JPH08161789A - 光磁気記録媒体の情報再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体の情報再生方法

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JPH08161789A
JPH08161789A JP30327994A JP30327994A JPH08161789A JP H08161789 A JPH08161789 A JP H08161789A JP 30327994 A JP30327994 A JP 30327994A JP 30327994 A JP30327994 A JP 30327994A JP H08161789 A JPH08161789 A JP H08161789A
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Hideki Saga
秀樹 嵯峨
Hisataka Sugiyama
久貴 杉山
Hiroyuki Awano
博之 粟野
Jiichi Miyamoto
治一 宮本
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 光磁気情報再生装置において、高密度に形成された記録
マークから高いS/N比の再生信号を得る。 【目的】光磁気情報記録再生装置の情報記録密度の増大
をはかり、これにより記録情報量の増大と情報の転送レ
ートを向上させる。 【構成】フェリ磁性体膜からなる光磁気記録媒体の記録
マーク上を、記録マークの破壊を起こすことなく、光ス
ポット内の記録膜の一部のKerr回転角を低下させる再生
光量の光スポットを用いで走査する。 【効果】光スポット内の一部分からの応答が制限され、
再生磁場を印加する必要がなく光学系の見掛け上の再生
分解能を向上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光磁気記録媒体に記録さ
れた情報の再生方法に係り、特に高密度に記録された記
録マークから高C(キャリア:carrier)/N(ノイ
ズ:noise)比の再生信号を得ることができ、記録情報
量の増大と情報の転送レートの向上をはかる光磁気記録
媒体の情報再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録媒体からの記録情報の再生に
おいて、媒体中の磁性層に磁区として記録された情報の
記録マークは、媒体からの反射光の偏光状態を通じて読
み出され、光電変換素子によって電気信号に変換された
後、電気的に処理されて情報に復元される。媒体上の記
録マークを読み取り、情報に復元するためには、誤り
率、変調方式または信号検出方式等に応じて、所定以上
の信号(signal)対雑音(noise)比(S/N比)が要
求される。ところが、記録密度の向上を目的とする記録
マークの微小化、特に光スポット走査方向における記録
線密度を上昇させ、記録マーク長と記録マーク間隔を短
縮させると、例えば、短い記録マークが、狭い間隔を隔
てて連続している部分では、再生信号強度が低下して、
その部分での局所的なS/N比が劣化し、情報を復元す
る際に誤り率が上昇する。レーザ光源の波長をλ、対物
レンズの開口数をNAとして、光スポットの直径をλ/
NAと定義すると、例えば、λ=680nm、NA=
0.55の光学系で得られる直径1.2μmの光スポット
を用いて、直径0.30μmのマークが0.60μmごと
に連続して形成されている部分を走査させる場合に、マ
ークの有無を正確に判定するための十分な強度の再生信
号は得られなくなる。この問題に対して、特開平3−9
3056号公報、同3−93058号公報において、複
数の磁性層からなる高密度記録の光磁気記録媒体におけ
る信号再生方法が提案されている。これは、再生に際し
て、再生層に記録層の磁区パターンを部分的に転写する
方法である。すなわち、光磁気超解像磁性膜上を光スポ
