JPH08174177A - 筒状ダイカスト用部材およびその製造方法 - Google Patents

筒状ダイカスト用部材およびその製造方法

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JPH08174177A
JPH08174177A JP32854294A JP32854294A JPH08174177A JP H08174177 A JPH08174177 A JP H08174177A JP 32854294 A JP32854294 A JP 32854294A JP 32854294 A JP32854294 A JP 32854294A JP H08174177 A JPH08174177 A JP H08174177A
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die casting
coating layer
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casting member
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Kenji Yamamoto
兼司 山本
Takenori Nakayama
武典 中山
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来技術における様な問題を生じることな
く、耐溶損性、耐摩耗性および耐熱サイクル性のいずれ
にも優れ、必要によって保温性にも優れたダイカスト用
部材を提供する。 【構成】 溶融金属と接触する部分に用いられる筒状の
ダイカスト用部材であって、内周面が露出する様に分割
された2以上の部品を接合することによって構成すると
共に、前記内周面に被覆層が形成されたものである。ま
た必要によって、前記母材の一部または全部をTi合金
製にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融金属と接触する部
分に用いられるダイカスト用部材およびその製造方法に
関し、殊にプランジャースリーブや湯口等の様な筒状ダ
イカスト用部材の性能を更に向上する為の技術に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ダイカスト法は、溶融金属を加圧下で金
型内に噴射して成型する金型鋳造法の一種である。この
方法で溶融金属と接触する部分に用いられる前記各種の
ダイカスト用部材には、(a)溶融金属との接触・反応
による溶損が発生しないこと、(b)高温摩擦条件下で
摩耗が発生しないこと、(c)加熱・冷却の繰り返しに
よる熱サイクルの条件下でヒートクラックが発生しない
こと、等の特性が要求される。即ち、ダイカスト用部材
は、耐溶損性、耐摩耗性および耐熱サイクル性に優れて
いることが必要である。
【0003】Alのダイカストプロセスで用いられるダ
イカスト用部材としては、従来からSKD61に代表さ
れるダイス鋼が多用されている。しかしながら、ダイス
鋼(以下、SKD61で代表することがある)のままで
使用すると、上記(a)〜(c)の特性が不十分であ
り、耐久性の点で問題がある。こうしたことから、SK
D61をダイカスト用部材として使用する際には、上記
SKD61を母材とし、その表面に被覆層を形成した状
態で使用するのが一般的である。
【0004】ところでダイカスト用部材には、プランジ
ャースリーブの様に、溶融金属を金型内に噴射する際
に、溶融金属を一時的に蓄えておく機能を有する部材も
あるが、こうした部材に適用するに当たっては、前記ダ
イカスト用部材には上記(a)〜(c)の基本的特性に
加え、保温性にも優れていることが要求される。こうし
た保温性の点から見ると、SKD61等の鉄系金属材料
は熱伝導率が十分に小さいものではなく、保温性が必ず
しも優れているとは言えず、鉄系金属材料に変わる母の
適用が望まれていた。そこで近年では、熱伝導率が比較
的小さいことから、上記ダイス鋼に代わってTi−6A
l−4等のTi合金が母材として有望視される様になっ
ている。しかしながら、このTi合金を用いる場合にお
