JPH08176666A - 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法Info
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- JPH08176666A JPH08176666A JP6324828A JP32482894A JPH08176666A JP H08176666 A JPH08176666 A JP H08176666A JP 6324828 A JP6324828 A JP 6324828A JP 32482894 A JP32482894 A JP 32482894A JP H08176666 A JPH08176666 A JP H08176666A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、トランス等の鉄心として使用され
る磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板を得ることを狙い
とするものである。 【構成】 C:0.075%以下、Si:2.2〜4.
5%、酸可溶性Al:0.010〜0.060%、S或
いはSeを単独又は複合で0.025%以下、等を含む
スラブを1280℃未満で加熱し、熱延し、必要に応じ
て熱延板焼鈍を行い、80%以上の冷延を行い、脱炭焼
鈍、最終仕上げ焼鈍を施して製造する方法において、ス
ラブ加熱の昇温過程、少なくとも1000℃以上の温度
域を誘導加熱炉或いは直接通電加熱炉で加熱し、脱炭焼
鈍後の一次再結晶粒の平均粒径を18〜30μmとし、
板厚表面層と中心層の平均粒径の差が全厚平均粒径の1
5%以内であり、冷延以降二次再結晶開始までに10pp
m 以上の窒化処理を施す。 【効果】 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板が得られ
る。
る磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板を得ることを狙い
とするものである。 【構成】 C:0.075%以下、Si:2.2〜4.
5%、酸可溶性Al:0.010〜0.060%、S或
いはSeを単独又は複合で0.025%以下、等を含む
スラブを1280℃未満で加熱し、熱延し、必要に応じ
て熱延板焼鈍を行い、80%以上の冷延を行い、脱炭焼
鈍、最終仕上げ焼鈍を施して製造する方法において、ス
ラブ加熱の昇温過程、少なくとも1000℃以上の温度
域を誘導加熱炉或いは直接通電加熱炉で加熱し、脱炭焼
鈍後の一次再結晶粒の平均粒径を18〜30μmとし、
板厚表面層と中心層の平均粒径の差が全厚平均粒径の1
5%以内であり、冷延以降二次再結晶開始までに10pp
m 以上の窒化処理を施す。 【効果】 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板が得られ
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トランス等の鉄心とし
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表わす数値としては、通常磁場の強さ8
00A/m における磁束密度B8が使用される。また、鉄
損特性を表わす数値としては、周波数50Hzで1.7テ
スラー(T)まで磁化した時の1kg当りの鉄損W17/50
を使用している。磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子
であり、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損特性が
良好になる。なお、一般的に磁束密度を高くすると二次
再結晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場合があ
る。これに対しては、磁区制御により、二次再結晶粒の
粒径に拘らず、鉄損特性の改善をすることができる。
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表わす数値としては、通常磁場の強さ8
00A/m における磁束密度B8が使用される。また、鉄
損特性を表わす数値としては、周波数50Hzで1.7テ
スラー(T)まで磁化した時の1kg当りの鉄損W17/50
を使用している。磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子
であり、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損特性が
良好になる。なお、一般的に磁束密度を高くすると二次
再結晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場合があ
る。これに対しては、磁区制御により、二次再結晶粒の
粒径に拘らず、鉄損特性の改善をすることができる。
【0003】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上げ焼鈍
工程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧
延方向に〈001〉軸を持ったいわゆるゴス組織を発達
させることにより、製造されている。良好な磁気特性を
得るためには、磁化容易軸である〈001〉を圧延方向
に高度に揃えることが必要である。
工程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧
延方向に〈001〉軸を持ったいわゆるゴス組織を発達
させることにより、製造されている。良好な磁気特性を
得るためには、磁化容易軸である〈001〉を圧延方向
に高度に揃えることが必要である。
【0004】このような高磁束密度一方向性電磁鋼板の
製造技術として代表的なものに特公昭40−15644
