JPH08173165A - クフェア属植物の中鎖脂肪酸合成に関する遺伝子 - Google Patents
クフェア属植物の中鎖脂肪酸合成に関する遺伝子Info
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- JPH08173165A JPH08173165A JP6320547A JP32054794A JPH08173165A JP H08173165 A JPH08173165 A JP H08173165A JP 6320547 A JP6320547 A JP 6320547A JP 32054794 A JP32054794 A JP 32054794A JP H08173165 A JPH08173165 A JP H08173165A
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- acp
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- thioesterase
- cuphea
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 配列番号2で表されるアミノ酸配列をコード
するアシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子。 【効果】 中鎖脂肪酸合成の鍵となるアシル−ACP−
チオエステラーゼの遺伝子が提供される。
するアシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子。 【効果】 中鎖脂肪酸合成の鍵となるアシル−ACP−
チオエステラーゼの遺伝子が提供される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クフェア・レプトポダ
・ヘムスル(Cuphea leptopoda Hemsl. )由来のアシル
−ACP−チオエステラーゼ遺伝子に関する。
・ヘムスル(Cuphea leptopoda Hemsl. )由来のアシル
−ACP−チオエステラーゼ遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】ミソハギ科に属する温帯性植物であるク
フェア・レプトポダ・ヘムスルの種子中に蓄積される種
子油の脂肪酸組成は中鎖脂肪酸が大半を占めている。中
鎖脂肪酸は医薬品、食品としての利用価値が高い。この
中鎖脂肪酸合成の鍵酵素がアシル−ACP−チオエステ
ラーゼであり、遺伝子工学的手法によるこの遺伝子の発
現制御、ナタネ、ダイズ等の温帯性油料作物への導入等
により、温帯性作物による中鎖脂肪酸の生産、利用に資
することができる。
フェア・レプトポダ・ヘムスルの種子中に蓄積される種
子油の脂肪酸組成は中鎖脂肪酸が大半を占めている。中
鎖脂肪酸は医薬品、食品としての利用価値が高い。この
中鎖脂肪酸合成の鍵酵素がアシル−ACP−チオエステ
ラーゼであり、遺伝子工学的手法によるこの遺伝子の発
現制御、ナタネ、ダイズ等の温帯性油料作物への導入等
により、温帯性作物による中鎖脂肪酸の生産、利用に資
することができる。
【0003】アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子
については、既にゲッケイジュ(Voelker TA et al. Sc
ience 257:72-74(1992) )、ベニバナ(Knutzon et al.
Plant Physiol. 100:1751-1758(1992) )、ナタネ(Lo
ader N et al. Plant Mol.Biol. 23:769-778(1993))に
おいて、全塩基配列が決定されている。また、クフェア
属植物についてもクフェア・ランセオラタ(Cuphea lan
ceorata)(Toepfer R. and N. Martini J.Plant Physi
ol. 143:416-425(1994))において、全塩基配列が決定
されている。
については、既にゲッケイジュ(Voelker TA et al. Sc
ience 257:72-74(1992) )、ベニバナ(Knutzon et al.
Plant Physiol. 100:1751-1758(1992) )、ナタネ(Lo
ader N et al. Plant Mol.Biol. 23:769-778(1993))に
おいて、全塩基配列が決定されている。また、クフェア
属植物についてもクフェア・ランセオラタ(Cuphea lan
ceorata)(Toepfer R. and N. Martini J.Plant Physi
ol. 143:416-425(1994))において、全塩基配列が決定
されている。
【0004】しかし、クフェア・レプトポダ・ヘムスル
については、現在に至るまで、アシル−ACP−チオエ
ステラーゼ遺伝子を単離し、その塩基配列を決定できた
という報告はない。
については、現在に至るまで、アシル−ACP−チオエ
ステラーゼ遺伝子を単離し、その塩基配列を決定できた
という報告はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、クフェア・
レプトポダ・ヘムスルの中鎖脂肪酸合成に関わるアシル
−ACP−チオエステラーゼ遺伝子を提供することを目
的とする。
レプトポダ・ヘムスルの中鎖脂肪酸合成に関わるアシル
−ACP−チオエステラーゼ遺伝子を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、クフェア
・レプトポダ・ヘムスル由来のアシル−ACP−チオエ
ステラーゼ遺伝子を単離し、その塩基配列を決定するこ
とに成功し、本発明を完成した。即ち、本発明は、配列
番号2で表されるアミノ酸配列をコードするアシル−A
CP−チオエステラーゼ遺伝子である。
・レプトポダ・ヘムスル由来のアシル−ACP−チオエ
ステラーゼ遺伝子を単離し、その塩基配列を決定するこ
とに成功し、本発明を完成した。即ち、本発明は、配列
