JPH08177898A - ディスクブレーキ - Google Patents

ディスクブレーキ

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JPH08177898A
JPH08177898A JP6328569A JP32856994A JPH08177898A JP H08177898 A JPH08177898 A JP H08177898A JP 6328569 A JP6328569 A JP 6328569A JP 32856994 A JP32856994 A JP 32856994A JP H08177898 A JPH08177898 A JP H08177898A
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JP
Japan
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disc
guide surface
brake pad
retainer
rotor
Prior art date
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Application number
JP6328569A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Hamabe
勉 浜辺
Mitsuhiro Doi
三浩 土井
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】非制動状態におけるブレーキパッドの引きずり
防止を向上したディスクブレーキを提供することを目的
としている。 【構成】ブレーキパッド2は、トルクメンバ4にアンチ
ラトラルクリップ5,6を介して支持される。ブレーキ
パッド2のディスクロータ回入側位置にリテーナ用切欠
き部7が形成される。その切欠き部7内に遊挿可能に、
リテーナ用突起部8がトルクメンバ4に設けられてい
る。上記リテーナ用切欠き部7におけるディスクロータ
回入側の内壁7aと対向する上記リテーナ用突起部8に
は、リテーナ部材9が固定される。リテーナ部材9は、
横断面V字形状に折れ曲げられた板バネ部材から構成さ
れ、ディスクロータ回転方向に対して鈍角の傾斜面を備
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制動の際に、シリンダ
ボディによってブレーキパッドがディスクロータに押し
つけられると共にブレーキパッドに入力された制動トル
クをトルクメンバで受けるフローティング形のディスク
ブレーキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のディスクブレーキとしては、例え
ば、実開平4−62432号公報等に記載されているも
のがある。このディスクブレーキは、図16に示すよう
に、一対のブレーキパッド51が、車輪と共に回転する
ディスクロータ50を両側から挟んだ状態で、トルクメ
ンバ52に支持されている。そのトルクメンバ52のト
ルク受け面52aは、ディスクロータ50の回転方向に
対して鈍角となるように傾けて成形され、また、該トル
ク受け面52aに当接可能なブレーキパッド51の当接
面51aが、上記トルク受け面52aに係合可能なよう
に、ディスクロータ50の回転方向に対して鋭角となる
ように傾けて成形されている。なお、図16中、53は
シリンダボディを、54はピストンをそれぞれ示してい
る。
【0003】そして、ブレーキパッド51がディスクロ
ータ50回転方向に移動して上記トルク受け面52aに
押圧されると、上記トルク受け面52a及び当接面51
aが傾いているために、該ブレーキパッド51をディス
クロータ50の摩擦面から離す力が生じる。これによっ
て、非制動時における上記ブレーキパッド51がディス
クロータ50に摺接することを防止しようとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような構成のディスクブレーキでは、上記トルク受け面
52a及び当接面51aが傾いていることでディスクロ
ータ50の回転方向の力に対し常にディスクロータ50
からブレーキパッド51を引き離す方向の分力が発生す
るため、制動中であっても制動トルクに比例した力で該
ディスクロータ50の摩擦面からブレーキパッド51を
引き離す力が発生するという可能性がある。
【0005】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、制動時の制動効果に影響を及ぼすこと
なく、非制動状態における上記摺接を防止可能とするこ
とを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1に記載した発明のディスクブ
レーキは、車輪と共に回転するディスクロータの摩擦面
と略平行に対向配置されたのブレーキパッドと、車体側
に固定されて該ブレーキパッドからの制動トルクを受け
るトルク受け面を備えたトルクメンバと、該トルクメン
バに対してディスクロータの軸方向へ摺動可能に支持さ
れると共に上記のブレーキパッドをディスクロータに向
けて押圧可能なピストンを備えたシリンダボディと、を
備えるディスクブレーキにおいて、上記トルク受け面と
は別の面であってブレーキパッドがディスクロータ回転
方向に移動することにより発生する力を受ける案内面を
有すると共に該ブレーキパッドに入力されたディスクロ
ータ回転方向に向かう力の一部を該案内面を介してディ
スクロータから離れる方向に向かう力に変換して当該ブ
レーキパッドに伝達するリテーナ手段を設けたことを特
徴としている。
【0007】また、請求項2に記載した発明は、請求項
1に記載された構成に対して、上記案内面をディスクロ
ータの回出側に後退可能に構成すると共に、該案内面を
上記後退量に応じた押圧力でディスクロータ回入側に付
勢可能な付勢手段を設けたことを特徴とする。また、請
求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載
された構成に対して、上記案内面に当接可能なブレーキ
パッド側の部分をディスクロータの回入側に後退可能に
