JPH08177542A - 車両用制御装置 - Google Patents

車両用制御装置

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JPH08177542A
JPH08177542A JP6337776A JP33777694A JPH08177542A JP H08177542 A JPH08177542 A JP H08177542A JP 6337776 A JP6337776 A JP 6337776A JP 33777694 A JP33777694 A JP 33777694A JP H08177542 A JPH08177542 A JP H08177542A
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engine
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combustion
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淳 田端
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動変速機などの動力伝達切換装置のフェイ
ル時の車両の走行の安定性を確保する。 【構成】 気筒の変更の可能なエンジン100に、この
エンジン100から出力された動力を車輪に伝達する動
力伝達切換装置101が連結された車両の制御装置であ
って、前記動力伝達切換装置101のフェイルを判断す
るフェイル判断手段102と、前記動力伝達切換装置1
01のフェイルが判断された場合に前記エンジン100
における燃焼休止気筒の変更を禁止する禁止手段103
とを具備している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、可変気筒エンジンや
バンク切換え可能なエンジンなどの燃焼を選択的に休止
でき、かつその休止気筒を変更できるエンジンと、これ
に連結された自動変速機や四輪駆動トランスファなどの
動力伝達切換装置とを制御するための装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】車両の燃費を向上させるための様々な試
みがなされていることは周知のとおりであり、その一例
としてバンク切換えエンジンや可変気筒エンジンが知ら
れている。前者のバンク切換えエンジンは、バンク型エ
ンジンであって、各バンクの気筒(シリンダ)を一群と
して選択的にその燃焼を休止するよう構成したエンジン
である。この種のエンジンでは、それぞれのバンクに対
応させて吸気系統と排気系統とが設けられていることに
より、各バンクを独立して制御でき、したがって片バン
ク運転を行うことにより、摩擦などの機械的損失を低減
し、燃費の向上を図ることができる。また片バンク運転
では、出力軸の1回転あたりの燃焼回数が両バンク運転
時の半分となるので、振動による乗り心地の悪化を防ぐ
ために所定のアクセル開度以上の状態で片バンク運転が
実行され、また大きいトルクが要求されている場合、す
なわちアクセル開度が大きい場合には両バンク運転が行
われる。さらに各バンクに対応させて排気浄化触媒が設
けられているので、各排気浄化触媒を活性温度に維持す
るために、片バンク運転時には燃焼を休止するバンクを
交互に切換える。
【0003】また一方、可変気筒エンジンは、エンジン
の効率は相対的な負荷がある程度高い方が良好であるこ
とに着目し、軽負荷時には燃焼気筒数を少なくした部分
気筒運転を行って相対的な負荷を増大させ、これにより
燃費を向上させるものである。この種の可変気筒エンジ
ンにおいても、円滑なエンジンの駆動状態を維持し、乗
り心地の悪化を防ぐために所定以上のアクセル開度にお
いて部分気筒運転を行っており、その場合、出力トルク
は当然、小さくなる。
【0004】ところで車両の走行性能や乗り心地などの
特性は、エンジンの特性のみによって決まる訳ではな
く、変速比や自動変速機における変速タイミングあるい
は四輪駆動車での前後輪へのトルク配分などによって影
