JPH08171869A - カラー受像管 - Google Patents

カラー受像管

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JPH08171869A
JPH08171869A JP31296194A JP31296194A JPH08171869A JP H08171869 A JPH08171869 A JP H08171869A JP 31296194 A JP31296194 A JP 31296194A JP 31296194 A JP31296194 A JP 31296194A JP H08171869 A JPH08171869 A JP H08171869A
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lens
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grid
electron beam
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Shigeru Sugawara
繁 菅原
Junichi Kimiya
淳一 木宮
Eiji Kanbara
英治 蒲原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良好な画像特性を備えるカラー受像管を構成
すること。 【構成】 水平方向にインライン状の複数本の電子ビー
ムを放出する電子銃7 を有するカラー受像管において、
主電子レンズ部を、少なくとも第1の電子レンズ、その
スクリーン3側にある第2の電子レンズから構成し、第
1の電子レンズを陰極KB,KG,KR側からスクリーンに向か
って順次配置された第1、第2、第3の電極G3,G4,G5か
ら構成し、第2の電極電位を第1、第3の電極電位より
も低くして、第1の電極側に電子ビームの水平方向を集
束し垂直方向を発散する4極子レンズ成分を形成する手
段をもつものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カラー受像管に係
り、特に蛍光体スクリーン周辺の解像度を向上させる電
子銃を備えるカラー受像管に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にカラー受像管は、図5に示すよう
に、パネル1およびこのパネル1に一体に接合された漏
斗状のファンネル2からなる外囲器を有し、そのパネル
1の内面に3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン3が
形成され、この蛍光体スクリーン3に対向して、その内
側に多数の電子ビーム通過孔の形成された色選別電極と
してのシャドウマスク4が配置されている。一方、ファ
ンネル2のネック5内に3電子ビーム6B ,6G ,6R
を発射する電子銃7が封止されている。そして、ファン
ネル2の外側に装着された偏向ヨーク8の発生する水
平、垂直偏向磁界により、上記電子銃7から発射された
3電子ビーム6B ,6G ,6R を偏向して、蛍光体スク
リーン3を水平、垂直走査することにより、カラー画像
を再生する構造に形成されている。
【0003】このようなカラー受像管のうち、現在一般
に使用されているインライン型カラー受像管は、蛍光体
スクリーン3が垂直方向に長いストライプ状の3色蛍光
体層で形成され、電子銃7が同一水平面上を通るセンタ
ービーム6G および一対のサイドビーム6B ,6R から
なる一列配置の3電子ビーム6B ,6G ,6R を発射す
るものとなっている。特に一列配置の3電子ビーム6B
,6G ,6R を自己集中するセルフコンバーゼンス・
インライン型カラー受像管では、偏向ヨーク8の発生す
る水平偏向磁界をピンクッション形、垂直偏向磁界をバ
レル形として、これら水平、垂直偏向磁界により、上記
電子銃7から発射された一列配置の3電子ビーム6B ,
6G ,6R を蛍光体スクリーン3上の一点に集中するよ
うに構成されている。
【0004】このようなカラー受像管に使用される電子
銃として、従来より各種方式のものがある。しかしその
いずれの電子銃も、陰極からの電子放出を制御しかつ放
出された電子を集束する電子ビーム発生部と、この電子
ビーム発生部から引出された電子ビームを蛍光体スクリ
ーン上に集束する主電子レンズ部とを有する。
【0005】図6(a)にその一例を示す。この電子銃
は、水平方向にインライン状に配列された3個の陰極K
(KB ,KG ,KR )およびこの陰極K上に順次所定間
隔離れて蛍光体スクリーン3方向に配置された第1ない
し第4グリッドG1 〜G4 から構成されている。その第
1および第2グリッドG1 ,G2 は、陰極Kに対応して
比較的小さな3個の電子ビーム通過孔が水平方向にイン
ライン状に形成された板状電極からなる。第3グリッド
G3 はカップ状の電極、第4グリッドG4 は筒状の電極
からなり、その第3グリッドG3 の第2グリッドG2 側
には、上記第2グリッドG2 の電子ビーム通過孔よりも
大きな3個の電子ビーム通過孔が水平方向にインライン
状に形成され、第3グリッドG3 の第4グリッドG4 側
および第4グリッドG4 には、さらに大きな1個の電子
ビーム通過孔が形成されている。
【0006】この電子銃の各電極には、図6(a)に示
した電極構成に対応して同(b)に示した電位10が付
与される。すなわちたとえば陰極Kに100〜200
V、第1グリッドG1 に0V、第2グリッドG2 に50
0〜1000V、第3グリッドG3 に4〜8 kV、第4
