JPH08177845A - 内燃機関の潤滑システム - Google Patents

内燃機関の潤滑システム

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JPH08177845A
JPH08177845A JP32333294A JP32333294A JPH08177845A JP H08177845 A JPH08177845 A JP H08177845A JP 32333294 A JP32333294 A JP 32333294A JP 32333294 A JP32333294 A JP 32333294A JP H08177845 A JPH08177845 A JP H08177845A
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JP
Japan
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bearing
connecting rod
crankpin
lubricating oil
crank pin
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JP32333294A
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English (en)
Inventor
Shunichi Aoyama
俊一 青山
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Lubrication Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の潤滑システムにおいて、高回転数
域における潤滑条件の改善する。 【構成】 コンロッド軸受32の軸受表面にクランクピ
ン35より熱伝導率の高いオーバレイ層を全周に渡って
形成し、コンロッド31をクランクピン35より熱膨張
率の高い材質で形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関のコンロッ
ド軸受構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の自動車用機関等にあっては、機関
の高速化がはかられる一方で、ウォータジャケットの小
型化に伴って機関を循環する潤滑油の平衡温度が例えば
130°程度と上昇する傾向にあるため、コンロッド軸
受とクランクピン間に介在する潤滑油膜の放熱性を高め
て潤滑性を維持することが要求される。
【0003】内燃機関のクランクシャフトには、メイン
ギャラリからシャフトの主軸受に供給された潤滑油は、
クランクシャフトの内部通路を通ってクランクピンと軸
受メタルの隙間に送り込まれ、主軸受ならびにコンロッ
ド軸受の潤滑が行われる。
【0004】この潤滑によって冷却も行われるのである
が、そのクランクピン摺動面の温度特性を図20に示す
測定装置(熱電対72,73をクランクピン71の摺動
面中央に埋め込んである)によって測定してみると、図
21に示すように機関の回転数と共に急激に上昇し、特
にクランクピン71の内側つまりクランクシャフト74
の中心側の摺動面の温度上昇が大となっている。
【0005】この理由は、機関の高回転時には、ピスト
ン、コンロッド等の慣性力が回転数の2乗に比例して増
大するため、クランクピン71の内側に荷重がかかる割
合が大となり、潤滑油膜が薄くなり、発熱が増加すると
共に、冷却作用もはたしている潤滑油のクランクピン7
1の内側への供給量が制約されることによる。
【0006】コンロッド軸受の耐久性は温度への依存度
が高く、クランクピン71の内側の温度レベルによっ
て、回転数の上限が決められたり、あるいはオイルクー
ラ等の装着が必要とされ、クランクピン71の内側の温
度レベルが潤滑性能を確保する上でのポイントとなって
いる。
【0007】そこで、このクランクピンの内側部分の冷
却を強化するものとして、例えば実開昭63ー2891
3号公報に示されたように、クランクピン部分に潤滑油
を送るオイル通路をクランクピンの内側(クランクシャ
フトの中心側)の摺動面近くに設けて、摺動面に潤滑油
を供給すると共に、クランクピンの内側を冷却するよう
にしたものが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来装置にあっては、オイル通路を流れる潤滑油に
よってそれなりの冷却効果はあるが、コンロッド側との
わずかな隙間(例えば50ミクロン程度)から摺動面に
流出されるつまり洩れる油量だけでは、実際オイル通路
を流れる潤滑油量も少なく、このためクランクピンの内
側の冷却効果に限界があった。
【0009】この場合、冷却効果を増大させようとし
て、オイル通路を流れる潤滑油量を増やすように摺動面
の隙間を拡大したのでは、クランクピンと軸受メタルの
打音の問題がトレードオフとして発生してくる。
【0010】また、従来のコンロッド軸受は、例えば図
22に示すように、クランクピンに対する焼き付きを防
ぐなじみ性、異物の埋収性を確保するために、その軸受
表面に鉛(Pb)を主成分とする鉛合金からなるオーバ
レイ層81が形成されている。
