JPH08165581A - ダイカスト用部材 - Google Patents
ダイカスト用部材Info
- Publication number
- JPH08165581A JPH08165581A JP30637094A JP30637094A JPH08165581A JP H08165581 A JPH08165581 A JP H08165581A JP 30637094 A JP30637094 A JP 30637094A JP 30637094 A JP30637094 A JP 30637094A JP H08165581 A JPH08165581 A JP H08165581A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coating layer
- die casting
- base material
- resistance
- content
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- Coating By Spraying Or Casting (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐溶損性、耐摩耗性、耐熱サイクル性および
保温性のいずれにも優れたダイカスト用部材を提供す
る。 【構成】 溶融金属と接触する部分に用いられるダカス
ト用部材であって、Ｔｉ合金製母材表面に、ＷＣとＣｏ
を含む被覆層を形成したものである。また必要によっ
て、被覆層中のＣｏ含有量を２０〜５０原子％とした
り、被覆層の厚さを３０〜１００μｍにする。
保温性のいずれにも優れたダイカスト用部材を提供す
る。 【構成】 溶融金属と接触する部分に用いられるダカス
ト用部材であって、Ｔｉ合金製母材表面に、ＷＣとＣｏ
を含む被覆層を形成したものである。また必要によっ
て、被覆層中のＣｏ含有量を２０〜５０原子％とした
り、被覆層の厚さを３０〜１００μｍにする。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、ダイカスト用金型やそ
の部品、例えばプランジャースリーブ、プランジャーチ
ップ、中子ピンおよび湯口等の様に、溶融金属と接触す
る部分に用いられるダイカスト用部材に関するものであ
る。
の部品、例えばプランジャースリーブ、プランジャーチ
ップ、中子ピンおよび湯口等の様に、溶融金属と接触す
る部分に用いられるダイカスト用部材に関するものであ
る。
【０００２】
【従来の技術】ダイカスト法は、溶融金属を加圧下で金
型内に噴射して成型する金型鋳造法の一種である。この
方法で溶融金属と接触する部分に用いられる前記各種の
ダイカスト用部材には、（ａ）溶融金属との接触・反応
による溶損が発生しないこと、（ｂ）高温摩擦条件下で
摩耗が発生しないこと、（ｃ）加熱・冷却の繰り返しに
よる熱サイクルの条件下でヒートクラックが発生しない
こと、等の特性が要求される。即ち、ダイカスト用部材
は、耐溶損性、耐摩耗性および耐熱サイクル性に優れて
いることが必要である。
型内に噴射して成型する金型鋳造法の一種である。この
方法で溶融金属と接触する部分に用いられる前記各種の
ダイカスト用部材には、（ａ）溶融金属との接触・反応
による溶損が発生しないこと、（ｂ）高温摩擦条件下で
摩耗が発生しないこと、（ｃ）加熱・冷却の繰り返しに
よる熱サイクルの条件下でヒートクラックが発生しない
こと、等の特性が要求される。即ち、ダイカスト用部材
は、耐溶損性、耐摩耗性および耐熱サイクル性に優れて
いることが必要である。
【０００３】Ａｌのダイカストプロセスで用いられるダ
イカスト用部材としては、従来からＳＫＤ６１に代表さ
れるダイス鋼が多用されている。しかしながら、ダイス
鋼（以下、ＳＫＤ６１で代表することがある）のままで
使用すると、上記（ａ）〜（ｃ）の特性が不十分であ
り、耐久性の点で問題がある。こうしたことから、ＳＫ