グリッドG4 に陽極電圧である20〜30 kVの電位が
付与される。それにより、陰極Kおよび第1、第2、第
3グリッドG1 ,G2 ,G3 により電子ビーム発生部G
EAが形成され、第3、第4グリッドG3 ,G4により
主電子レンズ部MLAが形成される。
【0007】図6(c)に上記電位を付与したときに形
成される電子レンズを光学的モデルで示す。陰極Kから
放出された電子は、陰極Kおよび第1、第2グリッドG
1 ,G2 によりクロスオーバCOを形成し、ついで第
2、第3グリッドG2 ,G3 間に形成されるプリフォー
カスレンズPL(予備集束レンズ)によりわずかに集束
され、電子ビーム6(6B ,6G ,6R )を形成して第
3グリッドG3 に発散しながら入射する。ついでこの第
3グリッドG3 に入射した電子ビーム6は、第3、第4
グリッドG3 ,G4 間に形成される主電子レンズMLに
より蛍光体スクリーン3上に集束され、この蛍光体スク
リーン3上にビームスポットSPを形成する。
【0008】この蛍光体スクリーン3上にビームスポッ
トSPは、上記第3グリッドG3 に発散しながら入射す
る電子ビーム6の陰極K側への延長上に得られる仮想ク
ロスオーバVCOを図6(d)に示すように物点11と
して、これを蛍光体スクリーン3上に像点12として結
像させたものとみなすことができる。
【0009】したがって蛍光体スクリーン3上のビーム
スポットSPをできるだけ小さくして、蛍光体スクリー
ン3上に描かれる画像特性を良好にするためには、主電
子レンズMLのレンズ性能を向上させることも重要であ
るが、物点10である仮想クロスオーバVCOの径をで
きるだけ小さくすること、および主電子レンズMLに入
射する電子ビーム6の発散角αを小さく抑えて、主電子
レンズMLの収差の影響を受けにくくすることもきわめ
て重要である。特にこの主電子レンズMLの収差の影響
は、電子ビーム6の電流量(ビーム電流量)が多いとき
に顕著となる。
【0010】上記主電子レンズに入射する電子ビームの
発散角を小さく抑えるために、電子ビーム発生部と主電
子レンズとの間に補助電子レンズ部を形成して、電子ビ
ーム発生部とこの電子ビーム発生部に接近して形成され
た補助電子レンズ部とでもって電子ビーム形成部とし、
それにより主電子レンズに入射する電子ビームの状態を
調整する電子銃が、特公昭29−2216号公報、特公
昭60−51775号公報、特開昭57−30247号
公報などに示されている。
【0011】このうち、特公昭29−2216号公報お
よび特公昭60−51775号公報に示されている電子
銃は、それぞれ図7(a)、図8(a)に示すように、
第2グリッドG2 と第3グリッドG3 との間に、第1、
第2、補助グリッドSg1,Sg2または第1、第2、第
3,第4補助グリッドSg1,Sg2,Sg3,Sg4が配置さ
れ、これら補助グリッドSg1,Sg2またはSg1,Sg2,
Sg3,Sg4を含む各電極に、それぞれ図7(b)、図8
(b)に示す電位10を付与して、陰極Kおよび第1、
第2グリッドG1 ,G2 により形成される電子ビーム発
生部GEAと、第1、第2補助グリッドSg1,Sg2と第
3グリッドG3 または第1ないし第4補助グリッドSg1
〜Sg4と第3グリッドG3 とにより形成される補助電子
レンズ部SLAとで電子ビーム形成部を形成し、第3、
第4グリッドG3 ,G4 により主電子レンズ部MLAを
形成し、図7(c)、図8(c)に示すように、陰極K
および第1、第2グリッドG1 ,G2 により形成される
電子ビーム発生部GEAからクロスオーバCOを経て形
成される電子ビーム6を、上記第1、第2補助グリッド
Sg1,Sg2と第3グリッドG3 、または第1ないし第4
補助グリッドSg1〜Sg4と第3グリッドG3 とにより形
成される補助電子レンズ部SLAの1つの補助電子レン
ズSLにより少し集束して、第3、第4グリッドG3 ,
G4 間に形成される主電子レンズMLに入射する電子ビ
ーム6の発散角αを小さく抑えようとしている。
【0012】しかしこの構造の電子銃では、前記図6に
示した補助電子レンズを形成しない電子銃にくらべ、仮
想クロスオーバVCOの径が大きくなり、そのために蛍
光体スクリーン3上のビームスポットSPを大幅に小さ
くすることはできない。
【0013】この仮想クロスオーバVCOの径の増大
は、上記公報に述べられているように、クロスオーバC
O部の空間電位を高くして、クロスオーバCO部の空間
電荷の反発効果を抑制し、クロスオーバCOの径を小さ
くするよりも結果的に悪くなる。そのため、蛍光体スク
リーン3上のビームスポットSPの径を小さくすること
はできない。
【0014】また特開昭57−30247号公報に示さ
れている電子銃は、図9(a)に示すように、第2グリ
ッドG2 と第3グリッドG3 との間に1個の補助グリッ
ドSg を配置し、この補助グリッドSg を含む各電極に
同(b)に示す電位10を付与して、陰極Kおよび第
1、第2グリッドG1 ,G2 により形成される電子ビー
ム発生部GEAと、第2グリッドG2 、補助グリッドS
g および第3グリッドG3 により形成される補助電子レ
ンズ部SLAとにより電子ビーム形成部を形成し、第
3、第4グリッドG3 ,G4 により主電子レンズ部ML
Aを形成し、同(c)に示すように、陰極Kおよび第
1、第2グリッドG1 ,G2 により形成される電子ビー
ム発生部GEAからクロスオーバCOを経て形成される
電子ビーム6の外側ビーム6o (離軸ビーム)のみを、
第2グリッドG2 、補助グリッドSg および第3グリッ
ドG3 により形成される補助電子レンズSLで強く集束
し、この外側ビーム6o のみを第3、第4グリッドG3