構成すると共に、そのブレーキパッド側の部分を上記後
退量に応じた押圧力でディスクロータ回出側に付勢可能
な付勢手段を設けたことを特徴とする。
【0008】また、請求項4に記載した発明は、請求項
2又は請求項3に記載された構成に対して、上記リテー
ナ手段は、トルクメンバ側に固定されてディスクロータ
回入側を向き且つディスクロータの回転方向に対して鈍
角に傾斜した第1案内面を有するリテーナ本体と、ブレ
ーキパッドに設けられてディスクロータ回転方向に沿っ
て上記第1案内面と対向する第2案内面と、を備えるこ
とを特徴とする。
【0009】また、請求項5に記載した発明は、請求項
2又は請求項3に記載された構成に対して、上記リテー
ナ手段は、ブレーキパッドに設けられてディスクロータ
回出側を向き且つディスクロータ回転方向に対して鋭角
の傾斜面を形成する第2案内面と、トルクメンバ側に固
定されてディスクロータ回転方向に沿って上記第2案内
面と対向する第1案内面を備えたリテーナ本体と、を備
えることを特徴とするまた、請求項6に記載した発明
は、請求項2又は請求項3に記載された構成に対して、
上記リテーナ手段は、トルクメンバ側に固定されてディ
スクロータ回入側を向き且つディスクロータの回転方向
に対して鈍角に傾斜した第1案内面を有するリテーナ本
体と、ブレーキパッドに設けられてディスクロータ回転
方向に沿って上記第1案内面と対向し且つディスクロー
タ回転方向に対して鋭角の傾斜面を形成する第2案内面
と、を備えることを特徴とする。
【0010】また、請求項7に記載した発明は、請求項
4から請求項6のいずれかに記載された構成に対して、
上記トルクメンバに係止されると共に上記各ブレーキパ
ッドを摺動可能に支持して該ブレーキパッドのガタツキ
を抑えるアンチラトルクリップを備えると共に、上記リ
テーナ本体をアンチラトルクリップに設けたことを特徴
とする。
【0011】また、請求項8に記載した発明は、請求項
2又は請求項3に記載された構成に対して、上記リテー
ナ手段は、ブレーキパッドに固定されてディスクロータ
回出側を向き且つディスクロータの回転方向に対して鋭
角に傾斜した第2案内面を有するリテーナ本体と、トル
クメンバに設けられてディスクロータ回転方向に沿って
上記第2案内面と対向する第1案内面と、を備えること
を特徴とする。
【0012】また、請求項9に記載した発明は、請求項
2又は請求項3のいずれかに記載された構成に対して、
上記リテーナ手段は、トルクメンバに設けられてディス
クロータ回出側を向き且つディスクロータの回転方向に
対して鈍角に傾斜した第1案内面と、ブレーキパッドに
固定されてディスクロータ回転方向に沿って上記第1案
内面と対向する第2案内面を有するリテーナ本体と、を
備えることを特徴とする。
【0013】また、請求項10に記載した発明は、請求
項2又は請求項3に記載された構成に対して、上記リテ
ーナ手段は、ブレーキパッドに固定されてディスクロー
タ回出側を向き且つディスクロータの回転方向に対して
鋭角に傾斜した第2案内面を有するリテーナ本体と、ト
ルクメンバに設けられてディスクロータ回転方向に沿っ
て上記リテーナ本体の第2案内面と対向し且つディスク
ロータの回転方向に対して鈍角に傾斜した第1案内面
と、を備えることを特徴とする。
【0014】また、請求項11に記載した発明は、請求
項2から請求項10のいずれかに記載された構成に対し
て、上記ブレーキパッドとトルクメンバとの間に該ブレ
ーキパッドがディスクロータ回転方向に揺動可能なクリ
アランスを設けると共に、非制動時にブレーキパッドを
ディスクロータ回入側に押圧する押圧手段を、上記リテ
ーナ手段に備えたことを特徴とする。
【0015】また、請求項12に記載した発明は、請求
項11に記載された構成に対して、上記付勢手段に押圧
手段を備えることを特徴とする。また、請求項13に記
載した発明は、請求項1から請求項12のいずれかに記
載された構成に対して、上記リテーナ手段は、ブレーキ
パッドのディスクロータ回入側位置に配置されているこ
とを特徴とする。
【0016】また、請求項14に記載した発明は、請求
項1から請求項13のいずれかに記載された構成に対し
て、上記リテーナ手段は、ブレーキパッドのディスクロ
ータ外周側位置に配置されていることを特徴とする。
【0017】
【作用】請求項1に記載した発明では、ブレーキパッド
がディスクロータ回転方向に移動すると、該ブレーキパ
ッドに入力されたディスクロータ回転方向に向かう力の
一部が、案内面を介して、ディスクロータから離れる方
向への力に変換されて当該ブレーキパッドに入力され、
該ブレーキパッドは、該ディスクロータから離れる方向
に移動する。
【0018】また、上記案内面はトルク受け面とは別に
設けられているので、制動トルクは、従来と同様にトル
ク受け面で主に受けることになる。また、請求項2に記
載された発明では、ブレーキパッドがディスクロータ回
入側に移動して案内面を押圧しても、案内面がディスク
ロータ回出側に後退することで、該案内面でブレーキパ
ッドからの制動トルクを主に受けることが回避される。
これによって、制動時の制動トルクは、確実にトルク受
け面で受けることとなる。さらに、制動解除時には、上
記後退量に応じた力が、案内面からブレーキパッドに伝
達される。
【0019】また、請求項3に記載された発明では、ブ
レーキパッドがディスクロータ回入側に移動して案内面
を押圧しても、その案内面に当接するブレーキパッド側
の部分がディスクロータ回入側に後退することで、該案
内面でブレーキパッドからの制動トルクを主に受けるこ
とが回避される。これによって、制動時の制動トルク
は、確実にトルク受け面で受けることとなる。さらに、
制動解除時には、上記後退量に応じた力が、相対的にブ
レーキパッドに伝達される。
【0020】また、請求項4に記載の発明では、第1案
内面を傾斜させることで、ブレーキパッドがディスクロ
ータ回転方向に移動して、ブレーキパッドの第2案内面
がリテーナ本体の第1案内面に当接すると、第1案内面
から該第2案内面に向けて該第1案内面に直交する方向
の反力が伝達されるが、該第1案内面はディスクロータ
回転方向に対して鈍角に傾斜しているため、該反力は、
ディスクロータから離れる方向の分力をもつ。このた
め、第2案内面、即ちブレーキパッドは、該第1案内面
に沿って滑りつつディスクロータから離れる。
