JP3682309B2 - カラー受像管 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、カラー受像管に係り、特に蛍光体スクリーン周辺の解像度を向上させる電子銃を備えるカラー受像管に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にカラー受像管は、図5に示すように、パネル1およびこのパネル1に一体に接合された漏斗状のファンネル2からなる外囲器を有し、そのパネル1の内面に3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン3が形成され、この蛍光体スクリーン3に対向して、その内側に多数の電子ビーム通過孔の形成された色選別電極としてのシャドウマスク4が配置されている。一方、ファンネル2のネック5内に3電子ビーム6B ,6G ,6R を発射する電子銃7が封止されている。そして、ファンネル2の外側に装着された偏向ヨーク8の発生する水平、垂直偏向磁界により、上記電子銃7から発射された3電子ビーム6B ,6G ,6R を偏向して、蛍光体スクリーン3を水平、垂直走査することにより、カラー画像を再生する構造に形成されている。
【0003】
このようなカラー受像管のうち、現在一般に使用されているインライン型カラー受像管は、蛍光体スクリーン3が垂直方向に長いストライプ状の3色蛍光体層で形成され、電子銃7が同一水平面上を通るセンタービーム6G および一対のサイドビーム6B ,6R からなる一列配置の3電子ビーム6B ,6G ,6R を発射するものとなっている。特に一列配置の3電子ビーム6B ,6G ,6R を自己集中するセルフコンバーゼンス・インライン型カラー受像管では、偏向ヨーク8の発生する水平偏向磁界をピンクッション形、垂直偏向磁界をバレル形として、これら水平、垂直偏向磁界により、上記電子銃7から発射された一列配置の3電子ビーム6B ,6G ,6R を蛍光体スクリーン3上の一点に集中するように構成されている。
【0004】
このようなカラー受像管に使用される電子銃として、従来より各種方式のものがある。しかしそのいずれの電子銃も、陰極からの電子放出を制御しかつ放出された電子を集束する電子ビーム発生部と、この電子ビーム発生部から引出された電子ビームを蛍光体スクリーン上に集束する主電子レンズ部とを有する。
【0005】
図6(a)にその一例を示す。この電子銃は、水平方向にインライン状に配列された3個の陰極K(KB ,KG ,KR )およびこの陰極K上に順次所定間隔離れて蛍光体スクリーン3方向に配置された第1ないし第4グリッドG1 〜G4 から構成されている。その第1および第2グリッドG1 ,G2 は、陰極Kに対応して比較的小さな3個の電子ビーム通過孔が水平方向にインライン状に形成された板状電極からなる。第3グリッドG3 はカップ状の電極、第4グリッドG4 は筒状の電極からなり、その第3グリッドG3 の第2グリッドG2 側には、上記第2グリッドG2 の電子ビーム通過孔よりも大きな3個の電子ビーム通過孔が水平方向にインライン状に形成され、第3グリッドG3 の第4グリッドG4 側および第4グリッドG4 には、さらに大きな1個の電子ビーム通過孔が形成されている。
【0006】
この電子銃の各電極には、図6(a)に示した電極構成に対応して同(b)に示した電位10が付与される。すなわちたとえば陰極Kに100〜200V、第1グリッドG1 に0V、第2グリッドG2 に500〜1000V、第3グリッドG3 に4〜8 kV、第4グリッドG4 に陽極電圧である20〜30 kVの電位が付与される。それにより、陰極Kおよび第1、第2、第3グリッドG1 ,G2 ,G3 により電子ビーム発生部GEAが形成され、第3、第4グリッドG3 ,G4 により主電子レンズ部MLAが形成される。
【0007】
図6(c)に上記電位を付与したときに形成される電子レンズを光学的モデルで示す。陰極Kから放出された電子は、陰極Kおよび第1、第2グリッドG1 ,G2 によりクロスオーバCOを形成し、ついで第2、第3グリッドG2 ,G3 間に形成されるプリフォーカスレンズPL(予備集束レンズ)によりわずかに集束され、電子ビーム6(6B ,6G ,6R )を形成して第3グリッドG3 に発散しながら入射する。ついでこの第3グリッドG3 に入射した電子ビーム6は、第3、第4グリッドG3 ,G4 間に形成される主電子レンズMLにより蛍光体スクリーン3上に集束され、この蛍光体スクリーン3上にビームスポットSPを形成する。
【0008】
この蛍光体スクリーン3上にビームスポットSPは、上記第3グリッドG3 に発散しながら入射する電子ビーム6の陰極K側への延長上に得られる仮想クロスオーバVCOを図6(d)に示すように物点11として、これを蛍光体スクリーン3上に像点12として結像させたものとみなすことができる。
【0009】
したがって蛍光体スクリーン3上のビームスポットSPをできるだけ小さくして、蛍光体スクリーン3上に描かれる画像特性を良好にするためには、主電子レンズMLのレンズ性能を向上させることも重要であるが、物点10である仮想クロスオーバVCOの径をできるだけ小さくすること、および主電子レンズMLに入射する電子ビーム6の発散角αを小さく抑えて、主電子レンズMLの収差の影響を受けにくくすることもきわめて重要である。特にこの主電子レンズMLの収差の影響は、電子ビーム6の電流量(ビーム電流量)が多いときに顕著となる。
