JPH08160572A - 熱現像型複写材料 - Google Patents

熱現像型複写材料

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JPH08160572A
JPH08160572A JP33001394A JP33001394A JPH08160572A JP H08160572 A JPH08160572 A JP H08160572A JP 33001394 A JP33001394 A JP 33001394A JP 33001394 A JP33001394 A JP 33001394A JP H08160572 A JPH08160572 A JP H08160572A
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diazo
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来以上に地肌カブリが少なく複写前の保存
性が良好である上、高い画像濃度を得ることのできる熱
感度の高い熱現像型複写材料を提供すること。 【構成】 支持体上に、少なくともマイクロカプセル内
に内包されている感光性ジアゾ化合物、及び前記ジアゾ
化合物と反応して発色するカップリング成分を含有する
記録層を設けてなる熱現像型複写材料であって、前記マ
イクロカプセルの壁材が、前記ジアゾ化合物と相溶性す
る脂肪族イソシアネートを含むイソシアネートを原料と
して形成されてなることを特徴とする熱現像型複写材
料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感光性ジアゾ化合物を用
いた熱現像型複写材料に関し、特に熱感度が良好である
と共に地肌カブリのない熱現像型複写材料に関する。
【0002】
【従来技術】ジアゾ化合物の感光性を利用した複写材料
は安価であるために広く利用されており、それを大別す
ると次の3つのタイプのものが知られている。第1のも
のは湿式現像型として知られているタイプであり、これ
は支持体上にジアゾ化合物及びカップリング成分を主成
分とする感光層が設けられてなり、この材料を原稿と重
ね合わせて露光した後アルカリ性の溶液を用いて現像す
るものである。
【0003】第2のものは乾式現像型として知られてい
るタイプであり、湿式現像型のものと異なり、現像をア
ンモニアガスで行うものである。第3のものは熱現像型
として知られているものであり、感光層中に加熱によっ
てアンモニアガスを発生させることができる尿素のよう
なアンモニアガス発生剤を含有するタイプの他、感光層
中にトリクロロ酢酸のような、加熱によって酸としての
性質を失う化合物のアルカリ塩を含有するタイプ、高級
脂肪酸アミドを発色助剤として用い、それを加熱溶融す
ることによりジアゾ化合物及びカップリング成分を活性
化させることを利用したタイプなどがある。
【0004】湿式タイプのものは、現像液を使用するた
めに液の補充や廃棄の手間が掛かること、装置が大きい
ことなどの保守及び管理上の難点がある他、コピー直後
には、湿っているために加筆ができない上、コピー画像
が長期保存に耐えない等の欠点を有している。また、乾
式タイプの場合にも、湿式タイプの場合と同様に現像液
の補充が必要である他、発生するアンモニアガスを外部
に漏らさないようにガス吸入設備が必要なこと、従って
装置が大型化する上、コピー直後には、強いアンモニア
臭がある等の欠点を有している。
【0005】これに対し、熱現像タイプのものは湿式タ
イプや乾式タイプのものと異なり、現像液が不要である
という保守上のメリットを持っているものの、現像温度
が150℃〜200℃という高温である上、温度制御を
±10℃程度の範囲で行わなければ現像不足になったり
色調が変化したりするので、良好な画像を得るために
は、装置コストが高くならざるを得ないという欠点があ
った。また、このような高温現像に耐えるために、使用
するジアゾ化合物も耐熱性の高いことが必要となるが、
このような化合物は、高い画像濃度を得る上からは不利
になることが多い。
【0006】そこで、従来から低温現像化(90℃〜1
30℃)の試みが多くなされているが、材料自体のシェ
ルフライフの低下を伴うという欠点があった。従って、
熱現像タイプのものは、湿式タイプや乾式タイプのもの
に比べて保守上のメリットが十分予想されるにもかかわ
らず、未だにジアゾ複写システムの主流を占めるに至っ
ていないのが現状である。
【0007】一方、利用者のニーズは多様化の一途をた
どり、例えば、従来のような白地に有色の画像を得るだ
けではなく、地肌及び発色画像の色相を使用目的に合わ
せて選択したいというニーズも生じている。これは、複
写材料を図面や掲示目的として使用する場合には、利用
