JPH08158129A - 繊維テープ複合構造体およびその製造方法および衣料の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】特殊繊維テープ複合構造体およびその製造方法
ならびにそれらの衣料を製造する方法の提供。 【構成】繊維テープ複合構造体は、繊維主体の多数の細
幅テープがその相対位置をずらしながら積層されたテー
プ積層体を有し、そのシート形態を粘着テープで全体を
仮固定しており、そのテープ積層構造の周辺には、少な
くとも粘着テープが貼付されていない部分が存在するこ
とを特徴とし、その製造方法は、筒状物または多角フレ
ームにテープをずらしながら重ね合せ、粘着テープで部
分固定し、しかる後、テープ積層体を粘着テープの存在
しない部分でカットする。また、衣料の製造方法は、繊
維テープ複合構造体を、少なくとも肩部、腕下脇部に用
いて縫製し、しかる後テープ部分をはずす。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、簡便に通気型の衣料を
作るための繊維テープ複合構造体シートおよびその製造
方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】テープをずらしながら積層する方法とし
ては、次の三つの方法がある。

【０００３】(1) 位置をずらしながらテープを配列した
後、糊を用いてテープ間を接着する方法 (2) 糊が付着したテープをずらしながら配列するする方
法 (3) テープ間を針で仮止し位置を決めから縫製する方法

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術の
(1）、(2) については、糊剤を乾燥固着する必要があ
り、かつ縫製後はその糊剤を除去する工程が必要であ
る。それに加えて、皺のばしのため大変な手間とエネル
ギーかかり、かつ設備が要る。また、従来技術の(3) に
ついては、縫いにくく、また非常に手間がかかる。皺が
よったり、テープ間の相対位置がずれるなど重ね度合い
が調整し難いなどの欠点がある。特に、(3) では針が製
品に混入する場合や作業者に針が付き刺さるなどの場合
があり極めて危険である。

【０００５】本発明は、縫い易く、手間がかからず、安
全に製造でき、かつ、縫製することができる特殊繊維テ
ープ複合構造体およびその製造方法ならびにそれから衣
料を製造する方法を提供せんとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の諸課題を解決する
という目的を達成しえた本発明は、次の通りの構成をと
るものである。

【０００７】その骨子は下記のとおりである。

【０００８】すなわち、本発明の繊維テープ複合構造体
は、繊維主体の多数の細幅テープがその相対位置をずら
しながら積層されたテープ積層体を有し、そのシート形
態を粘着テープで全体を仮固定しており、そのテープ積
層構造の周辺には、少なくとも粘着テープが貼付されて
いない部分が存在することを特徴とするものであり、か
かる繊維テープ複合構造体の製造方法は、筒状物または
多角フレームにテープをずらしながら重ね合せ、粘着テ
ープで部分固定し、しかる後、テープ積層体を粘着テー
プの存在しない部分でカットすることを特徴とするもの
である。

【０００９】また、本発明の衣料の製造方法は、繊維主
体の多数の細幅テープがその相対位置をずらしながら積
層されたテープ積層体であって、そのシート形態を粘着
テープで仮固定しており、かつ、そのテープ積層体の周
辺には、少なくとも粘着テープが貼付されていない部分
が存在する繊維テープ複合構造体が、少なくとも肩部、
腕下脇部に用いて縫製し、しかる後テープ部分をはずす
ことを特徴とするものである。

【００１０】

【作用】本発明は、簡便に通気型の衣料を作るため安
全、安定および作業性よく高生産性で好ましく適用され
る繊維テープ複合構造体およびその製造方法に関するも
のである。通気構造を有する衣料を好ましく作製する材
料として、繊維を主体とするテープの積層体（テープ積
層体）と粘着テープからなる複合体すなわち繊維テープ
複合構造体とそれを作製する方法を提供する。本発明の
繊維テープ複合構造体を図１および図２（特に幅方向に
縮めたモデル図）を示した。

【００１１】本発明の必須構成要件は、繊維主体の多数
の細幅テープがその相対位置をずらしながら積層された
テープ積層体を有し、そのテープ積層体を粘着テープで
粘着して全体を仮固定しており、そのテープ積層体の周
辺には少なくとも粘着テープが貼付されていない部分が
存在するものである。