Ｄ６１をダイカスト用部材として使用する際には、上記
ＳＫＤ６１を母材とし、その表面に表面処理を施した状
態で使用するのが一般的である。
イカスト用部材としては、従来からＳＫＤ６１に代表さ
れるダイス鋼が多用されている。しかしながら、ダイス
鋼（以下、ＳＫＤ６１で代表することがある）のままで
使用すると、上記（ａ）〜（ｃ）の特性が不十分であ
り、耐久性の点で問題がある。こうしたことから、ＳＫ
Ｄ６１をダイカスト用部材として使用する際には、上記
ＳＫＤ６１を母材とし、その表面に表面処理を施した状
態で使用するのが一般的である。
【０００４】ＳＫＤ６１に施される表面処理としては、
窒化処理が最も多用されているが、この処理を施しても
上記の特性が十分になるとは言い難く、更なる改良が望
まれている。こうしたことから、ダイカスト用部材の特
性を改善する為の各種の表面処理技術も提案されてい
る。例えば、特開平４−２２５０３３号には、Ｃｒを３
〜５０重量％含むＦｅ−Ｃｒ合金鋼を母材とし、その表
面にＡｌ2 Ｏ3 粒子を３０〜８０重量％含み、残部クロ
ム酸（ＣｒＯ3 ）の加熱により形成される酸化クロム
（Ｃｒ2 Ｏ3 ）からなるセラミックス皮膜を溶射によっ
て形成する技術が提案されている。
窒化処理が最も多用されているが、この処理を施しても
上記の特性が十分になるとは言い難く、更なる改良が望
まれている。こうしたことから、ダイカスト用部材の特
性を改善する為の各種の表面処理技術も提案されてい
る。例えば、特開平４−２２５０３３号には、Ｃｒを３
〜５０重量％含むＦｅ−Ｃｒ合金鋼を母材とし、その表
面にＡｌ2 Ｏ3 粒子を３０〜８０重量％含み、残部クロ
ム酸（ＣｒＯ3 ）の加熱により形成される酸化クロム
（Ｃｒ2 Ｏ3 ）からなるセラミックス皮膜を溶射によっ
て形成する技術が提案されている。
【０００５】一方、特開昭５２−１４６７２９号には、
溶融アルミ浴浸漬部材に関するものであるが、３０重量
％以上がＷＣで残部がＣｏ，Ｎｉ，Ｓｉ等の耐熱性金属
を含む耐食被覆層を、鋳鉄や鋼からなる基材表面に溶射
等によって形成する技術が提案されている。また特公平
２−５５５０２和号には、溶融金属めっき浴用部材に関
するものであるが、Ｃｏを５〜２８重量％含むＷＣ−Ｃ
ｏ系サーメット材料からなる溶射被覆層を、鋼材表面に
形成する技術も提案されている。
溶融アルミ浴浸漬部材に関するものであるが、３０重量
％以上がＷＣで残部がＣｏ，Ｎｉ，Ｓｉ等の耐熱性金属
を含む耐食被覆層を、鋳鉄や鋼からなる基材表面に溶射
等によって形成する技術が提案されている。また特公平
２−５５５０２和号には、溶融金属めっき浴用部材に関
するものであるが、Ｃｏを５〜２８重量％含むＷＣ−Ｃ
ｏ系サーメット材料からなる溶射被覆層を、鋼材表面に
形成する技術も提案されている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様な各種溶射皮膜は、熱膨張率が小さいのが一般的であ
り、特にＳＫＤ６１等の様な鉄系金属材料を母材とした
場合には、溶射皮膜と母材の熱膨張率の違いが顕著にな
って、激しい熱サイクル下での使用時に皮膜剥離が生じ
るという問題がある。
様な各種溶射皮膜は、熱膨張率が小さいのが一般的であ
り、特にＳＫＤ６１等の様な鉄系金属材料を母材とした
場合には、溶射皮膜と母材の熱膨張率の違いが顕著にな
って、激しい熱サイクル下での使用時に皮膜剥離が生じ
るという問題がある。
【０００７】ところでダイカスト用部材には、前記プラ
ンジャースリーブの様に、溶融金属を金型内に噴射する
際に、溶融金属を一時的に蓄えておく機能を有する部材
もあるが、こうした部材に適用するに当たっては、前記
ダイカスト用部材には前記（ａ）〜（ｃ）の基本的特性
に加え、保温性にも優れていることが要求される。こう
した保温性の点から見ると、ＳＫＤ６１等の様な鉄系金
属材料は熱伝導率が十分小さいとは言えず、保温性が必
ずしも優れているとは言えず、鉄系金属材料に変わる母