【0021】また、請求項5に記載の発明では、第2案
内面を傾斜させることで、ブレーキパッドがディスクロ
ータ回転方向に移動して、ブレーキパッドの第2案内面
がリテーナ本体の第1案内面に当接すると、第2案内面
から該第1案内面に向けて、該第2案内面に直交する方
向の力が伝達されるが、該第2案内面はディスクロータ
回転方向に対して鋭角に傾斜しているため、該力は、デ
ィスクロータに近づく方向の分力をもつ。このとき、第
1案内面を有するリテーナ本体はトルクメンバ側に固定
されているため、相対的に、第2案内面、即ちブレーキ
パッド側が、該第1案内面に沿って滑りつつディスクロ
ータから離れる方向に移動する。
【0022】また、請求項6に記載した発明では、第1
案内面及び第2案内面の両方を傾けることで、上記説明
した請求項4に記載した発明及び請求項5に記載した発
明の両方の作用によって、上記ディスクロータ回転方向
に向かう力がブレーキパッドをディスクロータから離す
方向の力に変換され、第2案内面、即ちブレーキパッド
側が、該第1案内面に沿って滑りつつディスクロータか
ら離れる方向に移動する。
【0023】また、請求項7に記載した発明では、上記
のような作用に加え、リテーナ本体をアンチラトルクリ
ップに設けることで、リテーナ本体を新たな別部材とし
て用意することが不要となる。また、請求項8に記載し
た発明では、第2案内面を傾斜させることで、ブレーキ
パッドがディスクロータ回転方向に移動して、ブレーキ
パッドに固定されたリテーナ本体の第2案内面がトルク
メンバに設けた第1案内面に当接すると、第2案内面か
ら第1案内面に向けて該第2案内面に直交する方向の力
が伝達されるが、該第2案内面はディスクロータ回転方
向に対して鋭角に傾斜しているため、上記力は、ディス
クロータに近づく方向の分力をもつ。このとき、第1案
内面はトルクメンバ側に設けられているため、相対的
に、第2案内面、即ちブレーキパッドが、リテーナ本体
を介して該第1案内面に沿って滑りつつディスクロータ
から離れる方向に移動する。
【0024】また、請求項9に記載した発明では、第1
案内面を傾斜させることで、ブレーキパッドがディスク
ロータ回転方向に移動して、ブレーキパッドの第2案内
面が第1案内面に当接すると、第1案内面から該第2案
内面に向けて該第1案内面に直交する方向の反力が伝達
されるが、該第1案内面はディスクロータ回転方向に対
して鈍角に傾斜しているため、該反力は、ディスクロー
タから離れる方向の分力をもつ。このため、第2案内
面、即ちブレーキパッドは、リテーナ本体を介して該第
1案内面に沿って滑りつつディスクロータから離れる。
【0025】また、請求項10に記載した発明では、第
1案内面及び第2案内面の両方を傾けることで、上記説
明した請求項8に記載した発明及び請求項9に記載した
発明の両方の作用によって、上記ディスクロータ回転方
向に向かう力が変換されて、第2案内面、即ちブレーキ
パッド側が、該第1案内面に沿って滑りつつディスクロ
ータから離れる方向に移動する。
【0026】また、請求項11に記載した発明では、押
圧手段によってブレーキパッドをディスクロータ回入側
に押圧することで、非制動時に、ブレーキパッドのディ
スクロータ回出側端面とトルクメンバのトルク受け面と
の間に所定のクリアランスが確保される。そして、非制
動時にブレーキパッドがディスクロータに摺接している
ことで、該ブレーキパッドがディスクロータ回出側に移
動しても、ブレーキパッドがトルク受け面に当接する前
に、上記説明した各作用によって、ブレーキパッドはデ
ィスクロータから離れる。これによって、ブレーキパッ
ドのディスクロータ回出側端面とトルクメンバのトルク
受け面との当接位置を支点したモーメントを生じること
なく、ブレーキパッドがディスクロータから離れる。
【0027】また、請求項12に記載した発明では、上
記付勢手段に押圧手段の機能を備えることで、非制動時
に上記第1案内面と第2案内面とが接触するなど、リテ
ーナ手段とブレーキパッドが接触した状態となり、ブレ
ーキパッドのディスクロータ回転方向への移動開始直後
から該リテーナ手段の上記各説明した作用が発揮可能と
なる。
【0028】また、請求項13に記載された発明では、
ブレーキパッドにおけるディスクロータ回入側位置に対
して、ディスクロータから離れる方向の力が伝達される
ため、ブレーキパッドがディスクロータ回出側に移動す
ると、ブレーキパッドのディスクロータ回入側位置が該
ディスクロータから離れる また、請求項14に記載した発明では、回転しているデ
ィスクロータは内周側よりも外周側の方が回転速度が速
いために、該ディスクロータ外周側位置に配置されたリ
テーナ手段には、該ディスクロータに摺接してディスク
ロータ回転方向に移動するブレーキパッドからディスク
ロータ回出側端部が内周側に入り込む方向の回転モーメ
ントに応じた力が入力される。このため、該リテーナ手
段からブレーキパッドに伝達可能な力が大きくなり、も
って、ブレーキパッドをディスクロータから離す作用が
大きくなる。
【0029】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
ここで、図1〜図5は、第1実施例を説明するための図
である。図1は、ディスクブレーキのトルクメンバ及び
ブレーキパッドをディスクロータの軸方向からみた図で
あり、図2は、図1におけるA−A線断面図であり、図
3は、リテーナ本体を示す斜視図である。また、図4
は、本実施例におけるディスクブレーキのディスクロー
タ軸方向からみた側面図を、図5は、本実施例における
ディスクブレーキの平面図を、それぞれ示している。
【0030】まず、本実施例に係るディスクブレーキの
構成について説明する。この実施例のディスクブレーキ
の基本構成は、図4及び図5に示すように、トルクメン
バ4が図示しない車体側部材に固定され、また、シリン
ダボディ12が、そのトルクメンバ4に対して、一対の
摺動孔10及びスライドピン11を介してディスクロー
タ1の軸方向にのみ摺動可能に支持されている。さら
に、シリンダボディ12に設けられたピストン15及び
爪部12aの間に、一対のブレーキパッド2,3が、デ
ィスクロータ1を挟んで対向配置されている。
【0031】ブレーキパッド2,3は、図1に示される
