JPH08192582A - 熱転写用印画紙 - Google Patents

熱転写用印画紙

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JPH08192582A
JPH08192582A JP7024693A JP2469395A JPH08192582A JP H08192582 A JPH08192582 A JP H08192582A JP 7024693 A JP7024693 A JP 7024693A JP 2469395 A JP2469395 A JP 2469395A JP H08192582 A JPH08192582 A JP H08192582A
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フイ サム
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱転写用印画紙の走行性を向上させると共
に、印画紙を表裏逆にしてプリンターに誤送した場合に
伴うトラブルも抑制し、同時に耐裏移り性と耐ブロッキ
ング性とを向上させる。 【構成】 基材2の一方の面に染料受容層3を有し、他
面にバックコート層4を有する熱転写用の印画紙1にお
いて、バックコート層4を、ビニルフェノール系樹脂と
多官能イソシアネート化合物との架橋反応物から構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バックコート層を有す
る熱転写用印画紙に関する。さらに詳しくは、本発明
は、昇華型熱転写記録に好適に使用することができる熱
転写用印画紙であって、特定のバックコート層を設ける
ことにより、プリンター内での走行性が向上し、染料の
裏移りとブロッキングとが抑制された熱転写用印画紙に
関する。
【0002】
【従来の技術】昇華性又は熱拡散性の染料からなるイン
ク層を有するインクリボンと、染料受容層を有する印画
紙とを重ね合わせ、そのインク層をサーマルヘッド等に
より画像情報に応じて加熱し、インクリボンのインク層
から印画紙の染料受容層に染料を移行させて画像を形成
する昇華型熱転写記録方法が知られている。この方法に
よれば、連続的な階調のフルカラー画像を形成すること
ができるので、ビデオ画像をハードコピーする方法とし
て注目されている。
【0003】図1は、昇華型熱転写記録に使用される一
般的な熱転写用印画紙1の断面図である。同図に示した
ように、この印画紙1は基材2の一方の面に染料受容層
3を有し、他面にバックコート層4を有している。
【0004】ここで、染料受容層3は、熱転写記録時に
インクリボンから移行してくる染料を受容し、それによ
り形成された染料画像を保持する層である。このような
染料受容層3は、従来より染料に染着されやすいポリエ
ステル、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリ
塩化ビニル等の熱可塑性樹脂から形成されている。
【0005】また、バックコート層4は、印画紙同士の
間や印画紙とプリンター内のゴムローラとの間の摩擦係
数を調整して印画紙の走行性を向上させ、それにより、
熱転写記録を行うプリンター内で印画紙が縦ずれや横ず
れを起こさないようにするとともに、本来一枚ずつプリ
ンターに送り込まれるべき印画紙が複数枚重なってプリ
ンターに送り込まれる重送現象が生じないようにしてい
る。更に、バックコート層4は、印画紙をその表裏を逆
にしてプリンターに誤送し印画してしまった場合でも、
プリンター内で印画紙とインクリボンとが融着しないよ
うにし、プリンター内での機械的なトラブルが発生しな
いようにしている。このようなバックコート層4として
は、従来より、アクリル系樹脂やポリアミド系樹脂、あ
るいはアルキレングルコールと多官能アミノ樹脂との架
橋反応物(特開平6−40176号公報)、また、シリ
コーンブロック共重合体(特開平5−208564号公
報)などから形成されたものが使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、プリ
ント速度が高速化し、しかも印字エネルギーが増大する
中で、従来の熱転写用印画紙に形成されたバックコート
層では、熱転写用印画紙の走行性を向上させることと、
熱転写用印画紙を表裏逆にしてプリンターに誤送した場
合にインクリボンと印画紙とが融着しないようにするこ
ととを同時且つ十分に満足させることができなくなって
いるという問題があった。
【0007】また、従来のバックコート層を有する熱転
写用印画紙の当該バックコート層を、他の熱転写用印画
紙の染料画像が形成された染料受容層に重ねて置いた場
合、その染料受容層からバックコート層へ染料が移行す
