JPH08187559A - 連続鋳造用モールドパウダーおよび連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用モールドパウダーおよび連続鋳造方法

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JPH08187559A
JPH08187559A JP52095A JP52095A JPH08187559A JP H08187559 A JPH08187559 A JP H08187559A JP 52095 A JP52095 A JP 52095A JP 52095 A JP52095 A JP 52095A JP H08187559 A JPH08187559 A JP H08187559A
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Akira Yamauchi
章 山内
Nagayasu Bessho
永康 別所
Yuji Miki
祐司 三木
Sawao Ishikawa
沢夫 石川
Shunji Terada
俊司 寺田
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JFE Steel Corp
Sakai Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Sakai Chemical Industry Co Ltd
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 凝固点近傍凝固シェル強度の小さい鋼の高速
鋳造の場合であっても、ブレークアウトおよび鋳片表面
の微細縦割れの防止に好適な連続鋳造用モールドパウダ
ーを得る。 【構成】 モールドパウダーの凝固温度および1300
℃の温度での粘度とを、それぞれ鋳造速度および鋳造速
度とネガティブ速度率との関係からそれらの上限を特定
し、かつ、成分組成が、ZrO2, TiO2およびCr2O3 のうち
から1種以上を合計で8〜15wt%, MnO, FeO, Fe2O3
よびC0O のうちから1種以上を合計で3〜12wt%含有す
るモールドパウダー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、主として鋳造速度を
早くすると、拘束性ブレークアウトや鋳片表面の微細縦
割れなどの発生が顕著になる凝固点近傍温度での耐力の
低い鋼の連続鋳造に適用して好適なモールドパウダーお
よび連続鋳造方法に関するものである。
【0002】なお、連続鋳造用のモールドパウダーは鋳
型内溶鋼浴面上に供給され、 ・鋳型と凝固シェル間の潤滑 ・浮上する鋼中介在物の捕捉吸収 ・メニスカス部溶鋼の保温 ・溶鋼の酸化防止 など、連続鋳造プロセスにおいて重要な役割を果す副資
材である。これまで、CaO, Al2O3およびSiO2などを主成
分とし、その他成分の酸化物やふっ化物などを配合し、
連続鋳造する鋼種や鋳造速度に応じてパウダーの特性を
調整し使用されているが、未だ改善の余地が多く残され
ている。
【0003】
【従来の技術】これまで、凝固点近傍の温度(1300℃)
における耐力が低く(1%耐力が0.5kgf/mm2以下)、普
通鋼やオーステナイト系ステンレス鋼などに比し数分の
一と小さい鋼、たとえばSUS430に代表されるフェライト
系ステンレス鋼などを連続鋳造する場合、鋳造速度が1.
0m/minを超えると拘束性のブレークアウトの発生頻度が
高くなり、1.2m/minを超えると鋳片表面に微細縦割れの
発生が顕著になることなどから、かかるブレークアウト
や微細縦割れの発生を防止するため、低鋳造速度の操業
を余儀なくされていた。
【0004】この拘束性ブレークアウトを防止する一般
的な手段としては、凝固温度が低く、1300℃の温度での
粘性の小さいモールドパウダーが用いられていた。例え
ば、特開昭61−150752号公報(鋼の連続鋳造用鋳型添加
