JPH08176771A - 溶融金属中軸受とその製造方法 - Google Patents

溶融金属中軸受とその製造方法

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JPH08176771A
JPH08176771A JP6321985A JP32198594A JPH08176771A JP H08176771 A JPH08176771 A JP H08176771A JP 6321985 A JP6321985 A JP 6321985A JP 32198594 A JP32198594 A JP 32198594A JP H08176771 A JPH08176771 A JP H08176771A
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JP
Japan
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pbo
molten metal
bearing
containing compound
ceramic
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JP6321985A
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English (en)
Inventor
Tomohito Ooyagi
智仁 大八木
Moroo Nakagawa
師夫 中川
Junji Sakai
淳次 酒井
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】低摩擦かつ耐摩耗性に優れた溶融金属に浸漬し
て使用する軸受及びその製造方法を提供する。 【構成】PbO含有化合物を、粒子として、あるいは粒
界に含有するセラミックスを摺動部に使用した溶融金属
に浸漬して使用する軸受。 【効果】低摩擦かつ耐摩耗性に優れた溶融金属に浸漬し
て使用する軸受及びその製造方法が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶融金属に浸漬して使用
する軸受及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、連続溶融金属めっき装置等で使用
される溶融金属中軸受の摺動部には、金属材料、あるい
はWC/Co超硬合金を溶射し金属材料が使用されてい
たが、これらは溶融金属中での溶食が激しく、長期の使
用に耐えることができない。そのため、溶融金属中軸受
の摺動部に、セラミックス、あるいは炭素材料等の無機
材料を使用する試みがなされている。溶融金属中で使用
するすべり軸受に関しては、溶融金属に対して耐食性が
良く、かつ固体潤滑性を有する六方晶窒化硼素(h−B
N)及びh−BNを含有したセラミックスや炭素及びC
/C複合材等の炭素系単体材料を摺動部に使用すること
が知られている(例えば特開平2−101150号,同5−70915
号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】六方晶窒化硼素(h−
BN)やグラファイト系固体潤滑材料は、室温での摩擦
係数は0.1 前後と低いが、亜鉛やアルミニウム等の溶
融金属を扱う温度領域、即ち、450〜800℃近辺で
の摩擦係数は必ずしも低くない。更に、h−BNやグラ
ファイト系固体潤滑材は耐摩耗性が悪く、特にドロス,
酸化物粒子等、硬質の不純物が存在する溶融金属中にお
いては、摩耗は激しく使用に耐えないという問題点があ
る。
【0004】また、現行の溶融金属めっき装置において
は、溶融金属中で使用されるシンクロール,サポートロ
ール,しぼりロール等のすべり軸受の摺動部に金属,金
属基複合材料あるいはC/C複合材等が使用されている
が、いずれも軸受部の摩耗によりガタが生じて製品の品
質を低下させるために10日間前後でラインを停止し、
軸受部の交換をしなければならない。
【0005】本発明の目的は、溶融金属中において低摩
擦,低摩耗,高強度でかつ耐食性に優れた軸受部材を使
用した溶融金属中軸受およびその製造方法を提供するこ
とにある。また、発明した溶融金属中軸受を溶融金属め
っき装置に応用し、その長寿命化を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、溶融金属
中に浸漬して使用する軸受の低摩擦化,長寿命化を図る
ために、摺動部の材料について鋭意検討を行ってきた。
【0007】その結果、溶融金属に浸漬して使用する軸