【0011】しかしながら、本出願人は、軸受部に関す
る実験および解析から以下のような見地を得た。すなわ
ち、鉛合金からなるオーバレイ層81は、鋼材からなる
クランクピンより熱伝導率が大幅に低いため、後述する
ように潤滑油膜において瞬時的な荷重下で昇温、昇圧す
る最小油膜部から発生する摩擦発熱がコンロッド軸受側
に逃がされることが抑えられ、最小油膜部の粘度を著し
く上昇させてクランクピンに付与されるフリクションを
増大させている可能性がある。
【0012】本発明は上記の問題点を解消し、高回転数
域における潤滑条件を改善することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の内燃機関
の潤滑システムは、ピストンの往復動をクランクシャフ
トの回転運動に変換するコンロッドを備え、コンロッド
にクランクシャフトのクランクピンを回転可能に支承す
るコンロッド軸受を備え、クランクシャフト内部に、オ
イルポンプから吐出する潤滑油をコンロッド軸受とクラ
ンクピンの間に供給するクランク内部通路を形成し、コ
ンロッド軸受の軸受表面にクランクピンより熱伝導率の
高いオーバレイ層を全周に渡って形成し、コンロッドを
クランクピンより熱膨張率の高い材質で形成する。
【0014】請求項2記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1記載の発明において、コンロッドをピスト
ン側に連結されるロッドと、ロッドとの間にクランクピ
ンを支承するキャップとに分割し、ロッドとキャップと
を締結する複数のボルトを備え、ロッドをキャップおよ
びボルトより熱膨張率の高い材質で形成する。
【0015】請求項3記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項2記載の発明において、ロッドをアルミを主
成分とする金属により形成し、キャップおよびボルトを
鉄を主成分とする金属により形成する。
【0016】請求項4記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1から3のいずれか1つに記載の発明におい
て、コンロッド軸受の軸受面側に裏金より硬度の低いメ
タル層を銅と鉛を主成分とする合金により形成し、コン
ロッド軸受の軸受表面にクランクピンより熱伝導率の高
いオーバレイ層をアルミニウムと錫を主成分とする合金
により全周に渡って形成する。
【0017】請求項5記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1から4のいずれか1つに記載の発明におい
て、クランクピンにマイクロフィニッシュ仕上げ加工を
施す。
【0018】
【作用】請求項1記載の内燃機関の潤滑システムにおい
て、オイルポンプから吐出する潤滑油はクランク内部通
路を通ってコンロッド軸受とクランクピン間の軸受隙間
に供給される。この潤滑油によってコンロッド軸受とク
ランクピンの摺接部が潤滑されるとともに、冷却され
る。
【0019】機関の高回転時には、ピストン、コンロッ
ド等の慣性力が回転数の2乗に比例して増大するため、
クランクピンの摺動面のうちクランクシャフトの中心側
に位置する内側領域に常に荷重がかかるようになって潤
滑油膜が薄くなる最小油膜部が生じる可能性がある。最
小油膜部は、その油膜厚さが例えば1〜2ミクロン程度
となると、圧力の上昇により潤滑油の粘度が著しく高く
なり、液膜のせん断率が高くなって、摩擦損失が急増す
る。
【0020】クランクピンは最小油膜部に対して常にそ
の内側領域が対峙する一方、コンロッド軸受が最小油膜
部に対峙する部位はクランクピンの回転に伴って略全周
に渡って周方向に移動する。
【0021】コンロッド軸受の軸受表面となるオーバレ
イ層を全周に渡ってクランクピンより熱伝導率の高い材
質により形成したため、コンロッド軸受からクランクピ
ンに懸かる荷重としてピストン、コンロッド等の慣性力
が支配的になる高回転数域において、瞬時的な荷重下で
昇温、昇圧する最小油膜部からの熱を熱伝導率の高いオ
ーバレイ層を介してコンロッド軸受に速やかに流入させ
る。続いて、コンロッド軸受の最小油膜部から熱を吸収
した部位が、クランクピンの回転により周方向に移動し
て最小油膜部から外れるのに伴って、コンロッド軸受に
吸収された熱は再び潤滑油に流入(オーバレイ層の熱伝
導率が高いために、これも速やかに行われる)し、潤滑
油と共にコンロッド軸受の外側に逃がされ、最小油膜部
とこれに常に面するクランクピンの内側領域の温度上昇
を抑えられる。
【0022】こうしてクランクピンの最小油膜部近傍の
温度上昇が抑えられることにより、最小油膜部近傍の潤
滑油粘度が低下することが抑えられ、最小油膜部の油膜
厚さを確保し、最小油膜部における液膜のせん断率が著
しく高くなって摩擦損失が急増することを防止できる。
【0023】そして本発明では、上記した熱伝導率の高
いオーバレイ層による油膜の温度上昇抑制効果を高回転
時に有効に発揮させるため、コンロッドをクランクピン
より熱膨張率の高い材質で形成している。
【0024】コンロッドをクランクピンより熱膨張率の
高い材質で形成することにより、高回転時の温度上昇に
伴ってコンロッドとクランクピンの熱膨張差によってク
