JPH0819397A - 生理活性ペプチド製造方法およびその産生細胞 - Google Patents

生理活性ペプチド製造方法およびその産生細胞

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JPH0819397A
JPH0819397A JP6104221A JP10422194A JPH0819397A JP H0819397 A JPH0819397 A JP H0819397A JP 6104221 A JP6104221 A JP 6104221A JP 10422194 A JP10422194 A JP 10422194A JP H0819397 A JPH0819397 A JP H0819397A
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medium
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JP6104221A
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Hidekazu Sawada
秀和 澤田
Shirou Takekawa
志郎 竹河
Tadashi Nishimura
紀 西村
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】動物細胞を用いた生理活性ペプチドの製造法を
提供する。 【構成】無血清培地中で浮遊撹拌培養が可能となるよう
に馴化せしめた生理活性ペプチド産生の接着性動物細胞
を培養する生理活性ペプチドの製造法を確立し、また本
製造法に用い得るヒト神経成長因子ファミリーに属する
ペプチドを産生し、無血清培地中で浮遊増殖可能なチャ
イニーズハムスター卵巣細胞を樹立した。 【効果】本発明により、動物細胞を用いて高純度の生理
活性ペプチドを効率的に大量生産することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遺伝子組換え動物細胞
を無血清培地中で浮遊培養し、ヒト神経成長因子(以下
ヒトNGFと略記する)などの真核細胞由来の生理活性
ペプチドを効率よく製造する方法およびその産生細胞に
関するものである。
【0002】
【従来技術】遺伝子組換え動物細胞の大量培養は、例え
ばインターフェロン、エリスロポイエチン、ティシュー
プラスミノーゲンアクティベーター、顆粒球コロニー刺
激因子、神経成長因子などの生理活性ペプチドの製造に
とって極めて重要な技術である。たとえば、神経成長因
子(NGF)ファミリーは末梢神経系の知覚あるいは交
感神経節細胞の生存に必須の因子であるだけでなく、中
枢神経系でも前脳基底野のコリン作動性ニューロンの生
存維持に重要な役割を果たしていることが知られてい
る。このようにNGFがニューロンの生存を高める作用
を示すこと、老齢ラットの脳内投与で記憶障害の改善が
認められたこと(W. Fischer ら, ネイチャー(Natur
e),第329巻,65頁(1887))、さらに静脈内投与のNG
Fを脳内に輸送するドラッグデリバリーの研究が進展し
ていること(P. M. Friden らサイエンス(Science),
第259巻,373頁(1993))から、老人性痴呆症に対する医
薬への応用が期待されており、その工業的生産が望まれ
ている。
【0003】生理活性ペプチドを生産するための宿主細
胞としては、ヒトバーキットリンパ腫(Namalwa)細胞
やマウス骨髄腫(ミエローマSp2/0)細胞などの浮遊
性細胞とチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、
ベイビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト子宮頸部
癌(HeLa) 細胞、マウス乳癌(C127)細胞、マウス線維
芽(NIH/3T3)細胞などの接着性細胞の両方が用いら
れ、とりわけCHO細胞が汎用されている(C. Bebbing
ton および C. Hentschel, トレンズ イン バイオテ
クノロジー(Trends in Biotechnol.),第3巻,314頁
(1985); D. Broad ら, サイトテクノロジー(Cytotechn
ology),第5巻,47頁(1991))。浮遊性細胞においては
一般に浮遊攪拌培養が可能であるが、接着性細胞におい
ては細胞をサスペンジョン状態で培養することが容易で
はなく、通常ローラーボトル培養やマイクロキャリアー
培養さらには固定化床に細胞を固定化して培養する方法
が採られている。しかし、工業的に有用物質を大量生産
するためには、操作面やスケールアップの点から接着培
養より浮遊培養の方が有利である。近年、接着性の赤芽
球分化誘導因子(EDF)遺伝子導入CHO細胞を無理
やりサスペンジョン状態で繰り返し培養することによ
り、浮遊培養に細胞を馴化させた例が報告(M. Murata
ら, ジャーナル ファーメンテーション テクノロジー
(J. Ferment. Technol.),第66巻,501頁 1988年)さ
れているが、これらの細胞は無血清培地中では5日ほど
で死滅するため、増殖培地には血清添加培地を用いてい
る。
【0004】一方、上記の宿主細胞はいずれもその増殖
時に血清が必要であり、一般に無血清培地中では増殖で
きない。血清は高価である上にロット間差があり、成分
の不明なタンパク質性の物質を多く含むために目的の生
理活性ペプチドの精製を妨害する要因となっている。特
に医薬品の場合、血清培地を用いると、安全性評価のた
めの血清由来不純物の除去に関する煩雑な試験が必要と
なる。したがって、工業的な規模での物質生産を行う場
合には、血清培地は問題点が多く、無血清培地の使用が
望まれる。近年、血清依存性のNamalwa 細胞やアンチス
ロンビンIII遺伝子導入CHO細胞を無血清培地に馴化
させた例も報告されている(S. Hosoiら, サイトテクノ
ロジー(Cytotechnology),第5巻,S17頁(1991); T.
