JPH08174190A - 傾動鋳造法及び装置 - Google Patents

傾動鋳造法及び装置

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JPH08174190A
JPH08174190A JP33464294A JP33464294A JPH08174190A JP H08174190 A JPH08174190 A JP H08174190A JP 33464294 A JP33464294 A JP 33464294A JP 33464294 A JP33464294 A JP 33464294A JP H08174190 A JPH08174190 A JP H08174190A
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岳 長尾
Tsutomu Kukida
勉 久木田
Kenji Niidate
健二 新楯
Michihiro Nishida
光寛 西田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長物製品の鋳造に際し、湯道や堰の容積を大
きくすることなく、鋳巣のない健全な鋳物を製造するこ
と。 【構成】 長物の製品を鋳造する傾動鋳造法において、
鋳型30の長手方向の一端側に設けた湯口30Aの側傍
に注湯ホッパ17を設け、鋳型30を横置き側から縦置
き側に傾動させ、この傾動中にホッパ17から注湯する
もの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動二輪車用アウタチ
ューブ等の長物の製品を鋳造する傾動鋳造法及び装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、長物の製品を鋳造する方案におけ
る設計の考え方は以下の如くである。 (a) 鋳物の凝固が押湯に向かって指向性を持つよう適当
な温度勾配をつける。
【0003】(b) 鋳物の凝固が始まる前に鋳型内に溶湯
が充填されるように湯道、堰の大きさを決める。
【0004】(c) 鋳込みのとき、湯が空気を巻き込んだ
り、酸化物を生ずる攪乱が起きないよう湯口、湯道を設
計する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、長物の製
品については、その形状の特性から湯道、堰の容積が大
きくなり、以下の如くの欠点がある。 製品歩留まりが悪い。 押湯の切断工数が余分にかかる。 押湯切断部の仕上げ工数が余分にかかる。
【0006】尚、前述(c) を考慮し、鋳型の長手方向を
水平に対し一定角度だけ固定的に傾斜させた状態で、注
湯することも考えられる。この場合には、鋳込み時の外
部空気の巻き込みは抑制できるものの、注湯速度が鋳込
み最終段階まで遅いために湯による鋳型内空気の押し切
り性が悪く、結果として鋳巣の発生を招くことがある。
【0007】本発明は、長物製品の鋳造に際し、湯道や
堰の容積を大きくすることなく、鋳巣のない健全な鋳物
を製造することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、長物の製品を鋳造する傾動鋳造法において、鋳型の
長手方向の一端側に設けた湯口の側傍に注湯ホッパを設
け、鋳型を横置き側から縦置き側に傾動させ、この傾動
中にホッパから注湯するようにしたものである。
【0009】請求項2に記載の本発明は、請求項1に記
載の本発明において更に、前記鋳型が左右一対の型の結
合からなり、両型の分離面を鉛直面上に設定してなるも
のである。
【0010】請求項3に記載の本発明は、長物の製品を
鋳造する傾動鋳造装置において、架台と、架台に対し傾
動可能に支持される傾動台と、傾動台の一方側に固定さ
れる固定型と、傾動台の他方側に支持され、固定型に対
して接離するように移動可能とされ、固定型と結合して
鋳型を形成する可動型と、可動型を固定型に対して接離
する接離装置と、傾動台を傾動させる傾動装置と、固定
型もしくは可動型の長手方向の一端側に設けた湯口の側
傍に配設される注湯ホッパとを有してなるものである。
【0011】
【作用】請求項1、3に記載の本発明によれば、下記
、の作用がある。 鋳型を横置き側から縦置き側に傾動させる過程で常に
注湯する方案であり、注湯を極力層流状態で行なうこと
ができ、鋳込みのときの空気巻き込み等の攪乱を抑制で
きる。また、湯の速度は鋳型が起立するにつれて速くな
り、湯による鋳型内空気の押し切り性も良い。
【0012】尚、鋳型の傾動速度は製品形状等に応じ
て、その傾動過程で可変とすることができる。
【0013】上記により、長物製品の鋳造に際し、
湯道や堰の容積を大きくすることなく、鋳巣のない健全
な鋳物を製造することができる。従って、製品歩留まり
を向上し、押湯の切断工数を削減し、押湯切断部の仕上
げ工数を削減できる。
【0014】請求項2に記載の本発明によれば、下記
の作用がある。 鋳型は、左右一対の型の分離面を鉛直面上に設定され
ながら、横置き状態から縦置き状態に傾動せしめられ