受において、摺動面の少なくとも一部に、PbO含有化
合物が存在する溶融金属中軸受を用いることにより上記
の目標が達成されることを見出した。
【0008】この発明においては、摺動材料にPbO含
有化合物のバルクを単独で用いても、また、これらをC
/C複合材,炭素材料,アルミナ,ジルコニア,シリカ
等の、セラミックス材料と組み合わせて軸受部を構成し
てもよい。また、セラミックス材料の表面にPbO含有
化合物の層を構成しても、同様の効果が得られる。
【0009】また、上記以外に、セラミックスにPbO
含有化合物を複合し、得られたセラミックス複合材料を
摺動面に使用しても有効である。セラミックスへの複合
法としては、以下の2方法が有効である。
【0010】(1)セラミックスの粒界にPbO含有化
合物を存在させる。
【0011】(2)セラミックス中にPbO含有化合物
の粒子を分散させる。
【0012】(2)においては、PbO含有化合物の粒
径は100μm以下であることが望ましい。粒径が10
0μm以下であるのは、これより大きな粒径であるとマ
クロ的に均一な摩擦係数が得られないため、また、セラ
ミックスの強度が低下するためである。
【0013】また、摺動面におけるPbO含有化合物
は、摺動表面において10%以上の面積率を占めること
が望ましい。このことは、PbO含有化合物のバルクを
他の構造材と組み合わせた軸受の場合にも、また、Pb
O含有化合物を添加したセラミックスを用いた軸受の場
合にもあてはまる。PbO含有化合物が、摺動表面にお
いて10%以下であると、十分な摩擦係数低下の効果が
得られない。
【0014】上記の溶融金属に浸漬して使用する軸受の
摺動部材として使用されるPbO含有化合物を含むセラ
ミックスの製法であるが、PbO含有化合物が粒界に存
在するセラミックスにおいても、PbO含有化合物の粒
子を分散したセラミックスにおいても、PbO含有化合
物をセラミックスの原料粉に混合,加熱処理する方法
で、得ることができる。
【0015】ここで、PbO含有化合物を含むセラミッ
クスの焼結は、常圧焼結法,ホットプレス焼結法,熱間
静水圧焼結法,雰囲気加圧焼結法の少なくとも1種が適
している。
【0016】また、溶融金属中軸受の製法において、作
製過程にゾルゲル法を用いることも有効である。
【0017】また、PbO含有化合物層をセラミックス
表面に生成する方法としては、PbOの化学蒸着,物理蒸
着,塗布法,Pbイオンの打ち込みの少なくとも1種が
有効である。
【0018】また、PbO含有化合物は、PbO,Pb
Oを含有する複酸化物,PbO含有ガラスのいずれかで
ある。
【0019】ここで、PbO複酸化物においては、Pb
Oと複合する酸化物が、Li,Na,K,Ca,Ti,
Zr,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,
Zn,Cd,Al,Ga,Si,Ge,Sn,P,B
i,Se,Teの酸化物の1種類以上であるPbO複酸
化物が適している。
【0020】また、PbO含有ガラスは、PbOを30
mol% 以上含み、残部に、Si,B,Ge,Sr,Pの酸
化物の1種類以上を含む構成のガラスが適している。P
bO成分が30mol% 以下であると十分な摩擦係数低下
の効果が得られない。また、Si,B,Ge,Sr,P
の酸化物は、ガラスを安定化させる。
【0021】また、PbO含有化合物を複合するセラミ
ックの組成についてであるが、SiO2 ,Al23,Z
rO2 ,TiO2 ,Si34,AlN,SiCの1種類
以上から構成されることが望ましい。これらのセラミッ
クスは、軸受材料を構成するに十分な強度,靱性を有す
る。
【0022】以上のPbO含有化合物を摺動部に含む溶
融金属中軸受摺動部材は、特に亜鉛,アルミニウムの1
種類以上を含有した融液中で優れた摩擦摩耗特性を示
す。
【0023】さらに、以上に示した溶融金属中軸受を用
いた溶融金属めっき装置は、低摩擦,低摩耗,高強度で
かつ耐食性に優れる。
【0024】本発明は、摩擦摩耗特性が優れるうえ、機
械的強度も優れるため、軸受構造をすべり軸受として
も、転がり軸受としても有効である。
【0025】また、本発明の溶融金属中軸受を溶融金属
めっき装置におけるシンクロール,サポートロール,し
ぼりロール等の軸受に応用することにより、軸受補修の
頻度を下げることが可能となる。
【0026】
【作用】本発明は、溶融金属に浸漬して使用する軸受に
おいて、摺動面の少なくとも一部に、PbO含有化合物
が存在することを特徴とする溶融金属中軸受である。こ
れらの材料を摺動部に用いることにより、従来品より
も、低摩擦,低摩耗、かつ高強度である溶融金属中軸受