ランクピンの軸受隙間は拡大する。高回転時にクランク
ピンの軸受隙間が拡大することにより、クランク内部通
路からクランクピンの軸受隙間に供給される潤滑油量が
低中回転時に比べて増やされる。
【0025】温度上昇に伴って拡大する軸受隙間と、熱
伝導率の高いオーバレイ層を組み合わせる構造により、
オーバレイ層の高熱伝導率化に伴いクランクピンから潤
滑油を経てコンロッド軸受側へ伝わる熱流速が高められ
る作用と、温度上昇に伴って拡大する軸受隙間による潤
滑油量が増加する作用が相俟って、負荷が軽減している
間にオーバレイ層からその表面を流れる潤滑油に伝わる
熱流速が高まり、クランクピンの冷却効果が大きくな
る。
【0026】さらに、コンロッド軸受の摩擦発熱が減少
することにより、コンロッドの大端部の温度が降下し、
コンロッドの高温強度が高まる分、コンロッドの断面積
を削減して軽量化がはかれる。コンロッドの軽量化がは
かれることにより、往復運動部分の慣性荷重が減少し、
軸受荷重が減少し、さらにコンロッド軸受の摩擦発熱が
減少し、クランクピンの冷却効果が大きくなる。
【0027】低回転時に、コンロッド軸受の摩擦発熱が
減少して、コンロッド軸受の温度が下がると、コンロッ
ドとクランクピンの熱膨張差によって軸受隙間が縮小
し、クランク内部通路から軸受隙間に供給される潤滑油
量が高回転時に比べて減らされる。これにより、オーバ
レイ層から潤滑油への放熱が抑えられ、コンロッド軸受
とクランクピンの間に介在する潤滑油の温度が適正に保
たれ、潤滑油の粘性を低くしてフリクションの低減がは
かられる。
【0028】請求項2に記載の内燃機関の潤滑システム
において、ロッドをキャップおよびボルトより熱膨張率
の高い材質で形成する構造のため、軸受隙間はロッド中
心線方向の熱膨張が、ロッド中心線に直交する方向に比
べて小さく抑えられる。
【0029】このように軸受隙間が拡大することによ
り、軸受隙間からクランク室に流出する潤滑油量が増大
し、クランク内部通路から軸受隙間に流出する潤滑油量
が増大する。
【0030】軸受隙間は、コンロッドの大端部の温度上
昇に伴うロッド中心線方向における直径隙間の拡大幅が
比較的小さいことにより、高回転時にコンロッド軸受に
対するクランクピンの打音が発生することを防止でき
る。
【0031】請求項3に記載の内燃機関の潤滑システム
において、ロッドをアルミを主成分とする金属により形
成することにより、コンロッドの軽量化がはかられると
ともに、キャップおよびボルトを鉄を主成分とする金属
により形成することにより、軸受隙間はロッド中心線方
向の熱膨張が、ロッド中心線に直交する方向に比べて小
さく抑えられる。
【0032】請求項4記載の内燃機関の潤滑システムに
おいて、コンロッドベアリングはオーバレイ層をアルミ
ニウムと錫を主成分とする合金により形成する構造のた
め、潤滑油膜からオーバレイ層への熱伝導量を確保する
とともに、本発明の効果が発揮される高速時に要求され
る耐面圧性能を確保することができる。さらに、コンロ
ッドベアリングはメタル層を銅と鉛を主成分とする合金
により形成したため、本発明の効果が発揮される高速時
に要求される耐荷重性を確保することができる。
【0033】請求項5記載の内燃機関の潤滑システムに
おいて、マイクロフィニッシュ仕上げ加工が施されたク
ランクピンは、ラッピング仕上げ加工が施されたクラン
クピンよりも、機関の高速域で熱伝導率の高いオーバレ
イ層に支承されるクランクピンの温度が低下する。
【0034】この理由は、マイクロフィニッシュ仕上げ
加工が施されたクランクピンの平滑な軸受表面に支持さ
れる油膜は、高温高圧下で薄くなっても流体潤滑状態が
保たれ、局所的に高粘度化した潤滑油の影響を受けやす
くなるためである。
【0035】したがって、マイクロフィニッシュ仕上げ
加工を施されたクランクピンが、熱伝導率の高いオーバ
レイ層に支承される構造により、機関の高速域まで流体
潤滑状態が維持され、最小油膜部における液膜のせん断
率が著しく高くなって摩擦損失が急増することを防止で
きる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0037】図2に示すように、定容量型オイルポンプ
1は機関により駆動され、オイルパン2からストレーナ
3を介して吸い上げた潤滑油を吐出し、オイルポンプ1
から吐出される潤滑油はリリーフバルブ4、オイルフィ
ルタ5を経てメインギャラリ6とヘッドギャラリ7の2
系等に分流する。
【0038】オイルポンプ1から吐出される潤滑油は、
ヘッドギャラリ7を通って図示しないカムシャフト等の
摺動部に供給される。
【0039】オイルポンプ1から吐出される潤滑油は、
メインギャラリ6を通って図示しないクランクシャフト
を支承する各主軸受8に供給される。
【0040】図3に示すように、クランクシャフト30
は、機関本体の主軸受8に支承されるジャーナル部33
と、コンロッド31のコンロッド軸受32に支承される
クランクピン35を有する。
【0041】この4気筒機関はクランクシャフト30の
各ジャーナル部33を支承する5つの主軸受8を備え
る。各主軸受8にはジャーナル部33に摺接する軸受メ
タル23が介装される。
【0042】コンロッド31のコンロッド軸受32には
クランクピン35に摺接する上下の軸受メタル22,2