,G4 間に形成される主電子レンズMLの手前で電子
ビーム軸13(ビーム軸)と交差させることにより、こ
の外側ビーム60 が主電子レンズMLの収差の影響を受
けても、収差の影響を受けない内側ビーム6i (近軸ビ
ーム)と同じように蛍光体スクリーン3上に集束するよ
うにし、それによりブルーミング現象を解消しようとす
るものである。
【0015】しかし外側ビーム6o のみを主電子レンズ
MLの手前で電子ビーム軸13と交差させるほど補助電
子レンズSLを強くすると、内側ビーム6i も強く集束
される。そのため、上記公報に述べられているように、
主電子レンズMLを通過する内側ビーム6i と外側ビー
ム6o とを同時に蛍光体スクリーン3上に適正に集束す
ることはきわめて難しく、内側ビーム6i も主電子レン
ズMLの手前でビーム軸13と交差し、同(d)に示す
ように、主電子レンズMLからみた物点11は、主電子
レンズMLに近づく。その結果、電子光学的倍率が悪く
なり、像点12で示したように蛍光体スクリーン3上の
ビームスポットは大きくなる。
【0016】このことは、電子ビーム発生部からのビー
ム電流量が少ない低電流時に、電子ビームが主電子レン
ズの手前で電子ビーム軸と交差しているとして、改良手
段を提案している特開昭57−44944号公報からも
明らかである。
【0017】また上記公報には、高電流時には内側ビー
ムは主電子レンズの手前で電子ビーム軸と交差しないと
して、低電流時には補助電子レンズを働かせないで、高
電流時にのみ補助電子レンズを働かせる、いわゆるビー
ム電流量によるダイナミック補正方法が示されている
が、このように高電流時に内側ビームが主電子レンズの
手前で電子ビーム軸と交差しないように補助電子レンズ
の強さを調整したとしても、前述したように外側ビーム
のみを主電子レンズの手前で電子ビーム軸と交差させる
ほど強く補助電子レンズを働かせると、内側ビームも強
く集束され、主電子レンズを通過する内側ビームと外側
ビームとを同時に蛍光体スクリーン上に適正に集束する
ことがきわめて難しくなる。
【0018】またビーム電流量に対応したダイナミック
補正をおこなう場合は、高周波のため、陰極線管の駆動
回路が複雑になり、使用しにくいばかりでなく高価にな
る。さらにインライン型カラー受像管の電子銃のように
一列配置の3個の電子銃が一体化された電子銃では、同
一平面上を通る一列配置の3電子ビームに対して、個々
にビーム電流量に対応したダイナミック補正をおこなう
ことができないという致命的な問題もある。
【0019】一方、補助電子レンズを形成することな
く、主電子レンズに入射する電子ビームの発散角を抑え
るとともに、仮想クロスオーバの径を小さくするため
に、プリフォーカスレンズの最適化を図った電子銃が、
特開昭59−148242号公報などに示されている。
【0020】この電子銃は、図6に示した電子銃の第2
グリッドと第3グリッドとの間に形成されるバイポテン
シャル型のプリフォーカスレンズを特に強く働かせよう
としたものである。このプリフォーカスレンズは、図1
0(a)にその電子ビーム発生部を拡大して示し、同
(b)にその銃軸14上の電位分布Vおよび2階微係数
V″をそれぞれ曲線15,16で示したように、第2グ
リッドG2 と第3グリッドG3 との間に、バイポテンシ
ャル型電子レンズの特性上、第2グリッドG2 側に集束
レンズCL、第3グリッドG3 側に発散レンズDLが形
成され、全体として集束作用をもつプリフォーカスレン
ズPLとしたものである。
【0021】このプリフォーカスレンズPLは、上記公
報によれば、内側ビームと外側ビームとのクロスオーバ
COの位置と発散角が異なるため、プリフォーカスレン
ズPLの集束作用を強めることにより、主として外側ビ
ームのみを強く集束し、電子ビーム6全体の発散角を抑
えるとともに、仮想クロスオーバVCOの径も小さくな
るとしている。さらにこのようなプリフォーカスレンズ
PLのみを強く効かせても、内側ビームが発散角の大き
いまま主電子レンズMLに入射することを防止するた
め、図8に示したように補助電子レンズ部を設け、プリ
フォーカスレンズPLで外側ビームを、また補助電子レ
ンズ部で徐々に外側になっていく内側ビームを主として
集束し、主電子レンズMLに入射させる方法も考えられ
るとしている。
【0022】しかし陰極Kから放出される電子を集束し
て得られる電子ビーム6の密度分布は、図10(c)に
示すように、クロスオーバCO部のa面では、裾の広が
りの少ない高密度分布17a となっており、プリフォー
カスレンズPL部のb面でも、なお裾の広がりの少ない
可なり急峻な密度分布17b である。そのため、この部
分で外側ビームと内側ビームを区分することは困難であ
る。なお第3グリッドG3 の内側のc面およびd面で
は、17c ,17d で示したように裾の広がりが可なり
大きくなる。したがって上記公報の記載のようにプリフ
ォーカスレンズPLで外側ビームのみを主として集束さ
せることは、きわめて困難である。
【0023】これは、図9に示した電子銃についても、
電子ビームの密度分布から外側ビームも内側ビームも同
じように集束されるため、同様である。
【0024】つまり、いずれの電子銃においても、プリ
フォーカスレンズのレンズ作用を強くしても、クロスオ
ーバから発散する電子ビームは、外側ビームも内側ビー
ムもともに強く集束され、仮想クロスオーバの径は大き
くなる。
【0025】このことは、たとえば図7に示した電子銃
のように補助電子レンズ部を設けても、プリフォーカス
レンズで主として外側ビームのみを強く集束することが
できないため、主電子レンズ部に入射する電子ビームの
最大発散角は抑えられても、仮想クロスオーバの径を十