が得られる。
【0027】また、本発明は溶融金属めっき装置におい
て前記溶融金属中軸受をシンクロール,サポートロー
ル,しぼりロール等の軸受に応用した溶融金属めっき装
置であり、本発明に従えば、軸受部補修の頻度を下げる
ことが可能となる。
【0028】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明する。
【0029】〔実施例1〕
【0030】
【表1】
【0031】表1に示す種々のPbO含有化合物を添加
したコーディエライトセラミックス(2MgO・2Al
23・5SiO2)を作製した。各々の試料は、平均粒径
1〜10μmのPbO含有化合物原料粉と平均粒径1μ
m以下のコーディエライト原料粉とをPbO含有化合物
が、体積分率で約15%となるよう調合した後、有機溶
媒を分散媒とした湿式混合にて混合を行い、次いで大気
中、各々の試料について焼結体の焼結密度が90%以上
となる焼結プログラム(最高温度1000℃以下)で常
圧焼結する方法によって得た。ここで、PbO含有化合
物原料粉は、表1に記載のPbO含有化合物を用いて
も、また、これらを焼結時に生成する化合物を用いても
良い。
【0032】X線回折による含有結晶の分析とSEM−
EPMAによる組織観察、組成の面分析により、得られ
た各試料は、表1に示すPbO含有化合物を含有し、そ
れらのPbO含有化合物は、コーディエライトセラミッ
クス中に粒子として含有されるか、あるいは粒界に存在
した。PbO含有化合物が粒子として含有された場合の
PbO含有化合物粒子の平均粒径は、各々の試料で10
〜30μmであった。また、各々の試料におけるPbO
含有ガラスは、PbOを少なくとも、50mol%以上含有
した。
【0033】得られた試料から、半径30mmの凹部を有
する軸受部を作製した。軸受部の構成を図1に示す。軸
部には直径60mmのサイアロンセラミックスを用い、作
製した軸受とで摺動実験を行った。摺動実験は、大気中
及び470℃の溶融亜鉛中において、周速度25m/mi
n ,面圧3〜9kg/cm2 の条件で行い、摺動させた際の
摩擦係数を測定した。測定結果を表1に示す。種々のP
bO含有化合物を含有するコーディエライトセラミック
スは、大気中では約0.5 の高い値を示し、摺動時にき
しみ音を発したが、溶融亜鉛中においては、このきしみ
音は消え、摩擦係数は0.1〜0.2と低い値を示した。
一方、PbO含有化合物を添加していないコーディエラ
イトセラミックスを軸受側、サイアロンを回転側とし
て、同様に摺動試験を行った際には、溶融亜鉛中,大気
中、共に摺動によるきしみ音が発生し、摩擦係数もま
た、約0.5 の高い値を示した。
【0034】また、マトリックスとなるセラミックスに
SiO2 ,Al23,ZrO2 ,TiO2 ,Si34
AlN,SiCを主成分とするセラミックスを使用して
も、同様の結果が得られた。
【0035】また、これらPbO含有化合物を添加した
セラミックスの加熱処理においては、上記の常圧焼結の
みならず、ホットプレス焼結法,熱間静水圧焼結法,雰
囲気加圧焼結法を用いても、同様の結果が得られた。
【0036】また、低融点のPbO含有化合物を含有さ
せる際には、ゾルゲル法によって作製可能なマトリック
スを使用した。ゾルの状態で硝酸鉛等、ゾルに溶解可能
な鉛の塩を加えることによって、ゲル化、それに続く熱
処理で、PbO含有化合物が分散した焼結前駆体を得た
後、引き続き、上記の常圧焼結等の加熱処理を行い、試
料を得る。このような方法で得られた試料についても、
同様の低摩擦化の結果を得た。
【0037】また、溶融金属に亜鉛以外のアルミニウ
ム,亜鉛−アルミニウムの溶融金属を使用しても同様の
結果が得られた。
【0038】さらに、比較例として、従来、固体潤滑性
物質として用いられてきた炭素,h−BNを含有した摺
動部材の溶融亜鉛中での摩擦係数を上記と同様の方法で
測定した。試験片としては、炭素繊維強化炭素材料,体
積率で15%のh−BNを含有するコーディエライトセ
ラミックスを軸受とし、軸としてはサイアロンセラミッ
クスを用いた。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】これらは、溶融金属中では摩擦係数が0.
3 以上であり、よって、本発明品の方がより低摩擦で
あることがわかる。
【0041】〔実施例2〕サイアロンセラミックスの表
面に、RFスパッタリングにより、PbOを成膜した。
スパッタリング条件としては、ターゲットをPbO,雰
囲気を酸素:窒素が50:50の混合ガス,ガス圧を1
0の−5乗torr,RF電力を200W,電圧周期13.