ように、それぞれトルクメンバ4に対して、アンチラト
ルクリップ5,6を介してディスクロータ1の軸方向へ
摺動可能に支持されると共に、ディスクロータ1の回転
方向に対して所定量だけ移動可能な状態となっている。
ここで、図1ではインナ側(ブレーキパッド2側)のみ
を図示しているが、アウタ側も同様な構成となってい
る。
【0032】上記アンチラトルクリップ5,6は、ディ
スクロータ1の回転方向に沿って対向するブレーキパッ
ド2,3の両端面とトルクメンバ4の当接面との間にそ
れぞれ介挿されると共に、トルクメンバ4の当接面に沿
って係止されている。さらに、該アンチラトルクリップ
5,6のディスクロータ内周側部分には、ブレーキパッ
ド2,3をディスクロータ内周側から支持可能な支持部
5a,6aを備えている。
【0033】なお、上記ブレーキパッド2,3の端面の
形状とトルクメンバ4の当接面の形状とは、相互に所定
のクリアランスをもって係合可能な形状に成形されてい
る。また、上記トルクメンバ4の当接面のうち、ディス
クロータ1の回出側の当接面(ディスクロータ1の回出
側に位置する当接面)がトルク受け面4aを構成してい
る。
【0034】また、各ブレーキパッド2,3は、図2に
示すように、ディスクロータ1に摺接可能なパッド本体
2aと、そのパッド本体2aの裏面側に固定されて該パ
ッド本体2aを補強して支持するバックプレート2b
と、から構成されている。ここで、図2ではインナ側
(ブレーキパッド2側)のみを図示しているが、アウタ
側も同様な構成となっている。
【0035】各ブレーキパッド2,3のディスクロータ
内周側端部には、バックプレート2b側であってディス
クロータ1の回入側位置に、リテーナ用切欠き部7が形
成されている。その切欠き部7のディスクロータ1の回
出側を向く内壁7aは、第2案内面を構成し、ディスク
ロータ1の摩擦面に直交する平面形状となっている。そ
の切欠き部7内へ遊挿可能に、リテーナ用突起部8が、
トルクメンバ4のディスクロータ内周側部分に突設され
ている。上記リテーナ用切欠き部7の内壁7aと対向す
る上記リテーナ用突起部8の表面には、リテーナ本体を
構成するリテーナ部材9が固定されている。上記内壁7
aとリテーナ用突起部8の面との対向距離は、ブレーキ
パッド2,3がディスクロータ1の回転方向へ移動可能
なクリアランスよりも大きくなるように設定されてい
る。
【0036】ここで、本実施例では、上記リテーナ用切
欠き部7、リテーナ用突起部8、及びリテーナ部材9に
よって、リテーナ手段が構成されている。リテーナ部材
9は、図3に示すように、横断面V字形状に折れ曲げら
れた板バネ部材から構成され、そのバネ部材により付勢
手段が構成されている。そのV字形の一方の板部分は上
記リテーナ用突起部8に固定され、また、他方の板部分
9aの表面が、第1案内面を構成すると共に上記リテー
ナ用切欠き部7の内壁7aに当接可能となっている。そ
の他方の板部分9aは、図2に示すように、ディスクロ
ータ1の回転方向に沿ったラインPに対して、ディスク
ロータ1の回入側を向き且つ該ディスクロータ1から離
れる方向に向けて鈍角となる角度θをもって傾斜するよ
うに配置されている。なお、上記リテーナ部材9のバネ
力は、制動トルクよりは小さく且つブレーキパッドを押
し返すだけの弾性力を有する。
【0037】ここで、上記第1案内面は、前述の請求項
1でいう案内面を構成し上記のようにトルク受け面4a
とは別の面として構成されている。次に、上記ディスク
ブレーキの作用及び動作について説明する。非制動状態
では、図2に示すような状態であって、リテーナ部材9
の他方の板部分9aとリテーナ用切欠き部7の内壁7a
とは、所定クリアランスをもって対向しているか、該リ
テーナ部材9に弾性力があまり発生しない程度に線接触
した状態となっている。
【0038】この状態から、運転者がブレーキペダルを
踏む等して制動操作を行うと、シリンダ孔14内に発生
した油圧によって、ピストン15がディスクロータ1側
に前進してインナ・パッド2をディスクロータ1の一方
の摩擦面に押圧する。同時に、その反動で、シリンダボ
ディ12自体は摺動孔10及びスライドピン11に案内
されて後退し、該シリンダボディ12の爪部12aによ
ってアウタ・パッド3がディスクロータ1の他方の摩擦
面に押圧される。これによって、一対のブレーキパッド
2,3が、回転するディスクロータ1を両側から挟み込
み、その摩擦力によりディスクロータ1の回転を熱に変
換して制動が行われる。
【0039】この制動の際に、回転するディスクロータ
1から、各ブレーキパッド2,3に対して制動トルクが
入力され、その制動トルクによって、各ブレーキパッド
2,3は該ディスクロータ1の回転方向に移動する。こ
の移動に追従して、ブレーキパッド2,3におけるリテ
ーナ用切欠き部7の内壁7aはリテーナ用突起部8に接
近して、リテーナ部材9の他方の板部分9aを弾性変形
させつつディスクロータ1の回出側に後退させる。これ
によって、リテーナ部材9は該リテーナ用突起部8側に
撓む。さらに、該ブレーキパッド2,3の端面がトルク
メンバ4のトルク受け面4aに当接することで、ブレー
キパッド2,3の移動が阻止され、上記制動トルクはト
ルクメンバ4に伝達されて車体側で支持される。
【0040】この状態では、ブレーキパッド2,3の上
記移動量よりも、リテーナ用切欠き部7の内壁7aとリ
テーナ用突起部8の対向面との対向距離の方が広く設定
されているので、該リテーナ部材9が完全に撓みきるこ
とはない。このように、制動中には、リテーナ部材9は
切欠き部7の内壁7aに押されて撓むが、制動中の主た
る制動トルクは、ブレーキパッド2,3の一端面と当接
するトルクメンバ4のトルク受け面4aで受けるため
に、該リテーナ部材9は破損することなく、更に、リテ
ーナ部材9等から構成されるリテーナ手段で逆サーボ力
を発揮することはない。このため、良好な制動力が生じ
る。
【0041】この状態から、ブレーキペダル等を戻して
上記制動を解除すると、ピストン15は後退して、上記
爪部12aとピストン15との間に所定のクリアランス
が生じ、シリンダボディ12によるブレーキパッド2,
3への押圧が解除される。すると、撓んでいるリテーナ
部材9の弾性力によって、ブレーキパッド2,3のディ
スクロータ1の回入側位置は、該回入側に押される。
