JPH08181289A - 強誘電体薄膜と基体との複合構造体およびその製造方法 - Google Patents

強誘電体薄膜と基体との複合構造体およびその製造方法

Info

Publication number
JPH08181289A
JPH08181289A JP6322206A JP32220694A JPH08181289A JP H08181289 A JPH08181289 A JP H08181289A JP 6322206 A JP6322206 A JP 6322206A JP 32220694 A JP32220694 A JP 32220694A JP H08181289 A JPH08181289 A JP H08181289A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
layer
film
ferroelectric
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6322206A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Tanimoto
谷本  智
Yasuo Tarui
康夫 垂井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP6322206A priority Critical patent/JPH08181289A/ja
Publication of JPH08181289A publication Critical patent/JPH08181289A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Semiconductor Memories (AREA)
  • Non-Volatile Memory (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】良好な強誘電体および良好なSi活性層を同時
に満足する複合構造体およびその製造方法を提供する。 【構成】複合体の構造として、配向制御層4と相互拡散
防止層3の少なくとも何れか一方と熱酸化SiO2層2
とからなる複合中間膜を強誘電体膜5とSi基板1との
間に挟持する構造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、良好な強誘電体および
良好なSi(シリコン)活性層を同時に満足する複合構
造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自発分極を備え、圧電性、焦電性、高誘
電率、キューリー温度相転位性など興味深い物性を有す
る強誘電体は、既にその特徴を生かして、民生・産業の
分野での様々な応用が模索され、実用化が着実に進んで
いる。例えば、セラミック素材を中心に早くから開発が
進すみ、色々なディスクリート部品が商品として世に送
り出されている。若干の例を挙げるならば、圧電式発火
素子、大容量コンデンサ、超音波発振子、感温素子(い
わゆるサーミスタ)などが挙げられよう。近年、バルク
で良好な特性を示す結晶性チタン酸鉛(PbTiO3
や結晶性チタン酸ビスマス(Bi4Ti312)を主原料
とする強誘電体を薄膜化してSi半導体基板に搭載しよ
うとする意欲的な試みが活発に行なわれるようになって
きた。ここで前者はペロブスカイト型強誘電体、後者は
擬ペロブスカイト型強誘電体である。この意図するとこ
ろは、上述のごとき強誘電性(これはSi材料では充分
に達成できない)機能とSi半導体の高速演算処理機能
を合体させて、付加価値の高い集積回路やスマートデバ
イスを実現しようとするものである。このようなデバイ
スの構造の代表例は、金属(M)−絶縁膜(I)−半導
体(S)型形電界効果型トランジスタの絶縁膜部分を強
誘電体膜(F)で置き換えたMFS型トランジスタをメ
モリセルとした不揮発性メモリデバイスであろう。同様
に(M)FS構造を用いた焦電/圧電スマートセンサや
そのほかのデバイスもまた実用化が期待されている。P
b系やBi系強誘電体薄膜の成膜は、スパッタリング
法、電子ビーム蒸着法、化学気相成長法(CVD)、分
子線エピタキシ法(MBE)、ゾルゲル法、レーザ・ア
ブレーション法などによる成膜が可能であり、何れによ
る方法でも比較的良質な膜が得られたと報告されてい
る。この中でCVDは高速の成膜が可能、膜の組成制御
が比較的容易、微細な凹凸構造での段差被覆性が優れて
いるなどの特徴を有しており、上述の集積回路やスマー
トセンサの成膜手段として開発が盛んである。
【0003】上記のFS構造やMFS構造、すなわち、
強誘電体とSi基板との複合構造体をSi基板上に構築
するために、過去、数々の努力が支払われてきた。しか
し、良好な強誘電体膜と良好な半導体層を同時に備えた
複合構造体を得たとする報告は、発明者等の知る限りま
だ見あたらない。ここでSi基板とは強誘電体の形成面
がSiから成る基体を指し、単結晶Siウェーハのよう
なSi単独の基体のほかSi以外の基体にSiの薄膜を
被着させた基体も含むものとする。すなわち、Siを含
有する半導体基体あるいはSiを含有する半導体薄膜で
表面を覆われた基体を併せてSi基板と呼称することに
する。上記のような困難は、成膜中あるいは後続の熱プ
ロセスにおいて、基板と強誘電体膜との間で起こる元素
の相互拡散に原因することが既に何人かの研究者によっ
て指摘されている(例えば、Makoto Ishida, et al.,
“ Lournal of CrystalGrowth,” 45, 1978 393.や、志
智ほか,第4回強誘電体応用会議予原稿集(1994年5月
京都),p.67.およびその引用文献等に記載)。上
記の問題は、特にPb系強誘電体膜で顕著であるので、
以下にPb系強誘電体膜の場合を例に挙げて説明するこ
とにする。なお、Bi系強誘電体膜の場合は、PbをB
iに置き換えて読めばよい。
【0004】上記の問題となっている相互拡散とは、P
b系強誘電膜体を各種の方法でSi上に成長させると
き、大量のSi元素がPb系強誘電膜体膜に表面まで急
速に外方拡散し、同時に強誘電体膜(あるいは気相)か
ら基板に向かってPbとOが内方拡散する現象である。
この現象が起こると、下記〜のごとき障害が発生す
る。 膜中に取り込まれたSiや膜から引き抜かれたPbが
結晶化を妨げる要因となって、ペロブスカイト構造を形
成しにくくさせる。 ペロブスカイト構造ができたとしても、Siの侵入や
Pbの欠損によって膜の強誘電特性は劣化したものとな
る。 Siが外方拡散した後の基板には空位(=欠陥)がで
きる。結果として薄膜下部の活性領域(トランジスタの
チャネルなどが形成される部分)が損傷を受ける。 内方拡散によって侵入したPbもまたSi基板に損傷
を与える。これもまた高品質の半導体活性領域の形成を
困難にする。 強誘電体膜と基板との間に組成が不定な無定形Pb−
Si−Oシリケート層が形成される。このシリケートは
リーク電流が高く、活性層の電荷を暫時捕獲するトラッ
プ準位や界面準位を高濃度に含んでいるので活性層のデ
バイス動作を不安定にさせる。 分極反転、圧電性、焦電性などの有用な特性は極めて
強い結晶異方性を示す。その特性を薄膜で効率良く利用
するために、特性が強く現れ易い結晶方向(Pb系は一
般にc軸またはa軸方向、Bi系はc軸方向)に膜を配
向させることが望ましい。しかし、前記無定形シリケー
ト層の形成はこれを困難する。なお、Bi系強誘電体膜
の相互拡散問題はPb系に比べれば相対的に軽微である
が、決して無視できるものではない。たとえば相互拡散
によって発生したと考えられるトラップ準位や界面準位
によるMFSトランジスタ(Bi4Ti312使用)の動
作の不安定性が Sugibichi等(Journal of Applied Phy
sics, 46, 19752877.)やWu(Ferroelectrics, 11, 197
6 379.)によって報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来技
術においては、基板に含まれるSiや強誘電体膜のPb
やBiが相互に拡散して〜のごとき障害を発生させ
ていたため、良好な特性を示す強誘電体薄膜とSi基板
とからなる複合構造体を形成することが困難であった。
【0006】本発明は、上記のごとき従来技術の問題点
を解決するためになされたものであり、良好な強誘電体
および良好なSi活性層を同時に満足する複合構造体お
よびその製造方法を提供することを目的している。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明においては、特許請求の範囲に記載するよう
に構成している。すなわち、請求項1に記載の発明にお
いては、複合体の構造として、配向制御層と相互拡散防
止層の少なくとも何れか一方と熱酸化SiO2層とから
なる複合中間膜を強誘電体膜とSi基板との間に挟持す
る構造とするように構成している。また、請求項2〜請
求項7に記載の発明は、上記の各構成要素の構成例を示
すものである。
【0008】また、請求項8〜請求項13は、上記構造
体の製造方法であり、請求項8は、前記基体の表面を熱
酸化して熱酸化SiO2層を形成する工程と、前記熱酸
化SiO2層上に相互拡散防止層を形成する工程と、前
記相互拡散防止層上に配向制御層を形成する工程と、前
記配向制御層上に強誘電体膜を形成する工程と、を備え
たものである。また、請求項9の製造方法は、前記基体
の表面に相互拡散防止層を先に形成し、その後に前記基
体の表面を熱酸化して前記基体と前記相互拡散防止層と
の間に熱酸化SiO2層を形成するものである。また、
請求項10に記載の製造方法は、相互拡散防止層兼配向
制御層を形成するものである。また、請求項11に記載
の製造方法は、相互拡散防止層兼配向制御層をc軸方向
にエピタキシャル成長させ、また、強誘電体単結晶膜も
エピタキシャル成長させるものである。また、請求項1
2に記載の製造方法は、配向制御層なしで相互拡散防止
層上にBi系強誘電体膜を形成するものである。また、
請求項13に記載の製造方法も配向制御層なしで強誘電
体膜を形成する方法であり、かつ、先に相互拡散防止層
を形成し、その後、基体の表面を熱酸化して基体と相互
拡散防止層との間に熱酸化SiO2層を形成し、それか
ら相互拡散防止層上に強誘電体膜を形成するものであ
る。
【0009】
【作用】本発明の複合構造体において、相互拡散防止層
はSiやPb、Biなどの元素が強誘電体とSi基板と
の間で相互拡散するの阻止する作用をする。これによっ
て前記〜で述べた従来技術の問題点は概ね解決する
ことができる。さらに、本発明の構成において、配向制
御層は強誘電性が強く現れ易い結晶方向に強誘電体膜を
配向させる役目を担う。無定形基板上で多結晶膜や非晶
質になりやすいPb系強誘電体では特にこれが必要であ