号公報及び特公昭51−13469号公報記載の方法が
ある。前者においては主なインヒビターとしてMnS及
びAlNを、後者ではMnS,MnSe,Sb等を用い
ている。従って現在の技術においてはこれらのインヒビ
ターとして機能する析出物の大きさ、形態及び分散状態
を適正に制御することが不可欠である。MnSに関して
いえば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にMnS
を一旦完全固溶させた後、熱延時に析出する方法がとら
れている。二次再結晶に必要な量のMnSを完全固溶す
るためには1400℃程度の温度が必要である。
製造技術として代表的なものに特公昭40−15644
号公報及び特公昭51−13469号公報記載の方法が
ある。前者においては主なインヒビターとしてMnS及
びAlNを、後者ではMnS,MnSe,Sb等を用い
ている。従って現在の技術においてはこれらのインヒビ
ターとして機能する析出物の大きさ、形態及び分散状態
を適正に制御することが不可欠である。MnSに関して
いえば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にMnS
を一旦完全固溶させた後、熱延時に析出する方法がとら
れている。二次再結晶に必要な量のMnSを完全固溶す
るためには1400℃程度の温度が必要である。
【0005】これは普通鋼のスラブ加熱温度に比べて2
00℃以上も高く、この高温スラブ加熱処理には、1)
方向性電磁鋼専用の高温スラブ加熱炉が必要。2)加熱
炉のエネルギー原単位が高い。3)溶融スケール量が増
大し、いわゆるノロかき出し等に見られるように操業上
の悪影響が大きい。
00℃以上も高く、この高温スラブ加熱処理には、1)
方向性電磁鋼専用の高温スラブ加熱炉が必要。2)加熱
炉のエネルギー原単位が高い。3)溶融スケール量が増
大し、いわゆるノロかき出し等に見られるように操業上
の悪影響が大きい。
【0006】このような問題点を回避するためにはスラ
ブ加熱温度を普通鋼並に下げればよいわけであるが、こ
のことは同時にインヒビターとして有効なMnSの量を
少なくするか或いは全く用いないことを意味し、必然的
に二次再結晶の不安定化をもたらす。このため低温スラ
ブ加熱化を実現するためには何らかの形でMnS以外の
析出物等によりインヒビターを強化し、仕上げ焼鈍時の
正常粒成長の抑制を十分にする必要がある。
ブ加熱温度を普通鋼並に下げればよいわけであるが、こ
のことは同時にインヒビターとして有効なMnSの量を
少なくするか或いは全く用いないことを意味し、必然的
に二次再結晶の不安定化をもたらす。このため低温スラ
ブ加熱化を実現するためには何らかの形でMnS以外の
析出物等によりインヒビターを強化し、仕上げ焼鈍時の
正常粒成長の抑制を十分にする必要がある。
【0007】このようなインヒビターとしては、硫化物
の他、窒化物、酸化物及び粒界析出元素等が考えられ、
公知の技術として例えば次のようなものが挙げられる。
特公昭54−24685号公報ではAs,Bi,Sn,
Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有することにより、ス
ラブ加熱温度を1050〜1350℃の範囲にする方法
が開示され、特開昭52−24116号公報ではAlの
他、Zr,Ti,B,Nb,Ta,V,Cr,Mo等の
窒化物生成元素を含有することによりスラブ加熱温度を
1100〜1260℃の範囲にする方法を開示してい
る。また、特開昭57−158322号公報ではMn含
有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以下にすることに
より低温スラブ加熱化を行い、さらにCuの添加により
二次再結晶を安定化する技術を開示している。
の他、窒化物、酸化物及び粒界析出元素等が考えられ、
公知の技術として例えば次のようなものが挙げられる。
特公昭54−24685号公報ではAs,Bi,Sn,
Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有することにより、ス
ラブ加熱温度を1050〜1350℃の範囲にする方法
が開示され、特開昭52−24116号公報ではAlの
他、Zr,Ti,B,Nb,Ta,V,Cr,Mo等の
窒化物生成元素を含有することによりスラブ加熱温度を
1100〜1260℃の範囲にする方法を開示してい
る。また、特開昭57−158322号公報ではMn含
有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以下にすることに
より低温スラブ加熱化を行い、さらにCuの添加により
二次再結晶を安定化する技術を開示している。
【0008】これらインヒビターの補強と組み合わせて
金属組織の側から改良を加えた技術も開示された。すな
わち特開昭57−89433号公報ではMnに加えS,
Se,Sb,Bi,Pb,Sn,B等の元素を加え、こ
れにスラブの柱状晶率と二次冷延圧下率を組み合わせる
ことにより、1100〜1250℃の低温スラブ加熱化
を実現している。さらに特開昭59−190324号公
報ではS或いはSeに加え、Al及びBと窒素を主体と
してインヒビターを構成し、これに冷延後の一次再結晶
焼鈍時にパルス焼鈍を施すことにより二次再結晶を安定
化する技術を公開している。
金属組織の側から改良を加えた技術も開示された。すな
わち特開昭57−89433号公報ではMnに加えS,
Se,Sb,Bi,Pb,Sn,B等の元素を加え、こ
れにスラブの柱状晶率と二次冷延圧下率を組み合わせる
ことにより、1100〜1250℃の低温スラブ加熱化
を実現している。さらに特開昭59−190324号公
報ではS或いはSeに加え、Al及びBと窒素を主体と
してインヒビターを構成し、これに冷延後の一次再結晶
焼鈍時にパルス焼鈍を施すことにより二次再結晶を安定
化する技術を公開している。
【0009】このように方向性電磁鋼板製造における低
温スラブ加熱化実現のためには、これまでに多大な努力