1が介装される。
【0043】クランクシャフト30の内部には各ジャー
ナル部12とクランクピン5を結ぶクランク内部通路2
9が形成される。オイルポンプ1から吐出される潤滑油
は、機関本体のメインギャラリ6から分岐する供給路3
6を通って各主軸受8に供給され、軸受メタル23のグ
ルーブ37から各クランク内部通路29を通って各クラ
ンクピン35に供給される。
【0044】図4に示すように、コンロッド軸受32に
介装される軸受メタル22,21は、半割り形をした円
筒状の裏金56を主体として形成される。裏金56は鋼
材により形成される。クランクピン35は鋼材または鋳
鉄材により形成される。
【0045】図5において、51は軸受メタル22,2
1の裏金56の軸受面側に形成されるメタル層である。
このメタル層51は銅(Cu)と鉛(Pb)を主成分と
するケルメット合金により、300μmの厚さをもった
層状に形成される。なお、このメタル層51の熱伝導率
は130W/mK程度に設定される。
【0046】軸受メタル22,21のクランクピン35
に摺接する軸受表面には、メタル層51より硬度の低い
オーバレイ層52が形成される。軸受メタル22,21
のクランクピン35に摺接する軸受表面に、メタル層5
1に比べて柔らかい材質でオーバレイ層52が形成され
ることにより、クランクピン35に対する初期なじみ
性、異物の埋収性が確保される。
【0047】この実施例では、メタル層51とオーバレ
イ層52の間にニッケル(Ni)を主成分とする材質に
よって中間層53が、1μm程度の厚さをもって層状に
形成される。なお、この中間層53の熱伝導率は70W
/mK程度である。
【0048】オーバレイ層52はクランクピン35より
熱伝導率の高い材質として、アルミニウム(Al)と錫
(Zn)を主成分とする合金により形成される。鉄(F
e)を主成分とするクランクピン35の熱伝導率が50
W/mK程度であるのに対して、オーバレイ層52の熱
伝導率は120W/mK程度に設定される。
【0049】このオーバレイ層52は、上下の軸受メタ
ル22,21の全周に渡って、20ミクロン程度の厚さ
で層状に形成される。
【0050】なお、本実施例では、主軸受8に介装され
る軸受メタル23の軸受表面にもアルミニウム−錫系の
オーバーレイ層が施される。
【0051】一方、クランクピン35の摺動面は、図6
に示すような加工精度と真円度を有するマイクロフィニ
ッシュ仕上げ加工が施され、通常のラッピン仕上げ加工
に対してその表面粗度を小さくするとともに、その真円
度を高めている。なお、図6には、一般的に施されるラ
ッピング仕上げ加工の加工精度と真円度を同時に示して
ある。
【0052】図1に示すように、コンロッド31はピス
トン側に連結されるロッド41と、ロッド41との間に
クランクピン35を支承するキャップ42に分割して形
成される。キャップ42はロッド41の大端部に対して
半割り状に分割される。
【0053】ロッド41とキャップ42は2本のボルト
43とナット44を介して締結される。ロッド41とキ
ャップ42の間に上下の軸受メタル22,21が介装さ
れる。
【0054】高回転時にクランクピン35とコンロッド
軸受32の間に形成される軸受隙間55を拡大するため
に、クランクピン35が鋼材で形成される一方、ロッド
41はクランクピン35より熱膨張率の高い材質として
アルミ合金で形成される。
【0055】図1において、Y−Y線はクランクピン3
5の中心軸と図示しないピストンピンの中心軸を結ぶロ
ッド中心線である。ロッド41とキャップ42が互いに
接合する面は、Y−Y線に直交し、クランクピン35の
中心線と交差する平面に沿って形成される。
【0056】各ボルト43は、ロッド中心線Y−Yと平
行に配置され、ロッド41とキャップ42が互いに接合
する面に対して直交する方向からそれぞれの軸力が作用
するようになっている。
【0057】キャップ42とボルト43はそれぞれロッ
ド41より熱膨張率の小さい材質として、鉄系金属で形
成される。
【0058】以上のように構成され、次に作用について
説明する。
【0059】図12は、オーバレイ層が熱伝導率の低い
ケルメット合金で形成された従来の軸受メタルに支承さ
れるクランクピン35に付与される摩擦損失を、軸表面
温度に応じて測定した結果を示す。このデータから、摩
擦損失は軸表面の温度が上昇するのに伴って、100°
C程度に達するまでは減少するが、100°C程度を越
えてからは逆に増大する特性があることがわかる。
【0060】この摩擦損失が潤滑油温度に応じて変化す
る現象は、一般に、潤滑油温度が上昇して100°C程
度に達するまでは、潤滑油の粘度が低下して摩擦損失が
減少する一方、潤滑油温度が100°C程度を越えてか
らは、潤滑油の粘度がさらに低下して油膜の厚さが減少
し、潤滑状態が流体潤滑から固体表面どうしの接触と液
膜せん断(流体潤滑)が共存する混合潤滑に移行するも
のと考えられていた(参考資料…機械学会論文 講演前
刷り 71期1993年 332〜334貢)。
【0061】しかし、本出願人は、潤滑油の温度が10
0°C程度を越えて上昇するような高温高荷重潤滑条件
になると、最も薄い油膜厚さは1〜2ミクロン程度とな
り、圧力の上昇により潤滑油の粘度が高くなり、油膜の