る。この配向制御層は一種の配向膜であり、その配向面
は強誘電体膜の配向面と類似した結晶周期性を有してい
る。このような配向制御層の上に強誘電体膜を成膜開始
すると、所望の配向面を持つ強誘電体膜が成膜されるの
である。したがってこのような配向制御層を設けること
により、前記従来の問題点のも解決することが出来
る。上記のように、拡散防止層の上に配向制御層を載置
することにより、従来の問題点の〜を全て解決する
ことができる。
【0010】しかし、強誘電体膜の下部にトランジスタ
のような能動素子を形成する場合には、実用上、まだ問
題が残されている。すなわち、相互拡散防止層をSi基
板に直接形成すると、拡散防止層とSi基板との界面に
大量の界面準位(10~12個/cm2以上)が発生し、こ
れが原因となって、トランジスタのOFF電流が増大し
たり、拡散防止層内の捕獲準位のためにチャネルの表面
ポテンシャルが不安定(トランジスタのVg−Id特性
に注入型のヒステリシスが発生する)になる。この弊害
を除くためには界面準位密度を少なくとも10~10個/
cm2台までに低減する必要がある。そのため、本発明
の構成においては、熱酸化SiO2層を設けている。こ
の熱酸化SiO2層は上記の弊害を除去する重要な役目
を果たす。すなわち、この熱酸化SiO2層はSi基板
界面および界面近傍の界面準位や捕獲準位をトランジス
タ動作上支障のないレベルまで低減し、強誘電体膜下の
Si半導体活性領域に良好な電導特性を賦与するもので
ある。以上述べたごとく、本発明においては、良好な強
誘電性ならびに良好な基板電導性を同時に満足する強誘
電体薄膜と基体との複合構造体を実現することができ
る。
【0011】
【実施例】以下、本発明にかかる強誘電体薄膜と基体と
の複合構造体の構成および該構成の製造方法の実施例を
図を用いて詳細に説明する。なお、以下の図において同
じ番号の対象物はすべて同じものであって、一度詳細に
説明したものは後の図においては簡単に説明している。 (1)複合構造体の第1実施例と製造方法の第1実施例
および第2実施例 図1は、本発明に係る強誘電体薄膜と基体との複合構造
体の第1実施例の要部断面図である。図1において、1
は単結晶Siまたは多結晶Si基板である。Si基板1
の上部にはSi基板を酸化雰囲気中で加熱して形成した
熱酸化SiO2層2が設けられている。そして直接トン
ネル過程によるSi基板からの電荷注入を防止するため
に、熱酸化SiO2層2の膜厚は少なくとも5nm、好
ましくは8.5nm以上であることが望ましい。
【0012】熱酸化SiO2層2の上には相互拡散防止
層3が設けられている。なお、ここで言う相互拡散と
は、強誘電体の成膜中やその後の熱プロセスにおいて、
強誘電体膜に含まれるPbあるいはBiがSi基板1あ
るいは前記熱酸化SiO2層2に侵入する現象と、Si
基板1あるいは熱酸化SiO2層2に含まれるSi元素
が強誘電体膜に侵入する現象を指す。相互拡散防止層3
は、この現象を防止する役割を果たす緻密な薄膜であ
る。相互拡散防止層3に適した材料としては、無定形の
Al23、Cr23、Ta25、Nb25、Y23、T
iO2、ZrO2、HfO2などが挙げれるが、これに限
定されるものではなく、同様な働きをするものなら他の
材料でも構わない。
【0013】相互拡散防止層3の上には配向制御層4が
配設される。配向制御層4はc軸方向に自発的に配向し
た誘電体膜であり、その配向面内の結晶周期構造は正方
格子である。この層の上に積層させる強誘電体膜の配向
面の周期構造と類似しているである。この層の上に積層
させる強誘電体膜の配向面の周期構造と類似していると
いう特徴がある。さらに具体的に言えば、配向制御層4
と強誘電体膜のa軸長をそれぞれad、afとすると、比
d:afあるいはad×√2:af、またはad:af√2
が簡単な整数比で近似されるという関係がある。この外
に必要な要件として配向制御層4が強誘電体膜と相互拡
散する膜であってはならないことは言うまでもない。配
向制御層4に適した材料としては、MgO、CoO、N
iO、SrTiO3、LaCoO3などがあるが、これに
限定されるものではない。
【0014】配向制御層4の上には、c軸またはa軸配
向したPb系強誘電体膜、あるいはc軸配向したBi系
の強誘電体膜5が載置される。強誘電体材料としては、
Pb系の場合にはPbTiO3、Pb(TiyZr1-y)O3
(以下、略してPZT)、(PbxLa1-x)TiO3(以
下、略してPLT)、(PbxLa1-x)(TiyZr1 -y)
3(以下、略してPLZT)、(PbxBa1-x)(Tiy
Zr1-y)O3(以下、略してPBZT)等があり、Bi
系の場合にはBi4Ti312、Bi3TiNbO(以
下、略してBiTN)、BaBiTi415(以下、
略してBBiT)などがある。
【0015】次に、図4は、上記図1に記載の複合構造
を実現するための製造工程(以下「プロセスの第1実施
例」と称す)を示図である。図4に示す製造工程は、
(1a)〜(6a)の各工程からなる。本実施例では、
まず、 (1a)RCA洗浄(アンモニア水と過酸化水素水の混
合液による洗浄SC1と、塩酸と過酸化水素水の混合液
による洗浄SC2とからなる伝統的なSi基板洗浄法)
と希フッ酸洗浄(5%濃度のHF水溶液に数10秒浸漬
した後、純水でリンスして乾燥する洗浄法)とでSi基
板1の表面の汚染物および自然酸化物を除去する。 (2a)つづいてSi基板1を800℃〜950℃の温
度に保持した拡散炉に収めて、酸素または水蒸気を含む
雰囲気で酸化させ、熱酸化SiO2膜2を成長させる。
なお、デバイス構造全体からの制約で高温(800℃以
上)での酸化が困難な場合には、ECR(電子サイクロ
トロン共鳴)プラズマ酸化やオゾン酸化などの励起酸素
を用いた低温熱酸化法で代替させることもできる。
【0016】(3a)つぎに熱酸化SiO2膜2を形成
した基板に、つぎの中から選ばれた材料からなる無定形
構造の相互拡散防止層3をスパッタリング法、化学気相
成長法(CVD)、蒸着法、抵抗線加熱法、電子ビーム
蒸着法、ゾルゲル法などの成膜手段を用いて堆積する。
このプロセス第1実施例の相互拡散防止層3としては、
複合構造体の第1実施例で掲げたいずれの材料も用いる
ことができる。また、成膜法は成膜しようとする材料の
種類、造ろうとしているデバイスの構造、後続の工程と
の整合性などを考慮して総合的に判断され、最も良いも
のを選ぶ。これら材料の結晶化した膜は次に述べる配向
制御層4の形成に有害となるので、成膜に際しては結晶
化しない堆積条件を選択する必要がある。また、膜厚は
少なくとも3nm、好ましくは6nm以上になるように
する。
【0017】(4a)相互拡散防止層3の形成につづい
て配向制御層4を形成する。この配向制御層4は、すく
なくとも2つの条件、すなわち、前述の無定形拡散防止
層の上にc軸配向膜が自発的に形成される条件と、形成
された配向面の周期性がつぎに形成するはずの配向性P
b系強誘電体の配向面の周期性と一致もしくは類似して
いる条件と、を満足している。これに適した材料として
は、結晶性MgO、CoO、NiO、SrTiO3、L
aCoO3等がある。MgO、CoO、NiOは立方晶
に属する塩化ナトリウム構造を有し、ad=約0.42n
mなるa軸長を持っている。一方SrTiO3とLaC
oO3は立方晶ペロブスカイト構造を有し、a軸長はad
=約0.39nmなる格子定数を持っている。なお、上
記の格子定数は断わらなければすべて常温の値である
(以下も同様)。
【0018】前者に属する膜はペロブスカイトPb系強
誘電体に対してad:af〜1:1、後者は擬ペロブスカ
イトBi系強誘電体に対してad×√2:af〜1:1な
る簡単な関係がある。これらの関係が成り立っていると
きに強誘電体膜5を配向制御層4上に形成すると、成膜
面に対してc軸が垂直に立った方向に配向するようにし
て成長する。成膜法はスパッタリング法、CVD法、蒸
着法、抵抗線加熱法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル法、
熱酸化法、レーザアブレーション法などが可能であり、
前記相互拡散防止層3の場合と同様に、成膜しようとす
る材料の種類、造ろうとしているデバイスの構造、後続
工程との整合性などを考慮して総合的に判断して、最も
良いものを選択する。膜厚は少なくとも2nm、好まし
くは5nm以上になるようにする。
【0019】(5a)つづいて配向制御層4を形成した
基板表面を十分洗浄する。この洗浄は配向制御層形成中
および形成後に基板表面に付着した汚染物を取り除くた
めのものである。洗浄方法はアセトン、エタノール等の
有機溶剤を用いて基板を超音波洗浄する。また、超音波
洗浄後、配向制御層表面に依然除去しきれない無機汚染
物(例えばSi酸化物のような)が認められる場合に
は、1%濃度の稀弗酸に約10秒浸漬させ、超純水でリ
ンスして乾燥する工程を付加する。逆に、配向制御層形
成後の表面に汚染物がない場合は、この洗浄工程(5
a)を省略することができる。
【0020】(6a)最後に、洗浄が終了した基板の配
向制御層4上にCVD法、スパッタリング法、レーザア
ブレーション法、電子ビーム蒸着法等の成膜手段を用い
てPb系またはBi系の強誘電体膜5を所定の温度(通
常キュリー温度以上)で必要な膜厚だけ形成する。Pb
系強誘電体は成膜温度付近で立方晶ペロブスカイト構
造、常温で正方晶ペロブスカイト構造であり、その格子
定数(a軸とc軸長)は約0.39nmである。Pb系
強誘電体膜の(100)面あるいは(001)面の結晶
周期性は(4a)で形成した配向制御層4の配向面の結
晶周期性とほぼ一致するので、このような配向制御層4
の上に形成した強誘電体膜5は自らのa軸とb軸が配向
制御層4のa軸とb軸に一致するように成長し、結果と
してc軸(あるいはa軸)が基板面に垂直になるように
配向する。Pb系強誘電体膜をc軸主配向とするには、
成膜後、常温まで少なくとも50℃/min以上の速度
で急冷する。一方、a軸主配向とするためには少なくと
も5℃/min以下の速度で徐冷する。これに対して正
方晶系の擬似ペロブスカイト構造をもつBi系強誘電体
膜はa軸長とb軸長が等しく約0.55nmに長さをも
つ。なお、c軸長は2nm以上であり、組成によって大
きく変わる。このBi系強誘電体のa、b軸長は前出の
配向制御層のa軸とb軸を一辺とする正方形の対角線の
長さ=[110]軸長にほぼ等しいので、これら配向制
御層の上にBi系強誘電体膜を堆積した場合には、双方
のc軸が互いに平行であり、かつ強誘電体薄膜のa軸、
b軸が配向制御層4の[110]軸と[1 -1 0]軸
に平行になるように堆積する。このようにして堆積した
Bi系強誘電体膜はc軸配向する。
【0021】(第1の具体例)次に、複合構造体の第1
実施例(図1)をプロセスの第1実施例(図4)で実現
する場合の具体的な例(以下、具体例1と称する)を説
明する。この例は図1の構造において、Si基板1とし