者に対して注目させる必要性が生じ、従来の複写材料で
はその要望が満たされなくなったためである。
【0008】ところで、支持体上にジアゾ化合物、カッ
プリング成分及び発色助剤を含有する層を設けた材料を
加熱して所望の発色濃度を得るためには、加熱により各
成分が瞬時に溶融、拡散、反応して発色色素を生成させ
る必要がある。この場合、加熱温度が低くても十分に発
色して高濃度の画像が得られるような複写材料を設計す
ると、当然のことながら、コピー前に室温に保存してい
る間でも発色反応がわずかずつ進行し、白くなければな
らない地肌部が着色し、地肌汚れの原因となる。
【0009】一見両立し難い上記の問題は、支持体上に
ジアゾ化合物、カップリング成分及び発色助剤を含有す
る、熱現像し得る感光層を設けた複写材料において、該
ジアゾ化合物をマイクロカプセルの中に含有させること
によって略解決された(特開昭59−91438号公
報)。しかしながら、従来から、上記マイクロカプセル
は、通常の芳香族イソシアネートをマイクロカプセル壁
材用として用いているので(例えば、特開平1−262
943号公報)、このカプセルを用いた複写材料は、画
像濃度を十分に高くするために熱感度を高くした場合に
は、使用前における保存性が十分ではない上、複写時に
地肌カブリを生じ易いという欠点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者等は
上記の欠点を解決するために鋭意検討した結果、マイク
ロカプセル壁材として、ジアゾ化合物との相溶する脂肪
族イソシアネートをを含むイソシアネートを用いた場合
には、熱感度が良好である上複写材料の地肌カブリも低
減させることができ、極めて良好な結果を得ることがで
きることを見出し本発明に到達した。従って本発明の目
的は、従来以上に地肌カブリが少なく複写前の保存性が
良好である上、高い画像濃度を得ることのできる、熱感
度の高い熱現像型複写材料を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は支
持体上に、少なくともマイクロカプセル内に内包されて
いる感光性ジアゾ化合物、及び前記ジアゾ化合物と反応
して発色するカップリング成分を含有する記録層を設け
てなる熱現像型複写材料であって、前記マイクロカプセ
ルの壁材が、前記ジアゾ化合物と相溶する脂肪族イソシ
アネートを含むイソシアネートを原料として形成されて
なることを特徴とする熱現像型複写材料によって達成さ
れた。
【0012】本発明におけるジアゾ化合物と脂肪族イソ
シアネートとが相溶するかしないかの評価は、使用する
ジアゾ化合物2重量部、ビスフェノールA1重量部、下
記化1で表されるヒドロキシフェニルスルホン誘導体1
重量部、及び使用しようとする脂肪族イソシアネート化
合物5重量部を酢酸エチル5重量部に添加して溶解した
液10ミリリットルを、500トルの減圧下で20時間
放置し、肉眼で固形物の析出を確認することによって行
うことができる。尚、固形物の析出が確認された場合に
は、相溶しない。
【化1】 化1式中、R1 は水素原子、置換或いは無置換の、低級
アルキル基、アルコキシ基若しくはアミノ基、又はハロ
ゲン原子、R2 は上記R1 で表される置換基を有しても
良いアルキル基又はアリール基、l(エル)は1又は
2、mは0〜3の整数である。
【0013】本発明に用いられる感光性ジアゾ化合物
は、カップリング成分とカップリング反応を起こして発
色すると共に光によって分解する、公知のジアゾ化合物
の中から適宜選択して使用することができる。本発明に
おいては、これらのジアゾ化合物の中でも特に光感度及
び画像濃度の観点から、一般式ArN2 + - で示され
る化合物を使用することが好ましい(式中、Arは置換
あるいは非置換の芳香族部分を表し、N2 + はジアゾニ
ウム基を表し、X- は酸アニオンを表す。)。
【0014】ジアゾ化合物のカチオン部分の具体例とし
ては、4─ジアゾ─1─ジメチルアミノベンゼン、4─
ジアゾ─1─ジエチルアミノベンゼン、4─ジアゾ─1
─ジプロピルアミノベンゼン、4─ジアゾ─1─メチル
ベンジルアミノベンゼン、4─ジアゾ─1─ジベンジル
アミノベンゼン、4─ジアゾ─1─エチルヒドロキシエ
チルアミノベンゼン、4─ジアゾ─1─ジエチルアミノ
─3─メトキシベンゼン、4─ジアゾ─1─ジメチルア
ミノ─2─メチルベンゼン、4─ジアゾ─1─ベンゾイ
ルアミノ─2,5─ジエトキシベンゼン、4─ジアゾ─
1─モルホリノベンゼン、4─ジアゾ─1─モルホリノ
─2,5─ジエトキシベンゼン、4─ジアゾ─1─モル
ホリノ─2,5─ジブトキシベンゼン、4─ジアゾ─1
─トルイルメルカプト─2,5─ジエトキシベンゼン、
4─ジアゾ─1,4─メトキシベンゾイルアミノ─2,
