JPH0816279B2 - 有色バネ鋼成形品の製造方法 - Google Patents
有色バネ鋼成形品の製造方法Info
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- JPH0816279B2 JPH0816279B2 JP3056793A JP5679391A JPH0816279B2 JP H0816279 B2 JPH0816279 B2 JP H0816279B2 JP 3056793 A JP3056793 A JP 3056793A JP 5679391 A JP5679391 A JP 5679391A JP H0816279 B2 JPH0816279 B2 JP H0816279B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、寸法や材質等の識別が
適切に行える有色バネ鋼成形品の製造方法に関する。
適切に行える有色バネ鋼成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コイルバネや板バネ等の如きバネ鋼成形
品(即ち、バネ)は、機械部品、事務用品、その他日常
生活においてあらゆる方面で使用されている。かかるバ
ネの材料であるバネ用鋼材には線状のもの(バネ用鋼
線)や板状のもの(バネ用鋼板)がある。バネ用鋼線と
しては JISに規定されている硬鋼線、ピアノ線、バネ用
ステンレス鋼線が知られている。
品(即ち、バネ)は、機械部品、事務用品、その他日常
生活においてあらゆる方面で使用されている。かかるバ
ネの材料であるバネ用鋼材には線状のもの(バネ用鋼
線)や板状のもの(バネ用鋼板)がある。バネ用鋼線と
しては JISに規定されている硬鋼線、ピアノ線、バネ用
ステンレス鋼線が知られている。
【0003】これらバネ用鋼線は、その表面色調が比較
的よく似ており、特に硬鋼線とピアノ線とでは、色調の
みによる識別は不可能である。又、ステンレス鋼線の場
合は、硬鋼線やピアノ線に比べて一般的に光沢を有する
ものの、油引き(湿式伸線)で仕上げた線材の場合、色
調による識別は極めて困難である。従って、バネ成形後
大きさのよく似たものは、寸法間違いや材質間違いを生
じ、誤って規格外れのバネ製品が機械構造体に組み込ま
れてしまうというトラブルが発生していた。
的よく似ており、特に硬鋼線とピアノ線とでは、色調の
みによる識別は不可能である。又、ステンレス鋼線の場
合は、硬鋼線やピアノ線に比べて一般的に光沢を有する
ものの、油引き(湿式伸線)で仕上げた線材の場合、色
調による識別は極めて困難である。従って、バネ成形後
大きさのよく似たものは、寸法間違いや材質間違いを生
じ、誤って規格外れのバネ製品が機械構造体に組み込ま
れてしまうというトラブルが発生していた。
【0004】従来、かかるトラブルの発生を防止すべ
く、バネ鋼線に種々の樹脂被膜の被覆や塗料の焼付被覆
をし、或いは、PVD, CVD等のイオンプレーティングやTi
N 等の被覆をして、バネ鋼線をカラー化することが行わ
れ、これによりバネ鋼成形品の寸法や材質の識別を容易
化し、又、同時に美観の向上も図っている。
く、バネ鋼線に種々の樹脂被膜の被覆や塗料の焼付被覆
をし、或いは、PVD, CVD等のイオンプレーティングやTi
N 等の被覆をして、バネ鋼線をカラー化することが行わ
れ、これによりバネ鋼成形品の寸法や材質の識別を容易
化し、又、同時に美観の向上も図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、バネ鋼線は
バネ成形加工時に成形工具との間でカジリ付きに近い厳
しい擦過を受け、又、バネ成形加工後にバネ特性向上の
ため250 〜400 ℃、2〜10分程度加熱処理(低温焼鈍処
理)されるので、前記従来の樹脂被膜や塗料焼付を施し
たものにおいては、バネ成形時に表面に傷が発生し被膜
が剥離する場合があり、又、低温焼鈍処理時に被膜が軟
化して凹みができたり、バネが互いに溶着するという不
都合を生ずるという問題点がある。一方、イオンプレー
ティングやTiN 等の被覆によるものにおいては、かかる
問題は生じないが、被覆施工が大変であってコストが高