分に小さくできないことを示している。またプリフォー
カスレンズの強さを変えるために、第2グリッドと第3
グリッドとの間隔を変えたり、第1、第2グリッドの板
厚や第1、第2、第3グリッドの電子ビーム通過孔の大
きさを変えたりすると、陰極から電子を取出すためのカ
ットオフ特性が変化し、所望のカラー受像管とならな
い。また必要なビーム電流量を確保できなくなるなどの
実用上の不都合が生ずる。
【0026】以上、電子ビームの発散角を抑えて、主電
子レンズの収差によるブルーミングを軽減する場合につ
いて述べたが、電子ビームの電流が低い低電流時には、
物点が小さくなり、蛍光体スクリーンに集束される電子
ビームのスポットが過度に小さくなった場合に新たな問
題が生ずる。つまり、インライン形カラー受像管では、
一般にに垂直方向に長いほぼ矩形状の電子ビーム通過孔
が垂直方向にブリッジを介して複数個配列され、この垂
直方向の電子ビーム通過孔列が水平方向に複数列並列さ
れたシャドウマスクが用いられている。そのため、この
シャドウマスクの電子ビーム通過孔の配列と水平方向に
偏向される電子ビームの走査間隔により干渉が生じ、画
面の輝度が周期的に変化するモアレが生ずる。
【0027】このモアレを解決するためには、シャドウ
マスクの電子ビーム通過孔の垂直方向の間隔を変えて、
水平走査線の間隔と干渉する空間周波数をずらすことが
有効である。しかしながらカラー受像管の水平走査線の
数は、TVシステムにより異なるし、また同じシステム
でも、水平走査線の数を可変として、映像を映し出すシ
ステムもある。したがってこのように水平走査線の間隔
の相違や変化に対応して、モアレを生じないようにシャ
ドウマスクの電子ビーム通過孔の配列を設定することは
きわめて困難である。
【0028】一般にモアレは、電子ビームのスポットの
垂直方向径が小さいほど生じやすく、また低電流の電子
ビームほど顕著となる。したがって低電流の電子ビーム
の場合には、電子ビームのスポットの垂直方向径が極端
に小さくならないように物点である仮想クロスオーバの
垂直径を大きくする必要がある。一方、水平方向径は、
解像度が劣化しないように仮想クロスオーバの径を小さ
くする必要がある。つまり、仮想クロスオーバを水平、
垂直方向に非対称にする必要がある。しかしながら上述
した従来の技術は、いずれも円筒電子レンズを用いてい
るため、仮想クロスオーバを非対称にすることができな
いという問題がある。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、カラー
受像管の画像特性を向上させるためには、蛍光体スクリ
ーン上のビームスポットができるだけ小さくなるよう
に、物点である仮想クロスオーバの径をできるだけ小さ
く、かつ主電子レンズ部に入射する電子ビームの発散角
αを小さく抑えて、主電子レンズ部の収差の影響を受け
にくくすることが重要かつ有効である。そのために、従
来より第2グリッドと第3グリッドとの間に電子ビーム
発生部からの電子ビームを集束する補助電子レンズ部を
形成する補助グリッドを配置した電子銃がある。しかし
このように補助グリッドを配置しても、従来の電子銃
は、蛍光体スクリーン上のビームスポットを小さくする
ことが困難であり、特に高電流時のブルーミング現象を
十分に抑制することができず、高電流域における画像特
性を向上させることが困難であった。一方、低電流ビー
ムの場合には、電子ビームのスポットの垂直方向径が極
端に小さくなって、モアレが生ずるという問題がある。
【0030】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたものであり、物点である仮想クロスオーバの径
を小さくするとともに、主電子レンズ部に入射する電子
ビームの発散角を小さく抑え、高電流域におけるブルー
ミング現象を抑制するとともに、低電流時のモアレを抑
えて、低電流域から高電流域にわたり、良好な画像特性
をもつカラー受像管を構成することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】少なくとも電子銃部、ス
クリーン部とこれらを包囲する外囲器と偏向部からな
り、電子銃部から発射される電子ビームを偏向部により
垂直方向および水平方向に偏向するカラー受像管であっ
て、電子銃部が陰極を含む電子ビーム形成部とこの電子
ビーム形成部によって形成された水平方向にインライン
状の複数本の電子ビームをそれぞれスクリーン部に集束
する主電子レンズ部を少なくとも備えるカラー受像管に
おいて、主電子レンズ部を、少なくとも第1の電子レン
ズとこれよりもスクリーン側にある第2の電子レンズか
ら構成し、第1の電子レンズを陰極側からスクリーンに
向かって順次配置された第1の電極と第2の電極と第3
の電極とから構成し、第2の電極電位を第1、第3の電
極電位よりも低くして、第1の電極側に電子ビームの水
平方向を集束し垂直方向を発散する4極子レンズ成分を
形成する手段をもつものとした。
【0032】その具体的構成として、第1の電極を、そ
れぞれ電子ビーム通過孔を有する複数個の電極部材から
構成し、その複数個の部材のうち少なくとも1個の部材
をインライン状の複数本の電子ビームを共通に包囲する
断面が実質的に水平方向に長方形状の筒状部と、その少
なくとも一端にこの筒状部と実質的に直交する電子ビー
ム通過孔をもつ面部から少なくともなり、実質的に長方
形状の筒状部を、その短軸方向の内径が第2の電極の電
子ビーム通過孔の垂直方向径よりも小さいした。
【0033】
【作用】上記のように電子銃を構成すると、陰極、第1
グリッドおよび第2グリッドによりクロスオーバを形成