が続けられてきている。さらに、特開昭59−5652
2号公報においてはMnを0.08〜0.45%、Sを
0.007%以下にすることにより、低温スラブ加熱化
を可能にする技術が開示された。この方法により高温ス
ラブ加熱時のスラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状
二次再結晶不良発生の問題が解消された。
温スラブ加熱化実現のためには、これまでに多大な努力
が続けられてきている。さらに、特開昭59−5652
2号公報においてはMnを0.08〜0.45%、Sを
0.007%以下にすることにより、低温スラブ加熱化
を可能にする技術が開示された。この方法により高温ス
ラブ加熱時のスラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状
二次再結晶不良発生の問題が解消された。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】低温スラブ加熱による
方法は元来、製造コストの低減を目的としているもの
の、当然のことながら良好な磁気特性を安定して得る技
術でなければ、工業化できない。本発明者らは、低温ス
ラブ加熱の工業化のため、最終仕上げ焼鈍前の一次再
結晶の平均粒径制御と、熱延後、最終仕上げ焼鈍の二
次再結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すことを柱
とする技術を構築してきた。この窒化処理により形成さ
れる窒化物は、二次再結晶開始時点では、主にAlNに
なっている。高温で変化しにくいインヒビターとして、
AlNを選択しているわけであり、その意味において、
スラブ中にAlが含有されることは必須条件となる。
方法は元来、製造コストの低減を目的としているもの
の、当然のことながら良好な磁気特性を安定して得る技
術でなければ、工業化できない。本発明者らは、低温ス
ラブ加熱の工業化のため、最終仕上げ焼鈍前の一次再
結晶の平均粒径制御と、熱延後、最終仕上げ焼鈍の二
次再結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すことを柱
とする技術を構築してきた。この窒化処理により形成さ
れる窒化物は、二次再結晶開始時点では、主にAlNに
なっている。高温で変化しにくいインヒビターとして、
AlNを選択しているわけであり、その意味において、
スラブ中にAlが含有されることは必須条件となる。
【0011】他方、スラブ中にはNが必要量に含有され
ているため、スラブ中にはAlNが形成され脱炭焼鈍時
の一次再結晶粒の粒成長に影響を与えることになる。こ
れはスラブ加熱時の加熱状態によって大きく左右されて
くる。本発明の目的はスラブ加熱方法の見直しにより、
スラブ位置或いは板厚方向に均一に加熱することによ
り、一段と優れた一方向性電磁鋼板の製造方法を提供す
るものである。
ているため、スラブ中にはAlNが形成され脱炭焼鈍時
の一次再結晶粒の粒成長に影響を与えることになる。こ
れはスラブ加熱時の加熱状態によって大きく左右されて
くる。本発明の目的はスラブ加熱方法の見直しにより、
スラブ位置或いは板厚方向に均一に加熱することによ
り、一段と優れた一方向性電磁鋼板の製造方法を提供す
るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、下記の通りである。 (1)重量比で、C:0.075%以下、Si:2.2
〜4.5%、酸可溶性Al:0.010〜0.060
%、N:0.0130%以下、S或いはSeを単独又は
複合で0.025%以下、Mn:0.05〜0.8%、
残部Fe及び不可避的不純物からなるスラブを1280
℃未満の温度で加熱し、熱延を行い、圧下率80%以上
の最終強圧下冷延を行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕上げ
焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法におい
て、電磁鋼スラブの加熱を昇温過程、少なくとも100
0℃以上の温度域を誘導加熱炉或いは直接通電加熱炉で
加熱し、脱炭焼鈍完了後の一次再結晶粒の平均粒径を1
8〜30μmとし且つ、板厚表面層と中心層の平均粒径
の差が平均粒径の15%以内とし、冷延以降最終仕上げ
焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板に0.0010%
以上の窒素吸収を行わせる窒化処理を施すことを特徴と
する磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
ろは、下記の通りである。 (1)重量比で、C:0.075%以下、Si:2.2
〜4.5%、酸可溶性Al:0.010〜0.060
%、N:0.0130%以下、S或いはSeを単独又は
複合で0.025%以下、Mn:0.05〜0.8%、
残部Fe及び不可避的不純物からなるスラブを1280
℃未満の温度で加熱し、熱延を行い、圧下率80%以上
の最終強圧下冷延を行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕上げ
焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法におい
て、電磁鋼スラブの加熱を昇温過程、少なくとも100
0℃以上の温度域を誘導加熱炉或いは直接通電加熱炉で
加熱し、脱炭焼鈍完了後の一次再結晶粒の平均粒径を1
8〜30μmとし且つ、板厚表面層と中心層の平均粒径
の差が平均粒径の15%以内とし、冷延以降最終仕上げ
焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板に0.0010%
以上の窒素吸収を行わせる窒化処理を施すことを特徴と
する磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0013】(2)熱延と強圧下冷延の間に、熱延板焼
