JPH08158504A

JPH08158504A - 土木・建築用耐火シート

Info

Publication number: JPH08158504A
Application number: JP6306706A
Authority: JP
Inventors: Isao Kojima; 功小島; Yasushi Ushiyama; 泰牛山; Koki Nara; 光喜奈良
Original assignee: Kyoritsu Chemical and Co Ltd
Current assignee: Kyoritsu Chemical and Co Ltd
Priority date: 1994-12-09
Filing date: 1994-12-09
Publication date: 1996-06-18

Abstract

(57)【要約】【目的】土木・建築用耐火シートに関し、薄肉化をする
ことにより取り扱い性を良好にし、かつ、施工性も良好
にすることを目的とする。【構成】可撓性を有する基材１０の一面または両面に、
加熱時に発泡難燃層２０を生成するコーティング層３０
を形成して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、土木・建築用耐火シー
トに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、躯体間の間隙、あるいは支柱等に
耐火処理を施す場合、耐火性能に優れたパネル体により
間隙を閉塞したり、あるいは支柱等を包囲することが行
われる。この場合、パネル体としては、金属材料により
形成された面板の裏面に珪酸カルシウム板等の断熱体を
貼着したものが使用されるが、所定の耐火性能を得るた
めには断熱体の厚みを厚くする必要があり、パネル自体
の厚み、重量が大きくなって取り扱いが不便であるとい
う欠点を有する。また、パネル体は、それ自体として寸
法吸収機能を備えていないために、例えば躯体間の間隙
部のように、施工後の寸法変化が予定される部位への使
用に際しては、格別の寸法吸収機構を設ける必要があ
り、構築物の構造が複雑になってしまうという欠点を有
する。

【０００３】かかる欠点を解消するために、セラミック
ファイバ等により形成された可撓性耐火シートも提案さ
れているが、コストが高い上に、所定の耐火、断熱性能
を得るためには肉厚が厚くなって、取り扱いにくくな
り、さらには、ファイバ表面は粗面であり、塗装による
仕上げ等が不可能なために、表面に露出する部位には使
用することができないという欠点を有する。

【０００４】また、これら可撓性耐火シートは、それ自
体としては耐火、断熱性能を有するものの、シート同士
の継ぎ目には別途耐火シール等を施す必要があり、施工
性が劣るという欠点を有する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の欠点
を解消するためになされたもので、薄肉化をすることに
より取り扱い性を良好にし、かつ、施工性の良好な土木
・建築用耐火シートを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によれば上記目的
は、図１に示すように、可撓性を有する基材１０の一面
または両面に、加熱時に発泡難燃層２０を生成するコー
ティング層３０を形成した土木・建築用耐火シートを提
供することにより達成される。

【０００７】

【作用】本発明において、基材１０は可撓性を有する材
料により形成され、可動部、あるいは寸法変化部への使
用が可能となる。また、可撓性を有することから、巻回
状態における保管等が可能であり、取り扱い易さが向上
する。

【０００８】基材１０の表面に形成されるコーティング
層３０は、図１（ｃ）に示すように、火災等の際に発泡
して難燃層を生成する。発泡難燃層２０は、基材１０へ
の伝熱を妨げ、所望の耐火性能が発揮される。難燃層
は、火災等による熱、あるいは炎をトリガとして生成さ
れてそれ自身の厚みを増加させ、実質的な伝熱距離を大
きくするために、通常状態における薄膜化が可能とな
る。

【０００９】さらに、生成された発泡難燃層２０は、粗
構造体となって間隙部に発泡の際に発生する気体を捕捉
する結果、全体としてエアーシールドが形成され、より
断熱性能の向上が図られる。その上、コーティング層３
０は、発泡により断熱性能を発揮するために、設置時の
曲げ加工等による生じた微小クラック等は、発泡により
自己修復され、断熱性能に影響を与えることがない。

【００１０】また、発泡難燃層２０は、燃焼時に基材１
０への熱伝導を阻止することにより、一般的な性能、す
なわち、背面側への熱、あるいは炎の伝達を阻止するば
かりでなく、燃焼性躯体との連結部位、あるいはシート
間の継ぎ目を発泡により閉塞し、接合部回りでの耐火構
造の簡略化に寄与するとともに、シート間の継ぎ目への
特別なシールド材、ジョイントパテの使用を不要にす
る。

【００１１】また、使用環境に応じて適宜の仕上げ層５
０を形成することにより、美麗な表面状態を得たり、あ
るいは耐磨耗性、耐水性、耐候性等の改善を図ることが
でき、表面部への使用が可能となる。

【００１２】さらに、防水層６０は、コーティング層３
０の水分による性能劣化、剥離、流出を防止する。

【００１３】

【実施例】本発明に係る土木・建築用耐火シートは、図
１に示すように、基材１０の表面にコーティング層３０
を形成して構成される。基材１０は、巻回状での保管、
寸法変化、あるいは可動部位での使用を可能にするため
に、可撓性を有する材料により形成される。基材１０と
しては、種々の材料が使用可能であり、ロックウール、
ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、シリコンカーバイド
繊維等の無機質繊維の織布、あるいは不織布が使用され
る。セラミックファイバ等、それ自体断熱性能に優れた
材料を基材１０として利用することも可能であり、この
場合、後述するように、発泡難燃層２０と相まってより
高い断熱性能を発揮させることが可能となる。