して発散する電子ビームを第1の電極と第2の電極との
間に形成される4極子レンズ成分をもつ第1の電子レン
ズ成分領域で電子ビームの垂直方向を発散する。この垂
直方向の発散により電子ビームの密度分布の裾が広がっ
て大きくなり、外側ビームと内側ビームとを区別できる
ようになる。この外側ビームと内側ビームとを区別でき
るようになって、第2の電極と第3の電極との間に形成
される円筒レンズ成分をもつ第2の電子レンズ成分の球
面収差領域を通過し、主として外側ビームが強く集束さ
れ、離軸電子ビームの発散角を抑えて第2の電子レンズ
に入射する。一方、水平方向は、第1の電極と第2の電
極との間の4極子レンズ成分をもつ第1の電子レンズ領
域できわめて球面収差の少ない状態に集束され、ついで
第2の電極と第3の電極との間に形成される円筒レンズ
成分をもつ第2の電子レンズ成分の球面収差の影響を少
なく受けて、小さな発散角で第2の電子レンズに入射す
る。
【0034】したがって上記のように形成される電子ビ
ームは、高電流の場合は、その最大発散角が小さく抑え
られ、かつ主電子レンズ部からみた仮想クロスオーバの
径の大きさは、外側ビームと内側ビームのそれぞれの仮
想クロスオーバの位置の差が小さくなるため、その径を
小さくすることができる。また低電流の場合は、電子ビ
ームの垂直方向の仮想クロスオーバの位置が水平方向の
仮想クロスオーバの位置よりも蛍光体スクリーン側に形
成され、かつ第2の電子レンズ成分の球面収差の影響で
物点径も大きくなる。したがって蛍光体スクリーン上の
ビームスポットの垂直方向径は、極端に小さくならず、
モアレの発生を抑えることが可能となる。
【0035】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。
【0036】この実施例のカラー受像管の全体の構成
は、従来のカラー受像管と同じであるので、図4を参照
して説明する。このカラー受像管は、パネル1とこのパ
ネル1に一体に接合された漏斗状のファンネル2からな
る外囲器を有し、そのパネル1の内面に、青、緑、赤に
発光する垂直方向に長いストライプ状の3色蛍光体層か
らなる蛍光体スクリーン3が形成され、この蛍光体スク
リーン3に対向して、その内側に多数の電子ビーム通過
孔の形成された色選別電極としてのシャドウマスク4が
配置されている。一方、ファンネル2のネック5内に、
同一水平面上を通るセンタービーム6G および一対のサ
イドビーム6B ,6R からなる一列配置の3電子ビーム
6B ,6G ,6R を発射する下記電子銃7が封止されて
いる。そしてファンネル2の外側に装着された偏向ヨー
ク8の発生する磁界により、上記電子銃7から発射され
た3電子ビーム6B ,6G ,6R を偏向して、蛍光体ス
クリーン3を水平、垂直走査することにより、カラー画
像を再生する構造に形成されている。
【0037】上記電子銃7は、図1に示すように、水平
方向にインライン状に配列された3個の陰極KB ,KG
,KR 、これら陰極KB ,KG ,KR を各別に加熱す
るヒータ(図示せず)および上記陰極KB ,KG ,KR
上に順次所定間隔離れて蛍光体スクリーン3方向に配置
された第1、第2、第3、第4、第5、第6グリッドG
1 、G2 ,G3 ,G4 ,G5 ,G6 を有し、それらが絶
縁支持体(図示せず)により一体に固定された構造に形
成されている。
【0038】その第1、第2グリッドG1 ,G2 は、そ
れぞれ水平方向(X方向)を長軸方向とする長方形状の
板状電極からなり、第3、第4、第5、第6グリッドG
3 ,G4 ,G5 ,G6 は、それぞれ水平方向を長軸方向
とする実質的に長方形状の筒状部の一端に実質的に直交
する面部が形成された2個のカップ電極の開口を突合わ
せた筒状電極からなる。
【0039】その第1、第2グリッドG1 ,G2 には、
3個の陰極KB ,KG ,KR に対応して3個の比較的小
さな円形電子ビーム通過孔が水平方向にインライン状に
形成されている。第3グリッドG3 の第2グリッドG2
と対向する面部には、3個の陰極KB ,KG ,KR に対
応して、第2グリッドG2 の電子ビーム通過孔よりも大
きい3個の円形電子ビーム通過孔が水平方向にインライ
ン状に形成されている。第3グリッドG3 の第4グリッ
ドG4 との対向する面部および第4、第5、第6グリッ
ドG4 ,G5 ,G6 を構成するカップ電極の面部には、
3個の陰極KB,KG ,KR に対応して、第3グリッド
G3 の第2グリッドG2 との対向面の電子ビーム通過孔
よりも大きい3個の円形電子ビーム通過孔が水平方向に
インライン状に形成されている。
【0040】特にこの電子銃7においては、図1および
図2(a)および(b)に示すように、第3グリッドG
3 の第2グリッドG2 側の電極G3Bの3個の電子ビーム
通過孔20B ,20G ,20R の配列方向(長軸方向)
と直交する短軸方向(Y方向)の内径hは、第4グリッ
ドG4 側の電極G3Tの長軸方向に形成された3個の電子
ビーム通過孔21B ,21G ,21R の直径Rよりも小
さくなっている。
【0041】表1に上記電子銃の具体的な寸法を示す。