ットで走査すると、この光スポット内の磁性層の一部に
マスク磁区が形成される。この動作により光スポットを
縮小したのと同等の効果が得られ、再生光学系における
見掛け上の再生分解能を向上させるものである。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】従来の複数の磁性層か
らなる高密度記録の光磁気記録媒体からの再生信号波形
は、時間方向に対し前後非対称であるために、複雑な再
生信号処理を必要とし、再生信号の処理回路の規模や複
雑さの点において不利であった。また、マスク磁区の変
形による動作ノイズの発生に伴い、再生信号におけるS
/N比が低下して情報を復元する際の誤り率が上昇する
ため、記録密度の増大には限界が生じるという問題があ
った。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術における問
題点を解消し、光磁気記録媒体を用いた情報の記録再生
装置における記録密度の増大をはかるものであって、特
に記録線密度の限界を越えて高密度に記録された記録マ
ークから高C/N比の再生信号を得ることができ、かつ
記録情報量の増大と情報の転送レートの向上をはかる光
磁気記録媒体の新規な情報再生方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の課題を解決
するために、本発明は特許請求の範囲に記載のような構
成とするものである。すなわち、本発明は請求項1に記
載のように、レーザを光源とし、磁気光学効果を用いて
情報の記録再生を行う光磁気記録媒体の情報再生方法に
おいて、上記記録媒体の記録層に高密度に記録された記
録マークの破壊を起こすことなく、所定の直径の再生用
光スポット内の記録層の一部を加熱してカー(Kerr)回
転角を低下させる再生光量の光スポットを用いて、上記
記録マーク上を走査して、光スポットの走査方向の直径
が結果的に短縮したのと同じ効果を得ることにより、見
掛け上の再生分解能を向上し高C/N比の再生信号を得
る情報の再生方法とするものである。また、本発明は具
体的構成として請求項2に記載のように、レーザを光源
とし、磁気光学効果を用いて情報の記録再生を行う光磁
気記録媒体の情報の再生方法において、所定の再生光量
の光スポットを用いて、再生光学系の分解能の限界の空
間周波数〔カット・オフ(cut−off)空間周波数〕にほ
ぼ等しい線密度の記録マークを走査して得られる再生信
号中の信号波の強度(キャリア強度とも言う)が、+1d
B(デシベル)の再生光量の増加に対して+1dB以上
の変化率で増加する時に、再生信号中のノイズの強さ
(ノイズ強度とも言う)が、+1dBの再生光量の増加に
対して+1dB以下の変化率で増加する特性を有する光
磁気記録媒体を用い、上記信号波の強さが+1dBの再
生光量の増加に対して+1dB以上の変化率で増加する
範囲の再生光量の光スポットで記録マークを走査するこ
とにより再生信号を得る光磁気記録媒体の情報再生方法
とするものである。また、本発明は請求項3に記載のよ
うに、レーザを光源とし、磁気光学効果を用いて情報の
記録再生を行う光磁気記録媒体の情報の再生方法におい
て、所定の再生光量の光スポットを用いて、再生光学系
の分解能の限界の空間周波数よりも十分に低い線密度の
記録マークを走査して得られる再生信号中の信号波の強
さと、再生光学系の分解能の限界の空間周波数にほぼ等
しい線密度の記録マークを走査して得られる再生信号中
の信号波の強さとの比が、再生光量の増加に伴い減少す
る特性を有する光磁気記録媒体を用い、上記再生光学系
の分解能の限界の空間周波数にほぼ等しい線密度の記録
マークを走査して得られる再生信号中の信号波の強さ
が、+1dBの再生光量の増加に対して+1dB以上の
変化率で増加する範囲の再生光量の光スポットで記録マ
ークを走査することにより再生信号を得る光磁気記録媒
体の情報再生方法とするものである。また、本発明は請
求項4に記載のように、請求項1ないし請求項3のいず
れか1項において、単層の磁性膜からなる記録層を有