【００１２】かかる構成により、通気型の快適衣料を作
る際、簡便に、かつ安全に、効率よく縫製でき、運搬が
容易であり、縫製後テープを外すだけで仮固定が解除で
き、そのままで製品となりうる利点を有する。すなわ
ち、従来技術のように糊剤除去のための洗浄工程も不要
であり、アイロン掛けも不要である。また、テープの配
列が乱れることがなく安全である。粘着テープの存在し
ない周辺で身生地と縫い合わせるので、粘着テープ部は
容易に剥がすことができる。ここに、周辺に粘着テープ
を存在させない理由があり、本発明の特徴の一つであ
る。かかる構成で縫製性を著しく悪化させることはな
い。

【００１３】本発明のテープ積層体を好ましく作製する
方法は、筒状物または多角フレームにテープを巻きなが
ら任意にずらして重ね合せ、粘着テープで部分固定し、
しかる後、粘着テープの存在しない部分で所望の幅と長
さにカットすることにより行われる。もちろん、粘着テ
ープの幅、長さを決めておき、準備することが好まし
い。

【００１４】好ましい具体例としては、回転する円筒状
ドラムにテープを巻き付けながら、重ね幅がテープの１
／５〜４／５程度となるように、テープの相対位置を定
めるテープガイドを設け、テープの長手方向（テープ巻
き方向）の動きに伴って、約９０°の方向に移動するこ
とにより行われる。つまり、重ね幅はテープの巻き付け
速度（ドラムの回転速度）とテープガイドの相対的移動
速度により決るものである。

【００１５】繊維テープとしては、天然繊維、化学繊維
や合成繊維からなる繊維を主とする細幅のテープ状のも
のであり、幅に比べて長さが大きいテープ状のシートが
いずれも適用でき特に限定されない。テープ幅は通常５
〜１００mmであり、編機で編成された編テープ、テープ
織機で製織した織テープ、あるいは織物、不織布、編物
などの布帛を熱、超音波、高周波、高速流体などの手段
により切断したカットテープが適用される。もちろん、
繊維テープは目的、用途に応じて適宜、各種の樹脂加
工、撥水加工、防汚加工、蛍光増白加工を含む染色加工
などの高次加工を施したもの、さらには形態安定加工し
たものも好ましく適用できる。

【００１６】粘着テープとは、通常の布粘着テープ、セ
ロファンテープ、ビニルテープ、クラフトテープ、ＯＰ
Ｐテープ、メンディングテープなどと呼ばれる包装用、
結束固定用、医療用などに使用される粘着テープであ
る。それは主として基材と粘着材で構成されるものであ
る。

【００１７】かかる基材としては、含浸紙、コート紙、
上質紙、クラフト紙などの紙類やポリエステルフィル
ム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、セロファ
ンフィルム、アセテート、ポリビニルアルコールなどの
フィルム類が用いられる。

【００１８】また、粘着材としては、主として、天然ゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴ
ム、ブリルゴム、イソプレンゴムなどのゴム系のもの、
２−エチルヘキシルアクリレートを主モノマとした共重
合ポリマのアクリル系、あるいはシリコーン系ポリマ、
ポリビニルエーテル系などのポリマ類やロジン、ガムロ
ジン、ダンマル、コーパル、水添ロジン、水添ロジンエ
ステル、クマロンインデン、ポリテルペンなどの一種あ
るいは二種以上が用いられる。その他軟化剤（可塑
剤）、充填剤、老化防止剤が適宜加えられる。

【００１９】粘着材は、要件として、テープ積層体に粘
着することにより、繊維主体の多数の細幅テープの相対
位置を保持し、縫製後、テープ積層構造から容易に剥す
ことができることが基本である。つまり、押圧するだけ
で容易に粘着して仮固定性を発現すること、また、容易
に剥すことのでき、粘着材がテープ積層体に残留しない
ことが好ましい。また、好ましくは８０℃以下におい
て、特に好ましくは６０°以下において、テープ積層体
に容易に粘着して仮固定性を有し、粘着材あるいはその
配合成分がテープ積層体に残留したり、移行しないこと
が好ましい。

【００２０】かかる性能を有する市販品として、好まし
いものは、住友スリーエム社製「メンディングテー
プ」、株式会社スリオンテック製「布粘着テープ」、
「ヒートフロステープ」などが挙げられる。特に、住友
スリーエム社製「メンディングテープ」は、夏場の暑い
環境下において、しかも綿／ポリエステル混紡品織物に
対しても粘着材が繊維テープ面に移行することなく、容
易に粘着し、剥がすことができ好適である。