材の適用が望まれている。こうしたことから近年では、
熱伝導率が小さく溶融金属の保温性に優れることから、
上記ダイス鋼に代わってＴｉ−６Ａｌ−４Ｖ等のＴｉ合
金も母材として有望視される様になっている。しかしな
がら、このＴｉ合金を用いた場合においても、耐溶損性
および耐摩耗性については十分な特性を有しているとは
言えなかった。
ンジャースリーブの様に、溶融金属を金型内に噴射する
際に、溶融金属を一時的に蓄えておく機能を有する部材
もあるが、こうした部材に適用するに当たっては、前記
ダイカスト用部材には前記（ａ）〜（ｃ）の基本的特性
に加え、保温性にも優れていることが要求される。こう
した保温性の点から見ると、ＳＫＤ６１等の様な鉄系金
属材料は熱伝導率が十分小さいとは言えず、保温性が必
ずしも優れているとは言えず、鉄系金属材料に変わる母
材の適用が望まれている。こうしたことから近年では、
熱伝導率が小さく溶融金属の保温性に優れることから、
上記ダイス鋼に代わってＴｉ−６Ａｌ−４Ｖ等のＴｉ合
金も母材として有望視される様になっている。しかしな
がら、このＴｉ合金を用いた場合においても、耐溶損性
および耐摩耗性については十分な特性を有しているとは
言えなかった。
【０００８】本発明はこうした従来技術における技術的
課題を解決する為になされたものであって、その目的
は、耐溶損性、耐摩耗性、耐熱サイクル性および保温性
のいずれにも優れたダイカスト用部材を提供することに
ある。
課題を解決する為になされたものであって、その目的
は、耐溶損性、耐摩耗性、耐熱サイクル性および保温性
のいずれにも優れたダイカスト用部材を提供することに
ある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明とは、溶融金属と接触する部分に用いられるダイカス
ト用部材であって、Ｔｉ合金製母材表面上に、ＷＣとＣ
ｏを含む被覆層を形成したものである点に要旨を有する
ものである。
明とは、溶融金属と接触する部分に用いられるダイカス
ト用部材であって、Ｔｉ合金製母材表面上に、ＷＣとＣ
ｏを含む被覆層を形成したものである点に要旨を有する
ものである。
【００１０】上記ダイカスト用部材において、前記被覆
層中のＣｏ含有量が、２０〜５０原子％であることが好
ましく、この被覆層の厚さは、３０〜１００μｍである
ことが好ましい。また前記被覆層は、溶射によって形成
されたものが最も好ましい。尚前記被覆層中のＣｏ含有
量は、３０〜５０原子％であることがより好ましい。
層中のＣｏ含有量が、２０〜５０原子％であることが好
ましく、この被覆層の厚さは、３０〜１００μｍである
ことが好ましい。また前記被覆層は、溶射によって形成
されたものが最も好ましい。尚前記被覆層中のＣｏ含有
量は、３０〜５０原子％であることがより好ましい。
【００１１】
【作用】本発明者らは、耐溶損性、耐摩耗性、耐熱サイ
クル性および保温性のいずれにも優れたダイカスト用部
材の実現を図るべく、母材表面に形成する被覆層の種類
と、該被覆層を形成する母材の種類との最適な組合せに
ついて、様々な角度から検討した。
クル性および保温性のいずれにも優れたダイカスト用部
材の実現を図るべく、母材表面に形成する被覆層の種類
と、該被覆層を形成する母材の種類との最適な組合せに
ついて、様々な角度から検討した。
【００１２】まず本発明者らは、表面被覆物質としてＷ
Ｃ−Ｃｏに着目し、その物性について検討した。その結
果、ＷＣ−Ｃｏは硬度が高く耐摩耗性に優れ、且つ自由
エネルギー（生成自由エネルギー）が負の大きな値をと
ることによって溶融アルミと反応しにくく耐溶損性にも
優れたものであり、しかも十分な靭性を有しており、ダ
イカスト用部材の母材表面に形成付する被覆層として最
適な特性を具備していることがわかった。そして上記Ｗ
Ｃ−Ｃｏ被覆層を形成すべき母材として、Ｔｉ合金製母
材を用いれば、Ｔｉ合金が本来有する良好な保温性に加
え、耐熱サイクル性も更に向上させることができ、従来
のダイカスト用部材の特性を凌駕するダイカスト用部材