し、磁性膜の補償温度が室温以上である光磁気記録媒体
を用いるものである。さらに、本発明は請求項5に記載
のように、請求項1ないし請求項4のいずれか1項にお
いて、2層の磁性膜からなる記録層を有し、レーザ光源
側に位置する第1の磁性膜のキュリー温度が、第2の磁
性膜のキュリー温度未満であり、かつ上記第1の磁性膜
の補償温度が、第2の磁性膜の補償温度未満である光磁
気記録媒体を用いるものである。
【0006】
【作用】本発明の光磁気記録媒体の情報再生方法は、請
求項1に記載のように、再生用光スポットの強度および
走査速度を適切に設定すると、光スポット内の記録膜の
一部に、光スポットの照射により加熱された昇温部分が
形成されて、カー(Kerr)回転角が低下した記録層の領
域が形成される。このKerr回転角の低下した領域を、本
発明においては「応答制限領域」と言う。光磁気記録に
おいては、光磁気記録媒体からの反射光の偏光面の回転
を検出して再生信号を得ているので、上記昇温部分のKe
rr回転角が低下した領域は、再生信号にあまり寄与しな
くなる。すなわち、再生信号は、光スポット照射部分か
ら上記応答制限領域を除いた部分の応答を主として反映
するので、結果的に光スポットは、その走査方向に直径
を短縮したのと同じ効果が得られ、光学系の見掛け上の
再生分解能が向上する。上記の応答制限領域は、温度上
昇によるKerr回転角の低下領域であるから、上記公知例
のごとく、応答制限領域を形成するための磁場を特別に
印加する必要はない。また、Kerr回転角は記録膜の温度
に対して連続的に変化するので、磁区によるマスク領域
とは異なり磁壁のような明確な境界部分は存在しない。
このため、応答制限領域の形成は空間的に連続的であ
り、走査時の磁壁移動によって発生する従来の磁気超解
像動作における特有の動作ノイズの発生はない。また、
同時に再生信号は、記録マークの前エッジと後エッジと
で良好な対称性を持ち、信号処理回路の規模の点で有利
となる。また、記録マークが隣接して形成されている場
合でも、応答制限領域はマスク磁区によるマスク領域と
は異なり、マーク磁区との磁気的相互作用に起因する光
磁気再生信号の非線形性が少ない。すなわち、複数の記
録マークが隣接した場合の応答は、各々の記録マークが
個別に存在した場合の応答の加算によって精度良く近似
可能である。また、本発明の光磁気記録媒体の情報再生
方法は、請求項2に記載のように、所定の再生光量の光
スポットを用いて、再生光学系の分解能の限界の空間周
波数にほぼ等しい線密度の記録マークを走査して得られ
る再生信号中の信号波の強さが、+1dBの再生光量の
増加に対して+1dB以上の変化率で増加する時に、再
生信号中のノイズの強さが、+1dBの再生光量の増加
に対して+1dB以下の変化率で増加する特性を有する
光磁気記録媒体を用い、上記信号波の強さが+1dBの
再生光量の増加に対して+1dB以上の変化率で増加す
る範囲の再生光量の光スポットで記録マークを走査する
ことにより再生信号を得るため、高密度に形成された記
録マークから、高C/N比の再生信号を得ることがで
き、情報記録密度の増大をはかることが可能となり、こ
れにより記録情報量の増大と情報の転送レートの向上に
大きな効果が得られる。また、本発明の光磁気記録媒体
の情報再生方法は、請求項3に記載のように、所定の再
生光量の光スポットを用いて、再生光学系の分解能の限
界の空間周波数よりも十分に低い線密度の記録マークを
走査して得られる再生信号中の信号波の強さと、再生光
学系の分解能の限界の空間周波数にほぼ等しい線密度の
記録マークを走査して得られる再生信号中の信号波の強
さとの比が、再生光量の増加に伴い減少する特性を有す
る光磁気記録媒体を用い、上記再生光学系の分解能の限
界の空間周波数にほぼ等しい線密度の記録マークを走査
して得られる再生信号中の信号波の強さが、+1dBの
再生光量の増加に対して+1dB以上の変化率で増加す
る範囲の再生光量の光スポットで記録マークを走査する