剤)には、化学組成が重量でSiO2:20〜45%, CaO :15
〜40%及び Al2O3:2〜10%を主成分として含み、アル
カリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、弗化物及び炭
酸塩の内から、少なくとも1種以上を含有し、1300℃に
おける粘度が 0.5〜1.5poise、軟化点が 850〜1050℃で
かつ結晶化温度が 800〜1050℃の範囲内であるモールド
パウダーが提案開示されている。
【0005】しかし、このように凝固温度を下げること
は、鋳型と鋳片(凝固シェル)間のモールドパウダー層
における固相厚さが薄くなり輻射熱流束が増大して鋳片
の冷却速度が早くなることなどから鋳片表面の微細縦割
れを発生させるという問題があった。
【0006】また、鋳片表面の微細縦割れを防止するモ
ールドパウダーに関する技術については、例えば、モー
ルドパウダーの塩基度または凝固温度を上昇させ、鋳型
と鋳片間のモールドパウダー層における固相厚さを増加
させ、輻射熱流束を減少させて鋳片を緩冷却化すること
により割れの発生を防止する手段(CAMP-ISIJ, 5(199
2), P283参照)、モールドパウダーの塩基度を 1.2程度
に維持し、ZrO2を3%程度添加して、凝固温度をさらに
高めることで輻射熱伝達の低減ならびに鋳型とパウダー
凝固層間の接触熱抵抗の上昇によって緩冷却化をはか
り、割れの防止をはかった手段(CAMP-ISIJ, 6(1993),
P283参照)などがある。
【0007】しかし、これらの凝固温度を高くしたパウ
ダーを用いる従来技術においては、凝固温度が1200℃と
高いため、鋳型と鋳片間の潤滑を良好にするためのそれ
ら両者間に介在するパウダー層の液相部分の厚さを十分
に確保できなくなる。したがって、鋳型と鋳片間が潤滑
不良となり易くブレークアウトの発生頻度が高くなる。
さらにこれらの技術は凝固シェル強度の比較的高い中炭
素鋼を念頭においているため、1.2m/min以上の鋳造速度
において、特に凝固シェル強度の低い鋼、たとえばフェ
ライト系ステンレス鋼などではブレークアウトが極めて
発生しやすくなるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、凝固点近
傍温度の凝固シェルの耐力が低い鋼であっても、ブレー
クアウトや鋳片表面の微細縦割れの発生を回避でき、か
つ、高速鋳造により生産性も向上できる連続鋳造用モー
ルドパウダーと連続鋳造方法を提案することを目的とす
る。
【0009】
〔記〕
Tm≦ 900Vc-0.725+360 ‥‥(1) η≦ 446(Ns+164)-1Vc-1+0.5 ‥‥(2) (第1発明)である。
【0010】 第1発明に記載のモールドパウダーを
用い、1300℃の温度における1%耐力が0.5kgf/mm2以下
の鋼を鋳造速度Vc:1.2m/min以上で鋳造することを特徴
とする連続鋳造方法(第2発明)である。
【0011】 鋼が、フェライト系ステンレス鋼であ
る第2発明に記載の連続鋳造方法(第3発明)である。
【0012】ここで、鋳型振動のネガティブ速度率Ns
(%)とは、鋳造速度Vc(鋳片の引抜き速度)に対し鋳
型の振動(上下方向)による鋳型の下降速度が上回る値
の割合である。
【0013】
【作用】この発明に至った経緯とその作用について以下
に述べる。従来より連続鋳造において、ブレークアウト
を防止するためには、低凝固温度、低粘度のモールドパ
ウダーが用いられていた。
【0014】これは、鋳型−凝固シェル間の潤滑をよく
し、摩擦力の低減をはかるものである。すなわち、パウ
ダーの凝固温度を下げることは鋳型−凝固シェル間に浸
入した溶融パウダーの凝固相を少なくし、液相部を多く
することにより凝固シェルとパウダー固相部の摩擦力の
低減、ひいては鋳型−凝固シェル間の摩擦力の低減を狙
ったものである。さらにパウダーの粘度を下げることは