鈍を行うことを特徴とする(1)記載の磁気特性の優れ
た一方向性電磁鋼板の製造方法。
鈍を行うことを特徴とする(1)記載の磁気特性の優れ
た一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0014】(3)スラブの成分としてCr:0.03
〜0.30%、Sn:0.02〜0.15%を含有せし
めることを特徴とする(1)又は(2)記載の磁気特性
の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
〜0.30%、Sn:0.02〜0.15%を含有せし
めることを特徴とする(1)又は(2)記載の磁気特性
の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0015】
【作用】本発明が対象としている一方向性電磁鋼板は、
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
或いは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んで
スラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、必要に
応じて熱延板を焼鈍し、次いで圧下率が80%以上とな
る最終冷延を施し、次いで脱炭焼鈍、最終仕上げ焼鈍を
順次行うことによって製造される。
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
或いは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んで
スラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、必要に
応じて熱延板を焼鈍し、次いで圧下率が80%以上とな
る最終冷延を施し、次いで脱炭焼鈍、最終仕上げ焼鈍を
順次行うことによって製造される。
【0016】本発明は、本発明者らが特開平2−182
866号公報で開示した脱炭焼鈍後の結晶組織を適切な
ものにすることを基本とする技術体系に属する。従っ
て、良好な磁気特性を得るには一次再結晶粒の粒径の適
正化及びその整粒性を高めることが重要である。一般
に、スラブ加熱はガス加熱によって行われるが、この加
熱法によって得られた熱延板を処理した脱炭焼鈍後の一
次再結晶粒は板厚方向の整粒性が劣る傾向を示す。この
理由としてガス加熱においては加熱時スラブの表層部と
中心層とで温度差が生じ、均一化したとしてもその温度
履歴が異なるためAlN等の析出状態が変わってくる。
866号公報で開示した脱炭焼鈍後の結晶組織を適切な
ものにすることを基本とする技術体系に属する。従っ
て、良好な磁気特性を得るには一次再結晶粒の粒径の適
正化及びその整粒性を高めることが重要である。一般
に、スラブ加熱はガス加熱によって行われるが、この加
熱法によって得られた熱延板を処理した脱炭焼鈍後の一
次再結晶粒は板厚方向の整粒性が劣る傾向を示す。この
理由としてガス加熱においては加熱時スラブの表層部と
中心層とで温度差が生じ、均一化したとしてもその温度
履歴が異なるためAlN等の析出状態が変わってくる。
【0017】この差が後工程に影響を残し脱炭焼鈍後の
一次再結晶粒成長挙動に影響を与えているものと考えら
れる。このような現象を解消するためAlN等の分解に
影響を与える温度域を内部加熱方式つまり誘導加熱炉と
通電加熱炉で加熱することを検討した。その結果板厚方
向の温度差が小さくなり上記問題点を解決し、更なる磁
気特性の改善が可能となった。これは誘導加熱法或いは
直接通電加熱法を本発明プロセスに適用することによっ
てのみ効果をもたらすものである。
一次再結晶粒成長挙動に影響を与えているものと考えら
れる。このような現象を解消するためAlN等の分解に
影響を与える温度域を内部加熱方式つまり誘導加熱炉と
通電加熱炉で加熱することを検討した。その結果板厚方
向の温度差が小さくなり上記問題点を解決し、更なる磁
気特性の改善が可能となった。これは誘導加熱法或いは
直接通電加熱法を本発明プロセスに適用することによっ
てのみ効果をもたらすものである。
【0018】誘導加熱法と直接通電加熱法については例
えば特公昭47−14627号公報、特開昭60−14
5318号公報、特開昭61−288020号公報等に
提案されている。しかし、これらはいずれも1300℃
以上の高温スラブ加熱によってAlN,MnS或いはM
nSe等を一旦完全固溶させる従来の製造方法に関する
もので、高温スラブ加熱に起因するスラブの結晶粒粗大
化から生じる二次再結晶不良防止、及びスラブの溶損、
熱延板キズ発生等を防止することを主たる狙いとしたも
のである。
えば特公昭47−14627号公報、特開昭60−14
5318号公報、特開昭61−288020号公報等に
提案されている。しかし、これらはいずれも1300℃
以上の高温スラブ加熱によってAlN,MnS或いはM
nSe等を一旦完全固溶させる従来の製造方法に関する
もので、高温スラブ加熱に起因するスラブの結晶粒粗大
化から生じる二次再結晶不良防止、及びスラブの溶損、
熱延板キズ発生等を防止することを主たる狙いとしたも
のである。
【0019】以下実験結果を基に本発明を説明する。重
量比(以下略記する)で、C:0.053%、Si:
3.2%、Mn:0.11%、P:0.025%、S:
0.010%、Cr:0.12%、Sn:0.05%を
含み、酸可溶性AlとNを0.026%;0.0073
%と0.030%;0.0080%を含有する電磁鋼ス
ラブ厚み(200mm)を2種類の加熱方法で加熱し熱延
した。1つはガス加熱炉で1150℃に加熱熱延したも
ので、他の1つは1000℃までガス加熱した後誘導加
熱炉で1150℃に加熱し熱延した4種類の熱延板
(2.3mm)を準備した。これを1120℃+900℃
の熱延板焼鈍をし、冷延して板厚0.30mmの冷延板と