5MHz とした。5時間のスパッタリングにより、約
50μmのPbO膜が成膜された。
【0042】得られたPbO被覆サイアロンセラミック
スのPbOが成膜された面を摺動面となるようにして、
実施例1と同様の構成の軸受を作製した。この軸受に対
し、サイアロンセラミックスを軸受とし、実施例1と同
様の方法により、摺動試験を行った。その結果、大気中
では約0.5 の高い値を示し、摺動時にきしみ音を発し
たが、溶融亜鉛中においては、このきしみ音は消え、摩
擦係数は約0.1 になった。
【0043】また、成膜する成分をPbOの代りに、表
1に示した各種PbO含有化合物としても、同様の結果
が得られた。
【0044】また、マトリックスとなるセラミックスに
SiO2 ,Al23,ZrO2 ,TiO2 ,Si34
AlN,SiCを主成分とするセラミックスを使用して
も、同様の結果が得られた。
【0045】また、成膜の方法として、スパッタリング
以外にも、他の化学蒸着法,物理蒸着法,塗布法,Pb
イオン打ち込みの各成膜法によっても、同様の結果が得
られた。
【0046】また、溶融金属に亜鉛以外のアルミニウ
ム,亜鉛−アルミニウムの溶融金属を使用しても同様の
結果が得られた。
【0047】〔実施例3〕実施例1と同様の製法で、ガ
ラスの組成が15B23・85PbOで一定であるが、
種々の濃度でガラスを含有したコーディエライトセラミ
ックスを作製し、それらの溶融亜鉛中での摩擦係数を測
定した。
【0048】SEM−EPMAによる組織観察,組成の
面分析により、得られた各試料はセラミックス中に、ガ
ラスが粒子として分散した、あるいは粒状で存在する組
織をもつことが観察された。ガラスが粒子として分散し
た場合のガラス粒子の平均粒径は、各々の試料で10〜
30μmであった。
【0049】得られたB23−PbOガラス含有コーデ
ィエライトセラミックスを軸受側,サイアロンセラミッ
クスを軸側とし、実施例1と同様の方法で摺動試験を行
った。摩擦係数と、セラミックス中のガラス成分の面積
率の関係を図2に示す。この結果から、15B23・8
5PbOガラスの量と共に摩擦係数の低下が見られ、1
0%以上で、摩擦係数が一定となることが明らかになっ
た。
【0050】また、PbO含有ガラスを、表1に示した
各種PbO含有化合物としても、それらが粒界に存在す
るか、あるいは粒状で存在するに関わらず、同様の結果
が得られた。即ち、摺動面におけるPbO含有化合物の
量が増すにつれて、摩擦係数は低下し、面積率で10%
以上のPbO含有化合物を添加した際に、摩擦係数の低
下の効果があらわれる。
【0051】また、マトリックスとなるセラミックスに
SiO2 ,Al23,ZrO2 ,TiO2 ,Si34
AlN,SiCを主成分とするセラミックスを使用して
も、同様の結果が得られた。
【0052】また、表1に示したPbO含有化合物のバ
ルクを摺動面の一部に組み合わせた構造の軸受において
も、その組み合わせ方に関わらず、それらのPbO含有
化合物が摺動面の10%以上を占める際に、摩擦係数は
実用レベルまで低くなる。
【0053】また、溶融金属に亜鉛以外のアルミニウ
ム,亜鉛−アルミニウムの溶融金属を使用しても同様の
結果が得られた。
【0054】〔実施例4〕実施例1と同様の製法で、ガ
ラスの組成が15SiO2・85PbO ,ガラスの含有
率が15%で一定であるが、焼結の熱処理過程を変える
ことにより、種々の粒径のガラスを含有したコーディエ
ライトセラミックスを作製し、それらの溶融亜鉛中での
摩擦係数を測定した。
【0055】SEM−EPMAによる組織観察,組成の
面分析により、得られた各試料はセラミックス中にガラ
ス粒子が分散した組織をもつことが観察された。
【0056】得られたSiO2−PbO ガラス含有コー
ディエライトセラミックスを軸受側,サイアロンセラミ
ックスを軸側とし、実施例1と同様の方法で摺動試験を
行った。摩擦係数と,セラミックス中のガラスの粒径の
関係を図3に示す。この結果から、セラミックス中で、
15SiO2・85PbO ガラスが粒径100μm以下
であるときに摩擦係数の低下が見られることが明らかに
なった。
【0057】また、PbO含有ガラスを、表1に示した
各種PbO含有化合物としても、同様の結果が得られ、
PbO含有化合物が粒径100μm以下であるときに摩
擦係数の低下が起こる。
【0058】また、マトリックスとなるセラミックスに