潤滑効果の向上などのため鋳型−凝固シェル間に溶融し
たパウダーをより多く浸入させる(パウダーの消費量を
多くする)ことを意図するものであり、これは、鋳造速
度を早くするほどより重要になる。
【0015】そして、この摩擦力は鋳造速度が早くなれ
ば早くなるほど大きくなるため、鋳造速度が早い操業条
件の場合にはより低凝固温度、低粘度のモールドパウダ
ーを用いることが要求される。
【0016】また、他の一つの問題点である、連続鋳造
における鋳片表面の微細縦割れ発生機構については、連
続鋳造過程にて凝固シェルの成長の遅い部分と速い部分
が生じてその間に熱応力が発生し、この熱応力が凝固シ
ェルの強度を超えるとその部分で割れが発生すること、
すなわち、凝固シェルの成長の不均一度が大きくなるこ
とが主な原因とされている。
【0017】そしてこの凝固シェル成長の不均一度は、
鋳型内での凝固シェルの冷却を緩冷却化すること、鋳型
内での凝固シェルの抜熱を不均一にするエアギャップを
解消すること、鋳型と凝固シェル間におけるモールドパ
ウダー層の厚さの変動を抑さえることなどにより緩和で
きることが知られている。
【0018】一方、この鋳片の微細縦割れは、SUS 430
に代表されるフェライト系ステンレス鋼などのように、
凝固点近傍での凝固シェルの耐力が普通鋼やオーステナ
イト系ステンレス鋼等に比し小さい、より具体的には13
00℃の温度における1%耐力が0.50kgf/mm2 以下の鋼に
発生し易く、また、鋳造速度が1.2m/min以上の場合に発
生し易くなる。
【0019】このようなことから、発明者らはフェライ
ト系ステンレス鋼などの凝固シェル強度の小さい鋼の連
続鋳造用モールドパウダーについて、種々実験・検討を
重ねた結果、鋳型と凝固シェルとの間に浸入し介在する
モールドパウダー層(固相と液相)の潤滑と熱伝達に関
し、流動可能部分(液相)における熱伝達を抑制するこ
とにより、十分な潤滑を付与しながら鋳造材からの抜熱
量を抑制し、ブレークアウトのない安定した操業ととも
に、鋳造速度が1.2m/min以上での鋳造の場合にも鋳片表
面の微細縦割れが防止できることを新規に知見しこの発
明に至ったものである。
【0020】すなわち、ブレークアウトに関しては、 1)ブレークアウトを防止するためのモールドパウダー
の凝固温度の上限と鋳造速度との間には一定の関係が存
在すること、
【0021】2)鋳造速度と鋳型振動のネガティブ速度
率との関係に対応して、ブレークアウトを防止するモー
ルドパウダーの粘度の上限が定まること、などであり、
【0022】さらに、微細縦割れ発生防止のため鋳型と
凝固シェル間の熱伝達を抑制すること、すなわち凝固シ
ェルの緩冷却化には、モールドパウダーの液相中で輻射
を散乱および吸収させ、液相中での輻射熱伝達を阻害す
ることが重要であり、これらに関しては、
【0023】1)モールドパウダー中にZrO2, TiO2, Cr
2O3 などの酸化物を適量添加することにより、液相中に
微細な凝固層を分散させ、これらにより液相中で輻射を
散乱させること、
【0024】2)モールドパウダー中にMn, Fe, Coなど
遷移金属元素の酸化物を添加することにより、液相中に
これらの遷移金属イオンを分散させ、これらにより輻射
エネルギーを吸収させること、さらに、遷移金属イオン
の種類が多いほど、幅広い波長にわたり効果的に輻射エ
ネルギーを吸収すること、
【0025】3)上記1)および2)項の液相中での輻
射の散乱と輻射エネルギーの吸収とを組合せると、それ
らの複合効果により、それぞれ単独の効果をはるかに超
える輻射熱伝達の遮断効果を示すこと、などである。
【0026】したがって、この発明において、ブレーク
アウトを防止するためには、モールドパウダーの凝固温
度の上限を鋳造速度との関係で規定することおよびモー
ルドパウダーの粘度の上限を鋳造速度と鋳型振動のネガ
ティブ速度率との関係に対応して規定することであり、
微細縦割れ防止のための凝固シェルの緩冷却化には、モ
ールドパウダー中にZrO2, TiO2, Cr2O3 およびMn, Fe,