ことにより再生信号を得るため、高密度に形成された記
録マークから、高C/N比の再生信号を得ることがで
き、請求項2に記載の再生方法と同様の効果が得られ
る。また、本発明の情報再生方法に用いる光磁気記録媒
体は、請求項4に記載のように、単層の磁性膜からなる
記録層を有し、上記磁性膜の補償温度が室温以上である
光磁気記録媒体を用いるものであり、あるいは請求項5
に記載のように、2層の磁性膜からなる記録層を有し、
レーザ光源側に位置する第1の磁性膜のキュリー温度
が、第2の磁性膜のキュリー温度未満であり、かつ上記
第1の磁性膜の補償温度が、第2の磁性膜の補償温度未
満である光磁気記録媒体を用いているので、再生用光ス
ポットの強度および走査速度を適切に設定することによ
り、記録層の1部にカー(Kerr)回転角が低下した応答
制限領域領域を効果的に形成することができ、結果的に
再生用光スポットを、その走査方向に直径を短縮させた
のと同じ効果が得られ、光学系の見掛け上の再生分解能
を向上させることができる。
【0007】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、図面を用いて
さらに詳細に説明する。本発明の情報の再生方法に用い
る光磁気記録媒体の構造の一例を、図3(a)、(b)
に示す。図3(a)は、1層の磁性層からなる構成例で
あり、図3(b)は2層の磁性層からなる構成例であ
る。図3(a)に示す記録膜8は、光透過性の基体9上
に、光透過性の第1の保護層10を形成し、第1の保護
層10上に、記録層6を積層する。さらに、記録層6上
に、第2の保護層11を積層する。必要があれば、さら
に保護被膜層13を形成しても良い。第1の保護層10
は、多重干渉によって記録層6の見掛けのカー(Kerr)
回転角を増大させる干渉層としての機能も兼ねている。
記録層6は、図4(a)に示すような温度特性を持ち、
室温Troom付近で有限の保磁力Hc、Kerr回転角θKを持
つフェリ磁性体膜である。すなわち、記録層の温度Tを
上昇させると、記録層の保磁力Hc2は、記録層の補償温
度Tcompである170℃前後で発散し、記録層のキュリ
ー(Curie)温度Tcである240℃で零(0)となる。
一方、θKは、記録層の温度Tの上昇と共に減少し、T
=Tcで、Hc=0、θK=0の常磁性状態となる。図3
(b)に示す構成例の記録膜8は、光透過性の基体9上
に、光透過性の第1の保護層10を形成し、第1の保護
層10上に、再生層7を積層する。さらに、再生層7上
に記録層6、第2の保護層11を順に積層する。必要な
らば、さらに保護被膜層13を形成してもよい。第1の
保護層10は多重干渉によって再生層7の見掛けのKerr
回転角を増大させる干渉層としての機能も兼ねている。
【0008】記録層6、再生層7は、図4(b)に示す
ような温度特性を持ち、補償温度は、再生層の補償温度
Tcomp1が0℃、記録層の補償温度Tcomp2が200℃
で、Curie温度は、再生層のCurie温度Tc1が150℃、
記録層のCurie温度Tc2が260℃のフェリ磁性体膜で
ある。また、Tcomp1は、Troom前後、Tcomp2は、Tc1
前後の値を持ち、なおかつTcomp1<Tcomp2、かつTro
om<Tc1<Tc2なる関係が成立している。図1に示すよ
うに、光スポット3で、光磁気記録媒体1上を走査する
と、光スポット3による照射部分の記録膜温度は上昇
し、図3(a)に示される媒体の場合、図1(c)に示
すような温度分布となる。図1は、上段から順に、光ス
ポット3の照射側から見た記録膜表面の磁区分布〔図1
(a)〕、光スポット3の中央を通る走査方向断面の磁
区分布〔図1(b)〕、光スポット3の中央を通る走査
方向の温度およびKerr回転角分布〔図1(c)〕を表わ
す。図1(b)の記録層6中の矢印の長さおよび向き
は、それぞれ磁化の大きさ、および磁化方向を示してい
る。図4(a)に示すとおり、記録層6はフェリ磁性体
であり、温度Tを上昇させると、Kerr回転角θKは温度
Tの上昇とともに減少し、T=Tcで、θK=0の常磁性
