JPH08183989A - 有機物の抽出分離方法 - Google Patents
有機物の抽出分離方法Info
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- JPH08183989A JPH08183989A JP6340358A JP34035894A JPH08183989A JP H08183989 A JPH08183989 A JP H08183989A JP 6340358 A JP6340358 A JP 6340358A JP 34035894 A JP34035894 A JP 34035894A JP H08183989 A JPH08183989 A JP H08183989A
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- extraction
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Abstract
(57)【要約】
【構成】有機物の抽出を圧力100〜350kg/cm
2 、温度32〜80℃の超臨界状態の二酸化炭素を用い
て行い、その後、抽出時よりも低圧力、低温度の超臨界
又は亜臨界状態である圧力70〜90kg/cm2 、温
度25〜35℃で抽出物を二酸化炭素から分離すること
を特徴とする有機物の抽出分離方法、並びに抽出物の分
離後、抽剤を減圧して気液混相の二酸化炭素とし、続い
て冷却して液体二酸化炭素とすることを特徴とする超臨
界二酸化炭素抽剤の回収方法。 【効果】本発明により、超臨界二酸化炭素抽出物の分離
および二酸化炭素の再使用に従来必要とされた多量のエ
ネルギーを大きく削減することができる。本発明は、ま
た、エネルギー発生に必要な資源の削減をも可能にする
超臨界二酸化炭素による有機物の抽出分離方法を提供す
るものである。
2 、温度32〜80℃の超臨界状態の二酸化炭素を用い
て行い、その後、抽出時よりも低圧力、低温度の超臨界
又は亜臨界状態である圧力70〜90kg/cm2 、温
度25〜35℃で抽出物を二酸化炭素から分離すること
を特徴とする有機物の抽出分離方法、並びに抽出物の分
離後、抽剤を減圧して気液混相の二酸化炭素とし、続い
て冷却して液体二酸化炭素とすることを特徴とする超臨
界二酸化炭素抽剤の回収方法。 【効果】本発明により、超臨界二酸化炭素抽出物の分離
および二酸化炭素の再使用に従来必要とされた多量のエ
ネルギーを大きく削減することができる。本発明は、ま
た、エネルギー発生に必要な資源の削減をも可能にする
超臨界二酸化炭素による有機物の抽出分離方法を提供す
るものである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超臨界二酸化炭素によ
る有機物の抽出分離方法、および超臨界二酸化炭素抽剤
の回収方法に関する。さらに詳しくは、抽出物と抽剤で
ある二酸化炭素との分離を特殊な条件下で実施すること
により、二酸化炭素の回収・再利用に必要なエネルギー
の大幅な低減を可能とした、工業的に有利な超臨界二酸
化炭素による有機物の抽出分離方法、および超臨界二酸
化炭素抽剤の回収方法に関する。
る有機物の抽出分離方法、および超臨界二酸化炭素抽剤
の回収方法に関する。さらに詳しくは、抽出物と抽剤で
ある二酸化炭素との分離を特殊な条件下で実施すること
により、二酸化炭素の回収・再利用に必要なエネルギー
の大幅な低減を可能とした、工業的に有利な超臨界二酸
化炭素による有機物の抽出分離方法、および超臨界二酸
化炭素抽剤の回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】超臨界抽
出法は、食品、化学、医薬、化粧品工業など幅広い分野
で注目を集めている抽出技術である。特に、抽剤として
二酸化炭素を用いた場合は、その臨界点(75kg/c
m2 、31℃)が比較的低く安全性が高いため、熱に対
して不安定な成分や揮発性の高い成分等を効率よく抽出
分離することができる。原料から目的の成分を抽出する
ためには、二酸化炭素の圧力・温度を臨界点以上に設定
することにより達せられる。
出法は、食品、化学、医薬、化粧品工業など幅広い分野
で注目を集めている抽出技術である。特に、抽剤として
二酸化炭素を用いた場合は、その臨界点(75kg/c