Coなど遷移金属の酸化物を適量添加することである。
【0027】なお、上記における緩冷却化は、液相中に
分散した微細結晶により輻射を散乱させ液相中でのエネ
ルギー伝達行程を長くするとともに、遷移金属イオンに
よりより効率的に輻射エネルギーを吸収することによ
る。
【0028】ここで、連続鋳造鋳型内上部のいわゆるメ
ニスカス近傍で凝固シェルが形成成長されつつある状況
下の熱伝達の機構を図面にもとづいて以下に述べる。図
1はメニスカス近傍におけるモールドパウダー(固相・
液相)中の熱伝達の機構を示す模式図である。
【0029】図1において、連続鋳造用鋳型1内の上部
のいわゆるメニスカスをモールドパウダー2(溶融層)
が覆い、メニスカス近傍Aでは凝固シェル3が形成成長
しつつある。この鋳型1内での凝固シェル3および溶鋼
4の抜熱は、凝固シェル3と鋳型1との間のモルドパウ
ダー2を介して行われる。そしてモールドパウダー2
は、鋳型1に接している部分では固相、凝固シェルに接
している部分ではパウダーの凝固温度を超えているので
液相となっている。なお、同図において7はサポートロ
ール、8は鋳片である。
【0030】また、同図A1〜A3には、メニスカス近傍A
の鋳型1と凝固シェル3との界面を拡大して示してい
る。A1は従来の一般的なモールドパウダーを使用した場
合、A2は高凝固温度モールドパウダーを使用した場合お
よびA3はこの発明のモールドパウダーを使用した場合を
示す。そして、図中白抜きの矢印5は伝導熱流束を、黒
べたの矢印6は輻射熱流束をそれぞれ示し、矢印の幅が
広いほど熱流束が大きいことを示す。また、2a,2cおよ
び2eはモールドパウダーの固相部分、2b,2dおよび2fは
モールドパウダーの液相部分をそれぞれ示す。
【0031】これらのモールドパウダー層(固相と液
相)を介して行われる熱伝達は、従来のモールドパウダ
ーA1の場合、液相2b中では、輻射熱伝達が全体の約半分
残りの半分が伝導による熱伝達となっているが、固相2a
では、輻射エネルギーは結晶化したパウダー成分の原子
が構成する格子振動エネルギー(伝導熱伝達)に容易に
吸収変換されその分輻射熱伝達は小さくなる。
【0032】このようなことから、従来は、A2に示す高
凝固温度のパウダーを用い、鋳型1側により厚い固相2c
(凝固相)を生じさせることで鋳型1への輻射の熱伝達
をより阻害し凝固シェル3の緩冷却化を達成していた。
【0033】しかし、この高凝固温度のモールドパウダ
ーを用いる方法は、鋳型1と凝固シェル3との間の潤滑
のための液相2d厚さが十分確保できなくなり、ブレーク
アウト発生の危険性が大きくなることは前記したとおり
である。
【0034】そこでこの発明では、前記した実験・検討
結果による知見などをもとに、A3に示すように、潤滑の
ための液相2f厚さを十分に確保でき、かつ液相2f中での
輻射熱流束を減少できるモールドパウダーとするもので
あって、このモールドパウダーを用いることにより、フ
ェライト系ステンレス鋼などのように1300℃の温度での
1%耐力が0.5kgf/mm2以下と小さい鋼であっても、1.2m
/min以上の鋳造速度で表面微細縦割れのない高品質の鋳
片の鋳造をも可能にするものである。
【0035】以下に、この発明をより具体的に述べると
ともにその限定理由について説明する。
【0036】1)ブレークアウトが発生しないように、
モールドパウーダの凝固温度Tm (℃)を鋳造速度Vc(m/mi
n) との関係で下記式(1) により定める。 Tm≦ 900Vc-0.725+360 ‥‥(1) これは実験例にもとづく図2のブレークアウト発生に及
ぼすモールドパウダーの凝固温度と鋳造速度との関係を
示すグラフより定めたもので、モールドパウダーの凝固
温度Tmが上記(1) 式を満足しない場合ブレークアウトの
発生率が極めて高くなる。
【0037】2)さらに、モールドパウダーの消費量を
多くしてブレークアウトの発生を防止するため、1300℃