響を受け、またエンジンの運転状態の変更に起因するト
ルクの変化は、自動変速機や四輪駆動装置などを介して
車体に伝達され、乗り心地に影響する。より具体的に
は、車両の駆動トルクはエンジンの出力トルクの変化の
みならず、変速機で設定される変速比や前後輪へのトル
クの分配比などによっても変化する。したがって動力性
能や乗り心地などの特性を良好に維持するためには、エ
ンジンと併せてこれら自動変速機や四輪駆動装置を制御
する必要がある。
【0005】例えば、前述したバンク切換え可能なエン
ジンでは、片バンク運転と両バンク運転との変更の場合
および片バンク運転状態でのバンクの切換えの場合に
は、切換え前後に亘る全体としての出力特性は大きく変
化しないものの、切換え過渡時にエンジンの出力トルク
が不安定になることがある。そのため例えば本出願人が
特願平6−248878号で提案した発明では、バンク
の切換えと変速とが同時に判断された場合に、各バンク
のスロットル開度をバンクの切換えのための協調した制
御によらずにアクセル開度に応じて制御することにより
トルクの不足を解消し、あるいはバンク切換えに先行し
て変速を実行することにより変速の遅れ感(もたつき
感)を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述したようにエンジ
ンの動作状態と変速機や四輪駆動装置などの動力伝達切
換装置の動作状態とは車両の特性や挙動に大きく影響す
る。したがって両者が的確に関連して制御されない場合
には、走行安定性や乗り心地などが悪化する場合がある
が、従来では、このような事態に対処する技術が確立さ
れていず、新たな制御技術の開発が望まれているところ
である。
【0007】この発明は上記の事情を背景としてなされ
たものであり、自動変速機や四輪駆動装置などの動力伝
達切換装置のフェイル状態での燃焼休止気筒の変更によ
る乗り心地や走行安定性などに対する影響を未然に防止
することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明は、図1に示すように、燃焼休止の解除
を含む燃焼休止気筒の変更の可能なエンジン100に、
このエンジン100から出力された動力を車輪に伝達す
る動力伝達切換装置101が連結された車両の制御装置
であって、前記動力伝達切換装置101のフェイルを判
断するフェイル判断手段102と、前記動力伝達切換装
置101のフェイルが判断された場合に前記エンジン1
00における燃焼休止気筒の変更を禁止する禁止手段1
03とを具備していることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】この発明で対象とするエンジン100は、出力
トルクの変化を目的とせずに摩擦などの機械的損失を低
減するために燃焼休止気筒を変えるバンク切換え可能な
エンジンおよび出力トルクを変更するために燃焼気筒数
を変更する可変気筒エンジンを含み、またこれに連結さ
れている動力伝達切換装置101は、自動変速機や四輪
駆動トランスファを含む。この動力伝達切換装置101
におけるフェイルがフェイル判断手段102によって判
断されると、禁止手段103はエンジン100での燃焼
休止気筒の変更を禁止する。
【0010】したがってこの発明の制御装置によれば、
エンジン100での燃焼休止気筒を増減し、あるいは燃
焼を休止させる気筒を変更する場合には、自動変速機や
四輪駆動トランスファは正常に機能していることになる
ので、燃焼休止気筒の変更が乗り心地や走行安定性など
に影響を及ぼすことがない。
【0011】
【実施例】つぎにこの発明を実施例に基づいて詳細に説
明する。図2はこの発明の一実施例の基本的な構成を示
すブロック図であって、各気筒での燃焼状態をバンクご
とに変更することのできるエンジンEg に、動力伝達切
換装置として、走行状態に基づいて摩擦係合装置の係合
・解放状態を変更することにより変速を実行する自動変
速機At および四輪駆動トランスファTf が連結されて
いる。
【0012】その自動変速機At の一例を図3にスケル
トン図として示してあり、これを簡単に説明すると、こ