m2 、31℃)が比較的低く安全性が高いため、熱に対
して不安定な成分や揮発性の高い成分等を効率よく抽出
分離することができる。原料から目的の成分を抽出する
ためには、二酸化炭素の圧力・温度を臨界点以上に設定
することにより達せられる。
【0003】実際には、目的成分の超臨界二酸化炭素に
対する溶解性を基に、圧力、温度等の抽出条件を設定す
ることになる。一般的には、同じ温度であれば圧力が高
いほど超臨界二酸化炭素の溶解力は増す。目的成分の溶
解性が高い場合、例えば植物の精油成分、非極性低分子
有機化合物等の場合は、比較的臨界圧力に近い80〜1
20kg/cm2 の圧力で効率よく抽出することができ
る。一方、超臨界二酸化炭素に対する溶解性が低い成
分、例えば一般食用油脂類等の場合は、およそ200〜
350kg/cm2 の圧力にまで抽出圧力を上昇させれ
ば、効率的に抽出することができる。抽出に際しての温
度設定も超臨界二酸化炭素の溶解力を増すような条件に
する必要があるが、熱に対して不安定な成分を抽出する
場合や、抽出成分を除去した後の原料残留物が必要な場
合等は、抽出温度を高く設定することは望ましくない。
対する溶解性を基に、圧力、温度等の抽出条件を設定す
ることになる。一般的には、同じ温度であれば圧力が高
いほど超臨界二酸化炭素の溶解力は増す。目的成分の溶
解性が高い場合、例えば植物の精油成分、非極性低分子
有機化合物等の場合は、比較的臨界圧力に近い80〜1
20kg/cm2 の圧力で効率よく抽出することができ
る。一方、超臨界二酸化炭素に対する溶解性が低い成
分、例えば一般食用油脂類等の場合は、およそ200〜
350kg/cm2 の圧力にまで抽出圧力を上昇させれ
ば、効率的に抽出することができる。抽出に際しての温
度設定も超臨界二酸化炭素の溶解力を増すような条件に
する必要があるが、熱に対して不安定な成分を抽出する
場合や、抽出成分を除去した後の原料残留物が必要な場
合等は、抽出温度を高く設定することは望ましくない。
【0004】一方、超臨界二酸化炭素によって抽出した
成分を抽剤である二酸化炭素と分離するには、抽出成分
を溶解している超臨界二酸化炭素を大気圧にまで減圧し
てほとんど溶解能力のないガス状二酸化炭素とする方法
(特公平4−30440号公報、特公平4−56876
号公報等)、または40〜60kg/cm2 程度の圧力
にまで減圧し、減圧と同時、あるいはその前後に臨界温
度(31℃)以上に加温して完全なガス状にする方法
(特開平3−22956号公報、特開平2−29221
6号公報等)が知られている。
成分を抽剤である二酸化炭素と分離するには、抽出成分
を溶解している超臨界二酸化炭素を大気圧にまで減圧し
てほとんど溶解能力のないガス状二酸化炭素とする方法
(特公平4−30440号公報、特公平4−56876
号公報等)、または40〜60kg/cm2 程度の圧力
にまで減圧し、減圧と同時、あるいはその前後に臨界温
度(31℃)以上に加温して完全なガス状にする方法
(特開平3−22956号公報、特開平2−29221
6号公報等)が知られている。
【0005】工業的規模で抽出分離を行う場合、通常、
二酸化炭素は回収し循環再使用されるため、エネルギー
的には後者の方が有利である。しかし、後者の方法にお
いて40〜60kg/cm2 まで減圧すると、二酸化炭
素の温度はおおよそ8〜22℃にまで等エンタルピー変
化により低下し、通常、液体および気体二酸化炭素の混
相状態を保つ。液体二酸化炭素はある程度の溶解力を有
しており、減圧だけでは効率よく抽出物を分離すること
ができないため、上記の方法のように、加温して抽出物
と二酸化炭素の分離を行う必要がある。
二酸化炭素は回収し循環再使用されるため、エネルギー
的には後者の方が有利である。しかし、後者の方法にお
いて40〜60kg/cm2 まで減圧すると、二酸化炭
素の温度はおおよそ8〜22℃にまで等エンタルピー変
化により低下し、通常、液体および気体二酸化炭素の混
相状態を保つ。液体二酸化炭素はある程度の溶解力を有
しており、減圧だけでは効率よく抽出物を分離すること
ができないため、上記の方法のように、加温して抽出物
と二酸化炭素の分離を行う必要がある。
【0006】これら従来法における二酸化炭素の分離・
回収工程を図1を用いて説明する。即ち、抽出成分を含
む超臨界二酸化炭素を40〜60kg/cm2 まで減圧