SiO2 ,Al23,ZrO2 ,TiO2 ,Si34
AlN,SiCを主成分とするセラミックスを使用して
も、同様の結果が得られた。
【0059】また、溶融金属に亜鉛以外のアルミニウ
ム,亜鉛−アルミニウム等の溶融金属を使用しても同様
の結果が得られた。
【0060】〔実施例5〕実施例1と同様の製法で、ガ
ラスの濃度が約15%,平均粒径が約20μm,ガラス
の系をB23−PbOで一定とし、ガラス中のPbOの
割合を種々に変化させたB23−PbOガラスを作製
し、それらの溶融亜鉛中での摩擦係数を測定した。
【0061】得られた各B23−PbOガラスを軸受
側,サイアロンセラミックスを軸側とし、実施例1と同
様の方法で摺動試験を行った。摩擦係数と、ガラス成分
中のPbOの割合との関係を図4に示す。この結果か
ら、B23−PbOガラスにおいて、PbOが30mol
% 以上存在する際に摩擦係数の低下が見られることが
明らかになった。
【0062】また、B23−PbO含有ガラスを、表1
に示す他の系のPbO含有ガラスに置き換えても、それ
らが粒界に存在する、あるいは粒状で存在するに関わら
ず、同様の結果が得られ、PbOが30mol% 以上存在
する際に摩擦係数の低下が起こる。
【0063】また、PbOと混合される酸化物を、S
i,B,Ge,Sr,Pの酸化物の1種類以上を用いて
も、同様の結果が得られ、PbOが30mol% 以上存在
する際に摩擦係数の低下が起こる。
【0064】また、溶融金属に亜鉛以外のアルミニウ
ム,亜鉛−アルミニウム等の溶融金属を使用しても同様
の結果が得られた。
【0065】〔実施例6〕本発明によって考案された、
表1に示されたPbO含有化合物を添加した種々のコー
ディエライトセラミックスを溶融亜鉛めっき装置のシン
クロール,サポートロールの軸受部に応用した実施例を
以下に示す。PbO含有化合物を添加した種々のコーデ
ィエライトセラミックスについては、PbO含有化合物
の平均粒径が100μm以下,PbO含有化合物の面積
率が10%以上,PbO含有化合物がガラスの場合に
は、ガラス成分中のPbOが30mol% 以上である試料
を使用した。また、比較例として、従来使用されてきた
耐食合金,サーメット,グラファイト,サイアロンセラ
ミックス,SiCセラミックスを摺動面に使用し、同様
の構造の軸受を作製した。
【0066】軸受部は、図1に示すように、摺動面に使
用される材料を軸受部の摺動面に組込む。
【0067】軸部は、図6に示すように、サイアロンセ
ラミックスをスリーブ状にし、ロール軸に嵌合する。
【0068】以上の構造で構成された軸,軸受を図7に
示す構造を有する溶融亜鉛めっき装置のシンクロール軸
受部実機模擬試験機に設置し、摺動試験を行った。
【0069】摺動面に使用される材料を耐食合金、ある
いはサーメットとした場合には溶食が激しく、またグラ
ファイトとした場合には摩耗が激しく、共にロールにガ
タが生じ、均一なめっき層を形成できず、10日程度で
軸受部の交換を余儀なくされた。サイアロンとした場合
には、軸と軸受の摺動面でかみあいが起こってしまい、
ロールが滑らかに作動しなかった。また、SiCセラミ
ックスに関しては摺動面においてチッピングが起こり、
また、摩擦係数は0.4 付近と高く、実用には供せない
ことがわかった。これらに対して、本発明による表1に
示すPbO含有化合物を添加した種々のコーディエライ
トセラミックスを摺動面に使用した材料の場合には、ロ
ールは滑らか(摩擦係数0.1以下)に作動し、かつ軸,
軸受部の摩耗が殆どなかった。
【0070】さらに本発明による溶融金属中軸受を図7
に示す構造を有する溶融亜鉛めっき装置のシンクロール
軸受部実機模擬試験機に設置し、摺動試験を行ったとこ
ろ、ロールは滑らかに作動し、かつ軸,軸受部の摩耗が
殆どなく、40日間の連続運転においても問題が生じな
かった。
【0071】また、マトリックスとなるセラミックスに
SiO2 ,Al23,ZrO2 ,TiO2 ,Si34
AlN,SiCを主成分とするセラミックスを使用して
も、同様の結果が得られた。
【0072】また、溶融金属を溶融アルミニウム,溶融
アルミニウム−亜鉛としても同様の結果が得られた。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、低摩擦かつ耐摩耗性に
優れた溶融金属に浸漬して使用する軸受及びその製造方