状態となる。そこで、光スポット3の強度および走査速
度を適切に設定すると、図1(c)に示すように、光ス
ポット3により照射された記録層6は局部的に加熱され
Kerr回転角が低下した応答制限領域2が形成される。応
答制限領域2の最高温度TrdはCurie温度Tcよりも低く
なるようにし、最高温度Trdにおける記録層6の保磁力
Hc2は反磁界等に比べ十分に大きくなるよう選択する。
これにより、光スポット3の走査後に、記録層6が室温
Troomまで冷却されれば、記録層6の磁化は走査前の状
態に回復するので、記録マーク5の形状は読み出し動作
の影響を受けなくなる。光磁気記録では、光磁気記録媒
体1からの反射光の偏光面の回転を検出し再生信号を得
ているので、昇温部分のKerr回転角が大幅に減少した応
答制限領域2は再生信号にあまり寄与しなくなる。すな
わち、再生信号は光スポット3の照射部分から応答制限
領域2を除いた部分の応答を主として反映するので、結
果的に光スポット3の走査方向の直径が実効スポット4
まで短縮されたのと同じ効果が得られ、光学系の見掛け
上の再生分解能が向上する。同様に、図3(b)に示し
た光磁気記録媒体1上を、光スポット3で走査すると、
光スポット3による照射部分の記録層6の温度が上昇
し、図2に示すような温度分布となる。図2(a)、
(b)、(c)は、上段から順に、光スポット3の照射
側から見た記録膜の表面の磁区分布〔図2(a)〕、光
スポット3の中央を通る走査方向断面の磁区分布〔図2
(b)〕、光スポット3の中央を通る走査方向の温度お
よびKerr回転角の分布を表示す〔図2(c)〕。なお、
再生層7、記録層6の矢印の長さおよび向きは、それぞ
れ磁化の大きさおよび磁化方向を示す。図4(b)に示
すように、記録層6はフェリ磁性体であり、記録層の保
磁力Hc2は、記録層の補償温度Tcomp2前後でいったん
発散し、Curie温度Tc2で零(0)となる。また、再生
層7も室温Troom前後に、再生層の補償温度Tcomp1
有するフェリ磁性体であり、再生層のKerr回転角θ
Kは、温度Tの上昇と共に減少し、再生層7のCurie温度
Tc1で、θK=0の常磁性状態となる。また、室温Troo
mの前後の状態では、再生層7に記録層6の磁区、すな
わち記録マークが転写されており、再生層7と記録層6
の磁区分布形状は同一となる。そこで、光スポット3の
強度および走査速度を適当に設定すると、図2(c)に
示すように、光スポット3内には、光スポット3の照射
により加熱されKerr回転角が低下した応答制限領域2が
形成される。応答制限領域2の最高温度TrdはTc2より
も低くし、Trdにおける記録層6の保磁力Hc2は反磁界
等に比べ十分に大きいものを選択する。これにより、光
スポット3による走査時の記録層6中の記録マーク5の
形状が走査時の温度上昇による影響を受けることがなく
なる。一方、応答制限領域2の再生層7は、温度の上昇
によってKerr回転角θKが低下している。光磁気記録で
は、光磁気記録媒体1からの反射光の偏光面の回転を検
出し再生信号を得ているので、再生層7の昇温部分のKe
rr回転角が大幅に減少した応答制限領域2は再生信号に
あまり寄与しなくなる。すなわち、再生信号は光スポッ
ト3の照射部分から応答制限領域2を除いた部分の応答
を主として反映するので、結果的に光スポット3の走査
方向の直径が実効スポット4まで短縮されたのと同じ効
果が得られ、光学系の見掛け上の再生分解能が改善され
る。以上に説明した光磁気記録媒体1の記録マーク5上
を、適当な再生光量の光スポットおよび速度で走査し、
応答制限領域2を形成した場合の再生分解能の変化の例
を図5に示す。図5の縦軸は、光磁気再生信号のスペク
トル強度を、再生光学系のカット・オフ(cut−off)空
間周波数、すなわち光学系の分解能の限界を示す空間周
波数よりも十分に低い直流付近(カット・オフ空間周波
数の1/10)のスペクトル強度で正規化したレスポン
ス(dB)で示す。この場合の光スポットの直径は0.