【００１４】また、基材１０が柔軟過ぎて一定の形状を
保持するのに十分でない場合には、図２に示すように、
補助材１１による強度、あるいは剛性の向上が図られ
る。補助材１１としては、箔等のシート体、あるいは金
属板材が使用可能であり、補助材１１が薄膜体である場
合には、図２（ａ）に示すように、基材１０の表層に被
覆し、同時にコーティング層３０の前処理層としても利
用することも可能であり、剛性、強度の付与を目的とす
る場合には、図２（ｂ）に示すように、芯材として基材
１０内部に介装させることもできる。さらに、図２
（ｂ）、（ｃ）に示すように、シートの表層を金属材料
等で形成された保形ネット４０で覆い、型くずれを防止
してもよい。

【００１５】コーティング層３０の形成は、粘性流体状
のコーティング材を基材１０の表面に塗布した後、乾燥
させることにより行われる。コーティング材の塗布手段
は、例えば、はけ塗り、吹き付け、あるいはディッピン
グ等の周知の手段から、コーティング材の粘性等の物理
的性質を考慮して決定される。また、図１（ａ）に示す
ように、コーティング層３０と基材１０との境界面にプ
ライマ処理層７０を配置することは、コーティング層３
０の基材１０への接合強度を十分にするために有効な変
形である。

【００１６】コーティング層３０が多孔であったり、あ
るいはコーティング材自体が耐水性能に劣る場合、ある
いは土木・建築用耐火シートが多湿環境で使用される場
合には、コーティング層３０を透水性のない防水層６０
で覆うことが望ましく、また、コーティング層３０の色
調、あるいは耐磨耗性の改善のために、表面部に塗料等
の仕上げ層５０を形成することも可能である。これら防
水層６０、あるいは仕上げ層５０の形成に際して、コー
ティング層３０は、基材１０の表面状態を改善するため
の前処理層として機能する。

【００１７】以上、コーティング材が、基材１０の表面
部に塗布されてコーティング層３０を形成する場合を示
したが、基材１０が繊維状である場合には、図３に示す
ように、コーティング材３１を基材１０の表面部に含浸
させることも可能である。

【００１８】すなわち、本発明を、繊維状の基材１０
に、加熱時に発泡難燃体を生成するコーティング材を含
浸させた土木・建築用耐火シートとして構成することが
可能であり、この場合、図３（ａ）に示すように、表層
部位のみへの含浸のみならず、図３（ｂ）に示すように
基材１０全体にコーティング材３１を含浸させることも
可能である。

【００１９】コーティング層３０を形成し、あるいは含
浸に使用されるコーティング材としては、所定の温度条
件、あるいは炎燃条件で、難燃性を有する発泡体を生成
するものが使用される。生成される難燃発泡体の基材と
しては種々の難燃材料が使用可能であり、予め含有され
た難燃材料が発泡剤の発泡により分散し、バインダ等と
共働して網目構造体状の発泡断熱層を形成するもの以外
に、燃焼状態において炭化物等の難燃材が生成される材
料の使用が可能である。

【００２０】すなわち、本発明を、可撓性を有する基材
１０の一面または両面に、加熱時に発泡炭化物の難燃層
を生成するコーティング層３０が形成される土木・建築
用耐火シートとして構成することも可能であり、この場
合、コーティング材としては、炭化物形成材と、発泡剤
と、結合材の混合材料が使用される。

【００２１】炭化物形成材としては、でんぷん、デキス
トリン、多糖類等の炭水化物類、モノペンタエリトリト
ール等の多官能アルコール、尿素樹脂等の樹脂状物質が
使用可能であり、コーティング材中に、燃焼時において
炭化物形成材と脱水反応を起こして上記炭化物形成材の
炭化を促進するための反応触媒物質を混合することが望
ましい。反応触媒物質としては、リン酸アンモニウム等
のリン酸系化合物の使用が可能である。

【００２２】一方、発泡剤としては、リン酸アンモニウ
ム、メラニン、尿素等、熱分解によりアンモニア等の不
燃性ガスを放出する材料が使用可能である。また、結合
材は塗膜を形成するためのバインダであって、ポリメチ
ルアクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル
系樹脂エマルジョン等の水系、あるいはアルキッド樹脂
等の溶剤系が使用される。

【００２３】したがってこの実施例において、火災等が
発生した場合には、コーティング層３０には、火災の
炎、あるいは熱により、炭化物が形成されるとともに発
泡材が発泡し、図１（ｃ）に示すように、必要な厚さを
有する発泡炭化物からなる難燃層が形成される。

