JPH08175873A - 窒化珪素質焼結体およびその製造方法 - Google Patents
窒化珪素質焼結体およびその製造方法Info
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- JPH08175873A JPH08175873A JP6324731A JP32473194A JPH08175873A JP H08175873 A JPH08175873 A JP H08175873A JP 6324731 A JP6324731 A JP 6324731A JP 32473194 A JP32473194 A JP 32473194A JP H08175873 A JPH08175873 A JP H08175873A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】高温において優れた耐酸化性を有するとともに
室温から1500℃までの高い抗折強度を有する窒化珪
素質焼結体を得る。 【構成】α−窒化珪素を90%以上含有する窒化珪素粉
末を70〜97モル%と、酸化珪素及び周期律表第3a
族酸化物を合計で3〜30モル%からなり、SiO2 量
の周期律表第3a族元素の酸化物換算量に対する比率が
2以上の割合からなる混合粉末を成形し、この成形体を
1500〜1700℃の温度でβ−窒化珪素の量が70
%以上、粒界結晶相にダイシリケートおよび/またはモ
ノシリケートが析出した焼結体を得、さらに1700℃
を超える温度で焼成し、窒化珪素結晶の平均粒径5μm
以下、該結晶粒子の粒界がダイシリケートおよび/また
はモノシリケートの結晶相からなり、窒素原子を含む結
晶相が存在しない焼結体を得る。
室温から1500℃までの高い抗折強度を有する窒化珪
素質焼結体を得る。 【構成】α−窒化珪素を90%以上含有する窒化珪素粉
末を70〜97モル%と、酸化珪素及び周期律表第3a
族酸化物を合計で3〜30モル%からなり、SiO2 量
の周期律表第3a族元素の酸化物換算量に対する比率が
2以上の割合からなる混合粉末を成形し、この成形体を
1500〜1700℃の温度でβ−窒化珪素の量が70
%以上、粒界結晶相にダイシリケートおよび/またはモ
ノシリケートが析出した焼結体を得、さらに1700℃
を超える温度で焼成し、窒化珪素結晶の平均粒径5μm
以下、該結晶粒子の粒界がダイシリケートおよび/また
はモノシリケートの結晶相からなり、窒素原子を含む結
晶相が存在しない焼結体を得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は室温から高温までの強度
特性に優れ、特に、ピストンピン、シリンダー、バル
ブ、カムローラ、ロッカーアーム、ピストンリング等の
自動車用部品やタービンロータ、タービンブレード、ノ
ズル、コンバスタ、スクロール、ノズルサポート、シー
ルリング、スプリングリング、ディフューザ、ダクト等
のガスタービンエンジン用部品等に使用される窒化珪素
質焼結体およびその製造方法に関する。
特性に優れ、特に、ピストンピン、シリンダー、バル
ブ、カムローラ、ロッカーアーム、ピストンリング等の
自動車用部品やタービンロータ、タービンブレード、ノ
ズル、コンバスタ、スクロール、ノズルサポート、シー
ルリング、スプリングリング、ディフューザ、ダクト等
のガスタービンエンジン用部品等に使用される窒化珪素
質焼結体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、窒化珪素質焼結体は、耐熱
性、耐熱衝撃性、および、耐酸化特性に優れることから
エンジニアリングセラミックス、特に、ターボローター
等の熱機関用として応用が進められている。この窒化珪
素質焼結体は、一般には窒化珪素に対してY2 O3 、A
l2 O3 あるいはMgOなどの焼結助剤を添加すること
により高密度で高強度の特性が得られている。このよう
な窒化珪素質焼結体に対しては、さらにその使用条件が
高温化するに際して、高温における強度および耐酸化特
性のさらなる改善が求められている。かかる要求に対し
て、これまで焼結助剤の検討や焼成条件等を改善する等
各種の改良が試みられている。
性、耐熱衝撃性、および、耐酸化特性に優れることから
エンジニアリングセラミックス、特に、ターボローター
等の熱機関用として応用が進められている。この窒化珪
素質焼結体は、一般には窒化珪素に対してY2 O3 、A
l2 O3 あるいはMgOなどの焼結助剤を添加すること
により高密度で高強度の特性が得られている。このよう
な窒化珪素質焼結体に対しては、さらにその使用条件が
高温化するに際して、高温における強度および耐酸化特
性のさらなる改善が求められている。かかる要求に対し
て、これまで焼結助剤の検討や焼成条件等を改善する等
各種の改良が試みられている。
【0003】その中で、従来より焼結助剤として用いら
れてきたAl2 O3 等の低融点酸化物が高温特性を劣化
させるという見地から、窒化珪素に対してY2 O3 等の
周期律表第3a族元素酸化物(以下、RE2 O3 とい
う。)および酸化珪素からなる単純な3元系(Si3 N
4 −SiO2 −RE2 O3 )の組成からなる焼結体が提
案されている。
れてきたAl2 O3 等の低融点酸化物が高温特性を劣化
させるという見地から、窒化珪素に対してY2 O3 等の
周期律表第3a族元素酸化物(以下、RE2 O3 とい
う。)および酸化珪素からなる単純な3元系(Si3 N
4 −SiO2 −RE2 O3 )の組成からなる焼結体が提
案されている。
【0004】一方、焼結体の高温強度を高めるために粒