【0042】その押し付け力によって、各ブレーキパッ
ド2,3における切欠き部7の内壁7aは、該リテーナ
部材9の傾斜した板部分9aの表面(第1案内面)に沿
って滑るが、該板部分9aの表面は、ディスクロータ1
の回転方向に対して鈍角に傾斜しているため、結果とし
て、ブレーキパッド2,3の回入側がディスクロータ1
の摩擦面から離れる方向に移動する。即ち、制動解除の
際に、リテーナ手段を設けた位置のブレーキパッド2,
3が、確実に、ディスクロータ1の摩擦面から離される
こととなる。
【0043】また、非制動状態であっても、何らかの理
由で、ブレーキパッド2,3とディスクロータ1とが摺
接すると、その摺接によってブレーキパッド2,3がデ
ィスクロータ1の回転方向に移動する。すると、切欠き
部7の内壁7aがリテーナ部材9の傾斜した板部分9a
に当接し、該板部分9aによってディスクロータ回転方
向に向かう力が該ディスクロータ1から離れる方向への
力に変換されつつ、ブレーキパッド2,3の回入側は、
該板部分9aの傾斜面(第1案内面)に沿って滑り、デ
ィスクロータ1の摩擦面から離れる方向に移動する。
【0044】これによって、非制動時における、ブレー
キパッド2,3とディスクロータ1との間の引きずりが
減少若しくは無くなる。従って、ディスクロータ1の取
付け誤差や製造誤差による面振れが重なっても、該ブレ
ーキパッド2,3とディスクロータ1との引きずりによ
るディスクロータ1の部分的な摩耗が低減し、ブレーキ
ジャダーの発生が抑制される。
【0045】また、上記のように引きずりが低減するこ
とは、ブレーキパッド2,3の長寿命化や偏摩耗の低減
にも繋がる。また、制動中に、ブレーキパッド2,3
は、ディスクロータ2の摩擦面に向けて押圧されるた
め、トルク受け面4a側を支点したディスクロータ2の
摩擦面に向かうモーメントが入力された状態となり、こ
れによって、図17に示すようなディスクロータ回入側
が狭まるようなハの字の状態となることがある。そし
て、制動が解除されても、そのままでは、ディスクロー
タ回入側が狭くなった上記ハの字の状態の姿勢のままと
なるおそれがあるが、本実施例では、ブレーキパッド
2,3のディスクロータ回入側を確実にディスクロータ
2の摩擦面から引き離すので、上記ハの字の姿勢が回避
される。
【0046】なお、上記実施例におけるリテーナ用切欠
き部7の内壁7aの形状は、平面である必要は必ずしも
なく、例えば、該リテーナ用突起部8側に断面V字状に
突出するなど他の断面形状であってもよい。次に、第2
実施例について説明する。ここで、図6〜図8が、第2
実施例を説明するための図である。図6は、ディスクロ
ータの軸方向からみたトルクメンバ及びブレーキパッド
を示す図であり、図7は、本実施例のアンチラトルクリ
ップ及びリテーナ部材を示す斜視図であり、図8は、図
1におけるB−B線断面図である。
【0047】なお、上記図6及び図8では、インナ側
(ブレーキパッド2側)の構成のみを図示しているが、
アウタ側も同様な構成となっている。また、上記第1実
施例と同様な部材には上記第1実施例と同じ符号を付し
て説明する。第2実施例のディスクブレーキの基本構成
は、上記第1実施例と同様であり、リテーナ手段の構成
が相違するだけである。
【0048】本第2実施例では、図6及び図7に示すよ
うに、リテーナ部材20は、ディスクロータ1の回入側
に配置されたアンチラトルクリップ6と一体に成形さ
れ、また、第1実施例のようなリテーナ用突起部がトル
クメンバ4に設けられていない。即ち、リテーナ部材2
0は、図8に示すように、アンチラトルクリップ6から
切欠き部7の形成位置に向けてブレーキパッド2のバッ
クプレート2bと所定の間隙をもって平行に延びる突設
部18と、その突設部18の先端部に連続して上記切欠
き部7内に遊挿するリテーナ本体19とから構成されて
いる。リテーナ本体19は、横断面略U字形状に成形さ
れた板バネから構成され、該板バネにより付勢手段が構
成されている。また、上記切欠き部7のディスクロータ
回入側の内壁7aとディスクロータ1の回転方向で対向
したリテーナ本体19の板部分19aの表面は、ディス
クロータ1の回入側を向き且つディスクロータ1の回転
方向に沿ったラインPに対して鈍角の角度θをもった傾
斜面となって、第1案内面を構成する。
【0049】ここで、本実施例では、リテーナ部材20
及び切欠き部7によって、リテーナ手段が構成されてい
る。他の構成は、上記第1実施例と同様である。そし
て、ブレーキパッド2,3がディスクロータ1の回転方
向に移動すると、切欠き部7の内壁7aがリテーナ本体
19の板部分19aに当接する。この板部分19aの表
面は傾斜面を構成するので、該リテーナ本体19の板部
分19aによって、該ブレーキパッド2,3のディスク
ロータ回転方向に向かう力が該ディスクロータ1の摩擦
面から離れる方向への力に変換されつつ、上記切欠き部
7の内壁7aが、リテーナ本体19の板部分19aから
なる傾斜面に沿って滑り該ディスクロータ1から離れる
方向に移動する。
【0050】これによって、上記第1実施例と同様の作
用・効果を得ることができる。また、この第2実施例で
は、リテーナ部材20をトルクメンバ4に固定する必要
がないと共に、第1実施例のように該リテーナ部材のた
めの突起部を設ける等、該トルクメンバ4を特別な形状
に成形する必要はない。次に、第3実施例について説明
する。
【0051】ここで、図9〜図11が、第3実施例を説
明するための図であり、図9は、トルクメンバ及びブレ
ーキパッドをディスクロータの軸方向から見た図であ
り、図10は、本実施のディスクブレーキを示す平面図
であり、図11は、本実施例のリテーナ部材及びアンチ
ラトルクリップを示す斜視図であ。なお、図9ではイン
ナ側(ブレーキパッド2側)の構成のみを図示している
が、アウタ側も同様な構成となっている。また、上記第
1実施例及び第2実施例と同様な部材には上記実施例と
同じ符号を付して説明する。
【0052】第3実施例の基本構成は、図9及び図10
に示すように、上記第2実施例と同じであって、図11
に示すように、ブレーキパッド2,3の切欠き部7がデ
ィスクロータ1の外周側と対向する上端部側に設けら
れ、また、対応するリテーナ部材20もアンチラトルク
リップ6の上側部分へ一体に設けられているところが相
違するだけである。