るという裏移りが生じるという問題もあった。
【0008】更に、従来の熱転写用印画紙を複数枚重ね
て保存した場合、染料受容層とバックコート層とがブロ
ッキングを起こすという問題もあった。このブロッキン
グの問題は、熱転写用印画紙の製造の際にも発生してい
た。即ち、図1に示すような熱転写用印画紙は、通常、
基材の裏面にバックコート層を形成し、それをロールに
いったん巻き取った後に、そのロールからバックコート
層が形成された基材を引き出し、その基材の表面に染料
受容層を形成し、それをロールに、再び巻き取ることに
より製造されている。従って、ロールに強く巻かれた状
態で、染料受容層とバックコート層とが接触することと
なるので、ブロッキングの問題が生じていた。
【0009】本発明はこのような従来技術の欠点を解消
しようとするものであり、熱転写用印画紙の走行性を向
上させると共に、印画紙を表裏逆にしてプリンターに誤
送した場合に伴うトラブルも抑制し、同時に印画紙の耐
裏移り性と耐ブロッキング性とを向上させることを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、熱転写用印
画紙のバックコート層を、ビニルフェノール系樹脂と多
官能イソシアネート化合物との架橋反応物から構成する
ことにより上記の目的が達成できることを見出し、本発
明を完成させるに至った。
【0011】即ち、本発明は、基材の一方の面に染料受
容層を有し、他面にバックコート層を有する熱転写用印
画紙において、バックコート層が、ビニルフェノール系
樹脂と多官能イソシアネート化合物との架橋反応物を含
有することを特徴とする熱転写用印画紙を提供する。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明の熱転写用印画紙は、図1に示した
熱転写用印画紙と同様に、基本的にシート状の基材2と
その表面に形成された染料受容層3と、裏面に形成され
たバックコート層4とから構成されている。ここで、こ
のバックコート層4には、ビニルフェノール系樹脂と多
官能イソシアネート化合物との架橋反応物が含有されて
いる。
【0014】バックコート層4に使用されるビニルフェ
ノール系樹脂としては、p−ビニルフェノールもしくは
m−ビニルフェノール等のビニルフェノールの単独重合
体及びp−ビニルフェノールもしくはm−ビニルフェノ
ール等のビニルフェノールと他のモノマーとの共重合体
のいずれも使用することができる。このようなビニルフ
ェノールの単独重合体あるいは共重合体は、その一方を
使用してもよく、双方を併用してもよい。工業的入手容
易性の点からは、p−ビニルフェノール重合体を使用す
ることが好ましい。
【0015】ビニルフェノール共重合体について、その
共重合体を構成する他のモノマーとしては種々のモノマ
ーを使用することができるが、例えば、ハロゲン化p−
ビニルフェノール、スチレン、(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。また、ビニ
ルフェノール系樹脂がビニルフェノールの単独重合体、
共重合体のいずれからなる場合でも、ビニルフェノール
系樹脂には、ビニルフェノールが還元されたシクロヘキ
サノールユニット、例えば、p−シクロヘキサノールユ
ニットが含まれていてもよい。ただし、ビニルフェノー
ル系樹脂におけるビニルフェノールユニットの割合は1
重量%以上とすることが好ましい。
【0016】ビニルフェノールの単独重合体あるいは共
重合体としては、そのガラス転移点が低すぎるとブロッ
キングの原因となるので、通常25〜200℃のガラス
転移点を有するものが好ましい。また、分子量に関して
は、小さすぎるとバックコート層4がもろくなり、大き
すぎると溶剤への溶解性が低下し成膜時の作業性が低下
するので、通常1000〜200000の分子量を有す
るものが好ましい。
【0017】バックコート層4におけるビニルフェノー
ル系樹脂の割合は、好ましくは30〜90重量%、より
好ましくは50〜85重量%とする。
【0018】バックコート層4に使用される多官能イソ
シアネート化合物としては、無黄変タイプのものが好ま
しく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HD
I)、ビウレット等の脂肪族ポリイソシアネートや、ト
ルエンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシ
アネート(XDI)等の芳香族ポリイソシアネートを使
用することができる。これらは、単独で使用してもよく
複数種を併用してもよい。
【0019】また、ビニルフェノール系樹脂と多官能イ
ソシアネート化合物とから架橋反応物を形成する場合、
種々の手段により行うことができるが、安全性や設備的
