JPH081747A - 包材の製造方法 - Google Patents

包材の製造方法

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JPH081747A
JPH081747A JP6155322A JP15532294A JPH081747A JP H081747 A JPH081747 A JP H081747A JP 6155322 A JP6155322 A JP 6155322A JP 15532294 A JP15532294 A JP 15532294A JP H081747 A JPH081747 A JP H081747A
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重信 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れたバリアーを有する包材を工業的有利に
製造できる包材の製造方法を提供する。 【構成】 基材上の無機酸化物皮膜に、ポリオレフィン
樹脂を260℃乃至310℃の範囲内でダイから溶融し
て薄膜状に押し出し、かつ、空気との接触時間を0.0
5〜0.2秒の範囲として、上記のポリオレフィン樹脂
における炭素数10000当たりのカルボニル基の数を
0.5個以上とし、無機酸化物皮膜にクラックを発生さ
せることなく、十分に高いラミネート強度を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は包材の製造方法に係り、
特にバリアー性を有する包材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、バリアー性を有する包材が種
々の用途に使用されており、通常、このような包材は、
金属薄膜等のバリアー層を樹脂で挟み込んだ積層構造を
なしている。
【0003】バリアー性を有する包材としては、例え
ば、樹脂フィルムにCu、Al、Ni、Si、Sn等の
無機酸化物の皮膜をスパッタリング、イオンプレーティ
ング等の物理蒸着法や化学蒸着法により形成したもの
(特開平3−275433号)があり、無機酸化物皮膜
は酸素、水分のバリアー材として有用であることが知ら
れている。また、レトルトパウチ用の包材として、ドラ
イラミネート法により金属酸化物皮膜面に樹脂フィルム
をラミネートしたものが開発されている(特開昭62−
103139号)。
【0004】一方、押し出しラミネート法は、汎用的加
工方法として知られ、被ラミネート物に溶融状態の樹脂
を押し出してラミネートするものであり、上記の包材に
適用する場合、ポリオレフィン樹脂等の溶融樹脂が無機
酸化物皮膜等のバリアー層上にラミネートされることに
なる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、押し出
しラミネートによるラミネート強度は、押し出される樹
脂の加熱溶融温度を高くして樹脂の酸化を促進すること
により向上するものであり、低密度ポリエチレン等のポ
リオレフィン樹脂の押し出しラミネートの場合、310
〜330℃の高温で溶融したポリオレフィン樹脂を使用
するため、この溶融樹脂が無機酸化物皮膜に接触する
と、いわゆる熱負けによるクラックが無機酸化物皮膜に
発生して、バリアー性の低下を来すという問題があっ
た。このため、バリアー性を有する包材の製造は、従来
よりドライラミネート法が採られていたが、製造コスト
の低減において限界があった。本発明は上述のような実
情に鑑みてなされたものであり、優れたバリアーを有す
る包材を工業的有利に製造できる包材の製造方法を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は無機酸化物皮膜を有する基材の該無
機酸化物皮膜面に、ダイから260℃乃至310℃の範
囲で溶融して薄膜状に押し出され空気との接触時間が
0.05〜0.2秒の範囲内であり炭素数10000当
たりのカルボニル基の数が0.5個以上であるようなポ
リオレフィン樹脂をラミネートするような構成とした。
【0007】以下、本発明に係る包材の製造方法につい
て図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】図1は本発明の包材の製造方法を説明する
ための押し出しラミネータの概略図であり、図2は本発
明により製造される包材の一例を示す概略断面図であ
る。図1において、押し出しラミネータ11は、溶融さ
れたポリオレフィン樹脂を薄膜状に押し出すためのダイ
12と、ダイ12から押し出された溶融薄膜状のポリオ
レフィン樹脂Rと供給された基材2とを押圧・冷却して
ラミネートするための冷却ロール13、ニップロール1
4と、基材シート2を冷却ロール13およびニップロー
ル14間に供給するためのアンワインダー15と、成形