番号2で表されるアミノ酸配列をコードするアシル−A
CP−チオエステラーゼ遺伝子である。
【0007】また、本発明は、塩基配列が、配列番号1
で表される上記記載のアシル−ACP−チオエステラー
ゼ遺伝子である。さらに、本発明は、上記記載のアシル
−ACP−チオエステラーゼ遺伝子をベクターDNAに
挿入した組み換え体DNAである。以下、本発明を詳細
に説明する。
で表される上記記載のアシル−ACP−チオエステラー
ゼ遺伝子である。さらに、本発明は、上記記載のアシル
−ACP−チオエステラーゼ遺伝子をベクターDNAに
挿入した組み換え体DNAである。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0008】本発明は、クフェア・レプトポダ・ヘムス
ル由来のアシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子に関
するものである。クフェア・レプトポダ・ヘムスル由来
のアシル−ACP−チオエステラーゼは、他の植物由来
のアシル−ACP−チオエステラーゼと異なり、炭素数
10の脂肪酸(カプリン酸)と結合したACP(アシル
キャリアー蛋白)に基質特異性を示す。このため、本遺
伝子は中鎖脂肪酸に分類されるカプリン酸(炭素鎖長1
0)を構成成分に含む貯蔵脂質を合成するための鍵酵素
をコードするものであり、オレイン酸(炭素鎖長18)
等を蓄積する通常の油料作物に由来する酵素と異なり、
中鎖脂肪酸を遺伝子工学的に生産するための重要な遺伝
物質である。
ル由来のアシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子に関
するものである。クフェア・レプトポダ・ヘムスル由来
のアシル−ACP−チオエステラーゼは、他の植物由来
のアシル−ACP−チオエステラーゼと異なり、炭素数
10の脂肪酸(カプリン酸)と結合したACP(アシル
キャリアー蛋白)に基質特異性を示す。このため、本遺
伝子は中鎖脂肪酸に分類されるカプリン酸(炭素鎖長1
0)を構成成分に含む貯蔵脂質を合成するための鍵酵素
をコードするものであり、オレイン酸(炭素鎖長18)
等を蓄積する通常の油料作物に由来する酵素と異なり、
中鎖脂肪酸を遺伝子工学的に生産するための重要な遺伝
物質である。
【0009】本発明の遺伝子は、(1)アシル−ACP
−チオエステラーゼ遺伝子を含むcDNAの合成、
(2)アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子の一部
を含むDNA断片の増幅、(3)アシル−ACP−チオ
エステラーゼ遺伝子の全体を含むDNA断片の増幅とい
う工程を経て得られる。以下、各工程ごとに説明する。1)アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子を含むc
DNAの合成 アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子を含むcDN
Aは以下のようにして合成することができる。まず、開
花後11日から2週間程度経過したクフェア・レプトポ
ダ・ヘムスルの未熟種子を採種し、SDSおよびフェノ
ール等を含む適当な抽出液中で磨砕して総RNAを抽出
する。得られた総RNAから、例えば、oligote
x−dT30<Super>を用いてpoly A
(+)RNAを単離し、これを鋳型として、適当な逆転
写酵素、例えば、Mo−MLV逆転写酵素(米BRL社
製)を用いてcDNAを合成する。2)アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子の一部を
含むDNA断片の増幅 まず、ゲッケイジュ、ベニバナ、ナタネなどの既にアシ
ル−ACP−チオエステラーゼのアミノ酸配列が知られ
ている植物のアシル−ACP−チオエステラーゼのアミ
ノ酸配列同士を比較し、保存配列を見つける。このよう
な類縁関係の遠い種の間で共通しているアミノ酸配列
は、酵素の活性中心などの機能系に重要な領域を構成し
ていることが推定される。従って、ゲッゲイジュ等で見
出された保存配列は、クフェア・レプトポダ・ヘムスル
においても保存されている可能性が高い。
−チオエステラーゼ遺伝子を含むcDNAの合成、
(2)アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子の一部
を含むDNA断片の増幅、(3)アシル−ACP−チオ
エステラーゼ遺伝子の全体を含むDNA断片の増幅とい
う工程を経て得られる。以下、各工程ごとに説明する。1)アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子を含むc
DNAの合成 アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子を含むcDN
Aは以下のようにして合成することができる。まず、開
花後11日から2週間程度経過したクフェア・レプトポ
ダ・ヘムスルの未熟種子を採種し、SDSおよびフェノ
ール等を含む適当な抽出液中で磨砕して総RNAを抽出
する。得られた総RNAから、例えば、oligote
x−dT30<Super>を用いてpoly A
(+)RNAを単離し、これを鋳型として、適当な逆転
写酵素、例えば、Mo−MLV逆転写酵素(米BRL社
製)を用いてcDNAを合成する。2)アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子の一部を
含むDNA断片の増幅 まず、ゲッケイジュ、ベニバナ、ナタネなどの既にアシ
ル−ACP−チオエステラーゼのアミノ酸配列が知られ
ている植物のアシル−ACP−チオエステラーゼのアミ
ノ酸配列同士を比較し、保存配列を見つける。このよう
な類縁関係の遠い種の間で共通しているアミノ酸配列
は、酵素の活性中心などの機能系に重要な領域を構成し
ていることが推定される。従って、ゲッゲイジュ等で見
出された保存配列は、クフェア・レプトポダ・ヘムスル
においても保存されている可能性が高い。
【0010】次に、保存配列の中から、対応する塩基配