した。
量比(以下略記する)で、C:0.053%、Si:
3.2%、Mn:0.11%、P:0.025%、S:
0.010%、Cr:0.12%、Sn:0.05%を
含み、酸可溶性AlとNを0.026%;0.0073
%と0.030%;0.0080%を含有する電磁鋼ス
ラブ厚み(200mm)を2種類の加熱方法で加熱し熱延
した。1つはガス加熱炉で1150℃に加熱熱延したも
ので、他の1つは1000℃までガス加熱した後誘導加
熱炉で1150℃に加熱し熱延した4種類の熱延板
(2.3mm)を準備した。これを1120℃+900℃
の熱延板焼鈍をし、冷延して板厚0.30mmの冷延板と
した。
【0020】次いで脱炭焼鈍の温度を820℃〜840
℃の範囲で変化させて一次再結晶粒径を変えた。次いで
750℃;30秒の窒化処理を水素、窒素、アンモニア
混合ガス中で行い鋼板の窒素量をほぼ200ppm に調整
した。この後MgO,TiO2 を主成分とする焼鈍分離
剤を塗布し、1200℃;20時間の仕上げ焼鈍を行っ
た。この後単板磁気測定装置で磁束密度を測定した。ま
た、脱炭焼鈍後の一次再結晶粒の粒径測定は、画像処理
装置を用いて板厚全厚と最表面から表面層1/5層まで
と中心部1/2板厚に分けて測定した。
℃の範囲で変化させて一次再結晶粒径を変えた。次いで
750℃;30秒の窒化処理を水素、窒素、アンモニア
混合ガス中で行い鋼板の窒素量をほぼ200ppm に調整
した。この後MgO,TiO2 を主成分とする焼鈍分離
剤を塗布し、1200℃;20時間の仕上げ焼鈍を行っ
た。この後単板磁気測定装置で磁束密度を測定した。ま
た、脱炭焼鈍後の一次再結晶粒の粒径測定は、画像処理
装置を用いて板厚全厚と最表面から表面層1/5層まで
と中心部1/2板厚に分けて測定した。
【0021】全厚の平均結晶粒径と表面層と中心層の平
均粒径の差と磁束密度B8 との関係を図1に示す。誘導
加熱炉を用いたものが表面層と中心層の結晶粒径の差が
小さく、高磁束密度鋼板が得られていることが判る。こ
れは外部から加熱するガス加熱に比べスラブの表面層と
中心層の温度差が小さくAlN等の固溶状態に差がなく
なるためと考えられる。この結果一次再結晶粒の整粒性
が改善され良好なゴス組織の発達を有利にしているもの
と考えられる。
均粒径の差と磁束密度B8 との関係を図1に示す。誘導
加熱炉を用いたものが表面層と中心層の結晶粒径の差が
小さく、高磁束密度鋼板が得られていることが判る。こ
れは外部から加熱するガス加熱に比べスラブの表面層と
中心層の温度差が小さくAlN等の固溶状態に差がなく
なるためと考えられる。この結果一次再結晶粒の整粒性
が改善され良好なゴス組織の発達を有利にしているもの
と考えられる。
【0022】次に本発明の構成要件の限定理由について
述べる。まず、スラブの成分と、スラブ加熱温度に関し
て限定理由を詳細に説明する。Cは、多くなりすぎると
脱炭焼鈍時間が長くなり経済的でないので0.075重
量%(以下単に%と略述)以下とした。なお磁気特性の
面で特に好ましい範囲は、0.020〜0.070%で
ある。Siは4.5%を超えると冷延時の割れが著しく
なるので4.5%以下とした。また、2.2%未満では
素材の固有抵抗が低すぎ、トランス鉄心材料として必要
な低鉄損が得られないので2.2%以上とした。Alは
二次再結晶の安定化に必要なAlNもしくは(Al,S
i)Nを確保するため、酸可溶性Alとして0.010
%以上が必要である。酸可溶性Alが0.060%を超
えると熱延板のAlNが不適切となり二次再結晶が不安
定になるので0.060%以下とした。
述べる。まず、スラブの成分と、スラブ加熱温度に関し
て限定理由を詳細に説明する。Cは、多くなりすぎると
脱炭焼鈍時間が長くなり経済的でないので0.075重
量%(以下単に%と略述)以下とした。なお磁気特性の
面で特に好ましい範囲は、0.020〜0.070%で
ある。Siは4.5%を超えると冷延時の割れが著しく
なるので4.5%以下とした。また、2.2%未満では
素材の固有抵抗が低すぎ、トランス鉄心材料として必要
な低鉄損が得られないので2.2%以上とした。Alは
二次再結晶の安定化に必要なAlNもしくは(Al,S
i)Nを確保するため、酸可溶性Alとして0.010
%以上が必要である。酸可溶性Alが0.060%を超
えると熱延板のAlNが不適切となり二次再結晶が不安
定になるので0.060%以下とした。
【0023】Nについては、0.0130%を超えると
ブリスターと呼ばれる鋼板表面のふくれが発生するので
0.0130%以下とした。MnS,MnSeが鋼中に
存在しても、製造工程の条件を適正に選ぶことによって
磁気特性を良好にすることが可能である。しかしながら
SやSeが高いと一次再結晶粒の粒径調整が困難になり
高磁束密度の鋼板が得られ難くなる。従ってS或いはS
eを単独又は複合で0.025%以下とした。好ましく
は0.015%以下である。
ブリスターと呼ばれる鋼板表面のふくれが発生するので
0.0130%以下とした。MnS,MnSeが鋼中に
存在しても、製造工程の条件を適正に選ぶことによって
磁気特性を良好にすることが可能である。しかしながら
SやSeが高いと一次再結晶粒の粒径調整が困難になり
高磁束密度の鋼板が得られ難くなる。従ってS或いはS
eを単独又は複合で0.025%以下とした。好ましく
は0.015%以下である。
【0024】Mnの下限値は0.05%である。0.0
5%未満では、熱間圧延によって得られる熱延板の形状
(平坦さ)、つまりストリップの側縁部が波形状となり
製品歩留りを低下させる問題が発生する。一方、Mn量
が0.8%を超えると製品の磁束密度を低下させ好まし
くないので、Mn量の上限を0.8%とした。Snは、
粒界偏析元素として知られており、粒成長を抑制する元
素である。この他一次再結晶集合組織を改善し、二次再
結晶粒の小粒化を図り低鉄損化に有効な元素である。C
rは脱炭焼鈍時の酸化を促進する元素であるが、Snと
の複合添加で仕上げ焼鈍後のフォルステライト皮膜形成
に有効に働く。