された包材1を巻き取るためのワインダー16とを備え
ている。
【0009】本発明において、押し出しラミネータ11
のダイ12は特に制限はなく、合成樹脂シート成形用の
通常のTダイを用いることができる。
【0010】本発明では、ダイ12から押し出された溶
融薄膜状のポリオレフィン樹脂Rのダイ直下での温度は
260℃乃至310℃の範囲であり、また、このポリオ
レフィン樹脂Rと空気との接触時間は0.05〜0.2
秒の範囲内であるため、炭素数10000当たりのカル
ボニル基の数は0.5個以上であることを特徴としてい
る。
【0011】ここで、本発明における炭素数10000
当たりのカルボニル基の数は、ポリオレフィン樹脂の反
射赤外分析法によりカルボニル基に由来する吸収帯(17
40cm-1) の吸光度から、下記の式にしたがって算出する
ことができる。
【0012】
【数1】 1 :1740cm-1近傍のベースライン(1800〜1650cm-1
傍の曲線の共通接線)の透過率(%) I2 :1740cm-1の透過率(%) I3 :1370cm-1近傍のベースライン(1450〜1250cm-1
傍の曲線の共通接線)の透過率(%) I4 :1370cm-1の透過率(%) 吸光係数:1.07 次に、図2に示される包材1を例にして本発明の包材の
製造方法を説明する。図2に示される包材1は、基材2
とポリオレフィン樹脂層5とを有しており、基材2は樹
脂シート3および無機酸化物皮膜4との積層体であり、
包材1としては3層構造をなしている。
【0013】このような包材1は、ダイ12から薄膜状
に溶融されて押し出されたポリオレフィン樹脂Rが、ア
ンワインダー15から供給された基材2の無機酸化物皮
膜4上にラミネートされ、冷却ロール13とニップロー
ル14とで押圧・冷却されることにより成形される。
【0014】この際、上述のように、ダイ12から押し
出された溶融薄膜状のポリオレフィン樹脂Rの温度は2
60℃乃至310℃の範囲にあり、従来の押し出しラミ
ネートによるポリオレフィン樹脂の溶融温度(310〜
330℃)に比べて低温に設定されているため、基材シ
ート2の無機酸化物皮膜4は溶融されたポリオレフィン
樹脂Rに接触しても、いわゆる熱負けによるクラックを
生じることはない。
【0015】また、ダイ12から押し出された溶融薄膜
状のポリオレフィン樹脂Rは、冷却ロール13とニップ
ロール14との間に到達するまでに、雰囲気である空気
との接触時間が0.05〜0.2秒間あり、この空気接
触時間が確保されることにより、アンワインダー15か
ら供給された基材2の無機酸化物皮膜4上にラミネート
される際には、ポリオレフィン樹脂Rにおける炭素数1
0000当たりのカルボニル基の数は0.5個以上とな
り、表面酸化度としては高い状態となる。このため、上
記のような比較的低い溶融温度(260〜310℃)で
あっても、無機酸化物皮膜4とポリオレフィン樹脂層5
とのラミネート強度は、ラミネート直後ではやや低いも
のの、経時により無機酸化物皮膜に悪影響を与えること
なく十分な強度(150g/15mm幅 以上)まで向上す
る。尚、上記の接触時間が0.05秒未満であると、カ
ルボニル基の生成量が不十分であり、また、0.2秒を
超えると溶融樹脂の冷却が始まり、十分な接着強度が得
られなくなる。
【0016】また、本発明では、図3に示されるような
包材21を製造することも可能である。包材21は、基
材22、ポリオレフィン樹脂層25およびポリオレフィ
ン樹脂シート26とを有しており、基材22は樹脂シー
ト23および無機酸化物皮膜24との積層体であり、包
材21としては4層構造をなしている。
【0017】このような包材21は、図4に示されるよ
うにポリオレフィン樹脂シート26を冷却ロール13と
ニップロール14間に供給するためのアンワインダー1
7を備えた押し出しラミネータ11´により製造可能で
ある。すなわち、ダイ12からポリオレフィン樹脂Rが
薄膜状に押し出され、アンワインダー15からは基材2
2が、アンワインダー17からはポリオレフィン樹脂フ
ィルム26がそれぞれ供給されて、基材22の無機酸化
物皮膜24上に溶融ポリオレフィン樹脂Rを介してポリ
オレフィン樹脂フィルム26がラミネートされ、冷却ロ
ール13とニップロール14とで押圧・冷却されること
により成形される。尚、図4の押し出しラミネータ11
´は、アンワインダー17を備えている点を除いて図1
に示される押し出しラミネータ11と同じであるため、
同一部材には同一の番号を付して説明は省略する。
【0018】また、本発明により製造できる包材の構造
は、上記の包材1、21に限定されるものではなく、例
えば、ポリエチレンテレフタレート層/ポリオレフィン
層/無機酸化物皮膜/ポリエチレンテレフタレート層/
ポリオレフィン層の5層構造等、任意に変更することが
できる。尚、上記の5層構造の包材においては、ポリエ
チレンテレフタレート層とポリオレフィン層との間にア