薄い部分は液膜のせん断率が高くなって、摩擦損失が急
増するものと考えている。
【0062】図13〜図15は、静荷重が懸かる条件に
おいて軸受フリクション特性を計算した結果を示してい
る。油膜中の粘度μは、次のBrausの式を用いて計
算した。ただし、pを圧力、μ0を大気圧粘度、αを圧
力・粘度係数とする。
【0063】μ=μ0e×p(αP) …(1) 軸受のレイノルズ方程式は静荷重下の有限幅理論を用
い、粘度分布を考慮して上記(1)式と連立し、数値計
算により解いて、油膜圧力、フリクションを計算した。
低温の潤滑油を用いた潤滑条件と、これより粘度(大気
圧条件)が1/10に低下した潤滑油を用いた潤滑条件
を比較している。
【0064】図13〜図15によれば、荷重の大きい条
件では油温が上昇するのに伴って摩擦損失が大きくな
る。この理由は、高温の場合、最小油膜厚さが小さくな
るために、油膜圧力は大となり、圧力による粘度上昇を
考慮すると、最小油膜部の潤滑油粘度は高温条件の方が
逆に高くなり、油膜厚さが薄いためにせん断率が高いこ
ともあって、軸受全体としては摩擦損失が増大する傾向
がある。
【0065】そこで、こうした高温高荷重潤滑条件にお
いて摩擦損失を低減するために、瞬時的な荷重下で昇
温、昇圧して粘度が高くなる油膜の薄い部分(以下、最
小油膜部54と呼ぶ)から熱を速やかに逃がし、潤滑油
の昇温を抑制する必要がある。
【0066】また、図4に示すように、クランクピン3
5は最小油膜部54に対して常にその内側領域35aが
対峙する。一方、上下軸受メタル22,21が最小油膜
部54に対峙する部位はクランクピン35の回転に伴っ
て、図16に示すように、刻々略全周に渡って移動す
る。
【0067】最小油膜部54は軸受側からみれば、瞬時
的に発生し、位置が刻々と変化する現象であり、軸と軸
受の相対回転に起因する油膜せん断により、摩擦トルク
が発生するが、最小油膜部54で発生した熱はクランク
ピン35より熱伝導率の高いオーバレイ層52に速やか
に流入し、最小油膜部54に対峙する部位はクランクピ
ン35の回転に伴って図4に矢印で示すように周方向に
移動して最小油膜部54から外れることにより、上下軸
受メタル22,21に吸収された熱が再び軸受隙間55
に介在する潤滑油に流入する。この結果、オーバレイ層
に熱伝導率の低い鉛合金で形成された軸受メタルに比べ
て、(最小)潤滑油膜からの放熱性が高められる。
【0068】オーバレイ層52の厚さは20μm程度で
あるのに対して、最小油膜部54の厚さが数μm程度で
あり、両者の熱容量に大差がある。さらに、最小油膜部
54は移動する瞬時現象であり、オーバレイ層52に流
入する熱量が増大しても、温度が急上昇して、熱的に飽
和することがなく、潤滑油の温度に与える影響は大き
い。
【0069】前記図22に示す従来のオーバレイ層81
を鉛合金で形成した軸受メタルにあっては、オーバレイ
層81の熱伝導率が30W/mK程度であり、鉄を主成
分とするクランクピンの熱伝導率が50W/mKである
のに比べて大幅に低いため、最小油膜部54で発生する
摩擦熱の大半はクランクピン35に流入し、クランクピ
ン35の内側領域35aの局所的な温度上昇を招いて、
油膜の温度を上昇させて、最小油膜部54で発生する摩
擦熱が増大するという悪循環に陥る。
【0070】図7は、鉛合金製オーバレイ層を有する従
来の軸受メタルと、アルミニウム合金製オーバレイ層を
有する本発明の軸受メタルについて、軸表面の温度に応
じて摩擦損失を測定した結果を示している。このデータ
から、軸表面の温度が高まるのに伴って、鉛合金製オー
バレイ層の摩擦損失が増大するのに対して、アルミニウ
ム合金製オーバレイ層の摩擦損失が低下することがわか
る。この理由としては、アルミニウム合金製オーバレイ
層の熱伝導率が120W/mKと高いため、高温領域で
最小油膜部において発生する摩擦熱の大半が軸受メタル
側に流入したためであると考えられる。
【0071】図8,9は、実際の機関においてモータリ
ングによりクランクシャフト30を回転させてクランク
ピン35の温度を測定した結果を示している。図8に示
すデータからラッピング仕上げ加工が施されたクランク
ピンよりも、図9に示すようにマイクロフィニッシュ仕
上げ加工が施されたクランクピンの方が軸受メタルの材
質変更による温度降下が大きいことがわかる。この理由
は、マイクロフィニッシュ仕上げ加工が施されたクラン
クピンの平滑な軸受表面に支持される油膜は高温高圧下
で薄くなっても流体潤滑状態が保たれ、局所的に高粘度
化した潤滑油の影響を受けやすくなるためである。
【0072】図10は、鉛合金製オーバレイ層を有する
軸受メタルと、アルミニウム合金製オーバレイ層を有す
る軸受メタルのそれぞれについて、ラッピング仕上げ加
工が施された軸と、マイクロフィニッシュ仕上げ加工が
施された軸の表面温度に応じて摩擦損失を測定した結果
を示している。このデータから、ラッピング仕上げ加工
が施されたクランクピンよりも、マイクロフィニッシュ
仕上げ加工が施されたクランクピンの方が軸受メタルの
材質変更による摩擦損失の降下が大きいことがわかる。
【0073】これらのことから、流体潤滑性能を拡大で
きるマイクロフィニッシュ仕上げ加工が施されたクラン
クピン35に、クランクピン35より熱伝導率の高いア