5─ジエトキシベンゼン等が挙げられる。
【0015】上記ジアゾ化合物の酸アニオンを形成する
酸の具体例としては、例えば、Cn2n+1COOH(n
は1〜9の整数)、Cm 2m+1SO3 H(mは1〜9の
整数)、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキ
サフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、及び、塩化亜
鉛、塩化すず等の金属ハライドを挙げることができる。
本発明に用いられるカップリング成分とは、加熱下でジ
アゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであ
る。
【0016】このようなカップリング成分の具体例とし
ては、レゾルシン、フロログルシン、2,3─ジヒドロ
キシナフタレン─6─スルホン酸ナトリウム、1─ヒド
ロキシ─2─ナフトエ酸モルホルノプロピルアミド、
1,5─ジヒドロキシナフタレン、2,3─ジヒドロキ
シナフタレン、2,3─ジヒドロキシ─6─スルファニ
ルナフタレン、2─ヒドロキシ─3─ナフトエ酸モリホ
リノプロピルアミド、2─ヒドロキシ─3─ナフトエ酸
アニリド、2─ヒドロキシ─3─ナフトエ酸─2’─メ
チルアニリド、2─ヒドロキシ─3─ナフトエ酸エタノ
ールアミド、2─ヒドロキシ─3─ナフトエ酸オクチル
アミド、2─ヒドロキシ─3─ナフトエ酸─N─ドデシ
ル─オキシ─プロピルアミド、2─ヒドロキシ─3─ナ
フトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセト
アセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、1─フェ
ニル─3─メチル─5─ピラゾロン、1─(2’,
4’,6’─トリクロロフェニル)─3─ベンズアミド
─5─ピラゾロン、1─(2’,4’,6’─トリクロ
ロフェニル)─3─アニリノ─5─ピラゾロン、1─フ
ェニル─3─フェニルアセトアミド─5─ピラゾロン等
が挙げられる。
【0017】これらのカップリング成分を2種以上併用
することによって任意の色調の画像を得ることもでき
る。本発明においては、ジアゾ化合物1重量部に対して
カップリング成分は0.1〜10重量部、発色助剤は
0.1〜20重量部の割合で使用することが好ましい。
尚、ジアゾ化合物は0.05〜5.0g/m2 塗布する
ことが望ましい。本発明においては、熱現像時に系を塩
基性にしてカップリング反応を促進するという目的で、
必要に応じて、発色助剤として作用する塩基性物質を加
えることが好ましい。このような塩基性物質としては、
水難溶性ないしは水不溶性の塩基性物質や、加熱により
アルカリ性物質を発生する物質が用いられる。
【0018】塩基性物質の具体例としては無機及び有機
のアンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿
素及びその誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミ
ジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、
イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モ
ルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアミ
ジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。こ
れらの塩基性物質は2種以上併用して用いることができ
る。
【0019】本発明においては、低エネルギーで迅速か
つ完全に熱現象が行われるように、感光層中にフェノー
ル誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン
類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、
アミド化合物、スルホンアミド化合物等を更に加えるこ
とができる。これらの化合物は、カップリング成分や塩
基性物質の融点を低下させたり、マイクロカプセル壁の
熱透過性を向上させるものであり、その結果発色助剤と
して機能し、これによって高い発色濃度が得られる。
【0020】本発明における発色助剤には、熱融解性物
質も含まれる。ここで熱融解性物質とは、常温で固体で
あって、加熱により融解する、融点50℃〜150℃の
物質であり、ジアゾ化合物、カップリング成分、或いは
塩基性物質を溶かす物質である。上記熱融解性物質の具
体例としては、脂肪酸アミド、N置換脂肪酸アミド、ケ
トン化合物、尿素化合物、エステル類等が挙げられる。