Yamauchi ら, Biosci. Biotech. Biochem.,第56巻,60
0頁(1990))。しかし、一般に用いられている無血清培
地はさまざまであり、無血清馴化にどのような培地が適
しているかについては細胞ごとに検討する必要がある。
また、無血清馴化株は必ずしも元の生産性を保持してい
るとは限らず、生産性が低下した場合には再び高産生株
を育種することが必要となる。
【0005】ところで、細胞培養により有用物質を効率
よく生産するためには、一般に細胞を高密度で長期間、
連続的に培養する方法が有利である。モノクローナル抗
体産生ハイブリドーマや遺伝子導入マウスミエローマな
どの浮遊性細胞の培養においては、新鮮培地を培養槽内
に供給し、老廃物を含んだ培養上清液を培養槽外にハー
ベストして長期間、連続的に培養する高密度浮遊灌流培
養法が試みられている(K. Kitano ら, アプライド ミ
クロバイオロジー アンド バイオテクノロジー(App
l. Microbiol. Biotechnol.),第24巻,282頁(1986);
Y. Takazawa および M. Tokashiki, サイトテクノロジ
ー(Cytotechnology),第2巻,95頁(1989))。しか
し、もともと接着性でかつ血清依存性であった動物細胞
を浮遊性でかつ血清非依存性に馴化した細胞については
全く知られておらず、このような細胞が無血清培地中で
長期の高密度浮遊灌流培養が実施可能か否か、また真に
効率のよい培養法か否かについては今まで不明であっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、各種の
生理活性ペプチドの大量生産法の開発が望まれている
が、このような製造法はまだ充分に確立されていない。
たとえば、比活性の高いヒトNGF生産のためには、ヒ
トNGF遺伝子導入CHO細胞を用いる方法(Iwane
ら, バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサー
チ コミュニケーション(Biochem. Biophys. Res. Comm
un.),第171巻,116頁(1990))が最も優れているが、該
方法においては5%程度のウシ胎仔血清を含む培地が用
いられており、培養も小スケールで短期間の実験室規模
のものが提案されているのみである。このように生理活
性ペプチドを工業的に大量生産するためには、製造法の
改良とスケールアップが必要とされている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒトNG
Fを生産する遺伝子組換えCHO細胞を用いて、目的と
する生理活性ペプチドを効率よく生産する方法について
検討を行い、その結果ヒトNGFファミリーに属するペ
プチドなどの生理活性ペプチドを極めて効率よく生産す
る手法を見出すことに成功し、さらに検討して本発明を
完成するに到った。すなわち、本発明は(1)生理活性ペ
プチド産生能を有し、無血清培地中で浮遊撹拌培養が可
能となるように馴化せしめられた接着性動物細胞を培養
することを特徴とする生理活性ペプチドの製造方法、と
りわけ(2)動物細胞がチャイニーズハムスター卵巣細胞
である上記(1)の方法、(3)生理活性ペプチドが神経成
長因子(NGF)ファミリーに属するペプチドである上
記(1)の方法、特に(4)生理活性ペプチドがNGFであ
る上記(3)の方法、(5)生理活性ペプチドがNGF−2
である上記(3)の方法、および(6)培養が浮遊撹拌培養
でかつ灌流培養である上記(1)の方法であり、また(7)
ヒト神経成長因子ファミリーに属するペプチドを産生
し、無血清培地中で浮遊増殖可能なチャイニーズハムス
ター卵巣細胞、とりわけ(8)生理活性ペプチドがNGF
である上記(7)の細胞および(9)生理活性ペプチドがN
GF−2である上記(7)の細胞に関するものである。
本発明における接着性動物細胞としては、例えばチャイ
ニーズハムスター卵巣(CHO)由来の細胞、ベイビー
ハムスター腎臓(BHK)由来の細胞、ヒト子宮頸部癌
由来のHeLa細胞、マウス乳癌由来のC127細胞、マウス線
維芽細胞NIH/3T3、BALB3T3、アフリカミドリザル腎臓由
来のVero細胞およびVero細胞の亜株であるVerotsS3な
どが挙げられ、なかでもCHO細胞が好ましく用いられ
る。
【0008】本発明における生理活性ペプチドとして
は、ホルモン,鎮痛物質,リンホカイン,血球作用性因
子,酵素,神経伝達因子,成長因子などおよびこれらの
活性型誘導体またはムテインが挙げられる。その具体例
として例えばホルモンとしては、黄体形成ホルモン放出
ホルモン(LH−RH),甲状腺刺激ホルモン放出ホル
モン(TRH)、インスリン,ソマトスタチン,成長ホ
ルモン,プロラクチン,副腎皮質刺激ホルモン(ACT
H),メラノサイト刺激ホルモン(MSH),甲状腺刺
激ホルモン(TSH),黄体形成ホルモン(LH),卵
胞刺激ホルモン(FSH),バソプレシン,バソプレシ
ン誘導体{デスモプレシン〔日本内分泌学会雑誌,第5
4巻第5号第676〜691頁(1978)〕など},
オキシトシン,カルシトニン,副甲状腺ホルモン(PT
H),グルカゴン,ガストリン,セクレチン,パンクレ
オザイミン,コレシストキニン,アンジオテンシン,ヒ
ト胎盤ラクトーゲン,ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HC
G),セルレイン,モチリンなどが挙げられる。鎮痛物
質としては、エンケファリン,エンケファリン誘導体
〔米国特許第4277394号,ヨーロッパ特許出願公
開第31567号公報参照〕,エンドルフィン,ディノ
ルフィン,キョウトルフィンなどが挙げられる。リンホ
カインとしては、インターフェロン(α型,β型,γ