【００２４】かかる土木・建築用耐火シートは、十分な
柔軟性を有する場合には、図４に示すように巻回状態で
の保管、運搬が可能であり、施工現場等において適宜寸
法に切断されて使用に供される。

【００２５】本発明における土木・建築用耐火シート
は、可撓性を有することから、例えば図５に示すよう
な、寸法変化部位等への耐火構造体の構築に非常に有用
である。図５は、地震、熱等により相互変位の生じる可
能性のある壁躯体８０、８０間の間隙Ｄを閉塞し、間隙
Ｄからの炎、熱の移動を阻止するための変形を示すもの
で、土木・建築用耐火シートは、ボルト、アンカ等適宜
の固定手段８１により壁躯体に固定される。また、必要
に応じ、上記固定手段設置部位には、施工後に、コーテ
ィング材３１’が塗布される。固定手段設置部位にと付
されるコーティング材３１’は、上述した組成を有する
材料から、粘性等を考慮して決定される。

【００２６】したがってこの実施例において、壁躯体８
０、８０間に炎が回って来た場合には、コーティング層
３０が発泡して発泡難燃層２０を形成するとともに、固
定手段の設置位置に塗布されたコーティング材３１’も
発泡して固定手段８１を覆い、壁躯体８０側への伝熱を
阻止する。

【００２７】なお、以下の説明において、土木・建築用
耐火シートは、表面部にコーティング層３０を形成した
ものが図示されているが、コーティング材３１を含浸さ
せたものであってもよく、さらに、コーティング層３０
上に防水層６０、仕上げ層５０等が積層されたものであ
ってもよい。

【００２８】さらに、本発明に係る土木・建築用耐火シ
ートは、図６に示すように、構造体９０に被せて使用す
ることも可能である。土木・建築用耐火シートにより構
造体９０を覆うことにより、構造体９０への伝熱が防止
され、構造体９０の熱変形、サーマルショックによる亀
裂発生、破損、あるいは焼失が防止される。

【００２９】構造体９０への固定は、耐熱接着剤を使用
した接着が望ましいが、構造体９０への全面固着が不要
な場合には、図６（ｃ）に示すように、端部を重ね合わ
せた後、長手方向の適宜箇所をビス、ボルト・ナット等
の止着子９１により固定してもよく、さらに、必要に応
じ、目地材９２を配すことも可能である（図６（ａ）参
照）。

【００３０】なお、図６においては、断面円形のパイプ
状の構造体９０を土木・建築用耐火シートで覆った場合
（図６（ａ））と断面矩形のパイプ状の構造体９０を覆
った場合（図６（ｂ））が示されているが、構造体９０
の形状、材料等は特に問わない。

【００３１】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、加熱時に容積が拡大し、しかも断熱要素とし
て機能するコーティング層を有するために、通常の使
用、取り扱い時における薄肉化を図ることができ、取り
扱い性を良好にすることができる。

【００３２】また、シート間の継ぎ目は、火災時には、
発泡により自己閉塞されるために、特別な耐火シール構
造の施工を必要としないために、施工性を良好にするこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す図で、（ａ）はプライマ
処理層を設けた断面図、（ｂ）は防水層を設けた断面
図、（ｃ）は発泡難燃層の生成状態を示す断面図であ
る。

【図２】基材の変形例を示す図で、（ａ）は補助材によ
り基材を覆った状態を示す断面図、（ｂ）は芯材として
補助材を使用した断面図、（ｃ）は保形ネットを示す平
面図、（ｄ）は保形ネットによりシートを覆った状態を
示す断面図である。

【図３】本発明の他の実施例を示す図で、（ａ）は基材
の表層にコーティング材を含浸させた状態を示す断面
図、（ｂ）は基材全体に含浸させた状態を示す断面図で
ある。

【図４】保管状態を示す図である。

【図５】土木・建築用耐火シートの使用状態を示す図で
ある。

【図６】他の使用状態を示す図で、（ａ）は丸パイプを
土木・建築用耐火シートで覆って状態を示す断面図、
（ｂ）は角パイプを土木・建築用耐火シートで覆って状
態を示す断面図、（ｃ）は接合部の拡大図、（ｄ）は接
合部の変形例を示す要部断面図である。

【符号の説明】

１０基材２０発泡難燃層３０コーティング層４０保形ネット５０仕上げ層６０防水層

フロントページの続き (72)発明者奈良光喜東京都千代田区内神田１丁目16番15号協立化学産業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】可撓性を有する基材の一面または両面に、
加熱時に発泡難燃層を生成するコーティング層を形成し
た土木・建築用耐火シート。
【請求項２】可撓性を有する基材に、加熱時に発泡難燃
体を生成するコーティング材を含浸させた土木・建築用
耐火シート。
【請求項３】表層を保形ネットで覆った請求項１または
２記載の土木・建築用耐火シート。
【請求項４】表層に仕上げ層を有する請求項１、２また
は３記載の土木・建築用耐火シート。
【請求項５】前記耐火コーティング層への透水を防止す
る防水層を有する請求項１ないし４のいずれかに記載の
土木・建築用耐火シート。