【表1】 第1グリッドの電子ビーム通過孔G1 φ 0.40〜1.0 mm 第1グリッドの厚さG1 t 0.08〜0.15mm 第1グリッドと第2グリッドとの間隔G1 /G2 0.20〜1.0 mm 第2グリッドの電子ビーム通過孔G2 φ 0.40〜1.0 mm 第2グリッドの厚さG2 t 0.10〜1.00mm 第2グリッドと第3グリッドとの間隔G2 /G3 0.50〜1.0 mm 第3グリッドの第2グリッド側電子ビーム通過孔G3Bφ 0.80〜1.50mm 第3グリッドの第4グリッド側電子ビーム通過孔G3Tφ 4.00〜6.00mm 第3グリッドの長さG3 L 1.50〜4.00mm 第3グリッドと第4グリッドとの間隔G3 /G4 0.40〜1.0 mm 第3グリッドの第2グリッド側電極の垂直方向内径G3 h 3.0 〜5.0 mm 第4グリッドの電子ビーム通過孔G4 φ 4.00〜6.00mm 第4グリッドの長さG4 L 0.80〜4.00mm 第4グリッドと第5グリッドとの間隔G4 /G5 0.40〜1.0 mm 第5グリッドの第4グリッド側電子ビーム通過孔G5Bφ 4.00〜6.00mm 第5グリッドの第6グリッド側電子ビーム通過孔G5Tφ 4.00〜7.00mm 第5グリッドの長さG5 L 8.00〜40.0mm 第5グリッドと第6グリッドとの間隔G5 /G6 0.80〜1.2 mm 第6グリッドの電子ビーム通過孔G6 φ 4.00〜7.00mm この電子銃においては、図3(b)に同(a)の構造に
対応して示す電位10が付与される。すなわち陰極KB ,
KG ,KR に100〜200V、これに映像信号の重畳
された電位、第1グリッドG1 に0V、第2グリッドG
2 に500〜1000V、第3グリッドG3 に5〜9 k
V、第4グリッドG4 に0.5〜3 kV、第4グリッド
G5 に第3グリッドG3 と同じ5〜9 kV、第6グリッ
ドG6 に陽極電圧である20〜30 kVの電位が付与さ
れる。
【0042】それにより、陰極KB ,KG ,KR 、第1
グリッドG1 、第2グリッドG2 および第3グリッドG
3 により電子ビーム形成部が形成され、図3(c)に示
すように、その第2グリッドG2 と第3グリッドG3 と
の間にバイポテンシャル型のプリフォーカスレンズPL
が形成される。また第3グリッドG3 (第1の電極)、
第4グリッドG4 (第2の電極)および第5グリッドG
5 (第3の電極)により、ユニポテンシャル型の第1の
電子レンズL1 が形成される。この第1の電子レンズL
1 は、第3グリッドG3 側に形成される電子ビーム6
(6B ,6G ,6R )を水平方向に集束、垂直方向に発
散する4極子レンズ成分QLと、第5グリッドG5 側に
形成される電子ビーム6を水平、垂直方向ともに集束す
る円筒電子レンズ成分CLとからなる。そして第5グリ
ッドG5 と第6グリッドG6 とにより、電子ビーム6を
最終的に蛍光体スクリーン3上に集束する第2の電子レ
ンズL2 が形成される。
【0043】上記のように第1の電子レンズL1 の第3
グリッドG3 側に4極子レンズ成分QLが形成されるわ
けは、図2に示したように、第3グリッドの第2グリッ
ドG2 側の電極G3Bが3個の電子ビーム通過孔20B ,
20G ,20R がインライン状に配列された水平方向を
長径とし、その垂直方向の内径hが第3グリッドG3の
第4グリッドG4 側の電極G3Tの電子ビーム通過孔21
B ,21G ,21R の直径Rよりも小さく形成されてい
るためである。すなわち、上記のように第3グリッドG
3 の第2グリッドG2 側を構成すると、図4に示すよう
に、この第2グリッドG2 側の電極G3Bに浸透する電界
23が水平方向と垂直方向とで異なり、同(a)に示し
た垂直方向の電界23が同(b)に示した水平方向の電
界23よりも密になる。しかも第1の電子レンズL1 の
第3グリッドG3 側は、ユニポテンシャル型電子レンズ
の発散レンズ領域であるため、電位の密な垂直方向の発
散が強く作用し、電子ビーム6を水平方向に集束、垂直
方向に発散する4極子レンズ成分QLが形成される。
【0044】その結果、陰極KB ,KG ,KR から放出
された電子は、陰極KB ,KG ,KR および第1、第2
グリッドG1 ,G2 によりクロスオーバCOを形成し、
ついで第2グリッドG2 と第3グリッドG3 との間に形
成されるバイポテンシャル型のプリフォーカスレンズP
Lによりわずかに集束される。このプリフォーカスレン
ズPLでは、電子ビーム6の密度分布は、まだ急峻であ
るため、電子ビーム6の全体にプリフォーカスレンズP
Lの集束作用が及び、電子ビーム全体6が少し集束され
る。
【0045】一般にクロスオーバCOの径は、ビーム電
流量が3〜5 mAのときでも、100μm 程度であり、
プリフォーカスレンズPLでも、電子ビームの径は、ま
だ100〜200μm 程度である。また第2グリッドG
2 の電子ビーム通過孔でも、400μm 程度の急峻な密
度分布であるため、プリフォーカスレンズPLにより、
電子ビーム6の外側ビームと内側ビームとに対する集束
作用を大きく異ならしめることは、ほとんどできない。
【0046】なお、このプリフォーカスレンズPLがな
い場合は、電子ビーム6は、大きな発散角をもって広が
り、電極に衝突するようになる。またこの電子銃でのバ
イポテンシャル型のプリフォーカスレンズPLは、これ
を形成する第3グリッドの電位が5〜9 kVと高いた
め、電子ビーム6の反発による広がりを抑える上に有効
に作用している。つぎに、上記プリフォーカスレンズP
Lにより少し集束された電子ビーム6は、第3ないし第
5グリッドG3 〜G5 により形成される4極子レンズ成
分QLをもつユニポテンシャル型の第1の電子レンズL
1 に入射する。
【0047】この第1の電子レンズL1 に入射した電子
ビーム6は、まず4極子レンズ成分QLの垂直方向に発
散、水平方向に強く集束する作用を受け、図3(c)に
実線で示したように、外側ビーム6o が破線で示した内
側ビーム6i よりも大きく発散する。そしてつぎの円筒
電子レンズ成分CLの領域で、垂直方向の外側ビーム6
o は、この円筒電子レンズ成分CLの球面収差を大きく
受けて、内側ビーム6i よりも強く集束され、小さな発