する工程(A→C)、等温的に気・液混相から気相へ相
変化させる気化工程(C→D)、加温して密度がさらに
小さくなったガス状二酸化炭素と抽出物を分離する工程
(D→E)、分離後回収した二酸化炭素を冷却する工程
(E→D)、さらに気相から液相へ相変化させる液化工
程(D→F)をたどり、液化した二酸化炭素は所定の抽
出圧力にまで加圧し、さらに加温して再び超臨界二酸化
炭素として抽出に再使用する。しかしながら、上記のプ
ロセスにおいて、気化工程(C→D)、分離工程(D→
E)で気・液混相の二酸化炭素をガス状二酸化炭素と
し、さらにガス状二酸化炭素を加温するためには多量の
熱エネルギーを必要とする。また、回収二酸化炭素を冷
却する工程(E→D)、液化工程(D→F)では、それ
ぞれガス状二酸化炭素を冷却し、液体二酸化炭素にする
ための多量の冷却エネルギーを必要とするため、経済
性、省エネルギーという観点から工業的に有利な方法と
は言い難い。
回収工程を図1を用いて説明する。即ち、抽出成分を含
む超臨界二酸化炭素を40〜60kg/cm2 まで減圧
する工程(A→C)、等温的に気・液混相から気相へ相
変化させる気化工程(C→D)、加温して密度がさらに
小さくなったガス状二酸化炭素と抽出物を分離する工程
(D→E)、分離後回収した二酸化炭素を冷却する工程
(E→D)、さらに気相から液相へ相変化させる液化工
程(D→F)をたどり、液化した二酸化炭素は所定の抽
出圧力にまで加圧し、さらに加温して再び超臨界二酸化
炭素として抽出に再使用する。しかしながら、上記のプ
ロセスにおいて、気化工程(C→D)、分離工程(D→
E)で気・液混相の二酸化炭素をガス状二酸化炭素と
し、さらにガス状二酸化炭素を加温するためには多量の
熱エネルギーを必要とする。また、回収二酸化炭素を冷
却する工程(E→D)、液化工程(D→F)では、それ
ぞれガス状二酸化炭素を冷却し、液体二酸化炭素にする
ための多量の冷却エネルギーを必要とするため、経済
性、省エネルギーという観点から工業的に有利な方法と
は言い難い。
【0007】一方、工業規模での分離の操作条件とし
て、ガス状二酸化炭素で分離を行うのではなく、超臨界
状態のままで抽出成分の溶解度が減少するレベルに昇温
することで抽出成分の分離を行う方法もある(ケミカル
エンジニアリング、1985年7月号、p.15〜21)。こ
の方法は相変化を伴わずに抽出分離が行える点で、前述
の方法よりも有利であるが、実質的には80〜200℃
程度に加温するためかなりの加熱が必要となり、エネル
ギー的に有利な分離方法とはいい難い。また、温度がか
かるため、抽出対象物の温度安定性いかんでは応用範囲
が限定されるという問題がある。
て、ガス状二酸化炭素で分離を行うのではなく、超臨界
状態のままで抽出成分の溶解度が減少するレベルに昇温
することで抽出成分の分離を行う方法もある(ケミカル
エンジニアリング、1985年7月号、p.15〜21)。こ
の方法は相変化を伴わずに抽出分離が行える点で、前述
の方法よりも有利であるが、実質的には80〜200℃
程度に加温するためかなりの加熱が必要となり、エネル
ギー的に有利な分離方法とはいい難い。また、温度がか
かるため、抽出対象物の温度安定性いかんでは応用範囲
が限定されるという問題がある。
【0008】従って、本発明の目的は、超臨界抽出法に
よって抽出される成分を効率よく、かつ、少量の加熱エ
ネルギーで分離し得る、工業的に有利な有機物の抽出分
離方法を提供することにある。本発明の他の目的は、超
臨界抽出法に使用された二酸化炭素抽剤を僅かな冷却エ
ネルギーで回収し、再使用する、工業的に有利な超臨界
二酸化炭素抽剤の回収法を提供することにある。
よって抽出される成分を効率よく、かつ、少量の加熱エ
ネルギーで分離し得る、工業的に有利な有機物の抽出分
離方法を提供することにある。本発明の他の目的は、超
臨界抽出法に使用された二酸化炭素抽剤を僅かな冷却エ
ネルギーで回収し、再使用する、工業的に有利な超臨界
二酸化炭素抽剤の回収法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種有機
物の抽出分離、二酸化炭素への溶解性に関し鋭意検討し
た結果、有機物の抽出を超臨界状態の二酸化炭素で行
い、その後、抽出液を抽出時の超臨界状態よりも低圧
力、低温度の超臨界状態又は亜臨界状態に置くことによ
