1aには2つの移相回路が含まれているが、発振周
波数を可変する場合には、両方の移相回路に含まれるC
R回路を構成する抵抗とキャパシタの少なくとも一方の
素子定数を変える場合の他、一方の移相回路に含まれる
CR回路を構成する抵抗とキャパシタの少なくとも一方
の素子定数を変える場合が考えられる。この場合には、
いずれか一方の移相回路において、一方端が接地されて
いる素子の素子定数を変える方が容易である。また、全
ての抵抗やキャパシタの各素子定数を固定して、発振周
波数が固定の発振器を構成することもできる。
【0105】また、各実施例の発振器を半導体基板上に
集積化する際には、例えばシリコン酸化膜等の絶縁膜を
挟んで電極を形成したり、上述したようにFETのゲー
ト容量を利用して移相回路内のキャパシタを形成するこ
とができる。
【0106】また、上述した各実施例においては、オペ
アンプを用いて移相回路10、30を構成することにより安
定度の高い回路を構成することができるが、この実施例
のような使い方をする場合にはオフセット電圧や電圧利
得はそれほど高性能なものが要求されないため、所定の
増幅度を有する差動入力増幅器を各移相回路内のオペア
ンプの代わりに使用するようにしてもよい。
【0107】図19は、オペアンプの構成の中で各実施
例の移相回路の動作に必要な部分を抽出した回路図であ
り、全体が所定の増幅度を有する差動入力増幅器として
動作する。同図に示す差動入力増幅器は、FETにより
構成された差動入力段100と、この差動入力段100に定電
流を与える定電流回路102と、定電流回路102に所定のバ
イアス電圧を与えるバイアス回路104と、差動入力段100
に接続された出力アンプ106とによって構成されてい
る。同図に示すように、実際のオペアンプに含まれるオ
フセット調整回路等を省略して、差動入力増幅器の構成
を簡略化することができる。このように、回路の簡略化
を行うことにより、動作周波数の上限を高くすることが
できるため、その分この差動入力増幅器を用いて構成し
た発振器1等の動作周波数の上限を高くすることができ
る。
【0108】
【発明の効果】以上の各実施例に基づく説明から明らか
なように、この発明の発振器を構成する各素子は集積回
路の製法によって形成することが可能であるから、発振
器を半導体ウエハ上に集積回路として小型に形成でき、
大量生産によって安価に作ることができる。
【0109】特に、各移相回路におけるCR回路の可変
抵抗としてFETのソース・ドレイン間のチャネルを使
用し、このFETのゲートに印加する制御電圧を変化さ
せてチャネルの抵抗を変化させるように構成すると、制
御電圧を印加する配線のインダクタンスや静電容量の影
響を回避することができ、ほぼ設計どおりの理想的な特
性を備えた発振器を得ることができる。
【0110】また、従来のLC共振を利用した発振器に
おいては、発振周波数ωが1/√LCであるから、発振
周波数を調整するために静電容量Cまたはインダクタン
スLを変化させると、発振周波数はその変化量の平方根
に比例して変化するが、この発明の発振器では発振周波
数ωが例えば1/(CR)であって、発振周波数は抵抗
値Rあるいは静電容量Cに比例して変化させることがで
きるので、大幅な変更および調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用した第1実施例の発振器の構成
を示す回路図、
【図2】図1に示した移相回路の構成を抜き出して示し
た図、
【図3】移相回路の入出力電圧とキャパシタ等に現れる
電圧との関係を示すベクトル図、
【図4】2つの移相回路の全体を伝達関数K1 を有す
る回路に置き換えたシステム図、
【図5】図4に示すシステムをミラーの定理によって変
換したシステム図、
【図6】第2実施例の発振器の構成を示す図、
【図7】図6に示した移相回路の構成を抜き出して示し
た図、
【図8】移相回路の入出力電圧とキャパシタ等に現れる
電圧との関係を示すベクトル図、
【図9】移相回路と位相反転回路との接続形態を示す
図、
【図10】移相回路と位相反転回路との接続形態を示す
図、
【図11】移相回路の可変抵抗をFETに置き換えた移
相回路の構成を示す図、
【図12】移相回路のキャパシタを可変容量ダイオード
に置き換えた移相回路の構成を示す図、
【図13】キャパシタが実際に有する静電容量を見かけ
上大きくする静電容量変換回路の構成を示す図、
【図14】図13に示した回路を伝達関数を用いて表し
た図、
【図15】図14に示す構成をミラーの定理によって変
換した図、
【図16】図13の回路を簡略化した静電容量変換回路
の構成を示す図、
【図17】1段目にエミッタホロワ回路を用いた静電容
量変換回路の構成を示す図、
【図18】1段目にソースホロワ回路を用いた静電容量
変換回路の構成を示す図、
【図19】オペアンプの構成の中でこの発明の移相回路
の動作に必要な部分を抽出した回路図、
【図20】従来の正弦波発振器の一例を示す回路図、
【図21】従来の正弦波発振器の一例を示す回路図であ
る。
【符号の説明】
1 発振器 10、30 移相回路 12、32 オペアンプ 14、34 キャパシタ 16、36 可変抵抗 18、20、38、40 抵抗 70 帰還抵抗 80 位相反転回路 92 出力端子

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反転入力端子に第1の抵抗の一方端が接
    続された差動入力増幅器と、前記差動入力増幅器の反転
    入力端子と出力端子との間に接続された第2の抵抗と、
    前記第1の抵抗の他方端に接続された第3の抵抗および
    キャパシタからなる直列回路とを含み、前記第3の抵抗