列がPCR法に用いるプライマーとして好適な条件を満
たすものを2つ選択する。具体的には、2つのプライマ
ーの熱化学的性状が近接していること、分子内、分子間
の塩基対形成能が低いことなどの条件を満たすものを選
択する。また、本発明のクフェア・レプトポダ・ヘムス
ルのアシル−ACP−チオエステラーゼは、前記ゲッケ
イジュ等の従来の同酵素と異なり、炭素数10の脂肪酸
と結合したACPに基質特異性を示すことから、従来の
同酵素のアミノ酸配列とは、保存配列以外の部分の相同
性はかなり低いと予想される。従って、PCR法により
得られたクローンが、正しくアシル−ACP−チオエス
テラーゼ遺伝子であるか否かを判定するため、選択され
る2つの保存配列の間に第3の保存配列が含まれている
ことが好ましい。
列がPCR法に用いるプライマーとして好適な条件を満
たすものを2つ選択する。具体的には、2つのプライマ
ーの熱化学的性状が近接していること、分子内、分子間
の塩基対形成能が低いことなどの条件を満たすものを選
択する。また、本発明のクフェア・レプトポダ・ヘムス
ルのアシル−ACP−チオエステラーゼは、前記ゲッケ
イジュ等の従来の同酵素と異なり、炭素数10の脂肪酸
と結合したACPに基質特異性を示すことから、従来の
同酵素のアミノ酸配列とは、保存配列以外の部分の相同
性はかなり低いと予想される。従って、PCR法により
得られたクローンが、正しくアシル−ACP−チオエス
テラーゼ遺伝子であるか否かを判定するため、選択され
る2つの保存配列の間に第3の保存配列が含まれている
ことが好ましい。
【0011】本実施例においては、5’側のプライマー
に対応する保存配列として、ゲッケイジュのアシル−A
CP−チオエステラーゼにおける第216アミノ酸から
第233アミノ酸配列に相当するThr-Ser-(LeuまたはLy
s)-(Ser またはTrp)-Val-(Leu またはMet)-Met-Asn(以
下、「配列A」という。)を選択した。但し、この配列
は、アミノ酸が1種に決定できない部位があり、後述す
るようにプライマー配列数を増加させるため、あまり好
ましくない。3’側のプライマーに対応する保存配列と
しては、ゲッケイジュのアシル−ACP−チオエステラ
ーゼにおける第316アミノ酸から第320アミノ酸配
列に相当するTyl-Arg-Arg-Glu-Cys (以下、「配列B」
という。)を選択した。
に対応する保存配列として、ゲッケイジュのアシル−A
CP−チオエステラーゼにおける第216アミノ酸から
第233アミノ酸配列に相当するThr-Ser-(LeuまたはLy
s)-(Ser またはTrp)-Val-(Leu またはMet)-Met-Asn(以
下、「配列A」という。)を選択した。但し、この配列
は、アミノ酸が1種に決定できない部位があり、後述す
るようにプライマー配列数を増加させるため、あまり好
ましくない。3’側のプライマーに対応する保存配列と
しては、ゲッケイジュのアシル−ACP−チオエステラ
ーゼにおける第316アミノ酸から第320アミノ酸配
列に相当するTyl-Arg-Arg-Glu-Cys (以下、「配列B」
という。)を選択した。
【0012】次に、選択した保存配列のアミノ酸配列に
基づき、PCR法に用いるプライマーを合成する。プラ
イマーの合成は市販のDNA合成機等を用いて行うこと
ができる。アミノ酸配列から推定されるDNA配列は、
コドンの縮合のために一意に決定されず、保存配列のア
ミノ酸配列が1種類であっても、複数存在することにな
る。また、前記配列Aの如くアミノ酸配列が1種に決定
できないような場合には、プライマーの種類は更に多く
なる。例えば、以下に示すように配列A及び配列Bでは
それぞれプライマーは、16種類、64種類となる。
基づき、PCR法に用いるプライマーを合成する。プラ
イマーの合成は市販のDNA合成機等を用いて行うこと
ができる。アミノ酸配列から推定されるDNA配列は、
コドンの縮合のために一意に決定されず、保存配列のア
ミノ酸配列が1種類であっても、複数存在することにな
る。また、前記配列Aの如くアミノ酸配列が1種に決定
できないような場合には、プライマーの種類は更に多く
なる。例えば、以下に示すように配列A及び配列Bでは
それぞれプライマーは、16種類、64種類となる。
【0013】 TAA AAG CTT (A,C,G,T)T(C,G) GGT G(A,C)T GAT GAA (配列Aに対応、16種) TCT CTG CAG CA(C,T) TC(A,C,G,T) C(G,T)(C,T) C(G,T)
G TA (配列Bに対応、64種) このようにプライマーの配列の種類が多いと、PCRの
特異性も失われる。この場合、推定される全ての配列の
組み合わせの中から、少しずつプライマーの種類を減ら
していくことも考えられるが、プライマーの種類を減ら
すにつれ、完全に一致する配列を持ったプライマーを排
除してしまう可能性が増大する。このため、本発明にお
いては、保存配列から推定されるすべての塩基配列をプ
ライマーとして用い、特異性の問題は後述する反応条件
により解決する。
G TA (配列Bに対応、64種) このようにプライマーの配列の種類が多いと、PCRの
特異性も失われる。この場合、推定される全ての配列の
組み合わせの中から、少しずつプライマーの種類を減ら
していくことも考えられるが、プライマーの種類を減ら
すにつれ、完全に一致する配列を持ったプライマーを排
除してしまう可能性が増大する。このため、本発明にお
いては、保存配列から推定されるすべての塩基配列をプ
ライマーとして用い、特異性の問題は後述する反応条件
により解決する。
【0014】次に、合成されたプライマーを用いてPC
R法よりアシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子の一
部を含むDNA断片の増幅を行う。本発明では、最初に
ヌクレオチド同士の特異性の低い条件で増幅を行い、次
いで特異性の高い条件で増幅を行う。特異性の低い条件
及び特異性の高い条件とは、例えば、実施例で行ってい
るような条件である。このような反応条件を設定するこ