が実現できることを見い出し、本発明を完成した。
Ｃ−Ｃｏに着目し、その物性について検討した。その結
果、ＷＣ−Ｃｏは硬度が高く耐摩耗性に優れ、且つ自由
エネルギー（生成自由エネルギー）が負の大きな値をと
ることによって溶融アルミと反応しにくく耐溶損性にも
優れたものであり、しかも十分な靭性を有しており、ダ
イカスト用部材の母材表面に形成付する被覆層として最
適な特性を具備していることがわかった。そして上記Ｗ
Ｃ−Ｃｏ被覆層を形成すべき母材として、Ｔｉ合金製母
材を用いれば、Ｔｉ合金が本来有する良好な保温性に加
え、耐熱サイクル性も更に向上させることができ、従来
のダイカスト用部材の特性を凌駕するダイカスト用部材
が実現できることを見い出し、本発明を完成した。
【００１３】本発明の構成を採用することによって、耐
熱サイクル性が更に向上した理由については、次の様に
考えることができる。即ち、Ｔｉ合金の熱膨張率は、Ｓ
ＫＤ６１等のＦｅ基合金と比べてＷＣ−Ｃｏ皮膜の熱膨
張率に近く、夫々の熱膨張率は、Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ：
８．８×１０-6／℃，ＳＫＤ６１：１１．６×１０-6／
℃，ＷＣ−Ｃｏ：（６．０〜７．３）×１０-6／℃であ
る。従って、Ｔｉ合金を母材とし、該母材表面にＷＣ−
Ｃｏ被覆層を形成することによって、熱サイクル下で使
用しても、被覆層と母材の熱膨張率の差に起因する熱応
力は、ＳＫＤ６１等を母材として用いた場合よりも小さ
くなり、被覆層に亀裂が発生しにくくなり、また従来問
題となっていた皮膜剥離も生じないのである。
熱サイクル性が更に向上した理由については、次の様に
考えることができる。即ち、Ｔｉ合金の熱膨張率は、Ｓ
ＫＤ６１等のＦｅ基合金と比べてＷＣ−Ｃｏ皮膜の熱膨
張率に近く、夫々の熱膨張率は、Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ：
８．８×１０-6／℃，ＳＫＤ６１：１１．６×１０-6／
℃，ＷＣ−Ｃｏ：（６．０〜７．３）×１０-6／℃であ
る。従って、Ｔｉ合金を母材とし、該母材表面にＷＣ−
Ｃｏ被覆層を形成することによって、熱サイクル下で使
用しても、被覆層と母材の熱膨張率の差に起因する熱応
力は、ＳＫＤ６１等を母材として用いた場合よりも小さ
くなり、被覆層に亀裂が発生しにくくなり、また従来問
題となっていた皮膜剥離も生じないのである。
【００１４】前記ＷＣ−Ｃｏ被覆層中のＣｏ含有量は、
２０〜５０原子％であることが好ましい。即ち、前記被
覆層中のＮ含有量を上記の範囲内とすることによって、
被覆層の耐溶損性、耐摩耗性および耐熱サイクル性のい
ずれも優れた特性を発揮させることができるのである。
その理由について、図面を用いて更に詳細に説明する。
２０〜５０原子％であることが好ましい。即ち、前記被
覆層中のＮ含有量を上記の範囲内とすることによって、
被覆層の耐溶損性、耐摩耗性および耐熱サイクル性のい
ずれも優れた特性を発揮させることができるのである。
その理由について、図面を用いて更に詳細に説明する。
【００１５】図１は、ＷＣ−Ｃｏ被覆層中のＣｏ含有量
が、ビッカース硬度や耐熱サイクル性に及ぼす影響を示
すグラフである。尚耐熱サイクル性については、水冷−
６５０℃加熱の繰り返しによる熱サイクル試験時を行っ
たときに、Ｔｉ合金製母材表面に形成したＷＣ−Ｃｏ被
覆層にクラックが発生するサイクル数で評価した。また
図１には、ビッカース硬度や耐熱サイクル性の実用レベ
ルについても同時に示した。
が、ビッカース硬度や耐熱サイクル性に及ぼす影響を示
すグラフである。尚耐熱サイクル性については、水冷−
６５０℃加熱の繰り返しによる熱サイクル試験時を行っ
たときに、Ｔｉ合金製母材表面に形成したＷＣ−Ｃｏ被
覆層にクラックが発生するサイクル数で評価した。また
図１には、ビッカース硬度や耐熱サイクル性の実用レベ
ルについても同時に示した。