な観点からは加熱により架橋させることが好ましい。
【0020】このような架橋反応物において、上述した
ビニルフェノール系樹脂及び多官能イソシアネート化合
物の配合割合は、多官能イソシアネート化合物の配合割
合が多すぎると、バックコート層4を形成するために使
用する塗料のポットライフが短くなり、逆に少なすぎる
と架橋密度が低下して本発明の効果が得られなくなるの
で、ビニルフェノール系樹脂100重量部に対し、多官
能イソシアネート化合物を好ましくは1〜100重量
部、より好ましくは20〜80重量部とする。
【0021】なお、バックコート層4には、上述のビニ
ルフェノール系樹脂及び多官能イソシアネート化合物の
他、必要に応じて種々の添加剤を配合することができ
る。例えば、有機又は無機フィラー等の摩擦係数調整
剤;ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン
パウダー等の固形ワックス類、フッ素系剤、リン酸エス
テル系の界面活性剤、シリコーンオイル、高融点シリコ
ーンワックス等の離型剤;ポリアルキレングリコール、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水性
インキ筆記性向上剤;陽イオン型界面活性剤(第4級ア
ンモニウム塩、ポリアミン等)、陰イオン型界面活性剤
(アルキルベンゼンスルホネート、アルキル硫酸エステ
ルナトリウム塩等)、両性イオン型界面活性剤、非イオ
ン型界面活性剤等の帯電防止剤などを適宜配合すること
ができる。なお、このような帯電防止剤は、バックコー
ト層4内に含有させる他、バックコート層4の表面にコ
ーティング等により塗布してもよい。
【0022】本発明の熱転写用印画紙において、基材2
や染料受容層3は従来の熱転写用印画紙と同様に構成す
ることができる。
【0023】例えば、基材2としては、上質紙、コート
紙等の紙類、種々のプラスチックシート、あるいはこれ
らの複合シート等を使用することができる。
【0024】また、染料受容層3としては、ポリエステ
ル、セルロースエステル、ポリビニルブチラール、ポリ
カーボネート、ポリ塩化ビニル等の染着性樹脂から形成
することができる。ここで、染料受容層3にも必要に応
じて種々の添加剤を含有させることができる。例えば、
染料受容層3の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を
高め、更に画像表面に筆記性を付与し、しかも転写画像
の再転写を防止するために、蛍光増白剤や白色顔料を含
有させることができる。ここで、白色顔料としては、酸
化チタン、酸化亜鉛、カオリン、クレー、炭酸カルシウ
ム、微粉末シリカ等を使用することができる。また、転
写画像の耐光性を向上させるために、紫外線吸収剤、光
安定剤、酸化防止剤等も使用することができる。また、
熱転写時のインクリボンとの離型性を向上させるため
に、前述と同様の離型剤を含有させることができる。ま
た、静電気の発生を抑制するために、前述と同様の帯電
防止剤を含有させることができる。
【0025】本発明の熱転写用印画紙は常法により製造
することができ、例えば、バックコート層形成用塗料を
調製し、それを常法により基材2の裏面に塗工し、キュ
アリングしてバックコート層4を形成し、更に基材2の
表面に染料受容層形成用塗料を塗布し、キュアリングし
て染料受容層3を形成することにより製造することがで
きる。
【0026】
【作用】本発明の熱転写用印画紙においては、そのバッ
クコート層がビニルフェノール系樹脂と多官能イソシア
ネート化合物との反応物を含有する。この反応物に用い
られているビニルフェノール系樹脂は、比較的固く摩擦
係数が低い樹脂である。しかも、その反応物は架橋構造
を有している。従って、ビニルフェノール系樹脂と多官
能イソシアネート化合物との架橋反応物を含有するバッ
クコート層は、印画紙の走行性を向上させる。また、印
画紙を表裏逆にしてプリンターに誤送した場合に、印画
紙とインクリボンとの融着の問題やプリンター内の機械
的なトラブルも抑制する。更に、印画紙の耐裏移り性と
耐ブロッキング性とを向上させる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0028】実施例1〜10 シート状の基材として、150μm厚の合成紙(王子油
化(株)製、FPG−150)を用意し、この表面に乾
燥膜厚が10μmとなるように表1の組成の染料受容層
形成用塗料を塗布し、120℃で2分間硬化させて染料
受容層を形成した。
【0029】
【表1】染料受容層形成用塗料 成分 (重量部) 染料受容性樹脂*1 20 シリコーン 0.2 イソシアネート 1.0 MEK 40トルエン 40 表1注 *1: 各実施例について、染料受容性樹脂として3種類