とにより、プライマー結合時の特異性を低め、かつ目的
の配列がクローニング可能な程度に特異性を保つことが
できる。PCRに用いる反応液は、特別なものを用いる
必要はなく、プライマー、cDNAのほか、塩化カリウ
ム、塩化マグネシウム、dATP、dCTP、dGT
P、dTTPなどを含むものを用いる。また、耐熱性酵
素は、AmpliTaqDNAポリメラーゼ(米パーキ
ンエルマ社製)のような一般的に使用されているもので
よい。このようにして増幅されるDNA断片は、前記プ
ライマーに挟まれる領域、即ち、クフェア・レプトポダ
・ヘムスル由来のアシル−ACP−チオエステラーゼ遺
伝子の一部を含む。3)アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子の全体を
含むDNA断片の増幅 まず、1)で得られたcDNAの5'末端部分及び3'末端
部分を増幅する。これは、いわゆる5’RACE法及び
3’RACE法(Frohmannら(1988) Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 85:8998-9002)により行うことができる。R
ACE法とは、PCR法を用いてmRNAの3’末端お
よび5’末端に対応する塩基配列を含むDNA断片を増
幅する方法である。この方法を行うにあたっては対象遺
伝子の一部の配列が、短い領域でよいが、既知であるこ
とが前提となる。3’末端を増幅する場合にはcDNA
の1st strand合成の際に(dT)17−アダプ
タープライマー(GAC TCG AGT CGA CAT CGA TTT TTT TT
T TTT TTT TT)を用い、次いで既知領域の一部の配列を
持つ特異的なプライマー(Gene Specific Primer、以下
単に「GSP」という)とアダプタープライマー((d
T)17−アダプタープライマーの前半部分と同じ配列:
GAC TCG AGT CGA CAT CGA )を用いてPCRを行うこと
により、既知領域から3’末端までを増幅する。5’末
端を増幅する場合には、既知領域に含まれる適当なGS
PをプライマーとしてcDNAを合成した後、cDNA
の5’末端にデオキシリボヌクレオチド末端転移酵素
(TdTase)を用いてpoly(A)を付加する。
PCR反応に際してはアダプタープライマーと、cDN
A合成のプライマーとして用いた配列の上流に位置する
既知領域中の第二の3’側GSPを用いてPCRを行っ
てcDNAの5’末端から既知領域の間を増幅するが、
反応開始時におけるcDNAの相補鎖の合成のために1
/100量程度のoligo(dT)17−アダプタープ
ライマーをさらに加えておく必要がある。このとき用い
るPCR反応液は、原則として前記(2)と同様なもの
を用いるが、耐熱性酵素としては、前記のAmpliT
aqDNAポリメラーゼのような3'→5'エキソヌクレア
ーゼ活性を持たない酵素は誤った塩基配列を取り込む率
が高いため、ULTmaTMDNAポリメラーゼ(米パー
キンエルマー社製)のような3’→5’エキソヌクレア
ーゼ活性を持つ酵素が好ましい。PCRの反応条件は、
前記(2)のように低特異性増幅と高特異性増幅に分け
て行う必要はなく、通常のPCR法と同様に行うことが
できる。
R法よりアシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子の一
部を含むDNA断片の増幅を行う。本発明では、最初に
ヌクレオチド同士の特異性の低い条件で増幅を行い、次
いで特異性の高い条件で増幅を行う。特異性の低い条件
及び特異性の高い条件とは、例えば、実施例で行ってい
るような条件である。このような反応条件を設定するこ
とにより、プライマー結合時の特異性を低め、かつ目的
の配列がクローニング可能な程度に特異性を保つことが
できる。PCRに用いる反応液は、特別なものを用いる
必要はなく、プライマー、cDNAのほか、塩化カリウ
ム、塩化マグネシウム、dATP、dCTP、dGT
P、dTTPなどを含むものを用いる。また、耐熱性酵
素は、AmpliTaqDNAポリメラーゼ(米パーキ
ンエルマ社製)のような一般的に使用されているもので
よい。このようにして増幅されるDNA断片は、前記プ
ライマーに挟まれる領域、即ち、クフェア・レプトポダ
・ヘムスル由来のアシル−ACP−チオエステラーゼ遺
伝子の一部を含む。3)アシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子の全体を
含むDNA断片の増幅 まず、1)で得られたcDNAの5'末端部分及び3'末端
部分を増幅する。これは、いわゆる5’RACE法及び
3’RACE法(Frohmannら(1988) Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 85:8998-9002)により行うことができる。R
ACE法とは、PCR法を用いてmRNAの3’末端お
よび5’末端に対応する塩基配列を含むDNA断片を増
幅する方法である。この方法を行うにあたっては対象遺
伝子の一部の配列が、短い領域でよいが、既知であるこ
とが前提となる。3’末端を増幅する場合にはcDNA
の1st strand合成の際に(dT)17−アダプ
タープライマー(GAC TCG AGT CGA CAT CGA TTT TTT TT
T TTT TTT TT)を用い、次いで既知領域の一部の配列を
持つ特異的なプライマー(Gene Specific Primer、以下
単に「GSP」という)とアダプタープライマー((d
T)17−アダプタープライマーの前半部分と同じ配列:
GAC TCG AGT CGA CAT CGA )を用いてPCRを行うこと
により、既知領域から3’末端までを増幅する。5’末
端を増幅する場合には、既知領域に含まれる適当なGS
PをプライマーとしてcDNAを合成した後、cDNA
の5’末端にデオキシリボヌクレオチド末端転移酵素
(TdTase)を用いてpoly(A)を付加する。
PCR反応に際してはアダプタープライマーと、cDN