いても、耐溶損性および耐摩耗性については十分な特性
を有していると言えなかった。
【0005】こうしたことから、Ti合金をダイカスト
用部材として使用する際においても、上記Ti合金1を
母材とし、その表面に被覆層を形成した状態で使用する
のが一般的である。
【0006】被覆層を形成する為の一般的な表面処理法
としては、物理的蒸着法(PVD法)、化学的気相成長
法(CVD法)、溶射法、窒化処理、酸化処理および硼
化処理等の各種の方法が挙げる。例えば、特開昭52−
146729号には、溶融アルミ浴浸漬部材に関するも
のであるが、30重量%以上がWCで残部がCo,N
i,Si等の耐熱性金属含む耐食被覆層を、鋳鉄や鋼か
らなる基材表面に溶射等によって形成する技術が提案さ
れている。また特開昭64−44256号には、窒化処
理による窒化チタン皮膜や酸化処理による酸化チタン皮
膜等を、Ti合金母材表面に形成する技術が提案されて
いる。更に、特公昭53−28128号には、タングス
テン、タングステン合金、モリブデンまたはモリブデン
合金を母材とするものであるが、該母材表面に窒化物お
よび硼化物の混在した複合表面被服層を形成する技術が
提案されている。
【0007】しかしながら、上記の様な各種方法によっ
て、母材表面に被覆層を形成してダイカスト用部材を製
造するに当たっては、その条件によって下記の様な不都
合が生じたり、制約があったりする。例えば上記PVD
法においては、ダイカスト用部材がダイカスト用金型、
プランジャーチップ、中子ピンの様に、表面処理される
部分が外部に露出している部材においては問題はない
が、蒸発源からコーティング物質が直線的に飛来するも
のであるので、前記プランジャースリーブや湯口等の様
に、特に筒状のダイカスト用部材にあっては、その内面
に被覆を均一に形成することは極めて困難である(後記
図2参照)。
【0008】またCVD法にあっては、筒状のダイカス
ト用部材にも比較的均一な被覆層を形成することはでき
るが、実際問題として筒状のダイカスト用部材に適用す
ると、その反応が制約され、希望する特性の被覆層が形
成され難いという問題がある。尚特開平3−71613
号には、スリーブの内面にCVD法によって炭窒化チタ
ン皮膜を被覆する技術について提案されているが、その
具体的な構成まで開示している訳ではない。
【0009】更に、溶射法にあっては、表面処理される
部分が外部に露出している部材においてはそれほど問題
はないのは上記各方法と同様であるが、筒状ダイカスト
用部材に適用するに当たっては、溶射機の構造上の制約
から、適用できる筒状ダイカスト用部材の内径に限りが
あり、或る一定の内径(例えば、50mm)よりも小さ
くなれば適用できなくなるという問題がある。
【0010】こうしたことから、筒状ダイカスト用部材
に被覆層を形成するに当たっては、前記特開昭64−4
4256号に開示された様な窒化処理、酸化処理または
硼化処理等が適用されるのが一般的であり、これらの方
法では、筒状ダイカスト用部材においても、金型等の単
純形状のものと同様に被覆層を形成することができる。
しかしながら、これらの方法によって形成される皮膜層
は、前記(a)〜(c)の特性が十分であるとは言え
ず、必ずしも満足する結果が得られているとは言えない
という決定的な欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした従来
技術における技術的課題を解決する為になされたもので
あって、その目的は、従来技術における様な問題を生じ
ることなく、耐溶損性、耐摩耗性および耐熱サイクル性
のいずれにも優れ、必要により保温性にも優れた筒状ダ
イカスト用部材、およびその様な筒状ダイカスト部材を
製造する為の有用な方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明とは、溶融金属と接触する部分に用いられる筒状のダ
イカスト用部材であって、内周面が露出する様に分割さ
れた2以上の部品を接合するによって構成すると共に、
前記内周面に被覆層が形成されたものである点に要旨を
有する筒状ダイカスト用部材である。
【0013】上記筒状ダイカスト用部材において、前記
被覆層は、物理的蒸着法によって形成されたものとする