ルミニウム合金製オーバレイ層52を形成した上下軸受
メタル22,21で支承する構造が、ケルメットメタル
本来の特徴である高耐荷重性、耐熱性等のメリットを発
揮することがわかる。
【0074】図11は、鉛合金製オーバレイ層を有する
軸受メタルと、アルミニウム合金製オーバレイ層を有す
る軸受メタルと、クランクピン35と同じ材質である鉄
を主成分とするオーバレイ層を有する軸受メタルについ
て、軸表面の温度に応じて摩擦損失を測定した結果を示
している。このデータから、軸表面の温度が高まるのに
伴って、鉛合金製オーバレイ層の摩擦損失が増大し、ア
ルミニウム合金製オーバレイ層の摩擦損失が低下するの
に対して、鉄製オーバレイ層の場合はその中間となり、
摩擦損失がほとんど変化しないことがわかる。
【0075】このことから、上下軸受メタル22,21
のオーバレイ層52をクランクピン35に比べて熱伝導
率の高い材質で形成することにより、高温となりやすい
最小油膜部54で発生した熱は一旦オーバレイ層52に
流入することが促され、クランクピン35の温度上昇が
抑えられ、最小油膜部54で発生する摩擦熱を減少させ
て、さらにクランクピン35の温度を下げる循環になる
と考えられる。
【0076】したがって、オーバレイ層52の材質は、
アルミニウム−錫系のアルミニウム合金に限らず、クラ
ンクピン35の材質とする鉄に比べて熱伝導率の高い材
質として、アルミニウム−錫−鉛系等のアルミニウム合
金としたり、あるいはニッケル系、銅系の金属とするこ
とも考えられる。また、製作コストアップを考慮しなけ
れば、アルミニウム合金より熱伝導率の高い銀(Ag)
とすることも考えられる。
【0077】本発明の構成とは異なるが、上下軸受メタ
ルのメタル層51をアルミニウム−錫系等のアルミニウ
ム合金で形成して、オーバレイ層を持たない構造でも、
高温となりやすい最小油膜部54で発生した熱が軸受メ
タルのメタル層51に流入することが促される。
【0078】しかしながら、上下軸受メタルのメタル層
51をアルミニウム合金で形成する構造は、耐面圧性能
が、ケルメット合金からなるメタル層51を備える上下
軸受メタル22,21に対して80%以下に低下し、本
発明の効果が発揮される高速域に対応して耐久性を十分
に確保することができない。
【0079】また、従来の運転領域が低中速域に限定さ
れる大型ディーゼル機関にあっては、耐面圧性能を確保
するために、上下軸受メタルのうち、ピストンが受ける
燃焼圧力が作用する上軸受メタルのみにケルメット合金
製メタル層とアルミニウム合金製オーバレイ層を施した
構造が適用されている。
【0080】しかしながら、この機関が高回転域で運転
された場合、高温となりやすい最小油膜部で発生した熱
が、下軸受メタルのオーバレイ層が摺接する回転範囲で
クランクピンの方に流入してしまい、クランクピンの温
度上昇が十分に抑えられず、摩擦損失が大きくなる。
【0081】そして本発明では、上記した熱伝導率の高
いオーバレイ層52による油膜の温度上昇抑制効果を、
高回転時に有効に発揮させるため、コンロッド31のロ
ッド41をクランクピン35より熱膨張率の高い材質で
形成している。
【0082】ロッド41をクランクピン35より熱膨張
率の高いアルミ合金で形成する構造により、高回転時の
温度上昇に伴ってロッド41とクランクピン35の熱膨
張差によって軸受隙間55は拡大する。高回転時に軸受
隙間55が拡大すると、クランク内部通路29から軸受
隙間55に供給される潤滑油量が低中回転時に比べて増
やされることにより、オーバレイ層52から潤滑油への
放熱が促進され、この高回転時に大量に発生する摩擦熱
が潤滑油によって十分にもち去られ、クランクピン35
やコンロッド軸受32が過熱されることを抑えられ、焼
き付き等の発生を防止する。
【0083】キャップ42とボルト43がそれぞれロッ
ド41より熱膨張率の小さい材質で形成されるととも
に、各ボルト43が、ロッド中心線Y−Yと平行に配置
される構造のため、ロッド41の熱膨張はロッド中心線
Y−Y方向がこれに直交するX−X方向に比べて小さく
抑えられる。これにより、コンロッド31の大端部の温
度上昇に伴って、軸受隙間55はX−X方向の直径隙間
が次第に大きくなるが、ロッド中心線Y−Y方向におけ
る直径隙間の拡大幅は比較的小さい。
【0084】クランクピン35をマイクロフィニッシュ
仕上げ加工を施して、その真円度を高めることにより、
上記コンロッド31の熱膨張による軸受隙間55のロッ
ド中心線Y−Y方向の直径隙間に対するX−X方向の直
径隙間の拡大幅が大きくなる。
【0085】こうしたコンロッド31の熱膨張により、
コンロッド軸受32のクランクピン35に対する摺動面
の形状は、真円からX−X方向に長径をもつ長円に変形
し、軸受隙間55はロッド中心線Y−Yから離れるにし
たがって拡大する。
【0086】このように軸受隙間55が拡大することに
より、軸受隙間55からクランク室に流出する潤滑油量
が増大し、クランク内部通路29から軸受隙間55に流
出する潤滑油量が増大する。
【0087】また、コンロッド31の大端部の温度上昇
に伴うロッド中心線Y−Y方向における直径隙間の拡大
幅が比較的小さいことにより、高回転時に軸受メタル2
2,21に対するクランクピン35の打音が発生するこ
とを防止できる。