89μmであり、カット・オフ空間周波数2.3×103
Lp(ラインペア:Line pair)/mmの2周期の長さに
等しい。再生光量Prd=1.0mWの状態では、記録膜
8が十分に加熱されず、応答制限領域2はほとんど形成
されていない。Prd=3.0mWの状態では応答制限領
域2が形成されており、光学系のカット・オフ空間周波
数の約1/2倍以上の空間周波数で形成された記録マー
ク5のレスポンスが特に大きく改善されている。次に、
再生光量に対する光磁気再生信号の信号レベルの変化
を、記録マーク5の空間周波数をパラメータとして図6
に示す。磁性膜8の温度上昇に伴うKerr回転角の低下に
よるキャリア強度(信号波の強さ)の低下を無視し得る
理想的な場合においては、通常の光磁気再生系でのキャ
リア強度は再生光量に比例し、再生光量の+1dB増加
に対するキャリア強度の増加量は最大で+1dBとな
る。また、応答制限領域としてマスク磁区を用いない光
磁気再生系でのノイズ強度は再生光量の0.5乗以上1
乗以下に比例し、再生光量の+1dB増加に対するノイ
ズ強度の増加量は最小で+0.5dB、最大で+1dB
となる。 ところが図5において、再生光学系でのカッ
ト・オフ空間周波数に等しい空間周波数2.3×103Lp
/mmの記録マークから得られる光磁気再生信号は、再
生光量を1.0mW以上として応答制限領域2を形成す
ることにより、記録層の温度上昇によるKerr回転角の減
少分以上に再生光学系の見掛け上の再生分解能が著しく
改善され、再生光量が+1dB増加するのに対してキャ
リア強度は+1dB以上増加している。そこで、再生光
学系のカット・オフ空間周波数に等しい密度の記録マー
クを再生した場合に、再生光量の+1dB増加に対する
キャリア強度の増加が +1dBを越える範囲に再生光
量を設定することにより、特に高い空間周波数における
レスポンスが改善された光磁気再生信号を得ることがで
きる。上述したごとく、本発明の情報再生方法における
応答制限領域は、温度上昇によるKerr回転角の低下領域
によるものであり、マスク領域を形成するための磁場を
特別に印加する必要はない。また、これらの応答は、温
度に関して連続的に変化するので、マスク磁区によるマ
スク領域とは異なり磁壁のような明確な境界部分は存在
せず、応答制限領域の形成は空間的に連続的である。し
たがって、走査時の磁壁移動によって発生する従来の磁
気超解像動作に特有の動作ノイズが発生しない。図6
に、再生光学系のカット・オフ空間周波数に等しい空間
周波数2.3×103Lp/mmの記録マークを再生した場
合の空間周波数2.3×103Lp/mm前後でのノイズの
強度を併せて示す。特開平3−93058号公報に開示
されている磁気超解像媒体の場合は、マスク磁区の形成
が開始される前後の再生光量では、+1dBの再生光量
の増加に対して再生信号中のノイズ強度が+1dBを大
きく越える変化率で増加する領域がある。これに対し、
本発明では再生信号中のノイズ強度は再生光量が増加す
るにつれて単調に増加するが、再生光量に対するノイズ
強度の増加率は常に+1dB/dB以下である。また、
本発明では記録マークが隣接して形成されている場合で
も、マーク磁区と応答制限領域との磁気的相互作用に起
因する光磁気再生信号の非線形性が原理的に小さい。す
なわち、複数の記録マークが隣接した場合の応答は、各
々の記録マークが個別に存在した場合の応答の加算とし
て精度良く近似可能である。
【0009】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明のレ
ーザを光源として磁気光学効果を用いて情報の記録再生
を行う光磁気記録媒体の情報再生方法において、高密度
に記録された光磁気記録媒体の記録マーク上を、該記録
マークの破壊を起こすことなく、再生用光スポット内の
記録層の1部のカー(Kerr)回転角が低下する再生光量
の光スポットを用いて走査して、高C/N比の再生信号
を得ることが可能となり、情報記録密度の増大をはかる
ことが可能となる。これにより記録情報量の増大と情報
の転送レートの向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で例示した第1の光磁気記録媒
体の動作を示す説明図。
【図2】本発明の実施例で例示した第2の光磁気記録媒
体の動作を示す説明図。
【図3】本発明の実施例で例示した第1および第2の光