【0021】本発明で使用するマイクロカプセルは、そ
の壁が、マイクロカプセル内に内包されている感光性ジ
アゾ化合物との相溶性の良い脂肪族イソシアネートを含
むイソシアネートを用いて形成されるものであることが
必要である。上記脂肪族イソシアネートは、マイクロカ
プセルに内包される感光性ジアゾ化合物との相溶するも
のであれば単独であっても2種以上を混合して用いても
良い。このようなイソシアネートは、公知の脂肪族イソ
シアネートの中から前記相溶性評価法によって使用する
ジアゾ化合物と相溶すると判断されたものの中から適宜
選択して使用することができる。本発明で使用する脂肪
族イソシアネートとしては、例えば、下記化2で表され
るイソシアネートを挙げることができる。
【化2】
【0022】本発明においては、マイクロカプセル作製
時に、芯物質を含有する油相からジアゾ化合物が析出し
ない範囲で、他のイソシアネートを併用する。使用する
ジアゾ化合物との相溶性に優れた脂肪族イソシアネート
の使用量は、熱感度を良好とすると共に地肌カブリを有
効に防止する観点から、使用する全イソシアネートのう
ちの20重量%以上、好ましくは20〜80重量%、最
も好ましくは30〜70重量%である。20重量%以下
であると熱感度が悪くなり、80重量%を越えると複写
材料の保存性が悪くなる。併用するイソシアネートは、
公知の芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネート
の中から適宜選択して用いることができるが、特に地肌
カブリを有効に防止する観点から、下記化3で表される
トリレンジイソシアネート(TDI)のイソシアヌレー
ト体、TDIのトリメチロールプロパンアダクト体、及
び下記化4で表される芳香族イソシアネート(ポリメリ
クMDI)等を使用することが好ましい。
【化3】
【化4】 但し、化4中のnは、0〜10の整数である。
【0023】その他の、併用することが好ましいイソシ
アネートとしては、キシリレンジイソシアネートのトリ
メチロールプロパンアダクト体、水添キシリレンジイソ
シアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、キシ
リレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、水添キ
シリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、キシ
リレンジイソシアネートのビウレット体等が挙げられ
る。
【0024】その他のイソシアネートの具体例として
は、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−
1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソ
シアネート、エチリジンジイソシアネート、シクロヘキ
シレン1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチ
ロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネ
ートとヘキサントリオールの付加物、ヘキサメチレンジ
イソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソ
シアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシ
アネートのイソシアヌレート体等が挙げられる。これら
のイソシアネートと共にジアミン類やポリオール類を併
用しても良い。
【0025】前記マイクロカプセルは、芯物質を乳化し
た後、その油滴の周囲にポリウレタン又はポリウレアの
壁を形成させて作られる。ポリウレタン又はポリウレア
を形成する前記イソシアネート等は、油滴の内部及び/
又は油滴の外部に添加される。ポリウレタン又はポリウ
レアの他、他の高分子物質を併用することもできる。好
ましい高分子物質はポリアミド、ポリエステル、ポリカ
ーボネート等である。
【0026】マイクロカプセルは、マイクロカプセル化
すべき成分を0.2重量%以上含有した乳化液から作る
ことができる。本発明で使用するマイクロカプセルは、
低沸点の非水溶媒にジアゾ化合物やカップリング成分を
カプセル壁形成用モノマーと共に溶解した後、重合反応
させながら溶媒を留去させることにより得られるよう
な、実質的に溶媒を含まないマイクロカプセルであるこ
とが好ましい。
【0027】マイクロカプセル壁を形成するポリウレタ
ン又はポリウレアは、前記イソシアネートを上記の方法
により重合して得ることができるが、イソシアネートの
使用量は、得られるマイクロカプセルの平均粒径が0.