【0010】
上記主電子レンズに入射する電子ビームの発散角を小さく抑えるために、電子ビーム発生部と主電子レンズとの間に補助電子レンズ部を形成して、電子ビーム発生部とこの電子ビーム発生部に接近して形成された補助電子レンズ部とでもって電子ビーム形成部とし、それにより主電子レンズに入射する電子ビームの状態を調整する電子銃が、特公昭29−2216号公報、特公昭60−51775号公報、特開昭57−30247号公報などに示されている。
【0011】
このうち、特公昭29−2216号公報および特公昭60−51775号公報に示されている電子銃は、それぞれ図7(a)、図8(a)に示すように、第2グリッドG2 と第3グリッドG3 との間に、第1、第2、補助グリッドSg1,Sg2または第1、第2、第3,第4補助グリッドSg1,Sg2,Sg3,Sg4が配置され、これら補助グリッドSg1,Sg2またはSg1,Sg2,Sg3,Sg4を含む各電極に、それぞれ図7(b)、図8(b)に示す電位10を付与して、陰極Kおよび第1、第2グリッドG1 ,G2 により形成される電子ビーム発生部GEAと、第1、第2補助グリッドSg1,Sg2と第3グリッドG3 または第1ないし第4補助グリッドSg1〜Sg4と第3グリッドG3 とにより形成される補助電子レンズ部SLAとで電子ビーム形成部を形成し、第3、第4グリッドG3 ,G4 により主電子レンズ部MLAを形成し、図7(c)、図8(c)に示すように、陰極Kおよび第1、第2グリッドG1 ,G2 により形成される電子ビーム発生部GEAからクロスオーバCOを経て形成される電子ビーム6を、上記第1、第2補助グリッドSg1,Sg2と第3グリッドG3 、または第1ないし第4補助グリッドSg1〜Sg4と第3グリッドG3 とにより形成される補助電子レンズ部SLAの1つの補助電子レンズSLにより少し集束して、第3、第4グリッドG3 ,G4 間に形成される主電子レンズMLに入射する電子ビーム6の発散角αを小さく抑えようとしている。
【0012】
しかしこの構造の電子銃では、前記図6に示した補助電子レンズを形成しない電子銃にくらべ、仮想クロスオーバVCOの径が大きくなり、そのために蛍光体スクリーン3上のビームスポットSPを大幅に小さくすることはできない。
【0013】
この仮想クロスオーバVCOの径の増大は、上記公報に述べられているように、クロスオーバCO部の空間電位を高くして、クロスオーバCO部の空間電荷の反発効果を抑制し、クロスオーバCOの径を小さくするよりも結果的に悪くなる。そのため、蛍光体スクリーン3上のビームスポットSPの径を小さくすることはできない。
【0014】
また特開昭57−30247号公報に示されている電子銃は、図9(a)に示すように、第2グリッドG2 と第3グリッドG3 との間に1個の補助グリッドSg を配置し、この補助グリッドSg を含む各電極に同(b)に示す電位10を付与して、陰極Kおよび第1、第2グリッドG1 ,G2 により形成される電子ビーム発生部GEAと、第2グリッドG2 、補助グリッドSg および第3グリッドG3 により形成される補助電子レンズ部SLAとにより電子ビーム形成部を形成し、第3、第4グリッドG3 ,G4 により主電子レンズ部MLAを形成し、同(c)に示すように、陰極Kおよび第1、第2グリッドG1 ,G2 により形成される電子ビーム発生部GEAからクロスオーバCOを経て形成される電子ビーム6の外側ビーム6o (離軸ビーム)のみを、第2グリッドG2 、補助グリッドSg および第3グリッドG3 により形成される補助電子レンズSLで強く集束し、この外側ビーム6o のみを第3、第4グリッドG3 ,G4 間に形成される主電子レンズMLの手前で電子ビーム軸13(ビーム軸)と交差させることにより、この外側ビーム60 が主電子レンズMLの収差の影響を受けても、収差の影響を受けない内側ビーム6i (近軸ビーム)と同じように蛍光体スクリーン3上に集束するようにし、それによりブルーミング現象を解消しようとするものである。
【0015】
しかし外側ビーム6o のみを主電子レンズMLの手前で電子ビーム軸13と交差させるほど補助電子レンズSLを強くすると、内側ビーム6i も強く集束される。そのため、上記公報に述べられているように、主電子レンズMLを通過する内側ビーム6i と外側ビーム6o とを同時に蛍光体スクリーン3上に適正に集束することはきわめて難しく、内側ビーム6i も主電子レンズMLの手前でビーム軸13と交差し、同(d)に示すように、主電子レンズMLからみた物点11は、主電子レンズMLに近づく。その結果、電子光学的倍率が悪くなり、像点12で示したように蛍光体スクリーン3上のビームスポットは大きくなる。
【0016】
このことは、電子ビーム発生部からのビーム電流量が少ない低電流時に、電子ビームが主電子レンズの手前で電子ビーム軸と交差しているとして、改良手段を提案している特開昭57−44944号公報からも明らかである。
【0017】