の自動変速機At は、変速機構として、ロックアップク
ラッチ1を有するトルクコンバータ2と、一組の遊星歯
車機構を有する副変速部3と、二組の遊星歯車機構によ
って複数の前進段および後進段を設定する主変速部4と
を備えている。副変速部3は、ハイ・ローの二段の切換
えを行うものであって、その遊星歯車機構のキャリヤ5
がトルクコンバータ2のタービンランナ6に連結されて
おり、またこのキャリヤ5とサンギヤ7との間にはクラ
ッチC0 および一方向クラッチFo が相互に並列の関係
となるよう設けられ、さらにサンギヤ7とハウジングH
u との間にブレーキB0 が設けられている。
【0013】主変速部4の各遊星歯車機構におけるサン
ギヤ8,9は、共通のサンギヤ軸10に設けられてお
り、この主変速部4の図における左側(フロント側)の
遊星歯車機構におけるリングギヤ11と副変速部3にお
けるリングギヤ12との間に第1クラッチC1 が設けら
れ、また前記サンギヤ軸10と副変速部3のリングギヤ
12との間に第2クラッチC2 が設けられている。主変
速部4における図の左側の遊星歯車機構のキャリヤ13
と右側(リヤ側)の遊星歯車機構のリングギヤ14とが
一体的に連結されるとともに、これらのキャリヤ13と
リングギヤ14とに出力軸15が連結されている。
【0014】そしてバンドブレーキである第1ブレーキ
B1 がサンギヤ軸10の回転を止めるように設けられ、
より具体的には第2クラッチC2 のクラッチドラムの外
周側に設けられており、またサンギヤ軸10とハウジン
グHu との間に、第2ブレーキB2 およびこれに直列に
配列した第1一方向クラッチF1 が配置されており、ま
たリヤ側の遊星歯車機構におけるキャリヤ16とハウジ
ングHu との間に第2一方向クラッチF2 と第3ブレー
キB3 とが並列に配置されている。
【0015】そしてこの自動変速機At においては、各
摩擦係合装置を図4に示すように係合・解放することに
より前進5段・後進1段の変速段が設定される。なお、
図4において、○印は係合、×印は解放をそれぞれ示
す。
【0016】自動変速機At における各クラッチC0 ,
C1 ,C2 および各ブレーキB0 ,B1 ,B2 ,B3 に
油圧を給排する油圧制御装置17は、第1速ないし第5
速および後進段を主に設定するための第1ないし第3の
ソレノイドバルブS1 ,S2,S3 と、ロックアップク
ラッチ1の制御およびブレーキB0 の供給圧の調圧を行
うリニアソレノイドバルブSLUと、ライン油圧PL をス
ロットル開度に応じて制御するためのリニアソレノイド
バルブSLTと、アキュームレータ背圧を制御するための
リニアソレノイドバルブSLNとを備えている。
【0017】これらのソレノイドバルブを制御するため
の電子制御装置(T−ECU)18が設けられており、
これは中央演算処理装置(CPU)および記憶素子(R
OM,RAM)ならびに入出力インターフェースを主体
とするものであって、自動変速機At への入力回転数セ
ンサーからの信号、車速信号、ニュートラルスタートス
イッチからの信号、油温センサーからの信号、パターン
セレクトスイッチからの信号、オーバードライブスイッ
チからの信号、ストップランプスイッチからの信号、ト
ランスファスイッチからの信号、およびその他の信号が
入力されている。またこの電子制御装置18にはエンジ
ン用電子制御装置(E−ECU)19が相互にデータ通
信可能に接続されている。そしてこのエンジン用電子制
御装置19にはスロットルポジションセンサーからの信
号や水温センサーからの信号、排気浄化触媒の温度を示
す信号およびその他の信号が入力されている。
【0018】上記の自動変速機用の電子制御装置18
は、入力される各信号および予め記憶させられているマ
ップに基づいて、設定するべき変速段やロックアップク
ラッチ1の係合・解放を制御し、またエンジン用電子制
御装置19に変速の際のトルクダウン制御を実行するよ
う信号を出力するようになっている。
【0019】上記の自動変速機At を連結してあるエン
ジンEg は、所定数の気筒を一群として燃焼休止制御あ
るいは点火時期や燃料噴射量による燃焼状態の制御を行