型),インターロイキン類(IL−1,−2,−3,−
4,−5,−6,−7,−8,−9,−10,−11な
ど)などが挙げられる。血球作用因子としては、顆粒球
コロニー刺激因子,顆粒球マクロファージコロニー刺激
因子,マクロファージコロニー刺激因子,エリスロポイ
エチン,サイモポイエチン,サイモシンなどが挙げられ
る。酵素としては、ウロキナーゼ,ティシュープラスミ
ノーゲンアクチベータ,カリクレインなどが挙げられ
る。神経伝達物質としては、ボムベシン,ニュウロテン
シン,ブラジキニン,サブスタンスPなどが挙げられ
る。成長因子としては、神経成長因子(NGF)ファミ
リー(NGF,BDNF,NGF−2,NT−4,NT
−5など),上皮細胞増殖因子(EGF),繊維芽細胞増
殖因子(FGF)ファミリー(aFGF,bFGF,I
NT−2,HST−1,FGF−5,FGF−6など)
などが挙げられる。
【0009】なかでも、本発明は、天然に微量しか存在
しないため大量取得が困難な生理活性ペプチド例えば成
長因子、とりわけ神経成長因子ファミリーに属するペプ
チド、例えばNGF,NGF−2〔フェブス レターズ
(FEBS Letters),第266巻,187頁(1990),NT−3
なる名称で A. Hohn ら,ネイチャー(Nature),第344
巻,399頁(1989)〕,BDNF〔B. Knusel ら,プロシ
ーディングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイ
エンス(Proc. Nat. Acad. Sci.),第88巻,961頁(199
1);A. Rosenthol ら,ニューロン(Neuron),第4
巻,767頁(1990)〕,NT−4〔Finn H. ら,ニユーロ
ン(Neuron),第6巻,第845頁(1991)〕,NT−5〔L
ucy R. Berkemeier ら,ニユーロン(Neuron),第7
巻,第857頁(1991)〕などの製造に好ましく用いられ
る。また、本発明は天然型の生理活性ペプチドあるいは
その活性型誘導体またはムテインのような非天然型生理
活性ペプチドのいずれにも用いうるが、その立体構造や
糖鎖の有無が生理活性の重要な要因となるものに特に有
利に用いることができる。
【0010】本発明製造法に用いる生理活性ペプチド産
生の接着性動物細胞は、既に樹立されている該性状の公
知株を用いてもよく、また必要に応じて上記の生理活性
ペプチドをコードする遺伝子を公知の遺伝子工学的手法
により上記の接着性動物細胞に組み込むことによって得
ることができる。目的の生理活性ペプチドの高発現株を
親株として用いることは当然有利である。すなわち、ヒ
トゲノムライブラリーあるいはヒトcDNAライブラリ
ーからクローニングによって、ヒトゲノムDNA,mR
NAあるいはcDNAからポリメラーゼ チェーン リア
クション(PCR)法によってあるいは化学合成により
得られた目的の生理活性ペプチドをコードする遺伝子を
取得し、これに必要に応じ適当なプロモーター(例え
ば、SV40由来のプロモーター,レトロウイルスのプ
ロモーター,サイトメガロウイルスのプロモーターな
ど),プロモーター−プレープロあるいはプロモーター
−シグナル(例えばIL−2遺伝子のシグナルなど)を
接続し、これを適当なベクターに挿入し、得られたベク
ターを用いて上記の接着性動物細胞を形質転換すること
により、本発明の生理活性ペプチド産生の接着性動物細
胞を得ることができる。このようにして得られた動物細
胞株の例として、例えばNGFファミリーに属するペプ
チド産生株では、例えばNGF産生株としては後述の実
施例で用いられているCHO−D31−10株や,CH
O−D31−10−2株(ヨーロッパ特許出願公開第4
14151号公報)など、またNGF−2産生株として
はCHO−N2−1株,CHO−N2−37株,CHO
−dN2−17株,CHO−dN2−19株(ヨーロッ
パ特許出願公開第386752号公報)などが挙げられ
る。
【0011】本発明において、接着性動物細胞の無血清
培地での浮遊撹拌培養への馴化方法としては、通常、有
血清培地を用いて浮遊撹拌培養に馴化(A)した後、無
血清培地に馴化(B)する方法が採られるが、浮遊撹拌
培養下で血清濃度を徐々に下げて無血清にまで到らしめ
る方法、すなわち(A)と(B)の馴化を同時に進める
方法も用いられる。また、逆にプレート培養などの静置
培養で先ず無血清培地に馴化した後、浮遊撹拌培養に馴
化する方法も有用である。有血清培地を用いて浮遊撹拌
培養に馴化(A)する際、用いる培地としては、動物細
胞の培養に通常用いられる基礎培地にウシ胎仔血清(FC
S)などの適当な血清を約0.1〜10%添加した培地、好ま
しくは約0.5〜5%添加した培地が、または血清代替物
質として血清由来増殖因子画分(GFS: 塚本ら、第2回
次世代産業基盤技術シンポジウム−バイオテクノロジー
予講集、175頁(1984))を添加した培地が用いられる。
基礎培地としては、イーグルMEM培地、ダルベッコ変
法イーグル培地(DMEM)、イスコフ培地(N. Iscove と
F. Melchers, ジャーナルエクスペリメンタル メソッ
ズ(J. Exp. Med.),第147巻,923頁(1978))、ハムF1
2培地(R. G. Ham, プロシーディングス オブ ナショ
ナル アカデミーオブ サイエンス(Proc. Nat. Acad.
Sci.),第53巻,288頁(1965))、L−15培地(A. Lei
bovitz, アメリカン ジャーナル オブ ハイジーン
(Amer. J.Hyg.), 第78巻,173頁(1963))、RPMI 1640
培地(G. E. Moore ら, ザ ジャーナル オブ ザ ア
メリカン メディカル アソシエイション(J. A. M.