て単結晶Si(100)基板、熱酸化層2として熱酸化
SiO2層、相互拡散防止層3として無定形Al2
3層、配向制御層4としてMgO層、強誘電体膜5とし
てPbTiO3膜を用いている。このような構成の複合
構造を構築するために図4の流れに沿って工程が進む。
包括的なプロセス説明は、プロセスの第1実施例で既に
述べたので、ここではまだ説明していない2〜4の各層
と強誘電体膜5の形成方法を詳しく説明する。熱酸化S
iO2層2は900℃に加熱した伝統的な横型拡散炉内
に前記(1a)で述べた洗浄を施したSi(100)基
板を置いて、乾燥酸素雰囲気中で酸化することによって
成長させる。たとえば口径6インチの石英内管に毎分1
5リットルの乾燥酸素を流して酸化したとき、約10分
で8.5nmの熱酸化SiO2層ができる。
【0022】次に、相互拡散防止層3となる無定形Al
23層の堆積は、伝統的なコールドウォール型の減圧
(LP)CVD装置で行なう。Al原料には有機金属ア
ルミニウムテトライソプロポキシド〔 Al(i−OC3
7)3 〕、酸化ガスには乾燥高純度酸素(O2)を用い
る。気化装置にて蒸気化したAl(i−OC37)3分子
を、高純度乾燥Arガスをキャリアとして反応器まで一
定の流量で輸送する。成膜中、反応器にはAl原料の外
に、共に流量調節された高純度乾燥O2と希釈ガスとし
ての高純度乾燥Arを導く一方で反応器からは生成ガス
や未反応ガスがターボ分子ポンプやロータリポンプなど
の排気手段によって一定の速度で排気されている。Al
23のCVDの手順は次のとおりである。はじめに所定
の温度に加熱されているサセプタ(反応器内)上に基板
を載せて反応器内を真空に引く。反応器内の圧力が十分
に下がり、基板の温度が安定したところで成膜を開始す
る。成膜は原料ガスと希釈ガスを所定の流量で反応器に
送り、反応器内の圧力を所定の値に制御することで進
み、原料ガスの供給を遮断して反応器内を真空にするこ
とで終了する。膜厚は成膜時間で調節する。このような
LPCVDの操作法は、形成しようとする膜の種類にか
かわらず共通なので、今後、操作法の説明は省略するこ
とにする。Al23層の典型的な成膜条件を以下に挙げ
る。
【0023】 Al23成膜条件 成膜圧力 5Torr 成膜温度 450℃(基板温度) 原料 Al(i−OC37)3、O2 気化温度 125℃ ガス流量 O2 100cc/min Al原料キャリア(Ar) 20cc/min Ar希釈 200cc/min つづいてAl23の相互拡散防止層3上に、MgOの配
向制御層4を減圧CVDで堆積する。CVD装置の構成
や成膜の手順等は上記と同様である。Mg原料としては
マグネシウムビスジピバロイルメタナート〔 Mg(DP
M)2 〕を使用する。ここで記号DPMは(CH3)3CC
OCH2COC(CH3)3を示す。Mg原料のキャリアガ
スと希釈ガスは高純度乾燥Ar、酸化ガスは乾燥酸素
(O2)である。Al23の相互拡散防止層3の上にM
gOの(100)配向膜が得られる典型的な成膜条件は
つぎのとおりである。
【0024】 MgO成膜条件 成膜圧力 15Torr 成膜温度 750℃(基板温度) 原料 Mg(DPM)2,O2 気化温度 180℃(Mg原料) ガス流量 O2 100cc/min Mg原料キャリア(Ar) 20cc/min Ar希釈 200cc/min 上記のような条件で堆積したMgO膜は柱状組織を有す
るc軸優先配向膜である。
【0025】次に、配向制御層4の上にPb系強誘電体
PbTiO3を成膜し、強誘電体膜5とする。成膜方法
は様々な方法で可能であるが、ここでは熱CVDによる
方法を説明する。使用する原料はテトラエチル鉛〔 P
b(C25)4 〕とテトライソプロポキシチタン〔 Ti
(i−OC37)4 〕と乾燥酸素(O2)である。前2者
は常温常圧で液体であり、いずれも気化器で気化し、乾
燥Arガスをキャリアとして反応器に輸送する。反応器
に供給するPb(C25)4とTi(i−OC37)4の輸送
量は単結晶MgO基板や単結晶YSZ基板などにチタン
酸鉛を成膜したとき、膜のPb原子とTi原子の密度が
1:1になるような値に調節(キャリア流量または原料
温度で制御)する。このようにして形成したPbTiO
3膜は、PbTiO3膜の(001)面をc軸の周りに4
5゜回転させたときの結晶周期性が配向制御膜4の(0
01)面の周期性に類似しているため、形成されたPb
TiO3膜はc軸またはa軸配向している膜が得られ
る。c軸優先配向にするためには前述のように成膜後急
冷する。代表的な成膜条件は下記のとおりである。
【0026】 PbTiO3の成膜条件 成膜圧力 6Torr 成膜温度 640℃(基板温度) 原料 Pb(C25)4,Ti(i−OC37)4,O2 気化温度 −15℃:Pb(C25)4 25℃:Ti(i−OC37)4 ガス流量 O2 100cc/min Pb原料キャリア(Ar) 25cc/min Ti原料キャリア(Ar) 22cc/min Ar希釈 200cc/min 以上で複合構造体が完成する。この構造体をさらに進め
てMFS構造にするためには、最後に形成したPbTi
3膜の上に所望の金属電極、たとえば白金Pt薄膜電
極を蒸着法とフォトリソグラフィを用いて形成すればよ
い。このMFS構造化の方法はこれ以後に説明するその
他の具体例でも同様である。
【0027】次に、図5は、図1に記載の複合構造を実
現するための他のプロセス(プロセスの第2実施例と称
す)を示す図である。図5の製造工程は、(1b)〜
(6b)の各工程からなる。本プロセスの実施例では、
まず、 (1b)前記プロセスの第1実施例における(1a)と
同様に、RCA洗浄と希フッ酸洗浄とを行い、単結晶あ
るいは多結晶Si基板1の表面の汚染物および自然酸化
物を除去する。
【0028】(2b)つぎに清浄化されたSi基板に無
定形構造でかつ次工程の熱酸化剤を容易に透過し得る性
質を備えた相互拡散防止層3をスパッタリング法、化学
気相成長法(CVD)、蒸着法、抵抗線加熱法、電子ビ
ーム蒸着法、ゾルゲル法などの成膜手段を用いて堆積す
る。これに適した材料として、Ta25、Nb25、Y
23、ZrO2、TiO2、HfO2が挙げれる。ただ
し、Al23やCr23のような次工程の熱酸化におい
て酸素の拡散がしにくい性質を有する材料は適さない。
成膜法は成膜しようとする材料の種類、形成しようとし
ているデバイスの構造、後続の工程との整合性などを考
慮して総合的に判断し、スパッタリング法、CVD法、
蒸着法、抵抗線加熱法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル
法、熱酸化法、レーザアブレーション法の中から最も適
したものを選択する。なお、無秩序に結晶化した相互拡
散防止層は次に述べる配向制御層の形成にかえって有害
となるので、成膜に際しては無定形になる堆積条件を選
択する必要がある。膜厚は少なくとも3nm、好ましく
は6nm以上になるようにする。
【0029】(3b)つづいて相互拡散防止層3を形成
したSi基板1を水蒸気あるいは酸素などの酸化雰囲気
で加熱し、前記相互拡散防止層3とSi基板1との間に
熱酸化SiO2層2を成長させる。この熱酸化SiO2
2の膜厚は、Si基体1からの電荷の直接トンネル注入
を防止するために、少なくとも8.5nm必要である。
この工程で注意するべき事は、前工程で形成した相互拡
散防止層3が結晶化しないように酸化条件、特に温度を
設定する必要がある点である。たとえば10nm厚以上
のTa25やNb25で形成した相互拡散防止層は、お
よそ550℃以上の温度で結晶化するので、薄い膜にす
るかまたは結晶化温度以下で酸化しなければならない。
しかし、この温度領域で実用的な時間内に熱酸化膜を成
長することは困難である。このような場合には前述の励
起酸素を用いた熱酸化法(ECR酸化法やオゾン酸化
法)が適している。相互拡散防止層3の材料の種類や熱
酸化条件によっては、熱酸化後、相互拡散防止層3の表
面に微量のSi酸化物が検出されることがある。このよ
うな場合には次の工程に入る前に、1%濃度の稀弗酸に
約10秒浸漬させてSi酸化物を除去し、超純水でリン
スして乾燥する工程を付加する。なお、この工程は図5
には記載していない。
【0030】(4b)相互拡散防止層3とSi基板1と
の間に熱酸化SiO2層2を形成したのち、相互拡散防
止層3上に(4a)と同様な方法で配向制御層4を形成
する。この配向制御層4は、すくなくとも2つの条件、
すなわち、前述の拡散防止層を結晶化させることなく配
向膜が自発的に形成される条件と、配向面の周期性が次
工程で形成する強誘電体の所望の配向面の周期性と一致
もしくは類似している条件とを満足している必要があ
る。これに適した材料としては前記(4a)と同様に、
MgO、CoO、NiO、SrTiO、LaCoO3
どがある。成膜法は前記相互拡散防止層3と同様に、成
膜しようとする材料の種類、形成しようとしているデバ
イスの構造、後続の工程との整合性などを考慮して総合
的に判断し、最も良いものを選択する。膜厚は少なくと
も2nm、好ましくは5nm以上になるようにする。
【0031】(5b)つづいて配向制御層4を形成した
基板表面を(5a)と同様な方法で十分洗浄する。ただ
し配向制御層形成後の表面に汚染物がない場合は、本洗
浄工程を省略することができる。 (6b)最後に洗浄が終了した基板の配向制御層上に
(6a)と同様な方法で強誘電体膜5を必要な膜厚だけ
形成する。
【0032】(第2の具体例)複合構造の第1実施例
(図1)をプロセスの第2実施例(図5)で実現する場
合の具体例(以下具体例2と称する)を次に説明する。
本具体例においては、図1のSi基板1として単結晶S
i(100)基板、熱酸化層2として熱酸化SiO
2層、相互拡散防止層3として無定形酸化ジルコニウム
ZrO2膜、配向制御層4としてMgO膜、強誘電体膜
5としてPbTiO3膜を用いている。このような構成
の複合構造を構築するための基本的なプロセスは図5に
示したとおりで、包括的なプロセス説明は既に述べた。
ここではZrO2膜の相互拡散防止層3と熱酸化SiO2
層2の形成方法を詳しく説明する。本具体例2では、熱
酸化SiO2層2を形成する前にSi基板1上にZrO2
膜の相互拡散防止層3をCVDで堆積する。Zr原料と
してはジルコニウムターシャルテトラブトキシド〔 Z
r(t−OC47)4 〕を用いる。典型的なCVD条件は
次のとおりである。
【0033】 ZrO2成膜条件 成膜圧力 5Torr 成膜温度 550℃(基板温度) 原料 Zr(t−OC47)4、O2 気化温度 20℃(Zr) ガス流量 O2 100cc/min Al原料キャリア(Ar) 20cc/min Ar希釈 200cc/min 次に、ZrO2膜の相互拡散防止層3を堆積したSi基
板1を酸化して相互拡散防止層3とSi基板1との間に
熱酸化SiO2層2を形成する。酸化は850℃に加熱
した伝統的な横型拡散炉内にSi基板1を置いて、5%
(対O2比)の水蒸気を含んだ酸素雰囲気中で行う。た