界相を結晶化させることも提案されている。析出する結
晶相としてはYAM、アパタイト、ワラストナイトなど
のSi3 N4 −SiO2 −RE2 O3 系結晶、メリライ
トなどのSi3 N4 −RE2O3 系結晶、ダイシリケート
などのSiO2 −RE2 O3 系結晶、シリコンオキシナ
イトライドなどのSi3 N4 −SiO2 系結晶などが知
られている。
界相を結晶化させることも提案されている。析出する結
晶相としてはYAM、アパタイト、ワラストナイトなど
のSi3 N4 −SiO2 −RE2 O3 系結晶、メリライ
トなどのSi3 N4 −RE2O3 系結晶、ダイシリケート
などのSiO2 −RE2 O3 系結晶、シリコンオキシナ
イトライドなどのSi3 N4 −SiO2 系結晶などが知
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、粒界
相を結晶化させると、粒界が非晶質である場合に比較し
て高温強度はある程度改善されるものの、高温での耐酸
化性特性が不十分であり、また機械的特性に優れた安定
な結晶相の生成を行うことができないため、かかる焼結
体の実用化が阻害されており、さらなる強度の改良およ
び耐酸化性の向上が要求されている。
相を結晶化させると、粒界が非晶質である場合に比較し
て高温強度はある程度改善されるものの、高温での耐酸
化性特性が不十分であり、また機械的特性に優れた安定
な結晶相の生成を行うことができないため、かかる焼結
体の実用化が阻害されており、さらなる強度の改良およ
び耐酸化性の向上が要求されている。
【0006】このような耐酸化性を向上させるための1
つの方法として、粒界の結晶相としてダイシリケートや
シリコンオキシナイトライド等を析出させた窒化珪素質
焼結体も提案されている。しかしながら、このような結
晶相を析出させることにより耐酸化性を向上させること
ができるが、逆に高温強度が低下するといった問題があ
った。
つの方法として、粒界の結晶相としてダイシリケートや
シリコンオキシナイトライド等を析出させた窒化珪素質
焼結体も提案されている。しかしながら、このような結
晶相を析出させることにより耐酸化性を向上させること
ができるが、逆に高温強度が低下するといった問題があ
った。
【0007】よって、本発明は、特に高温における耐酸
化性に優れるとともに、室温から1500℃の高温まで
の温度領域で充分な強度を有する窒化珪素質焼結体と、
その製造方法を提供することを目的とするものである。
化性に優れるとともに、室温から1500℃の高温まで
の温度領域で充分な強度を有する窒化珪素質焼結体と、
その製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは上記の目
的に対してに検討を重ねた結果、粒界の結晶相としてダ
イシリケートおよび/またはモノシリケートからなり、
窒素を含むような結晶相の析出を抑え、且つ窒化珪素結
晶を微細な粒子として存在させることにより、高温強度
を劣化させることなく、高温耐酸化性を高めることがで
きることを見いだし、本発明に至った。
的に対してに検討を重ねた結果、粒界の結晶相としてダ
イシリケートおよび/またはモノシリケートからなり、
窒素を含むような結晶相の析出を抑え、且つ窒化珪素結
晶を微細な粒子として存在させることにより、高温強度
を劣化させることなく、高温耐酸化性を高めることがで
きることを見いだし、本発明に至った。
【0009】即ち、本発明の窒化珪素質焼結体は、β−
窒化珪素を70〜97モル%以上含有し、周期律表第3
a族元素化合物および不純物的酸素を周期律表第3a族
元素化合物の酸化物換算および不純物的酸素のSiO2
換算量で合計3〜30モル%含有され、前記不純物的酸
素のSiO2 換算量の前記周期律表第3a族元素化合物
の酸化物換算量に対するモル比が2以上の組成からなる
焼結体であって、前記窒化珪素が平均粒径5μm以下の
結晶粒子として存在するとともに、該結晶粒子の粒界が
ダイシリケートおよび/またはモノシリケートの結晶相
からなり、窒素原子を含む結晶相が存在しないことを特
徴とするものである。
窒化珪素を70〜97モル%以上含有し、周期律表第3
a族元素化合物および不純物的酸素を周期律表第3a族
元素化合物の酸化物換算および不純物的酸素のSiO2
換算量で合計3〜30モル%含有され、前記不純物的酸
素のSiO2 換算量の前記周期律表第3a族元素化合物
の酸化物換算量に対するモル比が2以上の組成からなる
焼結体であって、前記窒化珪素が平均粒径5μm以下の
結晶粒子として存在するとともに、該結晶粒子の粒界が
ダイシリケートおよび/またはモノシリケートの結晶相
からなり、窒素原子を含む結晶相が存在しないことを特
徴とするものである。
【0010】また、本発明の窒化珪素質焼結体の製造方
法によれば、α−窒化珪素を90%以上含有する窒化珪
素粉末を70〜97モル%と、酸化珪素及び周期律表第
3a族酸化物を合計で3〜30モル%からなり、酸化珪
素量の周期律表第3a族元素の酸化物換算量に対する比
率が2以上の割合からなる混合粉末を成形する工程と、
該成形体を1500〜1700℃の温度で焼成し、β−
窒化珪素の量が70%以上で、粒界結晶相にダイシリケ
ートおよび/またはモノシリケートが析出した焼結体を
得る工程と、該焼結体を1700℃を超え、2000℃
以下の温度で焼成し緻密化することを特徴とするもので
ある。
法によれば、α−窒化珪素を90%以上含有する窒化珪
素粉末を70〜97モル%と、酸化珪素及び周期律表第
3a族酸化物を合計で3〜30モル%からなり、酸化珪
素量の周期律表第3a族元素の酸化物換算量に対する比
率が2以上の割合からなる混合粉末を成形する工程と、