A.), 第199巻, 519頁(1967))、ASF104培地(味の
素)、CHSF培地(ギブコ)、COSMEDIUM−001培地(コス
モバイオ)、E−RDF培地(極東製薬)、UC−103培地
(日水製薬)、UC−202培地(日水製薬)、S−Clone SF
−02培地(三光純薬)、T培地(日本製薬、特開昭60−
145088号公報)、TL−2培地(Y. Shintani ら, アプラ
イド ミクロバイオロジー アンド バイオテクノロジ
ー(Appl. Microbiol. Biotechnol.),第27巻,第533
頁(1988))およびこれらを適当な比率で混合した培地な
どが用いられるが、なかでもASF104培地、E−RDF培
地、TE培地およびこれらの混合培地が好ましく用いら
れる。
【0012】無血清培地に馴化(B)する際、用いる培
地としては、培地中の血清および血清代替物を除いて用
い、上記の各種基礎培地にアミノ酸、ビタミン、核酸、
増殖因子、ホルモン、その他の低分子化合物などを単独
または適当な組合せで、かつ適当な濃度で添加した培地
が用いられる。具体的にはインスリン、トランスフェリ
ン、エタノールアミン、セレニウム、プロリン、ポリエ
チレングリコール(PEG)などを添加した培地が用い
られる。また、遺伝子導入時に形質転換に使用した選択
マーカーに応じて、選択薬剤であるメソトレキセート
(MTX)、ミコフェノール酸またはG418などの薬剤を添
加してもよい。また血清濃度を徐々に下げて無血清にま
で到らしめる方法としては、例えば血清濃度を5%から
1%へ,1%から0.1%へ,0.1%から0.03%
へ,0.03%から0%へと細胞の継代毎に低下させ、
生育してきた細胞を取得する方法がとられる。浮遊撹拌
馴化に用いる培養装置としては、撹拌手段を備えた小型
の培養器ならいずれでも良く、例えば各種容量のスピナ
ーフラスコ、テクネ・スピナーフラスコ、エルレンマイ
ヤーフラスコおよびジャーファーメンターなどが用いら
れる。
【0013】浮遊攪拌および無血清培地に細胞を馴化す
るための培養方法自体は、公知の方法に従えばよく通常
約30〜40℃、攪拌回転数20〜100rpmで約3日〜7日毎に
継代を繰り返して行い、必要に応じてpH調節や通気を
行う。これらの馴化に要する全期間は約1ヵ月〜5ヵ月
である。また、例えば後述の実施例に示すように、この
馴化過程で基礎培地を適宜変更してもよく、これにより
得られる馴化細胞の基礎培地に対する生育順応性に幅を
持たせることが期待できる。このようにして得られる本
発明の馴化細胞は本来の接着性および血清依存性を実質
的に喪失しており、上記のような通常の撹拌培養条件下
では全く接着性を示さずかつ無血清培地中で撹拌培養に
より十分に生育可能である。上記のようにして得られた
馴化細胞株より高産生クローンを選択して用いる。高産
生クローン選択のためのクローニングの方法は公知であ
り、例えばコロニー分離法、限界希釈法、マイクロウェ
ル法(日本生化学会編・新生化学実験講座18、細胞培養
技術第12〜13頁(1990)、東京化学同人) などが挙げられ
る。また、例えば限界希釈法などを用いる高産生クロー
ンの選択を繰り返す、培地中の選択薬剤(MTXなど)の濃
度を徐々に上げながら継代し、選択薬剤耐性にすること
により、生理活性ペプチドの構造遺伝子を増幅させる、
あるいはこれらを組み合わせることにより、株レベルで
の生産性を向上させることは当然好ましい。
【0014】以上のようにして得られた生理活性ペプチ
ドの高産生株を用いて、目的の生理活性ペプチドを大量
に生産するべく無血清培地で大量培養を実施する。この
時の培養装置としては、通気手段、攪拌手段、温度調節
手段、pH制御ならびに溶存酸素(DO)制御手段など
培養に必要な部材が必要に応じて具備された公知の浮遊
攪拌培養槽(日本生化学会編・新生化学実験講座1、タ
ンパク質VI合成および発現282頁、286頁(1992)、東京化
学同人; 日本生化学会編・新生化学実験講座18、細胞培
養技術第313〜323頁(1990)、東京化学同人)が用いられ
る。またエアーリフト式培養槽(J. R. Birch ら,トレ
ンズ イン バイオテクノロジー(Trends in Biotechn
ol.)第3巻,162頁(1985)も用いられる。培養法として
は、バッチ培養,フィード培養(フェッド・バッチ培
養),灌流培養などが挙げられるが、なかでも効率的な
培養を行うためには、浮遊灌流培養が有利である。この
培養においては、新鮮な培地を連続的にまたは間欠的に
供給し、同量の培養上清液を連続的にまたは間欠的に排
出することにより、細胞を生存状態で高密度に保ちつつ
長期間維持することが可能である。灌流培養を実施する
ためには、培養槽に、培養液中の細胞と培養上清液との
分離手段、培養上清液の排出手段および新鮮培地の供給
手段が施される。培養液中の細胞と培養上清液との分離
手段としては、例えばフィルターによる分離、コーン型
細胞沈殿管や重力沈降管など細胞の沈降を利用した分
離、遠心分離などの分離手段が挙げらる。例えば、これ
らの分離手段が培養槽に施された培養システムを用い、
連続的に培養上清液を排出して新鮮培地と交換する方法
などが好ましく用いられる。培養上清液の排出と新鮮培
地の供給すなわち培地交換は、通常対数増殖期から静止
期までの期間、通常培養開始後、約2〜10日目、好まし
くは約3〜7日目から行われ、培地の交換速度は細胞密
度の増加とともに徐々に増加させることが好ましい。具
体的には、培養1日当たり培養液量の約10%〜100%な
かでも約20%〜60%交換するのが好ましい。
【0015】本発明の浮遊灌流培養に用いる無血清培地
としては、血清由来の不明成分を含まない、すなわち化
学的に成分が明らかな物質のみによって構成されている
動物細胞培養用培地を用いる細胞に応じて適宜調製すれ
ばよく、通常、血清あるいは血清代替物(血清画分な
ど)に替えて適当な添加剤を添加して用いられている。
具体的には、前述の各種基礎培地、好ましくはASF104培
地(味の素)、E−RDF培地(極東製薬)、T培地(日本
製薬)、TL−2培地、TE培地(イスコフ培地、ハム
F12培地およびE−RDF培地の1:1:2混合物) など
にインスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、
セレニウム、プロリン、ポリエチレングリコールなどを
添加した培地が用いられる。また、必要に応じて遺伝子
導入細胞の選択薬剤であるMTX、ミコフェノール酸ま
たはG418などの薬剤が添加される。具体的には、PEG−
86−1培地(Shintani ら, アプライド ミクロバイオ
ロジー アンド バイオテクノロジー(Appl. Microbio
l. Biotechnol.),第27巻,533頁(1988))、PEG−TE培
地(TE培地にインスリン3.5mg/l、トランスフェリン
6.0mg/l、エタノールアミン2.5×10-5M、亜セレン酸2.