くつくという欠点があり、いずれの方法も十分な機能を
発揮していないのが現状である。
バネ成形加工時に成形工具との間でカジリ付きに近い厳
しい擦過を受け、又、バネ成形加工後にバネ特性向上の
ため250 〜400 ℃、2〜10分程度加熱処理(低温焼鈍処
理)されるので、前記従来の樹脂被膜や塗料焼付を施し
たものにおいては、バネ成形時に表面に傷が発生し被膜
が剥離する場合があり、又、低温焼鈍処理時に被膜が軟
化して凹みができたり、バネが互いに溶着するという不
都合を生ずるという問題点がある。一方、イオンプレー
ティングやTiN 等の被覆によるものにおいては、かかる
問題は生じないが、被覆施工が大変であってコストが高
くつくという欠点があり、いずれの方法も十分な機能を
発揮していないのが現状である。
【0006】本発明は、このような事情に着目してなさ
れたものであり、上記問題点を解消し、バネ鋼成形品の
寸法や材質の識別を容易化すると共に、表面美観の向上
をも達成することを目的としている。
れたものであり、上記問題点を解消し、バネ鋼成形品の
寸法や材質の識別を容易化すると共に、表面美観の向上
をも達成することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、メッキ処理に
よってもバネ鋼材のバネ特性が劣化せず、しかもバネ成
形加工後の低温加熱焼鈍中にメッキ層が発色することに
より、その色調を適宜選択するとバネ成形品の異寸法、
異種材の識別が可能となることを知見し、本発明を完成
するに至った。
め、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、メッキ処理に
よってもバネ鋼材のバネ特性が劣化せず、しかもバネ成
形加工後の低温加熱焼鈍中にメッキ層が発色することに
より、その色調を適宜選択するとバネ成形品の異寸法、
異種材の識別が可能となることを知見し、本発明を完成
するに至った。
【0008】即ち、本発明はバネ鋼素材表面上に、下層
がCu、上層がSnからなる2層メッキを、電気メッキ条件
の調整によってメッキ層全厚に対するSn層の厚さ比が5
〜30%となるように施し、続いて伸線加工度を調整して
伸線処理を行いバネ用材に加工して最終メッキ全厚さが
2〜25μm となるように調製したものをバネに成形加工
し、その後該成形品を 250〜400 ℃の温度で所定時間加
熱して低温焼鈍すると共にバネ成形品のメッキ層を発色
させることよりなる有色バネ鋼成形品の製造方法を要旨
とするものである。
がCu、上層がSnからなる2層メッキを、電気メッキ条件
の調整によってメッキ層全厚に対するSn層の厚さ比が5
〜30%となるように施し、続いて伸線加工度を調整して
伸線処理を行いバネ用材に加工して最終メッキ全厚さが
2〜25μm となるように調製したものをバネに成形加工
し、その後該成形品を 250〜400 ℃の温度で所定時間加
熱して低温焼鈍すると共にバネ成形品のメッキ層を発色
させることよりなる有色バネ鋼成形品の製造方法を要旨
とするものである。
【0009】
【作 用】Cu−Snの2層メッキを加熱して合金化する
と、該メッキ層はCu−Sn合金メッキ層に成る。このと
き、上記加熱の条件によって得られる合金メッキ層は種
々の表面色調を呈し、例えばバネ成形加工後の低温加熱
焼鈍では黄色系統の色を呈し、その色調は焼鈍条件やSn
%により異なることが判った。従って、バネ鋼素材にCu
−Snの2層メッキを施し、バネ用材に加工したものをバ
ネに成形加工した後、低温焼鈍すると、その焼鈍条件に
より種々色調の異なる有色メッキ層を表面に有する有色
バネ鋼成形品が得られ、その結果バネ成形品の識別が可
能となる。本発明は、かかる有色メッキ層の色調の相違
を利用して、バネ成形品の異寸法、異材質混入防止を計
るものであるが、それら製品が使用される状態におい
て、識別のための有色メッキ層の存在によってバネ成形
品の特性が大きく劣化するのでは実用性に欠け、従って
有色メッキ層といっても、おのずからその最適条件が規
定されることになる。本発明は、その最適条件を識別性
及びバネ特性の観点から克明に調査し、その結果得られ
た知見に基づき完成されたものである。これらについて