り抽出物を分離できること、即ち、単に断熱的に減圧す
るだけで、場合によっては更に若干加温するだけで目的
とする有機物を分離できること、そしてその結果、分離
および二酸化炭素の再使用に必要なエネルギーがはるか
に小さくなることを見出した。本発明はかかる事実に基
づきさらに研究を進めて完成するに至ったものである。
物の抽出分離、二酸化炭素への溶解性に関し鋭意検討し
た結果、有機物の抽出を超臨界状態の二酸化炭素で行
い、その後、抽出液を抽出時の超臨界状態よりも低圧
力、低温度の超臨界状態又は亜臨界状態に置くことによ
り抽出物を分離できること、即ち、単に断熱的に減圧す
るだけで、場合によっては更に若干加温するだけで目的
とする有機物を分離できること、そしてその結果、分離
および二酸化炭素の再使用に必要なエネルギーがはるか
に小さくなることを見出した。本発明はかかる事実に基
づきさらに研究を進めて完成するに至ったものである。
【0010】即ち、本発明の要旨は、(1) 有機物の
抽出を圧力100〜350kg/cm2 、温度32〜8
0℃の超臨界状態の二酸化炭素を用いて行い、その後、
抽出時よりも低圧力、低温度の超臨界又は亜臨界状態で
ある圧力70〜90kg/cm2 、温度25〜35℃で
抽出物を二酸化炭素から分離することを特徴とする有機
物の抽出分離方法、(2) 有機物が天然物素材より得
られる中性脂質、ステロール類である前記(1)記載の
有機物の抽出分離方法、並びに(3) 有機物抽出後の
抽剤二酸化炭素を抽出時の超臨界状態よりも低圧力、低
温度の圧力70〜90kg/cm2 、温度25〜35℃
で抽出物から分離し、ついで減圧して気液混相の二酸化
炭素とし、続いて冷却して液体二酸化炭素とすることを
特徴とする超臨界二酸化炭素抽剤の回収方法、に関す
る。
抽出を圧力100〜350kg/cm2 、温度32〜8
0℃の超臨界状態の二酸化炭素を用いて行い、その後、
抽出時よりも低圧力、低温度の超臨界又は亜臨界状態で
ある圧力70〜90kg/cm2 、温度25〜35℃で
抽出物を二酸化炭素から分離することを特徴とする有機
物の抽出分離方法、(2) 有機物が天然物素材より得
られる中性脂質、ステロール類である前記(1)記載の
有機物の抽出分離方法、並びに(3) 有機物抽出後の
抽剤二酸化炭素を抽出時の超臨界状態よりも低圧力、低
温度の圧力70〜90kg/cm2 、温度25〜35℃
で抽出物から分離し、ついで減圧して気液混相の二酸化
炭素とし、続いて冷却して液体二酸化炭素とすることを
特徴とする超臨界二酸化炭素抽剤の回収方法、に関す
る。
【0011】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
方法に用いられる有機物としては、特に限定されず、超
臨界二酸化炭素による抽出に適する天然物素材、例え
ば、穀類、いも類、種実類、豆類、魚介類、獣鳥鯨肉
類、卵類、乳類、野菜類、果実類等より抽出分離が可能
な精油成分、中性脂質、ステロール類、ビタミン類等の
脂溶性物質等が挙げられる。
方法に用いられる有機物としては、特に限定されず、超
臨界二酸化炭素による抽出に適する天然物素材、例え
ば、穀類、いも類、種実類、豆類、魚介類、獣鳥鯨肉
類、卵類、乳類、野菜類、果実類等より抽出分離が可能
な精油成分、中性脂質、ステロール類、ビタミン類等の
脂溶性物質等が挙げられる。
【0012】本発明の抽出工程における超臨界二酸化炭
素の条件は、分離工程も超臨界又は亜臨界状態で行うた
め、圧力、温度ともやや高い領域、即ち、圧力100〜
350kg/cm2 、温度32〜80℃の条件に設定す
ることが望ましい。このような抽出条件においても目的
成分を有利に抽出できるもの、あるいは分離に用いる超
臨界又は亜臨界状態の二酸化炭素において溶解度の低い
ものが抽出対象として好ましく、特に種実類、豆類、卵
類等に多く含まれる中性脂質やステロール類が本発明の
対象として好適である。
素の条件は、分離工程も超臨界又は亜臨界状態で行うた
め、圧力、温度ともやや高い領域、即ち、圧力100〜
350kg/cm2 、温度32〜80℃の条件に設定す
ることが望ましい。このような抽出条件においても目的
成分を有利に抽出できるもの、あるいは分離に用いる超
臨界又は亜臨界状態の二酸化炭素において溶解度の低い
ものが抽出対象として好ましく、特に種実類、豆類、卵
