JPH08166343A - 気体中浮遊粒子の原子吸光分析方法及び装置 - Google Patents

気体中浮遊粒子の原子吸光分析方法及び装置

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JPH08166343A
JPH08166343A JP31288994A JP31288994A JPH08166343A JP H08166343 A JPH08166343 A JP H08166343A JP 31288994 A JP31288994 A JP 31288994A JP 31288994 A JP31288994 A JP 31288994A JP H08166343 A JPH08166343 A JP H08166343A
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嘉人 岩田
Tetsushi Jodai
哲史 城代
Takanori Akiyoshi
孝則 秋吉
Yoichi Ishibashi
耀一 石橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 排ガス中の粉塵など気体中に浮遊する微粒子
をオンラインで分析する。 【構成】 原子吸光分析装置の加熱分解励起部1を減圧
容器2内に収納し、この減圧容器の圧力が気体が存在す
る測定対象系の圧力と一定の差だけ低くなるように保つ
ことによって、気体試料を一定流量で吸光部に導入す
る。 【効果】 測定対象系と加熱分解励起部との間に、定流
量ポンプ等流路断面積が変化する流路を介在させる必要
がない。したがって一定流速で分析試料を導入できるの
で、粒子の沈降が避けられ精度の良い分析結果が即時に
又連続的にも得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、反応塔や炉からの排
ガス等粉塵を含む気体の成分分析技術で、特に即時に分
析結果が得られ連続測定のできる分析技術に関する。
【0002】
【従来の技術】製錬炉や焼却炉等の排ガスには粉塵等の
粒子が含まれており、このような気体に含まれる粒子の
成分を分析することは、環境汚染を防止するためには勿
論のこと、炉内の反応状況を把握するためにも重要な情
報を提供することになる。この情報を連続的に提供する
ことによって、反応を適切に制御することが可能にな
る。
【0003】気体に含まれる浮遊粒子の成分分析では、
一般に、一旦浮遊粒子をフィルタに捕集し、これをフィ
ルタ毎取り出して分析している。しかし、このような回
分方式では、分析精度は良くても刻々と変化する浮遊粒
子の成分濃度を即時に測定することができない。
【0004】流動し且つ成分が刻々と変わる気体の成分
を把握するためには、分析試料を連続的に分析装置に導
入し極めて短時間に分析結果を得なければならない。
【0005】従来、この原子吸光分析を排ガス中の浮遊
粒子の成分分析に適用し、オンライン分析を行うことが
提案されている。例えば、特開平3−249547号公
報には、溶鋼精錬中のMn濃度を知るために、転炉排ガ
スに含まれる酸化マンガン粒子を分級し、細かい方の粒
子のみを含む気体を原子吸光分析装置に搬送し微粒子中
のMnを分析することが記載されている。そして、その
分析装置は図4に示すものであり、ダクト7から吸引ポ
ンプ15で吸引採取した気体試料中の粒子は分級器16
で分級され、微細粒子のみを含む試料が導入管9の途中
に設けられた定流量ポンプ18で原子吸光装置20に送
り込まれて分析される。
【0006】原子吸光分析装置20では、気体の分析試
料を一定流量で分析装置の加熱分解励起部に導入し、刻
々と変化する原子吸光の度合いを連続的に測定し、成分
の量を算出する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】原子吸光分析の分析精
度を確保するためには、加熱分解励起部に分析試料を一
定の流量で送り込む必要があり、定流量ポンプが使用さ
れていたが、一般の排気ガスでは微細粒子のみではな
く、大きな粒子が混在する場合もある。
【0008】このため、上記の装置では試料導入の途中
で粒子の沈降を起こしたり、連続して使用している間に
ポンプ詰まりを起こしたりする。この場合、分析精度を
保つことが難しく、甚だしい場合は短期間で測定不能と
なると言う問題があった。
【0009】この発明はこの問題を解決するために行わ
れたもので、粒子の沈降や詰まりを起こさずに一定流量
で分析試料を搬送し、高い分析精度で気体中浮遊粒子の