図面により具体的に以下説明する。
と、該メッキ層はCu−Sn合金メッキ層に成る。このと
き、上記加熱の条件によって得られる合金メッキ層は種
々の表面色調を呈し、例えばバネ成形加工後の低温加熱
焼鈍では黄色系統の色を呈し、その色調は焼鈍条件やSn
%により異なることが判った。従って、バネ鋼素材にCu
−Snの2層メッキを施し、バネ用材に加工したものをバ
ネに成形加工した後、低温焼鈍すると、その焼鈍条件に
より種々色調の異なる有色メッキ層を表面に有する有色
バネ鋼成形品が得られ、その結果バネ成形品の識別が可
能となる。本発明は、かかる有色メッキ層の色調の相違
を利用して、バネ成形品の異寸法、異材質混入防止を計
るものであるが、それら製品が使用される状態におい
て、識別のための有色メッキ層の存在によってバネ成形
品の特性が大きく劣化するのでは実用性に欠け、従って
有色メッキ層といっても、おのずからその最適条件が規
定されることになる。本発明は、その最適条件を識別性
及びバネ特性の観点から克明に調査し、その結果得られ
た知見に基づき完成されたものである。これらについて
図面により具体的に以下説明する。
【0010】図1は、硬鋼線に2層メッキ(下層Cu、上
層Sn)を上層が全メッキ厚さの30%厚となるように施
し、伸線加工し、コイルバネ成形した後、種々の温度及
び時間に加熱し、その際のメッキ表面の色調変化を調べ
た結果を例示したものである。色調変化は加熱温度及び
加熱時間に密接な関係を有し、その条件が満たされると
白色から肉眼的識別可能な黄色系統の色への変化がほぼ
瞬時に生じ、実用的なバネの低温焼鈍温度である250 〜
400 ℃では、250 ℃で3分以上、400 ℃では1分以上で
色調が変わることが判る。かかる実験を種々行ったとこ
ろ、250 〜400 ℃の温度T(℃)において上記色調変化
を生じるために必要な加熱保持時間は、下記式を満足
する時間t(min.)であることが明らかになった。
層Sn)を上層が全メッキ厚さの30%厚となるように施
し、伸線加工し、コイルバネ成形した後、種々の温度及
び時間に加熱し、その際のメッキ表面の色調変化を調べ
た結果を例示したものである。色調変化は加熱温度及び
加熱時間に密接な関係を有し、その条件が満たされると
白色から肉眼的識別可能な黄色系統の色への変化がほぼ
瞬時に生じ、実用的なバネの低温焼鈍温度である250 〜
400 ℃では、250 ℃で3分以上、400 ℃では1分以上で
色調が変わることが判る。かかる実験を種々行ったとこ
ろ、250 〜400 ℃の温度T(℃)において上記色調変化
を生じるために必要な加熱保持時間は、下記式を満足
する時間t(min.)であることが明らかになった。
【0011】即ち、本発明は、バネ鋼素材表面上に、下
層がCu、上層がSnからなる2層メッキを、電気メッキ条
件の調整によってメッキ層全厚に対するSn層の厚さ比が
5〜30%となるように施し、続いて伸線加工度を調整し
て伸線処理を行いバネ用材に加工して最終メッキ全厚さ
が2〜25μm となるように調製したものをバネに成形加
工し、その後該成形品を 250〜400 ℃の温度で所定時間
加熱して低温焼鈍すると共にバネ成形品のメッキ層を発
色させることよりなる有色バネ鋼成形品の製造方法を要
旨とするものである。
層がCu、上層がSnからなる2層メッキを、電気メッキ条
件の調整によってメッキ層全厚に対するSn層の厚さ比が
5〜30%となるように施し、続いて伸線加工度を調整し
て伸線処理を行いバネ用材に加工して最終メッキ全厚さ
が2〜25μm となるように調製したものをバネに成形加
工し、その後該成形品を 250〜400 ℃の温度で所定時間
加熱して低温焼鈍すると共にバネ成形品のメッキ層を発
色させることよりなる有色バネ鋼成形品の製造方法を要
旨とするものである。
【0012】図2は、メッキ厚さを種々変化させて上記
同様のメッキを施し、同様に伸線しバネ成形した後、 4
00℃で3分間加熱してCu−Sn合金メッキ層を有するバネ
と成し、該合金中のSn量(%) と色調との関係を示したも
のである。5〜30%Snの範囲では美しい黄金色系の色調
となり、異寸法バネ、異材質混入防止のための識別を行
うのに適した色調であると共に美観性の向上も著しい。