A合成のプライマーとして用いた配列の上流に位置する
既知領域中の第二の3’側GSPを用いてPCRを行っ
てcDNAの5’末端から既知領域の間を増幅するが、
反応開始時におけるcDNAの相補鎖の合成のために1
/100量程度のoligo(dT)17−アダプタープ
ライマーをさらに加えておく必要がある。このとき用い
るPCR反応液は、原則として前記(2)と同様なもの
を用いるが、耐熱性酵素としては、前記のAmpliT
aqDNAポリメラーゼのような3'→5'エキソヌクレア
ーゼ活性を持たない酵素は誤った塩基配列を取り込む率
が高いため、ULTmaTMDNAポリメラーゼ(米パー
キンエルマー社製)のような3’→5’エキソヌクレア
ーゼ活性を持つ酵素が好ましい。PCRの反応条件は、
前記(2)のように低特異性増幅と高特異性増幅に分け
て行う必要はなく、通常のPCR法と同様に行うことが
できる。
【0015】次に、増幅された両末端の塩基配列を基に
して、5’末端部分及び3’末端部分に相補的なプライ
マーを合成する。このプライマーには、その後のクロー
ニングに利用するために適当な制限酵素、例えば、Xb
aIやSacIなどの認識部位を付加しておくことが好
ましい。最後に、前記の両末端に相補的なプライマーを
用いて、PCR法によりアシル−ACP−チオエステラ
ーゼ遺伝子の全体を含むDNA断片の増幅を行う。ここ
で用いる反応液及び耐熱性酵素は上述したRACE法と
同様なものを用いることができ、また、反応条件も上述
したRACE法と同様な条件でよい。
して、5’末端部分及び3’末端部分に相補的なプライ
マーを合成する。このプライマーには、その後のクロー
ニングに利用するために適当な制限酵素、例えば、Xb
aIやSacIなどの認識部位を付加しておくことが好
ましい。最後に、前記の両末端に相補的なプライマーを
用いて、PCR法によりアシル−ACP−チオエステラ
ーゼ遺伝子の全体を含むDNA断片の増幅を行う。ここ
で用いる反応液及び耐熱性酵素は上述したRACE法と
同様なものを用いることができ、また、反応条件も上述
したRACE法と同様な条件でよい。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。但し、本発明の技術的範囲は実施例に限定される
ものではない。 〔実施例1〕開花後11日から2週間経過したクフェア
・レプトポダ・ヘムスルの未熟種子を採種し、SDS−
フェノール法を用いてRNA抽出を行った。すなわち、
試料100mgを液体窒素で凍結し、乳鉢・乳棒を用い
て粉砕した。次いで抽出用緩衝液(100mM、Tri
s−HClpH9.0、100mM NaCl、1%S
DS、1.4M 2−メルカプトエタノール)200μ
l、および水飽和フェノール100μlを加え、一様な
溶液になるまで混和した。さらにクロロホルム100μ
lを加え、混和した後、微量遠心分離機で15,000
g 10分遠心し、水相をとった。これをフェノール抽
出3回によって蛋白質等の夾雑物を取り除いた後終濃度
300mMとなるように酢酸ナトリウムを加え、さらに
液量の2.5倍量のエタノールを加えてRNAを沈殿さ
せた。
する。但し、本発明の技術的範囲は実施例に限定される
ものではない。 〔実施例1〕開花後11日から2週間経過したクフェア
・レプトポダ・ヘムスルの未熟種子を採種し、SDS−
フェノール法を用いてRNA抽出を行った。すなわち、
試料100mgを液体窒素で凍結し、乳鉢・乳棒を用い
て粉砕した。次いで抽出用緩衝液(100mM、Tri
s−HClpH9.0、100mM NaCl、1%S
DS、1.4M 2−メルカプトエタノール)200μ
l、および水飽和フェノール100μlを加え、一様な
溶液になるまで混和した。さらにクロロホルム100μ
lを加え、混和した後、微量遠心分離機で15,000
g 10分遠心し、水相をとった。これをフェノール抽
出3回によって蛋白質等の夾雑物を取り除いた後終濃度
300mMとなるように酢酸ナトリウムを加え、さらに
液量の2.5倍量のエタノールを加えてRNAを沈殿さ
せた。
【0017】得られた総RNAは100μlの滅菌水に
溶解し、oligotex−dT30<Super>
(販売元:宝酒造)を用いてpolyA(+)RNAを
単離した。すなわち総RNA溶液100μlに対し10
0μlのElution buffer(10mM T
ris−HCl pH7.5、1mM EDTA、0.
1% SDS)およびOligotex−dT30<S
uper>200μlを加え、よく混合した後65℃で
5分間加熱し次いで氷上で3分間急冷した。5MNaC
l 40μlを加え、37℃で10分間加温した後1
8,000g 3分間遠心分離し、上清を除く。得られ
た沈殿を滅菌水100μlに懸濁し、65℃で5分間加
熱し次いで氷上で3分間急冷する。18,000gで3
分間遠心分離し、上清を回収した。
溶解し、oligotex−dT30<Super>
(販売元:宝酒造)を用いてpolyA(+)RNAを
単離した。すなわち総RNA溶液100μlに対し10
0μlのElution buffer(10mM T
ris−HCl pH7.5、1mM EDTA、0.
1% SDS)およびOligotex−dT30<S
uper>200μlを加え、よく混合した後65℃で
5分間加熱し次いで氷上で3分間急冷した。5MNaC
l 40μlを加え、37℃で10分間加温した後1
8,000g 3分間遠心分離し、上清を除く。得られ
た沈殿を滅菌水100μlに懸濁し、65℃で5分間加
熱し次いで氷上で3分間急冷する。18,000gで3
分間遠心分離し、上清を回収した。
【0018】このようにして得られたpolyA(+)
RNAのうち1μgを用いてcDNAを合成した。反応
液の組成は以下の通りである。50mM Tris−H
ClpH8.3、75mM KCl、3mM MgCl
2 、10mM DTT、各250μM dNTP、25
μg/ml oligo(dT)、200単位Mo−M
LV逆転写酵素(米BRL社製)。この反応液中で42
℃一時間保温し、cDNAを合成した。 〔実施例2〕既に報告されているゲッケイジュ、ベニバ