磁気記録媒体の構成を示す説明図。
【図4】本発明の実施例で例示した第1および第2の光
磁気記録媒体の磁性層の温度特性を示すグラフ。
【図5】本発明の実施例で例示した応答制限領域の形成
による再生分解能の変化を示すグラフ。
【図6】本発明の実施例で例示した再生光量による信号
レベルの変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1…光磁気記録媒体 2…応答制限領域 3…光スポット 4…実効スポット 5…記録マーク 6…記録層 7…再生層 8…記録膜 9…基体 10…第1の保護層 11…第2の保護層 12…反射層 13…保護被膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 治一 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザを光源とし、磁気光学効果を用いて
    情報の記録再生を行う光磁気記録媒体の情報再生方法に
    おいて、上記記録媒体の記録層に高密度に記録された記
    録マークの破壊を起こすことなく、所定の直径の再生用
    光スポット内の記録層の一部を加熱してカー回転角を低
    下させる再生光量の光スポットを用いて、上記記録マー
    ク上を走査して、光スポットの走査方向の直径が結果的
    に短縮したのと同じ効果を得ることにより、見掛け上の
    再生分解能を向上し高C/N比の再生信号を得ることを
    特徴とする光磁気記録媒体の情報再生方法。
  2. 【請求項2】レーザを光源とし、磁気光学効果を用いて
    情報の記録再生を行う光磁気記録媒体の情報の再生方法
    において、所定の再生光量の光スポットを用いて、再生
    光学系の分解能の限界の空間周波数にほぼ等しい線密度
    の記録マークを走査して得られる再生信号中の信号波の
    強さが、+1dB(デシベル)の再生光量の増加に対し
    て+1dB以上の変化率で増加する時に、再生信号中の
    ノイズの強さが、+1dBの再生光量の増加に対して+
    1dB以下の変化率で増加する特性を有する光磁気記録
    媒体を用い、上記信号波の強さが+1dBの再生光量の
    増加に対して+1dB以上の変化率で増加する範囲の再
    生光量の光スポットで記録マークを走査することにより
    再生信号を得ることを特徴とする光磁気記録媒体の情報
    再生方法。
  3. 【請求項3】レーザを光源とし、磁気光学効果を用いて
    情報の記録再生を行う光磁気記録媒体の情報の再生方法
    において、所定の再生光量の光スポットを用いて、再生
    光学系の分解能の限界の空間周波数よりも十分に低い線
    密度の記録マークを走査して得られる再生信号中の信号
    波の強さと、再生光学系の分解能の限界の空間周波数に
    ほぼ等しい線密度の記録マークを走査して得られる再生
    信号中の信号波の強さとの比が、再生光量の増加に伴い
    減少する特性を有する光磁気記録媒体を用い、上記再生
    光学系の分解能の限界の空間周波数にほぼ等しい線密度
    の記録マークを走査して得られる再生信号中の信号波の
    強さが、+1dB(デシベル)の再生光量の増加に対し
    て+1dB以上の変化率で増加する範囲の再生光量の光
    スポットで記録マークを走査することにより再生信号を
    得ることを特徴とする光磁気記録媒体の情報再生方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    おいて、単層の磁性膜からなる記録層を有し、上記磁性
    膜の補償温度が室温以上である光磁気記録媒体を用いる
    ことを特徴とする光磁気記録媒体の情報再生方法。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれか1項に
    おいて、2層の磁性膜からなる記録層を有し、レーザ光
    源側に位置する第1の磁性膜のキュリー温度が、第2の
    磁性膜のキュリー温度未満であり、かつ上記第1の磁性
    膜の補償温度が、第2の磁性膜の補償温度未満である光
    磁気記録媒体を用いることを特徴とする光磁気記録媒体
    の情報再生方法。
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