うよう構成されたエンジンであり、その一例は、左右の
バンクのシリンダごとに上記の制御を行うV型エンジン
である。図5はこのエンジンEg を模式的に示す図であ
り、左バンク20と右バンク21とのそれぞれのシリン
ダ(図示せず)を一群として吸気管路22,23が設け
られており、各吸気管路22,23には電気的に開度が
制御される電子スロットルバルブ24,25が設けられ
ている。また左右のバンク20,21の各シリンダの排
気ポート(図示せず)は、エキゾーストマニホールド2
6,27を介してエキゾーストパイプ28,29が接続
されている。そしてそれらの各エキゾーストパイプ2
8,29には、排気浄化触媒30,31が介装されてい
る。
【0020】さらに左右のバンク20,21におけるシ
リンダでの点火時期や燃料噴射量あるいはスロットル開
度は、互いに独立して制御できるように構成されてお
り、そのために、前記エンジン用電子制御装置19は、
左バンクコントロールエンジンコンピュータ32と右バ
ンクコントロールエンジンコンピュータ33とを備えて
いる。これらの各エンジンコンピュータ32,33は、
自動変速機用電子制御装置18にデータ通信可能に接続
されるとともに、対応する左右の各排気浄化触媒30,
31の温度がデータとして入力されている。またこれら
のエンジンコンピュータ32,33は、対応する左右の
各電子スロットルバルブ24,25および対応する左右
のバンク20,21のシリンダでの点火時期あるいは燃
料噴射量を制御するようになっている。
【0021】上記のエンジンEg および自動変速機At
ならびに四輪駆動トランスファTfを搭載した車両で
は、走行状態に応じてエンジンEg の運転状態を、全て
の気筒で燃焼を行う両バンク運転と一方のバンクの気筒
で燃焼を行う片バンク運転とに切り換えるが、そのバン
ク切換えの際にはエンジントルクが滑らかに連続するよ
うに、すなわちエンジンEg の出力特性を一定に維持す
るようにバンクの切換え制御が実行される。換言すれ
ば、片バンク運転から両バンク運転に切り換えても、そ
の切換え時点ではエンジントルクが倍加するわけではな
く一定に維持される。すなわちそれぞれのバンク20,
21に個別に吸排気系統が設けられていることにより、
摩擦などの機械的ロスを低減して燃費を向上させるため
に片バンク運転を行うのであり、したがって図6に示す
ように、アクセル開度TA の比較的小さい範囲TA1〜T
A2でいずれか一方のバンク20,21で燃焼を行う片バ
ンク運転を実行し、その場合に運転される側のバンク2
0(もしくは21)についてのスロットル開度θは、両
バンク運転時のほぼ2倍程度に拡大される。
【0022】したがってエンジンEg としての出力トル
クは、基本的には滑らかに変化する。またこのようにし
て片バンク運転を行った場合、休止しているバンク側の
排気浄化触媒30(もしくは31)の温度が次第に低下
するので、片バンク運転を継続する場合には、排気浄化
触媒の活性を維持するために、運転するバンクの切換え
が行われる。また排気の循環制御を行う場合には、その
切換えも同時に行う。そして片バンク運転時のバンクの
切換えおよび片バンク運転と両バンク運転との切換えの
際には、各バンク20,21についてのスロットル開度
は、一方の開度に対応させて他方の開度を調整する協調
制御によって制御され、その結果、エンジン出力特性が
一定に維持される。また上述したエンジンEg でのバン
クの切換えは、スロットル開度の低下に伴うアップシフ
トの生じない最高速段(第5速)で実行される。
【0023】四輪駆動トランスファTf は、上記の自動
変速機At における出力軸15に連結されており、前後
輪の差動を行うための1組の遊星歯車機構34と、多板
クラッチからなる差動制限クラッチ35とを備えてい
る。その遊星歯車機構34のキャリヤ36に自動変速機
At の出力軸15が連結されており、またサンギヤ37
がドライブスプロケット38に連結され、さらにリング
ギヤ39がリヤプロペラシャフト40に連結されてい
る。このドライブスプロケット38と、フロントプロペ
ラシャフト41を連結してあるドリブンスプロケット4