【0088】さらに、コンロッド軸受32のクランクピ
ン35に対する摺動面積が、燃焼圧力が働くロッド中心
線Y−Yの近傍部分で削減されることがなく、面圧が過
大になることを防止できる。
【0089】軸受隙間55を循環する潤滑油量が増大す
ることは、潤滑油の粘度が一定であると考えると、流体
潤滑を悪化させる要因になるが、軸受隙間55を循環す
る潤滑油量が増大することは、潤滑油による冷却効果が
高まり、クランクピン35の温度上昇が抑えられる。摩
擦発熱により発生した熱量の70〜80%が潤滑油によ
って持ち去られるという推定も知られている。
【0090】温度上昇に伴って拡大する軸受隙間55
と、熱伝導率の高いオーバレイ層52を組み合わせる構
造により、前記した個々の作用に加えて、次に説明する
相乗効果が得られる。
【0091】すなわち、図19に示すように、オーバレ
イ層52の高熱伝導率化に伴いクランクピン35から潤
滑油を経てコンロッド軸受32側へ伝わる熱流速が高め
られる作用と、温度上昇に伴って拡大する軸受隙間55
による潤滑油量が増加する作用が相俟って、負荷が軽減
している間にオーバレイ層52からその表面を流れる潤
滑油に伝わる熱流速が高まり、図18に示すように、ク
ランクピン35の冷却効果が大きくなる。
【0092】相乗効果のもう一つは、コンロッド31の
軽量化がはかられてクランクピン35の冷却効果が大き
くなることである。すなわち、コンロッド軸受32の摩
擦発熱が減少することにより、コンロッド31の大端部
の温度が降下し、高温強度が高まる分、コンロッド31
の断面積を削減して軽量化がはかれる。コンロッド31
の軽量化がはかれることにより、往復運動部分の慣性荷
重が減少し、軸受荷重が減少し、さらにコンロッド軸受
32の摩擦発熱が減少し、図18に示すように、クラン
クピン35の冷却効果が大きくなる。
【0093】低回転時に、コンロッド軸受32の摩擦発
熱が減少して、コンロッド軸受32の温度が下がると、
ロッド41とクランクピン35の熱膨張差によって軸受
隙間55が縮小し、クランク内部通路29から軸受隙間
55に供給される潤滑油量が高回転時に比べて減らされ
ることにより、オーバレイ層52から潤滑油への放熱が
抑えられ、軸受メタル22,21とクランクピン35の
間に介在する潤滑油の温度が適正に保たれ、潤滑油の粘
性を低くしてフリクションの低減がはかられる。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の内燃
機関の潤滑システムは、ピストンの往復動をクランクシ
ャフトの回転運動に変換するコンロッドを備え、コンロ
ッドにクランクシャフトのクランクピンを回転可能に支
承するコンロッド軸受を備え、クランクシャフト内部
に、オイルポンプから吐出する潤滑油をコンロッド軸受
とクランクピンの間に供給するクランク内部通路を形成
し、コンロッド軸受の軸受表面にクランクピンより熱伝
導率の高いオーバレイ層を全周に渡って形成し、コンロ
ッドをクランクピンより熱膨張率の高い材質で形成した
ため、低中回転数域で軸受メタルのオーバレイ層から潤
滑油への放熱が抑えられ、潤滑油の粘性を低くしてフリ
クションの低減がはかられる一方、高回転数域では、ク
ランク内部通路からコンロッド軸受の摺動面に供給され
る潤滑油量が増やされることにより、この高回転数域で
大量に発生する摩擦熱が熱伝導率の高いオーバレイ層を
介して潤滑油によって速やかにもち去られ、最小油膜部
の油膜厚さを維持して、フリクションの低減がはかれる
とともに、耐久性の向上がはかれる。
【0095】請求項2記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1記載の発明において、コンロッドをピスト
ン側に連結されるロッドと、ロッドとの間にクランクピ
ンを支承するキャップとに分割し、ロッドとキャップと
を締結する複数のボルトを備え、ロッドをキャップおよ
びボルトより熱膨張率の高い材質で形成したため、高回
転時に軸受隙間はロッド中心線方向の熱膨張が、ロッド
中心線に直交する方向に比べて小さく抑えられ、クラン
クピンの打音が発生することを防止しつつ、クランク内
部通路から軸受隙間に流出する潤滑油量を増大させるこ
とができる。
【0096】請求項3記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項2記載の発明において、ロッドをアルミを主
成分とする金属により形成し、キャップおよびボルトを
鉄を主成分とする金属により形成したため、コンロッド
の軽量化がはかられるとともに、高回転時に軸受隙間は
ロッド中心線方向の熱膨張が、ロッド中心線に直交する
方向に比べて小さく抑えられ、クランクピンの打音が発
生することを防止しつつ、クランク内部通路から軸受隙
間に流出する潤滑油量を増大させることができる。
【0097】請求項4記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1から3のいずれか1つに記載の発明におい
て、コンロッド軸受の軸受面側に裏金より硬度の低いメ
タル層を銅と鉛を主成分とする合金により形成し、コン
ロッド軸受の軸受表面にクランクピンより熱伝導率の高
いオーバレイ層をアルミニウムと錫を主成分とする合金