る。従って、鋳込み時に、湯道から供給される湯によっ
て鋳型内の鉛直上部空間に押し上げられる鋳型内空気は
その鋳型上部に存在する型分離面からスムースに外部に
抜け出るものとなり、鋳型内空気の排出性を向上でき
る。図4(A)は従来法、(B)は本発明法である。
【0015】このとき、湯道(押湯)を鋳型下部に設け
ることにより、鋳型への湯充填方向と、鋳型からの空気
抜け方向が下から上へ向かう一方通行となり、上述の鋳
型内空気の排出性を確実に向上し、ひいては溶湯充填性
を確実に向上できる。
【0016】
【実施例】図1は本発明の一実施例に係る傾動鋳造装置
を示す模式図、図2は図1の要部断面図、図3は鋳型の
傾動状態を示す模式図、図4は鋳型の型分離面を示す模
式図である。
【0017】傾動鋳造装置10は、図1、図2に示す如
く、架台11と、傾動台12と、固定型13と、可動型
14と、接離シリンダ15(接離装置)と、傾動モータ
16(傾動装置)と、注湯ホッパ17とを有して構成さ
れている。
【0018】傾動台12は、左右の傾動台ベース12
A、12Bをガイドバー12Cにより連結してなり、架
台11の左右の軸受台11A、11Bに対し傾動可能に
支持されている。具体的には、左傾動台ベース12Aに
固定の押出しシリンダ18を軸受台11Aに枢着すると
ともに、右傾動台ベース12Bに固定の接離シリンダ1
5を軸受台11Bに枢着することにて、傾動台12を傾
動可能としている。
【0019】傾動台12の左傾動台ベース12Aには固
定型13が支持バー21により一体支持されている。こ
のとき、左傾動台ベース12Aと固定型13との間には
左押出しプレート22が配置されている。左押出しプレ
ート22は前述の押出しシリンダ18のロッド18Aに
連結され、その前面に押出しピン22Aを突出させてい
る。左押出しプレート22が左傾動台ベース12Aに接
する位置で、押出しピン22Aの先端は固定型13の型
表面より僅かに没入して位置する。
【0020】傾動台12の右傾動台ベース12Bには接
離シリンダ15のロッド15Aが貫通し、ロッド15A
の先端には可動台ベース23が接合され、可動台ベース
23はガイドバー12Cにスライド自在に支持されてい
る。可動台ベース23には支持バー24により可動型1
4が一体支持されている。このとき、可動型14と可動
台ベース23の中間には右押出しプレート25が配置さ
れている。右押出しプレート25には押出しピン25A
が貫装されている。無負荷の場合、押出しピン25Aの
先端は可動型14の型表面から僅かに没入して位置し、
基端は右傾動台ベース12Bの表面に衝合する位置にあ
るように、右押出しプレート25と可動台ベース23の
間にばね26が介装されている。
【0021】接離シリンダ15は可動台ベース23、可
動型14を固定型13に対して接離させる。固定型13
と可動型14はこれにより結合して鋳型30を形成す
る。このとき、鋳型30は両型13、14の分離面31
を鉛直面上に設定する(図4(B))。尚、鋳型30
は、横置き状態で、湯道(押湯)32を鉛直下部に設定
するように構成されている。
【0022】傾動モータ16は、その出力軸に固定の巻
掛車41、左傾動台ベース12Aに固定の押出しシリン
ダ18に固定の巻掛車42、巻掛ベルト43を介して、
傾動台12を傾動せしめる。これにより、傾動モータ1
6は、鋳型30を横置き側から縦置き側に傾動可能とす
る。傾動速度はその傾動過程で変更できる。
【0023】注湯ホッパ17は、左傾動台ベース12A
に設置され、固定型13の長手方向の一端側に設けた湯
口30Aの側傍に配置される。ホッパ17は、傾動モー
タ16による鋳型30の傾動中に注湯する。
【0024】尚、左傾動台ベース12Aには中子支持台
51が設けられ、中子支持台51に設置されている中子
支持ブラケット用シリンダ52、支持台51に枢着され
ている中子支持ブラケット53を介して、中子50を鋳
型30内に挿入可能としている。53Aは枢着ピンであ
る。
【0025】以下、傾動鋳造装置10による鋳造作業手
順について説明する。 [注湯前] (1) 接離シリンダ15の作動により、可動型14を固定
型13に接近させる。
【0026】(2) 固定型13と可動型14の間隙が所定
の間隙になったとき、中子支持ブラケット用シリンダ5
2が伸び、中子支持ブラケット53が揺動して中子50
を鋳型30内に落とす。
【0027】(3) 接離シリンダ15が固定型13と可動
型14を型合わせ位置に保持する。
【0028】(4) 傾動モータ16が傾動台12を傾動開
始する。
【0029】[注湯中] (1) 傾動モータ16による傾動台12の傾動により、固
定型13、可動型14が形成する鋳型30が横置き側か
ら縦置き側に傾動し、この傾動中に、注湯ホッパ17か
ら鋳型30へ注湯する(図3、図4)。
【0030】(2) ホッパ17による注湯開始は、左傾動
台ベース12Aへのホッパ17の取付位置関係によって
定まる。本実施例では、鋳型30が水平位置から38度傾
動した位置から注湯開始し、鋳型30が水平位置から90
度起立した位置で注湯完了する。