【００１６】図１から明らかな様に、Ｃｏ含有量が２０
原子％未満では被覆層の硬度が上昇して良好な耐摩耗性
が得られるが、このときバインダーの役目を果たすＣｏ
含有量の減少によって靭性が乏しくなり、耐熱サイクル
性が悪くなる。一方、Ｃｏ含有量が５０原子％を超える
と、耐熱サイクル性は向上するが、このときＣｏ含有量
が増加することによって硬度低下し、耐摩耗性が悪くな
る。またＣｏは溶融Ａｌに対して溶解し易い性質を有し
ているので、Ｃｏ含有量が増えるにつれて耐溶損性も低
下し、特にＣｏ含有量が８０原子％を超えるとＣｏの溶
出が著しくなる。従って、ダイカスト用部材の溶損性、
耐摩耗性および耐熱サイクル性のいずれも高性能に保持
するには、ＷＣ−Ｃｏ被覆層中のＣｏ含有量を２０〜５
０原子％にするのが好ましいことが分かる。尚Ｃｏ含有
量のより好ましい範囲は、図１から明らかな様に、３０
〜５０原子％程度であり、この範囲では本発明の効果が
最大限に発揮される。
原子％未満では被覆層の硬度が上昇して良好な耐摩耗性
が得られるが、このときバインダーの役目を果たすＣｏ
含有量の減少によって靭性が乏しくなり、耐熱サイクル
性が悪くなる。一方、Ｃｏ含有量が５０原子％を超える
と、耐熱サイクル性は向上するが、このときＣｏ含有量
が増加することによって硬度低下し、耐摩耗性が悪くな
る。またＣｏは溶融Ａｌに対して溶解し易い性質を有し
ているので、Ｃｏ含有量が増えるにつれて耐溶損性も低
下し、特にＣｏ含有量が８０原子％を超えるとＣｏの溶
出が著しくなる。従って、ダイカスト用部材の溶損性、
耐摩耗性および耐熱サイクル性のいずれも高性能に保持
するには、ＷＣ−Ｃｏ被覆層中のＣｏ含有量を２０〜５
０原子％にするのが好ましいことが分かる。尚Ｃｏ含有
量のより好ましい範囲は、図１から明らかな様に、３０
〜５０原子％程度であり、この範囲では本発明の効果が
最大限に発揮される。
【００１７】上記被覆層の厚さについては、特に限定さ
れるものではないが、３０〜１００μｍ程度が最適であ
る。即ち、被覆層の厚さがあまり薄いと、被覆層を形成
することによってダイカスト用部材に前記の機能を付与
するという本来の目的が達成されず、一方厚さがあまり
厚くなり過ぎても、その効果が飽和するばかりか、被覆
層を形成するのに要する時間が長くなる。
れるものではないが、３０〜１００μｍ程度が最適であ
る。即ち、被覆層の厚さがあまり薄いと、被覆層を形成
することによってダイカスト用部材に前記の機能を付与
するという本来の目的が達成されず、一方厚さがあまり
厚くなり過ぎても、その効果が飽和するばかりか、被覆
層を形成するのに要する時間が長くなる。
【００１８】上記被覆層を形成する方法については、特
に限定されるものではなく、例えば各種スパッタリング
法、イオンプレーティング法、化学気相成長法（ＣＶＤ
法）、湿式めっき法および容射法等各種の方法が適用で
きるが、このうち特に好ましいのは容射法である。即
ち、容射法では、プランジャースリーブや湯口等の複雑
形状の母材に、比較的厚い被覆層を均一に且つ密着性良
く形成することができるが、容射法以外の上記他の方法
では、複雑形状母材への処理、密着性および厚膜化の少
なくともいずれかの点で若干の問題がある。
に限定されるものではなく、例えば各種スパッタリング
法、イオンプレーティング法、化学気相成長法（ＣＶＤ
法）、湿式めっき法および容射法等各種の方法が適用で
きるが、このうち特に好ましいのは容射法である。即
ち、容射法では、プランジャースリーブや湯口等の複雑
形状の母材に、比較的厚い被覆層を均一に且つ密着性良
く形成することができるが、容射法以外の上記他の方法
では、複雑形状母材への処理、密着性および厚膜化の少
なくともいずれかの点で若干の問題がある。
【００１９】本発明においては、上記の様な被覆層が形
成される母材は、Ｔｉ合金であるが、この様に母材をＴ
ｉ合金製とすることによって、ダイカスト用部材の保温
性を良好に維持することができる。即ち、ＳＫＤ６１の
熱伝導率は２８．９Ｗ／ｍ・Ｋであるのに対し、Ｔｉ−