により全周に渡って形成したため、潤滑油膜からオーバ
レイ層への熱伝導量を確保するとともに、本発明の効果
が発揮される高速時に要求される耐面圧性能を確保する
とともに、耐荷重性を確保することができる。
【0098】請求項5記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1から4のいずれか1つに記載の発明におい
て、クランクピンにマイクロフィニッシュ仕上げ加工を
施すことにより、機関の高速域まで流体潤滑状態が維持
され、最小油膜部における液膜のせん断率が著しく高く
なって摩擦損失が急増することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すコンロッドの正面図。
【図2】同じく潤滑油経路図。
【図3】同じくクランクシャフト等の断面図。
【図4】同じくコンロッド軸受構造の断面図。
【図5】同じく軸受メタルの断面図。
【図6】軸の表面粗度を示す表。
【図7】オーバレイ層の材質に応じて高温域の摩擦損失
低減効果を示す特性図。
【図8】ラッピング軸においてオーバレイ層の材質に応
じてクランクピン温度が降下する様子を示す特性図。
【図9】マイロフィニッシュ軸においてオーバレイ層の
材質に応じてクランクピン温度が降下する様子を示す特
性図。
【図10】マイロフィニッシュ軸との組み合わせにより
オーバレイ層の材質に応じて高温域の摩擦損失低減効果
を示す特性図。
【図11】オーバレイ層の材質に応じて高温域の摩擦損
失低減効果を示す特性図。
【図12】ケルメット軸受メタルのフリクション特性を
示す図。
【図13】最大油膜圧力、最小油膜厚さの計算結果を示
す特性図。
【図14】最大油膜圧力下における粘度特性を示す図。
【図15】フリクションの計算結果を示す特性図。
【図16】クランクピンに懸かる荷重の作用点が移動す
る様子を示す図。
【図17】コンロッド大端部温度と軸受隙間の関係を示
す特性図。
【図18】オーバレイ層、コンロッドの材質の変更等と
クランクピン温度の関係を示す特性図。
【図19】オーバレイ層、コンロッドの材質の変更等と
各部温度、軸受油量の関係を示す特性図。
【図20】クランクピン摺動面の温度測定図。
【図21】クランクピン摺動面の温度特性図。
【図22】従来の軸受メタルの断面図。
【符号の説明】
1 オイルポンプ 2 オイルパン 4 リリーフバルブ 6 メインギャラリ 8 主軸受 30 クランクシャフト 31 コンロッド 32 コンロッド軸受 33 ジャーナル部 35 クランクピン 41 ロッド 42 キャップ 43 ボルト 51 メタル層 52 オーバレイ層 53 中間層 54 最小油膜部 55 軸受隙間

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピストンの往復動をクランクシャフトの回
    転運動に変換するコンロッドを備え、 コンロッドにクランクシャフトのクランクピンを回転可
    能に支承するコンロッド軸受を備え、 クランクシャフト内部に、オイルポンプから吐出する潤
    滑油をコンロッド軸受とクランクピンの間に供給するク
    ランク内部通路を形成し、 コンロッド軸受の軸受表面にクランクピンより熱伝導率
    の高いオーバレイ層を全周に渡って形成し、 コンロッドをクランクピンより熱膨張率の高い材質で形
    成したことを特徴とする内燃機関の潤滑システム。
  2. 【請求項2】コンロッドをピストン側に連結されるロッ
    ドと、ロッドとの間にクランクピンを支承するキャップ
    とに分割し、 ロッドとキャップとを締結する複数のボルトを備え、 ロッドをキャップおよびボルトより熱膨張率の高い材質
    で形成したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の
    潤滑システム。
  3. 【請求項3】ロッドをアルミを主成分とする金属により
    形成し、 キャップおよびボルトを鉄を主成分とする金属により形
    成したことを特徴とする請求項2記載の内燃機関の潤滑
    システム。
  4. 【請求項4】コンロッド軸受の軸受面側に裏金より硬度
    の低いメタル層を銅と鉛を主成分とする合金により形成
    し、 コンロッド軸受の軸受表面にクランクピンより熱伝導率
    の高いオーバレイ層をアルミニウムと錫を主成分とする
    合金により全周に渡って形成したことを特徴とする請求
    項1から3のいずれか1つに記載の内燃機関のコンロッ
    ド軸受構造。
  5. 【請求項5】クランクピンにマイクロフィニッシュ仕上
    げ加工を施したことを特徴とする請求項1から4のいず
    れか1つに記載の内燃機関のコンロッド軸受構造。
JP32333294A 1994-12-26 1994-12-26 内燃機関の潤滑システム Pending JPH08177845A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104879472A (zh) * 2015-06-03 2015-09-02 上海申鹿均质机有限公司 均质机传动箱结构

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