散角でつぎの第5グリッドG5 と第6グリッドG6 とに
より形成される第2の電子レンズL2 に入射する。
【0048】このとき、内側ビーム6i の発散角は、外
側ビーム6o の発散角よりも大きく、内側ビーム6i が
外側ビーム6o よりも隔軸を通過し、球面収差を受けて
蛍光体スクリーン3上に集束される。一方、外側ビーム
6o の仮想クロスオーバVCOo は、第2の電子レンズ
L2 からの距離Lo ,Li で示したように内側ビーム6
i の仮想クロスオーバVCOi よりも遠くなる。そのた
め、蛍光体スクリーン3上に内側ビーム6i と同じ位置
に像点を結ぶようになる。
【0049】この場合、電子ビーム6の水平方向は、4
極子レンズ成分QLの強い集束により円筒電子レンズ成
分CLの近軸を通過するので、球面収差の影響をほとん
ど受けずに集束され、小さな発散角で第2の電子レンズ
L2 に入射して、蛍光体スクリーン3上に集束される。
このとき、水平方向の仮想クロスオーバは、垂直方向の
内側ビーム6i の仮想クロスオーバよりも遠くなるた
め、電子ビーム6の水平方向は、垂直方向の内側ビーム
6i よりも手前で結像する。したがって電子ビーム6の
水平方向が蛍光体スクリーン3上に適切に集束するよう
にした場合、電子ビーム6の垂直方向は、若干不足集束
状態となる。しかしセルフコンバーゼンス・インライン
形カラー受像管では、水平偏向磁界がピンクツション
形、垂直偏向磁界がバレル形となっており、この偏向磁
界により画面の周辺部で電子ビーム6の垂直方向に集束
作用が加わるため、上記のように電子ビーム6の垂直方
向が若干不足集束状態となっていても問題はなく、かえ
って画面の周辺部のビームスポット径が小さくなり、解
像度を向上することができる。
【0050】したがってこのような第1の電子レンズL
1 で電子ビーム6を予備集束することにより、電子ビー
ム6の垂直方向は、特に高電流での電子ビーム6の発散
角が小さく抑えられ、第2の電子レンズL2 の球面収差
の影響を小さくして、ビームスポットのブルーミングを
抑えることができる。一方、低電流時は、上記内側ビー
ム6i と考えてよく、第1の電子レンズL1 の4極子レ
ンズQLにより一旦発散され、つぎの円筒電子レンズ成
分CLの球面収差を少なからず受ける。そのため、プリ
フォーカスレンズPLだけで集束した場合よりも、その
物点径は大きくなる。したがって垂直方向のビームスポ
ットは大きくなり、シャドウマスク4の電子ビーム通過
孔の配列との干渉によるモアレが生じにくくなる。
【0051】一方、水平方向は、主に球面収差のきわめ
て少ない4極子レンズQLにより集束され、発散角が抑
えられるため、物点径の劣化(拡大)は、きわめて少な
い。したがって水平方向のビームスポットを小さくで
き、解像度を向上することができる。
【0052】したがって上述のように電子銃7を構成す
ると、電子ビーム6が高電流のときには、その水平、垂
直方向の発散角を効果的に抑えて、最終的に蛍光体スク
リーン3上に集束する電子レンズL2 の球面収差の影響
を少なくし、蛍光体スクリーン3上のビームスポットを
ブルーミングのない小さなビームスポット径とすること
ができる。また低電流時には、電子ビームの垂直方向の
物点径を大きくし、蛍光体スクリーン3上のビームスポ
ットの径を過度に小さくしなくなるため、モアレを生じ
にくくすることがてき、低電流域から高電流域にわた
り、良好な画像特性を備えるカラー受像管を構成するこ
とができる。
【0053】なお、上記実施例では、電子銃の第2の電
子レンズをバイポテンシャル型の対称レンズとしたが、
この発明は、その第2の電子レンズをユニポテンシャル
型や拡張電界型、あるいはそれらの複合型としてもよ
い。また非対称の電子レンズにも適用することができ
る。
【0054】
【発明の効果】水平方向にインライン状の複数本の電子
ビームを発射する電子銃を有するカラー受像管におい
て、その電子レンズ部を、少なくとも第1の電子レンズ
とこれよりもスクリーン側にある第2の電子レンズから
構成し、第1の電子レンズを陰極側からスクリーンに向
かって順次配置された第1の電極と第2の電極と第3の
電極から構成し、第2の電極電位を第1、第3の電極電
位よりも低くして、第1の電極側に電子ビームの水平方
向を集束し垂直方向を発散する4極子レンズ成分を形成
する手段をもつものとし、具体的には、その第1の電極
を、それぞれ電子ビーム通過孔を有する複数個の電極部
材から構成し、その複数個の部材のうち少なくとも1個
の部材をインライン状の複数本の電子ビームを共通に包
囲する断面が実質的に水平方向に長方形状の筒状部と、
その少なくとも一端にこの筒状部と実質的に直交する電
子ビーム通過孔をもつ面部から少なくともなる実質的に
長方形状の筒状部を、その短軸方向の内径が第2の電極
の電子ビーム通過孔の垂直方向径よりも小さくすること
により、高電流の電子ビームについては、その発散角を
効果的に抑えて、電子ビームを最終的に蛍光体スクリー
ン上に集束する電子レンズの球面収差の影響を少なく
し、蛍光体スクリーン上のビームスポットをブルーミン
グのない小さなスポット径とすることができる。一方、
低電流の電子ビームについては、電子ビームの垂直方向
の物点径を大きくして、蛍光体スクリーン上のビームス
ポットの垂直方向の径が過度に小さくならないようにし
て、シャドウマスクの電子ビーム通過孔の配列との干渉
によるモアレを生じにくくし、低電流域から高電流域に
わたり、良好な画像特性を備えるカラー受像管とするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例であるカラー受像管の電子
