JPH08178372A - 輻射冷暖房装置とその運転方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 除湿機をコンパクトにでき、室内全体を平均
的に除湿又は加湿及び冷暖房のできる輻射冷暖房装置と
その運転方法を提供する。 【構成】 輻射伝熱面２と該輻射伝熱面に熱を伝える冷
熱媒を流通するパイプ３とを有する輻射パネル１を用い
る輻射冷暖房装置において、該輻射パネル１と建物の躯
体との間に空気チャンバー５を形成させ、該空気チャン
バー５に空気を送気する手段を設けると共に、前記輻射
パネル１には空気チャンバー５より室内に空気を送風す
るための複数の通気孔６を設けたものであり、前記空気
を送気する手段は、所定量の外気を所定の状態に空調し
て送気する外調機７を有する送気経路９であり、また、
室内から排気して室の換気を行う排気経路を設けてもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、輻射冷暖房装置に係
り、特に冷房及び暖房の両方に効率よく使用できる輻射
パネルを用いた輻射冷暖房装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の装置は図４に示す概略構
成図のように構成されていた。すなわち、図４におい
て、１は輻射パネルであり、２は輻射パネルの輻射伝熱
面であり、３は輻射パネル内に埋設されたパイプであ
り、４は冷温水機であり、１８は除湿機、１９は加湿
機、８は排気ファンである。これらの機器構成により、
冷房時は、図４（ａ）のように冷温水機４から冷水をパ
イプ３に供給し、輻射伝熱面２に熱を伝えるとともに、
輻射伝熱面からは室に対して冷輻射を行なう。また、除
湿機１８によって、室内を湿度コントロールし、輻射伝
熱面での結露を防いでいる。また、必要外気１４導入量
は外気ファンによって供給され、同量の室内空気が排気
ファン８によって屋外へ排気１５される。暖房時は、図
４（ｂ）のように冷温水機４から温水をパイプ３に供給
し、輻射伝熱面２に熱を伝えるとともに、輻射伝熱面２
からは室に対して暖輻射を行ない、加湿機１９によって
室内を湿度コントロールする。そして冷房時と同様、必
要外気１４導入量は外気ファンによって供給され、同量
の室内空気が排気ファン８によって屋外へ排気１５され
る。

【０００３】このような従来の装置では、例えば、輻射
伝熱面の温度が１９℃で、室内空気温度が２７℃である
とき、輻射伝熱面における結露を防止するためには室内
空気の相対湿度は６２％以下に保たれる必要があった。
ここに温度が３３℃で相対湿度が６０％の外気を７５０
ｍ³ ／ｈ導入したとすると、除湿機には、室内からの発
生潜熱負荷を考慮しないとして、４．９ｋｇ／ｈ以上の
除湿能力が求められることになる。また、図４にしめす
ように、冷房時には除湿機により除湿を行っていたの
で、除湿機の周辺では、よく除湿されるが、除湿機より
距離が離れると、よく除湿されず室全体を均一に除湿で
きなかった。このことは、暖房時における加湿機による
加湿においてもいえ、同様の理由で室全体を均一に加湿
できないという問題があった。更に従来例では、輻射伝
熱面が室の一面を構成しているにすぎないので、例え
ば、図４にしめすように天井だけを輻射伝熱面とした場
合、暖房時には、人体の頭上より暖輻射を受けるので頭
部は暖まるが、足元が冷えてしまうという問題があっ
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解消し、除湿機をコンパクトにでき、室内
全体を平均的に除湿又は加湿及び冷暖房のできる輻射冷
暖房装置とその運転方法を提供することを課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、輻射伝熱面と該輻射伝熱面に熱を伝え
る冷熱媒を流通するパイプとを有する輻射パネルを用い
る輻射冷暖房装置において、該輻射パネルと建物の躯体
との間に空気チャンバーを形成させ、該空気チャンバー
に空気を送気する手段を設けると共に、前記輻射パネル
には空気チャンバーより室内に空気を送風するための複
数の通気孔を設けたものである。前記輻射冷暖房装置に
おいて、空気を送気する手段が、所定量の外気を所定の
状態に空調して送気する外調機を有する送気通路であ
り、また、前記室内から排気して室の換気を行う排気経
路を設けるのがよい。また、前記輻射パネルを床部空気
チャンバー及び天井部空気チャンバーを構成するように
設置し、該床部及び天井部空気チャンバーにそれぞれ送
気経路と排気経路を接続し、該送気経路と排気経路には
送気と排気を切換えるための切換手段をそれぞれに設け
るように構成してもよい。