とえば口径6インチの石英内管に毎分15リットルの乾
燥酸素と毎分0.75リットルの水素を流して水素を燃
焼させながら酸化したときには、約11分で8.5nm
の熱酸化SiO2層2ができる。なお、酸化を乾燥酸素
雰囲気で行ってももちろん構わない。ただし、この場合
には同じ膜厚の酸化膜を形成するに長い時間がかかる。
その後、ZrO2膜の相互拡散防止層3に、順にMgO
膜からなる配向制御層4とPbTiO3からなる強誘電
体膜5をCVDで堆積する。なお、必要であれば、上記
配向制御層4の形成と強誘電体膜5の形成の間に、前記
(5b)で述べた洗浄を行う。また、配向制御層4と強
誘電体膜5の典型的なCVD条件は具体例1記載の条件
と同様である。
【0034】(2)複合構造の第2実施例とプロセスの
第3実施例および第4実施例 複合構造の前記第1実施例の配向制御層4に相互拡散を
防止する機能が存在し、かつ該配向制御層が熱酸化Si
2層2上に直接形成できる場合には、相互拡散防止層
3を省略することができる。本発明に係る強誘電体薄膜
と基体との複合構造体の第2実施例はこのような場合の
例である。図2は複合構造体の第2実施例の要部断面図
である。図2において、図1と同じ番号は同じ物である
から詳細な説明は省くことにする。1は単結晶Siまた
は多結晶Si基板、2はSi基板1を酸化雰囲気中で加
熱して形成した熱酸化SiO2層である。熱酸化SiO2
層2の上には相互拡散防止機能と強誘電体の配向を促す
機能とを兼備する相互拡散防止層兼配向制御層6があ
る。これに適した材料としてはMgO、NiO、Co
O、SrTiO3、LaCoO3、YSZ(イットリウム
安定化酸化ジルコニウム)、CeO2、PrO2、Gd2
3などが挙げれるが、これに限定されるものではな
い。成膜はスパッタリング法、化学気相成長法(CV
D)、蒸着法、抵抗線加熱法、電子ビーム蒸着法、ゾル
ゲル法などで行われる。相互拡散防止層兼配向制御層6
の上には、複合構造の前記第1実施例に記載のc軸ある
いはa軸に配向したPb系強誘電体膜やc軸に配向した
Bi系強誘電体膜の強誘電体膜5がある。
【0035】第6図は、図2に記載の複合構造体(構造
の第2実施例)を実現するための製造工程(以下、プロ
セスの第3実施例と記す)を示す図である。このプロセ
スは(1c)〜(5c)の各工程からなる。 (1c)前記(1a)と同様なRCA洗浄と希フッ酸洗
浄(洗浄の詳細は前述済み)でSi基板表面の汚染物と
自然酸化物を除去する。 (2c)前記(2a)と同様の方法でSi基板1に熱酸
化SiO2膜2を成長させる。この熱酸化SiO2膜2の
膜厚は、前述の実施例と同様、少なくとも5nm好まし
くは8.5nm必要である。
【0036】(3c)つづいてSi基板1に相互拡散防
止層兼配向制御層6をスパッタリング法、化学気相成長
法(CVD)、蒸着法、抵抗線加熱法、電子ビーム蒸着
法などの成膜手段を用いて堆積させる。これに適した材
料としてはMgO、NiO、CoO、SrTiO3、L
aCoO3などの材料があるが、これに限定されるもの
ではない。これらは(001)面の結晶周期性が強誘電
体の(001)面に似てかつ自発的にc軸配向する性質
がある。成膜法は成膜しようとする材料の種類、形成し
ようとしているデバイスの構造、後続の工程との整合性
などを考慮して総合的に判断し、最も適したものを選択
する。膜厚は少なくとも5nm、好ましくは9nm以上
になるようにする。このように相互拡散防止層兼配向制
御層はプロセスの第1実施例、第2実施例の相互拡散防
止層や配向制御層単独の膜厚より一般的に厚くなるのが
普通である。 (4c)つづいて前記(5a)に記載と同様の方法も用
いて基板表面を十分洗浄する。 (5c)最後に前記(6a)と同様に、洗浄が終了した
基板の配向制御層上にCVD法、スパッタリング法、レ
ーザアブレーション法、電子ビーム蒸着法等の成膜手段
を用いてPb系やBi系強誘電体を所定の温度で必要な
膜厚だけ形成する。
【0037】(第3の具体例)この具体例は複合構造の
第2実施例(図2)をプロセスの第3実施例(第6図)
で実現する場合の例に該当する。本具体例(図2参照)
においては、Si基板1として単結晶Si(100)基
板、熱酸化層2として熱酸化SiO2層、相互拡散防止
層兼配向制御層6としてチタン酸ストロンチウム(Sr
TiO3)膜、強誘電体膜5としてPbTiO3膜を用い
ている。このような構成の複合構造を構築するための基
本的なプロセスは、図5に示したとおりであり、包括的
なプロセス説明は既に述べた。ここでは具体例としては
初出のSrTiO3層の形成方法を詳しく説明する。
【0038】はじめに、十分に洗浄した(1c)後のS
i基板1に前記具体例1で説明したのと同様の方法・条
件で熱酸化SiO2層2を形成する(2c)。つづいて
相互拡散防止層兼配向制御層6としてのSrTiO3
を高周波(例えば13.56MHz)マグネトロンスパ
ッタ法で熱酸化SiO2層2上に成膜する(3c)。ス
パッタリングのターゲットには高純度のSrTiO3
末を円盤状に焼結・形成したものを用いる。加熱機能を
備えた基板ホルダと冷却盤上に設置されたターゲットと
は対向しており、両者の間には約15cmの隔たりがあ
る。成膜面をターゲットに向くように基板ホルダに取付
けたのち、基板やターゲットを取り囲む蒸着槽を真空排
気すると共に基板ホルダを加熱して基板の温度を所定の
温度にする。基板温度が安定したところで、蒸着槽にA
rとO2が5:1の割合で混合されたガスを導入し、高
周波電力を投入してスパッタを開始する。膜の厚みは成
膜時間(=電力投入時間)の長さで決定する。SrTi
3膜の典型的な成膜条件は下のとおりである。
【0039】SrTiO3成膜条件 成膜圧力 3.5×10~3Torr 成膜温度 410℃(基板温度) ターゲット SrTiO3粉末焼結体 スパッタガス Ar:O2=5:1(ともに高純度乾燥
ガス使用) 投入電力 200W(13.56MHz) このようにして作製した膜は、柱状構造を有する立方晶
ペロブスカイト(a=0.39nm)SrTiO3膜であ
り、成膜面に対してc軸が優先配向している。成膜が終
了したら、一旦、蒸着槽を高真空にひいて基板ホルダの
加熱を停止する。基板温度が十分下がったところで真空
槽に不活性ガスを導入して大気圧にし、基板を基板ホル
ダから取り出す。なお、このようなスパッタリング法の
操作は形成しようとする膜にかかわらず共通であり、今
後は説明が冗長になるのを避けるためにスパッタリング
の条件のみ述べて操作法の説明は省略することにする。
このあと、(4c)で説明したごとき洗浄を施し、Sr
TiO3の相互拡散防止層兼配向制御層6の上に、CV
D法でPbTiO3からなる強誘電体膜5を形成する。
この成膜法の詳細は具体例1で説明したとおりである。
【0040】次に、図7は、図2に記載の複合構造(構
造の第2実施例)を実現するための他の製造工程(以下
プロセスの第4実施例と称す)を示す図である。図7の
プロセスは(1d)〜(5d)の各工程からなる。 (1d)前記(1a)と同様のRCA洗浄と希フッ酸洗
浄(洗浄の詳細は前述済み)でSi単結晶基板表面の汚
染物と自然酸化物を除去する。ここでSi基板は必ず
(100)単結晶基板でなければならないので特に注意
が必要である。
【0041】(2d)つづいて単結晶のSi基板1に相
互拡散防止層兼配向制御層6をスパッタリング法、化学
気相成長法(CVD)、蒸着法、抵抗線加熱法、電子ビ
ーム蒸着法などの成膜手段を用いてヘテロエピタキシャ
ル成長させる。ここで相互拡散防止層兼配向制御層6は
文字どおりの相互拡散防止と配向制御機能以外に次の熱
酸化工程(3d)において気相から供給される酸化剤を
Si基板界面まで容易に透過し得る性質を備えている。
これに適した材料としてはYSZとCeO2、PrO2
Gd23があるが、これに限定されるものではない。成
膜法は成膜しようとする材料の種類、形成しようとして
いるデバイスの構造、後続の工程との整合性などを考慮
して総合的に判断し、最も適したものを選択する。膜厚
は少なくとも5nm、好ましくは9nm以上になるよう
にする。
【0042】(3d)つづいて相互拡散防止層兼配向制
御層6を形成したSi基板1を前記(3b)と同様の方
法で熱酸化し、相互拡散防止層兼配向制御層6とSi基
板1との間に熱酸化SiO2層2を成長させる。Si基
体1からの電荷の直接トンネル注入を防止するために、
この熱酸化SiO2層2の膜厚は少なくとも8.5nm必
要である。 (4d)つづいて相互拡散防止層兼配向制御層6を形成
した基板表面を(5a)と同様の方法で十分洗浄する。 (5d)最後に洗浄が終了した基板の相互拡散防止層兼
配向制御層6上にCVD法、スパッタリング法、レーザ
アブレーション法、電子ビーム蒸着法等の成膜手段を用
いて強誘電体膜5をヘテロエピタキシャル成長する。強
誘電体膜をc軸主配向とするには成膜後常温まで少なく
とも50℃/min以上の速度で急冷する。一方、a軸
主配向とするためには少なくとも5℃/min以下の速
度で徐冷する。Bi系強誘電体は自発的にc軸配向にな
る。
【0043】(第4の具体例)つぎに複合構造体の第2
実施例(図2)をプロセスの第4実施例(図7)で実現
する実際の具体例を紹介する。この構造とプロセスの組
合せの特長は相互拡散防止層兼配向制御層6がc軸配向
の単結晶エピタキシャル膜であり、この膜の上に形成し
た強誘電体膜5も極めて高品質のc軸あるいはa軸配向
の単結晶エピタキシャル膜になっていることである。こ
の具体例においては、Si基板1として単結晶Si(1
00)基板、熱酸化層2として熱酸化SiO2層、相互
拡散防止層兼配向制御層6としてイットリヤ安定化酸化
ジルコニウム(YSZ)膜、強誘電体膜5としてPbT
iO3膜を用いている。このような構成の複合構造を構
築するための基本的なプロセスは図5に示したとおり
で、包括的なプロセス説明は既に述べた。ここでは初出
のYSZ層の形成方法を詳しく明する。
【0044】はじめに単結晶Si(100)基板上に相
互拡散防止層兼配向制御層6となるYSZ膜を電子ビー
ム蒸着法にて形成する。蒸着のターゲットには高純度の
酸化イットリウムY23粉末と酸化ジルコニウムZrO
2粉末をモル比でx:(1−x)に混合し、ホットプレ
スで円盤状(直径15mm、厚み7mm)に整形したタ
ブレットである。ここでxは0.02<x<0.15であ
る。成膜の手順を説明すると、まず弗酸浸漬を含む洗浄
を施した基板を蒸着槽中の基板ホルダに設置する。基板
ホルダは基板を常温から1000℃までの温度に加熱す
る能力を有しており、蒸着槽内のハースに収納された蒸
着タブレットと十分な距離を置いて対抗している。蒸着
槽には強力な排気装置が付設されていて、内部の圧力は
10~9torr以下まで減圧することが可能である。基
板をホルダに取り付けた後、蒸着槽の圧力を10~9to
rr以下に下げると共に基板温度を加熱して所定の成膜
温度にする。温度が安定したところで蒸着電源の出力を