ことによって、本発明の効果が最大限に発揮される。ま
たこの被覆層は、窒化チタンまたは窒化クロムであるこ
とが好ましい。更に、保温性を考慮すると、筒状ダイカ
スト用部材の母材は、全部または一部がTi合金製で構
成された母材を用いることが好ましい。一方、上記の様
な各種筒状ダイカスト用部材は、前記複数の部品の露出
された内周面に被覆層を形成した後、該部品を接合する
ことによって製造できる。
【0014】
【作用】筒状ダイカスト用部材の内面に形成する被覆層
としては、その物性からしてPVD法によるものが最も
好ましいと言える。本発明者らは、この様なPVD法を
基本的に適用することを前提とし、筒状ダイカスト部材
の内面に均一な被覆層を形成し耐溶損性、耐摩耗性およ
び耐熱サイクル性のいずれにも優れたダイカスト用部材
の実現を図るべく、様々な角度から検討した。その結
果、内周面が露出する様に分割された2以上の部品を接
合するによって構成して所謂分割式とすると共に、その
内周面に被覆層を形成する様にすれば、コーティング層
を形成する物質がほぼ直線的に飛来するPVD法を適用
しても、均一に被覆層を形成することができ、希望する
物性の筒状ダイカスト用部材が実現できることを見い出
し、本発明を完成した。
【0015】PVD法によって筒状ダイカスト用部材の
内周面に被覆層を形成するに当たっては、従来では図2
に示す様に、一体的に形成された筒状ダイカスト部材1
の外部に蒸発源2を配置して行なっており、この状態で
は蒸発源2から直線的に飛来するコーティング物質を前
記内周面に均一形成することはできなかった。これに対
し本発明においては、図1に示す様に、例えば軸心方向
面によって複数(この図では2)に分割される半割り状
の部品3a,3bとして内周面が外部に露出した状態に
することによって、蒸発源2から直線的に飛来するコー
ティング物質を遮るものがなくなり、該物質を内周面に
均一に被覆することができるのである。そして、前記部
品3a,3bは、内周面に被覆層が形成された後接合さ
れて筒状ダイカスト用部材となる。また上記の構成を採
用すれば、筒状ダイカスト用部材を長期間使用したとき
に、前記被覆層の損傷や消耗が生じても、該ダイカスト
用部材を分解々体して補修や再コーティングが容易に行
なえ、母材自体の使用期間の延長が図れるという利点も
ある。
【0016】前記図1では、軸心方向面によって分割さ
れる半割り状の部品3a,3bを接合する構成を示した
けれども、分割される面は軸心方向面に限らず、軸心方
向に対して傾斜した面であっても良く、或は対応するジ
グザグ状の面を有していても良い。また部品3a,3b
は対称する形状である必要もない。要するに、前記部品
の被覆層が形成されるべき内周面が露出された状態にな
っている様な構成であればよい。また分割される部品の
数についても図1に示した2個に限らず、それ以上であ
っても良いが、余り部品の個数を増やすことは、接合の
際の作業を煩雑にするので好ましくなく、筒状ダイカス
ト部材の形状が大型であって分割数を多くする必要があ
るという制約等がない限り、できるだけ最小限にする方
が良い。
【0017】本発明は、PVD法を適用することを想定
してなされたものであり、従って本発明の効果はPVD
法を適用することによって最大限に発揮されるものであ
り、またこのPVD法は真空蒸着法、各種スパッタリン
グ法、イオンプレーティング法のいずれも含む趣旨であ
るが、本発明の構成を採用すれば、被覆層の均一性の点
で問題のあったCVD法や、使用の際の制約のあった溶
射法を適用しても有効であり、従来における問題や制約
が解消される。
【0018】ところで本発明の筒状ダイカスト部材の内
面に形成される被覆層の種類については、特に限定され
るものではなく、従来から提案されているWCやAl2
3等を更には前記したWC−CoをPVD法や溶射法
等によって形成する様にしても良いが、特に好ましいの
は、アークイオンプレティング法(以下、「AIP法」
と略記する)等のPVD法による窒化チタンや窒化クロ
ムが特に好ましい。本発明者らは、ダイカスト用部材の
内周面に形成する被覆層の種類についてかねてより検討
しており、その研究の一環として、窒化チタン(Ti
N)皮膜や窒化クロム(CrN)皮膜が有効であること