2とにチェーン43が巻き掛けられている。そして差動
制限クラッチ35が前記キャリヤ36とサンギヤ37と
の間に設けられている。
【0024】したがって差動制限クラッチ35を完全に
解放してあれば、キャリヤ36から入力されたトルクが
遊星歯車機構34においてリングギヤ39とサンギヤ3
7、すなわち後輪側と前輪側とに分配される。これに対
して差動制限クラッチ35の係合力を次第に増大させれ
ば、キャリヤ36から入力したトルクの一部が直接、前
輪側に伝達されるので、前後輪に対するトルクの分配率
が変化する。差動制限クラッチ35をこのように制御す
るために四輪駆動用油圧制御装置(4WD−油圧制御装
置)44が設けられている。この油圧制御装置44は、
入力される電気信号に応じた油圧を出力するリニアソレ
ノイドバルブSLCを備えており、このリニアソレノイド
バルブSLCによって前記差動制限クラッチ35に供給す
る油圧を制御して差動制限力すなわち前後輪へのトルク
の分配率を調整するようになっている。
【0025】さらにそのリニアソレノイドバルブSLCを
制御するための電子制御装置(4WD−ECU)45が
設けられている。この電子制御装置45は前述した各電
子制御装置18,19と同様に、中央演算処理装置(C
PU)および記憶素子(ROM,RAM)ならびに入出
力インターフェースを主体とするものであって、これら
の電子制御装置18,19とデータ通信可能に接続さ
れ、入力されたデータに基づいて演算を行って差動制限
力を制御するようになっている。
【0026】なお、図2において符号46はフロントデ
ィファレンシャルを示し、また符号47はフロントドラ
イブシャフトを示す。
【0027】前述したようにエンジンEg での燃焼を行
うバンクの切換えを車両の走行状態に応じて行うが、こ
れは、自動変速機At や四輪駆動トランスファTf が正
常に動作していることを前提にしており、したがって自
動変速機At や四輪駆動トランスファTf に異常が生じ
た場合には、特別な制御が必要であり、これは以下のよ
うにして行われる。
【0028】図7はその制御ルーチンを示すフローチャ
ートであり、まず車速Vやスロットル開度θ、シフトポ
ジションなどの信号を読み込んで入力信号処理(ステッ
プ1)を行う。ついで走行レンジとしてドライブ(D)
レンジが選択されているか否かを判断し(ステップ
2)、Dレンシ以外の走行レンジが選択されている場合
には、特に制御を行うことなくこのルーチンを抜ける。
すなわちバンクの切換えを行うのは、最高速段が設定さ
れているときに限るので、Dレンジ以外では最高速段が
設定されないからである。
【0029】ステップ2で肯定判断された場合には、自
動変速機At の変速を実行するためのシフトソレノイド
バルブS1 ,S2 ,S3 が正常か否かが判断される(ス
テップ3)。これらのソレノイドバルブS1 ,S2 ,S
3 が正常であれば、つぎに、ロックアップクラッチ1を
制御するリニアソレノイドバルブSLUおよびアキューム
レータ背圧を制御するためのリニアソレノイドバルブS
LNならびにスロットル開度に応じたライン圧に制御する
リニアソレノイドバルブSLT、差動制限クラッチ35の
差動制限トルクを制御するリニアソレノイドバルブSLC
がそれぞれ正常であるか否かを判断する(ステップ
4)。これらのソレノイドバルブSLU,SLN,SLT,S
LCが正常に機能していてステップ4で肯定判断された場
合に、通常のバンク切換え制御が実行される(ステップ
5)。
【0030】ここで通常のバンク切換え制御について簡
単に説明する。上述したエンジンEg は摩擦などの機械
的損失を低減するために片バンク運転、すなわち一方の
バンク20,21におけるシリンダでの燃焼を行うので
あり、片バンク運転では負荷に耐え得ない場合や1回転
あたりの燃焼回数が半減することによる振動の乗り心地
に対する影響が顕著になる場合に両バンク運転を行う。
したがって両バンク運転時と片バンク運転時とのエンジ
ンEg の出力特性は基本的には一定であり、これは図6
を参照して説明したとおりである。また片バンク運転時
には、燃焼を休止しているバンク側の排気浄化触媒3