オンして電子ビームをタブレットに射突させ蒸着を開始
する。蒸着開始後、YSZの膜厚が概ね3nmになった
ところで外部から高純度乾燥酸素を導入して圧力を2×
10~6torrに調節すると共にフィラメント電流を増
やして成膜を続ける。膜厚は成膜時間、成膜速度はフィ
ラメント電流で決定する。典型的なYSZの成膜条件は
つぎのとおりである。
【0045】 YSZ成膜条件 成膜圧力 1×10~8Torr(初期) 2×10~6Torr(膜厚3nmからO2導入) 成膜温度 750℃(基板温度) ターゲット 粉末混合タブレットY23:ZrO2=8:92 投入電力 200W(13.56MHz) フィラメント電流 20mA(初期) 50mA(膜厚3nmから) 電子ビーム加速電圧 8KV 上記のようにして膜厚が所望の値になったところで蒸着
電源の出力を切って成膜を終える。この後、蒸着槽に基
板を置いたまま基板を徐冷し、基板温度が十分低くなっ
てから基板を蒸着槽から取出す。
【0046】このようにして堆積したYSZ膜は“単結
晶膜”であり、単結晶のSi基板1に対して滑らかにエ
ピタキシャル成長している。Si基板とYSZ膜の結晶
面および結晶軸の関係はSi(001)‖YSZ(00
1)、Si[110]‖YSZ[110]、すなわちY
SZ膜a軸とb軸とがSi基板のa軸とb軸とに平行な
るようにc軸配向している。なお、上記の「‖」は平行
を表す記号である。
【0047】つぎにYSZの相互拡散防止層兼配向制御
層6を堆積したSi基板1を酸化してYSZとSi基板
1との間に熱酸化SiO2層2を形成する。酸化は85
0℃に加熱した伝統的な横型拡散炉内にSi基板を置い
て、5%(対O2比)の水蒸気を含んだ酸素雰囲気中で
行う。詳細は具体例2の酸化法と同じである。この酸化
工程後もYSZ膜は依然単結晶であり、Si基板との結
晶関係Si(001)‖YSZ(001)、Si[11
0]‖YSZ[110]は依然として成り立っている。
YSZ膜は上述のとおり比較的高温で蒸着され、かつ高
温酸化雰囲気に晒されるので、ときおりYSZ表面に微
量(0.5原子%以下)のSi酸化物が偏析することが
ある。この偏析は大抵無視できる程度のものであるが、
次工程の強誘電体薄膜の成膜時において突発的な不良が
起きるのを回避するために、稀弗酸浸漬洗浄を含む洗浄
で完全に除去する。
【0048】この後、YSZ膜の相互拡散防止層兼配向
制御層6の上に具体例1と同じCVD法でPbTiO3
強誘電体膜5を堆積することにより、強誘電体薄膜とS
i基板(基体)の複合構造が完成する。ここで注目すべ
きことは単結晶YSZ膜の上に形成されたPbTiO3
膜もc軸配向の“単結晶膜”となることである。YSZ
膜との結晶関係はYSZ(001)‖PbTiO3(0
01)、YSZ[100]‖PbTiO3[110]
で、PbTiO3のa,b軸はYSZのa,b軸に対し
て45°回転している。強誘電体のc軸配向単結晶膜は
単なるc軸配向膜(柱状構造)よりも強誘電体特性が優
れている。またリーク電流も2〜3桁低いという特長が
ある。
【0049】本具体例において、PbTiO3の替わり
にBi系強誘電体膜、たとえばBi4Ti312膜を減圧
CVDで形成すれば、Bi4Ti312のc軸配向単結晶
膜が得られる。このときのYSZとの結晶関係を記せ
ば、YSZ(001)‖Bi4Ti312(001)、Y
SZ[110]‖Bi4Ti312[110]であり、B
4Ti312のa,b軸はYSZのa,b軸と平行にな
る。
【0050】上記Bi4Ti312膜のコールドウォール
型減圧CVD法による成膜条件はつぎのとおりである。
なお、Si基板1との熱膨張係数の大きな違いによって
Bi4Ti312膜にひびが入るのを防止するため、成膜
後は5℃/min以下の降温速度で徐冷する。
【0051】 Bi4Ti312成膜条件 成膜圧力 2Torr 成膜温度 650℃(基板温度) 原料 トリフェニルビスマス〔Bi(C65)3〕、O2+O3(5%) 気化温度 140℃(Zr) ガス流量 O2 100cc/min Bi原料キャリア(Ar) 20cc/min Ar希釈 200cc/min (3)複合構造の第3実施例とプロセスの第5実施例お
よび第6実施例 Bi系強誘電体膜は不定形基板上であっても適当な条件
下で成膜するとc軸に配向した膜を得ることが可能であ
る。このような場合、複合構造体の第1実施例記載の配
向制御層4を省略することができる。本第3実施例はS
i基板上にc軸配向したBi系強誘電体複合構造を構築
するの有利である。図3は、複合構造の第3実施例の要
部断面図である。図3において、1は単結晶Siまたは
多結晶Si基板、2は熱酸化SiO2層、3は相互拡散
防止層である。また、独立の配向制御層4はなく、相互
拡散防止層3の上にBi系強誘電体膜7が設けられてい
る。この膜は成膜面に対してc軸が垂直になるよう配向
している。図3に示す強誘電体膜とSi基板との複合構
造体は図1に示した実施例1に比べると比較的単純な構
成をしている。以上強誘電体薄膜と基体との複合構造の
第3実施例を説明し終えたところで、つぎにこの複数の
構造の形成プロセスの実施例を順に2つ説明する。
【0052】図8は、図3に記載の特にBi系強誘電体
を用いた複合構造を実現するために適した製造工程(以
下プロセスの第5実施例と称す)を示す図である。この
プロセスは(1e)〜(5e)の工程からなっている。 (1e)プロセスの第1実施例の(1a)で述べたRC
A洗浄と希フッ酸洗浄とでSi基板1の表面の汚染物お
よび自然酸化物を除去する。 (2e)つづいて前記(2a)と同様の方法で熱酸化S
iO2膜2を成長させる。この熱酸化SiO2膜2の膜厚
は少なくとも8.5nm必要である。
【0053】(3e)つぎに熱酸化SiO2膜2を形成
した基体に、つぎの中から選ばれた材料からなる無定形
構造の相互拡散防止層3を、スパッタリング法、化学気
相成長法(CVD)、蒸着法、抵抗線加熱法、電子ビー
ム蒸着法、ゾルゲル法などの成膜手段を用いて堆積す
る。これに適した材料としては、Al23、Cr23
Ta25、Nb25、Y23、ZrO2、TiO2、Hf
2などが挙げれる。
【0054】成膜法は成膜しようとする材料の種類、形
成しようとしているデバイスの構造、後続の工程との整
合性などを考慮して総合的に判断し、最も良いものを選
ぶ。これら材料の結晶化した膜は次に述べるBi系強誘
電体膜7の形成に有害となるので、少なくとも相互拡散
防止層3の成膜中や次の強誘電体膜の成膜中には結晶化
しない堆積条件や材料を選択する必要がある。10nm
以上のTa25やNb25、TiO2は550℃以上の
熱処理で結晶化しやすい性質を持っているので、つぎの
強誘電体がこの温度以上で成膜される場合には膜厚を薄
くするか結晶化しにくい他の材料(Al23やCr23
など)を選ぶべきである。膜厚は少なくとも3nm、好
ましくは6nm以上になるようにする。なおSiO2
Bi系強誘電体と相互に反応するので相互拡散防止層3
を省略することはできない。
【0055】(4e)つづいて基板表面を(5a)と同
様の方法で十分洗浄する。 (5e)最後に相互拡散防止層3上にCVD法、スパッ
タリング法、レーザアブレーション法、電子ビーム蒸着
法等の成膜手段を用いてBi系強誘電体膜7を所定の温
度で必要な膜厚だけ形成する。Bi系強誘電体は、Bi
系強誘電体と反応しない安定な無定型相互拡散防止層3
上では膜が自発的にc軸配向に成長する性質を持ってい
る。このため配向制御層4を介在させることなくc軸配
向膜を得ることが可能である。
【0056】(第5の具体例)具体例5は複合構造の第
3実施例(図3)をプロセスの第5実施例(図8)で実
現する場合の例である。この具体例においては、Si基
板1として単結晶Si(100)基板、熱酸化層2とし
て熱酸化SiO2層、相互拡散防止層3として無定形A
23膜、Bi系強誘電体膜7としてBi4Ti312
を用いている。この複合構造を構築するため図8に示し
た流れに沿って工程を進める。包括的なプロセス説明は
既に述べたので、ここではBi4Ti312の成膜法を中
心に複合構造の形成方法を説明する。熱酸化SiO2
2は、前記(1a)と同様の十分な洗浄を施したSi基
板を具体例1と同様の乾燥酸素雰囲気中で酸化すること
によって成長させる。つぎに無定形Al23膜からなる
相互拡散防止層3を伝統的なコールドウォール型の減圧
(LP)CVD装置で形成する。Al原料は具体例1と
同様、アルミニウムテトライソプロポキシド〔 Al(i
−OC37)3 〕、酸化ガスには乾燥高純度酸素(O2
を用いる。成膜条件ならびに成膜の手順は具体例1に記
載の方法とまったく同様である。
【0057】このあと(4e)で述べたごとき基板洗浄
を行ったのち、Bi4Ti312膜を相互拡散防止層3の
上に高周波(例えば13.56MHz)マグネトロンス
パッタリング法で成膜する。ターゲットには高純度のB
23粉末とTiO2粉末をモル比で2.2:3の割合で
混合しえ焼結した厚さ9mmの板状のものを用いた。こ
のターゲットにはBi4Ti312の化学量論組成比より
も過剰のBi23が含まれている。これは以下に述べる
スパッタリング法において、出来上がった膜の組成がタ
ーゲットの組成に比べてBi不足になる傾向があるから
であり、過剰のBi23を予めターゲットに含ませる工
夫をすることによって膜の組成を化学量論組成にしよう
とするものである。Bi4Ti312膜の典型的な成膜条
件は下記のとおりである。
【0058】Bi4Ti312成膜条件 成膜圧力 6×10~3Torr 成膜温度 600℃(基板温度) ターゲット Bi23:TiO2=2.2:3の混合粉末
焼結体 スパッタガス Ar:O2=1:1(共に高純度乾燥ガ
ス使用) 投入電力 200W(13.56MHz) 上記のようにして成膜が終了したら、一旦、蒸着槽を高
真空にひき、基板の降温速度が5℃/min以上になら
ないように基板ホルダの加熱を制御しながら、基板を徐
冷する。降温速度がこの値を超えた場合はBi4Ti3
12膜にひびがはいることがあるので降温操作には注意を
要する。基板温度が十分低い温度に下がったところで真
空槽に不活性ガスを導入して大気圧にし、基板を基板ホ
ルダから取り出す。このようにして作製したBi4Ti3
12膜は緻密な柱状組織を有している。その結晶構造は
擬ペロブスカイトであり、成膜面に対してc軸が優先配
向している。このようにして強誘電体膜とSi基体との
複合構造体が出来上がる。
【0059】次に、図9は、図3に記載の特にBi系強
誘電体を用いた複合構造を実現するために適した他の製
造工程(プロセスの第6実施例と称す)を示す図であ
る。このプロセスは(1f)〜(5f)の各工程からな
る。 (1f)RCA洗浄と希フッ酸洗浄(洗浄の詳細は前述
済み)で単結晶のSi基板1表面の汚染物と自然酸化物
を除去する。
【0060】(2f)つづいてSi基板1に相互拡散防
止層3をスパッタリング法、化学気相成長法(CV
D)、蒸着法、抵抗線加熱法、電子ビーム蒸着法などの