を見い出しており、その技術的意義が認められたので、
先に特許出願している(特願平6−285501号、同
6−285501号)。即ち、これらの皮膜は化学的安
定性の高い硬質皮膜であり、また溶融状態のアルミに浸
漬しても全く溶損されないので、この様な皮膜を筒状ダ
イカスト用部材の内面に被覆層として形成すれば、分割
式である本発明の構成と相俟って筒状ダイカスト用部材
の耐溶損性や耐摩耗性等の特性を格段と向上させること
ができる。
【0019】上記被覆層の厚さについては、特に限定さ
れるものではないが、例えばAIP法によってTiN皮
膜やCrN皮膜を形成する場合には、7〜20μm程度
が最適である。即ち、これらの被覆層の厚さがあまり薄
いと、被覆層に不可避的に存在するピンホール等の母材
に達する欠陥によって母材が溶損することがあるので、
少なくとも7μm以上であることが好ましい。上記欠陥
は厚さの増加と共に減少する傾向があり、その厚さが1
0μm以上では実用上問題のない程度まで上記欠陥が減
少するので、その厚さは10μm以上であることがより
好ましい。しかしながら、この厚さがあまり厚くなり過
ぎても、その効果が飽和するばかりか、被覆層を形成す
るのに要する時間が長くなるので、その上限は20μm
が適当である。尚Ti合金を母材としてその表面を窒化
処理すると、母材表面にはTiN皮膜が形成されるが、
その厚さはせいぜい数μmであり、この様な被覆層では
従来技術で示した様に、十分な特性が得られない。
【0020】一方、溶射法によってWC−Co皮膜を形
成する場合には、被覆層の厚さは、30〜100μm程
度が最適である。即ち、これらの被覆層の厚さがあまり
薄いと、被覆層を形成することによってダイカスト用部
材に前記の機能を付与するという本来の目的が達成され
ない。また厚さがあまり厚くなり過ぎても、上記と同様
にその効果が飽和するばかりか、被覆層を形成するのに
要する時間が長くなる。
【0021】上記の様な被覆層が形成される母材の種類
については、特に限定されるものではなく、従来から用
いられているダイス鋼も用いることもできるが、その全
部または一部がTi合金製であることが好ましい。この
様に母材の全部または一部をTi合金製とすることによ
って、ダイカスト部材の保温性を更に向上させることが
できる。即ち、SKD61の熱伝導率は28.9W/m
・Kであるのに対し、Ti−6Al−4Vの熱伝導率は
7.1W/m・Kと1/4以下であり、母材にTi合金
を適用することによって、従来のダイス鋼を用いた場合
に比べて保温性が良好になるのである。尚Ti合金を適
用するとして「一部」を含めたのは、ダイカスト用部材
はその全てがTi合金が用いられるとは限らず、その一
部についてTi合金を適用するのがむしろ一般的である
ので、この様な場合を想定したからである。
【0022】また母材としてTi合金を用いた場合に
は、その表面に形成する被覆層として前記TiN皮膜や
CrN皮膜を組合わせて採用することは、筒状ダイカス
ト用部材の熱サイクル性を更に向上させるという観点か
らして極めて有効である。即ち、Ti合金の熱膨張率
は、SKD61等のFe基合金と比べて、TiN皮膜や
CrN皮膜等の熱膨張率に近く、夫々の熱膨張率は、T
i−6Al−4V:8.8×10-6/℃,SKD61:
11.6×10-6/℃,TiN:9.3×10-6/℃,
CrN:4.5×10-6/℃である。従って、Ti合金
母材に対して、TiNやCrN等の被覆層を形成するこ
とによって、熱サイクル下で使用しても、被覆層と母材
の熱膨張率の差に起因する熱応力は、SKD61等を用
いた場合よりも小さくなり、被覆層に亀裂が発生しにく
くなるのである。
【0023】尚本発明の筒状ダイカスト用部材として
は、プランジャースリーブや湯口等を取り上げて説明し
たが、本発明における筒状ダイカスト用部材とは、これ
らに限らず、溶湯溜りから溶湯を供給する為のサイフォ
ン管等も含む趣旨である。また分割式の筒状ダイカスト
用部材を作成する際に、各部品を接合する手段について
も、特に限定されるものではなく、例えば溶接やボルト
接合等が挙げられる。
【0024】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0025】