ナ、ナタネのアシル−ACP−チオエステラーゼのアミ
ノ酸配列を比較したところ、少数のアミノ酸配列からな
るいくつかの保存配列が認められた。これらの中から、
下記の配列A及び配列Bをプライマー合成のための保存
配列として選択した。
RNAのうち1μgを用いてcDNAを合成した。反応
液の組成は以下の通りである。50mM Tris−H
ClpH8.3、75mM KCl、3mM MgCl
2 、10mM DTT、各250μM dNTP、25
μg/ml oligo(dT)、200単位Mo−M
LV逆転写酵素(米BRL社製)。この反応液中で42
℃一時間保温し、cDNAを合成した。 〔実施例2〕既に報告されているゲッケイジュ、ベニバ
ナ、ナタネのアシル−ACP−チオエステラーゼのアミ
ノ酸配列を比較したところ、少数のアミノ酸配列からな
るいくつかの保存配列が認められた。これらの中から、
下記の配列A及び配列Bをプライマー合成のための保存
配列として選択した。
【0019】配列A: Thr-Ser-(LeuまたはLys)-(Ser またはTrp)-Val-(Leu ま
たはMet)-Met-Asn 配列B: Tyl-Arg-Arg-Glu-Cys このアミノ酸配列から下記のプライマーを合成した。
たはMet)-Met-Asn 配列B: Tyl-Arg-Arg-Glu-Cys このアミノ酸配列から下記のプライマーを合成した。
【0020】 TAA AAG CTT (A,C,G,T)T(C,G) GGT G(A,C)T GAT GAA (配列Aに対応、16種) TCT CTG CAG CA(C,T) TC(A,C,G,T) C(G,T)(C,T) C(G,T)
G TA (配列Bに対応、64種) 次に、この2系統のプライマーと、実施例1で合成した
cDNAを含むPCR反応液を調製した(表1に示
す。)。
G TA (配列Bに対応、64種) 次に、この2系統のプライマーと、実施例1で合成した
cDNAを含むPCR反応液を調製した(表1に示
す。)。
【0021】 表1 PCR反応液組成 ────────────────────────────────── 10mM トリス塩酸緩衝液(pH 8.3) 50mM 塩化カリウム 各150μM デオキシヌクレオチド3リン酸 (dATP、dCTP、dGTP、dTTP) 1.5mM 塩化マグネシウム 2.5単位 AmpliTaq DNAポリメラーゼ (米パーキンエルマー社製) 各2.3μM プライマー 25ng クフェア・レプトポダ・ヘムスル未熟種子由来cDNA ────────────────────────────────── この反応液を用いて、下記の条件でPCRを行い、クフ
ェア・レプトポダ・ヘムスル未熟種子由来cDNAの特
定領域の増幅を行った。
ェア・レプトポダ・ヘムスル未熟種子由来cDNAの特
定領域の増幅を行った。
【0022】 (1)初期変性: 94℃2分1サイクル (2)低特異性増幅: 94℃1分→37℃3分→72℃3分3サイクル 温度変化勾配毎秒0.25℃ (3)高特異性増幅: 94℃1分→55℃2分→72℃3分30サイクル 温度変化勾配毎秒1.0℃ (4)最終伸長 : 72℃15分1サイクル 得られたDNA断片の塩基配列を自動DNA配列決定装
置(米アプライドバイオシステムズ社製373A型)を
用いて解析し、DNA配列(塩基数277)を得た。こ
のDNA配列を配列番号3に示す(但し、クローン両端
部の合成DNA由来の配列は記していない。)。また、
このDNA配列を翻訳した場合に推定されるアミノ酸配
列を配列番号4に示す。
置(米アプライドバイオシステムズ社製373A型)を
用いて解析し、DNA配列(塩基数277)を得た。こ
のDNA配列を配列番号3に示す(但し、クローン両端
部の合成DNA由来の配列は記していない。)。また、
このDNA配列を翻訳した場合に推定されるアミノ酸配
列を配列番号4に示す。
【0023】このアミノ酸配列は、ゲッゲイジュのアシ
ル−ACP−チオエステラーゼの対応する配列と比較し
て55.6%の高い相同性があり、また、ゲッケイジ
ュ、ベニバナ、ナタネのアシル−ACP−チオエステラ
ーゼの間で保存されているアミノ酸配列Thr-Arg-Arg-Le
u (ゲッゲイジュのアシル−ACP−チオエステラーゼ
における第226アミノ酸から第229アミノ酸までに
相当する。)、His-Val-Asn-Asn (ゲッゲイジュのアシ
ル−ACP−チオエステラーゼにおける第285アミノ
酸から第288アミノ酸までに相当する。)等をもって
いる。このことから、得られたクローンがクフェア・レ
プトポダ・ヘムスルのアシル−ACP−チオエステラー
ゼ遺伝子の一部であることは明らかである。
ル−ACP−チオエステラーゼの対応する配列と比較し
て55.6%の高い相同性があり、また、ゲッケイジ
ュ、ベニバナ、ナタネのアシル−ACP−チオエステラ
ーゼの間で保存されているアミノ酸配列Thr-Arg-Arg-Le
u (ゲッゲイジュのアシル−ACP−チオエステラーゼ
における第226アミノ酸から第229アミノ酸までに
相当する。)、His-Val-Asn-Asn (ゲッゲイジュのアシ
ル−ACP−チオエステラーゼにおける第285アミノ
酸から第288アミノ酸までに相当する。)等をもって
いる。このことから、得られたクローンがクフェア・レ
プトポダ・ヘムスルのアシル−ACP−チオエステラー
ゼ遺伝子の一部であることは明らかである。
【0024】〔実施例3〕 クフェア・レプトポダ・ヘ
ムスルのアシル−ACP−チオエステラーゼcDNA全
長のクローニング 実施例2で記した部分的なアシル−ACP−チオエステ
ラーゼ遺伝子の配列を元に、実施例1で得られたcDN
Aを鋳型とし、いわゆる5’RACE法および3’RA
CE法(Frohmannら(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. US
A 85:8998-9002)によってcDNAの両末端部分を増幅
し、クローニングした。3’RACE法は以下のように
して行った。前述したものと同じpolyA(+)RN
A 1μg、50mM Tris−HCl pH8.