また上記公報には、高電流時には内側ビームは主電子レンズの手前で電子ビーム軸と交差しないとして、低電流時には補助電子レンズを働かせないで、高電流時にのみ補助電子レンズを働かせる、いわゆるビーム電流量によるダイナミック補正方法が示されているが、このように高電流時に内側ビームが主電子レンズの手前で電子ビーム軸と交差しないように補助電子レンズの強さを調整したとしても、前述したように外側ビームのみを主電子レンズの手前で電子ビーム軸と交差させるほど強く補助電子レンズを働かせると、内側ビームも強く集束され、主電子レンズを通過する内側ビームと外側ビームとを同時に蛍光体スクリーン上に適正に集束することがきわめて難しくなる。
【0018】
またビーム電流量に対応したダイナミック補正をおこなう場合は、高周波のため、陰極線管の駆動回路が複雑になり、使用しにくいばかりでなく高価になる。さらにインライン型カラー受像管の電子銃のように一列配置の3個の電子銃が一体化された電子銃では、同一平面上を通る一列配置の3電子ビームに対して、個々にビーム電流量に対応したダイナミック補正をおこなうことができないという致命的な問題もある。
【0019】
一方、補助電子レンズを形成することなく、主電子レンズに入射する電子ビームの発散角を抑えるとともに、仮想クロスオーバの径を小さくするために、プリフォーカスレンズの最適化を図った電子銃が、特開昭59−148242号公報などに示されている。
【0020】
この電子銃は、図6に示した電子銃の第2グリッドと第3グリッドとの間に形成されるバイポテンシャル型のプリフォーカスレンズを特に強く働かせようとしたものである。このプリフォーカスレンズは、図10(a)にその電子ビーム発生部を拡大して示し、同(b)にその銃軸14上の電位分布Vおよび2階微係数V″をそれぞれ曲線15,16で示したように、第2グリッドG2 と第3グリッドG3 との間に、バイポテンシャル型電子レンズの特性上、第2グリッドG2 側に集束レンズCL、第3グリッドG3 側に発散レンズDLが形成され、全体として集束作用をもつプリフォーカスレンズPLとしたものである。
【0021】
このプリフォーカスレンズPLは、上記公報によれば、内側ビームと外側ビームとのクロスオーバCOの位置と発散角が異なるため、プリフォーカスレンズPLの集束作用を強めることにより、主として外側ビームのみを強く集束し、電子ビーム6全体の発散角を抑えるとともに、仮想クロスオーバVCOの径も小さくなるとしている。さらにこのようなプリフォーカスレンズPLのみを強く効かせても、内側ビームが発散角の大きいまま主電子レンズMLに入射することを防止するため、図8に示したように補助電子レンズ部を設け、プリフォーカスレンズPLで外側ビームを、また補助電子レンズ部で徐々に外側になっていく内側ビームを主として集束し、主電子レンズMLに入射させる方法も考えられるとしている。
【0022】
しかし陰極Kから放出される電子を集束して得られる電子ビーム6の密度分布は、図10(c)に示すように、クロスオーバCO部のa面では、裾の広がりの少ない高密度分布17a となっており、プリフォーカスレンズPL部のb面でも、なお裾の広がりの少ない可なり急峻な密度分布17b である。そのため、この部分で外側ビームと内側ビームを区分することは困難である。なお第3グリッドG3 の内側のc面およびd面では、17c ,17d で示したように裾の広がりが可なり大きくなる。したがって上記公報の記載のようにプリフォーカスレンズPLで外側ビームのみを主として集束させることは、きわめて困難である。
【0023】
これは、図9に示した電子銃についても、電子ビームの密度分布から外側ビームも内側ビームも同じように集束されるため、同様である。
【0024】
つまり、いずれの電子銃においても、プリフォーカスレンズのレンズ作用を強くしても、クロスオーバから発散する電子ビームは、外側ビームも内側ビームもともに強く集束され、仮想クロスオーバの径は大きくなる。
【0025】
このことは、たとえば図7に示した電子銃のように補助電子レンズ部を設けても、プリフォーカスレンズで主として外側ビームのみを強く集束することができないため、主電子レンズ部に入射する電子ビームの最大発散角は抑えられても、仮想クロスオーバの径を十分に小さくできないことを示している。またプリフォーカスレンズの強さを変えるために、第2グリッドと第3グリッドとの間隔を変えたり、第1、第2グリッドの板厚や第1、第2、第3グリッドの電子ビーム通過孔の大きさを変えたりすると、陰極から電子を取出すためのカットオフ特性が変化し、所望のカラー受像管とならない。また必要なビーム電流量を確保できなくなるなどの実用上の不都合が生ずる。
【0026】
以上、電子ビームの発散角を抑えて、主電子レンズの収差によるブルーミングを軽減する場合について述べたが、電子ビームの電流が低い低電流時には、物点が小さくなり、蛍光体スクリーンに集束される電子ビームのスポットが過度に小さくなった場合に新たな問題が生ずる。つまり、インライン形カラー受像管では、一般にに垂直方向に長いほぼ矩形状の電子ビーム通過孔が垂直方向にブリッジを介して複数個配列され、この垂直方向の電子ビーム通過孔列が水平方向に複数列並列されたシャドウマスクが用いられている。そのため、このシャドウマスクの電子ビーム通過孔の配列と水平方向に偏向される電子ビームの走査間隔により干渉が生じ、画面の輝度が周期的に変化するモアレが生ずる。