成膜手段を用いて堆積させる。ここで相互拡散防止層3
は相互拡散防止機能以外に次の熱酸化工程(3f)にお
いて気相から供給される酸化剤をSi基板界面まで容易
に透過し得る性質を備えている必要がある。これに適し
た材料として、Ta25、Nb25、Y23、Zr
2、TiO2、HfO2が挙げられる。成膜法は成膜し
ようとする材料の種類、形成しようとしているデバイス
の構造、後続の工程との整合性などを考慮して総合的に
判断し、最も適したものを選択する。これら材料の結晶
化した膜は多結晶であり、次に述べるBi系強誘電体膜
7の形成に有害となるので、成膜に際しては結晶化しな
い堆積条件を選択する必要がある。膜厚は少なくとも3
nm、好ましくは6nm以上になるようにする。
【0061】(3f)つづいて相互拡散防止層3を形成
したSi基板1を前記(3b)と同様の方法で酸化さ
せ、相互拡散防止層3とSi基板1との間に熱酸化Si
2層2を成長させる。熱酸化SiO2層2の膜厚は、S
i基体1からの電荷の直接トンネル注入を防止するため
に、少なくとも8.5nm必要である。なお、Si基板
に構成した他のデバイスへの悪影響や前工程で成膜した
相互拡散防止層3の結晶化など弊害が起こるなど、高温
での熱酸化が困難な場合には、替わりに前述の励起酸素
を用いたECRプラズマ酸化やオゾン酸化などの低温熱
酸化法用いることもできる。
【0062】(4f)次に相互拡散防止層3を形成した
基板表面を(5a)と同様の方法で洗浄する。 (5f)最後に相互拡散防止層3上にCVD法、スパッ
タリング法、レーザアブレーション法、電子ビーム蒸着
法等の成膜手段を用いてBi系強誘電体膜7を所定の温
度で必要な膜厚だけ形成する。既に述べたようにBi強
誘電体膜は熱的・化学的安定な無定形基板上に自発的に
c軸配向する性質がある。このようにして図3に記載し
た強誘電体/半導体複合構造が完成する。
【0063】(第6の具体例)この具体例は、複合構造
の第3実施例(図3)をプロセスの第6実施例(図9)
で実現する場合の例に該当する。この具体例において
は、Si基板1として単結晶Si(100)基板、熱酸
化層2として熱酸化SiO2層、相互拡散防止層3とし
て無定形酸化タンタル(Ta25)膜、Bi系強誘電体
膜7として厚み200nmのBi4Ti312膜を用いて
いる。この複合構造を構築するため図9に示した流れに
沿って工程を進める。包括的なプロセス説明は既に述べ
たので、ここでは初出のTa25膜を中心に複合構造の
形成方法を説明する。本具体例6では、熱酸化SiO2
層2を形成する前に、前記(1a)と同様の十分な洗浄
を施したSi基板1上にTa25膜の相互拡散防止層3
を減圧CVDで堆積する。原料はタンタルペンタエトキ
シド〔 Ta(OC25)5 〕と酸素(O2)である。成膜
装置はコールドウォール型であり、基本的な成膜手順は
前出をかわらないので説明を省略する。典型的なCVD
条件はつぎのとおりである。
【0064】 Ta25成膜条件 成膜圧力 4Torr 成膜温度 420℃(基板温度) 原料 Ta(OC25)5、高純度乾燥O2 気化温度 120℃ ガス流量 O2 100cc/min Ta原料キャリア(Ar) 20cc/min Ar希釈 200cc/min このような条件で成膜したTa25膜は無定形であり、
成膜装置の構造や原料の純度等の細かな条件にもよる
が、膜厚が10nmを超えなければ900℃の加熱でも
無定形を保持することが判っている。
【0065】つぎにTa25膜を堆積したSi基板1を
酸化してTa25膜とSi基板との間に熱酸化SiO2
層2を形成する。酸化は850℃に加熱した伝統的な横
型拡散炉内にSi基板を置いて、5%(対O2比)の水
蒸気を含んだ酸素雰囲気中で行う。詳細は具体例2の酸
化法と同じである。また、高温酸化雰囲気に晒された後
のTa25表面に微量(0.5原子%以下)のSi酸化
物が偏析する。この偏析を除去するために、つづいて稀
弗酸浸漬洗浄を含む洗浄を行う。洗浄が終ったら、Ta
25膜の相互拡散防止層3の上にBi4Ti312膜を高
周波(13.56MHz)マグネトロンスパッタリング
法で成膜する。成膜法の詳細は具体例5で述べたので繰
り返さない。成膜が終了したら、一旦、蒸着槽を高真空
にひき、基板の降温速度が5℃/min以上にならない
ように基板ホルダの加熱を制御しながら、基板を徐冷す
る。基板温度が十分低い温度に下がったところで真空槽
に不活性ガスを導入して大気圧にし、基板を基板ホルダ
から取り出す。このようにして作製したBi4Ti312
膜は、具体例5と同様に緻密な柱状組織を有している。
その結晶構造は擬ペロブスカイトであり、成膜面に対し
てc軸が優先配向している。このようにして強誘電体膜
とSi基体との複合構造体が出来上がる。
【0066】(各実施例の効果)次に、本発明にかかる
強誘電体膜とSi基板との複合構造の3つの実施例、な
らびにその形成プロセスの6つの実施例、さらには複合
構造体の3つの実施例と6つのプロセスの実施例を組み
合わせて適用した6つの具体例の説明を終えたところ
で、つぎにこれら実施例の効果を6つの具体例1〜6を
用いて詳しく説明する。効果を分かりやすく説明するた
めの準備として、まず強誘電体と基板の複合構造体の各
部位ならびに構造全体の評価法について解説する。
【0067】強誘電体とSi基板との相互拡散によって
引き起こされる強誘電体へのSiの侵入量と強誘電体内
のPb(以下またはBi)の欠損量を見積るために、強
誘電体膜をX線光電子分光分析法(XPS)で分析し、
組成比Si/(Pb+Ti)、(Pb−Ti)/(Pb
+Ti)を決定した。同様に強誘電体とSi基板との相
互拡散によって引き起こされるSi基板へのPbの侵入
を見積るために、複合構造体を形成した後のSi基板表
層をXPSで分析し、組成比Pb/(Si+Pb)の値
として評価した。さらに強誘電体膜のX線回折(θ−2
θ)測定を行って結晶構造を決定すると共に、測定で得
られた各回折ピーク強度と標準単結晶PbTiO3(ま
たはBi4Ti312)粉末の回折ピーク強度とを周知の
ロットガリングの式に代入して強誘電体膜のc軸配向度
fcを算出した。また、複合構造の素子としての質を評
価するために、複合構造のPbTiO3(またはBi4
312)膜上にPt薄膜電極を付けてMFIS型のト
ランシスタとキャパシタを構成し、その電気特性を計測
した。
【0068】上記のトランジスタは、強誘電体膜の品質
評価に使用する。本明細書の冒頭で述べたとおり、MF
(I)S構造のトランジスタは一種の不揮発性メモリ素
子である。このメモリ素子を繰り返し、書き込み/消去
動作させたときのメモリ窓、すなわち強誘電体層の自発
分極をゲート電圧で反転させたときに観察されるトラン
ジスタのしきい値電圧の変化分、の劣化は強誘電体層の
品質を反映している。ここではメモリ窓が初期値の50
%に減少する時の書き込み/消去繰返し回数をメモリ窓
寿命τと定義する。また、上記τと並んで強誘電体層の
品質に依存する重要な評価パラメータは記憶保持時間t
sである。ここではtsを「最初に書き込んだトランジ
スタのしきい値電圧が放置によって初期値の50%まで
に低下するまでの時間」と定義して評価する。ただし、
このしきい値は消去状態のしきい値電圧を規準とした相
対値で表す。
【0069】一方、上記のキャパシタは、半導体界面と
活性領域の品質評価に使用した。キャパシタの高周波
(1KHz)容量−直流バイアス電圧特性(C−V特
性)と準静的(quasi−static)C−V特性からSiの
バンドギャップ中央部にエネルギー的に位置する半導体
界面準位密度Ditを求めた。また、半導体表面が蓄積状
態になっているキャパシタのバイアスを瞬時に反転状態
に変更したときの高周波容量の時間変化(いわゆるC−
t特性)から反転時間tr(容量が蓄積容量と反転容量
の中間点を通過する時間)を抽出した。この反転時間t
rは半導体表面層内の欠陥の密度と負の相関があり、表
面層のPb濃度や空位の濃度が高くなると急速に短くな
る性質がある。
【0070】評価法の説明を終えたところで、複合構造
とプロセスの実施例の説明の中で紹介した具体例1〜6
の特性を従来例と比較しながら本発明の効果を説明す
る。
【0071】ここで比較する従来例Aとは十分洗浄した
単結晶Si基板に、具体例1で述べたCVD条件でPb
TiO3膜を直接堆積した複合構造体である。また従来
例Bとは十分洗浄した単結晶Si基板に、具体例5で述
べたスパッタリング条件でBi4Ti312膜を直接堆積
した複合構造体である。PbTiO3の膜厚は具体例、
従来例とも300nm、Bi4Ti312は200nmと
した。まず、表1に基づいてPb系強誘電体における本
発明の効果を説明する。
【0072】
【表1】
【0073】上記の表1は、Pb系強誘電体PbTiO
3膜を用いている従来例Aと前述の具体例1〜4の特性
を比較したものである。強誘電体膜の特性に着目する
と、従来例Aではアモルファス相の中に僅かにペロブス
カイト相が混ざった膜であり、しかも僅かに観察される
ペロブスカイト相は多結晶で目立ったc軸配向性は得ら
れていない。強誘電体膜表面に含まれるSiとPbの量
を見てみると、5%にもなるSiの侵入と化学量論組成
に対して約12%のPb欠損が生じていることが確認さ
れ、この結果から従来例Aでは強誘電体膜とSi基板と
の間で激しい相互拡散が生じていることが改めて理解さ
れる。このような不完全な強誘電体膜でMFSトランジ
スタを構成しても不揮発性メモリ動作を示す素子は得ら
れない。
【0074】これに対して本発明にかかる具体例1〜4
では、いずれもペロブスカイト単一相が得られており、
しかも90%以上のc軸配向率を持つなど、従来例Aと
比べると圧倒的に優れた結晶品質を示している。これを
裏付けるように強誘電体表面のPbとTi組成は実験の
精度の範囲において化学量論組成比であり、Siの存在
は認められない。また、MFISトランジスタの試験で
はすべて動作し、どの具体例も繰り返し寿命は1010
以上でった。記録保持時間は10万秒を越えている。こ
れらの値は実用的な不揮発性メモリの値としても遜色の
ない値である。特に具体例4では繰り返し寿命、記録保
持時間ともに表1の他の具体例にくらべて1桁以上優れ
た値を与え注目に値する。これは強誘電体膜がエピタキ
シャル成長したことによって強誘電体膜の品質が一層向
上したためと考えられる。
【0075】次に、表1のSi基板とSi基板界面の特
性に関する項目に着目すると、従来例Aにおいては相互
拡散の結果としてSi基板に約3.5%のPbの侵入が
ある点がまず注目される。従来例AのMOSキャパシタ
の反転時間trが15ms(ミリ秒)と非常に短いのは
Pb侵入やSi空位など相互拡散の影響によるものと推
察される。また界面準位密度Ditは6.3×1012であ
り、これは今日の超高集積回路のプロセス技術の水準に
照らすと100倍以上の高い値である。この異常に高い
値は、おそらく強誘電体とSi基板との間に形成された
シリケート層に原因しているものと思われる。このよう