の樹脂[染料受容性樹脂A(セルロースアセテートブチ
レート樹脂;CAB500−5,イーストマンコダック
社製)、染料受容性樹脂B(ポリビニルブチラール樹
脂;BH−S,積水化学工業社製)又は染料受容性樹脂
C(ポリエステル樹脂;バイロン200,東洋紡績社
製)]を使用した。
【0030】次に、表2の組成の混合物を、固形分10
%となるようにトルエン/MEKの混合溶媒で希釈する
ことによりバックコート層形成用塗料を調整し、それを
シート状の基材の裏面に乾燥膜厚が5μmとなるように
塗布し、キュアリング(条件:60℃、48時間)して
バックコート層を形成することにより熱転写用印画紙を
作製した。
【0031】
【表2】 (重量部) 成分 実施例 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ビニルフェノール樹脂D*2 100 100 100 100 − − − − − − ビニルフェノール樹脂E*3 − − − − 100 100 − − − − ビニルフェノール樹脂F*4 − − − − − 100 100 − − − ビニルフェノール樹脂G*5 − − − − − − − − 100 100 多官能イソシアネート化合物H*6 20 50 20 20 30 − 50 − 40 − 多官能イソシアネート化合物I*7 − − − − − 30 − 20 − 10 無機フィラー*8 − 2.5 2.5 2.5 − 2.5 5.0 5.0 5.0 5.0 帯電防止剤*9 − − 0.3 − − 0.3 − 0.3 0.3 − 界面活性剤*10 − − − 0.5 − − − − − 0.5 表2注 *2; マルカリンカ-M(ヒ゛ニルフェノールホモホ゜リマー),丸善石油化学社製 *3; マルカリンカ-PHM-C(ヒ゛ニルフェノールホモホ゜リマーの還元処理体),丸善石油化学社製 *4; マルカリンカ-CST15(ヒ゛ニルフェノール/スチレン共重合体),丸善石油化学社製 *5; マルカリンカ-CMM(ヒ゛ニルフェノール/メタクリル酸メチル共重合体),丸善石油化学社製 *6; タケネートD-110N(無黄色XDIタイフ゜),武田薬品工業社製 *7; タケネートD-160N(無黄色HDIアタ゛クトタイフ゜),武田薬品工業社製 *8; NS#1000(炭酸カルシウム),日東粉化工業社製 *9; STATICIDE,ACL Inc製 *10; サーフロンS141(フッ素系界面活性剤),旭硝子社製
【0032】比較例1〜3 表2に示したバックコート層形成用塗料に代えて、表3
〜表5に示す配合のバックコート層形成用塗料を使用す
る以外は、実施例1と同様にして熱転写用印画紙を作製
した。
【0033】
【表3】比較例1のバックコート層形成用塗料 成分 重量部 ポリアミド樹脂 10 (バーサミド940,ヘンケル白水社製) シリコーン系界面活性剤 0.1 (KF615,信越化学社製) 炭酸カルシウム 0.5 (NS#1000,日東粉化工業社製)イソプロピルアルコール 90
【0034】
【表4】比較例2のバックコート層形成用塗料 成分 重量部 ポリアクリルポリオール 10 (VA−702,武田薬品工業社製) 多官能イソシアネート化合物 10 (D−170N,武田薬品工業社製) フッ素系界面活性剤 0.1 (KF615,信越化学社製) 炭酸カルシウム 0.5 (NS#1000,日東粉化工業社製)トルエン 80
【0035】
【表5】比較例3のバックコート層形成用塗料 成分 重量部ホ゜リスチレン /アクリル共重合体 10 (エスレックP、セキスイ社製) 帯電防止剤 0.1 (staticide,ALC Inc製) 0.5μルチル型酸化チタン 0.5 (石原産業社製)トルエン/MEK 90
【0036】(評価)作製した熱転写用印画紙に対し、
「耐ブロッキング性」、染料に対する「耐裏移り性」、
プリンター内での「走行性」及び印画紙の裏面(バック
コート層)に印字した場合の「耐インクリボン融着性」
について以下に説明するように試験し評価した。
【0037】「耐ブロッキング性」試験 同種の印画紙2枚を用意し、一方の印画紙の染料受容層
と他方の印画紙のバックコート層とが接するように重ね
合わせた。このように重ね合わせたものを5組用意し、
これらをそれぞれ2枚のガラス板の間に圧力10kg/
cmで挟み込み、温度60℃で48時間保持すること
により「耐ブロッキング性」試験を行った。試験終了
後、2枚のガラス板の間から印画紙を取り出し、2枚の
印画紙の界面のブロッキングの状態を以下の評価基準に
より評価した。その結果を表6〜表8に示す。
【0038】耐ブロッキング性評価基準 ランク 状態 ○: 5組すべてについて印画紙同士が密着することな