3、75mM KCl、3mM MgCl2 、10mM
DTT、各250μM dNTP、0.5μM(d
T)17−アダプタープライマー(GAC TCG AGT CGA CAT
CGA TTT TTT TTT TTT TTT TT)、200単位Mo−ML
V−逆転写酵素(米BRL社製)からなる反応液20μ
l中で42℃一時間保温し、cDNAを合成した。反応
後、反応液を蒸留水で10倍に希釈し、そのうち5μl
をとってPCRをおこなった。5’側の既知配列(配列
番号3)中のプライマーとしてはCAT GAG ATA GAG CCT
CAT TTT GTG (GSP1)を用い、3’側プライマーに
はアダプタープライマーを用いた。5’RACE法は以
下のようにして行った。前述したものと同じpolyA
(+)RNA 1μg、50mM Tris−HCl
pH8.3、75mM KCl、3mM MgCl2 、
10mM DTT、各250μM dNTP、0.1μ
Mプライマー、200単位Mo−MLV−逆転写酵素
(米BRL社製)からなる反応液20μl中で42℃一
時間保温し、cDNAを合成した。プライマーには既知
配列(配列番号3)の一部に相補的な配列を持つ、CAG
GGT AAG GGA ACA TAA CTC CTG (GSP2)を用いた。
得られたcDNAはマイクロコン100(米アミコン社
製)を用いて限外濾過法により余剰のプライマーを除い
た後、50mMTris−HCl pH8.3、75m
M KCl、3mM MgCl2 、200μM dAT
P、10単位TdTaseからなる反応液20μl中で
37℃で10分間保温し、5’末端にpoly(A)を
付加した。反応液は65℃、15分間の熱処理によりT
dTaseを不活化した後、5μlをとってPCRの鋳
型とした。PCR反応に際してのプライマーとしては
5’側にアダプタープライマー、3’側にはPCRの特
異性を高めるため、GSP2のさらに上流にあるCTCTCA
AGA ATC CAC CCG ATG TA(GSP3)を用いた。さら
に、PCRの第1サイクルでcDNAの相補鎖を合成す
るために2nM(dT)17−アダプタープライマーを加
えておいた。他の条件は通常のPCRと同様な条件で行
った。
ムスルのアシル−ACP−チオエステラーゼcDNA全
長のクローニング 実施例2で記した部分的なアシル−ACP−チオエステ
ラーゼ遺伝子の配列を元に、実施例1で得られたcDN
Aを鋳型とし、いわゆる5’RACE法および3’RA
CE法(Frohmannら(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. US
A 85:8998-9002)によってcDNAの両末端部分を増幅
し、クローニングした。3’RACE法は以下のように
して行った。前述したものと同じpolyA(+)RN
A 1μg、50mM Tris−HCl pH8.
3、75mM KCl、3mM MgCl2 、10mM
DTT、各250μM dNTP、0.5μM(d
T)17−アダプタープライマー(GAC TCG AGT CGA CAT
CGA TTT TTT TTT TTT TTT TT)、200単位Mo−ML
V−逆転写酵素(米BRL社製)からなる反応液20μ
l中で42℃一時間保温し、cDNAを合成した。反応
後、反応液を蒸留水で10倍に希釈し、そのうち5μl
をとってPCRをおこなった。5’側の既知配列(配列
番号3)中のプライマーとしてはCAT GAG ATA GAG CCT
CAT TTT GTG (GSP1)を用い、3’側プライマーに
はアダプタープライマーを用いた。5’RACE法は以
下のようにして行った。前述したものと同じpolyA
(+)RNA 1μg、50mM Tris−HCl
pH8.3、75mM KCl、3mM MgCl2 、
10mM DTT、各250μM dNTP、0.1μ
Mプライマー、200単位Mo−MLV−逆転写酵素
(米BRL社製)からなる反応液20μl中で42℃一
時間保温し、cDNAを合成した。プライマーには既知
配列(配列番号3)の一部に相補的な配列を持つ、CAG
GGT AAG GGA ACA TAA CTC CTG (GSP2)を用いた。
得られたcDNAはマイクロコン100(米アミコン社
製)を用いて限外濾過法により余剰のプライマーを除い
た後、50mMTris−HCl pH8.3、75m
M KCl、3mM MgCl2 、200μM dAT
P、10単位TdTaseからなる反応液20μl中で
37℃で10分間保温し、5’末端にpoly(A)を
付加した。反応液は65℃、15分間の熱処理によりT
dTaseを不活化した後、5μlをとってPCRの鋳
型とした。PCR反応に際してのプライマーとしては
5’側にアダプタープライマー、3’側にはPCRの特
異性を高めるため、GSP2のさらに上流にあるCTCTCA
AGA ATC CAC CCG ATG TA(GSP3)を用いた。さら
に、PCRの第1サイクルでcDNAの相補鎖を合成す
るために2nM(dT)17−アダプタープライマーを加
えておいた。他の条件は通常のPCRと同様な条件で行
った。
【0025】以上のようにしてmRNAの5’末端また
は3’末端に対応する塩基配列を含むDNA断片を得
た。これらの断片は常法によりクローニングし、末端部
の塩基配列を決定した。得られた両末端の配列を元にし
て、5’末端部に相補的なプライマーCGA TGCTCT AGA A
TC ATG GTG GCT および3’末端部に相補的なプライマ
ーGGC CAA AGAGCT CCA AAC AAA CTA C を合成し、これ
らを用いて、実施例1で得られたcDNAを鋳型として
PCR法を行い、一続きのアシル−ACP−チオエステ
ラーゼ遺伝子を増幅した。プライマーにはその後のクロ
ーニングに利用するためにXbaIおよびSacIの制
限酵素認識配列が含まれいている。なお、耐熱性DNA
合成酵素は、ULTmaTMDNAポリメラーゼ(米パー
キンエルマー社製)を用いた。
は3’末端に対応する塩基配列を含むDNA断片を得
た。これらの断片は常法によりクローニングし、末端部
の塩基配列を決定した。得られた両末端の配列を元にし
て、5’末端部に相補的なプライマーCGA TGCTCT AGA A
TC ATG GTG GCT および3’末端部に相補的なプライマ
ーGGC CAA AGAGCT CCA AAC AAA CTA C を合成し、これ
らを用いて、実施例1で得られたcDNAを鋳型として
PCR法を行い、一続きのアシル−ACP−チオエステ
ラーゼ遺伝子を増幅した。プライマーにはその後のクロ
ーニングに利用するためにXbaIおよびSacIの制
限酵素認識配列が含まれいている。なお、耐熱性DNA
合成酵素は、ULTmaTMDNAポリメラーゼ(米パー
キンエルマー社製)を用いた。
【0026】得られたDNA断片は制限酵素XbaIお
よびSacIで消化した後プラスミドベクターpUC1
9のマルチクローニング部位に挿入してクローニングし
た。この組み換え体プラスミドをpCLTE46と命名
した。なお、このプラスミドベクターを導入したE.c
oli CLTE46は、工業技術院生命工学工業技術
研究所にFERM P−14705として(寄託日:平
成6年12月13日)寄託されている。
よびSacIで消化した後プラスミドベクターpUC1
9のマルチクローニング部位に挿入してクローニングし
た。この組み換え体プラスミドをpCLTE46と命名
した。なお、このプラスミドベクターを導入したE.c
oli CLTE46は、工業技術院生命工学工業技術
研究所にFERM P−14705として(寄託日:平
成6年12月13日)寄託されている。
【0027】得られたクローンpCLTE46の全塩基
配列は、配列番号1に示す通りである。1490塩基か
らなるこの配列は、最長419アミノ酸からなる蛋白質
をコードできる読み枠を持つ。この最も長い読み枠に従