該成形体を1500〜1700℃の温度で焼成し、β−
窒化珪素の量が70%以上で、粒界結晶相にダイシリケ
ートおよび/またはモノシリケートが析出した焼結体を
得る工程と、該焼結体を1700℃を超え、2000℃
以下の温度で焼成し緻密化することを特徴とするもので
ある。
【0011】さらに,本発明の窒化珪素質焼結体の製造
方法によれば、珪素、あるいは窒化珪素と珪素を窒化物
換算で70〜97モル%と、酸化珪素及び周期律表第3
a族酸化物を合計で3〜30モル%からなり、酸化珪素
量の周期律表第3a族元素の酸化物換算量に対する比率
が2以上の割合からなる混合粉末を成形する工程と、該
成形体を窒素含有雰囲気中で800〜1500℃で熱処
理して前記珪素を窒化させる工程と、該窒化物を150
0〜1700℃の温度で焼成し、β−窒化珪素の量が7
0%以上で、粒界結晶相にダイシリケートおよび/また
はモノシリケートが析出した焼結体を得る工程と、該焼
結体を1700℃を超え、2000℃以下の温度で焼成
し緻密化することを特徴とするものである。
方法によれば、珪素、あるいは窒化珪素と珪素を窒化物
換算で70〜97モル%と、酸化珪素及び周期律表第3
a族酸化物を合計で3〜30モル%からなり、酸化珪素
量の周期律表第3a族元素の酸化物換算量に対する比率
が2以上の割合からなる混合粉末を成形する工程と、該
成形体を窒素含有雰囲気中で800〜1500℃で熱処
理して前記珪素を窒化させる工程と、該窒化物を150
0〜1700℃の温度で焼成し、β−窒化珪素の量が7
0%以上で、粒界結晶相にダイシリケートおよび/また
はモノシリケートが析出した焼結体を得る工程と、該焼
結体を1700℃を超え、2000℃以下の温度で焼成
し緻密化することを特徴とするものである。
【0012】以下、本発明を詳述する。本発明の窒化珪
素質焼結体は、窒化珪素を主成分とするもので、さらに
周期律表第3a族元素および不純物的酸素を含む。ここ
で、不純物的酸素とは、焼結体中の全酸素量から酸化珪
素を除く添加成分に帰属する酸素量を差し引いた残りの
酸素量であり、そのほとんどは窒化珪素原料に含まれる
酸素、あるいは添加される酸化珪素、場合によっては製
造過程での吸着酸素などとして混入するものであり、こ
れらは全てSi−Oの化学結合を含む、例えばSiO2
を形成するものと考えられる。
素質焼結体は、窒化珪素を主成分とするもので、さらに
周期律表第3a族元素および不純物的酸素を含む。ここ
で、不純物的酸素とは、焼結体中の全酸素量から酸化珪
素を除く添加成分に帰属する酸素量を差し引いた残りの
酸素量であり、そのほとんどは窒化珪素原料に含まれる
酸素、あるいは添加される酸化珪素、場合によっては製
造過程での吸着酸素などとして混入するものであり、こ
れらは全てSi−Oの化学結合を含む、例えばSiO2
を形成するものと考えられる。
【0013】本発明の窒化珪素質焼結体は、組織的に
は、窒化珪素結晶相を主相とするものであるが、窒化珪
素結晶は、柱状晶から構成され、その短軸径の平均粒径
が5μm以下、特に1〜3μmの微細な結晶粒子から構
成されるものである。また結晶粒子の長軸径/短軸径で
表されるアスペクト比は平均で5〜15の比較的小さい
値を有することが大きな特徴である。このように結晶粒
子の平均径およびアスペクト比が小さいことに起因して
焼結体の機械的強度を高めることができる。従って、短
軸径の平均粒径が5μmより大きいとこの窒化珪素結晶
粒子自体が破壊源となり、機械的強度が劣化する。また
アスペクト比は特に靱性に対して影響を及ぼすが、平均
で5より小さいと靱性が低く、15を超えると強度が低
下する傾向にある。なお、この窒化珪素のほとんどはβ
−Si3 N4 からなる。
は、窒化珪素結晶相を主相とするものであるが、窒化珪
素結晶は、柱状晶から構成され、その短軸径の平均粒径
が5μm以下、特に1〜3μmの微細な結晶粒子から構
成されるものである。また結晶粒子の長軸径/短軸径で
表されるアスペクト比は平均で5〜15の比較的小さい
値を有することが大きな特徴である。このように結晶粒
子の平均径およびアスペクト比が小さいことに起因して
焼結体の機械的強度を高めることができる。従って、短
軸径の平均粒径が5μmより大きいとこの窒化珪素結晶
粒子自体が破壊源となり、機械的強度が劣化する。また
アスペクト比は特に靱性に対して影響を及ぼすが、平均
で5より小さいと靱性が低く、15を超えると強度が低
下する傾向にある。なお、この窒化珪素のほとんどはβ
−Si3 N4 からなる。
【0014】さらに、本発明の窒化珪素質焼結体は、窒
化珪素結晶相からなる主相の粒界相が結晶化しており、
その結晶がRE2 Si2 O7 で表されるダイシリケート
相および/またはRE2 SiO5 で表されるモノシリケ
ート相からなり、窒素を含むその他の結晶相は存在しな
いことが必要である。これは、上記の結晶相は酸化性雰
囲気における安定性に優れるが、窒素を含む、例えば、
YAM、アパタイト、ワラストナイト、メリライト、シ
リコンオキシナイトライドなどの結晶は、先の結晶に比
較して酸化性雰囲気での安定性に欠けるため、これらの
窒素含有結晶相が粒界相に存在すると焼結体の耐酸化性
が劣化するためである。
化珪素結晶相からなる主相の粒界相が結晶化しており、
その結晶がRE2 Si2 O7 で表されるダイシリケート
相および/またはRE2 SiO5 で表されるモノシリケ
ート相からなり、窒素を含むその他の結晶相は存在しな
いことが必要である。これは、上記の結晶相は酸化性雰
囲気における安定性に優れるが、窒素を含む、例えば、
YAM、アパタイト、ワラストナイト、メリライト、シ
リコンオキシナイトライドなどの結晶は、先の結晶に比