5×10-8M、プロリン35mg/l、MTX 10μM、PEG1
g/lを添加したもの) などが使用される。浮遊灌流培養
時の温度は通常約30〜40℃、好ましくは37℃付近、攪拌
回転数は約20〜100rpm、好ましくは30rpm付近、pHは
約6〜8、好ましくは7付近、DOは約0.5 〜5ppm、
好ましくは1.5ppm付近にそれぞれ調節される。目的とす
る生理活性ペプチドは、排液貯槽に貯えられた培養上清
液から一定期間毎に、または培養終了後にまとめて回収
される。
【0016】本発明製造法により細胞外に生成、蓄積し
た生理活性ペプチドを分離、精製するには自体公知の分
離、精製法を適切に組み合わせて実施すればよい。これ
らの公知の分離、精製法としては、塩析、硫安沈殿およ
び溶媒沈殿法などの溶解度の差を利用する法、透析法、
限外ろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イ
オン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する
方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的
新和性を利用する方法、例えば抗体カラムおよびCu2+
カラムなどのメタルキレートカラム、逆相高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)などの疎水性の差を利用す
る方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する
方法などが挙げられる。
【0017】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を詳述するが、
本発明がこれに限定されるものではないことはいうまで
もない。なお、後述の実施例で得られた動物細胞は、以
下のとおり寄託されている。 動物細胞 IFO NIBH IFO No. FERM BP- No. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ CHO−D31−10−SF-K45 50403 4297 (1993年5月7日) (1993年5月19日) CHO−N2−1SF 50441 4624 (1994年3月23日) (1994年3月31日) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ IFO :財団法人発酵研究所 NIBH:通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
所 表中、( )内は寄託日を示す。
【0018】実施例1.浮遊攪拌への馴化 ヒトNGF産生CH0−D31−10細胞(Iwane ら、バイオ
ケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミ
ュニケーション(Biochem. Biophys. Res. Commun.),
第171巻, 116頁(1990):IFO 50217 FERM
BP−2574)の凍結保存バイアル1本を液体窒素保
存容器より取り出して37℃で急速解凍し、約9mlのASF1
04血清培地(ASF104培地にMTX 10μM、L−プロリン35
mg/l、FCS 10%添加した培地) と混合して遠心分離し
た。遠心上清液を捨て、残った細胞を約40mlの上記培地
に(生細胞数が約1×105個/mlとなるように)再懸濁し
てF75フラスコに入れ、5%炭酸ガスインキュベーター
中で37℃、4日間培養した。フラスコ壁面に接着して増
殖してきた細胞をトリプシン−EDTA処理により集め、約
10mlのASF104血清培地に懸濁して細胞数を計測した。こ
の細胞を50mlのASF104低血清培地(ASF104培地にMTX 10
μM、L−プロリン35mg/l、FCS 1%を添加した培地)
を添加した125ml容テクネ・スピナーフラスコに生細胞
数が約1.5×105/mlなるように移植し、37℃、40rpmで攪
拌培養を開始した。約1週間で浮遊細胞が約5×105/ml
の生細胞数まで増殖した。この浮遊細胞を集め、125ml
容テクネ・スピナーフラスコに約1.5×105/mlの生細胞
数になるように移植し、上記の条件下で再度攪拌培養を
行った。テクネ・スピナーフラスコを用いてさらに同様
の浮遊攪拌培養を4回繰り返し、ASF104低血清培地で誘
導期なしに約1×106/mlまで浮遊増殖できる細胞を得
た。
【0019】実施例2.無血清培地への馴化 実施例1で得られた浮遊攪拌馴化株を、100mlのASF104
無血清培地(ASF104培地にMTX 10μM、L−プロリン35
mg/l添加した培地) を添加した125ml容テクネ・スピナ
ーフラスコに約1×105/mlになるよう移植し、37℃、40
rpm で攪拌培養したところ、約8日間で浮遊細胞数が約
4×105/mlまで増殖したが、それ以上は増殖しなかっ
た。この8日目の細胞を集め、再び125ml容テクネ・ス
ピナーフラスコに約1×105/mlの生細胞数になるように
移植して培養した。このような無血清浮遊攪拌培養をさ
らに11回繰り返し、ASF104無血清培地で誘導期なしに1
×106/ml付近まで浮遊増殖できる細胞を得た。この細胞
はASF104無血清培地のみならず、E−RDF/ASF104(1:
1混合)無血清培地などでも良く増殖した。
【0020】実施例3.無血清浮遊攪拌への馴化(1) 実施例1記載のヒトNGF産生CH0−D31−10細胞を100
mlのASF104無血清培地を添加した125ml容テクネ・スピ
ナーフラスコに約3×105/mlになるよう移植し、37℃、
40rpmで攪拌培養したところ、細胞数が急激に減少した
が完全には死滅せず、約2週間後の生細胞数は約0.5×1
05/mlとなった。この培養液全量を遠心分離して細胞を
集め、30mlの新鮮ASF104無血清培地に懸濁してテクネ・
スピナーフラスコで培養し、3日目に培地を交換してさ
らに8日間培養したところ、生細胞数が約5×105/mlま
で増殖した。この細胞を集め、再び125ml容テクネ・ス
ピナーフラスコに約1.5×105/mlの生細胞数になるよう
に移植して培養した。このようなASF104無血清培地によ
る継代培養をさらに3回、次いでE−RDF無血清培地に
よる継代培養を6回、さらにTE無血清培地(TE培地
にインスリン3.5mg/l、トランスフェリン6.0mg/l、エタ
ノールアミン2.5×10-5M 、亜セレン酸(あるいは亜セ
レン酸ナトリウム)2.5×10-8M、プロリン35mg/l、MTX
10μM添加したもの) による継代培養を11回繰り返し
たところ、E−RDF/ASF104(1:1混合)無血清培地や
TE無血清培地で誘導期なしに1×106/ml付近まで浮遊
増殖できる細胞を得ることができた。
【0021】実施例4.クローニングによる高産生クロ
ーンの選択 実施例2と3で得られた無血清浮遊攪拌馴化株のヒトN
GF産生能は、いずれも馴化前の株に比べて50%程度低
かったので、実施例3で得られた細胞から高産生株を選
択する目的で限界希釈培養法によりクローニングを行っ
た。すなわち、培養フラスコより培養液を採取して遠心
分離し、細胞を集めて0.03%トリプシン−0.01%EDTA含
有PBS溶液で37℃、2分間処理した後、クローニング用
培地(TE培地に0.1%FCS、MTX 10μM、L−プロリン
35mg/l添加した培地) で細胞を洗浄した。得られた細胞
をクローニング用培地に懸濁し、細胞数が1ml当たり5
個となるよう同じ培地で希釈した。この液を0.1mlず
つ、約15枚の96ウェルプレートの各ウェルに分注し、2.