0,31の温度が低下するので、その温度が活性温度以
下になることを防止するために、燃焼を行うバンク(換
言すれば、燃焼休止バンク)を変更する。
【0031】バンクの切換えは、このような両バンク運
転と片バンク運転との切換えと、片バンク運転での燃焼
バンクの切換えとを含んでいる。これらいずれの場合で
あっても、バンクの切換えの前後において出力トルクが
ステップ的に変化することを防止するために、左右のバ
ンク20,21についてのスロットル開度を互いに協調
させて制御する。なお、この左右のバンク20,21に
ついてスロットルバルブ24,25の協調制御について
は、本出願人が既に提案した特願平5−315908号
あるいは特願平6−248878号もしくは特願平6−
248880号で詳細に説明してあり、この協調制御は
この発明の特徴点に特には関係しないので、これらの先
の出願の番号を挙げることによって説明に替える。
【0032】一方、前述したステップ3あるいはステッ
プ4で否定判断された場合、すなわちいずれかのソレノ
イドバルブに異常があった場合には、ステップ6に進ん
でバンクの切換え制御を禁止する。前述したようにバン
クの切換えの態様には、両バンク運転から片バンク運転
への切換えと、片バンク運転から両バンク運転への切換
えと、右バンクと左バンクとの切換えとの3つの態様が
あるが、ステップ6ではこれらいずれのバンク切換えを
も禁止する。その場合、上述したバンク切換え可能なエ
ンジンでは、両バンク運転状態が最も安定した運転状態
であるから、ステップ3もしくはステップ4で否定判断
された時点の運転状態が片バンク運転状態であれば、一
旦、両バンク運転に切り換えた後にバンク切換えを禁止
して両バンク運転に固定することとしてもよい。あるい
は片バンク運転を継続し、メインスイッチ(図示せず)
をOFFにしてエンジンEg を止めた後、再度、エンジ
ンEg を運転する際に両バンク運転に固定することとし
てもよい。
【0033】なお、上記の実施例では、いずれかのソレ
ノイドバルブがフェイルした場合に、バンクの切換えす
なわち燃焼休止気筒の変更を一律に禁止することとした
が、フェイルの内容に応じてバンク切換え制御を異なら
せてもよい。例えば、片バンク運転を最高速段のみで実
施するとしている場合には、最高速段を設定するための
シフトバルブがフェイルしていると判断された時に限
り、バンク切換えの禁止制御を実行することとしてもよ
い。また、いずれかのリニアソレノイドバルブがフェイ
ルした場合には、両バンク運転から片バンク運転への変
更を禁止し、片バンク運転状態であれば、左右のバンク
の切換えは実行することとしてもよい。あるいは反対に
左右のバンクの切換えのみを禁止することとしてもよ
い。
【0034】したがって上記の制御装置によれば、実際
に設定されている変速段を検出できない場合や、変速を
正常に実行できない場合、あるいはロックアップクラッ
チ1を解放することができないなどの場合に、燃焼を行
うバンクの切り換えが生じないので、乗り心地の悪化を
防止でき、また走行安定性を向上させることができる。
【0035】すなわち出力特性が一定となるように両バ
ンク運転と片バンク運転とに切換えエンジンでは、振動
・騒音による乗り心地の悪化を防止するために最高速段
でのみ両バンク運転と片バンク運転との切換えを実行す
るよう構成する場合がある。この種のエンジンを搭載し
た車両において上述した制御を行えば、最高速段を検出
できない状態ではバンクの切換えが禁止されることにな
る。そのため、不適切な変速段で片バンク運転が実行さ
れたり、バンク切換えの過渡期のトルクが不安定な時期
と変速とが重なったりすることがなく、自動変速機At
のフェイルに起因する乗り心地の悪化を未然に防止する
ことができる。
【0036】また出力特性が一定となるようにバンクの
切換え制御を行うエンジンにおいては、両バンク運転と
片バンク運転との切換え時や、片バンク運転時における
運転を行うバンクの切換えの際には、エンジンの出力ト
ルクが過渡的に不安定になることがある。そのためバン
ク切換え(両バンクと片バンクとの切換え、および片バ