におけるモールドパウダーの粘度η (ポアズ) を、鋳造
速度Vc(m/min) と鋳型振動のネガティブ速度率Ns(%)
との関係で下記式(2) により定める。 η≦ 446(Ns+164)-1Vc-1+0.5 ‥‥(2) これは実験例にもとづく図3のブレークアウト発生に及
ぼすネガティブ速度率をパラメーターとするモールドパ
ウダー粘度と鋳造速度との関係を示すグラフより定めた
もので、モールドパウダーの粘度を上記式(2) を満足さ
せることでブレークアウトの発生を防止できる。
【0038】3)一方、凝固温度の高くないモールドパ
ウダーを使用する場合、凝固シェルの緩冷却ができない
ため、鋳片表面の微細縦割れの発生が問題となる。この
発明では凝固シェルを緩冷却化できるモールドパウダー
としこれにより微細縦割れの発生を防止する。この緩冷
却化の手段は、モールドパウダー中にZrO2, TiO2および
Cr2O3 のうちの一種以上の合計を8〜15wt%の範囲で含
有させることにより、鋳型と凝固シェル間のモールドパ
ウダー液相中に微細結晶を分散させ、これらの微細結晶
により輻射を散乱させて液相中でのエネルギーの伝達行
程を長くするとともに、MnO,FeO, Fe2O3およびC0O の遷
移金属酸化物のうちの一種以上を合計で3〜12wt%の範
囲で含有させ液相中でこれらの遷移金属イオンにより効
率的に輻射エネルギーを吸収する。
【0039】上記において、ZrO2, TiO2およびCr2O3
うちの一種以上の合計が8wt%未満では液相中の微細結
晶の晶出が不十分であり、15wt%を超えると図4に示す
ようにモールドパウダーそのものの凝固温度や粘度に影
響し始めるとともに、浮上する溶鋼中の介在物の吸収能
力を劣化させる。したがって、それらの合計の含有量は
8wt%以上、15wt%以下とする。
【0040】また、MnO, FeO, Fe2O3 およびC0O のうち
の一種以上の合計が3wt%未満ではその効果が不十分で
あり、12wt%を超えると図4に示すように溶鋼中の溶存
Alとこれらの遷移金属酸化物が反応しやすくなり、溶鋼
の再酸化による汚染が問題となる。したがって、それら
の合計の含有量は3wt%以上、12wt%以下とする。
【0041】なお、図4 はZrO2, TiO2およびCr2O3 なら
びにMnO, FeO, Fe2O3 およびC0O のそれぞれ合計の含有
量の限定範囲を示すグラフである。
【0042】
【実施例】種々の異なる組成のモールドパウダーをそれ
ぞれ使用し、C:0.01〜0.10wt%, Si:0.05〜0.20wt
%, Mn:0.10〜0.60wt%およびCr:17〜19wt%を含有す
るフェライト系ステンレス鋼の連続鋳造を下記する条件
で行い、それぞれブレークアウトおよび鋳片表面の微細
縦割れの発生状況について調査した。
【0043】連続鋳造条件 ・連続鋳造鋳型横断面寸法: 1000mm×200mm ・鋳型振動条件 ストローク:8mm ネガティブ速度率Ns:20% f=〔Vc/2×8(1+Ns/100)〕×1000 ここで、f: 鋳振動数(cpm) Vc: 鋳造速度 (m/min) ・鋳造速度Vc:1.2 〜2.2m/min ・鋳型注入時溶鋼温度と液相線温度との差ΔT:34〜50
【0044】モールドパウダーの組成を表1に、調査結
果を表2にそれぞれまとめて示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】表1および表2において試料No.1,3,
5,7,9,11および13は緩冷却ができないモールドパ
ウダーとそのパウダーを使用した場合の比較例、試料N
o.2,4,6,8,10,12および14〜18は緩冷却化でき
るこの発明に適合するモールドパウダーとそのパウダー
を使用した場合の適合例である。
【0048】これらの表より、鋳造速度の上限は、適合
例、比較例ともブレークアウトの発生により自ずから定
まり、モールドパウダーの凝固温度が低い方が鋳造速度
を早くできることを示しているが、鋳片表面の微細縦割