【0027】
このモアレを解決するためには、シャドウマスクの電子ビーム通過孔の垂直方向の間隔を変えて、水平走査線の間隔と干渉する空間周波数をずらすことが有効である。しかしながらカラー受像管の水平走査線の数は、TVシステムにより異なるし、また同じシステムでも、水平走査線の数を可変として、映像を映し出すシステムもある。したがってこのように水平走査線の間隔の相違や変化に対応して、モアレを生じないようにシャドウマスクの電子ビーム通過孔の配列を設定することはきわめて困難である。
【0028】
一般にモアレは、電子ビームのスポットの垂直方向径が小さいほど生じやすく、また低電流の電子ビームほど顕著となる。したがって低電流の電子ビームの場合には、電子ビームのスポットの垂直方向径が極端に小さくならないように物点である仮想クロスオーバの垂直径を大きくする必要がある。一方、水平方向径は、解像度が劣化しないように仮想クロスオーバの径を小さくする必要がある。つまり、仮想クロスオーバを水平、垂直方向に非対称にする必要がある。しかしながら上述した従来の技術は、いずれも円筒電子レンズを用いているため、仮想クロスオーバを非対称にすることができないという問題がある。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、カラー受像管の画像特性を向上させるためには、蛍光体スクリーン上のビームスポットができるだけ小さくなるように、物点である仮想クロスオーバの径をできるだけ小さく、かつ主電子レンズ部に入射する電子ビームの発散角αを小さく抑えて、主電子レンズ部の収差の影響を受けにくくすることが重要かつ有効である。そのために、従来より第2グリッドと第3グリッドとの間に電子ビーム発生部からの電子ビームを集束する補助電子レンズ部を形成する補助グリッドを配置した電子銃がある。しかしこのように補助グリッドを配置しても、従来の電子銃は、蛍光体スクリーン上のビームスポットを小さくすることが困難であり、特に高電流時のブルーミング現象を十分に抑制することができず、高電流域における画像特性を向上させることが困難であった。一方、低電流ビームの場合には、電子ビームのスポットの垂直方向径が極端に小さくなって、モアレが生ずるという問題がある。
【0030】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、物点である仮想クロスオーバの径を小さくするとともに、主電子レンズ部に入射する電子ビームの発散角を小さく抑え、高電流域におけるブルーミング現象を抑制するとともに、低電流時のモアレを抑えて、低電流域から高電流域にわたり、良好な画像特性をもつカラー受像管を構成することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
少なくとも電子銃部、スクリーン部とこれらを包囲する外囲器と偏向部からなり、電子銃部から発射される電子ビームを偏向部により垂直方向および水平方向に偏向するカラー受像管であって、電子銃部が陰極を含む電子ビーム形成部とこの電子ビーム形成部によって形成された水平方向にインライン状の複数本の電子ビームをそれぞれスクリーン部に集束する主電子レンズ部を少なくとも備えるカラー受像管において、主電子レンズ部を、少なくとも第1の電子レンズとこれよりもスクリーン側にある第2の電子レンズから構成し、第1の電子レンズを陰極側からスクリーンに向かって順次配置された第1の電極と第2の電極と第3の電極とから構成し、第2の電極電位を第1、第3の電極電位よりも低くして、第1の電子レンズの第1の電極の陰極側に電子ビームの水平方向を集束し垂直方向を発散する4極子レンズ成分を形成する手段をもつものとした。
【0032】
その具体的構成として、第1の電極を、それぞれ電子ビーム通過孔を有する複数個の部材から構成し、その複数個の部材のうち少なくとも1個の部材をインライン状の複数本の電子ビームを共通に包囲する断面が実質的に水平方向に長方形状の筒状部と、その少なくとも一端にこの筒状部と実質的に直交する電子ビーム通過孔をもつ面部から少なくともなり、実質的に長方形状の筒状部を、その短軸方向の内径Wが第2の電極に対向する側に設けられた面部の電子ビーム通過孔の垂直径Rよりも小さくなるようにした。
【0033】
【作用】
上記のように電子銃を構成すると、陰極、第1グリッドおよび第2グリッドによりクロスオーバを形成して発散する電子ビームを第1の電極と第2の電極との間に形成される4極子レンズ成分をもつ第1の電子レンズ成分領域で電子ビームの垂直方向を発散する。この垂直方向の発散により電子ビームの密度分布の裾が広がって大きくなり、外側ビームと内側ビームとを区別できるようになる。この外側ビームと内側ビームとを区別できるようになって、第2の電極と第3の電極との間に形成される円筒レンズ成分をもつ第2の電子レンズ成分の球面収差領域を通過し、主として外側ビームが強く集束され、離軸電子ビームの発散角を抑えて第2の電子レンズに入射する。一方、水平方向は、第1の電極と第2の電極との間の4極子レンズ成分をもつ第1の電子レンズ領域できわめて球面収差の少ない状態に集束され、ついで第2の電極と第3の電極との間に形成される円筒レンズ成分をもつ第2の電子レンズ成分の球面収差の影響を少なく受けて、小さな発散角で第2の電子レンズに入射する。