【0053】この場合にも、第2実施例と同様な作用・
効果を有して、引きずり等によってブレーキパッド2,
3がディスクロータ1の回転方向に移動すると、切欠き
部7の内壁7aがリテーナ本体19の板部分19aに当
接する。この板部分19aの表面は傾斜面を構成するの
で、該リテーナ本体19の板部分19aによって、ブレ
ーキパッド2,3のディスクロータ回転方向に向かう力
が該ディスクロータ1の摩擦面から離れる方向への力に
変換されつつ、上記切欠き部7の内壁7aが、リテーナ
本体19の板部分19aからなる傾斜面に沿って滑り該
ディスクロータ1から離れる方向に移動する。
【0054】これによって、上記第2実施例と同様の作
用・効果を得ることができる。また、第2実施例と同様
に、リテーナ部材20をトルクメンバ4に固定する必要
がないと共に、該リテーナ部材用の突起部を設ける等、
該トルクメンバ4を特別な形状に成形する必要はない。
また、非制動中に、ブレーキパッド2,3がディスクロ
ータ1に摺接すると該ディスクロータ1から、ブレーキ
パッド2,3の回出側がディスクロータ1の内周側に向
かう図9に示す回転モーメントMが入力される。そし
て、この回転モーメントMによるブレーキパッド2,3
の内周側と外周側とに速度差が生じ、リテーナ手段を設
けた位置のブレーキパッド2,3の移動量は、前記第1
実施例及び第2実施例に比べて大きくなって、ブレーキ
パッド2,3のディスクロータ1の回入側を外側に移動
させる作用が大きくなる。このため、ブレーキパッド
2,3をディスクロータの摩擦面から引き離す作用が大
きくなり、その結果、さらにディスクロータ1の部分的
な摩耗が少なく、ブレーキジャダーの発生を抑制する効
果が向上する。
【0055】なお、上記実施例では、上側、即ちディス
クロータ1外周側位置にのみリテーナ手段を設けている
が、ブレーキパッド2,3の外周側及び内周側の両側に
設けてもよい。次に、第4実施例について説明する。こ
こで、図12〜図14が、第4実施例を説明するための
図であり、図12は、トルクメンバ及びブレーキパッド
をディスクロータの軸方向から見た図であり、図13は
図12におけるC−C線断面図であり、図14は本実施
例のリテーナ部材を示す斜視図である。
【0056】なお、上記図12〜図14は、インナ側
(ブレーキパッド2側)のみを図示しているが、アウタ
側も同様な構成となっている。また、上記第1実施例か
ら第3実施例と同様な部材には上記実施例と同じ符号を
付して説明する。第4実施例の基本構成は、図12に示
すように、上記各実施例と同様である。但し、リテーナ
手段の構成が上記各実施例と相違している。
【0057】第4実施例のリテーナ手段は、図13及び
図14に示すように、ブレーキパッド2のバックプレー
ト2bにおけるディスクロータ1の回入側位置に固定さ
れて該回入側に向けて延びる突設部21と、該突設部2
1と一体となり該突設部21からディスクロータ1側に
延びるリテーナ本体22と、トルクメンバ4の外端面に
形成された傾斜面23と、から構成されている。
【0058】上記突設部21は、ブレーキパッド2のバ
ックプレート2bに突設するピン部材を介して該ブレー
キパッド2に固定されている。また、リテーナ本体22
は、横断面V字形状の板バネから構成されることで付勢
手段及び押圧手段を備え、トルクメンバ4のディスクロ
ータ1の外端面と対向する部分22aが、図13に示す
ように、ディスクロータ1の回出側を向き且つディスク
ロータ1の回転方向に沿ったラインPに対して鋭角とな
る角度αをもった傾斜面を構成するようになっている。
なお、上記リテーナ本体22の傾斜面は第1案内面を構
成する。
【0059】また、該リテーナ本体22の傾斜面22a
と対向するトルクメンバ4の外端面には、該リテーナ本
体22の傾斜面22aと係合可能なように、ディスクロ
ータ1の回入側を向き且つディスクロータ1の回転方向
に沿ったラインPに対して鈍角となる角度θをもった傾
斜面(第2案内面)23が形成されている。そして、非
制動中でも、該リテーナ本体22の傾斜面22aがトル
クメンバ4の傾斜面23と接触し、ブレーキパッド2
は、リテーナ本体22を介してディスクロータ1の回入
側に付勢されている。
【0060】この状態から、引きずりによって、ブレー
キパッド2がディスクロータ1の回転方向に移動する
と、リテーナ本体22はトルクメンバ4の傾斜面23に
当接する。すると、該トルクメンバ4の傾斜面23及び
リテーナ本体22の傾斜面22aの両傾斜によって、ブ
レーキパッド2のディスクロータ回転方向に向かう力が
ディスクロータ1から離れる方向の力に変換されつつ、
該リテーナ本体22の傾斜面22がトルクメンバ4の傾
斜面23に沿って滑り、これによって、リテーナ本体2
2が固定されているブレーキパッド2のディスクロータ
1の回入側位置は、ディスクロータ1から離れる方向に
移動して、上記各実施例と同様な作用・効果を有する。
【0061】特に、本実施例では、非制動時にリテーナ
本体22とトルクメンバ4とが当接しているので、ブレ
ーキパッド2,3がディスクロータ回出側へ移動を開始
した直後から、ディスクロータ1の摩擦面から引き離す
力がブレーキパッドに作用する。また、本実施例ではブ
レーキパッド2,3にリテーナ用の切欠き部を設ける必
要がない共に、リテーナ手段のリテーナ本体22がブレ
ーキパッド2,3側に固定されているので、トルクメン
バ4に対する該ブレーキパッド2,3の取付け作業性
が、上記実施例よりも向上する。
【0062】なお、上記全実施例では、一対のブレーキ
パッド2,3の両方に対してリテーナ手段を設けるよう
に説明しているが、ブレーキパッド2,3の引きずり発
生の可能性に応じて、インナ・パッド2若しくはアウタ
・パッド3の一方だけに上記構成のリテーナ手段を設け
てもよい。また、上記全実施例では、リテーナ部材9に
おける第1案内面を構成する部材をディスクロータ1の
回転方向に対して鈍角となるように構成しているが、該
リテーナ部材9の当接面に当接する切欠き部7の内壁7
aの面等の側を、ディスクロータ回出側を向き且つディ
スクロータ1の回転方向に対して鋭角となるように構成
してもよいし、該リテーナ部材9の当接面、及び該当接
面に当接する切欠き部7の内壁7aの面等の両方を、デ
ィスクロータ1の回転方向に対して傾斜するように構成