較して酸化性雰囲気での安定性に欠けるため、これらの
窒素含有結晶相が粒界相に存在すると焼結体の耐酸化性
が劣化するためである。
【0015】よって、窒素を含む上記の結晶相は、例え
ばCu−Kα線を用いたX線回折測定において、前述し
たダイシリケート相やモノシリケート相に起因する最大
ピークがチャートから突出しないような一般的な感度で
の測定において、窒素含有結晶に起因するピークが何ら
検出されないことが必要である。
ばCu−Kα線を用いたX線回折測定において、前述し
たダイシリケート相やモノシリケート相に起因する最大
ピークがチャートから突出しないような一般的な感度で
の測定において、窒素含有結晶に起因するピークが何ら
検出されないことが必要である。
【0016】本発明における焼結体の具体的組成として
は、β−窒化珪素を70〜97モル%、特に85〜93
モル%含有し、周期律表第3a族元素化合物および不純
物的酸素を周期律表第3a族元素化合物の酸化物換算お
よび不純物的酸素のSiO2換算量で合計3〜30モル
%、特に7〜15モル%含有され、前記不純物的酸素の
SiO2 換算量の前記周期律表第3a族元素化合物の酸
化物換算量(RE2 O3 )に対するモル比、即ちSiO
2 /RE2 O3 モル比が2以上、特に2.1〜3.8の
組成からなる。組成を上記のように限定したのは、β−
窒化珪素量が70モル%より低いか、周期律表第3a族
元素化合物および不純物的酸素の量が合計で30モル%
を超えると、高温強度が劣化し、β−窒化珪素量が97
モル%を超えたり、周期律表第3a族元素化合物および
不純物的酸素の量が合計で3モル%を下回ると、焼結が
不十分となり緻密な焼結体が得られにくい。また、Si
O2 /RE2 O3 モル比が2未満では、前述したような
窒素含有結晶相が生成されてしまう。
は、β−窒化珪素を70〜97モル%、特に85〜93
モル%含有し、周期律表第3a族元素化合物および不純
物的酸素を周期律表第3a族元素化合物の酸化物換算お
よび不純物的酸素のSiO2換算量で合計3〜30モル
%、特に7〜15モル%含有され、前記不純物的酸素の
SiO2 換算量の前記周期律表第3a族元素化合物の酸
化物換算量(RE2 O3 )に対するモル比、即ちSiO
2 /RE2 O3 モル比が2以上、特に2.1〜3.8の
組成からなる。組成を上記のように限定したのは、β−
窒化珪素量が70モル%より低いか、周期律表第3a族
元素化合物および不純物的酸素の量が合計で30モル%
を超えると、高温強度が劣化し、β−窒化珪素量が97
モル%を超えたり、周期律表第3a族元素化合物および
不純物的酸素の量が合計で3モル%を下回ると、焼結が
不十分となり緻密な焼結体が得られにくい。また、Si
O2 /RE2 O3 モル比が2未満では、前述したような
窒素含有結晶相が生成されてしまう。
【0017】本発明において用いられる周期律表第3a
族元素としては、Y、Yb、Er、Dy、Ho、Tb、
Sc、Tm、Luなどが挙げられるが、これらの中で
も、Er、Tm、Yb、Luの元素はY等に比較してイ
オン半径が小さいことから、粒界において生成される結
晶相の粘性が高く焼結体の強度を高める作用が顕著であ
る。これらの中でも特にLu(ルテチウム)を必須の元
素として含むことが望ましい。
族元素としては、Y、Yb、Er、Dy、Ho、Tb、
Sc、Tm、Luなどが挙げられるが、これらの中で
も、Er、Tm、Yb、Luの元素はY等に比較してイ
オン半径が小さいことから、粒界において生成される結
晶相の粘性が高く焼結体の強度を高める作用が顕著であ
る。これらの中でも特にLu(ルテチウム)を必須の元
素として含むことが望ましい。
【0018】なお、本発明の焼結体中には、上記組成以
外にTiN、TiC,TaC、TaN、VC、NbC、
WC、WSi2 、Mo2 C、WO3 などの周期律表4
a、5a、6a族金属やそれらの炭化物、窒化物、珪化
物またはSiCなどが、分散粒子やウイスカーとして本
発明の焼結体中に独立した相として存在しても特性を劣
化させるような影響が小さいことからこれらを周知技術
に基づき、適量添加して複合材料として特性の改善を行
うことも当然可能である。
外にTiN、TiC,TaC、TaN、VC、NbC、
WC、WSi2 、Mo2 C、WO3 などの周期律表4
a、5a、6a族金属やそれらの炭化物、窒化物、珪化
物またはSiCなどが、分散粒子やウイスカーとして本
発明の焼結体中に独立した相として存在しても特性を劣
化させるような影響が小さいことからこれらを周知技術
に基づき、適量添加して複合材料として特性の改善を行
うことも当然可能である。
【0019】しかし、Al、Mg、Ca、Fe等の金属
は低融点の酸化物を形成しこれにより粒界相の結晶化が
阻害されるとともに高温強度を劣化させるため、酸化物
換算量で合量で1重量%以下、特に0.5重量%以下、
さらに望ましくは0.1重量%以下に制御することがよ
い。
は低融点の酸化物を形成しこれにより粒界相の結晶化が
阻害されるとともに高温強度を劣化させるため、酸化物
換算量で合量で1重量%以下、特に0.5重量%以下、
さらに望ましくは0.1重量%以下に制御することがよ
い。
【0020】次に、本発明の上述した窒化珪素質焼結体
を製造するための方法について説明すると、まず、出発
原料としてα−窒化珪素を90%以上含有する窒化珪素
粉末を70〜97モル%、特に85〜93モル%と、周
期律表第3a族元素酸化物、および酸化珪素がが合計で
3〜30モル%、特に7〜15モル%であり、酸化珪素
量(SiO2 )の周期律表第3a族元素酸化物に対する
(SiO2 /RE2 O3 )モル比率が2以上、特に2.