類等に多く含まれる中性脂質やステロール類が本発明の
対象として好適である。
【0013】抽出工程に引き続いて行う本発明の分離工
程は、本発明の核心となる部分である。従来法との相違
については以下に詳述するが、一般的に言えば、抽出物
を含む抽剤二酸化炭素を抽出時よりも低い圧力、温度の
超臨界又は亜臨界状態に移行せしめて抽出物と二酸化炭
素とを分離する。具体的には、圧力70〜90kg/c
m2 、温度25〜35℃の条件が好適である。分離工程
後の二酸化炭素は減圧、冷却して液体二酸化炭素とし、
その後所定の抽出圧力まで加圧し、さらに加温して再び
超臨界二酸化炭素として抽出に再使用することができ
る。
程は、本発明の核心となる部分である。従来法との相違
については以下に詳述するが、一般的に言えば、抽出物
を含む抽剤二酸化炭素を抽出時よりも低い圧力、温度の
超臨界又は亜臨界状態に移行せしめて抽出物と二酸化炭
素とを分離する。具体的には、圧力70〜90kg/c
m2 、温度25〜35℃の条件が好適である。分離工程
後の二酸化炭素は減圧、冷却して液体二酸化炭素とし、
その後所定の抽出圧力まで加圧し、さらに加温して再び
超臨界二酸化炭素として抽出に再使用することができ
る。
【0014】本発明の分離工程を図1を用いて説明す
る。即ち、抽出成分を含む超臨界二酸化炭素を75kg
/cm2 付近まで減圧する。これにより、二酸化炭素の
温度は断熱膨張により等エンタルピー的に低下し約30
℃前後となる。この状態で、抽出物と二酸化炭素とは効
果的に分離する。また、有機物の種類によっては単に減
圧しただけでは分離し難い場合もあるが、この場合でも
本発明の条件下では、減圧後の二酸化炭素を僅か数℃上
昇するだけの熱エネルギーを加えることで容易に分離が
可能となる。図1に、抽出条件を抽出A、本発明におけ
る分離条件を分離B、従来法の分離条件を分離E、二酸
化炭素再使用のための液化後の状態を液化Fの各点で例
示した。図1中で、工程(A→B)が本発明における抽
出物の分離工程となる。従来法では、工程(A→C)、
(C→D)、および(D→E)が分離工程となる。従っ
て、本発明では工程(C→D)の気化工程および工程
(D→E)の加温工程のエネルギーが不必要となる。本
発明の抽出分離方法が省エネルギーの工程であることは
明らかである。
る。即ち、抽出成分を含む超臨界二酸化炭素を75kg
/cm2 付近まで減圧する。これにより、二酸化炭素の
温度は断熱膨張により等エンタルピー的に低下し約30
℃前後となる。この状態で、抽出物と二酸化炭素とは効
果的に分離する。また、有機物の種類によっては単に減
圧しただけでは分離し難い場合もあるが、この場合でも
本発明の条件下では、減圧後の二酸化炭素を僅か数℃上
昇するだけの熱エネルギーを加えることで容易に分離が
可能となる。図1に、抽出条件を抽出A、本発明におけ
る分離条件を分離B、従来法の分離条件を分離E、二酸
化炭素再使用のための液化後の状態を液化Fの各点で例
示した。図1中で、工程(A→B)が本発明における抽
出物の分離工程となる。従来法では、工程(A→C)、
(C→D)、および(D→E)が分離工程となる。従っ
て、本発明では工程(C→D)の気化工程および工程
(D→E)の加温工程のエネルギーが不必要となる。本
発明の抽出分離方法が省エネルギーの工程であることは
明らかである。
【0015】また、分離後の二酸化炭素を回収するため
に、本発明においては、エネルギー不要の減圧工程(B
→C)および気・液混相の二酸化炭素を冷却して液化す
る工程(C→F)のみが必要となるだけであるが、従来
法では、多量のエネルギーを要する冷却工程(E→
D)、液化工程(D→C、C→F)が必要となる。差引
き従来法よりも、冷却工程(E→D)および液化工程
(D→C)のエネルギーが本発明の回収方法においては
不要となる。こうして回収された二酸化炭素は、所定の
抽出圧力にまで加圧、さらには加温して再び超臨界二酸
化炭素として抽出に再使用することができる。
に、本発明においては、エネルギー不要の減圧工程(B
→C)および気・液混相の二酸化炭素を冷却して液化す
る工程(C→F)のみが必要となるだけであるが、従来
法では、多量のエネルギーを要する冷却工程(E→
D)、液化工程(D→C、C→F)が必要となる。差引
き従来法よりも、冷却工程(E→D)および液化工程