法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る軸受の断面図。
【図2】本発明の実施例に係るセラミックス中のPbO
含有ガラスの摺動面における面積率と溶融亜鉛中での摩
擦係数との関係図。
【図3】本発明の実施例に係るセラミックス中のPbO
含有ガラスの粒径と溶融亜鉛中での摩擦係数との関係
図。
【図4】本発明の実施例に係るセラミックス中のPbO
含有ガラス中のPbO含有率と溶融亜鉛中での摩擦係数
との関係図。
【図5】本発明の実施例に係るシンクロールの軸部を示
す、軸に垂直な面での断面図。
【図6】本発明の実施例に係る溶融金属めっき装置の概
要を示す模式図。
【符号の説明】
1…軸受の摺動面に使用される材料、2…軸受支持部、
5…軸の摺動面に使用される材料、6…軸、7…めっき
浴、8…めっき浴槽、9…ストリップ、10…スナウ
ト、11…シンクロール、12…シンクロール軸受、1
3…サポートロール、14…サポートロール軸受、15
…ガスワピングノズル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16C 33/14 Z 7123−3J 33/24 A 7123−3J

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融金属に浸漬して使用する軸受におい
    て、摺動面の少なくとも一部に、PbO含有化合物が存在
    することを特徴とする溶融金属中軸受。
  2. 【請求項2】溶融金属に浸漬して使用する軸受におい
    て、摺動面の少なくとも一部に、PbO含有化合物が粒界
    に存在するセラミックスを用いることを特徴とする溶融
    金属中軸受。
  3. 【請求項3】溶融金属に浸漬して使用する軸受におい
    て、摺動面の少なくとも一部に、PbO含有化合物の粒子
    が分散したセラミックスを用いることを特徴とする溶融
    金属中軸受。
  4. 【請求項4】前記PbO含有化合物の粒子が、平均粒径
    100μm以下である請求項3に記載の溶融金属中軸
    受。
  5. 【請求項5】前記PbO含有化合物を、摺動表面におい
    て、面積率で10%以上含有する請求項1〜4のいずれ
    かに記載の溶融金属中軸受。
  6. 【請求項6】前記PbO含有化合物が、PbO,PbO
    を含有する複酸化物,PbO含有ガラスの1種以上であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の溶融金属中軸受。
  7. 【請求項7】前記PbO複酸化物において、PbOと複
    合する酸化物が、Li,Na,K,Ca,Ti,Zr,
    V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Zn,
    Cd,Al,Ga,Si,Ge,Sn,P,Bi,S
    e,Teの酸化物の1種類以上である請求項1〜5のい
    ずれかに記載の溶融金属中軸受。
  8. 【請求項8】前記PbO含有ガラスが、PbOを30mo
    l% 以上含み、残部に、Si,B,Ge,Sr,Pの酸
    化物の1種類以上である請求項1〜3のいずれかに記載
    の溶融金属中軸受。
  9. 【請求項9】前記セラミックスがSiO2 ,Al23
    ZrO2 ,TiO2 ,Si34,AlN,SiCの1種
    類以上を含む請求項1〜3のいずれかに記載の溶融金属
    中軸受。
  10. 【請求項10】前記溶融金属が亜鉛,アルミニウムのう
    ちいずれか1種以上を含有する請求項1〜3のいずれか
    に記載の溶融金属中軸受。
  11. 【請求項11】溶融金属に浸漬して使用する軸受の摺動
    部材に関し、PbO含有化合物をセラミックスの原料粉
    に混合,加熱処理することにより、PbO含有化合物が
    セラミックスの粒界に存在した構造を有する摺動部材を
    得ることを特徴とする溶融金属中軸受の製造方法。
  12. 【請求項12】溶融金属に浸漬して使用する軸受の摺動
    部材に関し、PbO含有化合物をセラミックスの原料粉
    に混合,加熱処理することにより、PbO含有化合物の
    粒子がセラミックス中に分散した構造を有する摺動部材
    を得ることを特徴とする溶融金属中軸受の製造方法。
  13. 【請求項13】前記セラミックスの加熱処理が、常圧焼