5%未満では、熱間圧延によって得られる熱延板の形状
(平坦さ)、つまりストリップの側縁部が波形状となり
製品歩留りを低下させる問題が発生する。一方、Mn量
が0.8%を超えると製品の磁束密度を低下させ好まし
くないので、Mn量の上限を0.8%とした。Snは、
粒界偏析元素として知られており、粒成長を抑制する元
素である。この他一次再結晶集合組織を改善し、二次再
結晶粒の小粒化を図り低鉄損化に有効な元素である。C
rは脱炭焼鈍時の酸化を促進する元素であるが、Snと
の複合添加で仕上げ焼鈍後のフォルステライト皮膜形成
に有効に働く。
【0025】このSnの適正範囲を0.02〜0.15
%とした。この下限値未満では、粒効果が少なすぎて好
ましくない。一方、この上限値を超えると鋼板の窒化が
難しくなり、二次再結晶不良の原因となるため好ましく
ない。Crの適量は0.03〜0.30%がよい。好ま
しくは0.05〜0.15%がよい。
%とした。この下限値未満では、粒効果が少なすぎて好
ましくない。一方、この上限値を超えると鋼板の窒化が
難しくなり、二次再結晶不良の原因となるため好ましく
ない。Crの適量は0.03〜0.30%がよい。好ま
しくは0.05〜0.15%がよい。
【0026】この他インヒビター構成元素として知られ
ているSb,Cu,Cr,Ni,B,Ti,Nb等を微
量に含有することはさしつかえない。特に、B,Ti,
Nb等の窒化物構成元素は、スラブ加熱時の鋼中の固溶
N量を低減するために積極的に添加してもかまわない。
これらのAlよりNとの親和力の高い元素がある場合に
は、後述する仕上げ熱延開始温度偏差を規定する式を計
算する際に、全N量から含有するB,Ti,Nbのため
に形成される窒化物のN量を差し引きすることは、本発
明における制御効果の精度を高める上で好ましい。
ているSb,Cu,Cr,Ni,B,Ti,Nb等を微
量に含有することはさしつかえない。特に、B,Ti,
Nb等の窒化物構成元素は、スラブ加熱時の鋼中の固溶
N量を低減するために積極的に添加してもかまわない。
これらのAlよりNとの親和力の高い元素がある場合に
は、後述する仕上げ熱延開始温度偏差を規定する式を計
算する際に、全N量から含有するB,Ti,Nbのため
に形成される窒化物のN量を差し引きすることは、本発
明における制御効果の精度を高める上で好ましい。
【0027】スラブ加熱の低温域は一般的にはガス加熱
炉で加熱されるが1000℃まで加熱した後は均熱温度
まで誘導加熱炉或いは直接通電炉で加熱する必要があ
る。すなわちAlNが溶解し始めるのが1000℃であ
り、AlNを板厚方向に均一化させるには、この温度以
上は誘導加熱或いは直接通電によって加熱する必要があ
る。1000℃までガス加熱炉を用いた理由は経済性効
率を考慮したものである。スラブ加熱温度は、普通鋼並
にしてコストダウンを行うという目的から1280℃未
満と限定した。好ましくは1200℃以下である。加熱
されたスラブは、引き続き熱延されて熱延板となる。
炉で加熱されるが1000℃まで加熱した後は均熱温度
まで誘導加熱炉或いは直接通電炉で加熱する必要があ
る。すなわちAlNが溶解し始めるのが1000℃であ
り、AlNを板厚方向に均一化させるには、この温度以
上は誘導加熱或いは直接通電によって加熱する必要があ
る。1000℃までガス加熱炉を用いた理由は経済性効
率を考慮したものである。スラブ加熱温度は、普通鋼並
にしてコストダウンを行うという目的から1280℃未
満と限定した。好ましくは1200℃以下である。加熱
されたスラブは、引き続き熱延されて熱延板となる。
【0028】この熱延板は次いで、熱延板焼鈍を施すこ
となく圧下率80%以上の最終冷延を行う。最終冷延の
圧下率を80%以上としたのは、圧下率を上記範囲とす
ることによって、脱炭板において尖鋭な{110}〈0
01〉方位粒と、これに蚕食されやすい対応方位粒
({111}〈112〉方位粒等)を適正量得ることが
でき、磁束密度を高める上で好ましいためである。かか
る冷延後の鋼板は、通常の方法で脱炭焼鈍、焼鈍分離剤
塗布、最終仕上げ焼鈍を施されて最終製品となる。
となく圧下率80%以上の最終冷延を行う。最終冷延の
圧下率を80%以上としたのは、圧下率を上記範囲とす
ることによって、脱炭板において尖鋭な{110}〈0
01〉方位粒と、これに蚕食されやすい対応方位粒
({111}〈112〉方位粒等)を適正量得ることが
でき、磁束密度を高める上で好ましいためである。かか
る冷延後の鋼板は、通常の方法で脱炭焼鈍、焼鈍分離剤
塗布、最終仕上げ焼鈍を施されて最終製品となる。
【0029】ここで脱炭焼鈍完了後、最終仕上げ焼鈍開
始までの間の一次再結晶粒の平均粒径を、18〜30μ
mに制御することは必要である。その理由はこの平均粒
径の範囲で良好な磁束密度が得られやすく、かつ粒径変
動に対する磁束密度の変化が少ないからである。さら
に、高磁束密度鋼板を得るには脱炭焼鈍板の板厚方向に
おいて結晶粒径が揃っていることが望ましく、本発明で
は表層部と中心層部の平均結晶粒径の差が全厚平均粒径
の15%以内であれば効果は十分である。
始までの間の一次再結晶粒の平均粒径を、18〜30μ
mに制御することは必要である。その理由はこの平均粒
径の範囲で良好な磁束密度が得られやすく、かつ粒径変
動に対する磁束密度の変化が少ないからである。さら
に、高磁束密度鋼板を得るには脱炭焼鈍板の板厚方向に
おいて結晶粒径が揃っていることが望ましく、本発明で
は表層部と中心層部の平均結晶粒径の差が全厚平均粒径
の15%以内であれば効果は十分である。
【0030】そして、冷延以降最終仕上げ焼鈍の二次再
結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すと規定したの
は、本発明の如き低温スラブ加熱を前提とするプロセス
では、二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足がち
になるからである。窒化の方法としては特に限定するも