ンカーコート剤層を介在させてもよい。
【0019】上述のような包材1,21の基材2,22
を構成する樹脂シート3,23としは、熱安定性の点か
らポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアル
コール共重合体、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリブ
チレンテレフタレート等の二軸延伸樹脂シートが好まし
く使用できる。また、耐熱性に優れたポリカーボネー
ト、ポリイミド、ポリアリレート等の未延伸樹脂シート
も使用することができる。
【0020】さらに、基材2,22を構成する無機酸化
物皮膜4,24は、Mg、Si、Al、Sn、Ni等の
無機酸化物皮膜(厚さ5〜2000nm)とすることが
できる。このような無機酸化物皮膜の形成は、真空蒸着
法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、プラ
ズマ溶射の他、化学蒸着法等により行うことができる。
【0021】尚、ラミネート強度を向上させるために無
機酸化物皮膜4,24上にアンカーコート剤層を設ける
ことができる。アンカーコート剤層は、ウレタン系アン
カーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート
剤、有機チタン系アンカーコート剤、ゴム系アンカーコ
ート剤、ポリエステル系アンカーコート剤等を用いて塗
布量0.2〜1.0g/m2 の範囲で選ぶことができ
る。
【0022】本発明において用いるポリオレフィン樹脂
としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン
−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンーアクリル
酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合
体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体
(EEA)、エチレン−αオレフィン共重合体、および
これらのブレンド化物、または共重合体等を挙げること
ができる。そして、このポリオレフィン樹脂は、ダイか
ら溶融されて押し出された状態で、上述のように温度は
260℃乃至310℃の範囲であり、雰囲気である空気
との接触時間が0.05〜0.2秒間であるため、アン
ワインダーから供給された基材の無機酸化物皮膜上にラ
ミネートされる際には、その炭素数10000当たりの
カルボニル基の数を0.5個以上とすることができる。
【0023】
【作用】ダイから溶融して薄膜状に押し出されたポリオ
レフィン樹脂は、溶融温度が260℃乃至310℃の範
囲内であるため、基材上の無機酸化物皮膜にクラックを
発生させることがなく、かつ、上記の溶融ポリオレフィ
ン樹脂は、空気との接触時間が0.05〜0.2秒の範
囲内であるため炭素数10000当たりのカルボニル基
の数が0.5個以上であり、これにより、無機酸化物皮
膜とのラミネート強度が十分に高いものとなる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の内容および効果を実施例によ
り更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えな
い限り以下に記載の例に限定されるものではない。
【0025】基材として、二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレート樹脂シートにシリカ系酸化物皮膜を蒸着して形
成した基材No.1(三菱化成(株)製 テックバリア
H、厚さ12μm)を準備した。また、溶融押し出しに
用いるポリオレフィン樹脂として、低密度ポリエチレン
(LDPE)(三井石油化学(株)製 M11P)およ
びエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)(三井
石油化学(株)製 N1108C)を準備した。
【0026】一方、比較として、軟質アルミニウム箔
(厚さ30μm)からなる基材No.2、および、二軸
延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シートにアルミニ
ウム蒸着層を形成した基材No.3(東洋紡(株)製
T7071、厚さ12μm)を準備した。さらに、溶融
押し出しに用いるポリオレフィン樹脂として、低密度ポ
リエチレン(三井石油化学(株)製 M−11P)を準
備した。
【0027】次に、下記の表1に示される条件で基材上
にポリオレフィン樹脂を押し出してポリオレフィン樹脂
層(厚さ30μm)をラミネートし、包材を作成した
(試料1〜22)。
【0028】