連続測定を行うことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の手段は、以下に述べる分析方法及びこの方法を実施す
るのに適した分析装置であり、前記分析方法は、気体試
料の一部を分析試料として加熱分解励起部に一定流量で
導入し、原子の励起に基づく原子吸光の度合いを測定し
て成分濃度を測定する原子吸光分析方法において、加熱
分解励起部を圧力調整可能な減圧容器内に収納しこの減
圧容器内の圧力と前記気体試料が存在する測定対象系の
圧力との差を一定に保つことによって、一定流量で分析
試料を加熱分解励起部に導入する気体中浮遊粒子の原子
吸光分析方法であり、前記分析装置は、分析試料を導入
する搬送路に接続される加熱分解励起部とこれに光を照
射する光源及び加熱分解励起部を透過した光を測定する
測定器と分析値算出部とを備えた原子吸光分析装置にお
いて、加熱分解励起部が、光の透過窓、減圧容器内圧力
計及び調整弁付き吸気口を有する減圧容器に収納され、
この減圧容器が排気ポンプに接続され、且つ、気体試料
の存在する測定対象系の圧力を測定する気体試料圧力計
と前記調整弁を制御する制御器とを備えた気体中浮遊粒
子の分析装置である。
【0011】
【作用】加熱分解励起部を減圧容器内に収納すると加熱
分解励起部の圧力は減圧容器内の圧力と平衡するので、
この減圧容器内の圧力を気体試料が存在する測定対象系
(以下、単に測定対象系と称す)の圧力よりも小さくす
ることにより、定流量ポンプを使用せずに、分析試料を
加熱分解励起部に導入することができる。
【0012】減圧容器内の圧力を下げるためには、減圧
容器に排気ポンプを連結しこれを作動させる。
【0013】減圧の度合いは、排気ポンプの排気量をコ
ントロールして調整してもよいが、、排気量を一定にし
ておき、減圧容器に設けた吸気口の調整弁を制御器によ
って制御し、吸気量をコントロールする方が調整し易
い。
【0014】この導入方式によって、測定対象系と加熱
分解励起部との間は、断面形状が単純で一定な導入管の
みで連絡することができるので、大きな粒子でもその沈
降を防ぐことができ、したがって詰まりも生ぜず長期間
にわたり安定して、分析試料を導入し続けることができ
る。
【0015】又、この導入管には定量ポンプのような可
動部がないので流れに対する抵抗は一定であり、気体試
料圧力計の測定値と減圧容器内圧力計の測定値とを制御
器に入力し、これらの差が一定になるように調整弁を制
御することにより、一定流量での分析試料導入が持続さ
れる。
【0016】
【実施例】ダクト内を流れる気体中の酸化亜鉛粒子を連
続的に分析した。用いた装置の概要を図1に示す。加熱
分解励起部1は火炎でトーチ31が減圧容器2内に収納
されている。減圧容器2には、光源3からの光を受け加
熱分解励起部1に透過させる透過窓21、加熱分解励起
部1を通過した光の測光器4への通路となる透過窓22
及び調整弁23の付いた吸気口24、更に容器内圧力計
25が設けられている。そして、減圧容器2は冷却管5
を介して排気ポンプ6に接続している。測定対称系はダ
クト7内を流れる気体であり、これから分析試料は採取
管8によって採取され導入管9によって加熱分解励起部
1まで搬送される。 加熱分解励起部には分析試料の他
に燃料及びび酸素が供給され励起エネルギ源となってい
る。加熱分解励起部のトーチは三重管であり、最内側管
は導入管と同径で、ここに分析試料が導入される。最外
側の環状管に燃料ガスボンベ32から燃料を、そして中
間の環状管に圧縮空気ボンベ33から空気を送り励起焔
を発生させた。燃料ガスの主組成はノルマルブタン4
5.9%、イソブタン18.1%、プロパン35.2%
であり、燃料ガスの吹き込み量は1.4L/min 、空気の
吹き込み量は1L/min であった。
【0017】ダクト7には測定対称系の圧力を測定する
気体圧力計10が取り付けられている。測定値は制御器
11におくられ、容器内圧力計25からの測定値との差
が一定になるよう制御器11により調整弁23がコント
ロールされる。
【0018】なお、減圧容器2は加熱分解励起部1によ
り加熱されるので、ジャッケト(図示せず)を設け冷水
を用いて過度の温度上昇を防いだ。又、冷却管5を用い
たのは排気ポンプ6を保護するためで、更に排気ポンプ
6の前に除塵装置等を置いて保護してもよい。
【0019】測光器4で測定された光強度は分析値算出
部12に送られ、ここで1秒間の積算強度から原子吸光
の度合いを示す吸光信号を求め、気体中の酸化亜鉛濃度
を算出した。
【0020】分析試料を導入する流量は、分析する粒子