5%炭酸ガスインキュベーター中で37℃、18日間培養し
た。細胞の生育が認められたウェルを選択し、新鮮なク
ローニング用培地0.1mlを追加した。さらに5日間培養
した後、0.5mlのTE無血清培地を分注した24ウェルプ
レートに移植した。移植量は0.1mlを標準として成育状
況に応じて適宜増減させた。2.5%炭酸ガスインキュベ
ーター中、37℃で5日間培養した後、各ウェルの培養液
を100μlずつ採取し、新しい24ウェルプレートに継代し
た。残りはさらに2日間培養を継続した後、NGFの生
産量を公知のエンザイムイムノアッセイ法(G. Heinric
h および T. E. Meyer, バイオケミカル バイオフィジ
カルリサーチ コミュニケーション(Biochem. Biophy
s. Res. Commun.),第155巻,482頁(1988))により測
定した。比較的高い生産性を示すクローンを44個選び、
5日目に継代したプレートから細胞を12ウェルプレー
ト、F25フラスコ、F75フラスコおよび125ml容エルレ
ンマイヤーフラスコへとTE無血清培地で順次継代して
培養した。エルレンマイヤーフラスコによる回転振盪培
養(100rpm)で良く増殖した24個のクローンを選んで12
5ml容テクネ・スピナーフラスコに低播種密度(0.3×105
/ml)で移植し、TE無血清培地で攪拌培養して最も生
産性の高いクローンを1株(SF−K45)選択した。こ
のSF−K45株はテクネ・スピナーフラスコによる培
養の結果10.7mg/l のヒトNGF生産量を示した。
【0022】実施例5. 2リットル容ジャーファーメ
ンターによる無血清浮遊バッチ培養 実施例4で得られたSF−K45株の凍結保存バイアル1
本を液体窒素保存容器より取り出して37℃で急速解凍
し、約9mlのTE無血清培地と混合して遠心分離した。
遠心上清液を捨て、残った細胞を約40mlの上記培地に
(生細胞数が約1個×105/mlとなるように)再懸濁してF
75フラスコに入れ、5%炭酸ガスインキュベーター中で
37℃、3日間培養した。増殖してきた細胞を遠心分離し
て集め、100mlのTE無血清培地を添加した125ml容テク
ネ・スピナーフラスコに生細胞数が約1×105/mlなるよ
うに移植し、37℃で5日間攪拌培養した。増殖してきた
細胞をさらに500ml容テクネ・スピナーフラスコに移植
して対数増殖期後期まで培養した。その細胞を、約1リ
ットルのPEG−TE無血清培地(TE培地にインスリ
ン3.5mg/l、トランスフェリン6.0mg/l、エタノールアミ
ン2.5×10-5M、亜セレン酸2.5×10-8M、プロリン35mg
/l、MTX10μMおよびPEG1g/l 添加したもの)を
添加した2リットル容ジャーファーメンターに約0.8×1
05/mlの播種密度で移植し、36℃、攪拌回転数30rpmで培
養を開始した。培養5日目にグルコースを0.3%添加
し、pHは7.0付近、溶存酸素(DO)は1.5ppm付近に
コントロールして培養した結果、約15mg/lのヒトNGF
が生産された。この時の培養経過を〔図1〕に示した。
【0023】実施例6. 200リットル容攪拌培養槽によ
る無血清浮遊バッチ培養 実施例4で得られたSF−K45株の凍結保存バイアル1
本を液体窒素保存容器より取り出して37℃で急速解凍
し、約9mlのTE無血清培地と混合して遠心分離した。
遠心上清液を捨て、残った細胞を約40mlの上記培地に再
懸濁してF75フラスコに入れ、5%炭酸ガスインキュベ
ーター中で37℃、3日間培養した。増殖してきた細胞を
遠心分離して集め、 100mlのTE無血清培地を仕込んだ
125ml容テクネ・スピナーフラスコに生細胞数が約1×1
05/mlなるように移植し、37℃で5日間攪拌培養した。
増殖してきた細胞をさらに500ml容テクネ・スピナーフ
ラスコ、3リットル容スピナーフラスコ、50リットル容
種培養槽(実容量25リットル)に順次移植して培養し
た。50リットル容種培養槽で対数増殖期後期まで培養し
た培養液20リットルを、約90リットルのPEG−TE無
血清培地を仕込んだ200リットル容攪拌培養槽に移植
し、36℃、攪拌回転数30rpm で培養を開始した。培養4
日目にグルコースを0.3%分添加し、pHは7.0付近、溶
存酸素は1.5ppm付近にコントロールして培養した結果、
約15mg/l のヒトNGFが生産された。
【0024】実施例7.2リットル容ジャーファーメン
ターによる無血清浮遊灌流培養 実施例5と同様の方法により500ml容テクネ・スピナー
フラスコで対数増殖期の後期まで増殖した細胞を、約1
リットルのPEG−TE無血清培地を仕込んだ2リット
ル容ジャーファーメンターに約0.8×105/mlの播種密度
で移植し、36℃、攪拌回転数30rpmで培養を開始した。
培養5日目から約3%の培地交換速度(培養液量1リッ
トルに対する培養1日当たりの培地交換比率)で灌流を
開始し、細胞密度が高くなるにつれて培地交換速度を徐
々に約60%まで増加させた。培養液のpHは7.0付近、
溶存酸素(DO)は1.5ppm付近にコントロールして培養
した。その結果、1ヵ月間の培養で、細胞が約1×107/
mlの密度まで増殖し、積算量として318mgのヒトNGF
が生産された。この時の培養経過を〔図2〕に示す。ま
た、バッチ培養時と灌流培養時におけるヒトNGF生産
性の比較を〔表1〕に示した。灌流培養時の生産性はバ
ッチ培養時に比べて、単位リアクター容量当たりでは約
20倍、培養1日当たり・単位リアクター容量当たりでは
約10倍、消費培地量当たりでは約2倍となり、灌流培養
法の有利性が確認された。
【0025】