してもよい。
【0063】また、上記全実施例では、リテーナ部材9
の付勢手段及び押圧手段を板バネで構成した例で説明し
ているが、ゴム部材等の他の弾性体で構成してもよい。
ゴム部材で構成する場合には、例えば、切欠き部7の内
壁7aと当接する部分にプラスチック等の硬質の部材を
設け、該プラスチック等で、ディスクロータ回入側を向
き且つディスクロータ1の回転方向に対して鈍角となる
傾斜面を構成させる。
【0064】また、付勢手段及び押圧手段であるバネ要
素は、傾斜した第1案内面側に必ずしも設ける必要はな
く、ディスクロータ1の摩擦面に垂直な第2案内面側に
設けてもよい。例えば、第1実施例において、図15に
示すように、傾斜した第1案内面を剛体によって構成
し、それに対向するブレーキパッド2,3側のリテーナ
用切欠き部7の内壁7a(第2案内面)側に対して、デ
ィスクロータ1の回転方向に沿った方向に弾性力を備え
た板バネ30からなるバネ要素を設けてもよい。このと
き、この板バネ30によって、前述の請求項3に記載さ
れた「上記案内面に当接可能なブレーキパッド側の部
分」が構成される。
【0065】また、上記全実施例では、ブレーキパッド
2,3のディスクロータ1の回入側にのみリテーナ手段
を設けているが、回出側にも設けて車両後退時にも対応
可能としてもよい。また、上記第4実施例では、リテー
ナ本体が押圧手段を兼ねているが、該押圧手段を別部材
としてもよい。また、上記第1〜第3実施例のリテーナ
本体に押圧手段の機能を持たせてもよい。上記押圧手段
を別部材とする場合には、トルクメンバとブレーキパッ
ドとの間にバネ要素を介装することで実現できる。
【0066】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のディ
スクブレーキでは、リテーナ手段を設けることで、非制
動状態でのブレーキパッドとディスクロータとの引き擦
りが従来よりも減少する。その結果、ディスクロータの
部分的な摩耗が軽減して、ブレーキジャダーの発生等を
抑制できるという効果が得られる。
【0067】また、上記のように引きずりが減少するこ
とは、ブレーキパッドの摩耗も軽減されて該ブレーキパ
ッドの寿命が延びたり、該ブレーキパッドの偏摩耗を抑
えることに繋がる。また、制動時の制動トルクは、主と
して、従来と同様にトルク受け面で垂直に受けることが
可能であるので、リテーナ手段を設けても、良好な制動
力を得ることができる。
【0068】このとき、請求項2又は請求項3に記載し
た発明を採用することで、制動中の制動トルクを、確実
に、トルク受け面で受けさせることが可能となる。ま
た、請求項7に記載した発明を採用することで、リテー
ナ本体をトルクメンバやブレーキパッドに取り付ける必
要がなくなり、アンチラトルクリップと一体にリテーナ
本体を成形することが可能となる。このため、トルクメ
ンバを特別な形状とする必要がないのでコスト的に有利
である。
【0069】また、請求項8から請求項10に記載され
た,いずれかの発明を採用すると、ブレーキパッド自身
に、切欠き等によって第2案内面を形成する必要がな
い。また、リテーナ手段を設けてもブレーキパッドの取
付け作業性を悪くすることがない。また、請求項11に
記載した発明を採用することで、ブレーキパッドがトル
ク受け面と当接する前に、該ブレーキパッドをディスク
ロータから離れる方向に移動可能となる。
【0070】また、請求項12に記載した発明を採用す
ることで、ブレーキパッドのディスクロータ回出方向へ
の移動開始直後から、ブレーキパッドをディスクロータ
の摩擦面から引き離す方向に付勢可能となる。また、請
求項13に記載した発明を採用することで、引き擦りが
発生しやすいブレーキパッドのディスクロータ回入側位
置を、確実に、ディスクロータの摩擦面から引き離すこ
とが可能となる。
【0071】また、請求項14に記載した発明を採用す
ることで、ブレーキパッドをディスクロータから引き離
す力が大きくなり、より有効に引き擦りが防止可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例のトルクメンバ、ブレ
ーキパッド、及びリテーナ手段の配置をディスクロータ
の軸方向から見た図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】本発明に係る第1実施例のリテーナ部材を示す
斜視図である。
【図4】本発明に係る第1実施例のディスクブレーキを
示す側面図である。
【図5】本発明に係る第1実施例のディスクブレーキを
示す平面図である。
【図6】本発明に係る第2実施例のトルクメンバ、ブレ
ーキパッド、及びリテーナ手段の配置をディスクロータ
の軸方向から見た図である。
【図7】本発明に係る第2実施例のアンチラトルクリッ
プ及びリテーナ手段を示す斜視図である。
【図8】図6におけるB−B線断面図である。
【図9】本発明に係る第3実施例のトルクメンバ、ブレ
ーキパッド、及びリテーナ手段の配置をディスクロータ
の軸方向から見た図である。
【図10】本発明に係る第3実施例のディスクブレーキ
を示す平面図である。
【図11】本発明に係る第3実施例のアンチラトルクリ
ップ及びリテーナ手段を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る第4実施例のトルクメンバ、ブ
レーキパッド、及びリテーナ手段の配置をディスクロー
タの軸方向から見た図である。
【図13】図12におけるC−C線断面図である。
【図14】本発明に係る第4実施例のリテーナ本体を示
す斜視図である。
【図15】本発明に係る実施例の一例を示す断面図であ
る。
【図16】従来のディスクブレーキを示す概念図であ
る。
【図17】ディスクロータとブレーキパッドとの摺接状
態の例を示す図である。
【符号の説明】
1 ディスクロータ 2,3 ブレーキパッド 4 トルクメンバ 5,6 アンチラトルクリップ 7 リテーナ用切欠き部 7a 内壁(第2案内面) 8 リテーナ用突起部 9 リテーナ部材 12 シリンダボディ P ディスクロータ回転方向に沿ったライン

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪と共に回転するディスクロータの摩
    擦面と略平行に対向配置されたブレーキパッドと、車体