同様のメッキを施し、同様に伸線しバネ成形した後、 4
00℃で3分間加熱してCu−Sn合金メッキ層を有するバネ
と成し、該合金中のSn量(%) と色調との関係を示したも
のである。5〜30%Snの範囲では美しい黄金色系の色調
となり、異寸法バネ、異材質混入防止のための識別を行
うのに適した色調であると共に美観性の向上も著しい。
【0013】ところで、バネ成形品において優れた耐食
性を有することは重要な性質の一つである。そこで、図
2と同様のバネについてCu−Sn合金メッキ層中のSn(%)
と、3%含塩水噴霧による赤錆発生時間(腐食が素材へ
到達した時間)との関係を調べ、その結果を図3に示し
た。メッキ層厚が2μm 以上では、Sn%の増加と共に耐
食性が向上し、5〜30%Snのものは未処理(メッキ無
し)硬鋼線に比べ、赤錆発生時間が長く、かかるメッキ
層はバネ素地の特性そのものの特性を何等劣化させず、
却って向上し得るものであることが判る。メッキ層厚さ
が1μm ではバネ素地表面凹凸の影響を受け、耐食性向
上の効果は奏されない。尚、バネ線材として硬鋼線に代
えてSUS304ステンレス鋼線を使用した場合の発錆時間
は、SUS304ステンレス鋼線バネ自体の発錆時間(185hr)
に図3の値を加算した値となる。
性を有することは重要な性質の一つである。そこで、図
2と同様のバネについてCu−Sn合金メッキ層中のSn(%)
と、3%含塩水噴霧による赤錆発生時間(腐食が素材へ
到達した時間)との関係を調べ、その結果を図3に示し
た。メッキ層厚が2μm 以上では、Sn%の増加と共に耐
食性が向上し、5〜30%Snのものは未処理(メッキ無
し)硬鋼線に比べ、赤錆発生時間が長く、かかるメッキ
層はバネ素地の特性そのものの特性を何等劣化させず、
却って向上し得るものであることが判る。メッキ層厚さ
が1μm ではバネ素地表面凹凸の影響を受け、耐食性向
上の効果は奏されない。尚、バネ線材として硬鋼線に代
えてSUS304ステンレス鋼線を使用した場合の発錆時間
は、SUS304ステンレス鋼線バネ自体の発錆時間(185hr)
に図3の値を加算した値となる。
【0014】図4は、 3.5mmΦの硬ピアノ線素線にCu−
Snの2層メッキを施し、1mmΦとなるまで91.7%の伸線
加工を行った後、400 ℃で5分加熱して合金化したとき
の線材のハンター式回転曲げ疲労強度とSn%との関係、
及び、 2.5mmΦのステンレス鋼素線に同様に2層メッキ
後、84%の伸線加工を行って1mmΦとした線材を加熱し
メッキ層を合金化した場合の結果を併せて示している。
ピアノ線、ステンレス鋼線共にメッキ層厚が25μm まで
は疲労強度低下の低下は僅かであって実用上支障ない
が、それに対して30μm では疲労強度の明白な低下が認
められる。従って、実用上25μm 以下の層厚のメッキを
施すことが望ましい。このことはコイルバネ(バネ鋼成
形品)においても同様である。
Snの2層メッキを施し、1mmΦとなるまで91.7%の伸線
加工を行った後、400 ℃で5分加熱して合金化したとき
の線材のハンター式回転曲げ疲労強度とSn%との関係、
及び、 2.5mmΦのステンレス鋼素線に同様に2層メッキ
後、84%の伸線加工を行って1mmΦとした線材を加熱し
メッキ層を合金化した場合の結果を併せて示している。
ピアノ線、ステンレス鋼線共にメッキ層厚が25μm まで
は疲労強度低下の低下は僅かであって実用上支障ない
が、それに対して30μm では疲労強度の明白な低下が認
められる。従って、実用上25μm 以下の層厚のメッキを
施すことが望ましい。このことはコイルバネ(バネ鋼成
形品)においても同様である。
【0015】以上のデータはバネ鋼素材が線材で、バネ
鋼成形品がコイルバネである場合についてのものである
が、それ以外の場合、例えばバネ鋼素材が板材で、バネ
鋼成形品が板バネである場合についても、結果は上記と
同様の傾向となる。
鋼成形品がコイルバネである場合についてのものである
が、それ以外の場合、例えばバネ鋼素材が板材で、バネ
鋼成形品が板バネである場合についても、結果は上記と
同様の傾向となる。
【0016】以上の点を要約すると、バネ鋼成形品表面