【０００６】そして、上記のように構成した場合の装置
の運転方法において、冷房時においては、所定量の外気
を外調機にて所定の状態に空調した後、天井部空気チャ
ンバーに供給し、天井部輻射パネルの通気孔を介して室
へ供給するとともに、床部輻射パネルの通気孔を介して
床部空気チャンバーから屋外に排気を排出するようにし
て室の換気を行い、暖房時においては、所定量の外気を
外調機にて所定の状態に空調した後、床部空気チャンバ
ーに供給し、床部輻射パネルの通気孔を介して室へ供給
するとともに、天井部輻射パネルの通気孔を介して天井
部空気チャンバーから屋外に排気を排出するようにして
室の換気を行うのがよい。

【０００７】次に、本発明を図１に示す概略構成図を用
いて説明する。図１において、天井輻射パネル１は、輻
射伝熱面２と冷熱媒が流通するパイプ３及び空気が通る
通気孔６からなり、該パネル１の上部は天井部空気チャ
ンバー５が形成されている。そして、冷熱媒が流通する
パイプ３は冷温水機４に接続され、冷暖房時に冷熱媒を
供給する。また、天井部空気チャンバー５は送気経路９
で外調機７に接続されており、外調機７には冷温水機に
接続する熱交換器１３が備えられて、外気１４からの空
気を所定の状態に空調して送気している。そして室内の
空気は排気ファン８により排気１５されている。このよ
うに構成することにより、外気１４は外調機で所定の状
態に空調されてから送気経路９を通り、空気チャンバー
５に送気され、送気された空気は輻射パネルに多数設け
られた通気孔６を通り、冷却又は加熱されて冷暖房に供
され、排気ファン８により排気１５されている。

【０００８】

【作用】上記のように本装置においては、外調機によっ
て空気チャンバー内に導入された外気は、輻射パネルに
設けられた複数の通気孔より、室内へ供給される。この
時、パネル表面付近に強制対流が生じ、温度境界層が発
生しないので、室内空気はパネル表面においてもパネル
表面温度まで冷やされることがなく、したがって、室内
空気の相対湿度は７０％程度でも結露を生じない。ここ
で、従来例と同様の外気を導入する場合、外調機の熱交
換器に求められる除湿量は、室内からの発生負荷を考慮
しないとして、３．２ｋｇ／ｈであり、従来例にくらべ
て少なくてよい。また、除湿量が少なくすむので、外調
機内の熱交換器は、従来例の除湿機におけるものに較
べ、コンパクトになるのは勿論のこと、冷媒にはパネル
通過後の冷水を利用して十分である。

【０００９】本装置では、図１にしめすように、外調機
において除湿、又は加湿した外気を、輻射パネルの通気
孔を利用して室内に平均的に供給することができる。更
に、本装置では、冷房時は天井に輻射伝熱面を構成し、
暖房時は床に輻射伝熱面を構成できるので、年間を通じ
て、人体にとって快適な頭寒足熱の状態をつくりあげる
ことができる。また、天井部空気チャンバーと床部空気
チャンバーとの間に換気の空気流が発生して、人体に対
して対流熱伝達を行うので、冷暖房効果は、さらに向上
する。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を図面を用いて具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例１ 図２、図３はそれぞれ本装置の一例の冷房時、暖房時の
運転状況をしめす概略説明図である。図において、１は
天井部輻射パネルであり、１０は床部輻射パネルであ
り、５は天井部空気チャンバーであり、１１は床部空気
チャンバーである。また、３は輻射パネルに埋設された
パイプであり、６は輻射パネルの両面を貫通する通気孔
であり、２は輻射パネルの輻射伝熱面であり、４は冷温
水機であり、７は外調機であり、１３は熱交換器であ
り、２０は加湿器であり、８は排気ファンであり、１６
は外気切り替えダンパーであり、１７は排気切り替えダ
ンパーである。９は送気経路、１２は排気経路であり、
外気は１４、排気は１５である。

【００１１】図２に示すように、冷房時は冷温水機４よ
り、天井部輻射パネル１内のパイプ３に冷水が供給され
ると、パイプ３からの熱は、天井部輻射パネルの輻射伝
熱面２に伝導され、輻射伝熱面２から室に対して冷輻射
をおこなう。また、導入した外気１４は外調機７の熱交
換器１３により、天井部輻射パネル通過後の冷水と熱交
換して所定の温度に冷却、除湿された後、外気切替ダン
パー１６によって天井部空気チャンバー５へ供給され、
天井部空気チャンバー５からは、天井部輻射パネル１内
の通気孔６を通って室へ給気される。この時、天井部輻
射パネル１の輻射伝熱面２で強制対流をおこし、結露を
防ぐとともに、室全体に上から下への気流を発生させ、
室内の負荷にたいし対流熱伝達をおこなった後、床部空
気チャンバー１０から排気切り替えダンパー１７を通
り、排気ファン８によって屋外へ排気１５される。