【実施例】Ti−6Al−4VまたはSKD61を機械
加工して図3に示す様な分割式[図3(1)]または一
体式[図3(2)]のプランジャースリーブ4a,4b
の形状とし、これらを洗浄したものを母材として用い、
これに下記の方法によって内周面に被覆層を形成してプ
ランジャースリーブを作成した(供試材1〜15)。こ
のとき分割式プランジャースリーブについては、前記図
1に示した手順に従い、各部品の露出した内周面に被覆
層を形成した後、 によって接合してプランジャー
スリーブとし、また一体式のプランジャースリーブにス
パッタ法によって被覆層を形成する場合については、前
記図2に示した様に外部に配置した蒸発源によって内周
面に被覆層を形成した。尚前記図3において、参照符号
5で示した部分は、前記プランジャースリーブ4a,4
b内に挿入されるプランジャーチップである。
【0026】供試材1 SKD61製母材(分割式)の内周面に、RFスパッタ
リング法によってAl 23 皮膜[皮膜組成:40%A
l−60%O(原子%)]を形成した。 供試材2 SKD61製母材(分割式)の内周面に、CVD法によ
ってWC皮膜(皮膜組成:WC100原子%)を形成し
た。 供試材3 SKD61製母材(分割式)の内周面に、AIP法によ
ってTiN皮膜[皮膜組成:Ti−48%N(原子
%)]を形成した。
【0027】供試材4 SKD61製母材(分割式)の内周面に、AIP法によ
ってCrN皮膜[皮膜組成:Cr−45%N(原子
%)]を形成した。 供試材5 SKD61製母材(分割式)の内周面に、WC粒子およ
びCo粒子を含んだ粉末を使用して容射法によってWC
−Co皮膜[皮膜組成:WC−30%(原子%)]を形
成した。 供試材6 Ti−6Al−4V製母材(分割式)の内周面に、RF
スパッタリング法によってAl23 皮膜を[皮膜組
成:40%Al−60%O(原子%)]を形成した。
【0028】供試材7、8 Ti−6Al−4V製母材(分割式)の内周面に、AI
P法によってTiN皮膜[皮膜組成:Ti−47%N
(原子%)]を形成した。 供試材9、10 Ti−6Al−4V製母材(分割式)の内周面に、AI
P法によってCrN皮膜[皮膜組成:Cr−49%N
(原子%)]を形成した。 供試材11 Ti−6Al−4V製母材(分割式)の内周面に、WC
粒子およびCo粒子を含んだ粉末を使用して容射法によ
ってWC−Co皮膜[皮膜組成:WC−30%(原子
%)]を形成した。
【0029】供試材12 SKD61製母材(一体式)の内周面に、RFスパッタ
リング法によってAl 23 皮膜[皮膜組成:40%A
l−60%O(原子%)]を形成した。 供試材13 SKD61製母材(一体式)の内周面に、窒化処理を行
なって、Feの窒化膜[皮膜組成:Fe−30%N(原
子%)]を形成した。 供試材14 Ti−6Al−4V製母材(一体式)の内周面に、RF
スパッタリング法によってAl23 皮膜[皮膜組成:
40%Al−60%O(原子%)]を形成した。 供試材15 Ti−6Al−4V製母材(一体式)の内周面に、窒化
処理を行なって、Tiの窒化膜[皮膜組成:Ti−48
%(原子%)]を形成した。
【0030】得られた上記各供試材について、耐溶損
性、耐摩耗性、耐熱サイクル性、付回り性および保温性
等の各特性について調査した。その結果を、被覆層形成
条件、被覆層種類および被覆層厚さ等と共に下記表1に
示す。尚表1には、SKD61やTi−6Al−4Vに
被覆層を形成しない母材(一体式)そのものの特性につ
いても、従来例として示した(供試材16、17)。ま
たこれらの特性の評価方法および評価基準は、下記の通
りである。
【0031】(耐溶損性)各プランジャースリーブから
小型試験片を切り出し、この試験片を温度750℃でJ
IS規格AC8CのAl溶湯に3時間浸漬し、そのとき
の減量によって溶損量を測定し、下記の基準で評価し
た。 ◎ :溶損なし ○ :被覆層20%未満溶損 △ :被覆層20%以上溶損 × :被覆層100%溶損 ××:母材の溶損あり
【0032】(耐摩耗性)各プランジャースリーブから
小型試験片を切り出し、この試験片に対しピンオンディ
スク型の摺動摩擦試験機を使用して、相手材のピンとし
て窒化処理を施したSKD61を使用し、温度:400