【0034】
したがって上記のように形成される電子ビームは、高電流の場合は、その最大発散角が小さく抑えられ、かつ主電子レンズ部からみた仮想クロスオーバの径の大きさは、外側ビームと内側ビームのそれぞれの仮想クロスオーバの位置の差が小さくなるため、その径を小さくすることができる。また低電流の場合は、電子ビームの垂直方向の仮想クロスオーバの位置が水平方向の仮想クロスオーバの位置よりも蛍光体スクリーン側に形成され、かつ第2の電子レンズ成分の球面収差の影響で物点径も大きくなる。したがって蛍光体スクリーン上のビームスポットの垂直方向径は、極端に小さくならず、モアレの発生を抑えることが可能となる。
【0035】
【実施例】
以下、図面を参照してこの発明を実施例に基づいて説明する。
【0036】
この実施例のカラー受像管の全体の構成は、従来のカラー受像管と同じであるので、図4を参照して説明する。このカラー受像管は、パネル1とこのパネル1に一体に接合された漏斗状のファンネル2からなる外囲器を有し、そのパネル1の内面に、青、緑、赤に発光する垂直方向に長いストライプ状の3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン3が形成され、この蛍光体スクリーン3に対向して、その内側に多数の電子ビーム通過孔の形成された色選別電極としてのシャドウマスク4が配置されている。一方、ファンネル2のネック5内に、同一水平面上を通るセンタービーム6G および一対のサイドビーム6B ,6R からなる一列配置の3電子ビーム6B ,6G ,6R を発射する下記電子銃7が封止されている。そしてファンネル2の外側に装着された偏向ヨーク8の発生する磁界により、上記電子銃7から発射された3電子ビーム6B ,6G ,6R を偏向して、蛍光体スクリーン3を水平、垂直走査することにより、カラー画像を再生する構造に形成されている。
【0037】
上記電子銃7は、図1に示すように、水平方向にインライン状に配列された3個の陰極KB ,KG ,KR 、これら陰極KB ,KG ,KR を各別に加熱するヒータ(図示せず)および上記陰極KB ,KG ,KR 上に順次所定間隔離れて蛍光体スクリーン3方向に配置された第1、第2、第3、第4、第5、第6グリッドG1 、G2 ,G3 ,G4 ,G5 ,G6 を有し、それらが絶縁支持体(図示せず)により一体に固定された構造に形成されている。
【0038】
その第1、第2グリッドG1 ,G2 は、それぞれ水平方向(X方向)を長軸方向とする長方形状の板状電極からなり、第3、第4、第5、第6グリッドG3 ,G4 ,G5 ,G6 は、それぞれ水平方向を長軸方向とする実質的に長方形状の筒状部の一端に実質的に直交する面部が形成された2個のカップ電極の開口を突合わせた筒状電極からなる。
【0039】
その第1、第2グリッドG1 ,G2 には、3個の陰極KB ,KG ,KR に対応して3個の比較的小さな円形電子ビーム通過孔が水平方向にインライン状に形成されている。第3グリッドG3 の第2グリッドG2 と対向する面部には、3個の陰極KB ,KG ,KR に対応して、第2グリッドG2 の電子ビーム通過孔よりも大きい3個の円形電子ビーム通過孔が水平方向にインライン状に形成されている。第3グリッドG3 の第4グリッドG4 との対向する面部および第4、第5、第6グリッドG4 ,G5 ,G6 を構成するカップ電極の面部には、3個の陰極KB ,KG ,KR に対応して、第3グリッドG3 の第2グリッドG2 との対向面の電子ビーム通過孔よりも大きい3個の円形電子ビーム通過孔が水平方向にインライン状に形成されている。
【0040】
特にこの電子銃7においては、図1および図2(a)および(b)に示すように、第3グリッドG3の第2グリッドG2側の電極G3Bの3個の電子ビーム通過孔20B,20G,20Rの配列方向(長軸方向)と直交する短軸方向(Y方向)の内径は、第4グリッドG4側の電極G3Tの長軸方向に形成された3個の電子ビーム通過孔21B,21G,21Rの直径Rよりも小さくなっている。
【0041】
表1に上記電子銃の具体的な寸法を示す。
【表1】
第1グリッドの電子ビーム通過孔G1 φ 0.40〜1.0 mm
第1グリッドの厚さG1 t 0.08〜0.15mm
第1グリッドと第2グリッドとの間隔G1 /G2 0.20〜1.0 mm
第2グリッドの電子ビーム通過孔G2 φ 0.40〜1.0 mm
第2グリッドの厚さG2 t 0.10〜1.00mm
第2グリッドと第3グリッドとの間隔G2 /G3 0.50〜1.0 mm
第3グリッドの第2グリッド側電子ビーム通過孔G3Bφ 0.80〜1.50mm
第3グリッドの第4グリッド側電子ビーム通過孔G3Tφ 4.00〜6.00mm
第3グリッドの長さG3 L 1.50〜4.00mm
第3グリッドと第4グリッドとの間隔G3 /G4 0.40〜1.0 mm
第3グリッドの第2グリッド側電極の垂直方向内径G3 h 3.0 〜5.0 mm
第4グリッドの電子ビーム通過孔G4 φ 4.00〜6.00mm
第4グリッドの長さG4 L 0.80〜4.00mm
第4グリッドと第5グリッドとの間隔G4 /G5 0.40〜1.0 mm