銃の構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)はその第3グリッドの第2グリッド
側の電極の構造を示す図、図2(b)は第4グリッド側
の電極の構造を示す図である。
【図3】図3(a)は図3(b)および図3(c)に対
応して示した電子銃の構成図、図3(b)はその各電極
に付与する電位を示す図、図3(c)は電子銃に形成さ
れる電子レンズの光学モデル図である。
【図4】図4(a)は第3、第4および第5グリッドに
より形成される第1の電子レンズの垂直方向の電界を示
す図、図4(b)は水平方向の電界を示す図である。
【図5】カラー受像管の構成を示す図である。
【図6】図6(a)は従来の電子銃の構成を示す図、図
6(b)はその各電極に付与する電位を示す図、図6
(c)は電子銃に形成される電子レンズの光学的モデル
図、図6(d)はその電子レンズにより形成される物点
と像点との関係を示す図である。
【図7】図7(a)は従来の補助グリッドの配置された
電子銃の構成を示す図、図7(b)はその各電極に付与
する電位を示す図、図7(c)はその電子銃に形成され
る電子レンズの光学的モデル図である。
【図8】図8(a)は従来の補助グリッドの配置された
異なる電子銃の構成を示す図、図8(b)はその各電極
に付与する電位を示す図、図8(c)はその電子銃に形
成される電子レンズの光学的モデル図である。
【図9】図9(a)は従来の補助グリッドの配置された
さらに異なる電子銃の構成を示す図、図9(b)はその
各電極に付与する電位を示す図、図9(c)はその電子
銃に形成される電子レンズの光学的モデル図、図9
(d)はその電子レンズにより形成される物点と像点と
の関係を示す図である。
【図10】図10(a)は従来の補助レンズを形成する
ことなく仮想クロスオーバを小さくする電子銃を説明す
るための図、図10(b)はその銃軸上の電位分布およ
びその2階微分を示す図、図10(c)はその電子銃の
各部分における電子ビームの密度分布を示す図である。
【符号の説明】
1…パネル 3…蛍光体スクリーン 6B ,6G ,6R …3電子ビーム 6i …内側ビーム 6o …外側ビーム 7…電子銃 20B ,20G ,20R …電子ビーム通過孔 21B ,21G ,21R …電子ビーム通過孔 23…電界 CL…円筒電子レンズ成分 CO…クロスオーバ G1 …第1グリッド G2 …第2グリッド G3 …第3グリッド G4 …第4グリッド G5 …第5グリッド G6 …第6グリッド G3B…第3グリッドの第2グリッド側電極 G3T…第3グリッドの第4グリッド側電極 KB ,KG ,KR …陰極 L1 …第1の電子レンズ L2 …第2の電子レンズ PL…プリフォーカスレンズ QL…4極子レンズ成分 VCOi …内側ビームの仮想クロスオーバ VCOo …外側ビームの仮想クロスオーバ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも電子銃部、スクリーン部とこ
    れらを包囲する外囲器と偏向部からなり、前記電子銃部
    から発射される電子ビームを前記偏向部により垂直方向
    および水平方向に偏向するカラー受像管であって、前記
    電子銃部は陰極を含む電子ビーム形成部と該電子ビーム
    形成部によって形成された水平方向にインライン状の複
    数本の電子ビームをそれぞれ前記スクリーン部に集束す
    る主電子レンズ部を少なくとも備えるカラー受像管にお
    いて、 前記主電子レンズ部は、少なくとも第1の電子レンズと
    これよりもスクリーン側にある第2の電子レンズからな
    り、前記第1の電子レンズは陰極側からスクリーンに向
    かって順次配置された第1の電極と第2の電極と第3の
    電極からなり、第2の電極電位は第1、第3の電極電位
    よりも低く、第1の電極側に電子ビームの水平方向を集
    束し垂直方向を発散する4極子レンズ成分を形成する手
    段のあることを特徴とするカラー受像管。
  2. 【請求項2】 少なくとも電子銃部、スクリーン部とこ
    れらを包囲する外囲器と偏向部からなり、前記電子銃部
    から発射される電子ビームを前記偏向部により垂直方向
    および水平方向に偏向するカラー受像管であって、前記
    電子銃部は陰極を含む電子ビーム形成部と該電子ビーム
    形成部によって形成された水平方向にインライン状の複
    数本の電子ビームをそれぞれ前記スクリーン部に集束す
    る主電子レンズ部を少なくとも備えるカラー受像管にお
    いて、 前記主電子レンズ部は、少なくとも第1の電子レンズと
    これよりもスクリーン側にある第2の電子レンズからな
    り、前記第1の電子レンズは陰極側からスクリーンに向
    かって順次配置された第1の電極と第2の電極と第3の
    電極からなり、第2の電極電位は第1、第3の電極電位
    よりも低く、第1の電極はそれぞれ電子ビーム通過孔を
    有する複数個の電極部材からなり、前記複数個の部材の
    うち少なくとも1個の部材はインライン状の複数本の電
    子ビームを共通に包囲する断面が実質的に水平方向に長
    方形状の筒状部と、その少なくとも一端にこの筒状部と
    実質的に直交する電子ビーム通過孔をもつ面部から少な
    くともなり、前記実質的に長方形状の筒状部は、その短
    軸方向の内径が前記第2の電極の電子ビーム通過孔の垂
    直方向径よりも小さいことを特徴とするカラー受像管。
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