1〜3.8になるように調合する。なお、酸化珪素につ
いては、窒化珪素粉末中に含まれる不純物酸素もSiO
2 として存在すると仮定して酸化珪素量に含めるもので
ある。
を製造するための方法について説明すると、まず、出発
原料としてα−窒化珪素を90%以上含有する窒化珪素
粉末を70〜97モル%、特に85〜93モル%と、周
期律表第3a族元素酸化物、および酸化珪素がが合計で
3〜30モル%、特に7〜15モル%であり、酸化珪素
量(SiO2 )の周期律表第3a族元素酸化物に対する
(SiO2 /RE2 O3 )モル比率が2以上、特に2.
1〜3.8になるように調合する。なお、酸化珪素につ
いては、窒化珪素粉末中に含まれる不純物酸素もSiO
2 として存在すると仮定して酸化珪素量に含めるもので
ある。
【0021】なお、本発明において窒化珪素原料は0.
4〜1.2μmの平均粒径を有し、陽イオン不純物は1
重量%以下、特に0.5重量%以下、不純物酸素量が
0.5〜2.0重量%が適当であり、直接窒化法、イミ
ド分解法などのいずれの製法によるものであっても構わ
ない。しかし、窒化珪素粉末中のα量を上記のように限
定したのは、α−窒化珪素量が90%未満では焼結性が
低下し焼結過程での結晶粒子の制御が難しいため、微細
な組織を形成しにくくなり強度が低下するためである。
また、窒化珪素量、周期律表第3a族元素酸化物量、酸
化珪素量については、焼結体における組成限定と同様な
理由によるものである。
4〜1.2μmの平均粒径を有し、陽イオン不純物は1
重量%以下、特に0.5重量%以下、不純物酸素量が
0.5〜2.0重量%が適当であり、直接窒化法、イミ
ド分解法などのいずれの製法によるものであっても構わ
ない。しかし、窒化珪素粉末中のα量を上記のように限
定したのは、α−窒化珪素量が90%未満では焼結性が
低下し焼結過程での結晶粒子の制御が難しいため、微細
な組織を形成しにくくなり強度が低下するためである。
また、窒化珪素量、周期律表第3a族元素酸化物量、酸
化珪素量については、焼結体における組成限定と同様な
理由によるものである。
【0022】上記のように調合された混合粉末を十分に
攪拌混合した後に、その混合粉末を公知の成形方法、例
えば、プレス成形、鋳込み成形、押出成形、射出成形、
排泥成形、冷間静水圧成形等により所望の形状に成形す
る。
攪拌混合した後に、その混合粉末を公知の成形方法、例
えば、プレス成形、鋳込み成形、押出成形、射出成形、
排泥成形、冷間静水圧成形等により所望の形状に成形す
る。
【0023】次に、得られた成形体を公知の焼成方法、
例えば、ホットプレス方法、常圧焼成、窒素ガス圧焼成
等を用いて焼成する。この時、本発明によれば、まず、
該成形体を1500〜1700℃の温度で焼成し、β−
窒化珪素の量が70%以上、特に80%以上で、粒界結
晶相にダイシリケート相および/またはモノシリケート
相が析出した焼結体を得る。この第1の焼成工程におい
て、β−窒化珪素の量を上記範囲に特定したのは、β−
窒化珪素の量が70%より少ないと、その後、焼結過程
で窒化珪素の粒成長が盛んになる結果、窒化珪素結晶粒
が粗粒となり、緻密化しないためである。また、第1焼
成工程では、ダイシリケート相および/またはモノシリ
ケート相を析出させるために、分解反応等に伴う組成の
変動を抑制するために雰囲気においてSiOガスを含有
させることが望ましい。このSiOガスは、SiO2 粉
末やSi/SiO2 混合粉末等を炉内に配置させること
により発生できる。
例えば、ホットプレス方法、常圧焼成、窒素ガス圧焼成
等を用いて焼成する。この時、本発明によれば、まず、
該成形体を1500〜1700℃の温度で焼成し、β−
窒化珪素の量が70%以上、特に80%以上で、粒界結
晶相にダイシリケート相および/またはモノシリケート
相が析出した焼結体を得る。この第1の焼成工程におい
て、β−窒化珪素の量を上記範囲に特定したのは、β−
窒化珪素の量が70%より少ないと、その後、焼結過程
で窒化珪素の粒成長が盛んになる結果、窒化珪素結晶粒
が粗粒となり、緻密化しないためである。また、第1焼
成工程では、ダイシリケート相および/またはモノシリ
ケート相を析出させるために、分解反応等に伴う組成の
変動を抑制するために雰囲気においてSiOガスを含有
させることが望ましい。このSiOガスは、SiO2 粉
末やSi/SiO2 混合粉末等を炉内に配置させること
により発生できる。
【0024】次に、上記第1焼成工程に引き続き、昇温
して1700℃を超える温度、望ましくは緻密化を完遂
できる温度であり、具体的には1800〜2000℃の
温度で焼成する。
して1700℃を超える温度、望ましくは緻密化を完遂
できる温度であり、具体的には1800〜2000℃の
温度で焼成する。
【0025】上記の焼成工程における雰囲気は、窒素を
含む雰囲気であることが必要であるが、焼成温度が高く
なると窒化珪素の分解が生じやすくなるため、温度に応
じ、窒化珪素の分解平衡圧以上の窒素ガスを導入するこ
とが望ましい。具体的には、第1の焼成工程を1〜3気
圧、第2の焼成工程を5〜100気圧で、第1焼成工程
より第2焼成の方を高圧に設定することが望ましい。
含む雰囲気であることが必要であるが、焼成温度が高く
なると窒化珪素の分解が生じやすくなるため、温度に応
じ、窒化珪素の分解平衡圧以上の窒素ガスを導入するこ
とが望ましい。具体的には、第1の焼成工程を1〜3気
圧、第2の焼成工程を5〜100気圧で、第1焼成工程
より第2焼成の方を高圧に設定することが望ましい。
【0026】このような焼成工程後、さらに緻密化を促
進するために、500〜2000気圧のArや窒素ガス
を用いて、1500〜1900℃で熱間静水圧焼成によ
りさらに緻密化を図ることもできる。
進するために、500〜2000気圧のArや窒素ガス
を用いて、1500〜1900℃で熱間静水圧焼成によ
りさらに緻密化を図ることもできる。
【0027】また、本発明の製造方法によれば、高寸法