ンク同士の切換え)と変速とが重ならないことが好まし
い。より具体的には、出力特性が一定となるようにバン
ク切換えを行うエンジンでは、運転を休止するバンクも
しくは運転を継続するバンクについてのスロットル開度
と運転を開始するバンクについてのスロットル開度とを
協調させて制御するが、このようなスロットル開度の協
調制御中に変速による負荷の変動が生じると、スロット
ル開度の制御が適正に行われなくなって出力トルクの変
動に起因するショックが大きくなる。そのために変速の
終了後にスロットル開度の協調制御を行う場合がある。
しかるに上述した制御によれば、何等かのフェイルによ
って変速のタイミングがずれるような事態では、バンク
の切換えが行われないことになり、その結果、バンクの
切換えと変速とのタイミングが重なることや、それに起
因する乗り心地の悪化が防止される。
【0037】さらにバンク切換え時には上述のようにエ
ンジントルクが過渡的に不安定になる場合があるため
に、トルクコンバータ2におけるロックアップクラッチ
1をバンク切換え時に一時的に解放する制御を実施する
ことがある。またバンクの切換え時に排気再循環(EG
R)制御を行い、これと併せてロックアップクラッチ1
をスリップ制御してショックの低減を図る場合がある。
このようなバンク切換えに伴うロックアップクラッチ1
の制御を行う場合、そのロックアップクラッチ1の解放
のタイミングがずれると、バンク切換え時にロックアッ
プクラッチ1が係合していることになるが、上述した制
御では、ロックアップクラッチ1の解放などのタイミン
グを制御できない場合には、バンクの切換えが行われな
いので、ロックアップクラッチ1が係合したままでのバ
ンク切換えに起因する乗り心地の悪化が未然に防止され
る。
【0038】また一方、前後輪の差動制限装置を備えて
いる四輪駆動車においては、その差動制限力を変化させ
ることにより走行安定性が変化するので、バンク切換え
による出力トルクの過渡的な不安定時と差動制限力の変
更時とが重なると、バンク切換えによる出力トルクの変
動が走行安定性に影響することがある。しかしながら上
述した制御によれば、差動制限力の変更を所期どおりに
行えない場合には、バンクの切換えが生じないので、走
行安定性の悪化が未然に防止される。
【0039】なお、この発明は、上述したバンク切換え
可能なエンジンに限らず、燃焼気筒に対する相対的な負
荷を増大させるために燃焼気筒を減じる可変気筒エンジ
ンにも適用することができる。その場合、自動変速機A
t もしくは四輪駆動トランスファTf のフェイルが判断
されることに伴って、その判断時点でのエンジンEgの
運転状態すなわち全気筒運転もしくは部分気筒運転に固
定するように制御してもよい。あるいはその判断時点で
部分気筒運転が実行されている場合には、一旦、全気筒
運転に切換えた後に全気筒運転に固定するように制御し
てもよい。さらに部分気筒運転が最高速段でのみ許容さ
れる場合には、最高速段を設定するためのシフトバルブ
のフェイルが判断された場合に限り、燃焼気筒の切換え
を禁止するよう制御してもよい。
【0040】すなわちこの種のいわゆる可変気筒エンジ
ンでは、燃焼気筒数を減じた部分気筒運転時には出力ト
ルクが低下し、また全ての気筒で燃焼を行う全気筒運転
時には出力トルクが増大する。したがって燃焼気筒数の
変更に起因する出力トルクの変化とその他の要因に基づ
く出力トルクや負荷の変動とが重なった場合には、運転
状態の複数の変化要因に併せて出力トルクを滑らかに変
化させることが困難になり、その結果、ショックが大き
くなる。そのためこの種の可変気筒エンジンにおいて
も、上述したバンク切換え可能なエンジンにおけると同
様に、フェイルが判断された場合の燃焼休止気筒の変更
を禁止する制御を行うことにより、乗り心地や走行安定
性を良好な状態に維持することができる。
【0041】また上記の可変気筒エンジンを搭載した四
輪駆動車では、前後輪の差動制限力を大きくしたままの
状態で部分気筒運転を行うと、出力トルクの低下によっ
てタイトコーナーブレーキング現象が顕著になることが
ある。しかしながら、上述した制御を行えば、差動制限