【００２１】本発明において、テープの積層は積層方向
および積層幅は同じであるのが一般的であり最もよく適
用される。本発明のテープ積層体におけるテープの配列
状態を３図に示した。その他にも、積層方向において、
右重ね方向と左重ね方向の混在したり（図５）、異なる
積層幅が混在（図６）しても構わない。かかることによ
り、外観品位に変化が伴ったり、両方向から通気するこ
とができる。

【００２２】また、繊維積層テープ複合体における粘着
テープの貼付位置は、そのほぼ中央に位置し、その粘着
テープの形状は矩形または、少なくともいずれか一方が
狭くなるか尖っている形状のものが好ましい。粘着テー
プの貼付位置がそのほぼ中央に位置する理由は前記した
とおりである。他方、少なくともいずれか一方が狭くな
るか尖っている形状とする理由は、テープ積層体が適用
される衣料の部位によっては、例えば、脇部に適用され
た場合、先端が尖鋭形状であることによって、縫製がし
やすく生産性が良好であり、また、外部応力により損傷
しにくいなどの利点を有するためである。

【００２３】また、テープの配列角度は、繊維積層テー
プ構造と身生地との水平方向の縫い合せ境界線を水平基
線とし、垂直方向の縫い合せ境界線を垂直基線とし、垂
直基線を０°とし、水平基線を９０°とすると、通常は
ほぼ０°すなわち垂直基線と平行に配列されるが、この
角度を５〜８０度となるように配列することにより、衣
料の身生地に縫い付けると、体の動きにより、テープ積
層体のテープ間がさらによく開口し通気性を良好とする
驚くべき効果が発現する。また、粘着テープは、テープ
積層体の一面のみならず他の面にも設けられても構わな
い。テープ積層体の両面に貼付すると、縫製などの工程
での取扱において、積層形態が強固であることが要求さ
れる用途に好ましく対応できるからである。

【００２４】本発明の繊維テープ複合構造体は、その複
合構造体の状態で、染色されていてもよく、また、印刷
や捺染されて模様が付されていてもよい。

【００２５】

【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。

【００２６】実施例１ 直径１００cm（周長３１４cm）、高さ２００cmのパンチ
メタル製の円筒ドラムが横型に据え付けられており、ド
ラムの回転に伴って巻きながら水平方向に位置をずらす
テープガイドを有している装置を用い、ドラムの回転速
度（テープ巻き速度）とテープずらし速度を調整して巻
き付け、テープ幅３６mmで重ね幅１２mmのテープ積層体
を作製した。

【００２７】かかるドラムに巻いたテープ積層体上に、
テープの長手方向に６０mm、テープ重ね方向に１．８ｍ
を一単位として全面に定規で印を付け、その中央の位置
に幅５０mmのメンディングテープ（３Ｍ社製）を貼付し
た。ドラムから取り外し粘着テープ間の中央位置（粘着
テープが貼付されていない部分）をカットして本発明の
繊維テープ複合構造体を作製した。かかる繊維積層テー
プ構造体の長さ２０cm（テープ重ね長）、幅６cm（テー
プ長）をワイシャツの身生地の両肩部に縫い付け、その
後、メンディングテープを剥した。このとき、メンディ
ングテープは容易に剥がれ、その配合成分は何等繊維積
層テープ構造体に残留したり、移行したりしなかった。

【００２８】実施例２ 直径１００cm（周長３１４cm）、高さ２００cmのパンチ
メタル製の円筒ドラムが横型に据え付けられており、ド
ラムの回転に伴って水平方向に位置をずらすテープガイ
ドを有している装置を用い、ドラムの回転速度（テープ
巻き速度）とテープずらし速度を調整して巻き付け、テ
ープ幅３６mmで重ね幅１２mmの繊維積層テープ構造を作
製した。

【００２９】かかるドラム上の繊維積層テープ構造上
に、上記と同じ定規を用いて、テープ長手方向に対し
て、約３０°の傾斜をもたして幅６０mm、長さ１．８ｍ
を一単位として全面に印を付け、その中央の位置に幅５
０mmのメンディングテープ（３Ｍ社製）を貼付した。ド
ラムから取り外し粘着テープ間の中央位置（粘着テープ
が貼付されていない部分）をカットして本発明の繊維テ
ープ複合構造体を作製した。かかる繊維積層テープ構造
体の長さ２０cm、幅６cmを作業服の身生地の両肩部に縫
い付け、その後、メンディングテープを剥した。このと
き、メンディングテープは容易に剥がれ、その配合成分
は何等繊維積層テープ構造体に残留したり、移行したり
しなかった。