    結法,ホットプレス焼結法,熱間静水圧焼結法,雰囲気
    加圧焼結法の少なくとも1種からなる請求項12あるい
    は13のいずれかに記載の溶融金属中軸受の製造方法。
  14. 【請求項14】溶融金属中軸受の製法において、作製過
    程にゾルゲル法を含む請求項12あるいは13のいずれ
    かに記載の溶融金属中軸受の製造方法。
  15. 【請求項15】溶融金属に浸漬して使用する軸受の摺動
    部材に関し、PbOの化学蒸着,物理蒸着,塗布法,P
    bイオンの打ち込みの少なくとも1種により、PbO含
    有化合物の存在する層がセラミックス表面層に生成した
    溶融金属中軸受の摺動部材を得ることを特徴とする溶融
    金属中軸受の製造方法。
  16. 【請求項16】前記PbO含有化合物が、PbO,Pb
    Oを含有する複酸化物,PbO含有ガラスの1種以上で
    ある請求項12ないし15のいずれかに記載の溶融金属
    中軸受の製造方法。
  17. 【請求項17】前記PbO複酸化物において、PbOと
    複合する酸化物が、Li,Na,K,Ca,Ti,Z
    r,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Z
    n,Cd,Al,Ga,Si,Ge,Sn,P,Bi,
    Se,Teの酸化物の1種類以上である請求項12ない
    し15のいずれかに記載の溶融金属中軸受の製造方法。
  18. 【請求項18】前記PbO含有ガラスが、PbOを30
    mol% 以上含み、残部に、Si,B,Ge,Sr,Pの
    酸化物の1種類以上である請求項12ないし15のいず
    れかに記載の溶融金属中軸受の製造方法。
  19. 【請求項19】前記セラミックスがSiO2 ,Al
    23,ZrO2 ,TiO2 ,Si34,AlN,SiC
    の1種類以上を含む請求項12ないし15のいずれかに
    記載の溶融金属中軸受の製造方法。
  20. 【請求項20】前記溶融金属が亜鉛,アルミニウムの1
    種以上を含有する請求項12ないし15のいずれかに記
    載の溶融金属中軸受の製造方法。
  21. 【請求項21】溶融金属中で軸受に支持されて回転する
    ロールを備えた溶融金属めっき装置であって、前記ロー
    ルの少なくとも軸受の摺動面の少なくとも一部に、Pb
    O含有化合物が存在することを特徴とする溶融金属めっ
    き装置。
  22. 【請求項22】前記PbO含有化合物の粒子が、平均粒
    径100μm以下である請求項21に記載の溶融金属め
    っき装置。
  23. 【請求項23】前記PbO含有化合物を、摺動表面にお
    いて、面積率で10%以上含有する請求項21〜22の
    いずれかに記載の溶融金属めっき装置。
  24. 【請求項24】前記PbO含有化合物が、PbO,Pb
    Oを含有する複酸化物,PbO含有ガラスの1種以上で
    ある請求項21〜23のいずれかに記載の溶融金属めっ
    き装置。
  25. 【請求項25】前記PbO複酸化物において、PbOと
    複合する酸化物が、Li,Na,K,Ca,Ti,Z
    r,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Z
    n,Cd,Al,Ga,Si,Ge,Sn,P,Bi,
    Se,Teの酸化物の1種類以上である請求項21〜2
    4のいずれかに記載の溶融金属めっき装置。
  26. 【請求項26】前記PbO含有ガラスが、PbOを30
    mol% 以上含み、残部に、Si,B,Ge,Sr,Pの
    酸化物の1種類以上である請求項21〜24のいずれか
    に記載の溶融金属めっき装置。
  27. 【請求項27】前記セラミックスがSiO2 ,Al
    23,ZrO2 ,TiO2 ,Si34,AlN,SiC
    の1種類以上を含む請求項21〜24のいずれかに記載
    の溶融金属めっき装置。
  28. 【請求項28】前記溶融金属が亜鉛,アルミニウムのう
    ちいずれか1種以上を含有する請求項21〜24のいず
    れかに記載の溶融金属めっき装置。
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