れの発生は、この発明の適合例には全く見られない。
【0049】
【発明の効果】この発明は、パウダーの凝固温度および
特定温度での粒度を、鋳造速度および鋳造速度と鋳型振
動のネガティブ速度率との関係からそれぞれ上限を定
め、含有成分組成を特定することにより鋳型と凝固シェ
ル間のパウダー液相中の輻射熱伝達を散乱と吸収により
阻害するモールドパウダーであって、この発明のモール
ドパウダーを用いれば、凝固点近傍凝固シェル強度の小
さいフェライト系ステンレス鋼であっても、微細縦割れ
のない良好な鋳片を、ブレークアウトの発生なしに安定
して高速鋳造することができ、生産性の向上に大きく寄
与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】メニスカス近傍におけるモールドパウダー (固
相・液相) 中の熱伝達の機構を示す模式図である。
【図2】ブレークアウト発生に及ぼすモールドパウダー
の凝固温度と鋳造速度との関係を示すグラフである。
【図3】ブレークアウト発生に及ぼすネガティブ速度率
をパラメーターとするモールドパウダー粘度と鋳造速度
との関係を示すグラフである。
【図4】ZrO2, TiO2およびCr2O3 ならびにMnO, FeO, Fe
2O3 およびC0O のそれぞれ合計の含有量の限定範囲を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 鋳型(銅製) 2 モールドパウダー 2a, 2c, 2e モールドパウダー (固相) 2b, 2d, 2f モールドパウダー (液相) 3 凝固シェル 4 溶鋼 5 伝導熱流束 6 輻射熱流束 7 サポートロール 8 鋳片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 別所 永康 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 三木 祐司 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 石川 沢夫 兵庫県神戸市須磨区大池町3丁目1番26号 坂井化学工業株式会社内 (72)発明者 寺田 俊司 兵庫県神戸市須磨区大池町3丁目1番26号 坂井化学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型に振動を付与しながら溶鋼を連続鋳
    造する際に鋳型内溶鋼浴面上に供給するモールドパウダ
    ーであって、 該パウダーの凝固温度Tm(℃)および1300℃の温度での
    粘度η(ポアズ)が、それぞれ鋳造速度Vc(m/min) およ
    び鋳造速度Vc(m/min) と鋳型振動のネガティブ速度率Ns
    (%)との関係で下記式(1) および(2) を満たし、 かつ、パウダーの成分組成が、ZrO2, TiO2およびCr2O3
    の酸化物のうちの一種以上の合計を8〜15wt%の範囲
    で、さらにMnO, FeO, Fe2O3 およびC0O の酸化物のうち
    の一種以上の合計を3〜12wt%の範囲でともに含有して
    なる連続鋳造用モールドパウダー。 〔記〕 Tm≦ 900Vc-0.725+360 ‥‥(1) η≦ 446(Ns+164)-1Vc-1+0.5 ‥‥(2)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のモールドパウダーを用
    い、1300℃の温度における1%耐力が0.5kgf/mm2以下の
    鋼を鋳造速度Vc:1.2m/min以上で鋳造することを特徴と
    する連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】 鋼が、フェライト系ステンレス鋼である
    請求項2に記載の連続鋳造方法。
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