の有色Cu−Sn合金メッキ層については、Cu−Sn合金組成
は色調効果の点から5〜30%Snの範囲、メッキ厚さは耐
食性の観点から2μm 以上、疲労強度低下防止の点から
25μm 以下にするとよく、一方、発色のための低温焼鈍
条件については250 ℃・3分以上〜400 ℃・1分以上に
するとよいことになる。
の有色Cu−Sn合金メッキ層については、Cu−Sn合金組成
は色調効果の点から5〜30%Snの範囲、メッキ厚さは耐
食性の観点から2μm 以上、疲労強度低下防止の点から
25μm 以下にするとよく、一方、発色のための低温焼鈍
条件については250 ℃・3分以上〜400 ℃・1分以上に
するとよいことになる。
【0017】本発明に係る有色バネ鋼成形品の製造方法
は、かかる点(条件)を考慮して構成したものであり、
従って、バネ成形品特性の劣化を生じることなく、有色
Cu−Sn合金メッキ層の色調効果が発揮されてバネ鋼成形
品の識別を容易化し得ると共に表面美観性を向上し得る
ようになる。
は、かかる点(条件)を考慮して構成したものであり、
従って、バネ成形品特性の劣化を生じることなく、有色
Cu−Sn合金メッキ層の色調効果が発揮されてバネ鋼成形
品の識別を容易化し得ると共に表面美観性を向上し得る
ようになる。
【0018】尚、本発明に係る製造方法は、上記点(条
件)を充たすように、バネ鋼素材表面に2層メッキ(下
層:Cu、上層:Sn)し、バネ用材に加工したものをバネ
に成形加工した後 250〜400 ℃の温度に加熱して低温焼
鈍すると共にメッキ層を発色させる方法であって、これ
により有色バネ鋼成形品を製造し得る。しかし、本発明
方法により得られる有色バネ鋼成形品と同種のものは、
本法以外の方法、例えば上記バネ用材に加工後バネ成形
加工前に 250〜400 ℃の温度に加熱してメッキ層を発色
させた後、バネ成形加工し、低温焼鈍する方法によって
も製造し得る。しかし、かかる方法では加熱工程が一工
程増えて製造工程が複雑になり、これに対して本発明方
法はバネ成形加工後に不可欠な低温焼鈍によりメッキ層
を発色させており、従って製造工程が簡単で経済性に優
れていると言える。
件)を充たすように、バネ鋼素材表面に2層メッキ(下
層:Cu、上層:Sn)し、バネ用材に加工したものをバネ
に成形加工した後 250〜400 ℃の温度に加熱して低温焼
鈍すると共にメッキ層を発色させる方法であって、これ
により有色バネ鋼成形品を製造し得る。しかし、本発明
方法により得られる有色バネ鋼成形品と同種のものは、
本法以外の方法、例えば上記バネ用材に加工後バネ成形
加工前に 250〜400 ℃の温度に加熱してメッキ層を発色
させた後、バネ成形加工し、低温焼鈍する方法によって
も製造し得る。しかし、かかる方法では加熱工程が一工
程増えて製造工程が複雑になり、これに対して本発明方
法はバネ成形加工後に不可欠な低温焼鈍によりメッキ層
を発色させており、従って製造工程が簡単で経済性に優
れていると言える。
【0019】
【実施例】(実施例1)C:0.82%含有の硬鋼線を鉛パテ
ンティング後酸洗し脱スケールして成る3.5 mmΦの原線
に、下層Cu、上層Snの2層メッキを2槽連続電気メッキ
槽を用いて施した。このとき、Cuメッキは浴組成をCuSO
4:130g/l, 62%H2SO4:33cc/l水溶液、pHを1.5 、温度を
30℃にし、メッキ電流密度を5A/dm2にし、陽極にCu板を
使用して行った。Snメッキは浴組成をSnSO4:50g/l, H2S
O4:50g/l、ゼラチン:2g/l, ナフトール:2g/l 水溶
液、pH:1.0 、電流密度を3A/dm2、温度を20℃にし、
陽極にSn板を使用して行った。メッキ時間は下記の如く
Sn厚さ比等を変化させるために4種類に変化させた。即
ち、2層メッキ全厚に対するSn厚さ比を0、5、30、40
%の4種類に変化させた。同時にメッキ全厚も、伸線後
メッキ全厚で2、25及び30μm になるように調整した。
ンティング後酸洗し脱スケールして成る3.5 mmΦの原線
に、下層Cu、上層Snの2層メッキを2槽連続電気メッキ
槽を用いて施した。このとき、Cuメッキは浴組成をCuSO
4:130g/l, 62%H2SO4:33cc/l水溶液、pHを1.5 、温度を