に従来例Aでは強誘電体とSi基板との相互拡散に起因
する重大な影響がSi基板や界面に明確に認められる。
【0076】一方、具体例1〜4のSi基板のPb濃度
を見ると、いずれの例も測定に用いたXPS装置の検出
限界以下であり、少なくとも従来例Aの量の1/50以
下であることがわかる。Pb侵入の影響を強く受けるM
OSキャパシタの反転時間をみても、具体例1〜4は従
来例に比べて105倍以上高い値を出している。界面準
位Ditはどれも1010/cm2台である。さらに具体例
の103秒という反転時間および1010/cm2台という
界面準位密度は、通常のMOSキャパシタの値とほぼ同
じ値であり、これは強誘電体をSi基板上に形成する際
に起こるSi基板損傷を軽減するという意味において本
発明が極めて有効であることを示している。
【0077】次に、表2に基づいてBi系強誘電体にお
ける本発明の効果の説明を行う。
【0078】
【表2】
【0079】表2は、Bi系強誘電体Bi4Ti312
を用いた従来例B及び具体例4〜6の特性を比較したも
のである。XRDで観察する限り従来例Bの強誘電体膜
はほぼc軸配向の擬ペロブスカイト単一相であり、遜色
のない結晶構造が出来上がっている。しかし強誘電体層
表面のSi濃度は1.5%を示しており、Pb系強誘電
体に比べれば大幅に小さいもののSi基板からSi元素
の侵入が起こっていることを示している。また、MFS
トランジスタの不揮発性メモリ動作は観察されたが、繰
り返し寿命は106回であって十分とは言えない。な
お、記録保持時間は比較的良好で約10万秒であった。
【0080】これに対して本発明にかかる具体例4〜6
では、いずれも完全なペロブスカイト単一相であり、9
8%以上のc軸配向率を持っており、従来例Bに比べる
と配向率に改善が認められる。また、強誘電体表面への
Siの侵入はXPSの検出限界以下である。また、MF
ISトランジスタの不揮発性メモリ試験ではどの具体例
も繰り返し寿命は1010回以上であり、記録保持時間は
100万秒を越えている。中でもBi4Ti312強誘電
体膜がエピタキシャル成長している具体例4では出色の
効果が得られている。
【0081】次に、表2のSi基板側の特性に着目す
る。従来例Bにおいては相互拡散の結果としてSi基板
に約1.5%のPbの侵入がある点がまず注目される。
このためか従来例BではMOSキャパシタの反転時間t
rが55ms(ミリ秒)と非常に短い。また界面準位密
度Ditは5×1011であり、これは今日の超高集積回路
のプロセス技術の水準に照らすと10倍以上の高い値で
ある。これはおそらくSi基板界面に形成された薄いシ
リケート層やBi4Ti312とSiとの間の結合不整に
原因している。かくして従来例Bでは強誘電体とSi基
板との相互拡散に起因する影響がSi基板や界面に明確
に認められる。
【0082】次に、具体例4〜6のSi基板のPb濃度
を見ると、いずれの例も測定に用いたXPS装置の検出
限界以下であることがわかる。また、MOSキャパシタ
の反転時間はどれも従来例に比べて104倍以上高い。
界面準位Ditはどれも1010/cm2台である。これら
反転時間と界面準位密度は通常のMOSキャパシタの値
に比肩する良好な値である。これは本発明がSi表面活
性層の特性改善に極めて有効であることを示している。
【0083】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、強誘電体膜膜とSi基体の複合構造体において、強
誘電体膜とSi系基体との間に、配向制御層と相互拡散
防止層の少なくとも何れか一方と熱酸化SiO2層とか
ら成る多層膜を挟持するように構成したことにより、同
構造体において長年懸案となってきた強誘電体膜膜とS
i基体との相互拡散に起因する下記の問題、すなわち
ペロブスカイト構造の強誘電体膜が形成しにくい、強
誘電体膜の特性が劣化する、Siの外方拡散によって
Si基体の活性領域が損傷を受ける、PbやBiの侵
入によってSi基体の活性領域が損傷を受ける、Si
基体表面近傍の強誘電体膜中に大量の捕獲準位ができて
半導体デバイス動作が不安定になる、強誘電体膜のc
軸あるいはa軸優先配向が得にくい、強誘電体/Si
基板界面に多量の界面準位が発生する、という問題を解
決することができ、それによって良好な強誘電体と良好
なSi活性層を同時に満足する複合構造体を実現するこ
とが出来る、という効果が得られた。すなわち、(i)
Si系基体上であってもc軸(あるいはa軸)優先配向
しているペロブスカイト構造の強誘電体薄膜が安定に形
成できる、(ii)強誘電体膜下であっても通常のMOS
トランジスタと比べてなんら劣らない特性の半導体活性
層ならびに界面が実現できる、(iii)繰り返し寿命1
10回以上、記録保持時間10万秒の性能を具備するM
FIS型不揮発性メモリが得られる、という効果が得ら
れる。
【0084】さらに、本発明の複合構造体の第2実施例
とプロセスの第4実施例を組み合わせて強誘電体とSi
基板の複合構造を構成した場合(具体例4:請求項5お
よび請求項11に相当)においては、強誘電体膜がc軸
(またはa軸)配向の単結晶膜として得られるという特
筆すべき特徴があり、この単結晶強誘電体膜を用いたM
FISトランジスタ型不揮発性メモリは他の実施例の場
合よりも優れた繰り返し寿命と記録保持時間を有すると
いう特有な効果が得られる。また、この単結晶膜は粒界
が存在しないのでリーク電流が低くなるという特徴も具
備する。このようなc軸配向性単結晶強誘電体膜は揮発
性メモリのみならず圧電性・焦電性を利用したスマート
センサ・アクチュエータなどでも待望される膜である。
また複合構造体の実施例2、3は実施例1に比べて構造
が簡単で工程が短く、その分、歩留りが向上したり製造
原価が下がるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】強誘電体膜とSi基体からなる複合構造体の第
1実施例の要部断面図。
【図2】強誘電体膜とSi基体からなる複合構造体の第
2実施例の要部断面図。
【図3】強誘電体膜とSi基体からなる複合構造の第3
実施例の要部断面図。
【図4】複合構造体の第1実施例を実現する製造工程を
示す実施例図(プロセスの第1実施例)。
【図5】複合構造体の第1実施例を実現する製造工程を
示す他の実施例図(プロセスの第2実施例)。
【図6】複合構造体の第2実施例を実現する製造工程を
示す実施例図(プロセスの第3実施例)。
【図7】複合構造体の第2実施例を実現する製造工程を
示す他の実施例図(プロセスの第4実施例)。
【図8】複合構造体の第3実施例を実現する製造工程を
示す実施例図(プロセスの第5実施例)。
【図9】複合構造体の第3実施例を実現する製造工程を
示す他の実施例図(プロセスの第6実施例)。
【符号の説明】
1…Si基板 (1a)…Si基板
洗浄工程 2…熱酸化SiO2層 (2a)…熱酸化S
iO2層形成工程 3…相互拡散防止層 (3a)…相互拡散
防止層形成工程 4…配向制御層 (4a)…配向制御
層形成工程 5…強誘電体膜 (5a)…基板洗浄
工程 6…相互拡散防止兼配向制御層 (6a)…強誘電体
膜形成工程 7…Bi系強誘電体膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/792

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Siを含有する半導体基体あるいはSiを
    含有する半導体薄膜で表面を覆われた基体上に強誘電体
    薄膜を載置した複合構造体において、 前記強誘電体薄膜と前記基体との間に、配向制御層と相
    互拡散防止層の少なくとも一方と、熱酸化SiO2層と
    からなる複合層を挟持したことを特徴とする強誘電体薄
    膜と基体との複合構造体。
  2. 【請求項2】前記強誘電体薄膜は、c軸配向あるいはa
    軸配向しているペロブスカイト型鉛系強誘電体薄膜、ま
    たはc軸配向擬ペロブスカイト型ビスマス系強誘電体薄
    膜である、ことを特徴とする請求項1に記載の強誘電体
    薄膜と基体との複合構造体。
  3. 【請求項3】前記配向制御層は、立方晶系に属するc軸
    配向性の金属酸化膜である、ことを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載の強誘電体薄膜と基体との複合構
    造体。
  4. 【請求項4】前記配向制御層のa軸長をad、前記強誘
    電体薄膜のa軸長をafとしたとき、ad:afまたは√
    2ad:afまたはad:√2afが10未満の整数の比に
    一致または近似されることを特徴とする請求項1ないし
    請求項3の何れかに記載の強誘電体薄膜と基体との複合
    構造体。
  5. 【請求項5】前記基体はSi(100)単結晶基体であ
    り、前記配向制御層は前記基体にエピタキシャル成長し
    た(001)単結晶膜であり、前記強誘電体膜は前記単
    結晶配向制御層にエピタキシャル成長した(001)単
    結晶膜である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項
    4の何れかに記載の強誘電体薄膜と基体との複合構造
    体。
  6. 【請求項6】前記相互拡散防止層は、少なくとも後続の
    配向制御層形成工程と強誘電体膜形成工程においてSi
    原子、Pb原子、Bi原子の通過を阻止または抑止する
    性質を具備しているものである、ことを特徴をする請求
    項1に記載の強誘電体薄膜と基体との複合構造体。
  7. 【請求項7】前記相互拡散防止層は、前記配向制御層と
    熱酸化SiO2層に対して熱的化学的に不活性な材料か
    らなるものである、ことを特徴をする請求項1または請
    求項6に記載の強誘電体薄膜と基体との複合構造体。
  8. 【請求項8】前記基体の表面を熱酸化して熱酸化SiO
    2層を形成する工程と、前記熱酸化SiO2層上に相互拡
    散防止層を形成する工程と、前記相互拡散防止層上に配
    向制御層を形成する工程と、前記配向制御層上に強誘電
    体膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする請求
    項1に記載の強誘電体薄膜と基体との複合構造体の製造
    方法。
  9. 【請求項9】前記基体の表面に相互拡散防止層を形成す
    る工程と、前記基体の表面を熱酸化して前記基体と前記
    相互拡散防止層との間に熱酸化SiO2層を形成する工
    程と、前記相互拡散防止層上に配向制御層を形成する工
    程と、前記配向制御層上に強誘電体膜を形成する工程
    と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の強誘電