が沈降せず且つ加熱分解励起部の容量を超えない範囲で
定める。この実施例では、導入管内径を3 mmとし、流量
を4.8L/minとした。この流量は、ダクト内の気体の圧力
と減圧容器内圧力との差を300mmH2Oに維持するこ
とによって保った。
【0021】光源には亜鉛のホローカソードランプを用
い、透過窓には石英ガラスを使用した。
【0022】吸光信号から酸化亜鉛濃度への換算は予め
求めておいた検量線によって行った。用いた検量線を図
3に示す。酸化亜鉛濃度を変えた気体を導入し酸化亜鉛
濃度量と測定光の吸光信号との関係を求めておいたもの
である。
【0023】このようにして溶銑処理中の排ガスを連続
して測定した。測定は、120チャージについて、酸化
亜鉛濃度の時間的変化を求めた。3チャージ目の変化曲
線を図4に示す。図中の実線で表された曲線がこの発明
により求めた量であり、点線は従来の技術で分級器を外
し定流量ポンプで全分析試料を送り込んだ場合の曲線で
ある。又、○印は4分毎に粒子を捕集し回分方式で分析
し求めた量である。
【0024】この発明により求めた量は○印とよく一致
しており、回分方式と変わらぬ精度で即時に分析値が得
られることが判る。一方、従来例では、3チャージ目に
は、分析値が低値を示した。この後、従来例では分析値
の低下が甚だしく7チャージ目には測定不能に至った
が、この発明の実施例では120チャージ目でも、3チ
ャージ目と同様に回分方式の分析値とよく一致した値を
示した。
【0025】なお、図1において、ダクト7に流速計1
3を取り付け流速を測定すると、測定値と気体中濃度と
から分析値算出部12で、酸化亜鉛の通過量を経時的に
算出させることもできる。
【0026】
【発明の効果】この発明によれば、測定対象系と原子吸
光装置の加熱分解励起部との間に定流量ポンプのような
複雑な機構が介在せず、気体試料は形状の単純な導入管
で導入されるので、排ガス等の気体に含まれる粒子を沈
降させることがない。そして、加熱分解励起部が収納さ
れる減圧容器内の圧力調整によって、気体試料は一定の
流量で加熱分解励起部に導入されるので、連続的に正確
な分析結果が得られる。
【0027】このため、排ガス中の有用或いは有害物質
の回収等ダストリサイクル処理、或いは炉内反応の追
跡、反応生成物の分布測定等に適切な情報を即時に提供
することができる。このように、この発明はオンライ分
析技術として工業上有用な効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施例に用いた装置の概要を示す各部の
配置図である。
【図2】ダクト中のガスに含まれる酸化亜鉛濃度の測定
結果を示す図である。
【図3】実施例に用いた検量線を示す図である。
【図4】従来のオンライン分析装置の概要を示す各部の
配置図である。
【符号の説明】
1 加熱分解励起部 2 減圧容器 4 測光器 6 排気ポンプ 7 ダクト 9 導入管 10 気体気圧計 11 制御器 18 定流量ポンプ 23 調整弁 24 吸気口 25 容器内圧力計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石橋 耀一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体試料の一部を分析試料として加熱分
    解励起部に一定流量で導入し、原子の励起に基づく原子
    吸光の度合いを測定して成分濃度を求める原子吸光分析
    方法において、加熱分解励起部を圧力調整可能な減圧容
    器内に収納し、この減圧容器内の圧力と前記気体試料が
    存在する測定対象系の圧力との差を一定に保つことによ
    って、一定流量で分析試料を加熱分解励起部に導入する
    ことを特徴とする気体中浮遊粒子の原子吸光分析方法。
  2. 【請求項2】 分析試料を導入する導入管に接続される
    加熱分解励起部とこれに光を照射する光源及び加熱分解
    励起部を透過した光を測定する測定器と分析値算出部を
    備えた原子吸光分析装置において、加熱分解励起部が、
    光の透過窓、容器内圧力計及び調整弁付き吸気口を備え
    た減圧容器に収納され、この減圧容器が排気ポンプに接
    続され、且つ、気体試料の存在する測定対象系の圧力を
    測定する気体試料圧力計と前記調整弁を制御する制御器
    とを備えたことを特徴とする気体中浮遊粒子の原子吸光
    分析装置。
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