【表1】 バッチ培養と灌流培養のhNGF生産性比較 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 培養 培養 培 地 容量 期間 消費量 hNGF生産性 (L) (日) (L) (mg/L)1) (mg/L/日)2) (mg/L培地)3) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ バッチ培養 1 14 1.0 15 1.1 15 灌流培養 1 31 10.7 318 10.3 30 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1) 培養容量1リットル当たりの生産性2) 培養1日当たり・培養容量1リットル当たりの生産
3) 培地消費量1リットル当たりの生産性
【0026】実施例8.ヒトNGFの単離 培養液を遠心分離し、その培養上清(150リットル)に、
EDTA、PMSF、APMSF、CHAPSをそれぞれ最終濃度が1m
M、1mM、0.1mM、0.05%になるように添加した後、
限外膜(PTGC:ペリコンカセットシステム、ミリポアー
社)を用いて濃縮し、6リットルの濃縮液を得た。この
濃縮液を酢酸で、pH6.0に調製したのち、0.1Mリン酸
緩衝液+1mM EDTA+0.05%CHAPS(pH6.0)で平衡
化させたS−Sephadex のカラム(5×43cm)に吸着さ
せ、0.1Mリン酸緩衝液+1mM EDTA+0.05%CHAPS+15
0mM NaCl(pH6.0)で洗浄、更に20mMトリス塩酸+
1mM EDTA+0.1%CHAPS(pH7.4)で洗浄した後に、2
0mMトリス塩酸+1mM EDTA+0.1%CHAPS+700mM NaC
l(pH7.4)で溶出した。ヒトNGFを含むフラクショ
ンを集めダイアフローセル(YM−10膜、アミコン社)
で1/50〜1/100量に濃縮した。得られた濃縮液を20mM
トリス塩酸+1mM EDTA+0.1%CHAPS+150mM NaCl
(pH7.4)で平衡化したトヨパールHW−50Fのカラ
ム(4.5×60cm)でゲル濾過を行った。主溶出画分を集
め、pHを6.5に調製した。この液を20mMリン酸緩衝液
+1mM EDTA+0.05%CHAPS+150mM NaCl(pH6.5)
で平衡化したTSK gelSP−5PWのカラム(2.15×
15cm)に吸着させた。150mM NaClと1MNaClの間で濃
度勾配をかけて溶出を行い、主溶出画分を集め、さら
に、TSK gel Phenyl−5PW RPのカラム(2.15×
15cm)にかけた。0.1%トリフルオロ酢酸を含む0〜80
%のアセトニトリルの濃度勾配により溶出を行い、主溶
出画分を集めて、凍結乾燥を行った(収量419mg)。更
に、同一条件で再度クロマトグラフィーを行い、ヒトN
GF精製標品155mgを得た。本取得標品の蛋白化学分析
結果としてアミノ酸組成分析結果を〔表2〕に、N末端
アミノ酸配列分析結果を〔表3〕に、C末端アミノ酸分
析結果を〔表4〕にそれぞれ示す。SDS−PAGE
(濃縮用ゲル:6%;分離用ゲル:15%;還元条件:
50mM DTT、100℃,2分;銀染色法)の結果を
〔図3〕に示した。また、PC−12細胞を用いて生物活
性を測定したところ、本標品はマウスNGFとほぼ同程
度の活性を示した。
【0027】
【表2】 アミノ酸組成分析 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1モル当たりの NGF塩基配列から アミノ酸 残 基 数 予測される理論値 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Asx 12.97 13 Thr 9.30 10 Ser 9.50 11 Glx 6.50 6 Pro 2.93 3 Gly 7.00 7 Ala 6.74 7 Cys1) 6 Val 12.37 13 Met 1.81 2 Ile 5.79 6 Leu 3.08 3 Tyr 1.92 2 Phe 6.13 7 His 3.94 4 Lys 9.00 9 Arg 7.79 8 Trp2) 3.06 3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Acid hydronolysis (6N HCl−1%フェノール 110℃,24時間加水分解の
値)1) 未検討2) Edelhoch の方法により測定 ca. 20μg 用いて分析を行った。
【0028】
【表3】 N末端アミノ酸組成分析 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 残基 検出された NGF塩基配列から No. アミノ酸(pmole) 予測されるアミノ酸 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 Ser (298) Ser 2 Ser (289) Ser 3 Ser (222) Ser 4 His ( 37) His 5 Pro (288) Pro 6 Ile (315) Ile 7 Phe (352) Phe 8 His ( 29) His 9 Arg ( 51) Arg 10 Gly (292) Gly 11 Glu (114) Glu 12 Phe (243) Phe 13 Ser ( 79) Ser 14 Val (192) Val 15 X Cys 16 Asp ( 80) Asp 17 Ser (---) Ser 18 Val (171) Val 19 X Ser 20 Val (155) Val ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気相プロテインシークエンサーモデル477A(バイオ