【００３０】

【発明の効果】本発明の繊維積層テープ構造体は次の効
果を有する。

【００３１】テープ間に通気口を有する快適衣料を作る
際、簡便に縫製でき、運搬が容易であり、縫製後テープ
を外すだけで仮固定が解除でき、そのままで製品となり
うる利点を有する。また、本発明の繊維積層テープ構造
体は、従来技術のように糊剤除去のための洗浄工程も不
要であり、アイロン掛けも不要である。また、テープの
配列の乱れることがない。粘着テープの存在しない周辺
で身生地と縫い合わせれば、粘着テープ部は容易に剥が
すことができる利点を有する。

【００３２】固定針を用いないので、作業上も安全であ
り、製品への固定針の混入もなく極めて安全である。

【００３３】本発明の繊維テープ複合構造体からなる衣
料は、ワーキングウエア、ワイシャツ、スポーツウエ
ア、カジュアルウエア、撥水衣料などに好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この図は、本発明の繊維積層テープ構造体の斜
視図例を示す。

【図２】この図は、図１のＡ−Ａカット断面の理解を容
易にするために、厚みを拡大し、横方向は縮小し、本発
明の繊維積層テープ構造体断面モデル図を示す。

【図３】この図は、本発明のテープ積層体における繊維
カットテープの配列状態の２例を示す。

【図４】この図は、本発明のテープ積層体における粘着
テープの形態２例を示す。

【図５】この図は、本発明のテープ積層体を用いて縫製
したワイシャツ（半袖）の例を示す。

【図６】この図は、本発明のテープ積層体を用いて縫製
された長袖ワイシャツの１例を示す。

【符号の説明】 １：粘着テープ ２：繊維テープ ３：粘着材 ４：基材

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】繊維主体の多数の細幅テープがその相対位
   置をずらしながら積層されたテープ積層体であって、そ
   のシート形態を粘着テープで仮固定しており、かつ、そ
   のテープ積層体の周辺には、少なくとも粘着テープが貼
   付されていない部分が存在することを特徴とする繊維テ
   ープ複合構造体。
2. 【請求項２】テープの積層が、積層方向において、右重
   ね方向と左重ね方向の混在することを特徴とする請求項
   １に記載の繊維テープ複合構造体。
3. 【請求項３】テープの積層において異なる積層幅が混在
   することを特徴とする請求項１に記載の繊維テープ複合
   構造体。
4. 【請求項４】粘着テープがテープ積層体のほぼ中央に位
   置し、その粘着テープの形状は矩形、または、少なくと
   もいずれか一方が狭くなるか尖っていることを特徴とす
   る請求項１に記載の繊維テープ複合構造体。
5. 【請求項５】粘着テープの基材が、フィルム、紙、織
   物、編物、不織布またはゴムシートからなることを特徴
   とする請求項１に記載の繊維テープ複合構造体。
6. 【請求項６】粘着テープの粘着剤は、８０℃以下におい
   てテープ積層体の繊維に実質的に移行せず、かつ、テー
   プ間を保持する仮固定性を有することを特徴とする請求
   項１に記載の繊維テープ複合構造体。
7. 【請求項７】テープ積層体において、垂直基線に対して
   ５〜８０°の角度を有して積層されていることを特徴と
   する請求項１に記載の繊維テープ複合構造体。
8. 【請求項８】粘着テープが一面のみならず他の面にも設
   けられていることを特徴とする請求項１に記載の繊維テ
   ープ複合構造体。
9. 【請求項９】請求項１記載の繊維テープ複合構造体が、
   模様および／または印字が捺染されていることを特徴と
   する繊維テープ複合構造体。
10. 【請求項１０】筒状物または多角フレームにテープをず
    らしながら重ね合せ、粘着テープで部分固定し、しかる
    後、テープ積層体を粘着テープの存在しない部分でカッ
    トすることを特徴とする繊維テープ複合構造体の製造方
    法。
11. 【請求項１１】繊維主体の多数の細幅テープがその相対
    位置をずらしながら積層されたテープ積層体であって、
    そのシート形態を粘着テープで仮固定しており、かつ、
    そのテープ積層体の周辺には、少なくとも粘着テープが
    貼付されていない部分が存在する繊維テープ複合構造体
    が、少なくとも肩部、腕下脇部に用いて縫製し、しかる
    後テープ部分をはずすことを特徴とする衣料の製造方
    法。