６Ａｌ−４Ｖの熱伝導率は７．１Ｗ／ｍ・Ｋと１／４以
下であり、母材としてＴｉ合金を適用することによっ
て、従来のダイス鋼を用いた場合に比べて保温性が良好
になるのである。尚本発明のダイカスト用部材を適用す
るに当たっては、従来ではダイカスト用部材の全てにＴ
ｉ合金が用いられるとは限らず、その一部についてＴｉ
合金を適用するのがむしろ一般的であるが、この様な場
合にもその一部に本発明のダイカスト用部材を適用する
だけでも、その効果が発揮される。
成される母材は、Ｔｉ合金であるが、この様に母材をＴ
ｉ合金製とすることによって、ダイカスト用部材の保温
性を良好に維持することができる。即ち、ＳＫＤ６１の
熱伝導率は２８．９Ｗ／ｍ・Ｋであるのに対し、Ｔｉ−
６Ａｌ−４Ｖの熱伝導率は７．１Ｗ／ｍ・Ｋと１／４以
下であり、母材としてＴｉ合金を適用することによっ
て、従来のダイス鋼を用いた場合に比べて保温性が良好
になるのである。尚本発明のダイカスト用部材を適用す
るに当たっては、従来ではダイカスト用部材の全てにＴ
ｉ合金が用いられるとは限らず、その一部についてＴｉ
合金を適用するのがむしろ一般的であるが、この様な場
合にもその一部に本発明のダイカスト用部材を適用する
だけでも、その効果が発揮される。
【００２０】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【００２１】
【実施例】Ｔｉ−６Ａｌ−４ＶまたはＳＫＤ６１を、機
械加工した後洗浄したものを母材として用い、これに下
記の方法によって被覆層を形成して各種ダイカスト用部
材（供試材１〜９）を製造した。
械加工した後洗浄したものを母材として用い、これに下
記の方法によって被覆層を形成して各種ダイカスト用部
材（供試材１〜９）を製造した。
【００２２】供試材１ Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ母材上に、ＷＣ−Ｃｏターゲットを
使用してＲＦスパッタリングでＷＣ−Ｃｏ皮膜を形成し
た。 供試材２ Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ母材上に、湿式めっき法で、Ｃｏめ
っき中にＷＣ粒子を分散させた皮膜を形成した。
使用してＲＦスパッタリングでＷＣ−Ｃｏ皮膜を形成し
た。 供試材２ Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ母材上に、湿式めっき法で、Ｃｏめ
っき中にＷＣ粒子を分散させた皮膜を形成した。
【００２３】供試材３ Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ母材上に、ＷＣ−Ｃｏターゲットを
使用してＲＦスパッタリングでＷＣ−Ｃｏ皮膜を形成し
た。 供試材４ Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ母材上に、湿式めっき法で、Ｃｏめ
っき中にＷＣ粒子を分散させた皮膜を形成した。
使用してＲＦスパッタリングでＷＣ−Ｃｏ皮膜を形成し
た。 供試材４ Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ母材上に、湿式めっき法で、Ｃｏめ
っき中にＷＣ粒子を分散させた皮膜を形成した。
【００２４】供試材５ Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ母材上に、ＷＣ粒子およびＣｏ粒子
を含んだ粉末を使用して溶射法によってＷＣ−Ｃｏ皮膜
を形成した。 供試材６ Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ母材上に、ＷＣ粒子およびＣｏ粒子
を含んだ粉末を使用して溶射法によってＷＣ−Ｃｏ皮膜
を形成した。
を含んだ粉末を使用して溶射法によってＷＣ−Ｃｏ皮膜
を形成した。 供試材６ Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ母材上に、ＷＣ粒子およびＣｏ粒子