3〜12μmになるように決定される。このようにして
製造したマイクロカプセル中にジアゾ化合物を内包させ
ることによって、常温におけるジアゾ化合物とカップリ
ング成分との接触が従来以上に防止され、地肌カブリが
防止されると共に、加熱時には物質透過性が良好となる
ので熱感度も良好となる。
【0028】本発明においては、複写前の保存安定性を
更に良好とするために、ヒドロキシフェニルスルホン誘
導体をマイクロカプセル内に内包させてもよい。ヒドロ
キシフェニルスルホン誘導体の具体例としては、特開平
5−305767号公報に記載された化合物が挙げられ
る。更に、複写後の保存安定性を良好とするために、ビ
スフェノール誘導体をヒドロキシフェニルスルホン誘導
体と共に、マイクロカプセルに内包させても良い。
【0029】ビスフェノール誘導体の代表例としては、
ビスフェノールAが挙げられるが、その他の具体例とし
ては、ビスフェノールF等が挙げられる。その使用量
は、0.05〜2g/m2 であることが望ましい。本発
明においては、複写材料の保存安定性を更に向上させる
観点から、記録層中に還元性を有する金属塩を含有させ
てもよい。これらの金属塩の詳細は、特願平3─313
467号明細書に記載されている。
【0030】本発明に用いられる、マイクロカプセル中
には含まれないカップリング成分、塩基性物質、その他
の発色助剤等は、サンドミル等により水溶性高分子と共
に固体分散して用いることができる。好ましい水溶性高
分子としては、マイクロカプセルを調製する時に用いら
れる水溶性高分子が挙げられる(例えば、特開昭59─
190886号参照)。この場合、水溶性高分子溶液に
対してカップリング成分及び発色助剤はそれぞれ5〜4
0重量%になるように投入される。分散された粒子サイ
ズは10μm以下になることが好ましい。尚、記録層を
実質的に透明なものとする場合には、上記成分を水に難
溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解した後、水溶性高分子
を保護コロイドとして含有すると共に、必要に応じて更
に界面活性剤を含有する水相と混合し、乳化分散した分
散物の形で使用する。
【0031】本発明の塗布液は、一般によく知られた塗
布方法、例えばバー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗
布、グラビア塗布、ドクター塗布、スライド塗布、ロー
ルコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カ
ーテン塗布等の他、原崎勇次著「コーティング工学」2
53頁(1973年朝倉書店発行)などに記載された方
法により塗布される。本発明の感光層は、塗布乾燥後の
固形分が2.5〜15g/m2 となるように設定され
る。
【0032】本発明の複写材料においては、ジアゾ化合
物、カップリング成分、塩基などが上記の如く同一層に
含まれていても良いが、別層に含まれるような積層型の
構成をとることもできる。また、支持体の上に特開昭6
1─54980号公報等に記載したような中間層を設け
た後、感光層を塗布することもできる。感光層の上に更
に保護層を設けることもできる。
【0033】本発明の複写材料に画像を形成する場合に
は、原稿に対応した画像様露光を行って露光部のジアゾ
化合物を分解した後、複写材料全体を加熱して未露光部
のジアゾ化合物とカップラーを反応させて発色画像を得
るか、予め、熱ペンやサーマルヘッドを用いて画像様に
熱記録した後、複写材料の全面に光を照射して未発色部
のジアゾ化合物を分解して定着する。
【0034】原稿に対応した画像様露光は、透明原稿で
あれば密着露光することが簡単であるが、その他の方
法、例えばレーザー光による露光を採用しても良い。露
光用光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水
銀灯などが用いられる。この場合、光源の発光スペクト
ルが、用いたジアゾ化合物の吸収スペクトルとほぼ一致
していることが好ましい。また、複写材料の感光層全面
を加熱現像する工程における加熱手段としては、赤外
線、高周波、ヒートブロック、ヒートローラー等を用い
ることができる。
【0035】
【発明の効果】本発明の複写材料で使用するマイクロカ
プセルは、マイクロカプセルに内包される感光性ジアゾ
化合物との相溶する脂肪族イソシアネートを含有するイ
ソシアネートを原料として使用するので、加熱時の物質
透過性が良好である上、常温での物質透過を有効に防止
することができ、従って、このマイクロカプセルを使用
した本発明の熱現像型複写材料は、従来以上に地肌カブ
リが少なく複写前の保存性が良好である上、熱感度が高