中であることが検出できない状態においては燃焼気筒の
変更が生じないので、タイトコーナーブレーキング現象
が顕著になるなどの不都合を未然に防止することができ
る。
【0042】すなわちこのようないわゆる可変気筒エン
ジンを搭載した車両を対象とする場合においても、トル
クの変動を招く燃焼休止気筒の変更が、自動変速機At
や四輪駆動トランスファTf のフェイル状態で生じない
ので、乗り心地や走行安定性が悪化することを未然に防
止することができる。
【0043】なお、上記の実施例では、動力伝達切換装
置として自動変速機At と四輪駆動トランスファTf と
を備えている例を示したが、この発明は上記の実施例に
限定されないのであって、動力伝達切換装置は自動変速
機At あるいは四輪駆動トランスファTf のいずれか一
方のみを備えている装置であってもよい。また上記の実
施例では、動力伝達切換装置のフェイルをソレノイドバ
ルブのフェイルとして判断する例を示したが、フェイル
の判断手段は必要に応じて任意の手段を採用することが
できる。さらにこの発明は、図3に示すギヤトレーン以
外のギヤトレーンを備えた自動変速機を搭載した車両を
対象とする制御装置に適用することができる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明の制御装置
によれば、エンジンにおける摩擦などの機械的損失を減
じるために燃焼休止バンクを変更もしくは増減し、ある
いは燃焼気筒に対する相対的な負荷を増大させるために
燃焼休止気筒を増減する制御が、自動変速機や四輪駆動
トランスファなどの動力伝達切換装置のフェイル時には
実行されないので、燃焼休止気筒の変更による出力トル
クの過渡的な不安定状態や所定の気筒で燃焼を休止する
ことによるエンジンの特定の運転状態が、動力伝達切換
装置の動作状態との不一致によって車両の走行もしくは
挙動に影響することを防止でき、より具体的には乗り心
地や走行安定性を良好に状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を機能的手段で模式的に示すブロック
図である。
【図2】この発明の一実施例を模式的に示すブロック図
である。
【図3】その自動変速機の歯車列を示すスケルトン図で
ある。
【図4】各変速段を設定するための摩擦係合装置の係合
作動表を示す図である。
【図5】バンク切換え可能なV型エンジンの給排気系統
および制御系統を模式的に示すブロック図である。
【図6】バンクの切換えに伴ういずれか一方のバンクに
ついてのスロットル開度の変化および出力トルクの変化
を概略的に示す線図である。
【図7】この発明による動力伝達切換装置のフェイル時
のバンク制御のためのルーチンの一例を示すフローチャ
ートである。
【符号の説明】
100 エンジン 101 動力伝達切換装置 102 フェイル判断手段 103 禁止手段

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼休止の解除を含む燃焼休止気筒の変
    更の可能なエンジンに、このエンジンから出力された動
    力を車輪に伝達する動力伝達切換装置が連結された車両
    の制御装置において、 前記動力伝達切換装置のフェイルを判断するフェイル判
    断手段と、 前記動力伝達切換装置のフェイルが判断された場合に前
    記エンジンにおける燃焼休止気筒の変更を禁止する禁止
    手段とを具備していることを特徴とする車両用制御装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005114138A (ja) * 2003-10-10 2005-04-28 Toyota Motor Corp 車輪のマスダンパ制御装置
JP2005249012A (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 Honda Motor Co Ltd 能動型防振支持装置および気筒休止エンジンの制御装置

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