(D→C)のエネルギーが本発明の回収方法においては
不要となる。こうして回収された二酸化炭素は、所定の
抽出圧力にまで加圧、さらには加温して再び超臨界二酸
化炭素として抽出に再使用することができる。
【0016】以上から、本発明の二酸化炭素による超臨
界抽出分離方法および回収方法が、極めてエネルギー消
費量の少ないプロセスであり、従来法に比べて著しく工
業的に有利であることが明らかである。
界抽出分離方法および回収方法が、極めてエネルギー消
費量の少ないプロセスであり、従来法に比べて著しく工
業的に有利であることが明らかである。
【0017】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0018】実施例1 粉砕した焙煎コーヒー豆粉砕物500gを原料として抽
出塔に仕込み、二酸化炭素の圧力250kg/cm2 ・
温度52℃の条件下で抽出を行ない、その後、分離塔内
を圧力76kg/cm2 ・温度32℃として二酸化炭素
と抽出物との分離を行った。これにより、分離塔から5
6gのコーヒー油が取得できた。ついで、この分離塔を
通過した二酸化炭素をさらに別の分離塔において大気圧
にまで減圧し、完全なガス状二酸化炭素とした。この操
作を2時間実施したが、この別の分離塔からはコーヒー
油は何等取得されなかった。このことから、上記の超臨
界状態の条件下で分離することにより、ほぼ100%の
分離効率で二酸化炭素と抽出物は分離することがわかっ
た。
出塔に仕込み、二酸化炭素の圧力250kg/cm2 ・
温度52℃の条件下で抽出を行ない、その後、分離塔内
を圧力76kg/cm2 ・温度32℃として二酸化炭素
と抽出物との分離を行った。これにより、分離塔から5
6gのコーヒー油が取得できた。ついで、この分離塔を
通過した二酸化炭素をさらに別の分離塔において大気圧
にまで減圧し、完全なガス状二酸化炭素とした。この操
作を2時間実施したが、この別の分離塔からはコーヒー
油は何等取得されなかった。このことから、上記の超臨
界状態の条件下で分離することにより、ほぼ100%の
分離効率で二酸化炭素と抽出物は分離することがわかっ
た。
【0019】実施例2 乾燥卵黄200gを原料とし、二酸化炭素の圧力300
kg/cm2 ・温度40℃の条件下で抽出を行ない、そ
の後、分離塔内を圧力80kg/cm2 ・温度33℃と
して二酸化炭素と抽出物との分離を行った。その結果、
この分離塔からは86gの黄色油状物を取得した。この
分離塔に続いて実施例1と同様に別の分離塔を設け、抽
出分離操作を3時間行ったが、実施例1と同様、別の分
離塔からは何も取得されず、分離効率はほぼ100%で
あることが確認できた。
kg/cm2 ・温度40℃の条件下で抽出を行ない、そ
の後、分離塔内を圧力80kg/cm2 ・温度33℃と
して二酸化炭素と抽出物との分離を行った。その結果、
この分離塔からは86gの黄色油状物を取得した。この
分離塔に続いて実施例1と同様に別の分離塔を設け、抽
出分離操作を3時間行ったが、実施例1と同様、別の分
離塔からは何も取得されず、分離効率はほぼ100%で
あることが確認できた。
【0020】実施例3 かつお節粉1000gを原料とし、二酸化炭素の圧力2
00kg/cm2 ・温度60℃の条件下で魚油を抽出
し、その後、圧力80kg/cm2 にまで減圧し、その
際温度は35℃となり、この条件下で分離を行った。こ
の抽出分離の結果、75gの茶褐色油状物を取得した。
その後、50kg/cm2 にまで減圧、および冷却して
液化二酸化炭素とし、この状態から再度昇圧、加温して
二酸化炭素再使用の循環系にて抽出分離に使用した。
00kg/cm2 ・温度60℃の条件下で魚油を抽出
し、その後、圧力80kg/cm2 にまで減圧し、その
際温度は35℃となり、この条件下で分離を行った。こ
の抽出分離の結果、75gの茶褐色油状物を取得した。
その後、50kg/cm2 にまで減圧、および冷却して
液化二酸化炭素とし、この状態から再度昇圧、加温して
二酸化炭素再使用の循環系にて抽出分離に使用した。
【0021】実施例4 大豆粉砕物2000gを原料とし、二酸化炭素の圧力2
50kg/cm2 ・温度45℃の条件下で大豆油を抽
出、その後、圧力75kg/cm2 にまで減圧し、その
際温度は28℃となった。この状態の二酸化炭素を加温