く、記録時には高い画像濃度を得ることができる。
【0036】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明はこれによっ
て限定されるものではない。なお添加量を示す「部」は
「重量部」を表す。 実施例1.マイクロカプセル液の調製 下記化5で表されるジアゾニウム塩2部、下記化6で表
される化合物1部及び下記化7で表される化合物1部
を、酢酸エチル5部に添加して溶解した。
【化5】
【化6】
【化7】
【0037】このジアゾ化合物等の溶液に、前記化2で
表されるイソシアネート(タケネートD−127N(低
粘度で高相溶性型のもの):武田薬品工業株式会社製の
商品名)3部及び前記化3で表されるイソシアネート
(スミジュールFL−2:住友バイエルウレタン株式会
社製の商品名)3部を添加し、攪拌混合した。このよう
にして得られたジアゾニウム塩、イソシアネート、前記
化4及び前記化5で表される化合物の酢酸エチル溶液
を、ポリビニルアルコール(PVA217E:クラレ株
式会社製の商品名)1部が水10部に溶解している水溶
液に混合し、乳化分散して平均粒径が1.0μmの乳化
液を得た。
【0038】得られた乳化液に水10部を加え、攪拌し
ながら40℃に加温して壁形成物質であるイソシアネー
トを3時間反応させ、平均粒径が1μmで、ジアゾ化合
物及び化5で表される化合物を芯物質として含有するマ
イクロカプセルを得た。上記のカプセル化反応は、水流
ポンプによる400mmHg〜500mmHgの減圧下
で行った。
【0039】脂肪族イソシアネートの相溶性評価 マイクロカプセル液の調製の際に用いた、化2で表され
るイソシアネート(タケネートD127N)5部、ジア
ゾニウム塩2部、ビスフェノールA1部及び前記化6で
表される化合物1部を添加した液10ミリリットルを、
25℃、500トルの減圧下で20時間放置し、固形物
の析出を確認することによって相溶性を評価した。尚、
固形物が析出したものは、相溶しないものである。結果
は表2に示した通りである。
【0040】カプラー分散液の調製 2─ヒドロキシ─3─ナフトエ酸アニリド5部及びトリ
フェニルグアニジン5部を、ポリビニルアルコール5重
量%水溶液100部に加え、サンドミルで24時間分散
して平均粒径が2μmの分散液を得た。
【0041】塗布液の調整 以上のようにして得られたジアゾニウム塩のカプセル液
10部に、上記カプラー分散液25部、40重量%炭酸
カルシウム(白石工業製のユニバー70)分散液10
部、ステアリン酸アミド20重量%分散液5部及び3,
5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸亜鉛40重量%
分散液2部を加えて塗布液とした。
【0042】複写材料の作製 上記塗布液を、コーティングバーを用いて平滑な上質紙
(76g/m2 )上に、乾燥重量で5g/m2 となるよ
うにバー塗布し、50℃で3分間乾燥して複写材料を得
た。
【0043】熱感度評価 画像様に露光した後、100℃の熱板を2.5秒間複写
材料に押し当て、画像部の濃度をマクベス濃度計を用い
て測定した。保存性評価 使用前の保存性 得られた複写材料を40℃で相対湿度90%(90%R
H)の暗所雰囲気中で24時間保存して強制劣化テスト
を行い、テスト前後で、10mW/cm2 出力の蛍光灯
で30秒間光照射した後150℃の熱板を5秒間押し当
て、その部分の濃度をマクベス濃度計を用いて測定し
た。以上の結果は表1に示した通りである。
【0044】実施例2.実施例1で使用した化2で表さ
れるイソシアネート3部を2.5部に、前記化3で表さ
れるイソシアネート3部を3.5部に変えた他は、実施
例1と全く同様にして塗布液を調製し、複写材料を作製
し、次いで熱感度及び保存性の評価を行った。結果は表
1に示した通りである。
【0045】実施例3.実施例1で使用した化2で表さ
れるイソシアネート3部を2部に変えた他は、実施例1
と全く同様にして塗布液を調製し、複写材料を作製し、
次いで熱感度及び保存性の評価を行った。結果は表1に
示した通りである。
【0046】実施例4.実施例1で使用した化2で表さ
れるイソシアネートに代えて、化2と同じ化学式で表さ
れるが一般型であるイソシアネート(タケネートD−1
21N:武田薬品工業株式会社製の商品名)を使用した
他は、実施例1と全く同様にして塗布液を調製し、複写
材料を作製し、次いで熱感度及び保存性の評価を行っ
た。結果は表1に示した通りである。尚、イソシアネー
ト(タケネートD−121N)についても、実施例1の
場合と同様にして相溶性の評価を行った結果は表2に示
した通りである。
【0047】実施例5.実施例1で使用した化2で表さ