    側に固定されて該ブレーキパッドからの制動トルクを受
    けるトルク受け面を備えたトルクメンバと、該トルクメ
    ンバに対してディスクロータの軸方向へ摺動可能に支持
    されると共に上記ブレーキパッドをディスクロータに向
    けて押圧可能なピストンを備えたシリンダボディと、を
    備えるディスクブレーキにおいて、 上記トルク受け面とは別の面であってブレーキパッドが
    ディスクロータ回転方向に移動することにより発生する
    力を受ける案内面を有すると共に該ブレーキパッドに入
    力されたディスクロータ回転方向に向かう力の一部を該
    案内面を介してディスクロータから離れる方向に向かう
    力に変換して当該ブレーキパッドに伝達するリテーナ手
    段を設けたことを特徴とするディスクブレーキ。
  2. 【請求項2】 上記案内面をディスクロータの回出側に
    後退可能に構成すると共に、該案内面を上記後退量に応
    じた押圧力でディスクロータ回入側に付勢可能な付勢手
    段を設けたことを特徴とする請求項1に記載されたディ
    スクブレーキ。
  3. 【請求項3】 上記案内面に当接可能なブレーキパッド
    側の部分をディスクロータの回入側に後退可能に構成す
    ると共に、そのブレーキパッド側の部分を上記後退量に
    応じた押圧力でディスクロータ回出側に付勢可能な付勢
    手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載されたディスクブレーキ。
  4. 【請求項4】 上記リテーナ手段は、トルクメンバ側に
    固定されてディスクロータ回入側を向き且つディスクロ
    ータの回転方向に対して鈍角に傾斜した第1案内面を有
    するリテーナ本体と、ブレーキパッドに設けられてディ
    スクロータ回転方向に沿って上記第1案内面と対向する
    第2案内面と、を備えることを特徴とする請求項2又は
    請求項3に記載されたディスクブレーキ。
  5. 【請求項5】 上記リテーナ手段は、ブレーキパッドに
    設けられてディスクロータ回出側を向き且つディスクロ
    ータ回転方向に対して鋭角の傾斜面を形成する第2案内
    面と、トルクメンバ側に固定されてディスクロータ回転
    方向に沿って上記第2案内面と対向する第1案内面を備
    えたリテーナ本体と、を備えることを特徴とする請求項
    2又は請求項3に記載されたディスクブレーキ。
  6. 【請求項6】 上記リテーナ手段は、トルクメンバ側に
    固定されてディスクロータ回入側を向き且つディスクロ
    ータの回転方向に対して鈍角に傾斜した第1案内面を有
    するリテーナ本体と、ブレーキパッドに設けられてディ
    スクロータ回転方向に沿って上記第1案内面と対向し且
    つディスクロータ回転方向に対して鋭角の傾斜面を形成
    する第2案内面と、を備えることを特徴とする請求項2
    又は請求項3に記載されたディスクブレーキ。
  7. 【請求項7】 上記トルクメンバに係止されると共に上
    記各ブレーキパッドを摺動可能に支持して該ブレーキパ
    ッドのガタツキを抑えるアンチラトルクリップを備える
    と共に、上記リテーナ本体をアンチラトルクリップに設
    けたことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか
    に記載されたディスクブレーキ。
  8. 【請求項8】 上記リテーナ手段は、ブレーキパッドに
    固定されてディスクロータ回出側を向き且つディスクロ
    ータの回転方向に対して鋭角に傾斜した第2案内面を有
    するリテーナ本体と、トルクメンバに設けられてディス
    クロータ回転方向に沿って上記第2案内面と対向する第
    1案内面と、を備えることを特徴とする請求項2又は請
    求項3に記載されたディスクブレーキ。
  9. 【請求項9】 上記リテーナ手段は、トルクメンバに設
    けられてディスクロータ回出側を向き且つディスクロー
    タの回転方向に対して鈍角に傾斜した第1案内面と、ブ
    レーキパッドに固定されてディスクロータ回転方向に沿
    って上記第1案内面と対向する第2案内面を有するリテ
    ーナ本体と、を備えることを特徴とする請求項2又は請
    求項3に記載されたディスクブレーキ。
  10. 【請求項10】 上記リテーナ手段は、ブレーキパッド
    に固定されてディスクロータ回出側を向き且つディスク
    ロータの回転方向に対して鋭角に傾斜した第2案内面を
    有するリテーナ本体と、トルクメンバに設けられてディ
    スクロータ回転方向に沿って上記リテーナ本体の第2案
    内面と対向し且つディスクロータの回転方向に対して鈍
    角に傾斜した第1案内面と、を備えることを特徴とする
    請求項2又は請求項3に記載されたディスクブレーキ。
  11. 【請求項11】 上記ブレーキパッドとトルクメンバと
    の間に該ブレーキパッドがディスクロータ回転方向に揺
    動可能なクリアランスを設けると共に、非制動時にブレ
    ーキパッドをディスクロータ回入側に押圧する押圧手段
    を、上記リテーナ手段に備えたことを特徴とする請求項
    2から請求項10のいずれかに記載されたディスクブレ
    ーキ。
  12. 【請求項12】 上記付勢手段に押圧手段を備えること
    を特徴とする請求項11に記載されたディスクブレー
    キ。
  13. 【請求項13】 上記リテーナ手段は、ブレーキパッド
    のディスクロータ回入側位置に配置されていることを特
    徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載され
    たディスクブレーキ。
  14. 【請求項14】 上記リテーナ手段は、ブレーキパッド
    のディスクロータ外周側位置に配置されることを特徴と
    する請求項1から請求項13のいずれかに記載されたデ
    ィスクブレーキ。
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