ってこの遺伝子のコードする蛋白質の推定アミノ酸配列
は、配列番号2に示す通りである。このアミノ酸配列は
ゲッケイジュのアシル−ACP−チオエステラーゼとア
ミノ酸配列レベルで53%の相同性があり、ゲッケイジ
ュ、ナタネ、ベニバナのアシル−ACP−チオエステラ
ーゼ間で保存されたアミノ酸配列の殆どを共通に持つ。
このことから、このクローンがクフェア・レプトポダ・
ヘムスルのアシル−ACP−チオエステラーゼをコード
するcDNAを含むことは明らかである。
配列は、配列番号1に示す通りである。1490塩基か
らなるこの配列は、最長419アミノ酸からなる蛋白質
をコードできる読み枠を持つ。この最も長い読み枠に従
ってこの遺伝子のコードする蛋白質の推定アミノ酸配列
は、配列番号2に示す通りである。このアミノ酸配列は
ゲッケイジュのアシル−ACP−チオエステラーゼとア
ミノ酸配列レベルで53%の相同性があり、ゲッケイジ
ュ、ナタネ、ベニバナのアシル−ACP−チオエステラ
ーゼ間で保存されたアミノ酸配列の殆どを共通に持つ。
このことから、このクローンがクフェア・レプトポダ・
ヘムスルのアシル−ACP−チオエステラーゼをコード
するcDNAを含むことは明らかである。
【0028】
【発明の効果】本発明により、クフェア・レプトポダ・
ヘムスル由来のアシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝
子が提供される。アシル−ACP−チオエステラーゼ
は、医薬品、食品として有用である中鎖脂肪酸合成の鍵
となる酵素であり、産業的に利用価値が高い。
ヘムスル由来のアシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝
子が提供される。アシル−ACP−チオエステラーゼ
は、医薬品、食品として有用である中鎖脂肪酸合成の鍵
となる酵素であり、産業的に利用価値が高い。
【0029】
配列番号 1 配列の長さ:1490 配列の型 :核酸 鎖の数 :2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:mRNA to cDNA 起源 生物名 :Cuphea leptopoda Hemsl. 配列
【0030】
【0031】配列番号 2 配列の長さ:419 配列の型 :アミノ酸 トポロジー:不明 配列の種類:タンパク質 起源 生物名 :Cuphea leptopoda Hemsl. 配列
【0032】
【0033】配列番号 3 配列の長さ:277 配列の型 :核酸 鎖の数 :2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:mRNA to cDNA 起源 生物名 :Cuphea leptopoda Hemsl. 配列
【0034】
【0035】配列番号 4 配列の長さ:92 配列の型 :アミノ酸 トポロジー:不明 配列の種類:ペプチド 起源 生物名 :Cuphea leptopoda Hemsl. 配列
【0036】
Claims (3)
- 【請求項1】 配列番号2で表されるアミノ酸配列をコ
ードするアシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子。 - 【請求項2】 塩基配列が、配列番号1で表される請求
項1記載のアシル−ACP−チオエステラーゼ遺伝子。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のアシル−A
CP−チオエステラーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入
した組み換え体DNA。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6320547A JPH08173165A (ja) | 1994-12-22 | 1994-12-22 | クフェア属植物の中鎖脂肪酸合成に関する遺伝子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6320547A JPH08173165A (ja) | 1994-12-22 | 1994-12-22 | クフェア属植物の中鎖脂肪酸合成に関する遺伝子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08173165A true JPH08173165A (ja) | 1996-07-09 |
Family
ID=18122655
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6320547A Pending JPH08173165A (ja) | 1994-12-22 | 1994-12-22 | クフェア属植物の中鎖脂肪酸合成に関する遺伝子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08173165A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101490241A (zh) * | 2006-05-19 | 2009-07-22 | Ls9公司 | 脂肪酸及其衍生物的制备 |
CN104894044A (zh) * | 2006-05-19 | 2015-09-09 | Reg生命科学有限责任公司 | 脂肪酸及其衍生物的制备 |
US10844406B2 (en) | 2006-05-19 | 2020-11-24 | Genomatica, Inc. | Production of fatty acids and derivatives thereof |
US11046635B2 (en) | 2006-05-19 | 2021-06-29 | Genomatica, Inc. | Recombinant E. coli for enhanced production of fatty acid derivatives |
US11434512B2 (en) | 2006-05-19 | 2022-09-06 | Genomatica, Inc. | Production of fatty acid esters |
-
1994
- 1994-12-22 JP JP6320547A patent/JPH08173165A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101490241A (zh) * | 2006-05-19 | 2009-07-22 | Ls9公司 | 脂肪酸及其衍生物的制备 |
CN104894044A (zh) * | 2006-05-19 | 2015-09-09 | Reg生命科学有限责任公司 | 脂肪酸及其衍生物的制备 |
CN105838657A (zh) * | 2006-05-19 | 2016-08-10 | Reg生命科学有限责任公司 | 脂肪酸及其衍生物的制备 |
US10844406B2 (en) | 2006-05-19 | 2020-11-24 | Genomatica, Inc. | Production of fatty acids and derivatives thereof |
US11046635B2 (en) | 2006-05-19 | 2021-06-29 | Genomatica, Inc. | Recombinant E. coli for enhanced production of fatty acid derivatives |
US11434512B2 (en) | 2006-05-19 | 2022-09-06 | Genomatica, Inc. | Production of fatty acid esters |
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