のではなく、脱炭焼鈍後引き続き焼鈍雰囲気にNH3 ガ
スを混入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、焼
鈍分離剤に窒化物を添加し、最終仕上げ焼鈍の昇温中に
窒化物が分離してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、
最終仕上げ焼鈍の雰囲気のN2 分圧を高めとし、鋼板を
窒化する方法等いずれの方法でもよい。窒化量について
は二次再結晶を安定して発現させるため10ppm 以上は
必要である。
結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すと規定したの
は、本発明の如き低温スラブ加熱を前提とするプロセス
では、二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足がち
になるからである。窒化の方法としては特に限定するも
のではなく、脱炭焼鈍後引き続き焼鈍雰囲気にNH3 ガ
スを混入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、焼
鈍分離剤に窒化物を添加し、最終仕上げ焼鈍の昇温中に
窒化物が分離してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、
最終仕上げ焼鈍の雰囲気のN2 分圧を高めとし、鋼板を
窒化する方法等いずれの方法でもよい。窒化量について
は二次再結晶を安定して発現させるため10ppm 以上は
必要である。
【0031】
【実施例】 実施例1 C:0.060%、Si:3.5%、Mn:0.10
%、S:0.012%、酸可溶性Al:0.028%、
Sn:0.05%、Cr:0.12%、N:0.008
0%を含む板厚100mmの電磁鋼スラブを1つは電気炉
で1150℃;60分の加熱を行った後熱延し2.3mm
の熱延板をつくった。他の1つは電気炉で1000℃ま
で加熱した後、誘導加熱炉で加熱し1150℃;20分
の加熱をした後同様な熱延を行った。
%、S:0.012%、酸可溶性Al:0.028%、
Sn:0.05%、Cr:0.12%、N:0.008
0%を含む板厚100mmの電磁鋼スラブを1つは電気炉
で1150℃;60分の加熱を行った後熱延し2.3mm
の熱延板をつくった。他の1つは電気炉で1000℃ま
で加熱した後、誘導加熱炉で加熱し1150℃;20分
の加熱をした後同様な熱延を行った。
【0032】この後1120℃+900℃の熱延板焼鈍
をし、冷延して板厚0.23mmの冷延板とした。次いで
830℃;90秒の脱炭焼鈍を露点65℃;窒素、水
素、混合ガス中で行った。
をし、冷延して板厚0.23mmの冷延板とした。次いで
830℃;90秒の脱炭焼鈍を露点65℃;窒素、水
素、混合ガス中で行った。
【0033】次いで、750℃;30秒の窒化処理を水
素、窒素、アンモニア混合ガス中で行い鋼板の窒素量を
ほぼ200ppm に調整した。この後MgO,TiO2 を
主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、1200℃;20時
間の仕上げ焼鈍を行った。磁気特性を表1に示す。な
お、脱炭焼鈍後の粒径を板厚全厚、最表層〜1/5層
部、中心部について測定した。本発明のスラブ加熱を行
ったものは板厚方向の結晶粒の整粒性が改善されてお
り、良好な磁気特性の材料が得られた。
素、窒素、アンモニア混合ガス中で行い鋼板の窒素量を
ほぼ200ppm に調整した。この後MgO,TiO2 を
主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、1200℃;20時
間の仕上げ焼鈍を行った。磁気特性を表1に示す。な
お、脱炭焼鈍後の粒径を板厚全厚、最表層〜1/5層
部、中心部について測定した。本発明のスラブ加熱を行
ったものは板厚方向の結晶粒の整粒性が改善されてお
り、良好な磁気特性の材料が得られた。
【0034】
【表1】
【0035】実施例2 C:0.035%、Si:3.0%、Mn:0.10
%、S:0.007%、酸可溶性Al:0.030%、
Sn:0.05%、Cr:0.12%、N:0.006
5%を含む板厚100mmの電磁鋼スラブを1つは電気炉
で1100℃;60分の加熱を行った後熱延し2.8mm
の熱延板をつくった。他の1つは電気炉で1000℃ま
で加熱した後、誘導加熱炉で加熱し1100℃;20分
の加熱をした後同様な熱延を行った。
%、S:0.007%、酸可溶性Al:0.030%、
Sn:0.05%、Cr:0.12%、N:0.006
5%を含む板厚100mmの電磁鋼スラブを1つは電気炉
で1100℃;60分の加熱を行った後熱延し2.8mm
の熱延板をつくった。他の1つは電気炉で1000℃ま
で加熱した後、誘導加熱炉で加熱し1100℃;20分
の加熱をした後同様な熱延を行った。
【0036】この後、熱延板焼鈍をすることなく酸洗
し、冷延して板厚0.34mmの冷延板とした。次いで8
45℃;120秒の脱炭焼鈍を露点65℃;窒素、水
素、混合ガス中で行った。次いで、750℃;30秒の
窒化処理を水素、窒素、アンモニア混合ガス中で行い鋼
板の窒素量をほぼ200ppm に調整した。この後Mg
O,TiO2 を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、12
00℃;20時間の仕上げ焼鈍を行った。磁気特性を表
2に示す。熱延板焼鈍を省略した工程においても本発明
の方法で磁気特性の優れた材料が得られた。
し、冷延して板厚0.34mmの冷延板とした。次いで8
45℃;120秒の脱炭焼鈍を露点65℃;窒素、水
素、混合ガス中で行った。次いで、750℃;30秒の
窒化処理を水素、窒素、アンモニア混合ガス中で行い鋼
板の窒素量をほぼ200ppm に調整した。この後Mg
O,TiO2 を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、12