し、温度30℃の条件下で分離を行った。この抽出分離
の結果、420gの大豆油を取得した。その後、52k
g/cm2 にまで減圧、および冷却して液化二酸化炭素
とし、実施例3と同様に二酸化炭素再使用の循環系にて
抽出分離に使用した。
50kg/cm2 ・温度45℃の条件下で大豆油を抽
出、その後、圧力75kg/cm2 にまで減圧し、その
際温度は28℃となった。この状態の二酸化炭素を加温
し、温度30℃の条件下で分離を行った。この抽出分離
の結果、420gの大豆油を取得した。その後、52k
g/cm2 にまで減圧、および冷却して液化二酸化炭素
とし、実施例3と同様に二酸化炭素再使用の循環系にて
抽出分離に使用した。
【0022】比較例1 実施例3と同じ原料、同じ抽出条件で魚油を抽出し、そ
の後圧力を52kg/cm2 まで減圧し、その際温度は
15℃となった。この状態の二酸化炭素を温度40℃に
まで加温し、抽出物の分離を行った。その後は実施例3
と同様に二酸化炭素再使用のため、50kg/cm2 に
減圧し、冷却、液化工程を経て循環系による抽出分離を
行った。
の後圧力を52kg/cm2 まで減圧し、その際温度は
15℃となった。この状態の二酸化炭素を温度40℃に
まで加温し、抽出物の分離を行った。その後は実施例3
と同様に二酸化炭素再使用のため、50kg/cm2 に
減圧し、冷却、液化工程を経て循環系による抽出分離を
行った。
【0023】比較例2 実施例4と同じ原料、抽出条件で大豆油を抽出、その後
圧力60kg/cm2まで減圧し、その際温度は22℃
となった。この状態の二酸化炭素を温度45℃にまで加
温し、抽出物の分離を行った。その後は実施例4と同様
に二酸化炭素再使用のため、52kg/cm2 に減圧
し、冷却、液化工程を経て循環系による抽出分離を行っ
た。
圧力60kg/cm2まで減圧し、その際温度は22℃
となった。この状態の二酸化炭素を温度45℃にまで加
温し、抽出物の分離を行った。その後は実施例4と同様
に二酸化炭素再使用のため、52kg/cm2 に減圧
し、冷却、液化工程を経て循環系による抽出分離を行っ
た。
【0024】上記実施例3および4、比較例1および2
において、二酸化炭素を抽出物と分離するのに必要なエ
ネルギー、および二酸化炭素回収のための冷却、液化工
程時に必要なエネルギーを比較した。この結果を表1に
示す。尚、必要エネルギーの算出については、「"Therm
odynamic Functions of Gases", vol 1 Butterworth,Lo
ndon, 1956 」より得られる二酸化炭素1kgに対する
エンタルピー差から行った。
において、二酸化炭素を抽出物と分離するのに必要なエ
ネルギー、および二酸化炭素回収のための冷却、液化工
程時に必要なエネルギーを比較した。この結果を表1に
示す。尚、必要エネルギーの算出については、「"Therm
odynamic Functions of Gases", vol 1 Butterworth,Lo
ndon, 1956 」より得られる二酸化炭素1kgに対する
エンタルピー差から行った。
【0025】
【表1】
【0026】これらにより、従来の分離条件と比べて本
発明の方法は、二酸化炭素と抽出物との分離、および二
酸化炭素再使用のための冷却、液化に必要なエネルギー
は遙かに小さくて済むことが示された。
発明の方法は、二酸化炭素と抽出物との分離、および二
酸化炭素再使用のための冷却、液化に必要なエネルギー
は遙かに小さくて済むことが示された。
【0027】
【発明の効果】本発明により、超臨界二酸化炭素抽出物
の分離および二酸化炭素の再使用に従来必要とされた多
量のエネルギーを大きく削減することができる。本発明
は、また、エネルギー発生に必要な資源の削減をも可能
にする超臨界二酸化炭素による有機物の抽出分離方法を
提供するものである。
の分離および二酸化炭素の再使用に従来必要とされた多
量のエネルギーを大きく削減することができる。本発明
は、また、エネルギー発生に必要な資源の削減をも可能
にする超臨界二酸化炭素による有機物の抽出分離方法を
提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、抽出分離プロセスにおけるエネルギー
変化を温度−エントロピー線図に示したものである。