    および前記キャパシタの接続部を前記差動入力増幅器の
    非反転入力端子に接続した2つの移相回路と、 入力される交流信号の位相を反転して出力する位相反転
    回路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記移相反転回路の
    それぞれを縦続接続し、これら縦続接続された複数の回
    路の中の最終段の出力を初段の入力側に帰還させるとと
    もに、これら複数の回路のいずれかから正弦波発振出力
    を取り出すことを特徴とする発振器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記2つの移相回路および前記位相反転回路から2相出
    力を取り出すことを特徴とする発振器。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、 前記直列回路を構成する前記第3の抵抗および前記キャ
    パシタの接続の仕方を、前記2つの移相回路において同
    じにしたことを特徴とする発振器。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記差動入力増幅器は演算増幅器であることを特徴とす
    る発振器。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記第
    3の抵抗を可変抵抗により形成し、この抵抗値を変える
    ことにより、発振周波数を変化させることを特徴とする
    発振器。
  6. 【請求項6】 請求項5において、 前記可変抵抗をFETのチャネルによって形成し、ゲー
    ト電圧を変えてチャネル抵抗を変えることを特徴とする
    発振器。
  7. 【請求項7】 請求項5において、 前記可変抵抗をpチャネル型のFETとnチャネル型の
    FETとを並列接続することにより形成し、極性が異な
    る各FETのゲート電圧の大きさを変えてチャネル抵抗
    を変えることを特徴とする発振器。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記キ
    ャパシタを可変容量素子により形成し、この静電容量を
    変えることにより、発振周波数を変化させることを特徴
    とする発振器。
  9. 【請求項9】 請求項8において、 前記可変容量素子を逆バイアス電圧が変更可能な可変容
    量ダイオード、あるいはゲート電圧可変によってゲート
    容量が変更可能なFETによって形成することを特徴と
    する発振器。
  10. 【請求項10】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記第
    3の抵抗として抵抗値が固定の複数の抵抗を有してお
    り、スイッチ切り換えにより選択的に接続することによ
    り、発振周波数を変化させることを特徴とする発振器。
  11. 【請求項11】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記キ
    ャパシタとして静電容量が固定の複数のキャパシタを有
    しており、スイッチ切り換えにより選択的に接続するこ
    とにより、発振周波数を変化させることを特徴とする発
    振器。
  12. 【請求項12】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記キ
    ャパシタを、利得が負の値を有する増幅器と、前記増幅
    器の入出力間に並列接続されたキャパシタ素子に置き換
    えることにより、前記増幅器の入力側からみた静電容量
    を実際に前記キャパシタ素子が有する静電容量よりも大
    きくすることを特徴とする発振器。
  13. 【請求項13】 請求項12において、 前記増幅器の利得を可変して前記増幅器の入力側からみ
    た静電容量を変えることにより、発振周波数を変化させ
    ることを特徴とする発振器。
  14. 【請求項14】 演算増幅器と、入力された交流信号が
    印加される抵抗およびキャパシタよりなる時定数回路
    と、前記時定数回路に発生した信号を前記演算増幅器の
    非反転入力端子に入力する回路と、前記演算増幅器の反
    転入力端子に接続され、入力信号が印加される入力抵抗
    および前記演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間
    に接続された帰還抵抗とを有し、交流信号を同じ方向に
    移相する2段の移相回路と、 前記2段の移相回路のうち、1段の移相回路の出力の位
    相を反転する移相反転回路と、 前記2段の移相回路および前記位相反転回路を含む閉回
    路を形成する帰還側インピーダンス素子と、 を備えることを特徴とする発振器。
  15. 【請求項15】 請求項14において、 前記2段の移相回路の一方または両方の時定数回路の抵
    抗値を変化させて発振周波数を変化させることを特徴と
    する発振器。
  16. 【請求項16】 請求項14において、 発振周波数の調整を行う抵抗をFETのチャネルで形成
    することを特徴とする発振器。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれかにおいて、 半導体集積回路として形成することを特徴とする発振
    器。
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