を含んだ粉末を使用して溶射法によってＷＣ−Ｃｏ皮膜
を形成した。
【００２５】供試材７ ＳＫＤ６１母材上に、イオン窒化処理を行なって、Ｆｅ
の窒化膜を形成した。 供試材８ ＳＫＤ６１母材上に、Ａｌ2 Ｏ3 粒子およびＣｒ2 Ｏ3
粒子を含んだ粉末を使用して溶射法によってＡｌ2 Ｏ3
−Ｃｒ2 Ｏ3 皮膜を形成した。 供試材９ ＳＫＤ６１母材上に、ＷＣ粒子およびＣｏ粒子を含んだ
粉末を使用して溶射法によってＷＣ−Ｃｏ皮膜を形成し
た。
の窒化膜を形成した。 供試材８ ＳＫＤ６１母材上に、Ａｌ2 Ｏ3 粒子およびＣｒ2 Ｏ3
粒子を含んだ粉末を使用して溶射法によってＡｌ2 Ｏ3
−Ｃｒ2 Ｏ3 皮膜を形成した。 供試材９ ＳＫＤ６１母材上に、ＷＣ粒子およびＣｏ粒子を含んだ
粉末を使用して溶射法によってＷＣ−Ｃｏ皮膜を形成し
た。
【００２６】得られた上記各供試材について、耐溶損
性、耐摩耗性、耐熱サイクル性および保温性等の各特性
について調査した。その結果を、被覆層形成条件および
被覆層組成と共に下記表１に示す。尚表１には、ＳＫＤ
６１やＴｉ−６Ａｌ−４Ｖに被覆層を形成しない母材そ
のものの特性についても、比較例として示した（供試材
１０、１１）。またこれらの特性の評価方法および評価
基準は、下記の通りである。
性、耐摩耗性、耐熱サイクル性および保温性等の各特性
について調査した。その結果を、被覆層形成条件および
被覆層組成と共に下記表１に示す。尚表１には、ＳＫＤ
６１やＴｉ−６Ａｌ−４Ｖに被覆層を形成しない母材そ
のものの特性についても、比較例として示した（供試材
１０、１１）。またこれらの特性の評価方法および評価
基準は、下記の通りである。
【００２７】（耐溶損性）温度７５０℃でＪＩＳ規格Ａ
Ｃ８ＣのＡｌ溶湯に、３時間浸漬後の減量によって溶損
量を測定し、下記の基準で評価した。 ◎ ：溶損なし ○ ：被覆層２０％未満溶損 △ ：被覆層２０％以上溶損 × ：被覆層１００％溶損 ××：母材の溶損あり
Ｃ８ＣのＡｌ溶湯に、３時間浸漬後の減量によって溶損
量を測定し、下記の基準で評価した。 ◎ ：溶損なし ○ ：被覆層２０％未満溶損 △ ：被覆層２０％以上溶損 × ：被覆層１００％溶損 ××：母材の溶損あり
【００２８】（耐摩耗性）ピンオンディスク型の摺動摩
擦試験機を使用して、相手材のピンとして窒化処理を施
したＳＫＤ６１を使用し、温度：４００℃、荷重：１０
ｋｇ／ｃｍ2 で１０００ｍ摺動後の摩耗量を測定し、下
記の基準で評価した。 ◎ ：摩耗なし ○ ：被覆層２０％未満摩耗 △ ：被覆層２０％以上摩耗 × ：被覆層１００％摩耗 ××：母材の摩耗あり
擦試験機を使用して、相手材のピンとして窒化処理を施
したＳＫＤ６１を使用し、温度：４００℃、荷重：１０
ｋｇ／ｃｍ2 で１０００ｍ摺動後の摩耗量を測定し、下
記の基準で評価した。 ◎ ：摩耗なし ○ ：被覆層２０％未満摩耗 △ ：被覆層２０％以上摩耗 × ：被覆層１００％摩耗 ××：母材の摩耗あり
【００２９】（耐熱サイクル性）高温槽（６５０℃）お
よび低温槽（水冷）を有する熱サイクル試験機を用い、
１回のサイクルが約２分となる様に、両槽の繰り返し往
復試験を行ない、供試材に熱サイクルを負荷した。そし
て、クラックが発生するサイクル数（回）によって評価
した。 （保温性）各供試材中に７５０℃の溶湯を保持し、凝固
開始までの時間（秒）で評価した。
よび低温槽（水冷）を有する熱サイクル試験機を用い、
１回のサイクルが約２分となる様に、両槽の繰り返し往
復試験を行ない、供試材に熱サイクルを負荷した。そし
て、クラックが発生するサイクル数（回）によって評価
した。 （保温性）各供試材中に７５０℃の溶湯を保持し、凝固
開始までの時間（秒）で評価した。
【００３０】
【表１】
【００３１】表１から明らかな様に、本発明の要件を満
足する実施例のものは、従来のダイカスト用部材と比べ
て、優れた性能を示していることがわかる。特に本発明