精度が要求されるような製品を作製する場合には、焼成
時の収縮を抑制するために焼成前の成形体の密度を高め
る必要がある。そのためには、出発原料として珪素、あ
るいは珪素と窒化珪素との混合粉末を所定形状に成形体
した後、窒素を含む雰囲気、特に窒素加圧中で1150
〜1400℃の温度で熱処理して成形体中の珪素を窒化
させて珪素を体積膨張させることにより、成形体密度を
高めることができる。
精度が要求されるような製品を作製する場合には、焼成
時の収縮を抑制するために焼成前の成形体の密度を高め
る必要がある。そのためには、出発原料として珪素、あ
るいは珪素と窒化珪素との混合粉末を所定形状に成形体
した後、窒素を含む雰囲気、特に窒素加圧中で1150
〜1400℃の温度で熱処理して成形体中の珪素を窒化
させて珪素を体積膨張させることにより、成形体密度を
高めることができる。
【0028】このようにして成形体の密度を高めた後、
前述したような第1焼成工程、および第2焼成工程を経
ることにより、本発明の微細な構造を有する高強度で耐
酸化性に優れるとともに、高寸法精度を有する窒化珪素
質焼結体が得られる。
前述したような第1焼成工程、および第2焼成工程を経
ることにより、本発明の微細な構造を有する高強度で耐
酸化性に優れるとともに、高寸法精度を有する窒化珪素
質焼結体が得られる。
【0029】
【作用】本発明によれば、窒化珪素結晶粒子の粒界相を
制御し、ダイシリート相および/またはモノシリケート
相の結晶相を析出させ、窒素含有結晶相を析出させない
ことにより、高温での耐酸化性に優れた焼結体を得るこ
とができる。また、それと同時に窒化珪素結晶粒子をβ
型としその粒径を微細化することにより、高温強度を高
めることができる。
制御し、ダイシリート相および/またはモノシリケート
相の結晶相を析出させ、窒素含有結晶相を析出させない
ことにより、高温での耐酸化性に優れた焼結体を得るこ
とができる。また、それと同時に窒化珪素結晶粒子をβ
型としその粒径を微細化することにより、高温強度を高
めることができる。
【0030】また、かかる焼結体の製造方法において、
その焼成工程では、1700℃以下の温度領域では、緻
密化よりも分解反応が激しいために組成が変化しやすい
ため、窒素を含む耐酸化性に劣る結晶相が生成されやす
くなる。この段階で一旦窒素含有結晶相が生成されてし
まうと、1700℃を超える温度での焼成時には緻密化
が急激に進行するために最終焼結体中においても窒素含
有結晶相が残存してしまう。そのため、本発明では、1
700℃以下の温度域で分解反応を抑制しながら、ダイ
シリケート相および/またはモノシリケート相を析出さ
せることにより窒素含有結晶の生成を抑制することがで
きる。
その焼成工程では、1700℃以下の温度領域では、緻
密化よりも分解反応が激しいために組成が変化しやすい
ため、窒素を含む耐酸化性に劣る結晶相が生成されやす
くなる。この段階で一旦窒素含有結晶相が生成されてし
まうと、1700℃を超える温度での焼成時には緻密化
が急激に進行するために最終焼結体中においても窒素含
有結晶相が残存してしまう。そのため、本発明では、1
700℃以下の温度域で分解反応を抑制しながら、ダイ
シリケート相および/またはモノシリケート相を析出さ
せることにより窒素含有結晶の生成を抑制することがで
きる。
【0031】また、本発明では、1700℃以下の温度
においてα−窒化珪素をβ−窒化珪素量が70%以上に
なるように制御することも必要である。このβ−窒化珪
素の析出が不十分なまま、1700℃を超える温度に保
持すると1700℃を超える温度で急激にβ−窒化珪素
が析出する。このようにして析出したβ−窒化珪素は粗
粒になりやすいため、緻密化を阻害したり、細かなボイ
ドが残りやすい。また、異常粒成長も発生しやすいため
に強度の劣化を引き起こすことになる。
においてα−窒化珪素をβ−窒化珪素量が70%以上に
なるように制御することも必要である。このβ−窒化珪
素の析出が不十分なまま、1700℃を超える温度に保
持すると1700℃を超える温度で急激にβ−窒化珪素
が析出する。このようにして析出したβ−窒化珪素は粗
粒になりやすいため、緻密化を阻害したり、細かなボイ
ドが残りやすい。また、異常粒成長も発生しやすいため
に強度の劣化を引き起こすことになる。
【0032】よって、1700℃以下の温度において充
分にβ−窒化珪素を生成させることにより、窒化珪素結
晶の微細化とともにボイドの低減および異常粒成長を抑
制できる結果、室温から高温までの強度に優れた焼結体
を得ることができる。
分にβ−窒化珪素を生成させることにより、窒化珪素結
晶の微細化とともにボイドの低減および異常粒成長を抑
制できる結果、室温から高温までの強度に優れた焼結体
を得ることができる。
【0033】
【実施例】原料粉末として窒化珪素粉末(BET比表面
積7〜10m2 /g、α率80〜98%、酸素量1.0
〜1.2重量%、陽イオン不純物0.05重量%以下、
イミド分解法)と周期律表第3a族元素酸化物粉末、酸
化珪素粉末を用いて表1、2に示す組成になるように調
合して混合後、ラバープレスにより3ton/cm2 の
圧力で直径60mm、厚み40mmの成形体を作製し
た。そして、得られた成形体をGPS焼成炉に配置し、
表1に示す第1焼成条件で焼成した後、第2焼成条件と
して1900〜2050℃、N2 圧10atmで10時
間焼成した。なお、焼成炉中には組成変動を抑制するた
めにSi/SiO2 粉末を配置した。また、上記の焼成
過程において、第1焼成後の結晶相については、別途第
1焼成後の焼成物を取り出し、X線回折測定によりβ−
窒化珪素量および粒界結晶相の同定を行った。
積7〜10m2 /g、α率80〜98%、酸素量1.0
〜1.2重量%、陽イオン不純物0.05重量%以下、
イミド分解法)と周期律表第3a族元素酸化物粉末、酸
化珪素粉末を用いて表1、2に示す組成になるように調