【表1】 そして、上記の各包材について、ラミネート直後のラミ
ネート強度および2週間経過後のラミネート強度、酸素
バリアー値を、下記に記載した条件で測定し、結果を表
2に示した。 (ラミネート強度の測定条件)JIS Z1707に準
じて測定した。
【0029】・剥離速度 : 100mm/分 ・剥離方法 : T字剥離 (酸素バリアー値の測定条件)酸素モーコン法により測
定した。
【0030】
【表2】 表2に示されるように、本発明の製造方法により作成さ
れた包材(試料2〜4、6、7)は、ラミネート直後に
おけるラミネート強度がやや低かったものの、2週間経
過により十分な強度(150g/15mm幅 以上)まで向
上し、かつ、酸素バリアー性も良好な値を示している。
【0031】これに対して、試料1はポリオレフィン樹
脂の溶融温度が低く、試料9〜11は酸素との接触時間
が不十分で押し出されたポリオレフィン樹脂における炭
素数10000当たりのカルボニル基の数が本発明で必
須とする範囲にないものであり、ラミネート強度は2週
間経過しても不十分なものであった。また、試料5、1
2は、押し出されたポリオレフィン樹脂の温度が本発明
で必須とする温度範囲より高いため、無機酸化物皮膜に
クラックが発生して、酸素バリアー性が大幅に低下した
ものとなっている。また、試料8はポリオレフィン樹脂
における炭素数10000当たりのカルボニル基の数が
本発明の範囲にあるものの、ポリオレフィン樹脂の溶融
温度が低く、かつ酸素との接触時間が長すぎたため、十
分なラミネート強度が得られていない。
【0032】さらに、試料13、14、17、18、2
1では、ポリオレフィン樹脂の溶融温度は本発明で必須
とする温度範囲にあるものの、アルミニウムとポリオレ
フィン樹脂とのラミネート強度が不十分であり、また、
試料15、16、19、20、22では、アルミニウム
とポリオレフィン樹脂とのラミネート強度が必要最低限
度程度であり、経時によるラミネート強度の向上はみら
れず、包材として安定した特性を備えたものとは言えな
い。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ダイから260℃乃至310℃の温度範囲で溶融して薄
膜状に押し出され、空気との接触時間を0.05〜0.
2秒の範囲内とされたポリオレフィン樹脂が基材上の無
機酸化物皮膜にラミネートされるので、基材上の無機酸
化物皮膜にはクラックが発生せず、また、上記のポリオ
レフィン樹脂においては炭素数10000当たりのカル
ボニル基の数が0.5個以上であるため、ラミネート強
度は初期状態ではやや低いものの、経時により無機酸化
物皮膜に悪影響を与えることなく十分な強度まで向上す
るので、優れたバリアー性を有する包材を安定して製造
することが可能となり、製造コストの低減もなし得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の包材の製造方法を説明するための押し
出しラミネータの概略図である。
【図2】本発明により製造される包材の一例を示す概略
断面図である。
【図3】本発明により製造される包材の他の例を示す概
略断面図である。
【図4】本発明の包材の製造方法の他の例を説明するた
めの押し出しラミネータの概略図である。
【符号の説明】
1,21…包材 2,22…基材 3,23…樹脂シート 4,24…無機酸化物皮膜 5,25…ポリオレフィン樹脂層 26…ポリオレフィン樹脂シート R…溶融薄膜状のポリオレフィン樹脂 11,11´…押し出しラミネータ 12…ダイ 13…冷却ロール 14…ニップロール 15,17…アンワインダー 16…ワインダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 23:00 B29L 9:00 (72)発明者 吉田 重信 茨城県牛久市東猯穴町1000 三菱化成株式 会社内 (72)発明者 久保田 哲哉 茨城県牛久市東猯穴町1000 三菱化成株式 会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機酸化物皮膜を有する基材の該無機酸
    化物皮膜面に、ダイから260℃乃至310℃の範囲で
    溶融して薄膜状に押し出され空気との接触時間が0.0
    5〜0.2秒の範囲内であり炭素数10000当たりの
    カルボニル基の数が0.5個以上であるようなポリオレ
    フィン樹脂をラミネートすることを特徴とする包材の製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002307536A (ja) * 2001-04-11 2002-10-23 Toyo Seikan Kaisha Ltd 酸素吸収性多層フイルムの製造方法
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