変化を温度−エントロピー線図に示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C11B 9/02
Claims (3)
- 【請求項1】 有機物の抽出を圧力100〜350kg
/cm2 、温度32〜80℃の超臨界状態の二酸化炭素
を用いて行い、その後、抽出時よりも低圧力、低温度の
超臨界又は亜臨界状態である圧力70〜90kg/cm
2 、温度25〜35℃で抽出物を二酸化炭素から分離す
ることを特徴とする有機物の抽出分離方法。 - 【請求項2】 有機物が天然物素材より得られる中性脂
質、ステロール類である請求項1記載の有機物の抽出分
離方法。 - 【請求項3】 有機物抽出後の抽剤二酸化炭素を抽出時
の超臨界状態よりも低圧力、低温度の圧力70〜90k
g/cm2 、温度25〜35℃で抽出物から分離し、つ
いで減圧して気液混相の二酸化炭素とし、続いて冷却し
て液体二酸化炭素とすることを特徴とする超臨界二酸化
炭素抽剤の回収方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6340358A JPH08183989A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 有機物の抽出分離方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6340358A JPH08183989A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 有機物の抽出分離方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08183989A true JPH08183989A (ja) | 1996-07-16 |
Family
ID=18336179
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6340358A Pending JPH08183989A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 有機物の抽出分離方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08183989A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008505474A (ja) * | 2004-06-24 | 2008-02-21 | プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド | ポリマー材料を前処理するための方法及び装置 |
CN103627527A (zh) * | 2013-06-30 | 2014-03-12 | 金玛瑙香水(明光)有限公司 | 沉香精油的提取方法 |
CN113603607A (zh) * | 2020-12-17 | 2021-11-05 | 贵州玄德生物科技股份有限公司 | 一种天然辣椒碱的提取工艺及生产线 |
-
1994
- 1994-12-27 JP JP6340358A patent/JPH08183989A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008505474A (ja) * | 2004-06-24 | 2008-02-21 | プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド | ポリマー材料を前処理するための方法及び装置 |
JP2012212908A (ja) * | 2004-06-24 | 2012-11-01 | Praxair Technology Inc | ポリマー材料を前処理するための方法及び装置 |
CN103627527A (zh) * | 2013-06-30 | 2014-03-12 | 金玛瑙香水(明光)有限公司 | 沉香精油的提取方法 |
CN113603607A (zh) * | 2020-12-17 | 2021-11-05 | 贵州玄德生物科技股份有限公司 | 一种天然辣椒碱的提取工艺及生产线 |
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