合して混合後、ラバープレスにより3ton/cm2 の
圧力で直径60mm、厚み40mmの成形体を作製し
た。そして、得られた成形体をGPS焼成炉に配置し、
表1に示す第1焼成条件で焼成した後、第2焼成条件と
して1900〜2050℃、N2 圧10atmで10時
間焼成した。なお、焼成炉中には組成変動を抑制するた
めにSi/SiO2 粉末を配置した。また、上記の焼成
過程において、第1焼成後の結晶相については、別途第
1焼成後の焼成物を取り出し、X線回折測定によりβ−
窒化珪素量および粒界結晶相の同定を行った。
【0034】また、表中、試料No.24〜26について
は、出発原料に純度99.99%以上の珪素粉末を添加
し、試料No.24では.珪素を窒化珪素換算で30重量
%、窒化珪素粉末を59.5重量%、試料No.25では
珪素を窒化珪素換算で50重量%,窒化珪素粉末を4
9.5重量%,試料No.26では珪素を窒化珪素換算で
89.5重量%添加したものであり、これらの混合粉末
を用いて成形した後、これらの混合粉末に対して成形し
た後,この成形体を窒素10気圧下で、1150℃2時
間、1300℃2時間、さらに1400℃2時間の温度
パターンで熱処理して珪素を窒化珪素に変換した後、前
述と同様な方法により焼成を行った。
は、出発原料に純度99.99%以上の珪素粉末を添加
し、試料No.24では.珪素を窒化珪素換算で30重量
%、窒化珪素粉末を59.5重量%、試料No.25では
珪素を窒化珪素換算で50重量%,窒化珪素粉末を4
9.5重量%,試料No.26では珪素を窒化珪素換算で
89.5重量%添加したものであり、これらの混合粉末
を用いて成形した後、これらの混合粉末に対して成形し
た後,この成形体を窒素10気圧下で、1150℃2時
間、1300℃2時間、さらに1400℃2時間の温度
パターンで熱処理して珪素を窒化珪素に変換した後、前
述と同様な方法により焼成を行った。
【0035】得られた焼結体に対して、それぞれアルキ
メデス法に基づく比重測定を行い対理論密度比を算出す
るとともに、電子顕微鏡写真から窒化珪素結晶粒子の2
0個の平均粒径(短軸径)、および平均アスペクト比
(長軸径/短軸径)を求めた。
メデス法に基づく比重測定を行い対理論密度比を算出す
るとともに、電子顕微鏡写真から窒化珪素結晶粒子の2
0個の平均粒径(短軸径)、および平均アスペクト比
(長軸径/短軸径)を求めた。
【0036】また、焼結体より3×4×40mmのテス
トピース形状に切断研磨しJISR1601に基づき室
温および1500℃の4点曲げ抗折強度試験を実施し、
10個の試験結果の平均値を表1および表2に示した。
また、X線回折測定からβ−窒化珪素以外の粒界結晶相
の同定を行った。さらに、抗折試験片を用いて、900
℃、1500℃の大気中に100時間保持後の重量増加
分を測定した。結果は、表1、2に示した。
トピース形状に切断研磨しJISR1601に基づき室
温および1500℃の4点曲げ抗折強度試験を実施し、
10個の試験結果の平均値を表1および表2に示した。
また、X線回折測定からβ−窒化珪素以外の粒界結晶相
の同定を行った。さらに、抗折試験片を用いて、900
℃、1500℃の大気中に100時間保持後の重量増加
分を測定した。結果は、表1、2に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】表1、2の結果によれば、SiO2 /RE
2 O3 比が2未満の試料No.7ではYAM相が析出して
おり、抗折強度は高いものの、高温酸化性に劣るもので
あった。SiO2 /RE2 O3 比が2以上の試料の中
で、原料におけるα率が90%未満の試料No.3では、
焼結体の窒化珪素粒子径が大きく、強度の向上が図れな
かった。また、試料No.11は、出発組成では本発明の
範囲内であったが、第1焼成工程において長時間保持し
たため、組成が変動してSiO2 /RE2 O3 比が2を
下回り、粒界結晶相としてYAM相が生成された結果、
高温耐酸化性が大幅に劣化した。
2 O3 比が2未満の試料No.7ではYAM相が析出して
おり、抗折強度は高いものの、高温酸化性に劣るもので
あった。SiO2 /RE2 O3 比が2以上の試料の中
で、原料におけるα率が90%未満の試料No.3では、
焼結体の窒化珪素粒子径が大きく、強度の向上が図れな
かった。また、試料No.11は、出発組成では本発明の
範囲内であったが、第1焼成工程において長時間保持し
たため、組成が変動してSiO2 /RE2 O3 比が2を
下回り、粒界結晶相としてYAM相が生成された結果、
高温耐酸化性が大幅に劣化した。
【0040】第1焼成における温度が1700℃を超え
た試料No.9では、粒成長及びボイドが多数残存し強度
の低いものであった。第1焼成後におけるβ−窒化珪素
の生成量が70%に満たない試料No.10においてもボ
イドがあり、窒化珪素結晶粒も大きなものであった。さ
らに、第2焼成における温度が2000℃を超える試料
No.13では、異常粒成長が発生し強度も低いものであ
った。さらに、RE2O3 およびSiO2 量の合計が3
モル%より少ない試料No.22では、十分な密度が得ら
れなかった。
た試料No.9では、粒成長及びボイドが多数残存し強度
の低いものであった。第1焼成後におけるβ−窒化珪素
の生成量が70%に満たない試料No.10においてもボ
イドがあり、窒化珪素結晶粒も大きなものであった。さ
らに、第2焼成における温度が2000℃を超える試料
No.13では、異常粒成長が発生し強度も低いものであ
った。さらに、RE2O3 およびSiO2 量の合計が3
モル%より少ない試料No.22では、十分な密度が得ら
れなかった。
【0041】これらの比較例に対して、本発明の試料
は、いずれも室温強度800MPa以上、1500℃強
度500MPa以上、900℃酸化増量0.1mg/c
m2 以下、1500℃酸化増量0.3mg/cm2 以下
が達成され、特に周期律表第3a族元素としてLuを用