第5グリッドの第4グリッド側電子ビーム通過孔G5Bφ 4.00〜6.00mm
第5グリッドの第6グリッド側電子ビーム通過孔G5Tφ 4.00〜7.00mm
第5グリッドの長さG5 L 8.00〜40.0mm
第5グリッドと第6グリッドとの間隔G5 /G6 0.80〜1.2 mm
第6グリッドの電子ビーム通過孔G6 φ 4.00〜7.00mm
この電子銃においては、図3(b)に同(a)の構造に対応して示す電位10が付与される。すなわち陰極KB ,KG ,KR に100〜200V、これに映像信号の重畳された電位、第1グリッドG1 に0V、第2グリッドG2 に500〜1000V、第3グリッドG3 に5〜9 kV、第4グリッドG4 に0.5〜3 kV、第4グリッドG5 に第3グリッドG3 と同じ5〜9 kV、第6グリッドG6 に陽極電圧である20〜30 kVの電位が付与される。
【0042】
それにより、陰極KB ,KG ,KR 、第1グリッドG1 、第2グリッドG2 および第3グリッドG3 により電子ビーム形成部が形成され、図3(c)に示すように、その第2グリッドG2 と第3グリッドG3 との間にバイポテンシャル型のプリフォーカスレンズPLが形成される。また第3グリッドG3 (第1の電極)、第4グリッドG4 (第2の電極)および第5グリッドG5 (第3の電極)により、ユニポテンシャル型の第1の電子レンズL1 が形成される。この第1の電子レンズL1 は、第3グリッドG3 側に形成される電子ビーム6(6B ,6G ,6R )を水平方向に集束、垂直方向に発散する4極子レンズ成分QLと、第5グリッドG5 側に形成される電子ビーム6を水平、垂直方向ともに集束する円筒電子レンズ成分CLとからなる。そして第5グリッドG5 と第6グリッドG6 とにより、電子ビーム6を最終的に蛍光体スクリーン3上に集束する第2の電子レンズL2 が形成される。
【0043】
上記のように第1の電子レンズL1の第3グリッドG3側に4極子レンズ成分QLが形成されるわけは、図2に示したように、第3グリッドの第2グリッドG2側の電極G3Bが3個の電子ビーム通過孔20B,20G,20Rがインライン状に配列された水平方向を長径とし、その垂直方向の内径が第3グリッドG3の第4グリッドG4側の電極G3Tの電子ビーム通過孔21B,21G,21Rの直径Rよりも小さく形成されているためである。すなわち、上記のように第3グリッドG3の第2グリッドG2側を構成すると、図4に示すように、この第2グリッドG2側の電極G3Bに浸透する電界23が水平方向と垂直方向とで異なり、同(a)に示した垂直方向の電界23が同(b)に示した水平方向の電界23よりも密になる。しかも第1の電子レンズL1の第3グリッドG3側は、ユニポテンシャル型電子レンズの発散レンズ領域であるため、電位の密な垂直方向の発散が強く作用し、電子ビーム6を水平方向に集束、垂直方向に発散する4極子レンズ成分QLが形成される。
【0044】
その結果、陰極KB ,KG ,KR から放出された電子は、陰極KB ,KG ,KR および第1、第2グリッドG1 ,G2 によりクロスオーバCOを形成し、ついで第2グリッドG2 と第3グリッドG3 との間に形成されるバイポテンシャル型のプリフォーカスレンズPLによりわずかに集束される。このプリフォーカスレンズPLでは、電子ビーム6の密度分布は、まだ急峻であるため、電子ビーム6の全体にプリフォーカスレンズPLの集束作用が及び、電子ビーム全体6が少し集束される。
【0045】
一般にクロスオーバCOの径は、ビーム電流量が3〜5 mAのときでも、100μm 程度であり、プリフォーカスレンズPLでも、電子ビームの径は、まだ100〜200μm 程度である。また第2グリッドG2 の電子ビーム通過孔でも、400μm 程度の急峻な密度分布であるため、プリフォーカスレンズPLにより、電子ビーム6の外側ビームと内側ビームとに対する集束作用を大きく異ならしめることは、ほとんどできない。
【0046】
なお、このプリフォーカスレンズPLがない場合は、電子ビーム6は、大きな発散角をもって広がり、電極に衝突するようになる。またこの電子銃でのバイポテンシャル型のプリフォーカスレンズPLは、これを形成する第3グリッドの電位が5〜9 kVと高いため、電子ビーム6の反発による広がりを抑える上に有効に作用している。つぎに、上記プリフォーカスレンズPLにより少し集束された電子ビーム6は、第3ないし第5グリッドG3 〜G5 により形成される4極子レンズ成分QLをもつユニポテンシャル型の第1の電子レンズL1 に入射する。
【0047】
この第1の電子レンズL1 に入射した電子ビーム6は、まず4極子レンズ成分QLの垂直方向に発散、水平方向に強く集束する作用を受け、図3(c)に実線で示したように、外側ビーム6o が破線で示した内側ビーム6i よりも大きく発散する。そしてつぎの円筒電子レンズ成分CLの領域で、垂直方向の外側ビーム6o は、この円筒電子レンズ成分CLの球面収差を大きく受けて、内側ビーム6i よりも強く集束され、小さな発散角でつぎの第5グリッドG5 と第6グリッドG6 とにより形成される第2の電子レンズL2 に入射する。
【0048】