【００１２】図３に示すように、暖房時は、冷温水機４
より、床部輻射パネル１０内のパイプ３に温水が供給さ
れると、パイプ３からの熱は、床部輻射パネル１０の輻
射伝熱面２に伝導され、輻射伝熱面２から室に対して暖
輻射をおこなう。また、導入した外気１４は外調機７の
熱交換器１３により、輻射パネル通過後の温水と熱交換
して所定の温度に加熱され、加湿器２０により加湿され
た後、外気切替ダンパー１６によって、床部空気チャン
バー１１へ供給され、床部空気チャンバー１１からは床
部輻射パネル内の通気孔６を通って室へ給気される。こ
の時、室全体に下から上への気流を発生させ、室内の負
荷にたいし対流熱伝達をおこなう。その後、天井部空気
チャンバー５から排気切り替えダンパー１７を通り、排
気ファン８によって屋外へ排気１５される。

【００１３】

【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏す
る。 （１）輻射パネルを貫通した通気孔を介して送風を行う
ことにより、結露が防止できるとともに、室の相対湿度
を従来より高く設定することができるので、除湿にかか
る熱交換機器を小型化でき、外調機の熱交換器には輻射
パネル通過後の冷水を利用できる。 （２）外調機にて除湿または加湿された外気を、輻射パ
ネルを貫通した通気孔をかいして、平均的に室に供給で
きる。 （３）天井チャンバーと床チャンバーの間で、換気の上
下気流をつくりだすことで、負荷にたいして対流による
熱伝達がおこなえる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の輻射冷暖房装置の一例を示す概略構成
図。

【図２】本装置の輻射冷暖房装置の他の例の冷房時を説
明する概略構成図。

【図３】図２の装置で暖房時を説明する概略構成図。

【図４】従来の輻射冷暖房装置の冷暖房時を説明する概
略構成図。

【符号の説明】

１：輻射パネル、２：輻射伝熱面、３：パイプ、４：冷
温水機、５：天井部空気チャンバー、６：通気孔、７：
外調機、８：排気ファン、９：送気経路、１０：床部輻
射パネル、１１：床部空気チャンバー、１２：排気経
路、１３：熱交換器、１４：外気、１５：排気、１６：
送気切換えダンパー、１７：排気切換ダンパー、１８：
除湿機、１９、２０：加湿機

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 輻射伝熱面と該輻射伝熱面に熱を伝える
   冷熱媒を流通するパイプとを有する輻射パネルを用いる
   輻射冷暖房装置において、該輻射パネルと建物の躯体と
   の間に空気チャンバーを形成させ、該空気チャンバーに
   空気を送気する手段を設けると共に、前記輻射パネルに
   は空気チャンバーより室内に空気を送風するための複数
   の通気孔を設けたことを特徴とする輻射冷暖房装置。
2. 【請求項２】 前記空気を送気する手段が、所定量の外
   気を所定の状態に空調して送気する外調機を有する送気
   経路であり、また、前記室内から排気して室の換気を行
   う排気経路を設けたことを特徴とする請求項１記載の輻
   射冷暖房装置。
3. 【請求項３】 前記輻射パネルを床部空気チャンバー及
   び天井部空気チャンバーを構成するように設置し、該床
   部及び天井部空気チャンバーにそれぞれ送気経路と排気
   経路を接続し、該送気経路と排気経路には送気と排気を
   切換えるための切換手段をそれぞれに設けたことを特徴
   とする請求項２記載の輻射冷暖房装置。
4. 【請求項４】 請求項３記載の輻射冷暖房装置の運転方
   法において、冷房時においては、所定量の外気を外調機
   にて所定の状態に空調した後、天井部空気チャンバーに
   供給し、天井部輻射パネルの通気孔を介して室へ供給す
   るとともに、床部輻射パネルの通気孔を介して床部空気
   チャンバーから屋外に排気を排出するようにして室の換
   気を行い、暖房時においては、所定量の外気を外調機に
   て所定の状態に空調した後、床部空気チャンバーに供給
   し、床部輻射パネルの通気孔を介して室へ供給するとと
   もに、天井部輻射パネルの通気孔を介して天井部空気チ
   ャンバーから屋外に排気を排出するようにして室の換気
   を行うことを特徴とする輻射冷暖房装置の運転方法。