システム社製)を使用1 nmole を用いて分析を行った。 X;未検討
【0029】
【表4】
【0030】実施例9.無血清浮遊撹拌への馴化(2) ヒトNGF−2産生CHO−N2−1細胞(ヨーロッパ
特許出願公開第386752号;特開平5−10367
5号)の凍結保存バイアル1本を液体窒素保存容器より
取り出して37℃で急速解凍し、約9mlのTE血清培地
(TE培地にMTX2μM,L−プロリン35mg/l, FCS 10%
添加した培地)と混合して遠心分離した。遠心上清液を
捨て、残った細胞を約50mlの上記培地に(生細胞数が約
1×105/mlとなるように)再懸濁してF150フラスコに
入れ、5%炭酸ガスインキュベーター中で37℃、4日間
培養した。フラスコ壁面に接着して増殖してきた細胞を
トリプシン−EDTA処理により集め、約50mlのTE無血清
培地(TE培地にインスリン3.5mg/l, トランスフェリ
ン6.0mg/l, エタノールアミン2.5×10-5M,亜セレン酸
2.5×10-8M,L−プロリン35mg/l, MTX 2μM添加した
培地)を分注した125ml容テクネ・スピナーフラスコに
生細胞数が約1×105/mlなるように移植し、37℃,30rp
m で撹拌培養した。培養3日目に細胞数が約半数に減少
したが、さらに培養を続けたところ、9日後の生細胞数
は約4×105/mlとなった。この細胞を集め、約100mlの
新鮮TE無血清培地に生細胞数が約1×105/mlなるよう
に移植してテクネ・スピナーフラスコで5日間培養(37
℃,30rpm)し、生細胞数が約5×105/mlまで増殖させ
た。この細胞を集め、再び125ml容テクネ・スピナーフ
ラスコに約1×105/mlの生細胞数になるように移植して
37℃,50rpm で6日間培養した。同様の手順によりTE
無血清培地による継代培養をさらに17回繰り返し、TE
無血清培地で誘導期なしに1×106/ml付近まで浮遊増殖
できる馴化細胞CHO−N2−1SFを得た。
【0031】実施例10.テクネ・スピナーフラスコに
よる無血清浮遊バッチ培養 実施例9で得られたCHO−N2−1SF株を、100ml
のPEG−TE無血清培地(TE無血清培地にPEG
1g/l 添加したもの)を分注した125ml容テクネ・スピ
ナーフラスコに生細胞数が約1×105/mlなるように移植
し、37℃,50rpmで培養を開始した。培養6日目にグル
コースを0.3%添加し、pHを中性付近にコントロール
してさらに15日間培養を継続した結果、約2mg/l のヒ
トNGF−2が生産された。ヒトNGF−2の生産量
は、公知の酵素免疫測定法(EIA)〔バイオケミカル
アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーショ
ン(Biochem. Biophys. Res. Commun.) 第194巻
(3)1500頁(1993年)〕に準じて測定した。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、生理活性ペプチド産生
細胞を無血清培地中でその高生産性を維持しつつ長期に
わたり大量培養することができるため、生産性、精製効
率等の面で生理活性ペプチドの遺伝子組換え動物細胞を
用いた工業的製造に有利に利用できる。従って、本発明
は、例えば活性型ヒトNGFファミリーペプチド(NG
F,NGF−2など)などの生理活性ペプチドの工業的
生産による大量供給を可能にし、これらの生理活性ペプ
チドを医薬へ応用する際の貢献度が大である。
【0018】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で得られたSF−K45株の無血清浮遊
バッチ培養の培養経過を示す。
【図2】実施例4で得られたSF−K45株の無血清浮遊
灌流培養の培養経過を示す。
【図3】実施例4で得られたヒトNGF精製標品のSD
S−PAGEを示す。
【符合の説明】
Mは分子量マーカーを、Aは実施例4で得られたヒトN
GF精製標品を、BはマウスNGF標品をそれぞれ示
す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生理活性ペプチド産生能を有し、無血清培
    地中で浮遊撹拌培養が可能となるように馴化せしめられ
    た接着性動物細胞を培養することを特徴とする生理活性
    ペプチドの製造方法。
  2. 【請求項2】動物細胞がチャイニーズハムスター卵巣細
    胞である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】生理活性ペプチドがヒト神経成長因子ファ
    ミリーに属するペプチドである請求項1記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】生理活性ペプチドがNGFである請求項3
    記載の製造法。
  5. 【請求項5】生理活性ペプチドがNGF−2である請求
    項3記載の製造法。
  6. 【請求項6】培養が浮遊撹拌培養でかつ灌流培養である
    請求項1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】ヒト神経成長因子ファミリーに属するペプ
    チドを産生し、無血清培地中で浮遊増殖可能なチャイニ
    ーズハムスター卵巣細胞。
  8. 【請求項8】生理活性ペプチドがNGFである請求項7
    記載の細胞。
  9. 【請求項9】生理活性ペプチドがNGF−2である請求
    項7記載の細胞。
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