このとき、内側ビーム6i の発散角は、外側ビーム6o の発散角よりも大きく、内側ビーム6i が外側ビーム6o よりも隔軸を通過し、球面収差を受けて蛍光体スクリーン3上に集束される。一方、外側ビーム6o の仮想クロスオーバVCOo は、第2の電子レンズL2 からの距離Lo ,Li で示したように内側ビーム6i の仮想クロスオーバVCOi よりも遠くなる。そのため、蛍光体スクリーン3上に内側ビーム6i と同じ位置に像点を結ぶようになる。
【0049】
この場合、電子ビーム6の水平方向は、4極子レンズ成分QLの強い集束により円筒電子レンズ成分CLの近軸を通過するので、球面収差の影響をほとんど受けずに集束され、小さな発散角で第2の電子レンズL2 に入射して、蛍光体スクリーン3上に集束される。このとき、水平方向の仮想クロスオーバは、垂直方向の内側ビーム6i の仮想クロスオーバよりも遠くなるため、電子ビーム6の水平方向は、垂直方向の内側ビーム6i よりも手前で結像する。したがって電子ビーム6の水平方向が蛍光体スクリーン3上に適切に集束するようにした場合、電子ビーム6の垂直方向は、若干不足集束状態となる。しかしセルフコンバーゼンス・インライン形カラー受像管では、水平偏向磁界がピンクツション形、垂直偏向磁界がバレル形となっており、この偏向磁界により画面の周辺部で電子ビーム6の垂直方向に集束作用が加わるため、上記のように電子ビーム6の垂直方向が若干不足集束状態となっていても問題はなく、かえって画面の周辺部のビームスポット径が小さくなり、解像度を向上することができる。
【0050】
したがってこのような第1の電子レンズL1 で電子ビーム6を予備集束することにより、電子ビーム6の垂直方向は、特に高電流での電子ビーム6の発散角が小さく抑えられ、第2の電子レンズL2 の球面収差の影響を小さくして、ビームスポットのブルーミングを抑えることができる。一方、低電流時は、上記内側ビーム6i と考えてよく、第1の電子レンズL1 の4極子レンズQLにより一旦発散され、つぎの円筒電子レンズ成分CLの球面収差を少なからず受ける。そのため、プリフォーカスレンズPLだけで集束した場合よりも、その物点径は大きくなる。したがって垂直方向のビームスポットは大きくなり、シャドウマスク4の電子ビーム通過孔の配列との干渉によるモアレが生じにくくなる。
【0051】
一方、水平方向は、主に球面収差のきわめて少ない4極子レンズQLにより集束され、発散角が抑えられるため、物点径の劣化(拡大)は、きわめて少ない。したがって水平方向のビームスポットを小さくでき、解像度を向上することができる。
【0052】
したがって上述のように電子銃7を構成すると、電子ビーム6が高電流のときには、その水平、垂直方向の発散角を効果的に抑えて、最終的に蛍光体スクリーン3上に集束する電子レンズL2 の球面収差の影響を少なくし、蛍光体スクリーン3上のビームスポットをブルーミングのない小さなビームスポット径とすることができる。また低電流時には、電子ビームの垂直方向の物点径を大きくし、蛍光体スクリーン3上のビームスポットの径を過度に小さくしなくなるため、モアレを生じにくくすることがてき、低電流域から高電流域にわたり、良好な画像特性を備えるカラー受像管を構成することができる。
【0053】
なお、上記実施例では、電子銃の第2の電子レンズをバイポテンシャル型の対称レンズとしたが、この発明は、その第2の電子レンズをユニポテンシャル型や拡張電界型、あるいはそれらの複合型としてもよい。また非対称の電子レンズにも適用することができる。
【0054】
【発明の効果】
水平方向にインライン状の複数本の電子ビームを発射する電子銃を有するカラー受像管において、その主電子レンズ部を、少なくとも第1の電子レンズとこれよりもスクリーン側にある第2の電子レンズから構成し、第1の電子レンズを陰極側からスクリーンに向かって順次配置された第1の電極と第2の電極と第3の電極から構成し、第2の電極電位を第1、第3の電極電位よりも低くして、第1の電子レンズの第1の電極の陰極側に電子ビームの水平方向を集束し垂直方向を発散する4極子レンズ成分を形成する手段をもつものとし、具体的には、その第1の電極を、それぞれ電子ビーム通過孔を有する複数個の部材から構成し、その複数個の部材のうち少なくとも1個の部材をインライン状の複数本の電子ビームを共通に包囲する断面が実質的に水平方向に長方形状の筒状部と、その少なくとも一端にこの筒状部と実質的に直交する電子ビーム通過孔をもつ面部から少なくともなる実質的に長方形状の筒状部を、その短軸方向の内径Wが前記第2の電極に対向する側に設けられた面部の電子ビーム通過孔の垂直径Rよりも小さくすることにより、高電流の電子ビームについては、その発散角を効果的に抑えて、電子ビームを最終的に蛍光体スクリーン上に集束する電子レンズの球面収差の影響を少なくし、蛍光体スクリーン上のビームスポットをブルーミングのない小さなスポット径とすることができる。一方、低電流の電子ビームについては、電子ビームの垂直方向の物点径を大きくして、蛍光体スクリーン上のビームスポットの垂直方向の径が過度に小さくならないようにして、シャドウマスクの電子ビーム通過孔の配列との干渉によるモアレを生じにくくし、低電流域から高電流域にわたり、良好な画像特性を備えるカラー受像管とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例であるカラー受像管の電子銃の構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)はその第3グリッドの第2グリッド側の電極の構造を示す図、図2(b)は第4グリッド側の電極の構造を示す図である。