く且つ染料受容層表面に変化がない場合 △: 1組でも、部分的に軽く密着し又は染料受容層表
面の光沢が変化する場合 ×: 1組でも、全面的に融着する場合。
【0039】「耐裏移り性」試験 熱転写用印画紙と昇華型熱転写インクリボン(VPM3
0STA、ソニー(株)製)とをマチレス社製の標準プ
リンター(印加パルス幅5msec/line)に装着
し、12階調のステアステップ印画と黒ベタ印画とを熱
転写用印画紙の染料受容層に行った。得られた画像面
(染料受容層面)と同種の未使用の印画紙の裏面(バッ
クコート層)とを重ね合わせた。これを2枚のガラス板
の間に圧力10kg/cmで挟み込み、温度60℃で
48時間保持することにより「耐裏移り性」試験を行っ
た。
【0040】試験終了後、2枚のガラス板の間から印画
紙を取り出し,その2枚の印画紙を引き剥がし、裏面に
移行した染料画像の光学濃度をマクベスTR924を使
用して測定した。その結果を表6〜表8に示す。この場
合、数値が小さい程、染料の移行が少なく、染料の耐裏
移り性が良好であることを意味する。実用上、この数値
が約0.10以下となることが望まれている。
【0041】「走行性」試験 上述の「耐裏移り性」試験の印画時に、画像の縦ずれも
しくは横ずれ又は印画紙の重送現象が生じたか否かを、
以下の評価基準に従って目視にて評価した。その結果を
表6〜表8に示す。
【0042】走行性評価基準 ランク 状態 ○: 1000回の印画操作において、画像の縦ずれ及
び横ずれ並びに印画紙の重送現象が生じない場合 △: 1000回の印画操作において、画像の縦ずれも
しくは横ずれ又は重送現象が生じた回数が1〜10回の
場合 ×: 1000回の印画操作において、画像の縦ずれも
しくは横ずれ又は重送現象が生じた回数が10回以上の
場合。
【0043】「耐インクリボン融着性」試験 マチレス社製の標準プリンターに代えてソニー社製のU
P−7000を使用し、且つ熱転写用印画紙のバックコ
ート層側に印画を行う以外は、上述の「耐裏移り性」試
験の場合と同様に12階調のステアステップ印画と黒ベ
タ印画とを行うことにより「耐インクリボン融着性」試
験を行い、以下の評価基準に従って目視にて評価した。
その結果を表6〜表8に示す。
【0044】耐インクリボン融着性評価基準 ランク 状態 ○: 印画紙へインクリボンが融着せず且つ印画紙の給
排紙に全く支障がない場合 △: 印画紙へインクリボンが融着したが、印画紙の給
排紙に支障がない場合 ×: 印画紙へインクリボンが融着し、印画紙の給排紙
に支障がある場合
【0045】
【表6】 (印画紙の染料受容層樹脂種類) 実施例 「評価項目」 1 2 3 4 5 (染料受容性樹脂A) 「耐フ゛ロッキンク゛性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐裏移り性」 0.10 0.05 0.10 0.10 0.07 「走行性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐インクリホ゛ン融着性」 ○ ○ ○ ○ ○ (染料受容性樹脂B) 「耐フ゛ロッキンク゛性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐裏移り性」 0.09 0.05 0.10 0.11 0.05 「走行性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐インクリホ゛ン融着性」 ○ ○ ○ ○ ○ (染料受容性樹脂C) 「耐フ゛ロッキンク゛性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐裏移り性」 0.11 0.04 0.10 0.09 0.04 「走行性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐インクリホ゛ン融着性」 ○ ○ ○ ○ ○
【0046】
【表7】 (印画紙の染料受容層樹脂種類) 実施例 「評価項目」 6 7 8 9 10 (染料受容性樹脂A) 「耐フ゛ロッキンク゛性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐裏移り性」 0.05 0.02 0.05 0.05 0.11 「走行性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐インクリホ゛ン融着性」 ○ ○ ○ ○ ○ (染料受容性樹脂B) 「耐フ゛ロッキンク゛性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐裏移り性」 0.05 0.02 0.04 0.05 0.09 「走行性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐インクリホ゛ン融着性」 ○ ○ ○ ○ ○ (染料受容性樹脂C) 「耐フ゛ロッキンク゛性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐裏移り性」 0.04 0.03 0.05 0.04 0.10 「走行性」 ○ ○ ○ ○ ○ 「耐インクリホ゛ン融着性」 ○ ○ ○ ○ ○