の好ましい要件を満足するものでは、その特性向上が顕
著である。
足する実施例のものは、従来のダイカスト用部材と比べ
て、優れた性能を示していることがわかる。特に本発明
の好ましい要件を満足するものでは、その特性向上が顕
著である。
【００３２】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、耐
溶損性、耐摩耗性、耐熱サイクル性および保温性のいず
れにも優れたダカスト用部材が実現できた。
溶損性、耐摩耗性、耐熱サイクル性および保温性のいず
れにも優れたダカスト用部材が実現できた。
【図１】ＷＣ−Ｃｏ系被覆層中のＣｏ含有量が、ビッカ
ース硬度や耐熱サイクル性に及ぼす影響を示すグラフで
ある。
ース硬度や耐熱サイクル性に及ぼす影響を示すグラフで
ある。
Claims (4)
- 【請求項１】 溶融金属と接触する部分に用いられるダ
イカスト用部材であって、Ｔｉ合金製母材表面上に、Ｗ
ＣとＣｏを含む被覆層を形成したものであることを特徴
とするダイカスト用部材。 - 【請求項２】 前記被覆層中のＣｏ含有量が、２０〜５
０原子％である請求項１に記載のダイカスト用部材。 - 【請求項３】 前記被覆層の厚さが、３０〜１００μｍ
である請求項１または２に記載のダイカスト用部材。 - 【請求項４】 前記被覆層は、溶射によって形成された
ものである請求項１〜３のいずれかに記載のダイカスト
用部材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP30637094A JPH08165581A (ja) | 1994-12-09 | 1994-12-09 | ダイカスト用部材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP30637094A JPH08165581A (ja) | 1994-12-09 | 1994-12-09 | ダイカスト用部材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08165581A true JPH08165581A (ja) | 1996-06-25 |
Family
ID=17956237
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP30637094A Withdrawn JPH08165581A (ja) | 1994-12-09 | 1994-12-09 | ダイカスト用部材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08165581A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007211293A (ja) * | 2006-02-09 | 2007-08-23 | Fujimi Inc | 溶射皮膜及び溶射用粉末 |
| GB2464108A (en) * | 2008-10-02 | 2010-04-07 | John Lapping | Coating for glass container plungers |
-
1994
- 1994-12-09 JP JP30637094A patent/JPH08165581A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007211293A (ja) * | 2006-02-09 | 2007-08-23 | Fujimi Inc | 溶射皮膜及び溶射用粉末 |
| GB2464108A (en) * | 2008-10-02 | 2010-04-07 | John Lapping | Coating for glass container plungers |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020305 |