    体薄膜と基体との複合構造体の製造方法。
  10. 【請求項10】前記基体の表面を熱酸化して熱酸化Si
    2層を形成する工程と、前記熱酸化SiO2層上に相互
    拡散防止層兼配向制御層を形成する工程と、前記相互拡
    散防止層兼配向制御層上に強誘電体膜を形成する工程
    と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の強誘電
    体薄膜と基体との複合構造体の製造方法。
  11. 【請求項11】前記基体の表面に相互拡散防止層兼配向
    制御層をc軸方向にエピタキシャル成長させる工程と、
    前記基体の表面を熱酸化して前記基体と前記相互拡散防
    止層兼配向制御層との間に熱酸化SiO2層を形成する
    工程と、前記相互拡散防止層兼配向制御層上に強誘電体
    単結晶膜をエピタキシャル成長させる工程と、を備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の強誘電体薄膜と基体
    との複合構造体の製造方法。
  12. 【請求項12】前記基体の表面を熱酸化して熱酸化Si
    2層を形成する工程と、前記熱酸化SiO2層上に相互
    拡散防止層を形成する工程と、前記相互拡散防止層上に
    Bi系強誘電体膜を形成する工程と、を備えたことを特
    徴とする請求項1に記載の強誘電体薄膜と基体との複合
    構造体の製造方法。
  13. 【請求項13】前記基体の表面に相互拡散防止層を形成
    する工程と、前記基体の表面を熱酸化して前記基体と前
    記相互拡散防止層との間に熱酸化SiO2層を形成する
    工程と、前記相互拡散防止層上に強誘電体膜を形成する
    工程と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の強
    誘電体薄膜と基体との複合構造体の製造方法。
JP6322206A 1994-12-26 1994-12-26 強誘電体薄膜と基体との複合構造体およびその製造方法 Pending JPH08181289A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6322206A JPH08181289A (ja) 1994-12-26 1994-12-26 強誘電体薄膜と基体との複合構造体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6322206A JPH08181289A (ja) 1994-12-26 1994-12-26 強誘電体薄膜と基体との複合構造体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08181289A true JPH08181289A (ja) 1996-07-12

Family

ID=18141146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6322206A Pending JPH08181289A (ja) 1994-12-26 1994-12-26 強誘電体薄膜と基体との複合構造体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08181289A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005353578A (ja) * 2004-05-11 2005-12-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 発光素子
JPWO2006095425A1 (ja) * 2005-03-10 2008-08-14 富士通株式会社 不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法
JP2008277783A (ja) * 2007-03-30 2008-11-13 Canon Inc エピタキシャル膜、圧電体素子、強誘電体素子、これらの製造方法及び液体吐出ヘッド
US7465980B2 (en) 2004-09-10 2008-12-16 Fujitsu Limited Ferroelectric memory, multivalent data recording method and multivalent data reading method
US10680167B2 (en) 2004-03-12 2020-06-09 Japan Science And Technology Agency Magnetic tunnel junction device

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10680167B2 (en) 2004-03-12 2020-06-09 Japan Science And Technology Agency Magnetic tunnel junction device
US11233193B2 (en) 2004-03-12 2022-01-25 Japan Science And Technology Agency Method of manufacturing a magnetorestive random access memeory (MRAM)
US11737372B2 (en) 2004-03-12 2023-08-22 Godo Kaisha Ip Bridge 1 Method of manufacturing a magnetoresistive random access memory (MRAM)
US11968909B2 (en) 2004-03-12 2024-04-23 Godo Kaisha Ip Bridge 1 Method of manufacturing a magnetoresistive random access memory (MRAM)
JP2005353578A (ja) * 2004-05-11 2005-12-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 発光素子
US7465980B2 (en) 2004-09-10 2008-12-16 Fujitsu Limited Ferroelectric memory, multivalent data recording method and multivalent data reading method
JPWO2006095425A1 (ja) * 2005-03-10 2008-08-14 富士通株式会社 不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法
JP4818255B2 (ja) * 2005-03-10 2011-11-16 富士通株式会社 不揮発性半導体記憶装置の製造方法
JP2008277783A (ja) * 2007-03-30 2008-11-13 Canon Inc エピタキシャル膜、圧電体素子、強誘電体素子、これらの製造方法及び液体吐出ヘッド

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5753934A (en) Multilayer thin film, substrate for electronic device, electronic device, and preparation of multilayer oxide thin film
EP0747937B1 (en) Method of forming a substrate coated with a ferroelectric thin film
JP3436617B2 (ja) 強誘電体薄膜の製造方法
US5919515A (en) Ferroelectric thin film, electric device and method for preparing ferroelectric thin film
JP3310881B2 (ja) 積層薄膜、電子デバイス用基板、電子デバイスおよび積層薄膜の製造方法
JP3193302B2 (ja) 膜構造体、電子デバイス、記録媒体および強誘電体薄膜の製造方法
US5478610A (en) Metalorganic chemical vapor deposition of layered structure oxides
US5821005A (en) Ferroelectrics thin-film coated substrate and manufacture method thereof and nonvolatile memory comprising a ferroelectrics thinfilm coated substrate
EP0747938B1 (en) Ferroelectric thin film coated substrate, producing method thereof and capacitor structure element using thereof
JP3476932B2 (ja) 強誘電体薄膜及び強誘電体薄膜被覆基板並びに強誘電体薄膜の製造方法
JP2003142479A (ja) 半導体装置、エピタキシャル膜の製造方法、およびレーザアブレーション装置
JP4401300B2 (ja) (001)配向したペロブスカイト膜の形成方法、およびかかるペロブスカイト膜を有する装置
JP3669860B2 (ja) 積層薄膜
JP4427925B2 (ja) 積層薄膜その製造方法および電子デバイス
KR19990006318A (ko) 강유전체막의 퇴적 방법 및 강유전체 커패시터 소자
JP3994468B2 (ja) 酸化物積層構造およびその製造方法ならびに強誘電体不揮発性メモリ
JP2004505444A (ja) 薄膜金属酸化物構造体およびその製造方法
JPH08181289A (ja) 強誘電体薄膜と基体との複合構造体およびその製造方法
JPH10182292A (ja) 酸化物積層構造およびその製造方法
KR100345014B1 (ko) 갈륨비소 기판의 박막 커패시터와 그 제조 방법
KR100795664B1 (ko) (001) 배향된 페로브스카이트막의 형성 방법, 및 이러한페로브스카이트막을 갖는 장치
JP3277097B2 (ja) 強誘電体薄膜の製造方法
JPH10223847A (ja) 強誘電体薄膜素子の製造方法、強誘電体薄膜素子及び強誘電体メモリ装置
JPH09263494A (ja) 安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体およびその製造方法
JPH05234419A (ja) 誘電体を用いた素子