れるイソシアネートに代えて、下記化8で表されるイソ
シアネート(タケネートD−147N:武田薬品工業株
式会社製の商品名)を使用した他は、実施例1と全く同
様にして塗布液を調製し、複写材料を作製し、次いで熱
感度及び保存性の評価を行った結果は表1に示した通り
である。
【化8】 尚、イソシアネート(タケネートD−147N)につい
ても、実施例1の場合と同様にして相溶性の評価を行っ
た結果は表2に示した通りである。
【0048】実施例6.実施例1で使用した化2で表さ
れるイソシアネートに代えて、下記化9で表されるイソ
シアネート(タケネートD−175HN:武田薬品工業
株式会社製の商品名)を使用した他は、実施例1と全く
同様にして塗布液を調製し、複写材料を作製し、次いで
熱感度及び保存性の評価を行った結果は表1に示した通
りである。
【化9】 尚、イソシアネート(タケネートD−175HN)につ
いても、実施例1の場合と同様にして相溶性の評価を行
った結果は表2に示した通りである。
【0049】実施例7.実施例1で使用した化2で表さ
れるイソシアネートに代えて、下記化10で表されるイ
ソシアネート(スミジュールN3200:住友バイエル
ウレタン株式会社製の商品名)を使用した他は、実施例
1と全く同様にして塗布液を調製し、複写材料を作製
し、次いで熱感度及び保存性の評価を行った結果は表1
に示した通りである。
【化10】 尚、イソシアネート(スミジュールN3200)につい
ても、実施例1の場合と同様にして相溶性の評価を行っ
た結果は表2に示した通りである。
【0050】比較例1.実施例1で使用した化2で表さ
れるイソシアネート3部に代えて下記化11で表される
イソシアネート(タケネートD−110N:武田薬品工
業株式会社製の商品名)3部を用いた他は実施例1と全
く同様にして塗布液を調製し、複写材料を作製し、次い
で熱感度及び保存性の評価を行った結果は表1に示した
通りである。
【化11】 尚、イソシアネート(タケネートD−110N)につい
ても、実施例1の場合と同様にして相溶性の評価を行っ
た結果は表2に示した通りである。
【0051】比較例2.比較例1で使用した化11で表
されるイソシアネート3部を2部に変えた他は比較例1
と全く同様にして塗布液を調製し、複写材料を作製し、
次いで熱感度及び保存性の評価を行った。結果は表1に
示した通りである。
【0052】比較例3.実施例1で使用した化2で表さ
れるイソシアネート3部に代えて下記化12で表される
イソシアネート(バーノックDN950:大日本インキ
化学株式会社製の商品名)3部を用いた他は実施例1と
全く同様にして塗布液を調製し、複写材料を作製し、次
いで熱感度及び保存性の評価を行った結果は表1に示し
た通りである。
【化12】 尚、イソシアネート(バーノックDN950)について
も、実施例1の場合と同様にして相溶性の評価を行った
結果は表2に示した通りである。
【0053】比較例4.比較例3で使用した化12で表
されるイソシアネート3部を2部に変えた他は比較例3
と全く同様にして塗布液を調製し、複写材料を作製し、
次いで熱感度及び保存性の評価を行った。結果は表1に
示した通りである。
【0054】比較例5.実施例1で使用した全イソシア
ネート6部を化3で表されるイソシアネート6部に代え
た他は実施例1と全く同様にして塗布液を調製し、複写
材料を作製し、次いで熱感度及び保存性の評価を行っ
た。結果は表1に示した通りである。
【0055】比較例6.実施例1で使用した全イソシア
ネート6部を化2で表されるイソシアネート6部に代え
た他は実施例1と全く同様にして塗布液を調製し、複写
材料を作製し、次いで熱感度及び保存性の評価を行っ
た。結果は表1に示した通りである。尚、表1中、○印
は良好、△はやや不良、×は不良、−は悪すぎて評価不
能であることを各示す。表2中、○印は相溶性が良く、
×は不良、−は評価不要であることを各示す。以上の実
施例及び比較例の結果は、本発明の有効性を実証するも
のである。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、少なくともマイクロカプセル
    内に内包されている感光性ジアゾ化合物、及び前記ジア
    ゾ化合物と反応して発色するカップリング成分を含有す
    る記録層を設けてなる熱現像型複写材料であって、前記
    マイクロカプセルの壁材が、前記ジアゾ化合物と相溶す
    る脂肪族イソシアネートを含むイソシアネートを原料と
    して形成されてなることを特徴とする熱現像型複写材
    料。
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