30℃にし、メッキ電流密度を5A/dm2にし、陽極にCu板を
使用して行った。Snメッキは浴組成をSnSO4:50g/l, H2S
O4:50g/l、ゼラチン:2g/l, ナフトール:2g/l 水溶
液、pH:1.0 、電流密度を3A/dm2、温度を20℃にし、
陽極にSn板を使用して行った。メッキ時間は下記の如く
Sn厚さ比等を変化させるために4種類に変化させた。即
ち、2層メッキ全厚に対するSn厚さ比を0、5、30、40
%の4種類に変化させた。同時にメッキ全厚も、伸線後
メッキ全厚で2、25及び30μm になるように調整した。
【0020】上記2層メッキ後、通常の8回伸線により
1mmΦまで91.7%の伸線加工を施してJIS G3521 硬鋼線
SWC 強度レベルの1mmΦ相当素線を得た。この1mmΦ素
線を、外径10mm、長さ20mm、巻数20の密着バネに成形加
工した後、 150℃で7分間、200℃で5分間、 250℃で
3分間、 400℃で1分間加熱し、発色状態を調べた。
1mmΦまで91.7%の伸線加工を施してJIS G3521 硬鋼線
SWC 強度レベルの1mmΦ相当素線を得た。この1mmΦ素
線を、外径10mm、長さ20mm、巻数20の密着バネに成形加
工した後、 150℃で7分間、200℃で5分間、 250℃で
3分間、 400℃で1分間加熱し、発色状態を調べた。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】前記加熱後冷却し、その後塩水噴霧テスト
により耐食性を調べた。又、前記1mmΦ素線に上記同様
の加熱処理を施したものについて、引張強さ、捻回値、
疲労強度の測定を行った。その結果を表1に示す。
により耐食性を調べた。又、前記1mmΦ素線に上記同様
の加熱処理を施したものについて、引張強さ、捻回値、
疲労強度の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0025】比較例として、前記と同様の3.5 mmΦの原
線を用いて、これを1mmΦまで伸線して得た裸の素線、
及び、 3.5mmΦの原線を1mmΦまで伸線加工した後、ポ
リエステル塗料をシンナーに溶解して薄めた溶液に浸漬
し、焼付する処理を、2ベーク、2コート方式で行い、
得られたポリエステル被覆素線(色調:赤色)について
も、上記と同様の試験を行った。その結果を表1に示
す。
線を用いて、これを1mmΦまで伸線して得た裸の素線、
及び、 3.5mmΦの原線を1mmΦまで伸線加工した後、ポ
リエステル塗料をシンナーに溶解して薄めた溶液に浸漬
し、焼付する処理を、2ベーク、2コート方式で行い、
得られたポリエステル被覆素線(色調:赤色)について
も、上記と同様の試験を行った。その結果を表1に示
す。
【0026】(実施例2)バネ用ステンレス鋼線を1150
℃で光輝焼鈍して軟化させて成る2.5 mmΦ原線を用い、
実施例1と同様の2層メッキ及び伸線加工をしてJIS G
4314バネ用ステンレス鋼線WPB 強度レベルの1mmΦ相当
素線を得た後、実施例1と同様のコイルバネに成形し、
加熱処理を施し、同様の試験を行った。又、比較例とし
て、上記と同様の 2.5mmΦ原線から1mmΦまで伸線加工
して得た裸の素線について試験を行った。その結果を表
2に示す。
℃で光輝焼鈍して軟化させて成る2.5 mmΦ原線を用い、
実施例1と同様の2層メッキ及び伸線加工をしてJIS G
4314バネ用ステンレス鋼線WPB 強度レベルの1mmΦ相当
素線を得た後、実施例1と同様のコイルバネに成形し、
加熱処理を施し、同様の試験を行った。又、比較例とし
て、上記と同様の 2.5mmΦ原線から1mmΦまで伸線加工
して得た裸の素線について試験を行った。その結果を表
2に示す。
【0027】表1および表2の結果から判る如く、メッ
キ厚さが2〜25μm であれば、引張強さ、捻回値特性、
疲労強度、耐食性のいずれもバネ用素線として良好であ
る。一方、メッキ層厚さが30μm では疲労強度が著しく
低下するので実用性がない。ポリエステル被覆素線は耐
食性の点では秀れているといえる。
キ厚さが2〜25μm であれば、引張強さ、捻回値特性、