【図3】図3(a)は図3(b)および図3(c)に対応して示した電子銃の構成図、図3(b)はその各電極に付与する電位を示す図、図3(c)は電子銃に形成される電子レンズの光学モデル図である。
【図4】図4(a)は第3、第4および第5グリッドにより形成される第1の電子レンズの垂直方向の電界を示す図、図4(b)は水平方向の電界を示す図である。
【図5】カラー受像管の構成を示す図である。
【図6】図6(a)は従来の電子銃の構成を示す図、図6(b)はその各電極に付与する電位を示す図、図6(c)は電子銃に形成される電子レンズの光学的モデル図、図6(d)はその電子レンズにより形成される物点と像点との関係を示す図である。
【図7】図7(a)は従来の補助グリッドの配置された電子銃の構成を示す図、図7(b)はその各電極に付与する電位を示す図、図7(c)はその電子銃に形成される電子レンズの光学的モデル図である。
【図8】図8(a)は従来の補助グリッドの配置された異なる電子銃の構成を示す図、図8(b)はその各電極に付与する電位を示す図、図8(c)はその電子銃に形成される電子レンズの光学的モデル図である。
【図9】図9(a)は従来の補助グリッドの配置されたさらに異なる電子銃の構成を示す図、図9(b)はその各電極に付与する電位を示す図、図9(c)はその電子銃に形成される電子レンズの光学的モデル図、図9(d)はその電子レンズにより形成される物点と像点との関係を示す図である。
【図10】図10(a)は従来の補助レンズを形成することなく仮想クロスオーバを小さくする電子銃を説明するための図、図10(b)はその銃軸上の電位分布およびその2階微分を示す図、図10(c)はその電子銃の各部分における電子ビームの密度分布を示す図である。
【符号の説明】
1…パネル
3…蛍光体スクリーン
6B ,6G ,6R …3電子ビーム
6i …内側ビーム
6o …外側ビーム
7…電子銃
20B ,20G ,20R …電子ビーム通過孔
21B ,21G ,21R …電子ビーム通過孔
23…電界
CL…円筒電子レンズ成分
CO…クロスオーバ
G1 …第1グリッド
G2 …第2グリッド
G3 …第3グリッド
G4 …第4グリッド
G5 …第5グリッド
G6 …第6グリッド
G3B…第3グリッドの第2グリッド側電極
G3T…第3グリッドの第4グリッド側電極
KB ,KG ,KR …陰極
L1 …第1の電子レンズ
L2 …第2の電子レンズ
PL…プリフォーカスレンズ
QL…4極子レンズ成分
VCOi …内側ビームの仮想クロスオーバ
VCOo …外側ビームの仮想クロスオーバ

Claims (2)

  1. 少なくとも電子銃部、スクリーン部とこれらを包囲する外囲器と偏向部からなり、前記電子銃部から発射される電子ビームを前記偏向部により垂直方向および水平方向に偏向するカラー受像管であって、前記電子銃部は陰極を含む電子ビーム形成部と該電子ビーム形成部によって形成された水平方向にインライン状の複数本の電子ビームをそれぞれ前記スクリーン部に集束する主電子レンズ部を少なくとも備えるカラー受像管において、
    前記主電子レンズ部は、少なくとも第1の電子レンズとこれよりもスクリーン側にある第2の電子レンズからなり、前記第1の電子レンズは陰極側からスクリーンに向かって順次配置された第1の電極と第2の電極と第3の電極からなり、第2の電極電位は第1、第3の電極電位よりも低く、前記第1の電子レンズの第1の電極の陰極側に電子ビームの水平方向を集束し垂直方向を発散する4極子レンズ成分を形成する手段のあることを特徴とするカラー受像管。
  2. 少なくとも電子銃部、スクリーン部とこれらを包囲する外囲器と偏向部からなり、前記電子銃部から発射される電子ビームを前記偏向部により垂直方向および水平方向に偏向するカラー受像管であって、前記電子銃部は陰極を含む電子ビーム形成部と該電子ビーム形成部によって形成された水平方向にインライン状の複数本の電子ビームをそれぞれ前記スクリーン部に集束する主電子レンズ部を少なくとも備えるカラー受像管において、
    前記主電子レンズ部は、少なくとも第1の電子レンズとこれよりもスクリーン側にある第2の電子レンズからなり、前記第1の電子レンズは陰極側からスクリーンに向かって順次配置された第1の電極と第2の電極と第3の電極からなり、第2の電極電位は第1、第3の電極電位よりも低く、第1の電極はそれぞれ電子ビーム通過孔を有する複数個の部材からなり、前記複数個の部材のうち少なくとも1個の部材はインライン状の複数本の電子ビームを共通に包囲する断面が実質的に水平方向に長方形状の筒状部と、その少なくとも一端にこの筒状部と実質的に直交する電子ビーム通過孔をもつ面部から少なくともなり、前記実質的に長方形状の筒状部は、その短軸方向の内径Wが前記第2の電極に対向する側に設けられた面部の電子ビーム通過孔の垂直径Rよりも小さいことを特徴とするカラー受像管。
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