℃、荷重:10kg/cm2 で1000m摺動後の摩耗
量を測定し、下記の基準で評価した。 ◎ :摩耗なし ○ :被覆層20%未満摩耗 △ :被覆層20%以上摩耗 × :被覆層100%摩耗 ××:母材の摩耗あり
【0033】(耐熱サイクル性)各プランジャースリー
ブから小型試験片を切り出し、高温槽(650℃)およ
び低温槽(水冷)を有する熱サイクル試験機を用い、1
回のサイクルが約2分となる様に、両槽の繰り返し往復
試験を行ない、上記試験片に熱サイクルを負荷した。そ
して、クラックが発生するサイクル数(回)によって評
価した。 ◎ :クラック発生サイクル数が1000以上 ○ :クラック発生サイクル数が500〜1000未満 △ :クラック発生サイクル数が250〜500未満 × :クラック発生サイクル数が250未満
【0034】(付き回り性)被覆層の被覆率で評価し
た。 ◎ :被覆率100% ○ :被覆率50〜100%未満 △ :被覆率25〜50%未満 × :被覆率25%未満(保温性)各供試材中に750
℃の溶湯を保持し、凝固開始までの時間で評価した。 ○ :未処理Ti−6Al−4V母材と同等 △ :未処理SKD61母材と同等
【0035】
【表1】
【0036】表1から明らかな様に、本発明の要件を満
足する実施例のものは、従来の筒状ダイカスト用部材と
比べて、優れた性能を示していることがわかる。特に本
発明の好ましい要件を満足するものでは、その特性向上
が顕著である。
【0037】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、耐
溶損性、耐摩耗性および耐熱サイクル性のいずれにも優
れたダイカスト用部材が実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の筒状ダイカスト用部材を製造する手順
を説明する図である。
【図2】従来における筒状ダイカスト用部材の内面にP
VD法によって被覆層を形成する状態を説明する図であ
る。
【図3】実施例で作成したプランジャースリーブの形状
を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 筒状ダイカスト部材 2 蒸発源 3a,3b 部品 4a,4b プランジャースリーブ 5 プランジャーチップ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属と接触する部分に用いられる筒
    状のダイカスト用部材であって、内周面が露出する様に
    分割された2以上の部品を接合することによって構成す
    ると共に、前記内周面に被覆層が形成されたものである
    ことを特徴とする筒状ダイカスト用部材。
  2. 【請求項2】 前記被覆層は、物理的蒸着法によって形
    成されたものである請求項1に記載の筒状ダイカスト用
    部材。
  3. 【請求項3】 前記被覆層は、窒化チタンまたは窒化ク
    ロムである請求項1または2に記載の筒状ダイカスト用
    部材。
  4. 【請求項4】 筒状ダイカスト用部材の母材は、全部ま
    たは一部がTi合金製で構成された母材を用いるもので
    ある請求項1〜3のいずれかに記載の筒状ダイカスト用
    部材。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の筒状ダ
    イカスト用部材を製造するに当たり、前記複数の部品の
    露出された内周面に被覆層を形成した後、該部品を接合
    することを特徴とする筒状ダイカスト用部材の製造方
    法。
JP32854294A 1994-12-28 1994-12-28 筒状ダイカスト用部材およびその製造方法 Withdrawn JPH08174177A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3733340A1 (de) * 2019-04-30 2020-11-04 Franz Regusewicz Giesswerkzeug für den metalldruckguss

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