疲労強度、耐食性のいずれもバネ用素線として良好であ
る。一方、メッキ層厚さが30μm では疲労強度が著しく
低下するので実用性がない。ポリエステル被覆素線は耐
食性の点では秀れているといえる。
【0028】(実施例3)実施例1の1mmΦ素線におい
て伸線後のメッキ全厚を2μm に代えて5μm としたも
のを作り、これをコイルバネに成形し、加熱処理して発
色状況を調べた。尚、合金メッキ層中のSnは0、5、3
0、40%の4種類に変化させた。表3から判る如く、合
金メッキ層中のSn量が5〜30%となるように2層メッキ
におけるSn層のメッキ厚さ比を調節すれば、加熱処理に
よって色調が著しく変化し、これを利用することによ
り、バネ鋼成形品の識別を確実に行うことができる。
又、樹脂被覆では成形時のカジリや、退色、溶着などの
表面劣化が生じるので本発明が有利であるといえる。
尚、実施例2のコイルバネ(素線:ステンレス鋼線)の
場合も、合金メッキ層中のSn量が5〜30%となるように
2層メッキのSn層のメッキ厚さ比を調節したものは、上
記と同様に色調が変化した。
て伸線後のメッキ全厚を2μm に代えて5μm としたも
のを作り、これをコイルバネに成形し、加熱処理して発
色状況を調べた。尚、合金メッキ層中のSnは0、5、3
0、40%の4種類に変化させた。表3から判る如く、合
金メッキ層中のSn量が5〜30%となるように2層メッキ
におけるSn層のメッキ厚さ比を調節すれば、加熱処理に
よって色調が著しく変化し、これを利用することによ
り、バネ鋼成形品の識別を確実に行うことができる。
又、樹脂被覆では成形時のカジリや、退色、溶着などの
表面劣化が生じるので本発明が有利であるといえる。
尚、実施例2のコイルバネ(素線:ステンレス鋼線)の
場合も、合金メッキ層中のSn量が5〜30%となるように
2層メッキのSn層のメッキ厚さ比を調節したものは、上
記と同様に色調が変化した。
【0029】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるから、バネ製造工程中におけるメッキ層の発色によ
り、バネ鋼成形品の素材の材質あるいは寸法などの識別
を容易に行うことができると共に、バネ鋼成形品乃至製
品の表面に美観を与える色調を発揮させ、又、バネ特性
等のバネ鋼成形品特性の劣化を生じず、むしろ耐食性を
向上できるという顕著な効果を奏することができ、産業
上極めて有用である。
いるから、バネ製造工程中におけるメッキ層の発色によ
り、バネ鋼成形品の素材の材質あるいは寸法などの識別
を容易に行うことができると共に、バネ鋼成形品乃至製
品の表面に美観を与える色調を発揮させ、又、バネ特性
等のバネ鋼成形品特性の劣化を生じず、むしろ耐食性を
向上できるという顕著な効果を奏することができ、産業
上極めて有用である。
【0030】本発明は、コイルバネに限らず、成形後に
低温焼鈍を行うバネ材料(フォーミング材、トーション
バネ、板バネ等)あるいは類似材料に適用可能なことは
いうまでもない。
低温焼鈍を行うバネ材料(フォーミング材、トーション
バネ、板バネ等)あるいは類似材料に適用可能なことは
いうまでもない。
【0031】更には、低温加熱拡散によって合金化した
有色Cu−Sn合金メッキ層を表面に有することにより、黄
金色の色調を呈し得るので、この点はバネ鋼成形品以外
の美観性が重視される製品、例えば眼鏡フレーム、腕輪
等の如き装飾品や、事務用品等に適用して利点がある。
有色Cu−Sn合金メッキ層を表面に有することにより、黄
金色の色調を呈し得るので、この点はバネ鋼成形品以外
の美観性が重視される製品、例えば眼鏡フレーム、腕輪
等の如き装飾品や、事務用品等に適用して利点がある。
【図1】バネ成形品表面のCu−Snメッキ層の加熱時間及
び加熱温度と色調変化との関係を示す説明図である。
び加熱温度と色調変化との関係を示す説明図である。
【図2】バネ成形品表面のCu−Snメッキ層中のSn含有量
と色調との関係を示す説明図である。
と色調との関係を示す説明図である。
【図3】バネ成形品表面のCu−Snメッキ層中のSn含有量
及びメッキ層厚さと赤錆発生時間との関係を示す説明図
である。
及びメッキ層厚さと赤錆発生時間との関係を示す説明図
である。