【0031】(3) 傾動モータ16により鋳型30の傾動
速度も鋳型30の傾動位置に応じて変更できる。本実施
例では、鋳型30の水平に対する傾斜角が38度〜50度の
範囲における傾動速度V1 と、50度〜90度の範囲におけ
る傾動速度V2 とを、V2 /V1 =2〜3に設定する。
これにより、注湯を極力層流状態で行ない、鋳込み時の
攪乱を抑制できる。
【0032】[注湯後] (1) 鋳造完了後、接離シリンダ15により、固定型13
と可動型14を分離する。このとき、同時に、左傾動台
ベース12Aの側の押出しシリンダ18が伸び、左押出
しプレート22の押出しピン22Aが鋳型30内の製品
を押し、製品を固定型13から離型する。
【0033】(2) 接離シリンダ15が可動台ベース23
を所定位置に戻すと、右押出しプレート25の押出しピ
ン25Aが右傾動台ベース12Bの表面に当たり、接離
シリンダ15が更に縮むと、押出しピン25Aが鋳型3
0内の製品を押し、製品を可動型14から離型する。
【0034】以下、本実施例の作用について説明する。 鋳型30を横置き側から縦置き側に傾動させる過程で
常に注湯する方案であり、注湯を極力層流状態で行なう
ことができ、鋳込みのときの空気巻き込み等の攪乱を抑
制できる。また、湯の速度は鋳型30が起立するにつれ
て速くなり、湯による鋳型30内空気の押し切り性も良
い。
【0035】尚、鋳型30の傾動速度は製品形状等に応
じて、その傾動過程で可変とすることができる。
【0036】上記により、長物製品の鋳造に際し、
湯道32や堰の容積を大きくすることなく、鋳巣のない
健全な鋳物を製造することができる。従って、製品歩留
まりを向上し、押湯の切断工数を削減し、押湯切断部の
仕上げ工数を削減できる。
【0037】鋳型30は、左右一対の型13、14の
分離面31を鉛直面上に設定されながら、横置き状態か
ら縦置き状態に傾動せしめられる。従って、鋳込み時
に、湯道から供給される湯によって鋳型30内の鉛直上
部空間に押し上げられる鋳型30内の空気はその鋳型3
0の上部に存在する型分離面からスムースに外部に抜け
出るものとなり、鋳型30内の空気の排出性を向上でき
る。図4(A)は従来法、(B)は本発明法である。
【0038】このとき、湯道(押湯)32を鋳型30の
下部に設けることにより、鋳型30への湯充填方向と、
鋳型30からの空気抜け方向が下から上へ向かう一方通
行となり、上述の鋳型30内の空気の排出性を確実に向
上し、ひいては溶湯充填性を確実に向上できる。
【0039】以上、本発明の実施例を図面により詳述し
たが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があっても本発明に含まれる。
【0040】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、長物製品
の鋳造に際し、湯道や堰の容積を大きくすることなく、
鋳巣のない健全な鋳物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る傾動鋳造装置を
示す模式図である。
【図2】図2は図1の要部断面図である。
【図3】図3は鋳型の傾動状態を示す模式図である。
【図4】図4は鋳型の型分離面を示す模式図である。
【符号の説明】
10 傾動鋳造装置 11 架台 12 傾動台 13 固定型 14 可動型 15 接離シリンダ(接離装置) 16 傾動モータ(傾動装置) 17 注湯ホッパ 30 鋳型 30A 湯口 31 分離面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 光寛 静岡県磐田郡浅羽町松原字駒川2601 株式 会社ショーワ浅羽工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長物の製品を鋳造する傾動鋳造法におい
    て、鋳型の長手方向の一端側に設けた湯口の側傍に注湯
    ホッパを設け、鋳型を横置き側から縦置き側に傾動さ
    せ、この傾動中にホッパから注湯することを特徴とする
    傾動鋳造法。
  2. 【請求項2】 前記鋳型が左右一対の型の結合からな
    り、両型の分離面を鉛直面上に設定してなる請求項1記
    載の傾動鋳造法。
  3. 【請求項3】 長物の製品を鋳造する傾動鋳造装置にお
    いて、 架台と、 架台に対し傾動可能に支持される傾動台と、 傾動台の一方側に固定される固定型と、 傾動台の他方側に支持され、固定型に対して接離するよ
    うに移動可能とされ、固定型と結合して鋳型を形成する
    可動型と、 可動型を固定型に対して接離する接離装置と、 傾動台を傾動させる傾動装置と、 固定型もしくは可動型の長手方向の一端側に設けた湯口
    の側傍に配設される注湯ホッパとを有してなることを特
    徴とする傾動鋳造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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