【0047】
【表8】 (印画紙の染料受容層樹脂種類) 比較例 「評価項目」 1 2 3 (染料受容性樹脂A) 「耐フ゛ロッキンク゛性」 △ ○ × 「耐裏移り性」 0.72 0.51 0.85 「走行性」 × × × 「耐インクリホ゛ン融着性」 × ○ × (染料受容性樹脂B) 「耐フ゛ロッキンク゛性」 △ ○ × 「耐裏移り性」 0.62 0.43 0.74 「走行性」 △ × × 「耐インクリホ゛ン融着性」 × ○ × (染料受容性樹脂C) 「耐フ゛ロッキンク゛性」 △ × × 「耐裏移り性」 0.67 0.52 0.72 「走行性」 △ × ×「耐インクリホ゛ン融着性」 × ○ ×
【0048】表6及び表7からわかるように、本発明の
熱転写用印画紙は、「耐ブロッキング性」、「耐裏移り
性」、「走行性」及び「耐インクリボン融着性」のすべ
ての試験項目に対して同時に優れた結果を示した。
【0049】また、表8からは、多官能イソシアネート
化合物を配合することにより架橋させたバックコート層
を有する比較例2の熱転写用印画紙は、走行性に優れた
結果を示したが、架橋されていない比較例1及び3の熱
転写用印画紙の走行性は不十分であることがわかる。従
って、走行性を改善するためには、架橋構造を有する樹
脂からバックコート層を構成することが必要であること
がわかる。
【0050】しかし、ビニルフェノール系樹脂を使用し
ない比較例1〜3の熱転写用印画紙は、いずれもバック
コート層に染料が移行しやすく、いずれも移行した染料
画像の光学濃度が0.10を大きく超え、染料の「耐裏
移り性」の点で実用上問題を有していた。従って、バッ
クコート層にはビニルフェノール系樹脂を使用すること
が必要であることがわかる。しかも、ビニルフェノール
系樹脂以外の樹脂を使用した場合には、その樹脂の種類
に応じて、染料の「耐裏移り性」だけでなく「耐ブロッ
キング性」、「走行性」あるいは「耐インクリボン融着
性」の点で不十分な結果となることがわかる。
【0051】以上の結果から、熱転写用印画紙のバック
コート層が、「耐ブロッキング性」、「耐裏移り性」、
「走行性」及び「耐インクリボン融着性」のすべてを同
時に満足できるようにするためには、ビニルフェノール
系樹脂と多官能イソシアネート化合物との架橋反応物か
らバックコート層を構成することが必要であることがわ
かる。
【0052】
【発明の効果】本発明の熱転写用印画紙は、優れた走行
性を示すと共に、表裏逆にしてプリンターに誤送された
場合に伴うトラブルを抑制し、しかも、染料の裏移りと
ブロッキングとを大きく抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な印画紙の断面図である。
【符号の説明】
1 熱転写用印画紙 2 基材 3 染料受容層 4 バックコート層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の一方の面に染料受容層を有し、他
    面にバックコート層を有する熱転写用印画紙において、
    バックコート層が、ビニルフェノール系樹脂と多官能イ
    ソシアネート化合物との架橋反応物を含有することを特
    徴とする熱転写用印画紙。
  2. 【請求項2】 ビニルフェノール系樹脂が、p−ビニル
    フェノールもしくはm−ビニルフェノールの単独重合
    体、又はp−ビニルフェノールもしくはm−ビニルフェ
    ノールと他のモノマーとの共重合体である請求項1記載
    の熱転写用印画紙。
  3. 【請求項3】 単独重合体又は共重合体のガラス転移点
    が25〜200℃である請求項2記載の熱転写用印画
    紙。
  4. 【請求項4】 架橋反応物が、ビニルフェノール系樹脂
    100重量部に対して多官能イソシアネート化合物1〜
    100重量部を架橋反応させたものである請求項1〜3
    のいずれかに記載の熱転写用印画紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015066830A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 大日本印刷株式会社 熱転写シート

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