00℃;20時間の仕上げ焼鈍を行った。磁気特性を表
2に示す。熱延板焼鈍を省略した工程においても本発明
の方法で磁気特性の優れた材料が得られた。
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】二次再結晶に必要なインヒビターを冷延
以降につくり込む本発明のプロセスにおいてはスラブ加
熱に内部加熱型である誘導加熱法或いは通電加熱法を適
用することにより磁気特性の更なる向上が可能となる。
また、熱延板焼鈍を省略しても良好な磁気特性を安定し
て得ることができるので、その工業的効果は大である。
以降につくり込む本発明のプロセスにおいてはスラブ加
熱に内部加熱型である誘導加熱法或いは通電加熱法を適
用することにより磁気特性の更なる向上が可能となる。
また、熱延板焼鈍を省略しても良好な磁気特性を安定し
て得ることができるので、その工業的効果は大である。
【図1】平均結晶粒径と表面層と中心層の平均粒径の差
の関係を示す図表である。
の関係を示す図表である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/16 (72)発明者 石橋 希瑞 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製 鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 黒木 克郎 北九州市戸畑区大字中原46−59 日鐵プラ ント設計株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 重量比で、 C :0.075%以下、 Si:2.2〜4.5%、 酸可溶性Al:0.010〜0.060%、 N :0.0130%以下、 S或いはSeを単独又は複合で0.025%以下、 Mn:0.05〜0.8% 残部Fe及び不可避的不純物からなるスラブを1280
℃未満の温度で加熱し、熱延を行い、圧下率80%以上
の最終強圧下冷延を行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕上げ
焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法におい
て、電磁鋼スラブの加熱を昇温過程、少なくとも100
0℃以上の温度域を誘導加熱炉或いは直接通電加熱炉で
加熱し、脱炭焼鈍完了後の一次再結晶粒の平均粒径を1
8〜30μmとし且つ、板厚表面層と中心層の平均粒径
の差が平均粒径の15%以内とし、冷延以降最終仕上げ
焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板に0.0010%
以上の窒素吸収を行わせる窒化処理を施すことを特徴と
する磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 熱延と強圧下冷延の間に、熱延板焼鈍を
行うことを特徴とする請求項1記載の磁気特性の優れた
一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 スラブの成分としてCr:0.03〜
0.30%、Sn:0.02〜0.15%を含有せしめ
ることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気特性の優
れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6324828A JPH08176666A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6324828A JPH08176666A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08176666A true JPH08176666A (ja) | 1996-07-09 |
Family
ID=18170140
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6324828A Withdrawn JPH08176666A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08176666A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000129352A (ja) * | 1998-10-22 | 2000-05-09 | Nippon Steel Corp | 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法 |
CN107002157A (zh) * | 2014-10-15 | 2017-08-01 | Sms集团有限公司 | 用于制造晶粒取向电工钢带的工艺以及根据所述工艺获得的晶粒取向电工钢带 |
-
1994
- 1994-12-27 JP JP6324828A patent/JPH08176666A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000129352A (ja) * | 1998-10-22 | 2000-05-09 | Nippon Steel Corp | 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法 |
JP4653266B2 (ja) * | 1998-10-22 | 2011-03-16 | 新日本製鐵株式会社 | 一方向性電磁鋼板の製造方法 |
CN107002157A (zh) * | 2014-10-15 | 2017-08-01 | Sms集团有限公司 | 用于制造晶粒取向电工钢带的工艺以及根据所述工艺获得的晶粒取向电工钢带 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020305 |