【図4】バネ用線材表面のCu−Snメッキ層中のSn含有量
及びメッキ層厚さとハンター式回転曲げ疲労強度との関
係を示す説明図である。
及びメッキ層厚さとハンター式回転曲げ疲労強度との関
係を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16F 1/02 B
Claims (3)
- 【請求項1】 バネ鋼素材表面上に、下層がCu、上層が
Snからなる2層メッキを、電気メッキ条件の調整によっ
てメッキ層全厚に対するSn層の厚さ比が5〜30%となる
ように施し、続いて伸線加工度を調整して伸線処理を行
いバネ用材に加工して最終メッキ全厚さが2〜25μm と
なるように調製したものをバネに成形加工し、その後該
成形品を 250〜400 ℃の温度で所定時間加熱して低温焼
鈍すると共にバネ成形品のメッキ層を発色させることを
特徴とする有色バネ鋼成形品の製造方法。 - 【請求項2】 前記低温焼鈍での加熱保持時間を、下記
式を満足する時間tに設定する請求項1記載の有色バ
ネ鋼成形品の製造方法。 logt≧ 0.1789 − 3.181×10 -3 T ---- 式 但し、上記式においてTは低温焼鈍での加熱温度
(℃)、tは加熱保持時間(min.)を示すものである。 - 【請求項3】 バネ鋼素材として硬鋼線、ピアノ線又は
バネ用ステンレス鋼線のいずれかを使用する請求項1又
は2記載の有色バネ鋼成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3056793A JPH0816279B2 (ja) | 1991-03-20 | 1991-03-20 | 有色バネ鋼成形品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3056793A JPH0816279B2 (ja) | 1991-03-20 | 1991-03-20 | 有色バネ鋼成形品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06220688A JPH06220688A (ja) | 1994-08-09 |
JPH0816279B2 true JPH0816279B2 (ja) | 1996-02-21 |
Family
ID=13037290
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3056793A Expired - Lifetime JPH0816279B2 (ja) | 1991-03-20 | 1991-03-20 | 有色バネ鋼成形品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0816279B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6436997A (en) * | 1987-07-31 | 1989-02-07 | Diesel Kiki Co | Vane type compressor |
JP4023663B2 (ja) * | 2001-09-20 | 2007-12-19 | 日新製鋼株式会社 | ステンレス鋼製接点 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5655563A (en) * | 1979-10-11 | 1981-05-16 | Usui Internatl Ind Co Ltd | Corrosion resistant steel material and its production |
-
1991
- 1991-03-20 JP JP3056793A patent/JPH0816279B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06220688A (ja) | 1994-08-09 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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