いたものは、1500℃強度で600MPa以上を有す
るものであった。
は、いずれも室温強度800MPa以上、1500℃強
度500MPa以上、900℃酸化増量0.1mg/c
m2 以下、1500℃酸化増量0.3mg/cm2 以下
が達成され、特に周期律表第3a族元素としてLuを用
いたものは、1500℃強度で600MPa以上を有す
るものであった。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
高温において優れた耐酸化性を有するとともに室温から
1500℃までの高い抗折強度を有する窒化珪素質焼結
体を得ることができる。これにより、ガスタービン用部
品をはじめとする熱機関用部品や、構造用部品としての
応用をさらに促進できる。
高温において優れた耐酸化性を有するとともに室温から
1500℃までの高い抗折強度を有する窒化珪素質焼結
体を得ることができる。これにより、ガスタービン用部
品をはじめとする熱機関用部品や、構造用部品としての
応用をさらに促進できる。
Claims (3)
- 【請求項1】β−窒化珪素を70〜97モル%含有し、
周期律表第3a族元素化合物および不純物的酸素を周期
律表第3a族元素化合物の酸化物換算および不純物的酸
素のSiO2 換算量で合計3〜30モル%含有され、前
記不純物的酸素のSiO2 換算量の前記周期律表第3a
族元素化合物の酸化物換算量に対するモル比が2以上の
組成からなる焼結体であって、前記窒化珪素が平均粒径
5μm以下の結晶粒子として存在するとともに、該結晶
粒子の粒界相がダイシリケートおよび/またはモノシリ
ケートの結晶相からなり、窒素原子を含む結晶相が存在
しないことを特徴とする窒化珪素質焼結体。 - 【請求項2】α−窒化珪素を90%以上含有する窒化珪
素粉末を70〜97モル%と、酸化珪素及び周期律表第
3a族酸化物を合計で3〜30モル%からなり、酸化珪
素量の周期律表第3a族元素の酸化物換算量に対する比
率が2以上の割合からなる混合粉末を成形する工程と、
該成形体を窒素含有雰囲気中で1500〜1700℃の
温度で焼成し、β−窒化珪素の量が70%以上で、粒界
結晶相にダイシリケートおよび/またはモノシリケート
が析出した焼結体を得る工程と、該焼結体を1700℃
を超え、2000℃以下の温度で焼成し緻密化すること
を特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方法。 - 【請求項3】珪素、あるいは窒化珪素と珪素を窒化物換
算で70〜97モル%と、酸化珪素及び周期律表第3a
族酸化物を合計で3〜30モル%からなり、酸化珪素量
の周期律表第3a族元素の酸化物換算量に対する比率が
2以上の割合からなる混合粉末を成形する工程と、該成
形体を窒素含有雰囲気中で800〜1500℃で熱処理
して前記珪素を窒化させる工程と、該窒化物を1500
〜1700℃の温度で焼成し、β−窒化珪素の量が70
%以上で、粒界結晶相にダイシリケートおよび/または
モノシリケートが析出した焼結体を得る工程と、該焼結
体を1700℃を超え、2000℃以下の温度で焼成し
緻密化することを特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方
法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6324731A JPH08175873A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 窒化珪素質焼結体およびその製造方法 |
DE19519864A DE19519864B4 (de) | 1994-05-31 | 1995-05-31 | Siliciumnitridsinterprodukt und Verfahren zu seiner Herstellung |
US08/853,410 US5804523A (en) | 1994-05-31 | 1997-05-09 | Sintered product of silicon nitride |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6324731A JPH08175873A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 窒化珪素質焼結体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08175873A true JPH08175873A (ja) | 1996-07-09 |
Family
ID=18169075
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6324731A Pending JPH08175873A (ja) | 1994-05-31 | 1994-12-27 | 窒化珪素質焼結体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08175873A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000247748A (ja) * | 1999-02-22 | 2000-09-12 | Kyocera Corp | 高靭性窒化珪素質焼結体 |
-
1994
- 1994-12-27 JP JP6324731A patent/JPH08175873A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000247748A (ja) * | 1999-02-22 | 2000-09-12 | Kyocera Corp | 高靭性窒化珪素質焼結体 |
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